JP2001213433A - 輸送用パレット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】環境性能と通気性、排水性の優れた輸送用パレ
ットを実現する。 【解決手段】荷物の載置面を形成する大上面板２、中上
面板３、小上面板４として、縦横に配列した複数の貫通
孔を有する板材を用いているため、上面を角材を用いて
構成した場合に比べ、荷物下面とパレット上面の間の通
気性、排水性を向上することができる。また、このよう
な板材としては、他製品の製造工程においてスラグとし
て生じるものを使用することができるので、比較的安価
に輸送用パレットを構成することができ、また、スラグ
の二次利用によって、本輸送用パレットの環境性能を高
めることができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【0001】

【発明の属する技術分野】

【0002】本発明は、アルミニウムまたはアルミニウム合
金製の輸送用パレットの構造に関するものである。

【0003】

【従来の技術】

【0004】従来より、荷物の輸送に用いられる輸送用パレ
ットとしては、木製、プラスチック（樹脂）製、スチー
ル製、アルミニウムまたはアルミニウム合金製（以下、
「アルミ製」と記す）のものが使用されている。

【0005】また、このうち、アルミ製のパレットとして
は、角柱のアルミ材を組み合わせて製作した、たとえ
ば、図６に示す構造の、対向する２側面からフォークリ
フトのフォークを差し入れることのできる、いわゆる二
方差しタイプのパレットが知られている。

【0006】

【発明が解決しようとする課題】

【0007】さて、アルミ製のパレットは、強度、耐久性、
経時劣化性、耐熱性、耐寒性、補修性、軽量性、衛生
性、美観を兼ね備えている反面、高価であり、また、ス
チール性のものと比べれば強度に劣るため、経済的価格
や、アルミ性の利点を充分に生かしたまま、４側面から
フォークリフトのフォークを差し入れることのできる、
いわゆる四方差しタイプのものを実現することが困難で
あった。すなわち、四方差しタイプとするためには二方
差しタイプに比べより強い強度を要する。そして、強度
を上げるために板厚を増すなどアルミの使用量を多くす
れば、パレットの価格が増加せざるを得ないし、せっか
くのアルミ製の軽量性などの利点も充分に生かしきれな
いことになる。

【0008】また、アルミ製のパレットは、ほぼ１００％リ
サイクル可能であるため、アルミ自体の再利用という観
点かららは環境性能に優れているが、アルミの再利用の
ために必要となる工程で要する資源コストの観点からみ
れば、その環境性能は、まだ充分ではない。

【0009】また、従来のアルミ製のパレットは、角柱のア
ルミ材を組み合わせ作成されているため、どうしても、
荷物下面とパレット上面の間の接触面積が大きくなるた
めに通気性、排水性が悪くなり、たとえば冷凍食品など
の漏水やパレット上面への張り付き（凍り付き）を生じ
る荷物を運搬する際には、梱包箱の破損や汚れなどの支
障が生じることがあった。

【0010】そこで、本発明は、アルミ材料の使用量の増加
を抑えつつ、強度に優れた構造を有するアルミ製の輸送
パレットを提供することを課題とする。また、本発明
は、より環境性能に優れたアルミ性の輸送用パレットを
提供することを課題とする。また、本発明は、荷物下面
とパレット上面の間の通気性、排水性に優れた、アルミ
性の輸送用パレットを提供することを課題とする。

【0011】

【課題を解決するための手段】

【0012】前記課題達成のために、本発明は、たとえば、
アルミニウムまたはアルミニウム合金製の輸送用パレッ
トであって、

【0013】荷物載置面を形成する上面板材と、

【0014】前記上面板材に連結し、前記上面板材を下方よ
り支持する支持材とを有し、

【0015】前記上面板材は、その板面に対して垂直な方向
から見て縦横に整列した、複数の貫通孔を有することを
特徴とする輸送用パレットを提供する。

【0016】このような輸送用パレットによれば、板面に対
して垂直な方向から見て縦横に整列した、複数の貫通孔
を有する上面板材を用いているため、上面を角材を用い
て構成した場合に比べ、荷物下面とパレット上面の間の
通気性、排水性を向上することができる。また、このよ
うな複数の貫通孔を有する板材としては、他製品の製造
工程においてスラグとして生じるものを使用することが
でき、このような板材を用いることにより、比較的安価
に輸送用パレットを構成することができ、また、スラグ
の二次利用によって、本輸送用パレットの環境性能を高
めることができる。

【0017】また、前記課題達成のために本発明は、アルミ
ニウムまたはアルミニウム合金製の輸送用パレットであ
って、

【0018】荷物載置面を形成する上面板材と、

【0019】前記上面板材に連結し、前記上面板材を下方よ
り支持する支持材とを有し、

【0020】前記上面板材は、その板面に垂直な凸凹を備え
た形状を有することを特徴とする輸送用パレットを提供
する。

【0021】このように、上面板材を、その板面に垂直な凸
凹を備えた形状とすることにより、その板厚を増加する
ことなく、その強度を増加することができる。また、こ
の凸凹形状によって、荷物下面とパレット上面の間の通
気性、排水性を向上することもできる。

【0022】また、この場合において、上面板材に、複数の
貫通孔を有する板材を用いれば、所望の強度を得つつ、
輸送用パレットを軽量化することもできる。

【0023】また、本発明は前記課題達成のために、略平箱
形状を有する、アルミニウムまたはアルミニウム合金製
の輸送用パレットであって、

【0024】前記略平箱形状の４側面を形成するフレーム
と、

【0025】前記フレームに連結された前記略平箱形状の上
面を形成する上面板材と、

【0026】前記フレームに連結された前記略平箱形状の下
面を形成する下面板材と、

【0027】前記略平箱形状の内部で、前記下面板材と上面
板材を連結し、前記上面板材を下方より支持する複数の
柱材とを有し

【0028】前記フレームは、その４側面に、それぞれ、輸
送用パレットを持ち上げ、運搬するためのフォークを挿
入するための貫通孔を有し、

【0029】前記複数の柱材のそれぞれは、前記４側面の任
意の側面の貫通孔から挿入されたフォークと干渉しない
位置に配置されていることを特徴とする輸送用パレット
を提供する。

【0030】このような輸送用パレットによれば、４側面を
形成するフレームとフレーム内部の柱材によって、上面
を支持する構造とし、かつ、各柱材を４側面の任意の側
面の貫通孔から挿入されたフォークと干渉しない位置に
配置したこといより、輸送用パレットの強度を増加し、
実用的な耐荷重の４方差しタイプの輸送用パレットを、
特に板厚の大きなアルミ材を使用することなく実現する
ことができる。

【0031】

【発明の実施の形態】

【0032】以下、本発明の実施形態について説明する。

【0033】図１に、本実施形態に係る輸送用パレットの外
観を示す。

【0034】本輸送用パレットは、図中の上面のみが荷物の
載置用として構成されたいわゆる片面タイプで、かつ、
４側面からフォークリフトのフォークを差し入れること
のできるいわゆる四方差しタイプの輸送用パレットであ
る。また、本輸送用パレットの主要部材は、全てアルミ
製である。

【0035】次に、図２、図３に、本輸送用パレットの形
状、構造を示す。

【0036】図２ａは輸送用パレットの上面を、図２ｂは下
面を、図２ｃは正面を、図２ｄは右側面を、図２ｅは図
２ａ中Ａ−Ａ切断端部断面を、図２ｆは図２ａ中Ｂ−Ｂ
切断端部断面を、図２ｇは図２ａ中Ｃ−Ｃ切断端部断面
を、図２ｈは図２ａ中Ｄ−Ｖ切断端部断面を示す。

【0037】また、図３は、輸送用パレットの構造を模式的
に示した図である。

【0038】図示するように、本輸送用パレットは、フレー
ム１、２つの大上面板２、２つの中上面板３、４つの小
上面板４、２つの上面装飾板５、２つの側部下面板６、
一つの中央下面板７、６つの「く」の字状連結補強材
８、４つの「コ」の字状連結補強材９を、リベット（図
示を省略）で連結した構造を有している。ここで、フレ
ーム１、２つの大上面板２、２つの中上面板３、４つの
小上面板４、２つの上面装飾板５、２つの側部下面板
６、一つの中央下面板７、６つの「く」の字状連結補強
材８、４つの「コ」の字状連結補強材９は、全てアルミ
製である。

【0039】さて、図示するように、本輸送用パレットで
は、上下方向より見て、４つの「く」の字状連結補強材
８はフレーム１のコーナーに各々配置され、２つの
「く」の字状連結補強材８はフレーム１の中央に、フレ
ーム１の４辺と並行な四辺を有する四角形を構成するよ
うに、フレーム１の中央に配置され、４つの「コ」の字
状連結補強材９はフレーム１の各辺の中央に配置されて
いる。

【0040】また、上下方向より見て、４つの小上面板４
は、いわゆる「井」字形状を形成するようにフレーム１
上面に配置され、２つの側部下面板６、一つの中央下面
板７は、いわゆる「川」字形状を形成するようにフレー
ム１下面に配置され、２つの上面装飾板５は、２つの大
上面板２の下面に配置されている。

【0041】また、フレーム１の４側面の各々には、その側
面の一端に配置されている２つの「く」の字状連結補強
材８と中央に配置されている「コ」の字状連結補強材９
との間と、その側面の他端に配置されている２つの
「く」の字状連結補強材８と中央に配置されている
「コ」の字状連結補強材９との間との２カ所に、それぞ
れ、フォークリフトのフォーク挿入用の２つの貫通孔で
ある挿入孔が設けられている。

【0042】さて、フレーム１には、中央の２つのくの字状
連結補強材を除く、４つの「く」の字状連結補強材８、
４つの「コ」の字状連結補強材９が、図３に示すように
配置でリベット止めされている。また、２つの大上面板
２、２つの中上面板３、４つの小上面板４は、それぞれ
フレーム１と、上下方向から見て重なる位置にある
「く」の字状連結補強材８および「コ」の字状連結補強
材９とにリベット止めされている。また、２つの大上面
板２と２つの中上面板３は、それぞれ中央の２つの
「く」の字状連結補強材８のうちの、上下方向から見て
重なる位置にある「く」の字状連結補強材８にもリベッ
ト止めされている。また、２つの大上面板２の下面に
は、それぞれ２つの上面装飾板５がリベット止めされて
いる。そして、２つの側部下面板６、一つの中央下面板
７は、それぞれフレーム１と、上下方向から見て重なる
位置にある「く」の字状連結補強材８および「コ」の字
状連結補強材９とにリベット止めされている。

【0043】次に、図４に大上面板２を代表例として、２つ
の大上面板２、２つの中上面板３、４つの小上面板４の
構造を示す。

【0044】図４ａの大上面板２上面に示すように、これら
は全て、縦横に配列した円形のパンチ孔が設けられた板
材を適当な長さに切断したものである。ここで、この板
材としては、円形のアルミ材を製造するときに生じるス
ラグを使用する。このようなスラグは、たとえばアルミ
製のマーカーペンなどの円筒形の容器の底用の部材とし
て、円形のアルミ材を板状のアルミ板から切り抜いて
（打ち抜いて）製造する際に生じるものであり、本来ス
ラグであることより、一般的に安価である。また、この
ようなスラグを二次利用することにより、トータルで見
て、アルミの再利用のために要する資源コストは減少す
る。

【0045】さて、本実施形態では、このようなスラグとし
て得られたアルミ材を適当な長さに切断し、さらに、図
４ｂ、図４ｃ、図４ｄに示すように、プレス処理により
その板面に垂直な凸凹を設け立体構造とすることによ
り、荷物を載置する上面の強度を増加する。

【0046】また、このように、本実施形態に係る輸送用パ
レットでは、荷物を載置する上面に縦横に配列した円形
のパンチ孔が設けられた板材を用いていることと、その
板面に垂直な凸凹を設けていることより、通気性、排水
性に優れた荷物載置面が形成される。このため、本輸送
用パレットは、冷凍食材その他の漏水が生じるような荷
物の運搬に対する好適性をも有している。。

【0047】図４ｃは図４ｂのＡ−Ａ切断端部断面を拡大し
たものであり、図４ｄは図４ｂのＢ−Ｂ切断端部断面を
拡大したものである。また、図４ｂは縦横に配列したパ
ンチ孔の図示を省略して示した大上面板２上面であり、
図４ｂ中の破線は、図４ｃの右方向凸部および図４ｄの
下方向凸部の大上面板２上面上の配置を示すものであ
る。

【0048】次に、図５に、「く」の字状連結補強材８と、
「コ」の字状連結補強材９の構造を示す。

【0049】図５ａに示すように、「く」の字状連結補強材
８は、適当な長さの板材を上下方向からみて「く」の字
状に折り曲げ、さらに、その上下側部を「く」の字の内
側に折り曲げて得られる形状を有している。また、図５
ｂに示すように、「コ」の字状連結補強材９は、適当な
長さの板材を上下方向からみて「コ」の字状に折り曲
げ、さらに、その上下側部を「コ」の字の内側に折り曲
げて得られる形状を有している。

【0050】また、「く」の字状連結補強材８、「コ」の字
状連結補強材９共に、図５ｃ、図５ｄに示すように、折
り曲げた上下側部プレス処理により、その板面に垂直な
凸凹を設けその強度を増加している。ここで、図５ｃ
は、図５ａ中ＡＢＣＤ平面による「く」の字状連結補強
材８の切断端部断面を、図５ｄは、図５ｂ中ＥＦＧＨ平
面による「コ」の字状連結補強材９の切断端部断面を示
している。

【0051】以下、以上のような輸送用パレットの具体的な
材質例と実施寸法例を示す。

【0052】なお、以下では、特に符号によって示す場合を
除き、図１aの上下を奥行き方向、左右方向を幅方向、
図２cの上下方向を高さ方向として示す。

【0053】輸送用パレットの耐荷重：１０００〜１５００
Ｋｇ

【0054】フレーム１：板厚＝２．５ｍｍ、高さ＝１１０
ｍｍ、奥行き方向長さ×幅＝１０５０ｍｍ×１０５０ｍ
ｍ、上下縁幅（図２符号１０１）＝４０ｍｍ、挿入孔高
さ（図２符号１０２）１０６×幅（図２符号１０３）＝
８５ｍｍ×２００、挿入孔中央位置までのフレーム１下
面よりの高さ（図２符号１０４）×フレーム１の側面よ
りの長さ（図２符号１０５）＝５５ｍｍ×３０４５ｍ
ｍ、材質Ａ５０５２Ｐ

【0055】大上面板２：板厚（図４符号２０１）＝３ｍ
ｍ、凸凹を含めた板厚（図４符号２０２）＝５ｍｍ、幅
＝３０５ｍｍ、奥行き方向長さ＝１０３０ｍｍ、パンチ
孔の直径＝１２ｍｍ、凸凹の間隔（図４符号２０３）＝
５０ｍｍ、材質Ａ５０５２Ｐ

【0056】中上面板３：板厚＝３ｍｍ、凸凹を含めた板厚
＝５ｍｍ、幅×＝１６３ｍｍ、奥行き方向長さ＝３０５
ｍｍ、パンチ孔の直径＝１２ｍｍ、凸凹の間隔＝５０ｍ
ｍ、材質Ａ５０５２Ｐ

【0057】小上面板４：板厚＝３ｍｍ、凸凹を含めた板厚
＝５ｍｍ、幅×＝１２８．５ｍｍ、奥行き方向長さ＝３
０５ｍｍ、パンチ孔の直径＝１２ｍｍ、凸凹の間隔＝５
０ｍｍ、材質Ａ５０５２Ｐ

【0058】上面装飾板５：板厚＝１．５ｍｍ、幅×＝２２
０ｍｍ、奥行き方向長さ＝１０３０ｍｍ、材質Ａ５０５
２Ｐ

【0059】側部下面板６：板厚＝１．５ｍｍ、幅×＝２０
５ｍｍ、奥行き方向長さ＝１０３０ｍｍ、材質Ａ５０５
２Ｐ

【0060】中央下面板７：板厚＝１．５ｍｍ、幅×＝２５
０ｍｍ、奥行き方向長さ＝１０３０ｍｍ、材質Ａ５０５
２Ｐ

【0061】「く」の字状連結補強材８：板厚（図５符号８
０１）＝２ｍｍ、凸凹を含めた板厚（図５符号８０２）
＝10ｍｍ、幅（図５符号８０３）＝１８５ｍｍ、長さ
（図５符号８０４）＝１８５ｍｍ、高さ（図５符号８０
５）＝１０１．５ｍｍ、上下縁幅（図５符号８０６）＝
２５ｍｍ、材質Ａ５０５２Ｐ

【0062】「コ」の字状連結補強材９：板厚（図５符号９
０１）＝２ｍｍ、凸凹を含めた板厚（図５符号９０２）
＝10ｍｍ、幅（図５符号９０３）＝２１０ｍｍ、長さ
（図５符号９０４）＝１８５ｍｍ、高さ（図５符号９０
５）＝１０１．５ｍｍ、上下縁幅（図５符号９０６）＝
２５ｍｍ材質Ａ５０５２Ｐ

【0063】フレーム１左右側面から大上面板２取付端まで
の長さ（図１符号１００１）＝１３８．５ｍｍ、フレー
ム１上下側面から小上面板４、中上面板３取付端までの
長さ（図１符号１００２）＝１３８．５ｍｍ。

【0064】ここで、「く」の字状連結補強材８、「コ」の
字状連結補強材９、大上面板２、小上面板４、上面装飾
板５、側部下面板６、中央下面板７は、フレーム１の側
面から１０ｍｍ内側にその側面側端がくるように配置す
る。

【0065】以上、本発明に係る輸送用パレットの一実施形
態について説明した。

【0066】以上のように、本実施形態によれば、荷物を載
置する上面を構成する板材を、その板面に垂直な凸凹を
設け立体構造としたこと、連結補強材による柱構造とフ
レームによって荷物を載置する上面を支持する構造とし
たこと、各連結補強材をその板面に垂直な凸凹を設けた
構造としたことのそれぞれにより、輸送用パレットの強
度を増加し、実用的な耐荷重の輸送用パレットを、特に
板厚の大きなアルミ材を使用することなく実現してい
る。また、４側面からのフォークの挿入の妨げにならな
い位置に配置した「く」の字状連結補強材８、「コ」の
字状連結補強材９と、フレーム１によって上面を支持す
ることにより、実用的強度の４方差しタイプの輸送用パ
レットを実現している。

【0067】また、上面を構成する大上面板２、中上面板
３、小上面板面４として、スラグとして生じる板材を用
い、スラグとして生じる板材の強度の不足をこの板材に
板面に垂直な凸凹を設けることにより解消することによ
り、環境性能を増加させた実用的な耐荷重の輸送用パレ
ットを実現している。

【0068】

【発明の効果】以上のように、本発明によれば、アルミ
材料の使用量の増加を抑えつつ、強度に優れた構造を有
するアルミ製の輸送パレットを提供することができる。
また、より環境性能に優れたアルミ性の輸送用パレット
を提供することができる。また、荷物下面とパレット上
面の間の通気性、排水性に優れた、アルミ性の輸送用パ
レットを提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施形態に係る輸送用パレットの外観
を示す図である。

【図２】本発明の実施形態に係る輸送用パレットの形
状、構造を示す図である。

【図３】本発明の実施形態に係る輸送用パレットの構造
を模式的に示した図である。

【図４】本発明の実施形態に係る輸送用パレットの上面
板の構造を示す図である。

【図５】本発明の実施形態に係る輸送用パレットの連結
補強材構造を示す図である。

【図６】従来のアルミ製パレットの構造を示す図であ
る。

【符号の説明】

１：フレーム、２：大上面板、３：中上面板、４：小上
面板、５：上面装飾板、６：側部下面板、７：中央下面
板、８：「く」の字状連結補強材、９：「コ」の字状連
結補強材

─────────────────────────────────────────────────────

【手続補正書】

【提出日】平成１２年４月１３日（２０００．４．１
３）

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】全文

【補正方法】変更

【補正内容】

【書類名】明細書

【発明の名称】輸送用パレット

【特許請求の範囲】

【発明の詳細な説明】

【0001】

【発明の属する技術分野】

【0002】本発明は、アルミニウムまたはアルミニウム合
金製の輸送用パレットの構造に関するものである。

【0003】

【従来の技術】

【0004】従来より、荷物の輸送に用いられる輸送用パレ
ットとしては、木製、プラスチック（樹脂）製、スチー
ル製、アルミニウムまたはアルミニウム合金製（以下、
「アルミ製」と記す）のものが使用されている。

【0005】また、このうち、アルミ製のパレットとして
は、角柱のアルミ材を組み合わせて製作した、たとえ
ば、図６に示す構造の、対向する２側面からフォークリ
フトのフォークを差し入れることのできる、いわゆる二
方差しタイプのパレットが知られている。

【0006】

【発明が解決しようとする課題】

【0007】さて、アルミ製のパレットは、強度、耐久性、
経時劣化性、耐熱性、耐寒性、補修性、軽量性、衛生
性、美観を兼ね備えている反面、高価であり、また、ス
チール性のものと比べれば強度に劣るため、経済的価格
や、アルミ製の利点を充分に生かしたまま、４側面から
フォークリフトのフォークを差し入れることのできる、
いわゆる四方差しタイプのものを実現することが困難で
あった。

【0008】また、アルミ製のパレットは、ほぼ１００％リ
サイクル可能であるため、アルミ自体の再利用という観
点かららは環境性能に優れているが、アルミの再利用の
ために必要となる工程で要する資源コストの観点からみ
れば、その環境性能は、まだ充分ではない。

【0009】また、従来のアルミ製のパレットは、角柱のア
ルミ材を組み合わせ作成されているため、どうしても、
荷物下面とパレット上面の間の接触面積が大きくなるた
めに通気性、排水性が悪くなり、たとえば冷凍食品など
の漏水やパレット上面への張り付き（凍り付き）を生じ
る荷物を運搬する際には、梱包箱の破損や汚れなどの支
障が生じることがあった。

【0010】そこで、本発明は、より環境性能に優れたアル
ミ製の輸送用パレットを提供することを課題とする。ま
た、本発明は、荷物下面とパレット上面の間の通気性、
排水性に優れた、アルミ製の輸送用パレットを提供する
ことを課題とする。

【0011】

【課題を解決するための手段】

【0012】前記課題達成のために、本発明は、たとえば、
アルミニウムまたはアルミニウム合金製の輸送用パレッ
トであって、

【0013】荷物載置面を形成する上面板材と、

【0014】前記上面板材に連結し、前記上面板材を下方よ
り支持する支持材とを有し、

【0015】前記上面板材は、その板面に対して垂直な方向
から見て縦横に整列した、複数の貫通孔を有することを
特徴とする輸送用パレットを提供する。

【0016】このような輸送用パレットによれば、板面に対
して垂直な方向から見て縦横に整列した、複数の貫通孔
を有する上面板材を用いているため、上面を角材を用い
て構成した場合に比べ、荷物下面とパレット上面の間の
通気性、排水性を向上することができる。また、このよ
うな複数の貫通孔を有する板材としては、他製品の製造
工程においてスラグとして生じるものを使用することが
でき、このような板材を用いることにより、比較的安価
に輸送用パレットを構成することができ、また、スラグ
の二次利用によって、本輸送用パレットの環境性能を高
めることができる。

【0017】

【発明の実施の形態】

【0018】以下、本発明の実施形態について説明する。

【0019】図１に、本実施形態に係る輸送用パレットの外
観を示す。

【0020】本輸送用パレットは、図中の上面のみが荷物の
載置用として構成されたいわゆる片面タイプで、かつ、
４側面からフォークリフトのフォークを差し入れること
のできるいわゆる四方差しタイプの輸送用パレットであ
る。また、本輸送用パレットの主要部材は、全てアルミ
製である。

【0021】次に、図２、図３に、本輸送用パレットの形
状、構造を示す。

【0022】図２ａは輸送用パレットの上面を、図２ｂは下
面を、図２ｃは正面を、図２ｄは右側面を、図２ｅは図
２ａ中Ａ−Ａ切断端部断面を、図２ｆは図２ａ中Ｂ−Ｂ
切断端部断面を、図２ｇは図２ａ中Ｃ−Ｃ切断端部断面
を、図２ｈは図２ａ中Ｄ−Ｄ切断端部断面を示す。

【0023】また、図３は、輸送用パレットの構造を模式的
に示した図である。

【0024】図示するように、本輸送用パレットは、フレー
ム１、２つの大上面板２、２つの中上面板３、４つの小
上面板４、２つの上面装飾板５、２つの側部下面板６、
一つの中央下面板７、６つの「く」の字状連結補強材
８、４つの「コ」の字状連結補強材９を、リベット（図
示を省略）で連結した構造を有している。ここで、フレ
ーム１、２つの大上面板２、２つの中上面板３、４つの
小上面板４、２つの上面装飾板５、２つの側部下面板
６、一つの中央下面板７、６つの「く」の字状連結補強
材８、４つの「コ」の字状連結補強材９は、全てアルミ
製である。

【0025】さて、図示するように、本輸送用パレットで
は、上下方向より見て、４つの「く」の字状連結補強材
８はフレーム１のコーナーに各々配置され、２つの
「く」の字状連結補強材８はフレーム１の中央に、フレ
ーム１の４辺と並行な四辺を有する四角形を構成するよ
うに、フレーム１の中央に配置され、４つの「コ」の字
状連結補強材９はフレーム１の各辺の中央に配置されて
いる。

【0026】また、上下方向より見て、２つの大上面板２、
２つの中上面板３、４つの小上面板４は、いわゆる
「井」字形状を形成するようにフレーム１上面に配置さ
れ、２つの側部下面板６、一つの中央下面板７は、いわ
ゆる「川」字形状を形成するようにフレーム１下面に配
置され、２つの上面装飾板５は、２つの大上面板２の下
面に配置されている。

【0027】また、フレーム１の４側面の各々には、その側
面の一端に配置されている1つの「く」の字状連結補強
材８と中央に配置されている「コ」の字状連結補強材９
との間と、その側面の他端に配置されている1つの
「く」の字状連結補強材８と中央に配置されている
「コ」の字状連結補強材９との間との２カ所に、それぞ
れ、フォークリフトのフォーク挿入用の２つの貫通孔で
ある挿入孔が設けられている。

【0028】さて、フレーム１には、中央の２つの「く」の
字状連結補強材を除く、４つの「く」の字状連結補強材
８、４つの「コ」の字状連結補強材９が、図３に示すよ
うに配置でリベット止めされている。また、２つの大上
面板２、２つの中上面板３、４つの小上面板４は、それ
ぞれフレーム１と、上下方向から見て重なる位置にある
「く」の字状連結補強材８および「コ」の字状連結補強
材９とにリベット止めされている。また、２つの大上面
板２と２つの中上面板３は、それぞれ中央の２つの
「く」の字状連結補強材８のうちの、上下方向から見て
重なる位置にある「く」の字状連結補強材８にもリベッ
ト止めされている。また、２つの大上面板２の下面に
は、それぞれ２つの上面装飾板５がリベット止めされて
いる。そして、２つの側部下面板６、一つの中央下面板
７は、それぞれフレーム１と、上下方向から見て重なる
位置にある「く」の字状連結補強材８および「コ」の字
状連結補強材９とにリベット止めされている。

【0029】次に、図４に大上面板２を代表例として、２つ
の大上面板２、２つの中上面板３、４つの小上面板４の
構造を示す。

【0030】図４ａの大上面板２上面に示すように、これら
は全て、縦横に配列した円形のパンチ孔が設けられた板
材を適当な長さに切断したものである。ここで、この板
材としては、円形のアルミ材を製造するときに生じるス
ラグを使用する。このようなスラグは、たとえばアルミ
製のマーカーペンなどの円筒形の容器の底用の部材とし
て、円形のアルミ材を板状のアルミ板から切り抜いて
（打ち抜いて）製造する際に生じるものであり、本来ス
ラグであることより、一般的に安価である。また、この
ようなスラグを二次利用することにより、トータルで見
て、アルミの再利用のために要する資源コストは減少す
る。

【0031】さて、本実施形態では、このようなスラグとし
て得られたアルミ材を適当な長さに切断し、さらに、図
４ｂ、図４ｃ、図４ｄに示すように、プレス処理により
その板面に垂直な凸凹を設け立体構造とすることによ
り、荷物を載置する上面の強度を増加する。

【0032】また、このように、本実施形態に係る輸送用パ
レットでは、荷物を載置する上面に縦横に配列した円形
のパンチ孔が設けられた板材を用いていることと、その
板面に垂直な凸凹を設けていることより、通気性、排水
性に優れた荷物載置面が形成される。このため、本輸送
用パレットは、冷凍食材その他の漏水が生じるような荷
物の運搬に対する好適性をも有している。。

【0033】図４ｃは図４ｂのＡ−Ａ切断端部断面を拡大し
たものであり、図４ｄは図４ｂのＢ−Ｂ切断端部断面を
拡大したものである。また、図４ｂは縦横に配列したパ
ンチ孔の図示を省略して示した大上面板２上面であり、
図４ｂ中の破線は、図４ｃの右方向凸部および図４ｄの
下方向凸部の大上面板２上面上の配置を示すものであ
る。

【0034】次に、図５に、「く」の字状連結補強材８と、
「コ」の字状連結補強材９の構造を示す。

【0035】図５ａに示すように、「く」の字状連結補強材
８は、適当な長さの板材を上下方向からみて「く」の字
状に折り曲げ、さらに、その上下側部を「く」の字の内
側に折り曲げて得られる形状を有している。また、図５
ｂに示すように、「コ」の字状連結補強材９は、適当な
長さの板材を上下方向からみて「コ」の字状に折り曲
げ、さらに、その上下側部を「コ」の字の内側に折り曲
げて得られる形状を有している。

【0036】また、「く」の字状連結補強材８、「コ」の字
状連結補強材９共に、図５ｃ、図５ｄに示すように、折
り曲げた上下側部を除く部分にプレス処理により、その
板面に垂直な凸凹を設けその強度を増加している。ここ
で、図５ｃは、図５ａ中ＡＢＣＤ平面による「く」の字
状連結補強材８の切断端部断面を、図５ｄは、図５ｂ中
ＥＦＧＨ平面による「コ」の字状連結補強材９の切断端
部断面を示している。

【0037】以下、以上のような輸送用パレットの具体的な
材質例と実施寸法例を示す。

【0038】なお、以下では、特に符号によって示す場合を
除き、図１aの上下を奥行き方向、左右方向を幅方向、
図２cの上下方向を高さ方向として示す。

【0039】輸送用パレットの耐荷重：１０００〜１５００
Ｋｇ

【0040】フレーム１：板厚＝２．５ｍｍ、高さ＝１１０
ｍｍ、奥行き方向長さ×幅＝１０５０ｍｍ×１０５０ｍ
ｍ、上下縁幅（図２符号１０１）＝４０ｍｍ、挿入孔高
さ（図２符号１０２）１０６×幅（図２符号１０３）＝
８５ｍｍ×２００、挿入孔中央位置までのフレーム１下
面よりの高さ（図２符号１０４）×フレーム１の側面よ
りの長さ（図２符号１０５）＝５５ｍｍ×３０４５ｍ
ｍ、材質Ａ５０５２Ｐ

【0041】大上面板２：板厚（図４符号２０１）＝３ｍ
ｍ、凸凹を含めた板厚（図４符号２０２）＝５ｍｍ、幅
＝３０５ｍｍ、奥行き方向長さ＝１０３０ｍｍ、パンチ
孔の直径＝１２ｍｍ、凸凹の間隔（図４符号２０３）＝
５０ｍｍ、材質Ａ５０５２Ｐ

【0042】中上面板３：板厚＝３ｍｍ、凸凹を含めた板厚
＝５ｍｍ、幅×＝１６３ｍｍ、奥行き方向長さ＝３０５
ｍｍ、パンチ孔の直径＝１２ｍｍ、凸凹の間隔＝５０ｍ
ｍ、材質Ａ５０５２Ｐ

【0043】小上面板４：板厚＝３ｍｍ、凸凹を含めた板厚
＝５ｍｍ、幅×＝１２８．５ｍｍ、奥行き方向長さ＝３
０５ｍｍ、パンチ孔の直径＝１２ｍｍ、凸凹の間隔＝５
０ｍｍ、材質Ａ５０５２Ｐ

【0044】上面装飾板５：板厚＝１．５ｍｍ、幅×＝２２
０ｍｍ、奥行き方向長さ＝１０３０ｍｍ、材質Ａ５０５
２Ｐ

【0045】側部下面板６：板厚＝１．５ｍｍ、幅×＝２０
５ｍｍ、奥行き方向長さ＝１０３０ｍｍ、材質Ａ５０５
２Ｐ

【0046】中央下面板７：板厚＝１．５ｍｍ、幅×＝２５
０ｍｍ、奥行き方向長さ＝１０３０ｍｍ、材質Ａ５０５
２Ｐ

【0047】「く」の字状連結補強材８：板厚（図５符号８
０１）＝２ｍｍ、凸凹を含めた板厚（図５符号８０２）
＝10ｍｍ、幅（図５符号８０３）＝１８５ｍｍ、長さ
（図５符号８０４）＝１８５ｍｍ、高さ（図５符号８０
５）＝１０１．５ｍｍ、上下縁幅（図５符号８０６）＝
２５ｍｍ、材質Ａ５０５２Ｐ

【0048】「コ」の字状連結補強材９：板厚（図５符号９
０１）＝２ｍｍ、凸凹を含めた板厚（図５符号９０２）
＝10ｍｍ、幅（図５符号９０３）＝２１０ｍｍ、長さ
（図５符号９０４）＝１８５ｍｍ、高さ（図５符号９０
５）＝１０１．５ｍｍ、上下縁幅（図５符号９０６）＝
２５ｍｍ材質Ａ５０５２Ｐ

【0049】フレーム１左右側面から大上面板２取付端まで
の長さ（図１符号１００１）＝１３８．５ｍｍ、フレー
ム１上下側面から小上面板４、中上面板３取付端までの
長さ（図１符号１００２）＝１３８．５ｍｍ。

【0050】ここで、「く」の字状連結補強材８、「コ」の
字状連結補強材９、大上面板２、小上面板４、上面装飾
板５、側部下面板６、中央下面板７は、フレーム１の側
面から１０ｍｍ内側にその側面側端がくるように配置す
る。

【0051】以上、本発明に係る輸送用パレットの一実施形
態について説明した。

【0052】以上のように、本実施形態によれば、荷物を載
置する上面を構成する板材を、その板面に垂直な凸凹を
設け立体構造としたこと、連結補強材による柱構造とフ
レームによって荷物を載置する上面を支持する構造とし
たこと、各連結補強材をその板面に垂直な凸凹を設けた
構造としたことのそれぞれにより、輸送用パレットの強
度を増加し、実用的な耐荷重の輸送用パレットを、特に
板厚の大きなアルミ材を使用することなく実現してい
る。また、４側面からのフォークの挿入の妨げにならな
い位置に配置した「く」の字状連結補強材８、「コ」の
字状連結補強材９と、フレーム１によって上面を支持す
ることにより、実用的強度の４方差しタイプの輸送用パ
レットを実現している。

【0053】また、上面を構成する大上面板２、中上面板
３、小上面板面４として、スラグとして生じる板材を用
い、スラグとして生じる板材の強度の不足をこの板材に
板面に垂直な凸凹を設けることにより解消することによ
り、環境性能を増加させた実用的な耐荷重の輸送用パレ
ットを実現している。

【0054】

【発明の効果】

【0055】以上のように、本発明によれば、アルミ材料の
使用量の増加を抑えつつ、強度に優れた構造を有するア
ルミ製の輸送パレットを提供することができる。また、
より環境性能に優れたアルミ製の輸送用パレットを提供
することができる。また、荷物下面とパレット上面の間
の通気性、排水性に優れた、アルミ製の輸送用パレット
を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施形態に係る輸送用パレットの外観
を示す図である。

【図２】本発明の実施形態に係る輸送用パレットの形
状、構造を示す図である。

【図３】本発明の実施形態に係る輸送用パレットの構造
を模式的に示した図である。

【図４】本発明の実施形態に係る輸送用パレットの上面
板の構造を示す図である。

【図５】本発明の実施形態に係る輸送用パレットの連結
補強材構造を示す図である。

【図６】従来のアルミ製パレットの構造を示す図であ
る。

【符号の説明】 １：フレーム、２：大上面板、３：中上面板、４：小上
面板、５：上面装飾板、６：側部下面板、７：中央下面
板、８：「く」の字状連結補強材、９：「コ」の字状連
結補強材

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】アルミニウムまたはアルミニウム合金製の
   輸送用パレットであって、 荷物載置面を形成する上面板材と、 前記上面板材に連結し、前記上面板材を下方より支持す
   る支持材とを有し、 前記上面板材は、その板面に対して垂直な方向から見て
   縦横に整列した、複数の貫通孔を有することを特徴とす
   る輸送用パレット。
2. 【請求項２】請求項１記載の輸送用パレットであって、 前記上面板材は、その板面に垂直な凸凹を備えた形状を
   有することを特徴とする輸送用パレット。
3. 【請求項３】アルミニウムまたはアルミニウム合金製の
   輸送用パレットであって、 荷物載置面を形成する上面板材と、 前記上面板材に連結し、前記上面板材を下方より支持す
   る支持材とを有し、 前記上面板材は、その板面に垂直な凸凹を備えた形状を
   有することを特徴とする輸送用パレット。
4. 【請求項４】略平箱形状を有する、アルミニウムまたは
   アルミニウム合金製の輸送用パレットであって、 前記略平箱形状の４側面を形成するフレームと、 前記フレームに連結された前記略平箱形状の上面を形成
   する上面板材と、 前記フレームに連結された前記略平箱形状の下面を形成
   する下面板材と、 前記略平箱形状の内部で、前記下面板材と上面板材を連
   結し、前記上面板材を下方より支持する複数の柱材とを
   有し 前記フレームは、その４側面に、それぞれ、輸送用パレ
   ットを持ち上げ、運搬するためのフォークを挿入するた
   めの貫通孔を有し、 前記複数の柱材のそれぞれは、前記４側面の任意の側面
   の貫通孔から挿入されたフォークと干渉しない位置に配
   置されていることを特徴とする輸送用パレット。