JP2001214741A - 圧縮自己着火式内燃機関 - Google Patents

圧縮自己着火式内燃機関

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JP2001214741A
JP2001214741A JP2000020549A JP2000020549A JP2001214741A JP 2001214741 A JP2001214741 A JP 2001214741A JP 2000020549 A JP2000020549 A JP 2000020549A JP 2000020549 A JP2000020549 A JP 2000020549A JP 2001214741 A JP2001214741 A JP 2001214741A
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健 内藤
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  • Combustion Methods Of Internal-Combustion Engines (AREA)
  • Exhaust-Gas Circulating Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 広い運転範囲にてノッキングを発生させるこ
となく自己着火性を向上させる。 【解決手段】 一方の吸気ポート7に排気を還流する排
気還流通路19を接続する。この一方の吸気ポート7か
ら排気を導入することで、燃焼室5内に、排気を還流さ
せたEGRガスAを含むEGR層を形成するとともに、
他方の吸気ポート7から新気Bのみを導入して形成する
空気層を形成する。EGR層と空気層との境界部分は温
度勾配の大きい領域であり、この領域に、燃焼室5の中
央上部に設けた燃料噴射弁により、燃料を噴射する。こ
れにより、温度勾配の大きい境界部分から予反応が開始
され、以後温度勾配に従って順次自己着火が温度の低い
領域に緩やかに進んでいく。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、燃焼室に直接燃
料を噴射する燃料噴射弁を備え、ピストンの圧縮作用に
より燃焼室内の混合気を自己着火して燃焼させる圧縮自
己着火式内燃機関に関する。
【0002】
【従来の技術】ガソリン内燃機関の熱効率を改善するた
めに、混合気をリーン化することでポンプ損失を低減す
るとともに、作動ガスの比熱比を大きくして理論熱効率
を向上する手法が知られている。しかしながら、従来の
火花点火式内燃機関では、空燃比をリーン化すると、燃
焼期間が長期化して燃焼安定度が悪化する。このため、
空燃比のリーン化には限界がある。
【0003】このような燃焼安定度の悪化を避けながら
空燃比をリーン化する技術として、特開平7−3321
41号公報には、予混合圧縮自己着火燃焼を起こさせる
圧縮自己着火内燃機関が開示されている。予混合圧縮自
己着火燃焼では、燃焼室の複数の位置から燃焼反応が起
こるため、空燃比がリーン化した場合においても火花点
火に比べると、燃焼期間が長期化せずに、よりリーンな
空燃比でも安定した燃焼が可能となる。また、空燃比が
リーンのために燃焼温度が低下し、NOxも大幅に低減
できる。
【0004】ところが、自己着火燃焼は、空燃比の影響
を強く受ける。例えば高負荷運転を考慮して空燃比をリ
ッチ化した場合には、燃焼反応を起こす燃料量が増加
し、燃焼が激しくなりノッキングを起こす。このため、
高負荷での自己着火燃焼による運転が、困難であるとい
う問題がある。
【0005】また、低負荷運転を考慮して空燃比をリー
ン化した場合には、燃料の濃度が低下して自己着火に至
る反応が充分進展せずに、燃焼が不安定となり運転性が
悪化する。
【0006】自己着火燃焼において燃料の着火性を改善
する技術として、従来では特開平11−182246号
公報に、高温の排気を吸気系に導入してシリンダ内の温
度を上昇させるものが開示されている。これは、二つの
吸気通路の一方に、排気通路に一端が接続される排気還
流通路の他端を接続し、この一方の吸気通路を介して燃
焼室に排気を導入し、他方の吸気通路には燃料を噴射し
てその混合気を燃焼室に導入する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来の内燃機関では、シリンダ内に高温の排気(EG
Rガス)を導入する構成となっているものの、燃料は、
吸入空気中に噴射されるので、高温のEGRガスによる
熱の影響を受けにくく、着火性が充分に改善されないも
のとなる。
【0008】これに対し、例えば、EGRガス中に燃料
を噴射するようにした場合には、ERGガス中の燃料が
一気に燃焼を起こし、燃焼が激しくなり、ノッキングを
引き起こす要因となる。
【0009】そこで、この発明は、広い運転範囲にてノ
ッキングを発生させることなく自己着火性を向上させる
ことを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、請求項1の発明は、燃焼室に直接燃料を噴射する燃
料噴射弁を備え、ピストンの圧縮作用により前記燃焼室
内の混合気を自己着火して燃焼させる圧縮自己着火式内
燃機関において、前記燃焼室内における温度勾配が大き
い領域に前記燃料噴射弁により燃料を噴射する構成とし
てある。
【0011】このような構成の圧縮自己着火式内燃機関
によれば、燃料が噴射された温度勾配の大きい領域から
予反応が開始される。このとき温度勾配があるために、
最初に着火するための着火源に必要な燃料は、ノッキン
グを起こすほど多くはない。また、着火後も、温度勾配
に従って順次自己着火が温度の低い領域に進んでいくた
め、急激な燃焼が回避され、緩やかな燃焼となる。
【0012】請求項2の発明は、請求項1の発明の構成
において、温度勾配が大きい領域は、燃焼室から排出さ
れて前記燃焼室に還流させた排気を含むEGR層と、吸
気通路から導入された新気で構成される空気層との境界
部分である構成としてある。
【0013】上記構成によれば、高温側のEGR層と低
温側の空気層との境界部分に燃料が噴射される。
【0014】請求項3の発明は、請求項2の発明の構成
において、吸気通路を二つ設け、一方の吸気通路に、排
気通路に一端が接続する排気還流通路の他端を接続し、
前記一方の吸気通路を経て排気を還流させる構成として
ある。
【0015】上記構成によれば、排気が排気還流通路か
ら一方の吸気通路を経て燃焼室に還流され、これにより
燃焼室内にEGR層が形成され、他方の吸気通路からは
新気が燃焼室に導入されて空気層が形成される。
【0016】請求項4の発明は、請求項3の発明の構成
において、二つの吸気通路に対応してそれぞれ設けられ
た二つの吸気弁の開時期を相互に異ならせた構成として
ある。
【0017】上記構成によれば、燃焼室への排気の導入
時期と新気の導入時期とが相互にずれ、特に、燃焼室内
にてスワールを形成するような場合には、先に導入した
ガスがピストン側に流入し、その上に、後に導入したガ
スが流入してEGR層と空気層との成層化が容易とな
る。
【0018】請求項5の発明は、請求項2の発明の構成
において、排気弁の閉時期を排気上死点後の吸気行程途
中とし、排気弁および吸気弁が共に開いているオーバラ
ップ期間を設定し、このオーバラップ期間中に、吸気導
入によって空気層を形成するとともに、排気通路から排
気を逆流させてEGR層を形成する構成としてある。
【0019】上記構成によれば、オーバラップ期間中
に、ピストンが下降することで、吸気通路から新気が、
排気通路から排気が、それぞれ燃焼室に導入されて、空
気層およびEGR層をそれぞれ形成する。
【0020】請求項6の発明は、請求項2の発明の構成
において、吸気通路内を二つの通路に分割する隔壁を設
け、前記分割した一方の通路に、排気通路に一端が接続
する排気還流通路の他端を接続し、前記一方の通路から
のみ排気を還流させる構成としてある。
【0021】上記構成によれば、排気が、排気還流通路
から、隔壁によって分割された一方の通路を経て燃焼室
に還流され、これにより燃焼室内にEGR層が形成さ
れ、他方の通路からは新気が燃焼室に導入されて空気層
が形成される。この場合は特に、燃焼室内でタンブル流
を形成する場合には、EGR層と空気層との成層化が容
易となる。
【0022】請求項7の発明は、請求項2ないし6のい
ずれかの発明の構成において、機関負荷が高くなるほ
ど、EGR層の割合を低くする構成としてある。
【0023】EGR層の割合が高くなると、当然空気層
の割合が減少するため、燃焼室内の酸素量が減少し、こ
れに伴い燃焼室に噴射できる燃料量が減少するため、機
関負荷が低下する。また、燃料の着火性を考慮した場合
には、燃料量が少ない低負荷では、EGR層の割合を高
くした方が有利である。
【0024】請求項8の発明は、請求項2ないし7のい
ずれかの発明の構成において、機関回転数が高くなるほ
ど、EGR層の割合を高くする構成としてある。
【0025】機関回転数が高くなるほど、予反応燃焼が
進む実時間が少なくなるため、燃焼反応が進みにくくな
る。これは、高回転ほど、燃料の着火性が悪化すること
を意味している。したがって、燃料の着火性を促進する
ためには、EGR層の割合を高くした方が有利である。
【0026】請求項9の発明は、請求項2ないし8のい
ずれかの発明の構成において、EGR層と空気層との割
合の変化に応じて燃料噴射時期を変化させる構成として
ある。
【0027】上記構成によれば、EGR層と空気層との
割合が変化すると、両層相互の境界部分の位置も変化
し、これに対応して燃料噴射時期を変化させることで、
境界部分への燃料供給が確実になされる。例えば、圧縮
工程後半の上死点付近で燃料を噴射すると、圧縮上死点
付近では背圧が高いので、燃料噴霧の貫徹力が抑えられ
ることから、燃料噴射弁付近に前記境界部分が形成され
ている場合に有効となる。一方、上記した時期より早期
に燃料噴射を行うと、背圧がより低い状態であるため、
燃料噴霧の貫徹力は大きくなり、したがってこの場合に
は、燃料噴射弁から離れた位置に境界部分がある場合に
有効となる。
【0028】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、燃焼室に直接
燃料を噴射する燃料噴射弁を備え、ピストンの圧縮作用
により前記燃焼室内の混合気を自己着火して燃焼させる
圧縮自己着火式内燃機関において、前記燃焼室内におけ
る温度勾配が大きい領域に前記燃料噴射弁により燃料を
噴射するようにしたため、温度勾配の大きい領域から温
度の低い領域へと順次自己着火燃焼が進み、急激な燃焼
によるノッキング発生を防止することができ、より広い
運転範囲にて安定した自己着火燃焼を生起させることが
できる。
【0029】請求項2の発明によれば、温度勾配が大き
い領域は、燃焼室から排出されて前記燃焼室に還流させ
た排気を含むEGR層と、吸気通路から導入された新気
で構成される空気層との境界部分であるため、高温側の
EGR層と低温側の空気層との境界部分に燃料を噴射す
ることで、自己着火燃焼は、この境界部分から順次発生
し、急激な燃焼によるノッキング発生を防止することが
でき、より広い運転範囲にて安定した自己着火燃焼を生
起させることができる。
【0030】請求項3の発明によれば、吸気通路を二つ
設け、一方の吸気通路に、排気通路に一端が接続する排
気還流通路の他端を接続し、前記一方の吸気通路を経て
排気を還流させるようにしたため、排気が排気還流通路
を通して一方の吸気通路から燃焼室に導入されてEGR
層を形成するとともに、他方の吸気通路からは新気が導
入されて空気層を形成し、これにより、温度勾配の大き
い領域を形成することができる。
【0031】請求項4の発明によれば、二つの吸気通路
に対応してそれぞれ設けられた二つの吸気弁の開時期を
相互に異ならせたため、燃焼室への排気の導入時期と新
気の導入時期とが相互にずれ、特に、燃焼室内にてスワ
ールを形成するような場合には、EGR層と空気層との
成層化が容易となり、温度勾配の大きい領域を確実に形
成することができる。
【0032】請求項5の発明によれば、排気弁の閉時期
を排気上死点後の吸気行程途中として、排気弁および吸
気弁が共に開いているオーバラップ期間を設定し、この
オーバラップ期間中に、吸気導入によって空気層を形成
するとともに、排気通路から排気を逆流させてEGR層
を形成するようにしたため、専用の排気還流装置を設け
ることなく、より簡素な構造で燃焼室内にて空気層およ
びEGR層をそれぞれ形成することができる。
【0033】請求項6の発明によれば、吸気通路内を二
つの通路に分割する隔壁を設け、前記分割した一方の通
路に、排気通路に一端が接続する排気還流通路の他端を
接続し、前記一方の通路からのみ排気を還流させるよう
にしたため、排気が排気還流通路を通して一方の通路か
ら燃焼室に導入されてEGR層を形成するとともに、他
方の通路からは新気が導入されて空気層を形成し、これ
により、温度勾配の大きい領域を形成することができ
る。
【0034】請求項7の発明によれば、機関負荷が高く
なるほど、EGR層の割合を低くするようにしたため、
低負荷時での着火性が向上するなど、負荷条件が変化し
ても、EGR層と空気層とを最適に形成することができ
て、より広い負荷領域において安定した圧縮自己着火運
転が可能となる。
【0035】請求項8の発明によれば、機関回転数が高
くなるほど、EGR層の割合を高くするようにしたた
め、高回転数域での燃焼反応が進みやすくなって燃料の
着火性が向上するなど、機関回転数が変化しても、EG
R層と空気層とを最適に形成することができて、より広
い回転領域において安定した圧縮自己着火運転が可能と
なる。
【0036】請求項9の発明によれば、EGR層と空気
層との割合の変化に応じて燃料噴射時期を変化させるよ
うにしたため、EGR層と空気層との割合が変化して、
両層相互の境界部分の位置が変化しても、前記境界部分
に燃料を確実に噴射することができる。
【0037】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図
面に基づき説明する。
【0038】図1は、この発明の第1の実施の形態を示
す圧縮自己着火式内燃機関の全体システム構成図、図2
は、その機関本体1周辺の簡略化した平面図である。エ
ンジン本体1は、ピストン3、燃焼室5、吸気通路を構
成する二つの吸気ポート7、排気通路を構成する二つの
排気ポート9、二つの吸気ポート7に対応してそれぞれ
設けられた二つの吸気弁11、二つの排気ポート9に対
応してそれぞれ設けられた二つの排気弁13をそれぞれ
備え、燃焼室5の上部中央には、ガソリン燃料を燃焼室
5に噴射供給する燃料噴射弁15が設置され、燃料噴射
弁15に隣接して火花点火燃焼時に作動する点火プラグ
17が設置されている。
【0039】一方の吸気ポート7と一方の排気ポート9
とは、排気還流通路19によって接続され、排気還流通
路19には、排気還流制御弁21が設けられている。こ
の排気還流制御弁21および前記した燃料噴射弁15、
点火プラグ17は、電子制御ユニット(ECU)23か
らの出力信号を受けて作動し、ECU23は、機関回転
数を検出するクランク角センサ25および、アクセル開
度(機関負荷)を検出するアクセル開度センサ27の各
出力信号の入力を受ける。
【0040】ECU23は、燃焼パターン判定部29、
火花点火燃焼制御部31、自己着火燃焼制御部33、E
GR制御部35および燃料噴射時期制御部37をそれぞ
れ備え、例えばマイクロコンピュータのプログラムとし
て実現されている。
【0041】燃焼パターン判定部29は、図3に示すよ
うに、中低負荷および中回転数以下の運転領域において
圧縮自己着火運転を行い、高負荷または高回転数域にお
いて火花点火燃焼を行うよう燃焼パターンを判定する。
火花点火燃焼制御部31は、燃焼パターン判定部29に
よって火花点火燃焼と判定されたときに、燃料噴射弁1
5、点火プラグ17を制御して火花点火燃焼を行わせ、
一方自己着火燃焼制御部33は、燃焼パターン判定部2
9によって自己着火燃焼と判定されたときに、EGR制
御部35および燃料噴射時期制御部37をそれぞれ制御
して自己着火燃焼を行わせる。EGR制御部35は、排
気還流制御弁21を制御して排気を吸気系に還流させる
排気還流量を変更し、燃料噴射時期制御部37は燃料噴
射弁15を制御して燃料噴射時期を変更する。
【0042】図4は、空燃比(A/F)に対する自己着
火燃焼が成立する範囲を斜線部で示している。空燃比を
リーンにしていくと燃焼安定度が悪化し、機関のトルク
変動が大きくなる。このため内燃機関として設計値、ま
たはこの内燃機関を搭載し車両の性格などとして許容で
きる安定度限界が安定度限界値Sthとなる空燃比AFL
がリーン限界となる。一方、空燃比をリッチにしていく
と、ノッキング強度が増大する。これにより、ノッキン
グ強度限界Nthにおける空燃比AFRがリッチ限界とな
る。
【0043】したがって、燃焼安定度限界AFLとノッ
キング強度限界AFRで囲まれる空燃比領域が、自己着
火燃焼成立範囲となる。このように、自己着火燃焼は限
られた空燃比範囲でしか成立しない。なお、ここではガ
スと燃料との割合を示す指標として空燃比A/Fを例に
説明したが、燃焼残留ガスあるいはEGRガス(排気還
流ガス)からなる既燃ガスが含まれる場合についても同
様の傾向を示し、この場合には、図4における横軸は、
新気と既燃ガスとを合わせたトータルのガス量と燃料量
との割合G/Fとなる。
【0044】自己着火燃焼は、低温酸化反応であるた
め、中間生成部ができる予反応を経過した後、最終的な
酸化反応である熱炎に至る。したがって、予反応の進展
度を見ると、自己着火燃焼成立の可能性を予測できる。
図5(a)および(b)は、ある圧力条件において、一
定時間経過後の予反応の進展度を、当量比(混合気濃
度)および温度に対してそれぞれ示している。当量比が
大きくなると、予反応の進展度が高くなっているが、そ
の変化傾向は緩やかである。一方、温度に対しては、高
温になるほど予反応の進展度が高く、その変化傾向は指
数関数的であり、温度に関する予反応進展度の感度が当
量比に比べて極めて高いことがわかる。
【0045】したがって、高温の燃焼ガスを使って自己
着火燃焼を促進することは有効であり、ここでは、燃焼
ガスとして排気を吸気系に還流させた排気還流ガス(E
GRガス)を利用している。
【0046】図6は、一方の排気ポート9から排気還流
通路19を経て一方の吸気ポート7に排気を還流させた
ときの吸気行程後の燃焼室5内のガス分布である。図中
で右側の一方の吸気ポート7に対応する燃焼室5におけ
る右側半分には新気とともにEGRガスAが、同左側半
分には他方の吸気ポート7から吸入された新気Bがそれ
ぞれ取り込まれている。
【0047】すなわち、燃焼室5内には、EGRガスA
を含むEGRガス層と、新気Bからなる空気層との成層
化が実現しており、各層の境界部分の中心Cに、図1に
示してある燃焼噴射弁15により燃料を噴射する。な
お、この成層化を実現するためには、二つの吸気ポート
7から吸入されるガス流をピストン頂部に設けた凹部に
沿って旋回させる、いわゆるタンブル流を、EGR層側
と空気層側とで別々に形成することで、より効果が上が
る。なお、EGR層と空気層の配置は左右逆にしてもよ
い。
【0048】図7は、上記図6における燃焼室5内の温
度分布(a)と、当量比(b)と、予反応進展度(c)
をそれぞれ示しており、横軸が図6のD−D線に対
応している。図7(a)に示すように、EGR層と空気
層との境界部分である燃焼室5の中心L付近には温度勾
配が大きい領域が存在する。ここに燃料を噴射すること
で、図7(b)のように中心部の当量比が大きくなる。
【0049】予反応燃焼は、燃料がリッチでかつ温度が
高い領域から進展していくので、図7(c)に示すよう
に、予反応進展度の高い着火点S点で開始され、このと
き温度勾配があるために最初に着火する燃料量はノッキ
ングを起こすほど多くはない。また、着火後も、温度勾
配に従って、順次自己着火が温度の低い領域に進んでい
くため、急激な燃焼とはならず、ノッキングは発生しな
い。その結果、自己着火燃焼の成立負荷範囲がより高負
荷側に拡大され、より広範囲にて安定した自己着火運転
が可能となる。
【0050】これに対し、図8に示す例は、従来例にお
ける、燃料をEGR層に噴射した場合に対応するもの
で、この場合には、高温のEGR層にある燃料は、急激
に予反応の進展が行われる。したがって、これをガソリ
ンの自己着火燃焼に適用した場合には、図8(b)に示
すように高温のEGR層にある燃料のリッチな領域が、
図8(c)におけるEで示すように、一度に自己着火を
起こし、急激な燃焼となり、ノッキングを誘発してしま
う。
【0051】一方、図9に示す例は、従来例における、
燃料を吸入空気中に噴射したものに対応するもので、燃
料を空気層に噴射したものである。この場合には、低温
の空気層にある燃料は、予反応の進展がなされない。し
たがって、これをガソリンの自己着火燃焼に適用した場
合には、図9(b)に示すように低温の空気層にある燃
料のリッチな領域が、図9(c)におけるFで示すよう
に、反応が進まずに自己着火が起こらず、失火してしま
う。
【0052】図10は、この発明の第2の実施の形態を
示す、前記図2に相当する平面図である。この実施の形
態は、前記第1の実施の形態に対し、図中で左側の他方
の吸気ポート7に吸気量を制限する吸気量制御弁39を
追加して設けるとともに、燃料噴射弁15を燃焼室5の
中心から、他方の吸気ポート7と他方の排気ポート9と
の間に移動させ、機関の運転負荷条件に応じ、EGR層
と空気層との割合を変化させるものである。
【0053】図11は、EGR層の割合に対する酸素量
と機関負荷との関係を示している。EGR層の割合が高
くなると、新気の割合が減少するため、燃焼室5内の酸
素量が減少する。この結果、燃焼室5内に噴射できる燃
料量が減少するので、負荷が低下する。また、燃料の着
火性を考慮した場合には、燃料量が少ない低負荷では、
EGR層の割合を高くした方が有利である。したがっ
て、負荷に応じてEGR層と空気層との割合を変化させ
ることが必要となる。
【0054】図12は、低負荷時での燃焼室5内のガス
分布である。低負荷時で吸気量制御弁39を閉じ気味に
することで、他方の吸気ポート7から導入される新気B
の量が減少し、これに対応して図中で右側の一方の吸気
ポート7から導入されるERGガスAの量が増加してE
GR層の割合が、前記図6に比べて高くなる。
【0055】図13は、高負荷時での燃焼室5内のガス
分布である。吸気量制御弁39を全開にする一方、排気
還流制御弁21の開度を小さくすることで、EGR層の
割合を小さくしている。
【0056】図14は、図12に示した低負荷時でのガ
ス分布における燃料噴射弁15により噴射された燃料G
を、図15は、図13に示した高負荷時でのガス分布に
おける燃焼噴射弁15により噴射された燃料Gを、それ
ぞれ示している。いずれにおいても、燃料Gは、EGR
層と空気層との境界部分に噴射されている。これによっ
て、前述した第1の実施の形態と同様な理由により、温
度勾配を利用して自己着火が順次行われていき、ノッキ
ングを起こすことなく緩やかな自己着火燃焼が実現でき
る。なお、燃料Gは、中心部分のgで示す領域がリッチ
であり、その周囲の領域がややリッチとなっている。
【0057】また、図14および図15のように、燃料
GをEGR層と空気層との境界部分に噴射するために
は、燃料噴射時期を変更することが必要である。低負荷
条件では、圧縮行程後半の上死点付近で燃料噴射を行
う。圧縮行程上死点付近では、背圧が高いため、燃料噴
霧の貫徹力が抑えられるため、図14のように、燃料噴
射弁15の近くにコンパクトな混合気が形成される。こ
のようなコンパクトな混合気は、噴射燃料量の少ない低
負荷時には、着火を促進するために有利である。
【0058】一方、高負荷条件では、低負荷条件に比べ
て早期に燃料噴射を行う。早期噴射を行う場合には、背
圧が低い条件となるので、燃料噴霧の貫徹力が大きくな
る。この結果、図15のように、燃料噴射弁15から離
れた位置に混合気が形成される。高負荷条件では、噴射
燃料量が多いため、燃料の拡散を促進するためにも、早
期噴射が有利である。
【0059】図16に、機関負荷に対する燃料噴射時期
を示す。負荷が高くなるほど燃料噴射時期が進角されて
いる。このように、EGR層と空気層との割合に応じ
て、燃料噴射時期を変化させることによって、負荷条件
が変わった場合においても、EGRガス層と空気層との
境界部分に燃料を噴射することができ、圧縮自己着火燃
料を成立させることができる。
【0060】次に、第3の実施の形態について説明す
る。この第3の実施の形態の構成は、前記図10に示し
た第2の実施の形態と同様であるが、機関回転数に応じ
て EGR層と空気層とを変化させる点が、第2の実施
の形態と異なる。そして、この場合においても、EGR
層と空気層との境界部分に燃料を噴射するよう、燃料噴
射時期を変更する。
【0061】図17は、特定クランク角条件における機
関回転数に対する予反応進展度を示している。機関回転
数が高くなるほど、予反応が進む実時間が少なくなるた
め、予反応進展度が低下する。これは、高回転ほど、燃
料の着火性が悪化することを示している。したがって、
高回転域では、着火性を促進させるために、EGR層を
高くした方が有利である。
【0062】このように、機関回転数に応じてEGR層
と空気層との割合を変更するとともに、燃料噴射時期を
変更することで、機関回転数が変化した場合において
も、EGR層と空気層との境界部分に燃料を噴射するこ
とができ、圧縮自己着火燃焼を成立させることができ
る。
【0063】図18は、機関負荷および機関回転数に対
するEGR層と空気層との割合を示す。低負荷で、高回
転ほどEGR層の割合を大きくする。図19は、機関負
荷および機関回転数に対する燃料噴射時期を示す。低負
荷で、高回転ほど燃料噴射時期を遅角する。これは、前
述したように、EGR層の割合が高くなるほど、EGR
層と空気層との境界部分が燃料噴射弁15に近づくため
である。
【0064】図20は、圧縮自己着火燃焼の成立範囲を
示す。実線で囲まれた範囲が、低負荷で、高回転ほどE
GR層の割合を大きくした場合の本実施例による圧縮自
己着火燃焼領域で、破線で囲まれた従来の圧縮自己着火
燃焼領域に比べると、低負荷側および高負荷側でそれぞ
れ拡大され、機関回転数についても、より高回転側に拡
大されている。
【0065】図21は、この発明の第4の実施の形態を
示す、前記図2に相当する平面図である。この実施の形
態は、前記第1の実施の形態に対し、図中で左側の他方
の吸気ポート7にも、排気還流通路19を同左側の他方
の排気ポート9に接続するとともに、二つの吸気ポート
7に、燃焼室5の開口部から排気還流通路19の接続部
よりやや上流側まで延長される隔壁41を設けている。
燃料噴射弁15は、第1の実施例と同様に燃焼室5の中
央である。
【0066】図22は、上記した第4の実施の形態にお
ける燃焼室5内のガス分布である。図中で右側の一方の
吸気ポート7では、隔壁41の右側の通路に排気が還流
されてERGガスAが導入されるので、燃焼室5内で
は、図中で右側の内壁に沿った位置にEGR層が形成さ
れる。また、図中で左側の他方の吸気ポート7では、隔
壁41の左側の通路に排気が還流されてERGガスAが
導入されるので、燃焼室5内では、図中で左側の内壁に
沿った位置にEGR層が形成される。そして、左右のE
GR層に挟まれた中央部分には、新気Bが導入されて空
気層が形成される。なお、EGR層と空気層の配置は逆
にしてもよい。
【0067】図23は、図22に示したガス分布におい
て燃焼噴射弁15により噴射された燃料Gを示してい
る。この場合の燃料噴射弁15は、左右の境界部分に指
向する噴射孔をそれぞれ備え、これによって燃料Gは、
EGR層と空気層との境界部分に噴射することが可能と
なっている。なお、この場合、左右の境界部分に指向す
る噴射孔を備えていなくても、通常の拡散型の噴射弁で
あっても構わない。
【0068】上記した第4の実施の形態においても、運
転条件によって排気還流制御弁21の開度を制御してE
GR層と空気層との割合を変更したときに、EGR層と
空気層との境界部分が左右に変化するが、燃料噴射時期
を変えることで、容易にEGR層と空気層との境界部分
に燃料を噴射することが可能となる。
【0069】図24は、この発明の第5の実施の形態を
示す圧縮自己着火式内燃機関の全体システム構成図であ
る。この実施の形態は、第1の実施の形態に対し、排気
還流通路19および排気還流制御弁21がなく、排気弁
13に対する可変バルブタイミング機構43を追加して
おり、排気弁13の開閉タイミングを変更することによ
って、EGR層と空気層とを形成するようにしている。
可変バルブタイミング機構43は、例えば電磁コイルに
よる電磁駆動弁機構を用いてもよく、機械的な公知の可
変動弁機構を用いてもよい。燃料噴射弁15は、吸気ポ
ート7側に設置している。
【0070】図25(a)〜(d)は、吸気行程から排
気行程までの4行程のガス分布を示す。図25(a)の
吸気行程では吸気弁11および排気弁13がともに開い
ているため、吸気ポート7からは新気が、排気ポート9
からは排気が、燃焼室5内にそれぞれ流入し、燃焼室5
内では、図中で右側の排気ポート9側の半分がEGRガ
スAが導入されたEGR層となり、左側の吸気ポート7
側の半分が新気Bが導入された空気層となる。図25
(b)の圧縮行程の上死点付近では、燃料噴射弁15に
よりEGR層と空気層との境界部分に燃料を噴射し、自
己着火燃焼した後に、同図(c)の膨張行程および同図
(d)の排気行程に移行する。
【0071】図26(a)は、圧縮自己着火燃焼時での
バルブリフト特性であり、同図(b)で示す火花点火燃
焼時での同特性に対し、排気弁13の閉時期を、排気行
程上死点(TDC)後に充分遅角してある。このよう
に、可変バルブタイミング機構43により排気弁13の
閉時期を変更することで、火花点火燃焼と圧縮自己着火
燃焼とを実現することができる。
【0072】図27(a),(b)は、この発明の第6
の実施の形態を示している。この実施の形態は、前記図
24に示した第5の実施の形態と同様に、可変バルブタ
イミング機構により排気弁13の閉時期を遅らせてEG
R層と空気層とを形成するものであるが、第5の実施の
形態に対し、燃料噴射弁15を吸気ポート7側に移動さ
せるとともに、排気弁13の閉時期を変更してEGR層
と空気層との割合を変更している。
【0073】図28(a),(b)は、共に圧縮自己着
火燃焼時でのバルブリフト特性を示している。同図
(a)は、排気弁13の閉時期を図26(a)の場合に
対し、さらに吸気下死点(BDC)側に遅角させて、図
27(a)に示すように、EGRガスAの導入によるE
GR層の割合を高くするものである。一方図28(b)
は、排気弁13の閉時期を図26(a)の場合に対し、
排気上死点(TDC)側に進角させて、図27(b)に
示すように、EGR層の割合を低くするものである。
【0074】このように、排気弁13の閉時期を制御す
ることで、EGR層と空気層との割合を変更でき、広い
運転範囲での圧縮自己着火燃焼が可能となる。
【0075】また、燃料噴射弁15を吸気ポート7側に
設置してあるので、EGR層と空気層との境界部分が、
図27(a)のように、吸気ポート7側に位置する場合
や、図27(b)のように、排気ポート13側に位置す
る場合など、変化しても、前記図14および図15で示
したように、燃料噴射時期を変更することで、境界部分
に燃料Gを噴射することが可能となる。すなわち、図2
7(a)のように、EGR層と空気層との境界部分が燃
焼噴射弁15に近い場合は、燃焼室5内の背圧が高い圧
縮上死点付近で燃料を噴射し、図27(b)のように、
EGR層と空気層との境界部分が燃料噴射弁15から離
れている場合は、図27(a)の場合よりも早期に燃料
噴射を行う。
【0076】図29は、この発明の第7の実施の形態を
示す、図2に相当する平面図である。この実施の形態
は、二つの吸気ポート7の燃焼室5に対する接続方向
が、燃焼室5内のガス流れが内壁に沿って周方向に旋回
するスワール流となるよう傾斜している。なお、吸気ポ
ート7を傾斜させる代わりにヘリカルポートを用いても
構わない。
【0077】図30は、燃焼室5内のガス分布を示して
いる。図中下部側のピストン3に接する側がEGRガス
Aが導入されたEGR層で、上部側が新気Bが導入され
た空気層となっている。なお、EGR層と空気層の配置
は上下逆でもよい。燃焼噴射弁15は、燃焼室5の中央
上部に配置されており、噴射された燃料GはEGR層と
空気層との境界部分に噴射している。この場合、燃焼噴
射弁15は、ピストン3が最も上昇した圧縮上死点付近
で、かつ図中でほぼ水平方向に向けて噴射することで、
より確実に上記境界部分に燃料を噴射することが可能と
なる。
【0078】燃焼室5内の上下に空気層とEGR層とを
成層化するには、図31(a),(b)に示すように、
二つの吸気ポート7を開閉するそれぞれの吸気弁が開と
なっている時期を異ならせることで、達成可能となる。
すなわち、排気還流通路19が接続されている一方の吸
気ポート7側の吸気弁を先に開弁することで、図30の
ようにEGRガスAが燃焼室5の下部側に導入されてE
GR層が形成され、続いて図29中で左側の他方の吸気
ポート7側の吸気弁の開弁により新気Bが導入されて、
EGR層の上部に空気層が形成される。
【0079】図31(a)は、同図(b)のものに比
べ、EGR層を形成する側の吸気弁の開弁時間を長く、
空気層を形成する側の吸気弁の開弁時間を短くして、E
GR層の割合を図31(b)より多くしている。
【0080】なお、空気層側の吸気弁を先に開き、EG
R層の吸気弁を後に開くようにすることで、図30とは
逆に、ピストン3に接する下部側を空気層とし、上部側
をEGR層となるようにしてもよい。
【0081】また、燃焼室5内にスワール流を形成する
ことなく、二つの吸気弁が開となっている時期を異なら
せるだけでも、EGR層と空気層との成層化が可能であ
る。さらに、二つの吸気弁が開となっている時期を異な
らせることなく、スワール流を形成するだけでも、EG
R層と空気層とを成層化できる。
【0082】なお、上記した各実施の形態におけるEG
R層と空気層との境界部分は、燃焼室内における温度勾
配の大きい領域に相当する。このため、ERG層を形成
せずに、単に空気層のみによって燃焼室内の温度勾配の
大きい領域に燃料を噴射するようにしても、同様の効果
が得られる。
【0083】一般に、燃焼室内では、内壁から外部に熱
が放出されるので、この内壁付近の温度勾配が最も大き
くなる。したがって、この内壁付近に燃料を噴射するこ
とで、内壁付近が燃料リッチとなり、この燃料リッチな
温度勾配の大きい領域で自己着火が開始され、ここから
温度の低い領域に向かって順次自己着火して緩やかな燃
焼となる。これにより、急激な燃焼の発生によるノッキ
ングが防止される。
【0084】このような温度勾配の大きい領域を形成す
るには、燃焼室内にスワール流を形成することでより一
層効果がある。図32(a)は、燃焼室内の中心から内
壁にわたる温度勾配の変化を、実線で示すスワール有り
の場合と、破線で示すスワール無しの場合とで示してい
る。これによれば、スワール有りの場合の方が、内壁に
沿う旋回流によって熱が外側に逃げるので、内壁付近に
て温度勾配が大きく、したがって、同図(b)のよう
に、この内壁付近に燃料を噴射してこの付近を燃料リッ
チにすることで、急激な燃焼の発生によるノッキングが
防止される。
【0085】また、図33に示すように、ピストン3の
形状を、ピストン頂部に凹部3aを形成することでも、
中央部分がより高温に保持され、内壁付近の温度勾配を
大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態を示す圧縮自己着火
式内燃機関の全体システム構成図である。
【図2】図1の圧縮自己着火式内燃機関における機関本
体周辺の簡略化した平面図である。
【図3】図1の圧縮自己着火式内燃機関における運転条
件に対する燃焼パターン特性図である。
【図4】空燃比(A/F)に対する自己着火燃焼が成立
する範囲を示す説明図である。
【図5】自己着火燃焼における予反応進展度特性図であ
り、(a)は当量比に対するもの、(b)は温度に対す
るものである。
【図6】この発明の第1の実施の形態における燃焼室内
のガス分布を示す説明図である。
【図7】図6のガス分布において、燃料をEGR層と空
気層との境界部分に噴射した場合の燃焼室内の温度
(a)、当量比(b)、予反応進展度(c)を示す説明
図である。
【図8】図6のガス分布において、燃料をEGR層に噴
射した場合の燃焼室内の温度(a)、当量比(b)、予
反応進展度(c)を示す説明図である。
【図9】図6のガス分布において、燃料を空気層に噴射
した場合の燃焼室内の温度(a)、当量比(b)、予反
応進展度(c)を示す説明図である。
【図10】この発明の第2の実施の形態を示す、図2に
相当する平面図である。
【図11】第2の実施の形態に係わるもので、EGR割
合に対する酸素量と負荷との相関図である。
【図12】第2の実施の形態における機関低負荷時での
燃焼室内のガス分布を示す説明図である。
【図13】第2の実施の形態における機関高負荷時での
燃焼室内のガス分布を示す説明図である。
【図14】第2の実施の形態における機関低負荷時での
燃料分布を示す説明図である。
【図15】第2の実施の形態における機関高負荷時での
燃料分布を示す説明図である。
【図16】第2の実施の形態における機関負荷に対する
燃料噴射時期特性図である。
【図17】第3の実施の形態に係わるもので、機関回転
数に対する予反応進展度特性図である。
【図18】機関負荷と機関回転数に対するEGR層割合
を示す説明図である。
【図19】機関負荷と機関回転数に対する燃料噴射時期
を示す説明図である。
【図20】機関負荷および機関回転数に応じてEGR層
割合および燃料噴射時期を変更した場合の圧縮自己着火
燃焼領域を従来のものと比較して示した説明図である。
【図21】この発明の第4の実施の形態を示す、図2に
相当する平面図である。
【図22】第4の実施の形態における燃焼室内のガス分
布を示す説明図である。
【図23】第4の実施の形態における燃焼室内の燃料分
布を示す説明図である。
【図24】この発明の第5の実施形態を示す圧縮自己着
火式内燃機関の全体システム構成図である。
【図25】第5の実施形態における4サイクル行程図で
ある。
【図26】第5の実施形態におけるバルブリフト特性で
あり、(a)は圧縮自己着火燃焼時でのもの、(b)は
火花点火燃焼時でのものである。
【図27】第5の実施の形態における燃焼室内のガス分
布および燃料分布を示す説明図であり、(a)はEGR
層の割合が大、(b)はEGR層の割合が小のものであ
る。
【図28】この発明の第6の実施の形態を示すバルブリ
フト特性図であり、(a)はEGR層の割合が大、
(b)はEGR層の割合が小のものである。
【図29】この発明の第7の実施の形態を示す、図2に
相当する平面図である。
【図30】第7の実施の形態における燃焼室内のガス分
布および燃料分布を示す説明図である。
【図31】第7の実施形態におけるバルブリフト特性で
あり、(a)はEGR層の割合が大、(b)はEGR層
の割合が小のものである。
【図32】(a)は燃焼室内における温度勾配特性図、
(b)は(a)の温度勾配の大きい領域に燃料を噴射し
た場合の当量比特性図である。
【図33】燃焼室内に温度勾配を形成するためのピスト
ン形状を示す断面図である。
【符号の説明】
3 ピストン 5 燃焼室 7 吸気ポート(吸気通路) 9 排気ポート(排気通路) 11 吸気弁 13 排気弁 15 燃料噴射弁 19 排気還流通路 41 隔壁 A EGRガス B 新気
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F02D 21/08 301 F02D 21/08 301C 41/02 351 41/02 351 41/40 41/40 D 43/00 301 43/00 301N 301J 301Z F02M 25/07 510 F02M 25/07 510B 570 570A 570D 570J (72)発明者 寺地 淳 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 青地 英治 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 Fターム(参考) 3G023 AA06 AA18 AB03 AB06 AC05 AD03 AD07 AG01 AG03 3G062 AA01 AA07 BA05 BA09 GA05 GA06 GA15 3G084 AA00 BA15 BA20 BA23 CA03 CA04 CA09 DA38 FA10 FA33 FA38 3G092 AA01 AA06 AA11 AA17 BB06 DA03 DA12 DC08 DE03S FA16 GA03 GA16 HE01Z HE03Z HF08Z 3G301 HA01 HA04 HA09 HA10 HA13 HA17 HA19 JA22 KA06 KA23 LA00 LB04 MA18 PE01Z PE03Z PF03Z

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燃焼室に直接燃料を噴射する燃料噴射弁
    を備え、ピストンの圧縮作用により前記燃焼室内の混合
    気を自己着火して燃焼させる圧縮自己着火式内燃機関に
    おいて、前記燃焼室内における温度勾配が大きい領域に
    前記燃料噴射弁により燃料を噴射することを特徴とする
    圧縮自己着火式内燃機関。
  2. 【請求項2】 温度勾配が大きい領域は、燃焼室から排
    出されて前記燃焼室に還流させた排気を含むEGR層
    と、吸気通路から導入された新気で構成される空気層と
    の境界部分であることを特徴とする請求項1記載の圧縮
    自己着火式内燃機関。
  3. 【請求項3】 吸気通路を二つ設け、一方の吸気通路
    に、排気通路に一端が接続する排気還流通路の他端を接
    続し、前記一方の吸気通路を経て排気を還流させること
    を特徴とする請求項2記載の圧縮自己着火式内燃機関。
  4. 【請求項4】 二つの吸気通路に対応してそれぞれ設け
    られた二つの吸気弁の開時期を相互に異ならせたことを
    特徴とする請求項3記載の圧縮自己着火式内燃機関。
  5. 【請求項5】 排気弁の閉時期を排気上死点後の吸気行
    程途中とし、排気弁および吸気弁が共に開いているオー
    バラップ期間を設定し、このオーバラップ期間中に、吸
    気導入によって空気層を形成するとともに、排気通路か
    ら排気を逆流させてEGR層を形成することを特徴とす
    る請求項2記載の圧縮自己着火式内燃機関。
  6. 【請求項6】 吸気通路内を二つの通路に分割する隔壁
    を設け、前記分割した一方の通路に、排気通路に一端が
    接続する排気還流通路の他端を接続し、前記一方の通路
    からのみ排気を還流させることを特徴とする請求項2記
    載の圧縮自己着火式内燃機関。
  7. 【請求項7】 機関負荷が高くなるほど、EGR層の割
    合を低くすることを特徴とする請求項2ないし6のいず
    れかに記載の圧縮自己着火式内燃機関。
  8. 【請求項8】 機関回転数が高くなるほど、EGR層の
    割合を高くすることを特徴とする請求項2ないし7のい
    ずれかに記載の圧縮自己着火式内燃機関。
  9. 【請求項9】 EGR層と空気層との割合の変化に応じ
    て燃料噴射時期を変化させることを特徴とする請求項2
    ないし8のいずれかに記載の圧縮自己着火式内燃機関。
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