JP2001215516A - 表示素子、表示装置、表示素子の駆動方法、および表示素子の製造方法 - Google Patents

表示素子、表示装置、表示素子の駆動方法、および表示素子の製造方法

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JP2001215516A
JP2001215516A JP2000023666A JP2000023666A JP2001215516A JP 2001215516 A JP2001215516 A JP 2001215516A JP 2000023666 A JP2000023666 A JP 2000023666A JP 2000023666 A JP2000023666 A JP 2000023666A JP 2001215516 A JP2001215516 A JP 2001215516A
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Yukio Tanaka
幸生 田中
Kazuhiro Nishiyama
和廣 西山
Kazunori Komori
一徳 小森
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Panasonic Holdings Corp
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表示素子において、高透過率、高コントラス
ト、および良好な視野角特性を得る。 【解決手段】 電極を形成した2つの基板の間に液晶を
封入した表示素子において、液晶の誘電異方性を負と
し、かつ液晶にカイラル性をもたせて垂直配向させる。
電界印加時には上下基板面で液晶の方位が異なる捻れ配
向になる。この構成において、基板上に突起を設けて界
面での液晶の配向方位を2つ以上の異なる方向に規定す
る。上下界面間の捻れ角が90°である場合、セル厚dが
特定の関係を満たしたときに、直交配置の偏光板を通し
たときの透過率は、基板界面での液晶の配向方位によら
ず常に1(最大値)となる。よって、基板界面での液晶
の配向方位を領域分割して規定しても、透過率は最大の
値が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶ディスプレイ
やプロジェクタなどの表示素子とその製造方法、駆動方
法、およびそれを用いた表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、直視型の液晶モニタやプロジェク
タ用の液晶素子などをはじめとして、液晶を用いた表示
素子が広く用いられている。
【0003】液晶にはいろいろな種類やモードがある
が、古くからよく用いられているのはTN(ツイステッド
ネマティック)モードである。これは、誘電異方性Δε
(=[分子長軸方向の誘電率]−[分子短軸方向の誘電
率])が正のネマティック液晶を用い、対向する2つの
基板の間で配向処理の方向に角度差(一般に90゜)をも
たせて液晶が螺旋状に捻れて配向するようにしたもので
ある。電界を印加しない状態では螺旋状態のままである
が、電界を印加すると、Δε>0であることに起因して
液晶分子が基板法線方向を向く。これによって入射光の
偏光状態を変調できるので、2枚の偏光板(図示せず)
で挟めば明暗の画像パターンとして表示することができ
る。TNモードの具体的な構成は、例えば、福田敦夫、竹
添秀男 共著、「強誘電性液晶液晶の構造と物性」(コ
ロナ社、1990年発行)の6頁、図1.2に描かれている。
【0004】なお、言葉の定義であるが、「配向方向」
とは、液晶分子の長軸の方向(ディスコティック液晶な
どのように円盤形状の液晶の場合は短軸方向。一般には
光軸の方向)のことをいう。ダイレクタとも呼ばれるこ
とがある。また、液晶の長軸(ディスコティック液晶の
場合は、短軸)が特定の方向に向くことを「配向する」
という。
【0005】TNモードに対して、VA(垂直配向)モード
と呼ばれるものもある。VAモードでの液晶分子の配向の
例を図29に示す。これはTNモードとは逆に、誘電異方性
Δεが負のネマティック液晶101を用いたモードであ
り、電界無印加時に液晶101が基板102、103の面に垂直
な方向に対してごくわずかに(一般に、0.01゜〜20゜程
度)傾いた状態で配向するように処理をしたものである
(図29(a))。電圧を印加したときには、Δε<0である
ため、液晶101の分子に基板102、103に平行になろうと
する力が働き、図29(b)のように倒れる。一般に、倒れ
る方位角(方位角とは、3次元空間でのある方向に対し
て、その方向を示す方向ベクトルを基準面に射影したと
きの方向を、基準面内のある基準方向に対する角度とし
てはかった値のことをいう。特に断りのないかぎり、基
準面としては基板面をとる)は、電界を印加しないとき
にわずかに傾いていた方向の方位角と一致する。VAモー
ドの場合も2枚の偏光板(図示せず)で挟めば、透過光
の明暗(すなわち透過率)を変調することができる。
【0006】TNモード、VAモードいずれの場合において
も2枚の偏光板は透過軸方向が互いに垂直になるように
配置される(クロスニコル配置と呼ばれる)。この配置
のもとでは、液晶が基板に垂直に配向した場合に、出力
側偏光板を通過した後の光(基板界面に垂直入射した光
を考える)の透過率がほぼ0の黒状態となる。すなわ
ち、TNモードの場合は十分な電圧を印加した状態が黒、
電圧を印加しない場合が白のいわゆるノーマリホワイト
モードとなり、VAモードの場合は逆に、電圧を印加しな
い状態が黒のノーマリブラックモードとなる。TNモード
の場合、十分に大きい電界を印加して液晶を垂直に配向
させても、基板界面付近の液晶は完全に垂直にならず、
黒状態での透過率が十分に小さくならないので、高コン
トラストが得られない。それに対して、VAモードの場合
は、電圧無印加状態で両界面間のほぼすべての液晶分子
が垂直に配向しているので黒状態の透過率が非常に小さ
く、高いコントラストが得られるという特徴がある。
【0007】VA液晶には以上のような長所がある一方
で、視野角特性があまり良くないという問題がある。こ
れを図30を用いて説明する。いま、VA液晶で電界を印加
しないとき(黒表示)、および電界を印加したとき(白
表示)の液晶101の配向状態はそれぞれ図30(a)および
(b)のように表される。ここで、液晶中を光が伝搬する
ときに、液晶分子の長軸方向に偏波した光(すなわち、
液晶分子の長軸方向の電界ベクトルをもつ光)の感受す
る屈折率をne、長軸に対して垂直な方向に偏波した光の
感受する屈折率をnoとする(一般に、no≠ne)。(a)の
状態において、のように基板102、103に垂直に入射す
る光の場合、紙面に垂直方向に偏波した成分も紙面内で
偏波する成分もほぼnoという屈折率を感受するので、等
方性の媒質を通過する場合と同じく偏波状態の変調は生
じず、透過率がほぼ0の黒表示が得られる。しかし、
やのように基板102、103に対して斜めに入射する光の
場合は両偏光成分で感受する屈折率がわずかに異なり
(紙面に垂直な偏波成分に対してはnoであるが、紙面内
で偏波する成分に対してはnoよりもややne寄りの値にな
る)、複屈折効果で偏波方向がわずかに変調されて透過
率が0でなくなり、黒レベルが若干浮くことになる。一
方の(b)の状態では、垂直入射光に対しては所望の複
屈折効果が発生して白表示となるが、斜め入射光に対
しては、光の伝搬方向と液晶分子の方向がほぼ一致して
しまい、光の両偏波成分に対する屈折率がいずれもno
なって偏波方向の変調が生じず透過率がほぼ0になって
しまう。このように、の光に対しては黒表示のときに
黒が浮き、白表示のときに透過率が0近くになるので、
の光を観測するような角度から表示素子を見た場合に
は階調反転が生じることになる。これにより、画質の劣
化なしで画像を観測できる視野角領域が制限されること
になる。
【0008】ところで、以上のうち斜めから見たときの
黒表示の浮きの方は、例えば負の接線方向リターデーシ
ョンをもつフィルム等を表示素子に貼り付けることによ
り抑制することができる(例えば、C.Heinmuller他、"D
esigns of In-Plane-Compensation Foils for Viewing-
Angle Enhancement" (SID99 Digest,p90-93(1999))など
に表記されている構成)。
【0009】一方、白表示の透過率低下に対しては、配
向分割法などにより改良を行っている。これは例えば、
A.Takeda他、"A Super-High-Image-Quality Multi-Doma
in Vertical Alignment LCD by New Rubbing-Less Tech
nology"(SID98 Digest,p1077-1080(1998))などで述べら
れている方法である。図31(a)、(b)および(c)に示すよ
うに、液晶セルの1つの表示単位(画素105)内で、透明
電極106aおよび106bを形成した第1の基板102および第2
の基板103それぞれに屋根型の誘電体(絶縁体)の突起1
04a、104bを形成した構成になっている。透明電極106
a、106b間に電界を印加しない状態では図31(c)のように
液晶は基板面に垂直に配向しているが、突起104a、104b
の上では突起の側面に垂直になるように、すなわち基板
に対してはやや傾いた状態で配向している。そして、電
界を印加した状態では図31(b)のように、電界無印加時
の傾きの方位角、すなわち突起側面の法線の方位角に液
晶101が倒れる。従って、突起104a、104bが図(a)のよう
に"く"の字型になっている場合、液晶101は4つの方位角
(図(a)の平面図上で、右上、左上、左下、および右下
の各方位角。それぞれ、液晶101a、液晶101b、液晶101
c、および液晶101dに対応)にほぼ均等な面積的割合で
倒れることになる。特に、上下に置く偏光板を図31(a)
に示したように透過軸が画素の辺に平行になるようなク
ロスニコル配置とし、突起稜線の方位角を画素の辺に対
して45°に設定すると、上記の4つの方位角は回転対称
となる。
【0010】ここで、例えば図31(a)の右上の方から液
晶セルをみる場合、紙面後方の左下方からパネルを通過
して紙面前方の右上方に抜ける光を観測することになる
わけであるが、そのときに液晶101aに対しては、液晶の
長軸方向と光の伝搬方向の関係は図30(b)のの場合と
同様となり透過率が非常に小さくなる。しかし、液晶10
1cに対しては図30(b)ののようになり、特に透過率の
低下は起こらない。液晶101bおよび液晶101dに対しては
図30(b)に示された光線では表されないが(紙面を突っ
切る光線となる)、液晶101aと液晶101cの中間的な透過
率と考えればよい。このように、4つの方位角のうちた
とえ1つに対して極端に透過率が落ちても、4つの透過率
を平均化すればそれほど極端に透過率が低下するわけで
はなく、コントラストの劇的な低下や階調反転などはお
こりにくくなる。すなわち、広い視野角が得られること
になる。また、4つの方位角は回転対称であることか
ら、視野角特性も左右上下について対照な特性が得られ
るという利点もある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところで、セルを正面
から見た場合の明るさ、すなわち基板に垂直入射する光
に対する透過率は、液晶分子の方位角と偏光板透過軸の
方位角のなす角(どちらの偏光板を基準にしても良い)
をφとしたとき、sin22φに比例する。従って、液晶の
倒れる方位角を画素の辺に対して45°(あるいは135
°、225°、315°)とした場合に最大の透過率となる。
そういう意味では、図31(a)の4つの方位角に対してはい
ずれも透過率が最大になる条件であり、正面から見たと
きにはそれなりに高い透過率が得られることになる。
【0012】しかし、例えば"く"の字の折れ曲がり付
近、すなわち図32のA1あるいはA2で示した部分は、液晶
101の方位角の異なる領域が隣接し、これらが互いに弾
性的な応力を及ぼしあう。そして、方位角が不連続にな
らないような、位置とともになめらかに変化するような
配向になる。例えばA1の部分でいえば、矢印Cに沿って
みた場合に、方位角が45°の領域から315°(すなわ
ち、-45°)の領域にかけて、連続的につながる。そう
すると、矢印Cに沿ったときの透過率の変化は、sin2
においてφ=45°からφ=-45°へとたどるときの変化
に相当する。φ=±45°においてはsin22φ=1である
が、途中のφ=0°のときにsin22φ=0となるので、透過
率の変化は1→0→1となり、途中に暗い部分が生じるこ
とになる。
【0013】また、ちょうど突起にあたる部分もやはり
異なる方位角の領域が隣接することになる。例えば、B
で示した突起の部分は、方位角-45°の領域と方位角135
°の領域が接している。ここでもやはり拡大図で示した
ように方位角が連続的に変化するので、φ=-45°→135
°へと移行するとき、φ=0°とφ=90°において透過
率が0となり、透過率が低下する。
【0014】本発明は、以上のような、VA液晶の方位角
の境界で生じる透過率の低下により画像が暗くなるとい
う問題を解決するもである。
【0015】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の表示素
子は、互いに対向する第1の基板および第2の基板と、前
記第1の基板と前記第2の基板の間に封入された液晶と、
前記第1の基板および第2の基板の前記液晶と対向する側
の面に設けられている、前記液晶に電界を印加するため
の電極と、を備えた表示素子において、前記液晶の誘電
異方性は負であり、前記液晶はカイラル性を示し、前記
液晶の分子は、前記電界を印加しないときには、前記液
晶の、前記第1の基板側の界面(第1界面と呼ぶ)、およ
び前記液晶の、前記第2の基板側の界面(第2界面と呼
ぶ)に対して概略垂直に配向する表示素子であり、前記
液晶に前記電界を印加したときの、前記第1界面あるい
は前記第2界面上での前記液晶分子の方位角を少なくと
も2つ以上の異なる値に規定する手段を備えた、表示素
子である。
【0016】また、請求項2に記載の表示素子は、請求
項1に記載の表示素子において、液晶は、負の誘電異方
性を示すネマティック液晶にカイラル物質を添加したも
のであることを特徴とする、表示素子である。
【0017】また、請求項3に記載の表示素子は、互い
に対向する第1の基板および第2の基板と、前記第1の基
板と前記第2の基板の間に封入された液晶と、前記第1の
基板および第2の基板の前記液晶と対向する側の面に設
けられている、前記液晶に電界を印加するための電極
と、を備えた表示素子において、前記液晶の誘電異方性
は負であり、前記液晶の分子は、前記電界を印加しない
ときには、前記液晶の、前記第1の基板側の界面(第1界
面と呼ぶ)、および前記液晶の、前記第2の基板側の界
面(第2界面と呼ぶ)に対して概略垂直に配向する表示
素子であり、前記液晶の分子は、前記電界を印加したと
きには、前記第1界面上での前記液晶の分子の方位角
と、前記第2界面上での前記液晶の分子の方位角との差
の絶対値が0でない概略一定値である表示素子であり、
前記液晶に前記電界を印加したときの、前記第1界面あ
るいは前記第2界面上での前記液晶分子の方位角を少な
くとも2つ以上の異なる値に規定する手段を備えた、表
示素子である。
【0018】また、請求項4に記載の表示素子は、請求
項3に記載の表示素子において、電界を印加したとき
の、第1界面上での液晶の分子の方位角と、第2界面上で
の前記液晶の分子の方位角との差が0でない概略一定値
であることを特徴とする、表示素子である。
【0019】また、請求項5に記載の表示素子は、第1
または請求項3に記載の表示素子において、液晶に電界
を印加したときの、第1界面あるいは第2界面上での前記
液晶の分子の方位角を、連続的に全方位にわたって規定
する手段を備えた、表示素子である。
【0020】また、請求項6に記載の表示素子は、請求
項1または3に記載の表示素子において、第1の基板ある
いは第2の基板の、液晶のある側の面には配向膜が形成
されていて、前記配向膜と前記液晶とが接していて、前
記配向膜と前記液晶とが接する面が第1界面あるいは第2
界面となり、前記配向膜は電界を印加しないときに前記
液晶の分子を第1界面あるいは第2界面に対して概略垂直
に配向させるものであることを特徴とする、表示素子で
ある。
【0021】また、請求項7に記載の表示素子は、請求
項1または3に記載の表示素子において、第1の基板ある
いは第2の基板の、液晶のある側の面には配向膜が形成
されていて、前記配向膜と前記液晶とが接していて、前
記配向膜と前記液晶とが接する面が第1界面あるいは第2
界面となり、前記液晶に電界を印加したときの、前記第
1界面あるいは前記第2界面上での前記液晶の分子の方位
角を少なくとも2つ以上の異なる値に規定する手段は、
前記液晶の分子に前記第1界面あるいは前記第2界面の法
線方向から僅かに傾いたプレチルトを与える配向膜であ
り、かつそのときの前記プレチルトの方位角が少なくと
も2つ以上の異なる値を有した配向膜であることを特徴
とする、表示素子である。
【0022】また、請求項8に記載の表示素子は、請求
項7に記載の表示素子において、配向膜は、光を照射す
ることにより、液晶に与えるプレチルトの方位角を少な
くとも2つ以上の異なる値に規定するものであることを
特徴とする、表示素子である。
【0023】また、請求項9に記載の表示素子は、請求
項7に記載の表示素子において、配向膜は、SiO斜方蒸
着膜であり、蒸着時の斜方方位角度により、液晶に与え
るプレチルトの方位角を少なくとも2つ以上の異なる値
に規定するものであることを特徴とする、表示素子であ
る。
【0024】また、請求項10に記載の表示素子は、請
求項1または3に記載の表示素子において、液晶に電界
を印加したときの、第1界面あるいは第2界面上での前記
液晶の分子の方位角を少なくとも2つ以上の異なる値に
規定する手段は、第1の基板あるいは第2の基板の、前記
液晶のある側の面に設けられた誘電体突起物であること
を特徴とする、表示素子である。
【0025】また、請求項11に記載の表示素子は、請
求項10に記載の表示素子において、誘電体突起物は錐
形状であり、その側面が液晶に対向していることを特徴
とする、表示素子である。
【0026】また、請求項12に記載の表示素子は、請
求項11に記載の表示素子において、誘電体突起物は、
多角錐あるいは楕円錐形状であることを特徴とする、表
示素子である。
【0027】また、請求項13に記載の表示素子は、請
求項12に記載の表示素子において、誘電体突起物は、
正3角錐、正4角錐、正6角錐、正8角錐、あるい円錐形状
であることを特徴とする、表示素子である。
【0028】また、請求項14に記載の表示素子は、請
求項10に記載の表示素子において、誘電体突起物は、
稜線を境界として接する2つの側面から構成された屋根
形状であり、前記2つの側面が液晶に対向いていること
を特徴とする、表示素子である。
【0029】また、請求項15に記載の表示素子は、請
求項14に記載の表示素子において、稜線は折れ線ある
いは曲線であることを特徴とする、表示素子である。
【0030】また、請求項16に記載の表示素子は、請
求項15に記載の表示素子において、稜線は閉曲線を形
成することを特徴とする、表示素子である。
【0031】また、請求項17に記載の表示素子は、請
求項16に記載の表示素子において、閉曲線は円または
正多角形であることを特徴とする、表示素子である。
【0032】また、請求項18に記載の表示素子は、請
求項10に記載の表示素子において、誘電体突起物は、
円錐台もしくは角錐台形状であることを特徴とする、表
示素子である。
【0033】また、請求項19に記載の表示素子は、請
求項1または3に記載の表示素子において、液晶に電界
を印加したときの、第1界面あるいは第2界面上での前記
液晶の分子の方位角を少なくとも2つ以上の異なる値に
規定する手段は、前記第1界面あるいは前記第2界面に対
して平行な電界成分(横方向電界成分と呼ぶ)を発生さ
せ、かつそのときの前記横方向電界成分の方位角を2つ
以上の異なる値に規定する手段であることを特徴とす
る、表示素子である。
【0034】また、請求項20に記載の表示素子は、請
求項19に記載の表示素子において、横方向電界成分の
方位角を2つ以上の異なる値に規定する手段は、電極に
形成された穴、孔あるいは切れ目であることを特徴とす
る、表示素子である。
【0035】また、請求項21に記載の表示素子は、請
求項20に記載の表示素子において、穴、孔、あるいは
切れ目には誘電体が埋め込まれていて、液晶に対向する
面は概略平坦であることを特徴とする、表示素子であ
る。
【0036】また、請求項22に記載の表示素子は、請
求項20に記載の表示素子において、横方向電界成分の
方位角を2つ以上の異なる値に規定する手段は、電極に
形成された穴、あるいは切れ目であり、前記穴、あるい
は前記切れ目の下部には別の電極が形成されていること
を特徴とする、表示素子である。
【0037】また、請求項23に記載の表示素子は、請
求項1または3に記載の表示素子において、液晶に電界
を印加したときの、第1界面あるいは第2界面上での前記
液晶の分子の方位角を少なくとも2つ以上の異なる値に
規定する手段は、前記第1界面および第2界面の両方に備
えられていて、前記第1界面と前記第2界面で規定される
前記方位角は互いに異なることを特徴とする、表示素子
である。
【0038】また、請求項24に記載の表示素子は、請
求項23に記載の表示素子において、液晶は、負の誘電
異方性を示すネマティック液晶であることを特徴とす
る、表示素子である。
【0039】また、請求項25に記載の表示素子は、請
求項23に記載の表示素子において、液晶は、負の誘電
異方性を示すネマティック液晶にカイラル物質を添加し
たものであることを特徴とする、表示素子である。
【0040】また、請求項26に記載の表示素子は、請
求項25に記載の表示素子において、添加するカイラル
物質の量は、液層の層厚の4倍のカイラルピッチを生じ
させるのに必要な量よりも少ないことを特徴とする、表
示素子である。
【0041】また、請求項27に記載の表示素子は、請
求項1に記載の表示素子において、液晶の層厚は、カイ
ラルピッチの概略1/4または3/4であることを特徴とす
る、表示素子である。
【0042】また、請求項28に記載の表示素子は、請
求項3に記載の表示素子において、第1界面上での液晶
の分子の方位角と、第2界面上での前記液晶の分子の方
位角との差の絶対値は概略π/2または3π/2であること
を特徴とする、表示素子である。
【0043】また、請求項29に記載の表示素子は、請
求項27または28に記載の表示素子において、第1界面
上での液晶の分子の方位角と第2界面上での液晶の分子
の方位角との差をΦ、液晶の複屈折をΔn、層厚をd、用
いる光の中心波長をλとして、(数1)によりuを定義す
るとき、(数2)の関係を満たすことを特徴とする、表
示素子である。
【0044】また、請求項30に記載の表示素子は、請
求項29に記載の表示素子において、表示素子の異なる
領域毎に中心波長の異なる2種類以上の光を用いる前記
表示素子であって、各々の前記領域毎に(数1)を定義
したときに、各々の前記領域毎に(数2)の関係を満た
すことを特徴とする、表示素子である。
【0045】また、請求項31に記載の表示素子は、請
求項30に記載の表示素子において、各々の領域毎に液
晶の層厚が異なることを特徴とする、表示素子である。
【0046】また、請求項32に記載の表示素子は、請
求項1または3に記載の表示素子において、第1の基板あ
るいは第2の基板の、液晶と対向しない側の面には、位
相差補償媒質が設けられていることを特徴とする、表示
素子である。
【0047】また、請求項33に記載の表示素子は、請
求項32に記載の表示素子において、液晶の複屈折をΔ
n、層厚をdとするとき、位相差補償媒質の接線方向リタ
ーデーションの和の絶対値はΔndに概略等しいことを特
徴とする、表示素子である。
【0048】また、請求項34に記載の表示装置は、互
いに対向する第1の基板および第2の基板と、前記第1の
基板と前記第2の基板の間に封入された液晶と、前記第1
の基板および第2の基板の前記液晶と対向する側の面に
設けられている、前記液晶に電界を印加するための電極
と、を備えた表示素子を用いた表示装置において、前記
液晶の誘電異方性は負であり、前記液晶はカイラル性を
示し、前記液晶の分子は、前記電界を印加しないときに
は、前記液晶の、前記第1の基板側の界面(第1界面と呼
ぶ)、および前記液晶の、前記第2の基板側の界面(第2
界面と呼ぶ)に対して概略垂直に配向する前記表示素子
であり、前記液晶に前記電界を印加したときの、前記第
1界面あるいは前記第2界面上での前記液晶分子の方位角
を少なくとも2つ以上の異なる値に規定する手段を備え
た、前記表示素子と、互いに消光方位に設置されていて
前記表示素子を挟み込む2枚の偏光板と、前記表示素子
に光を照射する光源とを備えた、表示装置である。
【0049】また、請求項35に記載の表示装置は、互
いに対向する第1の基板および第2の基板と、前記第1の
基板と前記第2の基板の間に封入された液晶と、前記第1
の基板および第2の基板の前記液晶と対向する側の面に
設けられている、前記液晶に電界を印加するための電極
と、を備えた表示素子を用いた表示装置において、前記
液晶の誘電異方性は負であり、前記液晶の分子は、前記
電界を印加しないときには、前記液晶の、前記第1の基
板側の界面(第1界面と呼ぶ)、および前記液晶の、前
記第2の基板側の界面(第2界面と呼ぶ)に対して概略垂
直に配向する前記表示素子であり、前記液晶の分子は、
前記電界を印加したときには、前記第1界面上での前記
液晶の分子の方位角と、前記第2界面上での前記液晶の
分子の方位角との差が0でない概略一定値である表示素
子であり、前記液晶に前記電界を印加したときの、前記
第1界面あるいは前記第2界面上での前記液晶分子の方位
角を少なくとも2つ以上の異なる値に規定する手段を備
えた、前記表示素子と、互いに消光方位に設置されてい
て前記表示素子を挟み込む2枚の偏光板と、前記表示素
子に光を照射する光源とを備えた、表示装置である。
【0050】また、請求項36に記載の表示素子の製造
方法は、請求項8に記載の表示素子において、配向膜の
異なる領域毎に伝搬方向あるいは偏光方向の異なる光を
照射することにより、液晶に与えるプレチルトの方位角
を少なくとも2つ以上の異なる値に規定する工程を含む
ことを特徴とする、製造方法である。
【0051】また、請求項37に記載の表示素子の製造
方法は、請求項9に記載の表示素子において、第1の基
板または第2の基板の異なる領域毎に、斜方蒸着時の方
位角度を変えることにより、液晶に与えるプレチルトの
方位角を少なくとも2つ以上の異なる値に規定する工程
を含むことを特徴とする、製造方法である。
【0052】また、請求項38に記載の表示素子の駆動
方法は、請求項29に記載の表示素子において、電界を
印加したときの液晶の複屈折の、第1界面あるいは第2界
面に平行な方向の成分の平均値が(数3)で表されるΔn
tになるときの前記液晶への印加電圧を最大変調電圧と
定義するとき、前記液晶に前記最大変調電圧以上の電圧
を印加することにより表示素子を駆動する、駆動方法で
ある。
【0053】また、請求項39に記載の表示素子の駆動
方法は、請求項38に記載の表示素子の駆動方法におい
て、表示素子の異なる領域毎に中心波長の異なる2種類
以上の光を用いる前記表示素子であって、各々の前記領
域毎に(数3)で表されるΔn tになるときの前記液晶へ
の印加電圧を最大変調電圧と定義するとき、各々の前記
領域毎に前記液晶に前記最大変調電圧以上の電圧を印加
することにより表示素子を駆動する、駆動方法である。
【0054】また、請求項40に記載の表示素子は、互
いに対向する第1の基板および第2の基板と、前記第1の
基板と前記第2の基板の間に封入された液晶と、前記第1
の基板および第2の基板の前記液晶と対向する側の面に
設けられている、前記液晶に電界を印加するための電極
と、を備えた表示素子において、前記液晶の誘電異方性
は負であり、前記液晶はカイラル性を示し、前記液晶に
前記電界を印加したときの、前記液晶の前記第1の基板
側の界面(第1界面と呼ぶ)、あるいは前記液晶の前記
第2の基板側の界面(第2界面と呼ぶ)上での前記液晶分
子の方位角を少なくとも2つ以上の異なる値に規定する
手段を備えた、表示素子である。
【0055】また、請求項41に記載の表示素子は、液
晶と、前記液晶に電界を印加するための電極と、を備え
た表示素子において、前記液晶の誘電異方性は負であ
り、前記液晶はカイラル性を示し、前記液晶に前記電界
を印加したときの、前記液晶の界面の一部での前記液晶
分子の方位角を少なくとも2つ以上の異なる値に規定す
る手段を備えた、表示素子である。
【0056】また、請求項42に記載の表示素子は、互
いに対向する第1の基板および第2の基板と、前記第1の
基板と前記第2の基板の間に封入された液晶と、前記第1
の基板および第2の基板の前記液晶と対向する側の面に
設けられている、前記液晶に電界を印加するための電極
と、を備えた表示素子において、前記液晶は自発分極を
もっていて、前記液晶はカイラル性を示し、前記液晶の
分子は、前記電界を印加しないときには、前記液晶の、
前記第1の基板側の界面(第1界面と呼ぶ)、および前記
液晶の、前記第2の基板側の界面(第2界面と呼ぶ)に対
して概略垂直に配向する表示素子であり、前記液晶に前
記電界を印加したときの、前記第1界面あるいは前記第2
界面上での前記液晶分子の方位角を少なくとも2つ以上
の異なる値に規定する手段を備えた、表示素子である。
【0057】また、請求項43に記載の表示素子は、互
いに対向する第1の基板および第2の基板と、前記第1の
基板と前記第2の基板の間に封入された液晶と、前記第1
の基板および第2の基板の前記液晶と対向する側の面に
設けられている、前記液晶に電界を印加するための電極
と、を備えた表示素子において、前記液晶は自発分極を
もっていて、前記液晶の分子は、前記電界を印加しない
ときには、前記液晶の、前記第1の基板側の界面(第1界
面と呼ぶ)、および前記液晶の、前記第2の基板側の界
面(第2界面と呼ぶ)に対して概略垂直に配向する表示
素子であり、前記液晶の分子は、前記電界を印加したと
きには、前記第1界面上での前記液晶の分子の方位角
と、前記第2界面上での前記液晶の分子の方位角との差
の絶対値が0でない概略一定値である表示素子であり、
前記液晶に前記電界を印加したときの、前記第1界面あ
るいは前記第2界面上での前記液晶分子の方位角を少な
くとも2つ以上の異なる値に規定する手段を備えた、表
示素子である。
【0058】また、請求項44に記載の表示素子は、請
求項42または43に記載の表示素子において、自発分極
をもつ液晶は、強誘電性液晶または反強誘電性液晶であ
ることを特徴とする、表示素子である。
【0059】また、請求項45に記載の表示素子は、互
いに対向する第1の基板および第2の基板と、前記第1の
基板と前記第2の基板の間に封入された液晶と、前記第1
の基板および第2の基板の前記液晶と対向する側の面に
設けられている、前記液晶に電界を印加するための電極
と、を備えた表示素子において、前記液晶の誘電異方性
は正であり、前記液晶はカイラル性を示し、前記液晶の
分子は、前記電界を印加しないときには、前記液晶の、
前記第1の基板側の界面(第1界面と呼ぶ)、および前記
液晶の、前記第2の基板側の界面(第2界面と呼ぶ)に対
して概略垂直に配向する表示素子であり、前記電界の方
向は前記第1の基板と前記液晶との界面に対して概略平
行であり、前記電界の方位角は2つ以上の異なる値を有
していることを特徴とする、表示素子である。
【0060】また、請求項46に記載の表示素子は、互
いに対向する第1の基板および第2の基板と、前記第1の
基板と前記第2の基板の間に封入された液晶と、前記第1
の基板および第2の基板の前記液晶と対向する側の面に
設けられている、前記液晶に電界を印加するための電極
と、を備えた表示素子において、前記液晶の誘電異方性
は正であり、前記液晶の分子は、前記電界を印加しない
ときには、前記液晶の、前記第1の基板側の界面(第1界
面と呼ぶ)、および前記液晶の、前記第2の基板側の界
面(第2界面と呼ぶ)に対して概略垂直に配向する表示
素子であり、前記電界の方向は前記第1の基板と前記液
晶との界面に対して概略平行であり、前記液晶の分子
は、前記電界を印加したときには、前記第1界面上での
前記液晶の分子の方位角と、前記第2界面上での前記液
晶の分子の方位角との差が0でない概略一定値である表
示素子であり、前記電界の方位角は2つ以上の異なる値
を有していることを特徴とする、表示素子である。
【0061】また、請求項47に記載の表示素子は、請
求項45または46に記載の表示素子において、異なる電
位に設定可能な2つの電極が、前記第1の基板あるいは第
2の基板のいずれか一方の、前記液晶と対向する側に設
けられていることを特徴とする、表示素子である。
【0062】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例について、
図面を参照しながら説明する。
【0063】[(1)液晶配向の原理説明]本発明の液
晶配向原理を図1を用いて説明する。いま、ITO(インデ
ィウム・ティン・オキサイド)等の透明電極107a、107bを
形成した第1の基板102、第2の基板103(材質はガラス、
プラスチック、石英など何でもよい)の間にカイラル性
をもち、負の誘電異方性Δεを有する液晶101が封入さ
れているとする。そして、第1の基板102にはピラミッド
(正4角錐)型の誘電体の突起104が形成されているとす
る。両基板と液晶101との界面(界面とは、液晶が基板
や液晶配向膜(後述)、電極、あるいは突起等の他の媒
質に接する境界面のことをいう。そして、第1の基板102
側の界面を第1界面、第2の基板103側の界面を第2界面と
呼ぶことにする)においては、液晶分子が界面に概略垂
直になるように配向処理がなされているものとする。な
お、突起104の側面においては、液晶分子は側面に対し
て垂直に配向するので、基板面の法線方向からはやや傾
いた配向になる。
【0064】透明電極107a、107b間に電界を印加しない
場合には、図1(a)に示したように、液晶は第1界面から
第2界面にわたってほぼすべてが垂直に配向する。突起1
04のある部分では、第1界面ではやや傾いているが、第2
界面に近づくに従ってほぼ垂直になる。この状態は、従
来のVA液晶での電界非印加時の配向とほとんど同じであ
る。すなわち、OFF状態での透過率(基板に垂直入射す
る光に対して)はVA液晶の場合と同程度に十分小さくな
ると考えられる。
【0065】次に、透明電極107a、107b間に電界を印加
した場合には、Δε<0であるので、VA液晶の場合と同
様に基板に平行になろうとする力が働き、液晶分子が倒
れる。しかし、液晶分子がカイラル性を持っているた
め、基板に平行になった状態では液晶の配向に捻れが発
生し、図1(b)の断面図のようになる。これは、TN液晶の
電圧非印加時の配向状態に似ている。なお、このときの
捻れ角、すなわち第1界面と第2界面での液晶の配向方向
の方位角の差は液晶材料とセルギャップによって決まる
概略一定値となる(第1界面および第2界面で液晶が完全
に基板に垂直に配向している場合には方位角は定義でき
ないが、液晶の層内部から界面へ近づくときの方位角の
極限値という形でなら定義できる)。
【0066】参考のため、液晶の配向に関するシミュレ
ーションの例を図2に示しておく。これは、2枚の基板の
間にカイラル性を有するΔε<0の液晶を封入し、両界
面では垂直配向処理を行った場合(図1で、突起の無い
場合に相当)の液晶配向の様子である。横軸は基板法線
方向にとった座標z(第1界面で0、第2界面で1となるよ
うに規格化してある)とし、縦軸は液晶分子の基板法線
からの傾き角θ、および方位角φをとってある。基板間
に印加する電圧(適当に規格化してある)を0を含めい
ろいろな値にして計算してある。なお、液晶のカイラル
性を示す量であるカイラルピッチ(液晶に電界などの外
力を与えない自然な状態で形成される螺旋(捻れ)のピ
ッチに相当)はここでは一例として液晶層厚の4倍とし
てある。このグラフによると、電界が0のときにはすべ
てのzに関してθ=0、すなわち基板法線方向に配向して
いるが、電界をかけていくに従ってθが大きくなってい
き、液晶が基板に平行になるように倒れていくことがわ
かる。また、φは電界によってほとんど変化せず、z=0
(第1界面)からz=1(第2界面)にかけてほぼ一定の変
化率で変化していることがわかる。これは捻れ配向であ
ることを示している。上下基板間でのφの差が捻れ角に
相当するが、確かに一定値(このグラフの場合約90°)
になっている。なお、θ=0のとき(例えば電界が0の場
合)は、φの値は意味をもたず、どのような値であって
も基板に垂直な配向である。グラフ上ではθ=0のときも
φの値が計算されているが、これは何の意味も為さな
い。
【0067】さて、次に突起104が配向に与える影響を
考えるのであるが、その前に、もし突起104がなければ
どうなるかということについて考察しておく。図1の構
成で突起104がないとしても、電界を印加したときに、
上述のように捻れ配向となり、そのときの第1界面と第2
界面での液晶の配向方向の方位角の差は液晶材料とセル
ギャップによって決まる概略一定値となる。しかし、界
面での配向方位角自体を決める要因は全くない。すなわ
ち、第1界面での方位角をφ、第2界面での方位角をφ+
Φとするとき、Φは決まるがφが一意的に決まらない。
これは、界面での配向処理の方向も、電界の方向も界面
(すなわち基板面)に垂直、言い換えれば基板法線を軸
として軸対称であるからである。このような場合にはパ
ネル上の平面的な位置毎にまったくランダムに液晶が配
向し、図3のようにドメイン境界の非常に多いパターン
となる。ドメイン境界は一般に透過率が非常に小さいの
でパネル正面から見たときの画像は暗いものとなり、好
ましい配向状態であるとはいえない。
【0068】これに対して図1のように突起104がある場
合には、突起104の側面が傾斜していて、界面での配向
処理の方向は基板法線を基準として見た場合には軸対称
ではない。従って、電界印加時の第1界面での液晶配向
の方位角は特定の方向、具体的には側面の法線の方位角
になったときが最も安定になる。よって、図1(b)の平面
図のように、突起104の各側面では突起104の頂点から放
射状に配向することになる。そして、平面図上各位置で
捻れ配向になり、第2界面ではそれぞれの位置での第1界
面での配向から一定の角度Φだけ回転した配向となる。
平面図上で突起104以外の部分も、突起104部分の配向が
そのまま連続し、突起104部分と同様に第1界面での液晶
の方位角が放射状になるように配向する。これは、突起
104部分の液晶と突起104外部の液晶の間に弾性力が働
き、突起104外部の液晶の方位角を突起104部分の液晶の
方位角にそろえようとするするからである。
【0069】ここで、液晶の配向状態を決める要因につ
いてやや詳細に考察しておく。いま、液晶には電界によ
る力、男性的な力、および界面相互作用による力の3つ
が作用し、それぞれに対して電気的エネルギー、弾性エ
ネルギー、および界面相互作用エネルギーの3つのエネ
ルギーが定義される。そして、液晶はこれらのエネルギ
ーの総和、すなわち全自由エネルギーが極小になるよう
な配向状態になる。液晶の配向方向の空間的な変化がセ
ルの厚み方向で顕著であり基板面内方向では変化が少な
いと仮定すると、近似的に液晶の配向ベクトルは厚み方
向の座標zのみの関数として表され、全自由エネルギー
は、上述の3種のエネルギーの和をzについて第1界面か
ら第2界面まで積分したものに相当すると考えればよ
い。3つのエネルギーのうち、電気的エネルギーに関し
ては、電界が基板面に対して垂直であるならば、電界
(すなわち基板法線方向)と配向ベクトルのなす角のみ
によって決まり、配向ベクトルの方位角には依存しな
い。また、弾性エネルギーは隣接する液晶分子間の配向
方向のずれによって発生するものであり、2つの液晶分
子の相対的な位置関係のみによって決まるものである。
言い換えれば、両界面間のすべての液晶を基板法線を軸
として同じ角度だけ回転移動させても、弾性エネルギー
は不変である。界面相互作用エネルギーは、液晶分子
が、界面での配向処理を行った方向を向いたときが最も
小さく、この方向から離れるに従って大きくなるという
ものである。基板面に対して垂直になるような配向処理
を行った場合には、界面相互作用エネルギーはやはり基
板法線に関して軸対称となり、界面での液晶の方位角に
は依存しない。以上より、電界が基板面に対して垂直
で、かつ界面での配向処理が基板面に対して垂直である
ならば、全自由エネルギーは界面での液晶分子の方位角
には依存せず、界面での液晶の方位角が特定の値に規定
されるということはない。
【0070】これに対して、電界印加時の界面での液晶
分子の方位角を規定する手段としては、次のようなもの
が考えられる。
【0071】[1] 電界を特定の方位角に傾ける [2] 液晶の弾性定数に空間的な不均一性を与える [3] 界面での液晶分子の配向処理の方向を基板に垂直な
方向からずらし、特定の方位角を与えるようにする [4] 界面を基板面に対して傾斜させる このうち、突起を形成するというのは[4]にあたる。
【0072】なお、突起による配向方位角の規定のメカ
ニズムをさらに詳しく説明すると以下のようになる。い
ま、図4で示すように第1の基板102(例として第1の基板
を用いるだけであり、別に第2の基板でも構わない)と
突起側面108があるときに、第1の基板の法線ベクトルを
s 、突起側面108の法線ベクトルをpとする。そして、突
起側面108上のある1点Oを基準としてこれらのベクトル
を描く。さて、界面での液晶の配向方向をnとすると
き、全自由エネルギーの3つの因子(電気的エネルギ
ー、弾性エネルギー、および界面相互作用エネルギー)
のうち、前者2つは先に述べたように基板法線に関して
軸対称である(厳密にいえば、液晶101と突起の誘電率
に差があると電界はやや傾くことになるが、ここではこ
の影響は無視して、電界は基板面に対して垂直であると
する)。すなわち、界面での液晶分子の配向方向の方位
角にはよらず、基板法線と液晶分子の配向方向のなす角
Θのみに依存する。言い換えれば、界面での液晶分子の
配向ベクトルnが図3のように基板法線を軸とする中心角
Θの円錐面上にある限り電気的エネルギーと弾性エネル
ギーは一定である。ところが、界面相互作用エネルギー
は、界面での配向処理方向、すなわち突起側面108の法
線方向pから離れるに従って大きくなる。従って、nが円
錐面上を動くとき、最も界面相互作用エネルギーが小さ
くなるのは、pに最も近づく図中noで示した方向、すな
わち円錐がsとpを含む平面と交わってできる2直線で表
される2つの方向のうちpに近い方の方向である。よっ
て、全自由エネルギーもnがnoに一致したときに最小と
なり、界面での配向の方位角がnoの方位角方向に規定さ
れることがわかる。
【0073】[(2)本発明での透過率改善効果の原理
説明]次に、図1の配向状態で透過率が改善されること
を説明するが、その前に液晶中での光伝搬に関する若干
の数式的な準備を行っておく。
【0074】まず、液晶層中を光が伝搬するときの基本
として、図5のように、極座標表示で(θ,φ)方向に一
様に配向した厚さdの液晶層(分子長軸方向の屈折率をn
e、これに垂直な方向の屈折率をnoとする。一般にne>n
oであることが多いが、ディスコテック液晶などのよう
にne<noの場合もある)を波長λの光が伝搬する場合を
考える。図のように厚み方向がz方向になるようなxyz座
標を考え、両界面をz=0、およびz=dとする。そして、電
界のx成分及びy成分としてEix、およびEiyをもつ光がz
方向に進行し、z=0の面に入射するとする。そして、液
晶層内を伝搬してz=dの面から出射し、電界のxおよびy
成分がそれぞれEox、およびEoyになるとする。
【0075】ここで液晶を光が伝搬するときに、zに垂
直な平面内で液晶分子の方位角φの方向に偏波した成分
が感受する屈折率はno+(ne-no)sin2θ、これと垂直な偏
波成分が感受する屈折率はnoとなる。これは、屈折率楕
円体を用いた考察から次のように導かれる。いま、液晶
分子の屈折率楕円体は、配向方向(θ,φ)を軸とする
回転楕円体で表され、長径はne、短径はnoとなる。この
屈折率楕円体を、配向方向とz軸を含む断面で切ったと
きの断面図は図6のようになる。光がある方向に伝搬す
るとき感受する屈折率は、屈折率楕円体の中心を通り、
光の伝搬方向に垂直な平面と屈折率楕円体面の交わって
できる楕円の長径と短径で表される。いまのようにz方
向に伝搬する光については、屈折率楕円体とxy平面の交
わる楕円の短径は図6の紙面に垂直な方向の径であり、n
oに等しい。一方、長径は図6のne'で表される。このne'
は、図のx'z'座標系を考えると、(数4)をみたすこと
がわかる。
【0076】
【数4】
【0077】(数4)をne'について解き、|ne-no|はn
eおよびnoに比べて十分小さいとして近似を行うと、ne'
=no+(ne-no)sin2θであることが導かれる。
【0078】以上のことを用いると、図5において、
Eix、およびEiyと、Eox、およびEoyの関係は、ジョーン
ズ(Jones)ベクトルでの表示により(数5)のように表
される(ジョーンズベクトルについては、例えば、土井
康弘 著 「偏光と結晶光学」(共立出版株式会社、19
75年発行)を参照)。
【0079】
【数5】
【0080】ただしδは分子長軸方向(方位角φ)に偏
波した成分と、それに垂直な偏波成分(方位角φ+π/
2)の間に生じる位相差であり、(数6)によって与えら
れる。
【0081】
【数6】
【0082】この式で、Δnは複屈折と呼ばれる量であ
る。
【0083】次に、両基板間でθおよびφが一様でな
く、厚み方向の座標zに依存する場合を考える。この場
合も、液晶中の厚さdzの非常に薄い層(区間[z,z+dz]
で表されるとする)の中ではθおよびφは一様と考えら
れ、以上の議論を適用することができる。すなわち、厚
み方向の座標zでの各偏光成分をそれぞれEx(z)、Ey(z)
と表せば、Ex(z)、Ey(z)とEx(z+dz)、Ey(z+dz)の関係は
(数5)および(数6)で(Eix 、 Eiy)→(Ex(z)、E
y(z))、(Eox 、 Eoy)→(Ex(z+dz)、Ey(z+dz))、d
→dzとしたものに他ならない。すなわち、(数7)およ
び(数8)で表される。
【0084】
【数7】
【0085】
【数8】
【0086】ただし、θおよびφはzの関数であるとし
てそれぞれθ(z)、φ(z)で表してある。ここで、dz→0
の極限を考えると、(数9)および(数10)が得られ
る。
【0087】
【数9】
【0088】
【数10】
【0089】これが、配向方向が厚み方向に一様でない
液晶中を伝搬する光の各偏光成分の変化を表す微分方程
式である。ここで、(数11)により(Ex,Ey)→(Fx
Fy)という変数変換を行うと、(数12)の微分方程式に
なる。
【0090】
【数11】
【0091】
【数12】
【0092】さて、以上のことを基にして、実際に図1
の表示素子の液晶中での光伝搬について考える。電界を
印加したときの状態、すなわち図1(b)の状態において、
第1界面での液晶分子の方位角をφ0、第2界面での方位
角をφ0+Φとする(図7)。Φは正負いずれの値もとり
うる。いま、簡単のため十分大きな電界が印加されてい
て液晶分子は完全に基板面に平行になっているとし(図
2のθのグラフでVを非常に大きくした場合に相当)、か
つ方位角φは厚み方向の座標zに関して線形的に変化す
ると仮定すると(図2のφのグラフによれば、この仮定
は妥当である)、θおよびφは(数13)で表され、(数
12)に代入すると、(数14)が得られる。
【0093】
【数13】
【0094】
【数14】
【0095】ただし、uは(数15)で与えられる。
【0096】
【数15】
【0097】(数14)を解くと、(数16)を得る。
【0098】
【数16】
【0099】ただし、vは(数17)で与えられる。
【0100】
【数17】
【0101】(数16)において、z=dとすると、
【0102】
【数18】
【0103】を得る。(数11)を用いて(数18)をE
x(z),Ey(z)の関係になおし、Ex(0)=Eix、Ey(0)=Eiy、Ex
(d)=Eox 、Ey(d)=Eoyであることを用いると、結局図7の
入出力光の各偏光成分の関係式として、(数19)を得
る。
【0104】
【数19】
【0105】特に、入力側偏光板の透過軸をx軸方向
に、出力側偏光板の透過軸をy軸方向に設定したときの
透過率Tは、Eix=1、Eiy=0としたときの|Eoy2の値で
表されるので、(数20)のように計算できる。
【0106】
【数20】
【0107】特にΦがnを0以上の整数として(数21)の
ように表されるときには、Tは(数22)のように計算さ
れる。
【0108】
【数21】
【0109】
【数22】
【0110】ここで、さらにmを0以上の整数として(数
23)が満たされる場合を考える。
【0111】
【数23】
【0112】このとき、(数21)はφ0の値によらず常
にT=1となる。これは、適当な条件を満たすときには第1
界面での配向の方位角φ0にかかわらず、常に最大の透
過率が得られることを示している。従って、図1(b)のよ
うに平面図上の各位置で異なるφ0をもって配向してい
てもすべての位置で最大の透過率(T=1)が得られ、結
局面内各点での透過率の総和(積分)も最大の値が得ら
れる。
【0113】ここで、比較のため従来例の場合について
透過率の計算を行っておく。従来例においては第1界面
から第2界面に至るまで全く同じ方位角で配向している
ので、入力側偏光板の透過軸をx軸方向に、出力側偏光
板の透過軸をy軸方向に設定したときの透過率Tは、(数
5)においてEix=1、Eiy=0としたときの|Eoy2の値で
表される。実際に計算を行うと、(数24)になることが
わかる。
【0114】
【数24】
【0115】ただし、液晶には十分な電界がかかって界
面に平行になり、θ=π/2になっていると仮定した。
(数24)は透過率Tがφ0に依存して大きく変わることを
示している。特に、φ0=0、π/2、π、3π/2などのとき
にはT=0となることがわかる。これは、従来の技術のと
ころでも説明したとおり、図32のA1、A2あるいはBにお
いて起こっていた現象である。
【0116】参考のため、従来例の場合と本発明の場合
の透過率のグラフを図8に示しておく。(a)の従来例のほ
うは、(数24)においてu=2Δnd/λとおいていくつかの
uについてφ0とTの関係を描いたものであり、(b)の本発
明のほうは(数21)においてΦ=π/2(n=0に対応)とし
たときの(数22)を同様にして描いたものである。(b)
の場合、例えばu=31/2とすればφ0によらず常にT=1にな
ることがわかる。これに対して(a)のほうはφ0=0、π/
2、π、3π/2などのときに必ずT=0になってしまうこと
がわかる。
【0117】ところで、本発明において最大の透過率を
得るための条件は、(数21)および(数23)で与えられ
る。これらの式で現れる整数mおよびnはどのような値で
もよいが、(数21)に関していえば、nは小さい方がよ
り望ましい。その理由は次の通りである。後に述べるよ
うに、(数15)のuの絶対値はある値以上にするのが望
ましいことが示される。すると、λやΔnが一定である
限り、d/|Φ|はある値以上でなければならない。|Φ
|が大きいときにはそれにあわせてdも大きくせねばな
らない。しかし、セル厚が大きくなると液晶の応答速度
が遅くなり、残像が発生するのであまり好ましくない。
nとしては0、1、すなわち|Φ|=π/2(=90°)、ま
たは3π/2(=270°)が望ましい。これは、カイラル性
を有する液晶の層厚が、カイラルピッチの概略1/4また
は3/4である場合に相当する。なお、|Φ|は(数21)
を満たすのが最もよいが、必ずしも厳密に満たさなくて
もよいのはいうまでもない。例えば、丁度|Φ|=90°
あるいは270°でなくても、60°〜120°、あるいは240
°〜300°程度の範囲内に入っていれば十分な効果は得
られる。
【0118】次に、(数23)について考える。ここで注
意せねばならないのは、以上の議論においては液晶分子
は完全に基板に平行である(すなわちθ=π/2)として
いたことである。実際は必ずしも完全に平行にはなら
ず、図2のθのグラフが示すように電界強度が小さいと
きには傾き方は小さいし、また電界強度がかなり大きく
なっても両界面付近では界面相互作用にもとづく配向規
制により傾きはそれほど発生しない。この場合は、図2
のグラフのようなθ(z)を用いて(数9)や(数12)を解
かなければならない。ところがこれは必ずしも解析的に
は解けないので、近似的手法を用いることにする。すな
わち、(数10)において、zに依存する数であるα(z)を
zについて平均化した値<α>を(数25)により定義す
る。
【0119】
【数25】
【0120】そして、(数12)のα(z)を<α>に置き換
える。すると、(数12)は解析的に解くことができて、
液晶分子が基板に平行であるとした場合と同様に論を進
めることができる。具体的には、uの定義を(数15)で
はなく、(数26)のようにすれば、それ以降の(数16)
〜(数23)の式はそのまま成り立つ。
【0121】
【数26】
【0122】常にT=1にするための条件式(数23)にお
けるuとしては、(数26)を用いればよい。ところで、
θ(z)は図2からもわかるように印加電圧によって異なっ
たものになる。すると、uは印加電圧によって異なった
値になる。実際図2のグラフと(数26)の形から、印加
電圧が大きくなるほど|u|は大きくなることがわか
る。そして、|u|の下限値は0(電圧を印加しない場
合、すなわちθ(z)=0の場合)、上限値は(数15)の右
辺で表される量(θ(z)=π/2の場合、すなわち無限に大
きな電界を印加した場合)の絶対値であることもわか
る。よって、電圧を0から徐々に増加させていったとき
に、ある電圧で(数23)の条件を迎えるための条件は、
(数23)を満たす|u|が0と上限値の間に存在すること
である。|Φ|が概略π/2である場合は、u=0のときに
(数23)の左辺は|Φ|であり、概略π/2である。従っ
て、|u|を増加していったときに最初に迎える(数2
3)の条件はm=1の場合であり、これが実現できるために
は(数15)のuに対して(数27)を満たしていればよ
い。
【0123】
【数27】
【0124】また、|Φ|が概略3π/2である場合は、u
=0のときに(数23)の左辺は|Φ|であり、概略3π/2
である。従って、|u|を増加していったときに最初に
迎える(数23)の条件はm=2の場合であり、これが実現
できるためには(数15)のuに対して(数28)を満たし
ていればよい。
【0125】
【数28】
【0126】なお、|Φ|を丁度π/2にしたい場合は
(数27)は|u|≧31/2と表される。(数15)を用いれ
ば、|Δn|d/λ≧31/2/2となる。これにより、例えば
Δn=0.1、λ=0.5μmのとき、セル厚dをd≧4.33μmとい
う値にすればよいことがわかる。また、|Φ|を丁度3
π/2にしたいときは(数28)は|u|≧71/2/3という条
件になる。(数15)を用いれば、|Δn|d/λ≧71/2/2
という条件が得られる。先と同じようにΔn=0.1、λ=
0.5μmの場合には、d≧6.61μmとすればよいことにな
る。さらに、|Φ|を丁度5π/2にしたい場合は(数2
7)や(数28)と同様に考えると|u|≧111/2/5という
条件が得られる((数28)で右辺を3πとおいた不等式
になる)。この場合、|Δn|d/λ≧111/2/2であり、Δ
n=0.1、λ=0.5μmとするとd≧8.29μmとなる。先に述
べたことの繰り返しになるが、このように|Φ|を大き
くしていくと必要なセル厚dがそれに伴って大きくなっ
ていき、液晶の応答速度の観点から望ましくない。十分
な応答速度を得るためには大きくとも8μm程度以下のセ
ル厚にするのが望ましく、そういう意味からも|Φ|は
概略π/2か概略3π/2にするのが望ましい。なお、ここ
で述べたΔn=0.1、λ=0.5μmという数値はあくまでも
代表的な値であり、この数値でなければならないという
ものではない。
【0127】なお、(数27)や(数28)で、等号が成立
するときの印加電圧を最大変調電圧と定義する。これ
は、液晶の複屈折の基板に平行な成分の平均値Δnt
(数29)で定義したときに、Δntが(数30)を満たすと
きの電圧であるとも言い換えることができる((数2
6)、(数27)、および(数28)により導かれる)。
【0128】
【数29】
【0129】
【数30】
【0130】実際に表示素子を駆動するときには、最大
変調電圧以上の大きさの電圧を表示素子に印加できるよ
うにしておけば、かならず最大変調状態、すなわち常に
最大の透過率が得られ、非常にのぞましい。
【0131】なお、ここまでは光として波長λの単色光
を用いるとしていたが、別にスペクトルに幅のある光を
用いてもかまわない。そのときは、中心波長をλとして
(数21)あるいは(数23)等の条件が満たされるように
すればよい。
【0132】また、1つの表示素子で部分毎に異なる中
心波長を有する光を用いるというケースもありうる。例
えば、表示素子の表示単位毎に赤、緑、青の帯域をもつ
フィルタを取り付けてカラー表示を行う場合などであ
る。この場合、例えば|Φ|=π/2とすれば(数27)の
条件は、|Δn|d/λ≧31/2/2となるが、色によって中
心波長λが違い、条件が異なってくることになる。しか
し、最も長い波長(今の場合は赤)についてこの条件が
満たされていれば、それより短い波長においても当然満
たされるようになる。例えば、赤、緑、青の中心波長を
それぞれλ=0.62μm、0.55μm、0.47μmとすれば、赤
のλ=0.62μmについて条件を満たしていれば、当然
緑、および青に対しても満たされることになる。
【0133】なお、各色毎にセル厚dを変えてd/λがど
の色でもほぼ同じになるようにすれば液晶の電圧−透過
率特性(γ特性)がどの色についてもほぼ同じような傾
向になり(例えば(数22)のTは、Δnの波長分散を無視
すればd/λには依存しない)、色あわせをするときの電
圧信号のかけ方が容易になり望ましい。図9は、そのよ
うな構成の例である。表示素子の異なる部分毎にλ1
λ2、およびλ3の中心波長をもつ光を用いる(これは用
いる色フィルタ110によってきまる)ようにした構成で
あり、各色毎に厚みd1、d2およびd3を変えてd11、d2
2、およびd33が概略等しくなるようにしている。
Δnの波長分散も考えるならば、Δn(λ1)d11、Δn
2)d22、およびΔn(λ3)d33が概略等しくなる
ようにすればよい。ここで、Δn(λ)は、波長λでの複
屈折を示す。なお、厚みを異ならせるためには図9のよ
うにセル厚調整台状部109を設ければよい(必要な光が
通過できるものであれば、導電体でも、誘電体でもよ
い)が、第1の基板102や第2の基板103、あるいは透明電
極106a、106bなどに段差をつけるという方法も考えられ
る。なお、色フィルタ110は表示素子の下側(光源側)
にあってもよいし、光源自体が異なる中心波長を有する
複数の光を発するものでもよい。また、ここでは3種の
光がある場合を述べたが、別に2種の光、あるいは4種以
上の光を用いる場合についても同様に考えればよい。
【0134】また、(数30)において、λが大きいほど
|Δnt|が大きくなる。これは、λが大きいほど最大変
調電圧が大きくなることを示している。赤、緑、青各色
毎に最大変調電圧を越えるような電圧を印加させて駆動
させるのが望ましいが、最も最大変調電圧が大きくなる
赤色に対する最大変調電圧以上の電圧を赤、緑、青すべ
てにかけてもよいし、それぞれの色に対して最大変調電
圧を超える最小限の電圧をかけてもよい(この場合、色
毎に印加する最大電圧が異なる)。
【0135】[(3)視野角特性について]次に、視野
角特性について考える。従来例のVA液晶の場合について
は、図31を用いて説明したように、1つの表示単位(画
素)において界面での液晶配向の方位角を複数に規定す
ることにより改善された。このことは、本発明の場合に
ついても同様である。電界印加時の界面での液晶分子の
方位角が1方向しかなければ、光が基板面に対して斜め
に入射したときにコントラストが低下したり階調が反転
したりする方向があり得る。しかし、図1(b)の平面図で
示されるように、電界印加時にいろいろな方位角で液晶
分子が倒れると、基板面に対して斜めに光が入射する場
合でも、平面図上各位置での透過率が平均化されて、コ
ントラストが改善されかつ階調反転も改善される。
【0136】この効果を得るためには、電界を印加した
ときの、界面上での液晶分子の方位角を少なくとも2つ
以上の異なる値に規定する手段を備えていればよい。図
1で示した突起104は、まさにそのような手段に相当す
る。そして、方位角はできるだけ多くの方向に分散され
るようにするのがより望ましい。そうすることにより透
過率の平均化効果が有効に得られ、コントラスト低下の
抑制や階調反転の抑制に効果が現れる。理想的には、表
示単位内で、連続的な全方位にわたって界面での配向方
向が規定されているのが望ましい。
【0137】以上を界面配向の方位角の面積分布という
形で表したのが図10である。これは、横軸に方位角(0
°〜360°)をとり、縦軸には、表示単位内で界面での
液晶分子がその方位角に配向している面積的割合を示し
たものである。例えば図10(a)ならすべての界面液晶分
子がφaという1方向に配向していることを示している。
また、図10(d)の(d-2)で表される曲線は、すべての方位
角にわたって連続的で、かつ均一な配向分布をしている
ことを示している。図10(a)のように1つの方位角にしか
配向していない(配向方向が規定されていない)場合、
あるいは図10(b)のようにある方位角φaを中心としてご
くわずかな揺らぎがある程度といった場合(これも事実
上1つの方位角のみに配向が規定されているとみなして
よい)には透過率の平均化効果は得られないが、図10
(c)のように2方向に配向方向が規定されるとこれらの2
方向での透過率平均化効果が得られ、コントラストや階
調反転に関する視野角特性が改善されることになる。さ
らに、図10(d)の(d-1)で表される曲線のように、すべて
の方位角にわたって連続的に、すなわち界面方位角面積
分布率が0になるところが事実上無いように分布してい
る場合には視野角特性は改善される。そして、(d-2)は
究極の場合であり、すべての方位角について連続的に、
かつ完全に均一に配向している場合である。このような
場合には視野角特性が完全に基板法線に対して軸対称に
なるという効果が得られる。
【0138】なお、以上においては電界印加時の透過率
の視野角特性について述べてきたが、電界非印加時(黒
表示の場合)の、斜め入射光に対する透過率の浮きを抑
制するためには、従来従来例の場合のように位相差補償
フィルムを基板に貼り付けるとよい。本発明の表示素子
の液晶配向は、電界を印加しない状態においては、従来
例のVA液晶と同様の配向であるからである。図11に構成
の一例を示す。ここでは、偏光板112a、112bに挟まれた
表示素子の、第1の基板102および第2の基板103の外側
に、位相差補償フィルム111a、111bが貼り付けてある。
ここで、図中のx、y、およびz方向の屈折率(すなわ
ち、光の電界がそれぞれの方向に偏波しているときに感
受する屈折率)nx、ny、およびnzとし、フィルムの厚み
をdFとするときに、正面リターデーションをRe=(ny -
nx)dF、接線方向リターデーションをRth=[nz−(nx
+ny)/2]dFで定義する。このとき、Rthが負であるよ
うな位相差補償フィルムにしておけばよい。その理由は
次の通りである。
【0139】いま、例えば図中Aで示される光線が液晶1
01(電圧は印加されておらず、ほぼすべてz方向に配向
している)を通過するときには、紙面垂直方向に偏波し
た光(S偏光と呼ぶ)は液晶分子長軸に垂直な方向に対
する屈折率noを感受する。一方、紙面内で光の進行方向
に垂直な方向に偏波した光(P偏光と呼ぶ)は、noより
も長軸方向の屈折率ne寄りの値になる([(2)本発明で
の透過率改善効果の原理説明]によれば、液晶中での光
の進行方向と基板法線がなす角をθとして、ne'=no+(ne
-no)sin2θで表される屈折率ne'になる)。一般に、液
晶の複屈折Δn=n e-noは正である場合が多いので、ne'-n
oも正になり、液晶を光が通過する間にS偏光の方がP偏
光に対して位相が進むことになる(屈折率の小さい方が
位相が進む)。これに対して、位相差補償フィルム111
a、111bを光が通過するときには、S偏光はnxを、P偏光
はnyよりもnz寄りの値の屈折率を感受することになる。
そこで、nz<nx≒ny(この場合、Rth<0である)として
おけば、光が位相差補償フィルム111a、111b中を伝搬す
る場合にはP偏光の方が位相が進むことになり、位相差
補償フィルム111a、111bは液晶中での位相のずれを相殺
するように作用する。これにより、両偏波の位相差ずれ
を最小限に押さえることができ、斜め入射光に対する偏
波状態の変化を抑制することができる。そして、透過率
も最小限に押さえることができる。
【0140】なお、ここではnx≒nyとしたが、これは必
ずしも必要なことではない。なぜならば、図11中のAの
光線をz軸を軸として90°回転させたような光線に対し
ては、nxとnyの役割が逆になる。さらに、90°のみなら
ず、いろいろな角度について考えた場合、S偏光に対す
る屈折率の平均的な値は(nx+ny)/2となるし、P偏光
に対するそれは、(nx+ny)/2を基準として、これより
もnz寄りの値ということになる。そこで、両偏波間の位
相の進み・遅れを決めるのはnz−(nx+ny)/2の符号、
すなわちRthの符号ということになる。
【0141】なお、光が液晶を通過するときに発生した
位相差を位相差補償フィルム111a、111bで完全に相殺す
るためには、両者のリターデーションの絶対値が概略等
しいことが望ましい。すなわち、液晶の複屈折をΔn、
セル厚をdとするとき、Δndが位相差補償フィルム111
a、111bのRthの絶対値の和に概略等しいことが望まし
い。
【0142】補足であるが、厳密には、液晶と位相差フ
ィルムでは屈折率の平均的な値が異なると光の進行方向
も異なりうる。従って、液晶のΔndと位相差フィルムの
Rthの絶対値が全く等しくてもそのときに発生する位相
差の絶対値は必ず同じというわけではなく、従って、完
全な位相差の補償ができるわけではない。しかし、一次
近似としてはこの条件で十分に相差補償効果は得られ
る。より精度の高い位相差補償を行うためには、この点
も考慮した上で最適なRthにすることが望ましい。
【0143】さらに補足であるが、位相差フィルムとし
ては、第1の基板102と第2の基板のいずれに貼り付けて
もよいし、両方に貼り付けてもよい(図11は両方に貼り
付けた場合を示してある)。また、異なる位相差フィル
ムを何枚か重ねて貼ってもよい。この場合、トータルで
の接線方向リターデーションRthは、各フィルムのRth
合計したものであると考えればよい。例えば、第1の基
板側にnx=ne、ny=nz=n o(ne>no)であるフィルムを貼
り、第2の基板にnx=nz=no、ny=neであるフィルムを貼
るという構成の場合、定義通りにRthを計算すれば、い
ずれも負になる。そして、これらの和としてのRthも当
然負となる。従って、位相差補償の効果が得られる。
【0144】なお、以上では液晶の複屈折Δnが正の場
合について考えてきたが、例えばディスコテック液晶の
ようにΔnが負の場合も同様に考えられる。この場合、
位相差フィルムのRthは正とすればよい。
【0145】位相差を補償する媒質は、必ずしもフィル
ム状である必要はない。例えばプレート状のものでもよ
いし、液体や気体でもよい。あるいは液晶でもよい。あ
るいは、基板上に真空蒸着やスパッタやCVD(Chemical
Vapor Deposition)やスピンコートやゾルゲル法などに
より成膜した薄膜でもよい。さらには、基板そのものや
透明電極106a、106bなどに接線方向リターデーションを
付与させてもよい。いずれにせよ、2枚の偏光板112a、1
12bの間で接線方向リターデーションRthを発生させるも
のであれば何でもよい。位相差補償媒質を置く位置も、
図11のように必ずしも基板に貼り付ける必要はない。例
えば、偏光板112a、112bの内側(表示素子側)に貼って
もよいし、第1の基板102あるいは第2の基板103と透明電
極106a、106bの間に挿入してもよい。場合によっては、
透明電極106a、106bと液晶101の間に挿入してもよい。
【0146】[(4)界面での配向について]今までの
説明では、界面においては液晶が界面に対して概略垂直
に配向するように配向処理を行うとしていた。しかし、
これは、必ずしも意図的にそのような配向処理工程を行
わなければならないということではない。界面相互作用
の性質は、接する2つの媒質によって決まるものであ
り、例えば図1において、透明電極107a、107bあるいは
突起104(あるいは、図1以外の場合によっては第1の基
板102や第2の基板103)と液晶101が接する場合、これら
の物体と液晶101との組合せによっては、特に積極的な
配向処理を行わなくても、液晶が界面に対して垂直にな
った場合に最も界面相互作用エネルギーが小さいという
ケースもあり得る。そうした場合には、[(1)液晶配向の
原理説明]で述べたことはそのまま当てはまる。
【0147】しかし多くの場合は、液晶が垂直に配向す
るような配向膜、すなわち垂直配向膜が用いられる。こ
れは、例えば図12のように、突起104や透明電極107a、1
07bの表面に形成され、液晶は垂直配向膜113a、113bと
接するような構成となる。垂直配向膜は界面での液晶を
垂直方向に規制する力が非常に強く(すなわち界面相互
作用エネルギーが、液晶分子が垂直になった場合に非常
に小さく、液晶分子の方向がそこからずれたときに界面
相互作用エネルギーが急激に大きくなる)、[(1)液晶配
向の原理説明]で述べたことをより安定に実現すること
ができる。
【0148】ところで、[(1)液晶配向の原理説明]
で、電界印加時の界面での液晶分子の方位角を規定する
手段として4つの場合を挙げたが、このうち、「[3] 界
面での液晶分子の配向処理の方向を基板に垂直な方向か
らずらし、特定の方位角を与えるようにする」というこ
とについて述べる。これはすなわち、液晶分子に界面の
法線方向から僅かに傾いたプレチルトを与えるような配
向膜にするということである。これには、垂直配向膜を
一旦形成したあとで液晶配向を規制する方向(すなわち
界面相互作用エネルギーが最も小さくなる方向)が基板
法線に対して傾くように手を加えること、および配向膜
を形成する段階で基板法線方向からずれた配向規制方向
をもつように形成すること、の2つが考え得る。前者の
例は、ラビング法、光配向法、磁気配向法などがあり、
後者の例はSiO斜方蒸着法などがある。いずれの方法を
用いても本発明の効果は得られるが、特に、表示単位内
で2つ以上の異なるプレチルトの方位角を与える(これ
は、電界印加時の界面での液晶分子の方位角を2つ以上
の異なる値に規定する手段となる)のに適した方法は、
光配向法とSiO斜方蒸着法である。
【0149】光配向法により表示単位内で2つ以上の異
なるプレチルトの方位角を与える方法の例を図13に示
す。まず、第1の基板に垂直配向膜を塗布した後、各表
示単位(画素)毎に図13(a)に示すようなフォトレジス
トパターンを形成する。ここでは、画素115の3/4がレジ
ストで覆われていて、残り1/4が開口になっている。こ
の状態で、垂直配向膜が光反応を起こすような光(一般
には、紫外光であることが多い)を照射する。このとき
の光の照射方向は図中の太い矢印からの方向(紙面より
前側で画素の右上から、画素に向かう方向)とし、図中
αで表される方向に偏波しているとする。こうすると、
配向膜はAの方位角のプレチルトをもつようになる。次
に、レジストを除去して、今度は図13(b)のようなレジ
ストパターンを形成する。ここでも同じく1/4の面積が
開口になるが、図13(a)とは異なる場所になる(多少重
なる分には構わない)。そして、同じく太い矢印からの
方向から、図中βで表される方向に偏波した光を照射す
れば、配向膜にはBの方位角のプレチルトが与えられ
る。以下同じように図13(c)、図13(d)に示すように各開
口部毎に光配向の処理を行えば、最後に図13(e)のよう
にプレチルトの方位角が領域毎に異なるパターンを得る
ことができる。このようなプレチルトのパターンをもつ
基板を用いて表示素子を構成すれば、電界印加時の界面
での液晶分子の方位角がそれぞれのプレチルトの方位角
に対応したものとなり、図1の場合と同様に本発明の効
果が得られる。
【0150】なお、以上の工程はあくまでも一例であ
り、いろいろな変形が考えられる。例えば、あえて特定
の方向に偏波した光を用いなくても、光の伝搬方向だけ
である程度のプレチルトの規定は可能である。また、光
の伝搬方向は一定とし、偏光方向だけを変えるという方
法もあり得る。また、レジストパターンも図のように正
方形状である必要はなく、例えば図14(a)のような短冊
型や図14(b)のような直角二等辺三角形型でもよい。ま
た、従来例の図31のようなパターンも考えられる。ま
た、光照射工程の繰り返しは必ずしも4回である必要は
なく、2回、3回、あるいは5回以上でもよい。そして、
毎回の工程でのレジスト開口部形状・面積は必ずしも同
じでなくてもよい。また、各回の工程で配向処理がだぶ
る部分があってもよいし、どの工程でも配向処理が行わ
れない箇所が一部にあってもかまわない。さらには、一
部にだけ光をあてる手段は必ずしもレジストである必要
はなく、金属等の光非透過物体によるマスクやフィルタ
であってもよい。さらには、ミラープロジェクション型
の光照射や回折により2次元的な光の強弱のパターンを
形成し、レジストやマスク等を用いることなしに部分的
な光照射を行ってもよい。
【0151】次に、SiO斜方蒸着法により表示単位内で2
つ以上の異なるプレチルトの方位角を与える方法の例を
同じく図13に示す。まず、第1の基板に、各表示単位
(画素)毎に図13(a)に示すようなフォトレジストパタ
ーンを形成する。ここでは、画素115の3/4がレジストで
覆われていて、残り1/4が開口になっている。この状態
で、SiO斜方蒸着を行う。このときの蒸着の方向は図中
の太い矢印からの方向(紙面より前側で画素の右上か
ら、画素に向かう方向)とする。こうすると、SiO配向
膜はAの方位角のプレチルトをもつようになる。次に、
レジストを除去して、今度は図13(b)のようなレジスト
パターンを形成する。ここでも同じく1/4の面積が開口
になるが、図13(a)とは異なる場所になる(多少重なる
分には構わない)。そして、同じく太い矢印からの方向
から、SiOを斜方蒸着すれば、SiO配向膜にはBの方位角
のプレチルトが与えられる。以下同じように図13(c)、
図13(d)に示すように各開口部毎にSiO斜方蒸着の処理を
行えば、最後に図13(e)のようにプレチルトの方位角が
領域毎に異なるパターンを得ることができる。このよう
なプレチルトのパターンをもつ基板を用いて表示素子を
構成すれば、電界印加時の界面での液晶分子の方位角が
それぞれのプレチルトの方位角に対応したものとなり、
図1の場合と同様に本発明の効果が得られる。
【0152】なお、以上の工程はあくまでも一例であ
り、いろいろな変形が考えられる。例えば、レジストパ
ターンは図のように正方形状である必要はなく、例えば
図14(a)のような短冊型や図14(b)のような直角二等辺三
角形型でもよい。また、従来例の図31のようなパターン
も考えられる。また、蒸着工程の繰り返しは必ずしも4
回である必要はなく、2回、3回、あるいは5回以上でも
よい。そして、毎回の工程でのレジスト開口部形状・面
積は必ずしも同じでなくてもよい。また、各回の工程で
配向処理がだぶる部分があってもよいし、どの工程でも
配向処理が行われない箇所が一部にあってもかまわな
い。さらには、一部にだけ斜方蒸着する手段は必ずしも
レジストである必要はなく、金属等によるマスクやフィ
ルタであってもよい。
【0153】なお、以上の光配向やSiO斜方蒸着の例に
おいて、液晶分子にプレチルトを与えるということは、
電界を印加しない状態でもそのプレチルトの方向に液晶
分子が傾いているということになるが、この角度は僅か
なものであり(せいぜい〜20°)、電界を印加しない状
態では液晶分子は界面に対して概略垂直に配向している
とみなしてよい。
【0154】[(5)液晶のカイラル性について]カイ
ラル性とは、分子を鏡に映した像がもとの分子と同じ形
ではなく互いに左手・右手の関係にある(すなわち、反
転対称性がない)ことをいい、掌性、カイラリティ、キ
ラル性、キラリティなどとも呼ばれる。分子が不斉原子
(不斉炭素、不斉燐、不斉硫黄、不斉珪素などいろいろ
考えられるが、多くの場合は不斉炭素)をもっているこ
とに起因して発生することが多い。
【0155】本発明においては、液晶自身がカイラル性
をもっていてもよいし、カイラル性のない液晶にカイラ
ル性を有する液晶その他の物質を添加してもよい。カイ
ラル性を有する物質としては、不斉炭素原子をもつ物質
の他に、3置換ホスフィン、スピロ化合物、6配位8面体
型の場合のトリス型のキレート環3個、あるいはシスビ
スのキレート環2個を持つ物質などがある。また、アレ
ン誘導体やアトロプ異性体のようないわゆる軸性キラリ
ティを持つ物質でもよいし、アンサ化合物のように面キ
ラリティを持つ物質でも良い。
【0156】ここまでは、液晶がカイラル性をもつ場合
について述べてきた。しかし、必ずしも液晶がカイラル
性を持たなくても、結果として図1と同様の応答をする
液晶、すなわち電界非印加時には基板に対して垂直配向
し電界印加時には捻れ配向になる液晶であれば、[(2)
本発明での透過率改善効果の原理説明]で述べたことは
そのまま成立し、本発明の効果が得られる。例えば、液
晶として誘電異方性が負の通常のネマティック液晶(一
般の垂直配向で用いられるもの)を用いるが、電界印加
時の界面での液晶分子の方位角を規定する手段を第1界
面および第2界面の両方に設けて、両者の方位角を互い
に異なるように設定してやる場合である。
【0157】図15にいくつかの例を示す(第1界面、第2
界面共に出力側から見た平面図である)。図15(a)は、1
表示単位(画素115)を4つの領域に分けて、界面での液
晶分子の方位角をそれぞれ異なる方向(図中の矢印の方
向)に規定したものである。この図においては、両界面
間の方位角差がどこをとっても概略90°になるようにし
てある。こうすると液晶として特にカイラル性を有する
ものを用いなくても、電界印加時には液晶分子は両界面
で矢印の方位角を向き(電界非印加時には当然概略垂直
な配向をしている)、本発明の効果が得られることにな
る。図15(b)についても同様である。これは、第1界面で
は放射状に、第2界面は同心円状に配向方位角を規定し
た場合である。この場合も両界面間の方位角差はどこを
とっても概略90°であり、本発明の効果が得られる。な
お、(a)、(b)いずれの場合も、電界印加時の界面での液
晶分子の方位角を規定する手段としては、突起を用いる
方法、あるいは図13のように光配向膜やSiO斜方蒸着配
向膜を用いる方法、あるいは後述するように電極に切れ
目や穴を設ける方法など、いろいろな方法が使用でき
る。なかでも、図13からの類推により、光配向膜やSiO
斜方蒸着配向膜を用いた場合に適している。
【0158】図15(c)は突起104を用いた例である。第1
界面と第2界面で稜線の方向が互いに概略直交するよう
な組合せにして(図中の突起104では実線で示した部分
が稜線(尾根)になる)、電界印加時に各界面で矢印の
方向に液晶分子の倒れる方位角が規定される。すると、
どこをとってもやはり両界面間で90°の方位角差が現れ
る。図15(d)は、図1のようなピラミッド型の突起104
と、画素の中心から放射状に広がる尾根状の突起104を
組み合わせたものであり、やはり両界面間で90°の方位
角差が現れる。ただ、図15(c)、(d)が図15(a)、(b)と異
なる点は、図15(c)、(d)が第1界面から第2界面に向かう
ときの捻れの向きが時計回りの箇所と反時計回りの箇所
がある(すなわち、Φ=±90°が混在している)点であ
る(図15(a)、(b)ではどちらか一方だけしかない)。こ
のような場合でも、それぞれの箇所だけを見れば本発明
の効果は十分に得られる([(2)本発明での透過率改善
効果の原理説明]によれば、(数22)の透過率の式はΦ
の符号には依存しない)。ただ、Φ=90°の箇所とΦ=
−90°の箇所の境界(突起104の稜線など)ではドメイ
ン境界となり透過率が低下するので、最良の構成である
とはいえない。捻れの向きを時計回りまたは反時計回り
のいずれか一方にしてドメイン境界をなくすためには、
図16のような突起にすればよい。ここでは第2界面での
突起104の断面が楔形になっていて、稜線を境界とする2
つの側面のうち、一方が絶壁になっている。こうすると
絶壁でない方の斜面のみによって配向の方位角が規定さ
れ、ほぼ全面で捻れの向きは同一となり、本発明の効果
が有効に得られる。
【0159】なお、以上では捻れ角の絶対値は90°であ
るとしたが、必ずしも90°でなくてもよい。ただ、90°
にした場合に、[(2)本発明での透過率改善効果の原理
説明]で述べたように最大の透過率が得られるという効
果が得られるので望ましい。
【0160】なお、ここでは液晶がカイラル性を持たな
くても本発明の効果が得られるということを述べたが、
別にカイラル性を有する液晶(例えば、負の誘電異方性
をもつネマティック液晶にカイラル物質を添加したも
の)で上記のことを行っても全く問題はない。特に、両
界面での配向の方位角差がもたらす捻れと、液晶のカイ
ラル性がもたらす捻れの向きをそろえておけば、両者の
相乗効果で確実に全面でねじれの向きをそろえることが
でき、ドメイン境界は全く発生しない。
【0161】また、例えば図15(c)、(d)のように捻れの
向きが2通り発生する場合、ごく僅かにカイラル物質を
加えるだけでいずれか一方のみの向きにそろえることが
できる。これは、僅かのカイラル物質が捻れの向きに関
する対称性を崩し、カイラル物質がもたらす捻れの向き
のほうが安定になるからである。例えば、Φ=±90°の
捻れが発生する場合、正方向の捻れを誘起するカイラル
物質がごく僅かに添加されれば、Φ=+90°のほうがΦ
=−90°よりも安定になる。すると、表示単位全体でΦ
=+90°の捻れになってしまう。このように、カイラル
物質は捻れの方向のみを決める作用をもち、その絶対値
は両基板間の配向規定方位角の差によって決まる。よっ
て、このときのカイラル物質の添加量は、90°の捻れを
誘起するのに必要な量、すなわち液晶の層厚の4倍のカ
イラルピッチを生じさせるのに必要な量より少なくてよ
い。カイラル物質の量を少なくできることにより、コス
トが下がるというメリットが生じる。
【0162】[(6)突起の形状について]突起を用い
て電界印加時の界面での液晶分子の方位角を規定する例
については、図1で説明した通りであるが、突起の形状
としては別に図1のようなピラミッド型に限らず、いろ
いろなものが考えられる。これを図17に示す。これらは
いずれも錐形の突起の例であり、その側面が基板法線に
対して傾斜した形になっている。図17(a)、(b)、(c)、
および(d)はそれぞれ8角錐、6角錐、3角錐、および円錐
である。これらはいずれも頂点を中心として放射状に配
向方向が規定されるので、図10の(d-1)や(d-2)で示した
ように、ほぼ全方位にわたって連続的な方位角分布をえ
ることができ、優れた視野角特性を得ることができる。
なお、これらはあくまでも比較的実現の容易な一例であ
り、これら以外の錐形もありうる。例えば、5角錐、7角
錐、9角錐、10角錐等の多角錐や、あるいは楕円錐など
もあり得る。また、多角錐は正多角錐であるときに視野
角特性の対称性が向上するという利点が得られるが、必
ずしも正多角錐である必要はない。例えば、底面が長方
形や菱形の角錐であってもよい。なお、突起は必ずしも
画素の中心にある必要はなく、例えば隣接する画素間の
境界などに配置されていてもよい。
【0163】また、突起としては例えば従来例の図31で
示したような、稜線を有する形状のものでもよい。この
ような例を図18に示す。これらはすべて、第1の基板102
に形成された、稜線を境界として接する2つの側面から
構成された屋根形状の突起104になっている。図18(a)
は、図31と類似の形状であり、稜線が“く”の字型の折
れ線になっているものである。図18(b)は稜線が波状の
曲線になっているものである。これらにおいて、電界印
加時の界面での液晶分子の倒れる方位角は、矢印の方向
である。これらはいずれも、方位角がいろいろな方向を
向いているので、視野角特性が良好になる。また、図18
(c)および図18(d)は閉曲線で表される例である。これら
においても、液晶分子の倒れる方位角は、矢印の方向で
示される。このような閉曲線稜線の突起の場合、連続的
に全方位にわたって方位角を規定できるので、さらに視
野角特性が向上する。また、図18(d)については、ちょ
うど画素の境界部に突起104を形成してあるので、稜線
部でドメイン境界が発生しても([(5)液晶のカイラル
性について]で述べたように、カイラル性の無い液晶を
用いるとこのようなことがあり得る)、透過率が低下し
ないという利点もある。なお、閉曲線稜線は、円または
正多角形の場合に視野角特性の軸対称性がよくなり望ま
しいが、必ずしもそうでなければならないというもので
はない。
【0164】さらに別の突起の例としては、図19に示す
ような台状のものも考えられる。図19(a)は円錐台、図1
9(b)は角錐台である。この場合も矢印の方向に電界印加
時の配向の方位が規定されるので、良好な視野角特性が
得られる。
【0165】なお、以上の例ではすべて第1の基板上に
突起を形成するとしていたが、もちろん第2の基板上に
形成してもよいし、両方の基板共に形成してもよい。
【0166】[(7)電界の方向を傾ける例]先に、
[(1)液晶配向の原理説明]において電界印加時の界面で
の液晶分子の方位角を規定する手段としていくつか説明
したが、そのうち、「[1] 電界を特定の方位角に傾け
る」という手段について述べる。これは言い換えれば、
界面に対して平行な電界成分(横方向電界成分と呼ぶこ
とにする)を発生させるということでもある。また、電
気的エネルギーの基板法線に関する軸対称性をなくし
て、特定の方位角に液晶分子が倒れたときに電気的エネ
ルギーが極小になる(すなわち、全自由エネルギーも極
小になる)ようにするということでもあり、電界印加時
の界面における液晶分子の方位角は電界の方位角(すな
わち横方向電界成分の方位角)またはその反対側に規定
される。
【0167】図20(a)にその一例の断面図を示す。第1の
基板102と第2の基板103には透明電極107a、107bが形成
されていて、それらの間に液晶101が封入されている。
このとき、第1の基板側は表示単位(画素)毎に透明電
極107aが分離されているが、第2の基板の側の透明電極1
07bには穴が形成されている。平面図は図20(b)に示すと
おりであり、第1の基板102側の透明電極107aの中央が第
2の基板103側の透明電極107bの穴の中央に一致するよう
になっている。この構造で両基板の透明電極107a、107b
間に電界を印加した場合、図20(a)中の矢印で示したよ
うな電界が形成される。波線の円で囲んだ部分は、エッ
ジ効果により電界が基板法線に対して傾いたものにな
る。このときの横方向電界成分はちょうど穴の中心から
放射状に外に向かうようなパターンとなり、界面での液
晶の方位角も同じように放射状に規定されるようにな
る。このときの方位角規定パターンは図1の突起のある
構成の場合と全く同じものになり、図1の場合と同様に
透過率の向上、視野角特性の向上という効果が得られ
る。
【0168】まさに、透明電極107bの穴が横方向電界成
分の方位角を2つ以上の異なる値に規定する手段として
働き、それが電界印加時の界面での液晶分子の方位角を
2つ以上の異なる値に規定する手段として作用している
ことになるのである。
【0169】図20と図1の対比からわかるように、突起
と透明電極に形成された穴とは、液晶の方位角を規定す
るという点からは透過なものになる。従って、例えば図
15(c)、(d)、図16、図17(a)、(b)、(c)、(d)、図18
(a)、(b)、(c)、(d)のような構造の突起を、同型の透明
電極の穴に置き換えても同じ効果が得られることになる
(突起の側面と基板とが交差する線[各図中では波線で
示されている]の内側の透明電極を穴にする)。例え
ば、図18(a)の場合であれば、穴というよりもむしろ切
れ目(スリット)の形状になる。
【0170】なお、電極は完全に貫通した穴でなくて
も、一部がくりぬかれた孔(凹部)形状であってもある
程度の効果は得られる。
【0171】図20(a)の構造の変形として、図21(a)およ
び(b)にあるような構造も考えられる。これは、透明電
極107bの穴または孔に埋込誘電体116を埋め込んで電極
表面を平坦化したものである。図20(a)の場合である
と、端部で段差のある透明電極107b自体が先に述べた突
起としての配向方位角規定作用をもち、横方向電界成分
による配向方位角規定作用と互いに逆向きになり相互に
うち消しあってしまう場合があり得るが、図21のように
透明電極107b表面が平坦であると、突起としての配向方
位角規定作用は発生しないので、純粋に電界による配向
方位角規定作用だけになり、所望通りに配向方位が規定
されるという特長がある。
【0172】なお、このような構造を形成するには、CM
P(ケミカルメカニカルポリッシング)を用いるとよ
い。埋込誘電体116材料は何でもよいが、例えばSiO2、S
iN、フォトレジスト、ポリイミドなどが考えられる。
【0173】なお、あえて埋込誘電体116を透明電極107
bの表面より出っ張るようにして、突起としての効果と
横方向電界成分発生の効果を相乗させるという構成もも
ちろん考えられる。
【0174】図22は、横方向電界成分を利用するさらに
別の例である。この構造では、第2の基板103上に、透明
電極107bとは異なる第3の電極118を、絶縁体117を介し
て備え付けたものである。第3の電極に、透明電極107b
とは異なる電位を与えれば、透明電極107bの穴付近の電
界パターンを制御することができ、電位の与え方によっ
ては横方向電界成分を増加させることができる。する
と、界面での液晶分子の配向方位角を規定する作用が増
大し、さらに透明電極107b上で穴部から遠いところにま
で横方向電界成分を及ぼすことができ、より安定に配向
方位角を規定することができる。また、液晶のスイッチ
ング応答が速くなるという長所も得られる。
【0175】なお、第3の電極118は全面に形成されてい
る必要はなく、透明電極107bの穴または切れ目の部分だ
けを実質的に覆っていれば十分である。
【0176】なお、以上では穴、孔、切れ目等は第2の
基板103の透明電極107bに形成するようにしていたが、
別に第1の基板102の透明電極107aに形成しても構わない
し、これら両方に形成してももちろん構わない。
【0177】[(8)本発明の液晶表示装置]本発明の
液晶表示装置は、図23に示すような構成で実現できる。
ここでは、図1の表示素子を例にとり、これを2枚の偏光
板112a、112bで挟み込んだ構成である。これらの偏光板
は、互いに消光位置(クロスニコル位置)になってい
る。そして、光源119としてバックライトが用いてあ
る。偏光板は、フィルム状のもので2枚の基板に貼り付
けていてもよい。光源119も、偏光板112a、112bに密着
していてもよい。また、この表示装置は最小限必要な構
成だけを描いたものであり、実際はこれに色フィルタ、
偏光変換フィルム、位相差補償フィルム、レンズ、ホロ
グラフィック光学素子等々が挟み込まれていてもよい。
さらに、液晶を駆動するための駆動回路も当然あっても
よい。光源は蛍光ランプ、メタルハライドランプ、ハロ
ゲンランプ、キセノンランプ、レーザー、エレクトロル
ミネッセンス光源(有機エレクトロルミネッセンス光源
を含む)、白熱灯、クリプトンランプ、LED(発光ダイ
オード)など、何でもよい。図1の表示素子に限らず、
以降にあげたすべての本発明の表示素子について、同様
に表示装置を構成することができることはいうまでもな
い。
【0178】[(9)これまでの説明についての補足]
今までは、電界を印加しないときには液晶は概略垂直に
配向しているとしていた。しかし、必ずしもそうでなく
ても、電界印加時に図1(b)のような配向になるのであれ
ば、少なくとも視野角特性の向上、および透過率の改善
という効果は得られる。ただ、コントラストに関して
は、電界非印加時に垂直配向している場合に比べて劣る
ことになる。
【0179】また、今までは、第1の基板および第2の基
板という2つの基板に液晶が挟まれる構成について述べ
てきた。しかし、基板というものは必ずしも本発明にと
って必要なものではない。例えば、図24(a)に示すよう
に、基板が1枚しかなく(第1の基板102)、液晶101と透
明電極107a、107bだけがある構成を考える。この構成に
おいて、液晶の誘電異方性が負であり、液晶がカイラル
性をもち、かつ電界印加時に液晶の界面での液晶分子の
配向方向を2つ以上の異なる値に規定する手段(今まで
述べてきた、突起、電極の穴、切れ目等、SiO斜方蒸着
配向膜、光配向膜など)が備わってさえいれば、本発明
の効果は十分に得られる。さらには、図24(b)に示すよ
うに、全く基板がなく、液晶101と透明電極107a、107b
だけであってもよいし、図24(c)のように透明電極107a
が分割されていて液晶界面の一部が外界に対してむき出
しであってもかまわない。
【0180】また、基板を用いる場合も、今までガラス
やプラスチックのように剛体的なものを想定していた
が、例えばシート状のフィルムなど柔らかくて形の変わ
りやすいものでもよい。
【0181】[(10)自発分極をもつ液晶による構
成]本発明の構成は、ネマティック液晶のみならず、強
誘電性液晶や反強誘電性液晶のように、自発分極をもつ
液晶に対しても適用することができる。例えば、図1の
構成で、液晶として強誘電性液晶や反強誘電性液晶を用
いた場合、電界を印加しない場合には概略垂直に配向す
る。電界を印加したときには誘電異方性ではなく、自発
分極によって液晶が応答し、基板面に対して平行になろ
うとする力が働く。そして、液晶自身のもつカイラル性
により、捻れが生じて配向の方位角が両界面で異なる値
となる。従って、電界非印加時および印加時の液晶の配
向状態は図1の場合と全く同じであり、図1の場合と同じ
特長(透過率改善、コントラスト改善、視野角特性改
善)が得られる。その上、自発分極に伴う応答を用いる
ので、応答速度が非常に速いという特長も得られる。強
誘電性液晶の応答速度は一般に数10〜100μsecであり、
通常のネマティック液晶に比べて格段に速い。反強誘電
性液晶の場合、さらに速い。
【0182】なお本構成の場合、電界印加時に誘電異方
性によって液晶が動くのではないので、Δεの正負には
関係ない。
【0183】また、液晶は必ずしもカイラル性をもたな
くても、結果として電界を印加したときに第1界面と第2
界面での液晶の分子の方位角の差の絶対値が0でない概
略一定値であればよい。例えば、図15のように、電界印
加時の界面での液晶分子の方位角を規定する手段を第1
界面および第2界面の両方に設けて、両者の方位角を互
いに異なるように設定してやる場合である。こうすれ
ば、カイラル性の有無とは関係なく電界印加時の両界面
液晶分子の方位角の差の絶対値は0でない概略一定値で
ある。
【0184】なお、界面での液晶分子の方位角を規定す
る手段としては、図1、図15(c)および(d)、図16、図1
7、図18、あるいは図19のように突起であってもよい
し、図20、図21、あるいは図22のような穴や切れ目のあ
る電極でもよいし、図13や図14で述べたようなSiO斜方
蒸着膜や光配向膜でもよい。
【0185】[(11)横電界型の構成]本発明の変形
として、横電界型の構成について述べる。図25に本構成
の例を示す。第1の基板102と第2の基板103の間に液晶10
1が封入されたものであるが、ここでは液晶101の誘電異
方性は正であるとし、液晶はカイラル性をもっているも
のとする。そして、この構成で特徴的なのは、第1の基
板102に第1電極120aと第2電極120bが備わっていて、そ
れぞれを異なる電位に設定して、液晶界面に対して概略
平行な電界を発生させるという点である。図25(b)の矢
印で示したような電界が発生する。
【0186】電界を印加しない状態では、図25(a)に示
すように液晶101は界面に対して概略垂直に配向してい
るとする。電界を印加した場合には、Δεが正であるの
で、液晶分子は電界に対して平行になろうとする。とこ
ろがその一方で、液晶のカイラル性のため、第1界面か
ら第2界面103にかけて、捻れて配向しようとする力も発
生する。そうすると液晶101は、電界に平行になろうと
する力と捻れようとする力が釣り合うところに落ち着く
ことになる。この状態は、第1界面から第2界面にかけて
捻れてはいるものの全体としては電気的エネルギーが極
小になるような状態であり、図25(b)、あるいは図25(c)
に示すように、両界面の中間部での液晶分子が電界に対
して概略平行になるような配向である。このように、液
晶は、電界を印加しないときは基板に対して概略垂直で
あり、電界を印加したときにはねじれ状態であるので、
図1の場合と同様の応答であり、透過率の向上、コント
ラストの向上という効果が生じる。
【0187】ここで、電界印加時の液晶の配向が、上述
のように両界面の中間部での液晶分子が電界に対して概
略平行または垂直になるような配向になる理由を補足説
明しておく。いま、第1界面(z=0)での配向方位角をφ
0、第2界面(z=d)でのそれをφ0+Φとする。第1界面
と第2界面での配向方位角の差は図1のΔε<0の場合と
同じように液晶101の物性(カイラル性)とセルギャッ
プのみによって決まるとし、Φは定数であるとする。両
界面間での捻れ角が位置zに関して直線的に変化すると
すれば、位置zでの配向方向は、(数13)と同じ形で表
される。ところで電気的エネルギーは、液晶の配向方向
と電界ベクトルのなす角をαとするとき、sin2αに比例
する(電界の大きさは一定とする)。いま、電界がx方
向(φ=0の方向)であるとすると、両界面間の液晶分子
による電気的エネルギーは、(数31)で与えられる量U
に比例すると考えられる。
【0188】
【数31】
【0189】この式を簡単化すると、(数32)が得られ
る。
【0190】
【数32】
【0191】ここで、電気的エネルギーが極小になる
(弾性エネルギー、および界面相互作用エネルギーはφ
0に依存しないので、このときに全自由エネルギーも極
小である)のは、(数33)の場合である。
【0192】
【数33】
【0193】(数33)により、両界面の中間部での液晶
分子(配向方位角はφ0+Φ/2で表される)が電界に対
して平行(例えば、Φ=±π/2の場合)または垂直(例
えば、Φ=±3π/2の場合)になるように配向すること
が示される。
【0194】本構成ではこのように、図1での突起のよ
うな界面での液晶分子の方位角を規定する手段は特に設
けなくても電界の方向で方位角を規定することができ
る。すなわち、界面に概略平行な電界を発生させる電極
自体が界面での液晶分子の方位角を規定する手段として
作用することになるのである。よって、視野角特性向上
という効果を得るためには、電界の方位角が少なくとも
2つ以上の値になるようにできればよい。図25の場合
は、図25(b)の矢印からわかるように、2つの互いに反対
方向の方位角の電界があるので、確かに視野角特性向上
という効果が得られることになる。なお、第1の基板上
に図26のように第1電極120a、第2電極120bを配置すれ
ば、連続的に全方位にわたって電界を発生させることが
でき、さらに視野角特性を改善することができる。
【0195】なお、ここまでは第1の基板102上に電極を
形成するとしていたが、別に第2の基板103に形成しても
かまわない。また、両方の基板に電極が形成してあって
もかまわない。例えば、図27(a)に示すように、両方の
基板に第1電極120aと第2電極120bがともに形成してあ
り、両側の基板の電極により界面に平行な電界を誘起す
るようになっていてもよい。また、図27(b)のように、
第1の基板102に第1電極120aを、第2の基板103に第2電極
120bをそれぞれ形成し、界面に平行な電界を誘起しても
よい(両電極間の距離がセル厚に比べて十分大きければ
電界は界面に概略平行とみなせる)。
【0196】なお、別に電界印加時の界面での液晶分子
の方位角を規定するための手段を補助的に備えてもかま
わない。例えば、図1、図15(c)および(d)、図16、図1
7、図18、あるいは図19のように突起を形成してもよい
し、電極の一部に切れ目や穴を設けてもよいし、図13や
図14で述べたようなSiO斜方蒸着膜や光配向膜を用いて
もよい。
【0197】なお、液晶は必ずしもカイラル性をもたな
くても、結果として電界を印加したときに第1界面と第2
界面での液晶の分子の方位角の差の絶対値が0でない概
略一定値であればよい。例えば、図15のように、電界印
加時の界面での液晶分子の方位角を規定する補助的な手
段を第1界面および第2界面の両方に設けて、両者の方位
角を互いに異なるように設定してやる場合である。こう
すれば、カイラル性の有無とは関係なく電界印加時の両
界面液晶分子の方位角の差の絶対値は0でない概略一定
値である。
【0198】なお、本発明において、電極は透明電極で
もよいし、非透明の電極であってもよい。
【0199】[(12)補足]最後に、いくつか補足事
項を述べておく。
【0200】ここまでの例で、「界面での液晶分子の方
位角を少なくとも2つ以上の異なる値に規定する」とい
う表現を用いていたが、これは、1表示単位内において
適用される。基本的には1つの画素を考えればよい。し
かし、例えば図28に示すように、隣接する画素同士で液
晶分子の方位角規定のパターン(例えば図中矢印で示さ
れる方位角に規定されるとする)が異なっていて、2×2
=4画素を1つの単位として2次元的に繰り返されている
場合、この4画素を1表示単位121とみなさねばならな
い。このように、配向方位角の規定という観点からみた
ときの、2次元的な繰り返しの最小単位をもって1表示単
位と考えるべきである。そういう意味では、図28の場合
も、1表示単位内で、「界面での液晶分子の方位角を少
なくとも2つ以上の異なる値に規定」されているという
ことができる。
【0201】以上では、透過型の構成を主として述べて
きたが、反射型の構成にも応用することは可能である。
この場合、2枚の偏光板のかわりに、偏光ビームスプリ
ッタを用いる構成もありうる。
【0202】本発明の表示素子は、直視型の液晶ディス
プレイに用いることができるし、また、液晶プロジェク
タ用の素子としても用いることができる。
【0203】
【発明の効果】本発明の表示素子によれば、透過率が非
常に高く、コントラストも高く、かつ広い視野角範囲内
でコントラスト低下や階調反転の生じない高画質の画像
を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表示素子の一例を示す断面図および平
面図
【図2】本発明において、液晶の配向方向が電圧の印加
とともにどのように変化するかを示したシミュレーショ
ンのグラフ
【図3】配向方位角を規定しない場合に配向がランダム
になることを示した平面図
【図4】界面での液晶分子の配向方向規定の原理を示す
ための図
【図5】本発明で透過率が改善されることを示すための
計算の基になる構成・座標系を示した図(厚み方向に均
一な配向の場合)
【図6】液晶の、屈折率楕円体の図
【図7】本発明で透過率が改善されることを示すための
計算の基になる構成・座標系を示した図(厚み方向に均
一でないの場合)
【図8】従来例と本発明について、(数24)と(数22)
から透過率の計算を行ったグラフ
【図9】中心波長の異なる複数の光を用いる本発明の表
示素子の一例を示す断面図
【図10】界面での液晶分子の方位角規定の面積的な分
布を示すグラフ
【図11】位相差補償フィルムを備えた本発明の表示素
子の一例を示す断面図
【図12】配向膜を備えた本発明の表示素子の一例を示
す断面図
【図13】光配向、あるいはSiO斜方蒸着により界面で
の液晶分子の配向方位角を2つ以上の値に規定する方法
を示す図
【図14】光配向、あるいはSiO斜方蒸着により界面で
の液晶分子の配向方位角を2つ以上の値に規定する、別
の方法を示す図
【図15】第1界面、および第2界面の両方において液晶
分子の配向方位角を規定する本発明の表示素子の構成を
示した平面図
【図16】第1界面、および第2界面の両方において液晶
分子の配向方位角を規定する別の本発明の表示素子の構
成を示した平面図
【図17】突起を用いた本発明の表示素子の構造を示す
平面図および断面図
【図18】突起を用いた別の本発明の表示素子の構造を
示す平面図および断面図
【図19】突起を用いたさらに別の本発明の表示素子の
構造を示す平面図および断面図
【図20】透明電極に穴を形成した本発明の表示素子の
構造を示す断面図および平面図
【図21】透明電極に穴を形成した別の本発明の表示素
子の構造を示す断面図
【図22】透明電極に穴を形成したさらに別の本発明の
表示素子の構造を示す断面図
【図23】本発明の表示装置の断面図
【図24】本発明の別の表示素子の構成を示す断面図
【図25】界面に概略平行な電界を発生させる電極を用
いた本発明の表示素子の構成を示す断面図、および液晶
の配向を示す平面図
【図26】界面に概略平行な電界を発生させる電極の構
成の一例を示した平面図
【図27】界面に概略平行な電界を発生させる電極を用
いた別の本発明の表示素子の構成を示す断面図
【図28】1表示単位を示す平面図
【図29】VA液晶の動作を示す断面図
【図30】VA液晶での光の透過と液晶分子の関係を示す
断面図
【図31】VA液晶と突起を用いた従来例の構成を示す平
面図および断面図
【図32】従来例において、透過率の低下する箇所が発
生することを示す平面図
【符号の説明】
101,101a,101b,101c,101d 液晶 102 第1の基板 103 第2の基板 104,104a,104b 突起 105 画素 106a,106b 透明電極 107a,107b 透明電極 108 突起側面 109 セル厚調整台状部 110 色フィルタ 111a,111b 位相差補償フィルム 112a,112b 偏光板 113a,113b 垂直配向膜 114 レジスト 115 画素 116 埋込誘電体 117 絶縁層 118 第3の電極 119 光源 120a 第1電極 120b 第2電極 121 1表示単位
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小森 一徳 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 2H090 HB03Y JA03 JB13 JC03 KA04 KA14 KA15 LA06 MA01 MA07 MA10 MA15 MB06 MB14

Claims (47)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに対向する第1の基板および第2の基
    板と、前記第1の基板と前記第2の基板の間に封入された
    液晶と、前記第1の基板および第2の基板の前記液晶と対
    向する側の面に設けられている、前記液晶に電界を印加
    するための電極と、を備えた表示素子において、前記液
    晶の誘電異方性は負であり、前記液晶はカイラル性を示
    し、前記液晶の分子は、前記電界を印加しないときに
    は、前記液晶の、前記第1の基板側の界面(第1界面と呼
    ぶ)、および前記液晶の、前記第2の基板側の界面(第2
    界面と呼ぶ)に対して概略垂直に配向する表示素子であ
    り、前記液晶に前記電界を印加したときの、前記第1界
    面あるいは前記第2界面上での前記液晶分子の方位角を
    少なくとも2つ以上の異なる値に規定する手段を備え
    た、表示素子。
  2. 【請求項2】 液晶は、負の誘電異方性を示すネマティ
    ック液晶にカイラル物質を添加したものであることを特
    徴とする、請求項1に記載の表示素子。
  3. 【請求項3】 互いに対向する第1の基板および第2の基
    板と、前記第1の基板と前記第2の基板の間に封入された
    液晶と、前記第1の基板および第2の基板の前記液晶と対
    向する側の面に設けられている、前記液晶に電界を印加
    するための電極と、を備えた表示素子において、前記液
    晶の誘電異方性は負であり、前記液晶の分子は、前記電
    界を印加しないときには、前記液晶の、前記第1の基板
    側の界面(第1界面と呼ぶ)、および前記液晶の、前記
    第2の基板側の界面(第2界面と呼ぶ)に対して概略垂直
    に配向する表示素子であり、前記液晶の分子は、前記電
    界を印加したときには、前記第1界面上での前記液晶の
    分子の方位角と、前記第2界面上での前記液晶の分子の
    方位角との差の絶対値が0でない概略一定値である表示
    素子であり、前記液晶に前記電界を印加したときの、前
    記第1界面あるいは前記第2界面上での前記液晶分子の方
    位角を少なくとも2つ以上の異なる値に規定する手段を
    備えた、表示素子。
  4. 【請求項4】 電界を印加したときの、第1界面上での
    液晶の分子の方位角と、第2界面上での前記液晶の分子
    の方位角との差が0でない概略一定値であることを特徴
    とする、請求項3に記載の表示素子。
  5. 【請求項5】 液晶に電界を印加したときの、第1界面
    あるいは第2界面上での前記液晶の分子の方位角を、連
    続的に全方位にわたって規定する手段を備えた、請求項
    1または3に記載の表示素子。
  6. 【請求項6】 第1の基板あるいは第2の基板の、液晶の
    ある側の面には配向膜が形成されていて、前記配向膜と
    前記液晶とが接していて、前記配向膜と前記液晶とが接
    する面が第1界面あるいは第2界面となり、前記配向膜は
    電界を印加しないときに前記液晶の分子を第1界面ある
    いは第2界面に対して概略垂直に配向させるものである
    ことを特徴とする、請求項1または3に記載の表示素子。
  7. 【請求項7】 第1の基板あるいは第2の基板の、液晶の
    ある側の面には配向膜が形成されていて、前記配向膜と
    前記液晶とが接していて、前記配向膜と前記液晶とが接
    する面が第1界面あるいは第2界面となり、前記液晶に電
    界を印加したときの、前記第1界面あるいは前記第2界面
    上での前記液晶の分子の方位角を少なくとも2つ以上の
    異なる値に規定する手段は、前記液晶の分子に前記第1
    界面あるいは前記第2界面の法線方向から僅かに傾いた
    プレチルトを与える配向膜であり、かつそのときの前記
    プレチルトの方位角が少なくとも2つ以上の異なる値を
    有した配向膜であることを特徴とする、請求項1または3
    に記載の表示素子。
  8. 【請求項8】 配向膜は、光を照射することにより、液
    晶に与えるプレチルトの方位角を少なくとも2つ以上の
    異なる値に規定するものであることを特徴とする、請求
    項7に記載の表示素子。
  9. 【請求項9】 配向膜は、SiO斜方蒸着膜であり、蒸着
    時の斜方方位角度により、液晶に与えるプレチルトの方
    位角を少なくとも2つ以上の異なる値に規定するもので
    あることを特徴とする、請求項7に記載の表示素子。
  10. 【請求項10】 液晶に電界を印加したときの、第1界
    面あるいは第2界面上での前記液晶の分子の方位角を少
    なくとも2つ以上の異なる値に規定する手段は、第1の基
    板あるいは第2の基板の、前記液晶のある側の面に設け
    られた誘電体突起物であることを特徴とする、請求項1
    または3に記載の表示素子。
  11. 【請求項11】 誘電体突起物は錐形状であり、その側
    面が液晶に対向していることを特徴とする、請求項10に
    記載の表示素子。
  12. 【請求項12】 誘電体突起物は、多角錐あるいは楕円
    錐形状であることを特徴とする、請求項11に記載の表示
    素子。
  13. 【請求項13】 誘電体突起物は、正3角錐、正4角錐、
    正6角錐、正8角錐、あるい円錐形状であることを特徴と
    する、請求項12に記載の表示素子。
  14. 【請求項14】 誘電体突起物は、稜線を境界として接
    する2つの側面から構成された屋根形状であり、前記2つ
    の側面が液晶に対向いていることを特徴とする、請求項
    10に記載の表示素子。
  15. 【請求項15】 稜線は折れ線あるいは曲線であること
    を特徴とする、請求項14に記載の表示素子。
  16. 【請求項16】 稜線は閉曲線を形成することを特徴と
    する、請求項15に記載の表示素子。
  17. 【請求項17】 閉曲線は円または正多角形であること
    を特徴とする、請求項16に記載の表示素子。
  18. 【請求項18】 誘電体突起物は、円錐台もしくは角錐
    台形状であることを特徴とする、請求項10に記載の表示
    素子。
  19. 【請求項19】 液晶に電界を印加したときの、第1界
    面あるいは第2界面上での前記液晶の分子の方位角を少
    なくとも2つ以上の異なる値に規定する手段は、前記第1
    界面あるいは前記第2界面に対して平行な電界成分(横
    方向電界成分と呼ぶ)を発生させ、かつそのときの前記
    横方向電界成分の方位角を2つ以上の異なる値に規定す
    る手段であることを特徴とする、請求項1または3に記載
    の表示素子。
  20. 【請求項20】 横方向電界成分の方位角を2つ以上の
    異なる値に規定する手段は、電極に形成された穴、孔あ
    るいは切れ目であることを特徴とする、請求項19に記載
    の表示素子。
  21. 【請求項21】 穴、孔、あるいは切れ目には誘電体が
    埋め込まれていて、液晶に対向する面は概略平坦である
    ことを特徴とする、請求項20に記載の表示素子。
  22. 【請求項22】 横方向電界成分の方位角を2つ以上の
    異なる値に規定する手段は、電極に形成された穴、ある
    いは切れ目であり、前記穴、あるいは前記切れ目の下部
    には別の電極が形成されていることを特徴とする、請求
    項20に記載の表示素子。
  23. 【請求項23】 液晶に電界を印加したときの、第1界
    面あるいは第2界面上での前記液晶の分子の方位角を少
    なくとも2つ以上の異なる値に規定する手段は、前記第1
    界面および第2界面の両方に備えられていて、前記第1界
    面と前記第2界面で規定される前記方位角は互いに異な
    ることを特徴とする、請求項1または3に記載の表示素
    子。
  24. 【請求項24】 液晶は、負の誘電異方性を示すネマテ
    ィック液晶であることを特徴とする、請求項23に記載の
    表示素子。
  25. 【請求項25】 液晶は、負の誘電異方性を示すネマテ
    ィック液晶にカイラル物質を添加したものであることを
    特徴とする、請求項23に記載の表示素子。
  26. 【請求項26】 添加するカイラル物質の量は、液層の
    層厚の4倍のカイラルピッチを生じさせるのに必要な量
    よりも少ないことを特徴とする、請求項25に記載の表示
    素子。
  27. 【請求項27】 液晶の層厚は、カイラルピッチの概略
    1/4または3/4であることを特徴とする、請求項1に記載
    の表示素子。
  28. 【請求項28】 第1界面上での液晶の分子の方位角
    と、第2界面上での前記液晶の分子の方位角との差の絶
    対値は概略π/2または3π/2であることを特徴とする、
    請求項3に記載の表示素子。
  29. 【請求項29】 第1界面上での液晶の分子の方位角と
    第2界面上での液晶の分子の方位角との差をΦ、液晶の
    複屈折をΔn、層厚をd、用いる光の中心波長をλとし
    て、(数1)によりuを定義するとき、(数2)の関係を
    満たすことを特徴とする、請求項27または28に記載の表
    示素子。 【数1】 【数2】
  30. 【請求項30】 表示素子の異なる領域毎に中心波長の
    異なる2種類以上の光を用いる前記表示素子であって、
    各々の前記領域毎に(数1)を定義したときに、各々の
    前記領域 毎に(数2)の関係を満たすことを特徴とす
    る、請求項29に記載の表示素子。
  31. 【請求項31】 各々の領域毎に液晶の層厚が異なるこ
    とを特徴とする、請求項30に記載の表示素子。
  32. 【請求項32】 第1の基板あるいは第2の基板の、液晶
    と対向しない側の面には、位相差補償媒質が設けられて
    いることを特徴とする、請求項1または3に記載の表示素
    子。
  33. 【請求項33】 液晶の複屈折をΔn、層厚をdとすると
    き、位相差補償媒質の接線方向リターデーションの和の
    絶対値はΔndに概略等しいことを特徴とする、請求項32
    に記載の表示素子。
  34. 【請求項34】 互いに対向する第1の基板および第2の
    基板と、前記第1の基板と前記第2の基板の間に封入され
    た液晶と、前記第1の基板および第2の基板の前記液晶と
    対向する側の面に設けられている、前記液晶に電界を印
    加するための電極と、を備えた表示素子を用いた表示装
    置において、前記液晶の誘電異方性は負であり、前記液
    晶はカイラル性を示し、前記液晶の分子は、前記電界を
    印加しないときには、前記液晶の、前記第1の基板側の
    界面(第1界面と呼ぶ)、および前記液晶の、前記第2の
    基板側の界面(第2界面と呼ぶ)に対して概略垂直に配
    向する前記表示素子であり、前記液晶に前記電界を印加
    したときの、前記第1界面あるいは前記第2界面上での前
    記液晶分子の方位角を少なくとも2つ以上の異なる値に
    規定する手段を備えた、前記表示素子と、互いに消光方
    位に設置されていて前記表示素子を挟み込む2枚の偏光
    板と、前記表示素子に光を照射する光源とを備えた、表
    示装置。
  35. 【請求項35】 互いに対向する第1の基板および第2の
    基板と、前記第1の基板と前記第2の基板の間に封入され
    た液晶と、前記第1の基板および第2の基板の前記液晶と
    対向する側の面に設けられている、前記液晶に電界を印
    加するための電極と、を備えた表示素子を用いた表示装
    置において、前記液晶の誘電異方性は負であり、前記液
    晶の分子は、前記電界を印加しないときには、前記液晶
    の、前記第1の基板側の界面(第1界面と呼ぶ)、および
    前記液晶の、前記第2の基板側の界面(第2界面と呼ぶ)
    に対して概略垂直に配向する前記表示素子であり、前記
    液晶の分子は、前記電界を印加したときには、前記第1
    界面上での前記液晶の分子の方位角と、前記第2界面上
    での前記液晶の分子の方位角との差が0でない概略一定
    値である表示素子であり、前記液晶に前記電界を印加し
    たときの、前記第1界面あるいは前記第2界面上での前記
    液晶分子の方位角を少なくとも2つ以上の異なる値に規
    定する手段を備えた、前記表示素子と、互いに消光方位
    に設置されていて前記表示素子を挟み込む2枚の偏光板
    と、前記表示素子に光を照射する光源とを備えた、表示
    装置。
  36. 【請求項36】 請求項8に記載の表示素子を製造する
    方法であって、配向膜の異なる領域毎に伝搬方向あるい
    は偏光方向の異なる光を照射することにより、液晶に与
    えるプレチルトの方位角を少なくとも2つ以上の異なる
    値に規定する工程を含むことを特徴とする表示素子の製
    造方法。
  37. 【請求項37】 請求項9に記載の表示素子を製造する
    方法であって、第1の基板または第2の基板の異なる領域
    毎に、斜方蒸着時の方位角度を変えることにより、液晶
    に与えるプレチルトの方位角を少なくとも2つ以上の異
    なる値に規定する工程を含むことを特徴とする表示素子
    の製造方法。
  38. 【請求項38】 請求項29に記載の表示素子を製造す
    る方法であって、電界を印加したときの液晶の複屈折
    の、第1界面あるいは第2界面に平行な方向の成分の平均
    値が(数3)で表されるΔntになるときの前記液晶への
    印加電圧を最大変調電圧と定義するとき、前記液晶に前
    記最大変調電圧以上の電圧を印加することにより表示素
    子を駆動することを特徴とする表示素子の駆動方法。 【数3】
  39. 【請求項39】 表示素子の異なる領域毎に中心波長の
    異なる2種類以上の光を用いる前記表示素子であって、
    各々の前記領域毎に(数3)で表されるΔntになるとき
    の前記液晶への印加電圧を最大変調電圧と定義すると
    き、各々の前記領域毎に前記液晶に前記最大変調電圧以
    上の電圧を印加することにより表示素子を駆動する、請
    求項38に記載の表示素子の駆動方法。
  40. 【請求項40】 互いに対向する第1の基板および第2の
    基板と、前記第1の基板と前記第2の基板の間に封入され
    た液晶と、前記第1の基板および第2の基板の前記液晶と
    対向する側の面に設けられている、前記液晶に電界を印
    加するための電極と、を備えた表示素子において、前記
    液晶の誘電異方性は負であり、前記液晶はカイラル性を
    示し、記液晶に前記電界を印加したときの、前記液晶の
    前記第1の基板側の界面(第1界面と呼ぶ)、あるいは前
    記液晶の前記第2の基板側の界面(第2界面と呼ぶ)上で
    の前記液晶分子の方位角を少なくとも2つ以上の異なる
    値に規定する手段を備えた、表示素子。
  41. 【請求項41】 液晶と、前記液晶に電界を印加するた
    めの電極と、を備えた表示素子において、前記液晶の誘
    電異方性は負であり、前記液晶はカイラル性を示し、前
    記液晶に前記電界を印加したときの、前記液晶の界面の
    一部での前記液晶分子の方位角を少なくとも2つ以上の
    異なる値に規定する手段を備えた、表示素子。
  42. 【請求項42】 互いに対向する第1の基板および第2の
    基板と、前記第1の基板と前記第2の基板の間に封入され
    た液晶と、前記第1の基板および第2の基板の前記液晶と
    対向する側の面に設けられている、前記液晶に電界を印
    加するための電極と、を備えた表示素子において、前記
    液晶は自発分極をもっていて、前記液晶はカイラル性を
    示し、前記液晶の分子は、前記電界を印加しないときに
    は、前記液晶の、前記第1の基板側の界面(第1界面と呼
    ぶ)、および前記液晶の、前記第2の基板側の界面(第2
    界面と呼ぶ)に対して概略垂直に配向する表示素子であ
    り、前記液晶に前記電界を印加したときの、前記第1界
    面あるいは前記第2界面上での前記液晶分子の方位角を
    少なくとも2つ以上の異なる値に規定する手段を備え
    た、表示素子。
  43. 【請求項43】 互いに対向する第1の基板および第2の
    基板と、前記第1の基板と前記第2の基板の間に封入され
    た液晶と、前記第1の基板および第2の基板の前記液晶と
    対向する側の面に設けられている、前記液晶に電界を印
    加するための電極と、を備えた表示素子において、前記
    液晶は自発分極をもっていて、前記液晶の分子は、前記
    電界を印加しないときには、前記液晶の、前記第1の基
    板側の界面(第1界面と呼ぶ)、および前記液晶の、前
    記第2の基板側の界面(第2界面と呼ぶ)に対して概略垂
    直に配向する表示素子であり、前記液晶の分子は、前記
    電界を印加したときには、前記第1界面上での前記液晶
    の分子の方位角と、前記第2界面上での前記液晶の分子
    の方位角との差の絶対値が0でない概略一定値である表
    示素子であり、前記液晶に前記電界を印加したときの、
    前記第1界面あるいは前記第2界面上での前記液晶分子の
    方位角を少なくとも2つ以上の異なる値に規定する手段
    を備えた、表示素子。
  44. 【請求項44】 自発分極をもつ液晶は、強誘電性液晶
    または反強誘電性液晶であることを特徴とする、請求項
    42または43に記載の表示素子。
  45. 【請求項45】 互いに対向する第1の基板および第2の
    基板と、前記第1の基板と前記第2の基板の間に封入され
    た液晶と、前記第1の基板および第2の基板の前記液晶と
    対向する側の面に設けられている、前記液晶に電界を印
    加するための電極と、を備えた表示素子において、前記
    液晶の誘電異方性は正であり、前記液晶はカイラル性を
    示し、前記液晶の分子は、前記電界を印加しないときに
    は、前記液晶の、前記第1の基板側の界面(第1界面と呼
    ぶ)、および前記液晶の、前記第2の基板側の界面(第2
    界面と呼ぶ)に対して概略垂直に配向する表示素子であ
    り、前記電界の方向は前記第1の基板と前記液晶との界
    面に対して概略平行であり、前記電界の方位角は2つ以
    上の異なる値を有していることを特徴とする、表示素
    子。
  46. 【請求項46】 互いに対向する第1の基板および第2の
    基板と、前記第1の基板と前記第2の基板の間に封入され
    た液晶と、前記第1の基板および第2の基板の前記液晶と
    対向する側の面に設けられている、前記液晶に電界を印
    加するための電極と、を備えた表示素子において、前記
    液晶の誘電異方性は正であり、前記液晶の分子は、前記
    電界を印加しないときには、前記液晶の、前記第1の基
    板側の界面(第1界面と呼ぶ)、および前記液晶の、前
    記第2の基板側の界面(第2界面と呼ぶ)に対して概略垂
    直に配向する表示素子であり、前記電界の方向は前記第
    1の基板と前記液晶との界面に対して概略平行であり、
    前記液晶の分子は、前記電界を印加したときには、前記
    第1界面上での前記液晶の分子の方位角と、前記第2界面
    上での前記液晶の分子の方位角との差が0でない概略一
    定値である表示素子であり、前記電界の方位角は2つ以
    上の異なる値を有していることを特徴とする、表示素
    子。
  47. 【請求項47】 異なる電位に設定可能な2つの電極
    が、前記第1の基板あるいは第2の基板のいずれか一方
    の、前記液晶と対向する側に設けられていることを特徴
    とする、請求項44または45に記載の表示素子。
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