JP2001220901A - 既設建物の免震構造化方法 - Google Patents

既設建物の免震構造化方法

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JP2001220901A
JP2001220901A JP2000032975A JP2000032975A JP2001220901A JP 2001220901 A JP2001220901 A JP 2001220901A JP 2000032975 A JP2000032975 A JP 2000032975A JP 2000032975 A JP2000032975 A JP 2000032975A JP 2001220901 A JP2001220901 A JP 2001220901A
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Japan
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seismic isolation
existing building
column
fluid
isolation device
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JP2000032975A
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Mitsuo Miyazaki
光生 宮崎
Masahiro Tanaka
正博 田中
Yosuke Shikata
洋介 志方
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TORIO MARINE TEC KK
Dynamic Design Inc Japan
Original Assignee
TORIO MARINE TEC KK
Dynamic Design Inc Japan
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、免震構造化工事の施工期間
の短い既設建物の免震構造化方法を提供することにあ
る。 【解決手段】 本発明では、既存梁2の上の位置に、免
震装置12を挿入する。本発明は、既設建物のすべての
柱1の側面に、既存梁2の上に所定間隔をおいて、仮受
桁5を固定する工程と、既存梁2と仮受桁5との間に流
体ジャッキ7を配置する工程と、仮受桁5の下面の位置
9ですべての柱1を切断して、それぞれ上部柱1aと下
部柱1bとに分割する工程と、流体ジャッキ7で仮受桁
5を持ち上げることにより、上部柱1aと下部柱1bと
の間に空間を設ける工程と、前記空間に、免震装置12
を挿入する工程と、流体ジャッキ7で仮受桁5を降下さ
せて、上部柱1aと下部柱1bとを接続する工程と、を
備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は既設建物の免震構造
化方法に係り、特に流体ジャッキ又は流体キャスターを
用いて、非免震構造の既設建物を免震構造物に改修する
既設建物の免震構造化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】非免震構造の既設建物を免震装置を用い
て免震構造物に改修する方法として、従来から、中間階
における免震構造化方法,基礎階・地表階における免震
構造化方法が行われている。
【0003】従来の基礎階・地表階における免震構造化
方法は、以下の様な手順で行う。既存の基礎面の床を撤
去し、基礎周辺を掘削し、既存の基礎梁を適切に補強
し、仮受用基礎構造(例えば耐圧版又は、圧入鋼管等)
を築造した後、同基礎により上部建物を仮支えする。さ
らに既設基礎下部の堀削等を行い、適切な空間を確保
し、既設基礎の補強を行い、免震装置の取り付けを、上
部建物の荷重を免震装置へ仮受用基礎から移し替え、仮
受用基礎を撤去し、埋戻しを行い、先に撤去した床面を
補修し、免震工事は完成する。この際、免震装置上部の
建物は地震発生時に50cm程度左右に移動を繰り返す
ため、周辺の地盤を鋤き取り、建物の左右の移動を妨げ
ない様に細工を行う。地形上この様な細工を行う場合に
は、建物をずらす必要が生じるため、コロ、オイルジャ
ッキ等で建物の移動を行う。
【0004】また、従来の中間階における免震構造化方
法は、次の方法で行うのが一般的である。すなわち、既
存の建物の免震計画レベルの上下の耐力をチェックした
後、適切な補強を順次行い、仮支えを行った後、柱部の
切断を順次行う。その後、免震装置を順次計画位置にセ
ットし、免震装置の上端面と建物の柱との間にプレート
ジャッキ等を挿入し、樹脂系材をプレートジャッキ内に
注入し、養生後、仮支えを外して、免震装置に上部荷重
を順次移し替える事により完成する。そして、免震装置
は柱の位置に設置するため、免震装置を設置する作業を
柱毎に繰り返して行い、その後に外壁を切断する。
【0005】しかし、上記従来の基礎階・地表階におけ
る免震構造化方法によると、移動装置を新たに設置しな
ければならないという問題点を生じる。また、仮支えの
ための基礎下の人力堀削、耐圧盤の施工、仮支え支保
工、切断、免震装置の設置、補強工事等、狭い空間での
作業が生じ、コスト・工期等がかかるという問題点があ
る。
【0006】また、上記従来の中間階における免震構造
化方法によると、免震箇所1ヶ所に付き6〜15日程度
の日数を要するという問題点がある。特にプレートジャ
ッキ内に樹脂を注入してからかためるまでに1週間程度
が必要となっている。また、上記従来の中間階における
免震構造化方法では、プレートジャッキを用いている
が、このプレートジャッキは、一度に複数を同調させて
制御することが難しいため、既設建物の柱毎に免震構造
化を行う必要がある。したがって、上記従来の中間階に
おける免震構造化方法では、柱が何十本もある建物で
は、工事に0.5〜1年の日数がかかってしまうという
問題点がある。また、このプレートジャッキの代わりに
無収縮性モルタルを使う場合もあるが、この場合にも、
同様の問題点がある。又、図14に示すように、各柱毎
に順次免震装置12を設置する従来の「順次逐一免震構
法」と呼ばれる方法では、免震階は補強梁63等多くの
補強を要し、免震装置12を挟んで下部構造から分離す
る上部構造の嵩上げがないことから、免震階の天井高H
を免震装置の高さ分減少させることになり、スペース効
率が著しく低下するという問題点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
中間階における免震構造化方法,基礎階・地表階におけ
る免震構造化方法の問題点を解決するものであり、本発
明の目的は、免震構造化工事の施工期間の短い既設建物
の免震構造化方法を提供することにある。また、本発明
の他の目的は、免震階の天井高が免震構造化前の高さよ
りも低くならず、階高の調整が自在に可能なので、スペ
ース効率がよい既設建物の免震構造化方法を提供するこ
とにある。また、本発明のさらに他の目的は、工事の施
工期間を短縮化することにより、居住者の利便性を図る
ことができ、コストダウンが可能な既設建物の免震構造
化方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題は、請求項1に
係る発明によれば、既設建物を中間階において免震構造
化する方法であって、前記既設建物のすべての柱の側面
に、既存梁の上に所定間隔をおいて、仮受桁を固定する
工程と、前記既存梁と前記仮受桁との間に流体ジャッキ
を配置する工程と、前記仮受桁の下面の位置で前記すべ
ての柱を切断して、それぞれ上部柱と下部柱とに分割す
る工程と、前記流体ジャッキで前記仮受桁を持ち上げる
ことにより、前記上部柱と前記下部柱との間に空間を設
ける工程と、前記空間に、免震装置を挿入する工程と、
前記流体ジャッキで前記仮受桁を降下させて、前記上部
柱と前記下部柱とを接続する工程と、を備えることによ
り解決される。
【0009】このように、仮受桁の下面の位置で前記す
べての柱を切断して、それぞれ上部柱と下部柱とに分割
する工程と、前記流体ジャッキで前記仮受桁を持ち上げ
ることにより、前記上部柱と前記下部柱との間に空間を
設ける工程と、前記空間に、免震装置を挿入する工程と
を備えているので、免震施工後の免震階の有効階高を、
施工前の有効階高に維持することが可能となる。
【0010】また、簡単に設置可能であり、複数を同時
に制御可能な設置流体ジャッキを用いているので、免震
構造化に要する工事期間を、大幅に短縮することが可能
となる。また、流体ジャッキは、軽量で取り扱いが容易
であるため、免震構造化工事の作業効率を大幅に向上す
ることが可能となる。
【0011】また、上記課題は、請求項2に係る発明に
よれば、既設建物を中間階において免震構造化する方法
であって、前記既設建物の柱の側面に、既存梁の下に所
定間隔をおいて仮受桁を固定する工程と、前記柱に、該
柱の荷重を支えるための補強材を固設する工程と、前記
既存梁と前記仮受桁との間に流体ジャッキを配置する工
程と、前記既存梁の下の位置と、該下の位置よりもさら
に下の位置とで柱を切断して、上部柱と下部柱とに分割
し、該上部柱と下部柱との間に免震装置を挿入可能な空
間を形成する工程と、前記流体ジャッキを加圧させて、
前記上部柱を持ち上げる工程と、前記空間に免震装置を
挿入する工程と、前記流体ジャッキを常圧に戻して前記
上部柱を降下させ、前記下部柱と前記免震装置と前記上
部柱との連結を行う連結工程と、を備えることにより解
決される。
【0012】流体ジャッキは、簡単に設置可能であり、
複数の流体ジャッキの荷重分担の均一化が油圧ジャッキ
に対比して格段に容易であり、揚程調整が容易であるの
で、免震構造化に要する工事期間を、大幅に短縮するこ
とが可能となる。また、流体ジャッキは、軽量で取り扱
いが容易であるため、免震構造化工事の作業効率を大幅
に向上することが可能となる。
【0013】また、上記課題は、請求項3に係る発明に
よれば、既設建物を中間階において免震構造化する方法
であって、前記既設建物の柱の側面に、既存梁の下に所
定間隔をおいて仮受桁を固定する工程と、前記柱に、該
柱の荷重を支えるための補強材を固設する工程と、前記
既存梁と前記仮受桁との間に流体ジャッキを配置する工
程と、前記既存梁の下の位置と、該下の位置よりもさら
に下の位置とで柱を切断して、上部柱と下部柱とに分割
し、該上部柱と下部柱との間に免震装置を挿入可能な空
間を形成する工程と、前記流体ジャッキを加圧させて、
前記上部柱を持ち上げた後、前記上部柱を仮支えするキ
ャンバーを挿入して、前記流体ジャッキを常圧に戻す工
程と、前記空間に免震装置を挿入する工程と、前記流体
ジャッキを加圧させて、前記上部柱を持ち上げ、前記キ
ャンバーを取り除いた後、前記流体ジャッキを常圧に戻
して前記上部柱を降下させ、前記下部柱と前記免震装置
と前記上部柱との連結を行う連結工程と、を備えること
により解決される。
【0014】このとき、前記連結工程の後で、前記仮受
桁を、該仮受桁の上面が前記免震装置の下面よりも下の
位置になるように配置し、耐震補強材として流用する工
程を行うと好適である。このように構成することによ
り、仮受け桁を、免震装置取付後の耐震構造補強材とし
て有効に活用することができるとともに、工事費用のコ
ストダウンを図ることが可能となる。
【0015】また、前記流体ジャッキを配置する工程で
は、前記既存梁と前記仮受桁との間に、嵩上げ材が下に
なるように流体ジャッキを配置し、前記免震装置を挿入
可能な空間を形成する工程では、前記既存梁の下の位置
と、該下の位置よりもさらに下で、かつ前記仮受け桁の
上の位置とで柱を切断すると好適である。このように構
成することにより、仮受け桁を、免震装置取付後の耐震
構造補強材として有効に活用することができるととも
に、工事費用のコストダウンを図ることが可能となる。
【0016】また、前記既設建物の少なくとも一つの柱
について、同時に前記工程を行うように構成すると好適
である。このように、複数の柱について同時に前記工程
を行うことにより、免震構造化工事の短縮化を図ること
が可能となる。
【0017】上記課題は、請求項7に係る発明によれ
ば、既設建物を基礎階において免震構造化する方法であ
って、前記既設建物に隣接する用地に、新たな基礎を築
造する工程と、前記新たな基礎に免震装置を取り付ける
工程と、前記既設建物の上部構造を支持部材で支えなが
ら、前記既設建物を切断して、前記上部構造と下部構造
とに分割する工程と、流体キャスターにより移動して、
前記上部構造を前記免震装置および前記新たな基礎の上
に載置する工程と、前記流体キャスターにより前記上部
構造を降下させて前記免震装置と前記上部構造とを接続
する工程と、を備えることにより解決される。
【0018】流体ジャッキは、簡単に設置可能であり、
複数の流体ジャッキの荷重分担の均一化が油圧ジャッキ
に対比して格段に容易であり、揚程調整が容易であるの
で、免震構造化に要する工事期間を、大幅に短縮するこ
とが可能となる。また、流体キャスターは、軽量で取り
扱いが容易であるため、免震構造化工事の作業効率を大
幅に向上することが可能となる。
【0019】上記課題は、請求項8に係る発明によれ
ば、既設建物を基礎階において免震構造化する方法であ
って、前記既設建物に隣接する用地に、仮設基礎を築造
する工程と、前記既設建物の上部構造を支持部材で支え
ながら、前記既設建物を切断して、前記上部構造と下部
構造とに分割する工程と、流体キャスターにより移動し
て、前記上部構造を前記仮設基礎の上に載置する工程
と、前記既設建物の前記下部構造の上に免震装置を取り
付ける工程と、前記仮設基礎の上から、流体キャスター
により前記上部構造を移動して、前記免震装置および前
記下部構造の上に載置する工程と、前記流体キャスター
により前記上部構造を降下させて前記免震装置と前記上
部構造とを接続する工程と、を備えることにより解決さ
れる。
【0020】流体ジャッキは、簡単に設置可能であり、
複数の流体ジャッキの荷重分担の均一化が油圧ジャッキ
に対比して格段に容易であり、揚程調整が容易であるの
で、免震構造化に要する工事期間を、大幅に短縮するこ
とが可能となる。また、流体キャスターは、軽量で取り
扱いが容易であるため、免震構造化工事の作業効率を大
幅に向上することが可能となる。
【0021】上記課題は、請求項9に係る発明によれ
ば、既設建物を基礎階において免震構造化する方法であ
って、前記既設建物の基礎の範囲と重なるように、新た
な基礎を築造する工程と、前記新たな基礎に免震装置を
取り付ける工程と、前記既設建物の上部構造を支持部材
で支えながら、前記既設建物を切断して、前記上部構造
と下部構造とに分割する工程と、流体キャスターにより
移動して、前記上部構造を前記免震装置および前記新た
な基礎の上に載置する工程と、前記流体キャスターによ
り前記上部構造を降下させて前記免震装置と前記上部構
造とを接続する工程と、を備えることにより解決され
る。
【0022】流体ジャッキは、簡単に設置可能であり、
複数の流体ジャッキの荷重分担の均一化が油圧ジャッキ
に対比して格段に容易であり、揚程調整が容易であるの
で、免震構造化に要する工事期間を、大幅に短縮するこ
とが可能となる。また、流体キャスターは、軽量で取り
扱いが容易であるため、免震構造化工事の作業効率を大
幅に向上することが可能となる。このとき、前記基礎階
の代わりに地表階において免震構造化すると好適であ
る。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明は、既設建物を中間階にお
いて免震構造化する方法である。本発明では、既存梁2
の上の位置に、免震装置12を挿入する。既設建物のす
べての柱1の側面に、既存梁2の上に所定間隔をおい
て、仮受桁5を固定する工程と、既存梁2と仮受桁5と
の間に流体ジャッキ7を配置する工程と、仮受桁5の下
面の位置9ですべての柱1を切断して、それぞれ上部柱
1aと下部柱1bとに分割する工程と、流体ジャッキ7
で仮受桁5を持ち上げることにより、上部柱1aと下部
柱1bとの間に空間を設ける工程と、前記空間に、免震
装置12を挿入する工程と、流体ジャッキ7で仮受桁5
を降下させて、上部柱1aと下部柱1bとを接続する工
程と、を備える。このとき、仮受桁5の下または上に、
複数の流体ジャッキ7を、荷重が均等にかかるように配
置する。
【0024】また、請求項2に係る発明では、既存梁2
の下の位置に、免震装置12を挿入する。本発明は、既
設建物の柱1の側面に、既存梁2の下に所定間隔をおい
て仮受桁5を固定する工程と、柱1に、柱1の荷重を支
えるための補強材3,21を固設する工程と、既存梁2
と仮受桁5との間に流体ジャッキ7を配置する工程と、
既存梁2の下の位置9aと、この下の位置9aよりもさ
らに下の位置9bとで柱1を切断して、上部柱1aと下
部柱1bとに分割し、上部柱1aと下部柱1bとの間に
免震装置12を挿入可能な空間を形成する工程と、流体
ジャッキ7を加圧させて、上部柱1aを持ち上げる工程
と、前記空間に免震装置12を挿入する工程と、流体ジ
ャッキ7を常圧に戻して上部柱1aを降下させ、下部柱
1bと免震装置12と上部柱1aとの連結を行う工程
と、を備える。このとき、請求項3に係る発明のよう
に、流体ジャッキ7で上部柱1aを支える代わりに、キ
ャンバー13で仮支えすることもできる。この場合に
は、上部柱1aを持ち上げる工程で、流体ジャッキ7を
加圧させて、上部柱1aを持ち上げた後、上部柱1aを
仮支えするキャンバー13を挿入して、流体ジャッキ7
を常圧に戻す。また、連結工程で、流体ジャッキ7を加
圧させて、上部柱1aを持ち上げ、キャンバー13を取
り除いた後、流体ジャッキ7を常圧に戻して前記上部柱
を降下させる。
【0025】そして、前記連結工程の後で、仮受桁5
を、仮受桁5の上面が免震装置12の下面よりも下の位
置になるように配置し、免震構造化工事完了後の図6
(B)に示す耐震補強材15として流用する工程を行
う。また、予め、仮受桁5の上面が免震装置12の下面
よりも下の位置になるようにしておいてもよい。この場
合には、流体ジャッキ7を配置する工程で、既存梁2と
仮受桁5との間に、嵩上げ材が下になるように流体ジャ
ッキ7を配置し、免震装置12を挿入可能な空間を形成
する工程で、既存梁2の下の位置9aと、この下の位置
よりもさらに下で、かつ前記仮受け桁の上の位置9bと
で柱を切断する。また、既設建物の少なくとも一つの柱
1について、同時にこれらの工程を行う。また、仮受桁
5の下または上に、複数の流体ジャッキ7を、荷重が均
等にかかるように配置する。
【0026】また、本発明は、既設建物22を基礎階ま
たは地表階において免震構造化する方法である。本発明
は、既設建物22に隣接する用地に、新たな基礎26を
築造する工程と、この新たな基礎26に免震装置12を
取り付ける工程と、既設建物22の上部構造23を支持
部材で支えながら、既設建物22を切断して、上部構造
23と下部構造24とに分割する工程と、流体キャスタ
ー30により移動して、上部構造23を免震装置12お
よび新たな基礎26の上に載置する工程と、流体キャス
ター30により上部構造23を降下させて免震装置12
と上部構造23とを接続する工程と、を備える。
【0027】また、本発明は、既設建物22に隣接する
用地に、仮設基礎25を築造する工程と、既設建物22
の上部構造23を支持部材で支えながら、既設建物22
を切断して、上部構造23と下部構造24とに分割する
工程と、流体キャスター30により移動して、上部構造
23を仮設基礎25の上に載置する工程と、既設建物2
2の下部構造24の上に免震装置12を取り付ける工程
と、仮設基礎25の上から、流体キャスター30により
上部構造23を移動して、免震装置12および下部構造
24の上に載置する工程と、流体キャスター30により
上部構造23を降下させて免震装置12と上部構造23
とを接続する工程と、を備えるようにも構成される。
【0028】また、本発明は、既設建物22の基礎の範
囲と重なるように、新たな基礎26を築造する工程と、
新たな基礎26に免震装置12を取り付ける工程と、既
設建物22の上部構造23を支持部材で支えながら、既
設建物22を切断して、上部構造23と下部構造24と
に分割する工程と、流体キャスター30により移動し
て、上部構造23を免震装置12および新たな基礎26
の上に載置する工程と、流体キャスター30により上部
構造23を降下させて免震装置12と上部構造23とを
接続する工程と、を備えるようにも構成される。
【0029】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説
明する。なお、以下に説明する部材,配置等は本発明を
限定するものでなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変
することができるものである。 (実施例1)本例は、既設建物を中間階において免震構
造化する既設建物の免震構造化方法の一実施例である。
本例では、既設建物の中間階,例えば1階,2階等で、
すべての柱1に免震装置12を挿入し、既設建物を免震
構造化する。中間階の梁2の上の1箇所で柱1を切断
し、この切断面9に、免震装置12を挿入する例であ
る。本例では、既設建物全体が、免震装置12の高さ分
嵩上げされる。また、免震装置12を挿入する階の天井
高は、免震構造化前の天井高と同じ高さとなる。以下、
本例の手順について説明する。まず、既設建物の各柱1
を補強するために、図1に示すように、柱1の周囲に、
軸力仮受鋼3を固定する。軸力仮受鋼3は、図1に示す
ように、既存梁2との間に所定間隔をおいて固定され
る。仮受桁5を、軸力仮受鋼3を介して柱1に固定す
る。この仮受桁5は、図1に示すように、下面が軸力仮
受鋼3の下面と同じ高さになるよう、既設建物の既存の
梁2との間に所定間隔をおいて、既存梁2に平行に固定
する。また、この仮受桁5は、柱1を中心とした十字に
なるように、柱1の四方に固定する。軸力仮受鋼3と既
存梁2との間には、図1に示すように軸力仮受埋め込み
プレート6を取り付ける。仮受桁5を、仮受桁補強鋼4
で軸力仮受鋼3に固定する。
【0030】既存梁2と仮受桁5との間に、エアージャ
ッキ受けプレート8と流体ジャッキとしてのエアージャ
ッキ7を配置する。なお、流体ジャッキとしては、エア
ージャッキ7の代わりに、ウォータージャッキ等,他の
流体ジャッキを用いることもできる。また、ジャッキア
ップ機能とともにスライド機能を併せ持つエアーキャス
ター,ウォーターキャスター等の流体キャスターも、流
体ジャッキとして本例で用いることができることは、当
然である。ここで、本例の流体ジャッキとしてのエアー
ジャッキ7の構成について説明する。本例のエアージャ
ッキ7は、底面四角形の袋状体からなり、図示しない配
管により、コントローラーを介してポンプに接続され
る。コントローラーを操作すると、この配管を通して、
ポンプからエアージャッキ7に空気が送り込まれ、エア
ージャッキ7が膨らみ、その空気の圧力により、エアー
ジャッキ7の上に載置されたものを持ち上げるように構
成される。このエアージャッキ7はゴム製で、例えば能
力60tのものでも、厚さ2〜3cmの薄いのものであ
り、1個当たり20kg以下と軽量で、室内作業には便
利である。
【0031】また、複数のエアージャッキ7を設置し、
各エアージャッキ内に一定の圧力を加えておけば、広範
囲の荷重を各支点でほぼ均等に支える事が可能なため、
油圧ジャッキに比べ、リフトアップ、ジャッキアップを
広い範囲,例えば建物全体で行う事が可能である。
【0032】その後、既設建物のすべての柱1及び図示
しない耐力壁の切断を、周知の方法で行う。柱1の切断
は、図1の切断面9で行い、これにより、柱1は、上部
柱1aと、下部柱1bとに分割される。すべての柱1の
切断を行った後、エアージャッキ7にて所定の高さ迄、
建物をリフトアップする。エアージャッキ7によるリフ
トアップは、1回当り10cm程度とする。10cmを
超える高さまで持ち上げる場合は、盛り替えを行いなが
ら所定の高さに建物をリフトアップする。盛り替えは、
次のように行う。即ち、エアージャッキ7で10cm程
度ジャッキアップした後、エアージャッキ7の横にエア
ージャッキ盛替用仮受材10を置いて仮受桁5を支え
る。エアージャッキ7を取り除いて、エアージャッキ7
を取り除いた位置にエアージャッキ受プレート8と、エ
アージャッキ7を重ねて置く。このジャッキアップ工程
と、エアージャッキ盛替用仮受材10で仮受桁5を支え
る工程と、エアージャッキ受プレート8を重ねる工程と
を繰り返し行うことにより、盛り替えを行う。
【0033】その後、軸力仮受継手鋼11をセットし、
エアージャッキ7のジャッキダウンを行う。このように
して、軸力仮受継手鋼11で、上部柱1aの荷重が、軸
力仮受継手鋼11で支えられ、切断面9,9の間に、空
間が設けられる。この空間に、図2に示すように、免震
装置12を下部柱1bの上にセットする。すべての柱1
について免震装置12をセットしたら、エアージャッキ
7を再加圧し、軸力仮受継手鋼11を撤去する。
【0034】ここで、本例で用いる免震装置12の構成
について図3に基づき説明する。本例の免震装置12
は、図3に示す構造からなり、リング状の免震ゴム16
と、免震ゴム16の上下に取り付けられたフランジ17
とからなる。免震ゴム16は、厚さ数ミリの内部ゴム1
8と内部鋼板19とを交互に積層し接着したものを被覆
ゴム20で一体成形してなる。
【0035】軸力仮受継手鋼11を撤去した後、エアー
ジャッキ7を減圧し、上部柱1aと免震装置12とを接
続し、周知の方法で上部柱1a,免震装置12,下部柱
1bとを固定する。その後、軸力仮受鋼3,仮受桁補強
鋼4,仮受桁5,軸力仮受埋込プレート6を撤去し、既
存梁2の上に床材を設置し、外壁を補修して、免震構造
化を完了する。
【0036】上部柱1aをエアージャッキ7を用いて持
ち上げる方法について、図1,図4,図5(A)(B)
に基づき説明する。既存梁2と仮受桁5との間に、図1
に示すように、エアージャッキ7を配置する。上部柱1
aを持ち上げる場合には、すべてのエアージャッキ7を
一斉に加圧する。
【0037】このように、各柱1に対して複数のエアー
ジャッキ7を配置することにより、スムーズに上部柱1
aを持ち上げることが可能となる。例えば、図4のよう
に、各柱について12個のエアージャッキ7を配置した
場合、エアージャッキ7の容量は、一つ当たり60tで
あるため、12個のエアージャッキ7では、720tの
荷重を支えることが可能である。通常、8階建ての建物
では、1本の柱に、650t程度の荷重が掛かるため、
8階建ての建物であれば、12個のエアージャッキ7を
各柱ごとに設置すれば、充分上部柱1aを持ち上げるこ
とが可能となる。
【0038】このとき、図5(A)に示すように、エア
ージャッキ7と既存梁2との間,エアージャッキ7と仮
受桁5との間に、エアージャッキ受けプレート8を配置
するとよい。エアージャッキ受けプレート8を、図5
(A)のように配置するのは、次の理由による。すなわ
ち、エアージャッキ7は、図5(A)のように、既存梁
2,仮受桁5の幅よりも幅広いものを用いることによ
り、よりスムーズに上部柱1aを持ち上げることが可能
である。既存梁2,仮受桁5の幅よりも幅広いエアージ
ャッキ7を用いた場合、エアージャッキ7だけを既存梁
8と仮受桁2との間に配置すると、既存梁8,仮受桁2
からはみ出たエアージャッキ7の両端部が、図5(B)
の膨らみ部27のように膨らむため、エアージャッキ7
内圧力の微調整が難しくなる。そこで、本例では、エア
ージャッキ受けプレート8を、エアージャッキ7と既存
梁2との間,エアージャッキ7と仮受桁5との間に配置
し、エアージャッキ7内圧力の微調整を容易にするよう
に構成している。
【0039】本例の方法により建物を免震構造化する
と、図15に示すように、1箇所の切断面9で柱1を分
割し、切断面9より上の上部柱をリフトアップしてその
間に免震装置12を挿入するので、免震施工後の免震階
の有効階高Hは、施工前の有効階高Hが維持される。し
たがって、図14の従来法(順次逐一免震構法)のよう
に、施工後の有効階高Hが、施工前の有効階高Hよりも
低くなることがない。
【0040】また、本例の方法では、1本の柱1につき
切断箇所は1箇所であるため、2箇所で切断していた図
14に示す従来法に比較すると、切断工程が半分とな
り、免震構造化工事にかかるコストを低減させることが
可能となる。
【0041】さらに、流体ジャッキは設置が簡単である
ため、流体ジャッキを用いれば、従来の免震工事で最も
日数を要していたプレートジャッキの養生期間(4〜5
日)をがカットすることができ、工期の短縮が可能とな
る。図14の従来法(順次逐一免震構法)では、工事期
間が長いため、既設建物の入居者は、工事中の状態に長
くさらされるが、本例の方法によれば、既設建物の入居
者は、合計2日以内の日数既設建物を空けるだけで済
み、工事中の状態は、従来工法と対比して、格段に短期
間となる。そして、複数の流体ジャッキを同時に制御し
て、建物のすべての柱について一度に免震構造化するこ
とと相俟って、免震構造化工事の大幅な短期化が可能と
なる。
【0042】(実施例2)本例は、既設建物を中間階に
おいて免震構造化する既設建物の免震構造化方法の第2
の実施例である。本例では、既設建物の中間階,例えば
1階,2階等で、すべての柱1に免震装置12を挿入
し、既設建物を免震構造化する。中間階の既存梁2の下
の2箇所で柱1を切断し、この切断面9a,9bの間
に、免震装置12を挿入する例である。本例では、建物
高さは嵩上げされず、免震構造化前の建物の高さと同じ
高さが保たれる。また、免震装置12を挿入した階の天
井高は、免震構造化前の天井高よりも低くなる。以下、
本例の手順について図6に基づき説明する。まず、既設
建物の上下方向の図示しない設備配管に、フレキシブル
ジョイントを、免震階層下で取り付ける。既設建物のす
べての柱1について、次の作業を行う。柱1に、補強材
21を、免震装置12の取付け位置の上下に固定する。
柱1の側面に、既存梁2の下に所定間隔をおいて、仮受
桁5を柱1の四方に1本ずつ固定する。柱1の補強材2
1の外側に、図7に示すように、軸力仮受鋼3を固定す
る。柱1を、免震装置12の取り付け位置の上下で周知
の方法により切断する。このとき、まず下端切断面9b
の位置で切断した後、上端切断面9aの位置で切断す
る。既存梁2と仮受桁5との間に、免震装置12の取り
付け位置に隣接して四方にエアージャッキ仮受鋼14を
設置し、このエアージャッキ仮受鋼14の免震装置12
の反対側に、エアージャッキ受けプレート8と、エアー
ジャッキ7とを複数並べて配置する。
【0043】すべての柱1についてエアージャッキ7を
配置した後、エアージャッキ7により、すべての柱につ
いて同時に2.0cm〜2.5cm程度ジャッキアップ
する。なお、本例では、請求項6の一例としてすべての
柱について同時にジャッキアップしているが、これに限
定されるものでなく、1本の柱1のみ、または複数ある
柱のうちの一部の柱1のみジャッキアップして免震構造
化工事を行うことができることは当然である。請求項3
により、既存梁2と仮受桁5との間に、不図示のキャン
バーを挿入して仮支えをした後、エアージャッキ7をジ
ャッキダウンする。なお、請求項2のようにキャンバー
で仮支えをせずに、エアージャッキ7により、既存梁2
を支えて免震装置12の取付を行ってもよい。このと
き、エアージャッキ7の下には、予め不図示の嵩上げ材
を配置しておき、エアージャッキ7の揚程範囲の調整を
行ってもよい。
【0044】柱1の四方に配置されたエアージャッキ仮
受鋼14のうち一方のエアージャッキ仮受鋼14を除去
し、その除去した方向から、免震装置12を、図6
(A)の位置に配置する。その後、除去したエアージャ
ッキ仮受鋼14を再びもとの位置に配置する。その後、
エアージャッキ7を加圧しながら、キャンバーを取り外
し、エアージャッキ7を減圧して、下部柱1a,免震装
置12,上部柱1bの連結を行う。軸力仮受鋼3,仮受
桁補強鋼4を取り外し、仮受桁5を図6(A)の図面下
方向にずらして、図6(B)の耐震補強材としての耐震
補強梁15として固定する。なお、請求項5のように、
最初から、仮受桁5を、図6(B)の耐震補強梁15の
位置に配置して既設建物の免震構造化を行ってもよい。
このようにすると、免震構造化工事の後も、仮受桁5を
ずらすことなく、そのままの位置で耐震補強材としての
耐震補強梁15として用いることができる。耐震補強梁
15等の免震階下層フロアの天井工事を行い、外壁の補
修を行って、外壁を補修して、免震構造化を完了する。
【0045】(実施例3)本例は、既設建物を基礎階ま
たは地表階において免震構造化する既設建物の免震構造
化方法の実施例である。本例は、既設建物22に隣接す
る用地に、新たな基礎26を築造して、この新たな基礎
26の上に免震装置12を設置し、既設建物22を切断
した上部構造23の上に載せるものである。本例は、学
校、病院、大規模団地等の敷地スペースに余裕がある場
合に適した方法である。また、基礎地盤が良好であり、
基礎工事にコストが余りかからない場合や、基礎杭耐力
が著しく不足しており、従来の仮受杭工法による免震化
工事が適さない場合等に適している。以下、本例の手順
について説明する。まず、既設建物22に隣接する用地
に、図8の(B)のように、新たな基礎26を築造す
る。この新たな基礎26の各柱に、免震装置12を取り
付ける。既設建物22の切断面の上下の補強を行う。例
えば、切断面の上下のそれぞれに、筋違い等をまわし、
梁の補強等を行う。基礎は、一般的に剛性が高いため、
切断する位置によって充分な剛性が得られる場合には、
補強を行わなくてもよい。既設建物22の上部構造23
を図示しない仮受梁等の支持部材で支えながら、既設建
物22を地表階としての1階で切断して、上部構造23
と下部構造24とに分割する。このとき、地表階でな
く、基礎階で既設建物22を切断してもよい。その後、
流体キャスターとしてのエアーキャスター30により上
部構造23を持ち上げると共に移動して、図8の(C)
のように、新たな基礎26の上の免震装置26上に載置
する。このとき、既設建物23の下部構造24と、新た
な基礎26との間に、図8(B)の点線で示す所定高さ
の移動路27を形成し、この移動路27に沿って上部構
造を移動させる。その後、エアーキャスター30により
上部構造23を降下させて、免震装置12と上部構造2
3とを接続し、補強材を取り除き、免震構造化を完了す
る。
【0046】なお、流体キャスターとしては、エアーキ
ャスター30の代わりに、ウォーターキャスター等,他
の流体キャスターを用いることもできる。ここで、エア
ーキャスター30の構成について図9乃至図11を参照
して説明する。エアーキャスター30は、ジャッキアッ
プとスライドを兼ねる装置であり、このエアーキャスタ
ー30にて既存建物を支えて持ち上げ、且つスライドす
ることができ、従来の工法に較べ工期の大幅な短縮,コ
ストの大幅な削減が見込める。本例のエアーキャスター
30は、図9乃至図11で示すように、複数のバッグ3
2を保持するキャリッジ31と、ドーナツ状の中空バッ
グ32と、ポンプ37から供給された流体を一度収容
し、流体を均一な圧力として各バッグ32側へ供給する
流体貯まり部から供給された流体の供給量等を制御する
制御バルブ部33と、流体貯まり部34と、配管ホース
35と、ポンプ37と、制御装置とを備えている。
【0047】本例のバッグ32は、中央下部が円盤状に
突出した突出円盤部41を備えた支持プレート板42に
取り付けられており、支持プレート板42の突出円盤部
41はバッグ32の中央空間部に位置して取り付けられ
ている。
【0048】支持プレート板42には、配管ホース35
と連結された流体取入口44が形成され、この流体取入
口44は支持プレート42の下部に形成された流体流出
口45へ連結されている。バッグ32には、流体流出口
45が近接対向して配置された流体取入口46が形成さ
れている。
【0049】上記流体キャスター30の作動原理につい
て説明すると、荷重が支持プレート板42上にある場合
には、バッグ32の中央位置に配置された支持プレート
板42の突出円盤部41で荷重を支える。流体キャスタ
ー30上の荷重を移動させるときには、流体キャスター
30に送り込まれた流体は、ドーナツ状バッグ32の内
部を満たし、平らにつぶれていたドーナツ状バッグ32
は、膨らんで丸くなる。
【0050】ドーナツ状バッグ32が丸く膨れると、流
体は隙間も満たし、ドーナツ状バッグ32の下面とスキ
ッド面との間を抜けて外部に逃げる。このとき出来る、
薄い流体の膜が流体キャスター30とスキッド面との摩
擦力を著しく小さなものとする。このように常に、わず
かの流体の流動によって、流体の膜が形成され、これに
よって流体キャスター上の荷重をわずかな力で移動する
ことが可能となる。
【0051】(実施例4)本例は、既設建物を基礎階・
地表階において免震構造化する既設建物の免震構造化方
法の実施例である。本例は、既設建物22に隣接する用
地に、仮設基礎25を築造して、この新たな基礎25の
上に、既設建物22を切断した上部構造23を一旦配置
し、既設建物22の下部構造24の上に免震装置12を
配置した後、上部構造23をもとの下部構造24の上に
戻すことにより、免震構造化するものである。本例は、
学校、病院、大規模団地等の敷地スペースに余裕がある
場合に適した方法である。また、基礎地盤が良好である
ことが本例の工事を行う条件であり、基礎工事にコスト
が余りかからない場合や、既存建物の基礎杭耐力が著し
く不足し、従来の仮受杭工法による免震化工事が適さな
い場合等に適している。以下、本例の手順について図1
2に基づき説明する。まず、既設建物22に隣接する用
地に、図12の(B)のように、仮設基礎25を築造す
る。既設建物22の切断面の上下の補強を行う。既設建
物22の上部構造23を、図示しない仮受梁等の支持部
材で支えながら、既設建物22を、地表階としての1階
で切断して、上部構造23と下部構造24とに分割す
る。このとき、地表階でなく、基礎階で既設建物22を
切断してもよい。その後、流体キャスターとしてのエア
ーキャスター30により、上部構造23を持ち上げると
共に移動して、図12の(C)のように、上部構造23
を仮設基礎25の上に載置する。このとき、既設建物2
3の下部構造24と、仮設基礎25との間に、図12
(B)の点線で示す所定高さの移動路27を形成し、こ
の移動路27に沿って上部構造を移動させる。
【0052】上部構造23が取り除かれた下部構造24
の上に、図12の(C)のように、免震装置12を取り
付ける。仮設基礎25の上から、エアーキャスター30
により、上部構造23を持ち上げると共に移動して、下
部構造24の上の免震装置12上に載置する。エアーキ
ャスター30により上部構造23を降下させて、免震装
置12と上部構造23とを接続し、補強材を取り除き、
免震構造化を完了する。なお、本例では、図12に示す
ように、地表階において既設建物22を切断するように
構成しているが、これに限定されるものでなく、基礎階
で既設建物22を切断してもよい。
【0053】(実施例5)本例は、既設建物を基礎階・
地表階において免震構造化する既設建物の免震構造化方
法の実施例である。本例は、既設建物22の基礎部に重
なる範囲の中で新たな基礎26を作り、その上に免震装
置12を取り付け、既存建物22を若干スライドさせて
新たな免震基礎26に移し替えることにより、免震構造
化するものである。本例は、隣接建物との間に、免震構
造化の工事のために必要な間隔がないが、隣接建物の反
対側の敷地に多少余裕がある場合に適した方法である。
また、基礎地盤が良好であり、基礎工事にコストが余り
かからない場合や、基礎杭耐力が著しく不足しており、
従来の仮受杭工法による免震化工事が適さない場合等に
適している。
【0054】以下、本例の手順について図13に基づき
説明する。まず、既設建物22の基礎24の範囲と重な
るように、新たな基礎26を築造する。新たな基礎26
は、通常、もとの既設建物の基礎24から1m以内の位
置に築造する。新たな基礎26の柱はもとの既設建物2
2の基礎24の柱よりも断面を大きくする。新たな基礎
26に免震装置12を取り付ける。既設建物22の切断
面の上下の補強を行う。既設建物22の上部構造23
を、図示しない支持部材で支えながら、既設建物22を
地表階としての1階で切断して、上部構造23と下部構
造24とに分割する。このとき、本例では地表階でな
く、基礎階で既設建物22を切断してもよい。その後、
流体キャスターとしてのエアーキャスター30により、
上部構造23を持ち上げると共に移動して、図13の
(C)のように、上部構造23を新たな基礎26上の免
震装置12上に載置する。その後、エアーキャスター3
0により、上部構造23を降下させて、免震装置12と
上部構造23とを接続し、補強材を取り除き、免震構造
化を完了する。
【0055】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、既設建物
を免震構造化するために流体ジャッキまたは流体キャス
ターを用いているため、複数箇所に設置した流体ジャッ
キまたは流体キャスターを一斉に制御することが容易で
あり、既設建物の複数の柱のすべてについて一度に免震
構造化することが可能となる。また、軽量で取り扱いが
容易な流体ジャッキまたは流体キャスターを用いている
ため、免震構造化工事の作業効率を大幅に向上すること
が可能となる。また、流体ジャッキまたは流体キャスタ
ーは、設置を短期間で容易に行うことができるため、免
震構造化工事の工期を大幅に短縮でき、コストダウンが
可能となる。
【0056】また、請求項1に係る発明によれば、柱を
切断して、上部柱と下部柱とに分割する工程と、前記流
体ジャッキで前記仮受桁を持ち上げることにより、前記
上部柱と前記下部柱との間に空間を設ける工程と、前記
空間に、免震装置を挿入する工程とを備えているため、
免震階の天井高の高さの調整が可能となる。また、請求
項7乃至10に係る発明によれば、流体キャスターで既
設建物を移動するように構成しているため、既設建物を
移動したい何らかの事情がある場合に、移動装置を別途
設けることなく、既設建物の移動と免震構造化を一度に
行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の免震装置取り付け位置の周
辺を示す説明図である。
【図2】本発明の一実施例の免震装置取り付け位置の周
辺を示す説明図である。
【図3】本発明の一実施例で用いる免震装置の構造を示
す説明図である。
【図4】請求項1,2に係る発明の実施例における流体
ジャッキとしてのエアージャッキの配置説明図である。
【図5】(A)は、図4のY−Y線断面図であり、
(B)は、エアージャッキ受けプレート8を配置しない
場合の図4のY−Y線断面図である。
【図6】本発明の他の実施例の免震装置取り付け位置の
周辺を示す説明図であって、(A)は、ジャッキアップ
時,(B)は、耐震補強時における説明図である。
【図7】図6(A)を図面右側まで描いたと仮定した場
合のX−X線における断面図である。
【図8】請求項7に係る発明の実施例を示す概略説明図
である。
【図9】流体キャスターとしてのエアーキャスターの一
部切欠した説明図である。
【図10】流体キャスターとしてのエアーキャスターの
動作説明図である。
【図11】流体キャスターとしてのエアーキャスターの
制御系の概略構成図である。
【図12】請求項8に係る発明の実施例を示す概略説明
図である。
【図13】請求項9に係る発明の実施例を示す概略説明
図である。
【図14】従来の順次逐一免震構法により免震構造化工
事を行った場合の施工前と施工後の断面説明図である。
【図15】請求項1に係る発明の一実施例により免震構
造化工事を行った場合の施工前と施工後の断面説明図で
ある。
【符号の説明】
1 柱 1a 上部柱 1b 下部柱 2 既存梁 3 軸力仮受鋼 4 仮受桁補強鋼 5 仮受桁 6 軸力仮受埋込プレート6 7 エアージャッキ 8 エアージャッキ受けプレート 9 切断面 10 エアージャッキ盛替用仮受材 11 軸力仮受継手鋼 12 免震装置 14 エアージャッキ仮受鋼 15 耐震補強梁 16 免震ゴム 17 フランジ 18 内部ゴム 19 内部鋼板 20 被覆ゴム 21 補強材 22 既設建物 23 上部構造 24 下部構造 25 仮設基礎 26 新たな基礎 27 膨らみ部 30 エアーキャスター 31 キャリッジ 32 ドーナツ状の中空バッグ 33 制御バルブ部 34 流体貯まり部 35 配管ホース 37 ポンプ 41 突出円盤部 42 支持プレート板 44 流体取入口 45 流体流出口 46 流体取入口 51 一次圧力計 52 流量コントロール弁(例えば電磁弁等) 53 制御バルブ 54 二次圧力計 61 上階床面 62 免震階床面 63 補強梁 64 新設床面 65 柱嵩上げ鋼材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 正博 神奈川県平塚市見附町11番3号 (72)発明者 志方 洋介 東京都三鷹市牟礼2丁目5番地17号 Fターム(参考) 2E176 AA01 AA07 BB27

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 既設建物を中間階において免震構造化す
    る方法であって、前記既設建物のすべての柱の側面に、
    既存梁の上に所定間隔をおいて、仮受桁を固定する工程
    と、前記既存梁と前記仮受桁との間に流体ジャッキを配
    置する工程と、前記仮受桁の下面の位置で前記すべての
    柱を切断して、それぞれ上部柱と下部柱とに分割する工
    程と、前記流体ジャッキで前記仮受桁を持ち上げること
    により、前記上部柱と前記下部柱との間に空間を設ける
    工程と、前記空間に、免震装置を挿入する工程と、前記
    流体ジャッキで前記仮受桁を降下させて、前記上部柱と
    前記下部柱とを接続する工程と、を備えることを特徴と
    する既設建物の免震構造化方法。
  2. 【請求項2】 既設建物を中間階において免震構造化す
    る方法であって、前記既設建物の柱の側面に、既存梁の
    下に所定間隔をおいて仮受桁を固定する工程と、前記柱
    に、該柱の荷重を支えるための補強材を固設する工程
    と、前記既存梁と前記仮受桁との間に流体ジャッキを配
    置する工程と、前記既存梁の下の位置と、該下の位置よ
    りもさらに下の位置とで柱を切断して、上部柱と下部柱
    とに分割し、該上部柱と下部柱との間に免震装置を挿入
    可能な空間を形成する工程と、前記流体ジャッキを加圧
    させて、前記上部柱を持ち上げる工程と、前記空間に免
    震装置を挿入する工程と、前記流体ジャッキを常圧に戻
    して前記上部柱を降下させ、前記下部柱と前記免震装置
    と前記上部柱との連結を行う連結工程と、を備えること
    を特徴とする既設建物の免震構造化方法。
  3. 【請求項3】 既設建物を中間階において免震構造化す
    る方法であって、前記既設建物の柱の側面に、既存梁の
    下に所定間隔をおいて仮受桁を固定する工程と、前記柱
    に、該柱の荷重を支えるための補強材を固設する工程
    と、前記既存梁と前記仮受桁との間に流体ジャッキを配
    置する工程と、前記既存梁の下の位置と、該下の位置よ
    りもさらに下の位置とで柱を切断して、上部柱と下部柱
    とに分割し、該上部柱と下部柱との間に免震装置を挿入
    可能な空間を形成する工程と、前記流体ジャッキを加圧
    させて、前記上部柱を持ち上げた後、前記上部柱を仮支
    えするキャンバーを挿入して、前記流体ジャッキを常圧
    に戻す工程と、前記空間に免震装置を挿入する工程と、
    前記流体ジャッキを加圧させて、前記上部柱を持ち上
    げ、前記キャンバーを取り除いた後、前記流体ジャッキ
    を常圧に戻して前記上部柱を降下させ、前記下部柱と前
    記免震装置と前記上部柱との連結を行う連結工程と、を
    備えることを特徴とする既設建物の免震構造化方法。
  4. 【請求項4】 前記連結工程の後で、前記仮受桁を、該
    仮受桁の上面が前記免震装置の下面よりも下の位置にな
    るように配置し、耐震補強材として流用する工程を行う
    ことを特徴とする請求項2または3記載の既設建物の免
    震構造化方法。
  5. 【請求項5】 前記流体ジャッキを配置する工程では、
    前記既存梁と前記仮受桁との間に、嵩上げ材が下になる
    ように流体ジャッキを配置し、前記免震装置を挿入可能
    な空間を形成する工程では、前記既存梁の下の位置と、
    該下の位置よりもさらに下で、かつ前記仮受け桁の上の
    位置とで柱を切断することを特徴とする請求項2または
    3記載の既設建物の免震構造化方法。
  6. 【請求項6】 前記既設建物の少なくとも一つの柱につ
    いて、同時に前記工程を行うことを特徴とする請求項2
    または3記載の既設建物の免震構造化方法。
  7. 【請求項7】 既設建物を基礎階において免震構造化す
    る方法であって、前記既設建物に隣接する用地に、新た
    な基礎を築造する工程と、前記新たな基礎に免震装置を
    取り付ける工程と、前記既設建物の上部構造を支持部材
    で支えながら、前記既設建物を切断して、前記上部構造
    と下部構造とに分割する工程と、流体キャスターにより
    移動して、前記上部構造を前記免震装置および前記新た
    な基礎の上に載置する工程と、前記流体キャスターによ
    り前記上部構造を降下させて前記免震装置と前記上部構
    造とを接続する工程と、を備えることを特徴とする既設
    建物の免震構造化方法。
  8. 【請求項8】 既設建物を基礎階において免震構造化す
    る方法であって、前記既設建物に隣接する用地に、仮設
    基礎を築造する工程と、前記既設建物の上部構造を支持
    部材で支えながら、前記既設建物を切断して、前記上部
    構造と下部構造とに分割する工程と、流体キャスターに
    より移動して、前記上部構造を前記仮設基礎の上に載置
    する工程と、前記既設建物の前記下部構造の上に免震装
    置を取り付ける工程と、前記仮設基礎の上から、流体キ
    ャスターにより前記上部構造を移動して、前記免震装置
    および前記下部構造の上に載置する工程と、前記流体キ
    ャスターにより前記上部構造を降下させて前記免震装置
    と前記上部構造とを接続する工程と、を備えることを特
    徴とする既設建物の免震構造化方法。
  9. 【請求項9】 既設建物を基礎階において免震構造化す
    る方法であって、前記既設建物の基礎の範囲と重なるよ
    うに、新たな基礎を築造する工程と、前記新たな基礎に
    免震装置を取り付ける工程と、前記既設建物の上部構造
    を支持部材で支えながら、前記既設建物を切断して、前
    記上部構造と下部構造とに分割する工程と、流体キャス
    ターにより移動して、前記上部構造を前記免震装置およ
    び前記新たな基礎の上に載置する工程と、前記流体キャ
    スターにより前記上部構造を降下させて前記免震装置と
    前記上部構造とを接続する工程と、を備えることを特徴
    とする既設建物の免震構造化方法。
  10. 【請求項10】 前記基礎階の代わりに地表階において
    免震構造化することを特徴とする請求項7乃至9いずれ
    か記載の既設建物の免震構造化方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006283455A (ja) * 2005-04-01 2006-10-19 Taisei Corp 建物の耐震補強方法
JP2010037901A (ja) * 2008-08-08 2010-02-18 Takenaka Komuten Co Ltd 既存建物の保存・建て替え方法
CN110630029A (zh) * 2019-09-17 2019-12-31 山东建筑大学 一种墙体开洞托换装置和使用方法

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