JP2001212807A - 木材処理剤及びその用途 - Google Patents

木材処理剤及びその用途

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JP2001212807A
JP2001212807A JP2000027220A JP2000027220A JP2001212807A JP 2001212807 A JP2001212807 A JP 2001212807A JP 2000027220 A JP2000027220 A JP 2000027220A JP 2000027220 A JP2000027220 A JP 2000027220A JP 2001212807 A JP2001212807 A JP 2001212807A
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timber
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Yasushi Aoki
裕史 青木
Takashi Echigo
貴 愛知後
Naoaki Misu
直明 三須
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Showa Denko KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 木材本来の風合いを保ちつつ、耐候性が高く
長期間効果を持続することができる木材寸法安定及び割
れ防止化処理剤、ならびに該処理剤を用いた簡便な木材
寸法安定及び割れ防止化処理方法を提供すること。 【解決手段】 (メタ)アクリル基含有ウレタン化合物を
含有する木材処理剤を提供する。該木材処理剤を塗布ま
たは含浸させる工程を含む木材の処理方法を提供する。
該処理方法で処理された木材を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、木材の寸法安定及び割
れ防止効果を有する化合物、該化合物を含有する木材の
寸法安定及び割れ防止化薬剤、該薬剤の使用方法、なら
びに該薬剤で処理された木材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】木材は、その吸放湿性、断熱性、独特の
風合い、再生産可能な資源である、等の特長により、現
在もなお土木・建築・工芸における主材料として幅広く
用いられている。
【0003】木材の材料としての欠点は、微生物やシロ
アリなど生物による侵食を受ける、火災などにより燃え
る、水分含量の変化により寸法に狂いが生じる、等であ
る。とくに水分変化による寸法の狂いは、施工後の乾燥
の進行による隙間や割れなどの欠陥の発生などにつなが
るだけでなく、伐採された丸太からの材木の採取の際に
も、採取後の乾燥による変形や干割れを生じて材木の歩
留まりが低下するなど、資源の有効利用の面からみても
重要な課題であった。
【0004】外界の水分変化に伴う木材の寸法変化を低
減する方法が多数提案されている。例えば「Wood and C
ellulosic Chemistry、Marcel Dekker Inc.、 712頁、1
991年」には、木材中の結晶性セルロースの遊離水酸基
を無水酢酸を用いてアセチル化することにより木材繊維
を疎水化し、木材の水分感受性を低減する方法が記され
ている。また「Wood Science、第12巻、52頁、1979年」
には、遊離水酸基をイソシアネート基と反応させること
により同様の効果を得る方法が記されている。また「Wo
od and Cellulose Science、Ronald Press Company、33
8頁、1964年」は、ホルムアルデヒドを用いてセルロー
スの水酸基をアセタール化することで架橋し、寸法安定
性を得る方法である。さらに、木材の空隙中に樹脂を注
入し重合・高分子化することにより木材・プラスチック
複合体として、空隙を埋めたプラスチックの構造強度に
より物理的に寸法変化を抑制する方法は多数知られてい
る。
【0005】しかしながら、従来より知られるこれらの
方法は、コストや工程上の制約、処理後の溶剤・低分子
成分の揮散・溶出による環境・人体への害、木材の風合
いに与える影響など、実用面での課題について十分に考
慮されたものではなかった。木材中にポリアルキレンオ
キサイドを注入する方法もまた、古くから知られている
手法である。例えば、ポリエチレンオキサイドを、水溶
液、もしくは有機溶剤溶液として木材に含浸し、セルロ
ース微細繊維中に拡散させることで、木材セルロース繊
維中の結晶水を水素結合性かつ不揮発性のポリエチレン
オキサイドに置換することにより、木材セルロース繊維
を膨潤状態に維持し、乾燥時の収縮を防ぐ方法が知られ
る。例えば「東京農工大演習林報、No.7、89頁110頁」
では、木材中のポリエチレングリコールの含有率と抗収
縮能の関係が詳細に検討されている。しかしながらこの
方法は、処理直後の抗収縮効果は高いが、外壁・外構材
など風雨にさらされる条件下では、注入されたポリアル
キレンオキサイドが容易に雨水により溶脱し、効果が長
期間持続しないという欠点があった。そのため用途は出
土木材など文化財の保護、内装向けの装飾木材の保護な
ど、ごく限られた用途に用いられるに止まっている。
【0006】ポリアルキレンオキサイドを木材に安定に
保持し、溶脱を防ぐため、ポリアルキレンオキサイド
に、木材成分または分子相互に化学結合を形成すること
ができる官能基を導入し、水溶液、もしくは有機溶媒溶
液として木材に含浸する方法が知られている。架橋性の
官能基を木材中で反応させることで、木材成分との共有
結合、もしくは分子相互が重合し不溶化することにより
ポリアルキレンオキサイドを固定化する方法である。例
えば特開昭55-25324号公報、特開平5-220712号公報等に
は、ポリアルキレングリコールモノアクリレートを用い
た方法が示されている。また特開平10-166314号公報で
は、ポリアルキレングリコールのグリシジルエーテルに
(メタ)アクリル酸を付加した化合物を用いた方法が開
示されている。しかしこうした従来の方法は、木材中で
の架橋基の反応性が十分でなく、屋外環境下での使用に
広く普及するには至っていない。さらに処理溶液に重合
開始剤を添加することで架橋反応が加速され固着性は向
上するが、木材処理溶液中での重合反応もまた促進さ
れ、成分が溶液中で固化し、溶液が繰り返し使用できな
い、固化した残液の処理が困難である、成分が早期に高
分子化・不溶化し微細なセルロース繊維空隙に十分拡散
できない等の問題があった。
【0007】木材のコストを著しく上昇することなく、
また木材の本来の風合いなどの優れた性質を損ねること
なく、なおかつ外界に接する過酷な条件下でも効力の低
下が少ない、簡便な木材の寸法安定化処理方法の開発が
望まれていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、安価で、木
材本来の風合いを保ちつつ、耐候性が高く長期間効果を
持続することができる木材寸法安定及び割れ防止化処理
剤、ならびに該処理剤を用いた簡便な木材寸法安定及び
割れ防止化処理方法を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上記の課題
解決のため鋭意検討を行い、ポリアルキレンオキサイド
に(メタ)アクリル基含有イソシアナートを付加した(メ
タ)アクリル基含有ウレタン化合物が、木材への高い寸
法安定・割れ防止作用、ならびに木材への高い固着性が
持っていることを見いだした。該化合物を木材中に溶液
として含浸処理し、木材内部で重合・高分子化すること
により、ポリアルキレンオキサイド由来の木材への高度
な寸法安定化効果が付与され、しかも高分子化されるこ
とにより水不溶化し、水に触れる環境下でも容易に溶脱
することがなく長期間その効果が持続することを知見
し、本発明を完成するに至った。
【0010】すなわち、本発明は、以下の事項からな
る。 [1] ポリオキシアルキレン基と少なくとも1個の(メ
タ)アクリル基を有する(メタ)アクリル基含有ウレタ
ン化合物を含有することを特徴とする木材処理剤。 [2] 下記一般式(1)一般式(1)
【化5】 (但し、R1およびR2は独立に水素原子またはメチル基を
表わし、R3は水素原子、メチル基または
【化6】 を表わす。mは1、2または3を表わし、nは2〜50
0の整数を表わす。)で示される化合物、および下記一
般式(2)、一般式(2)
【化7】 (但し、R4およびR5は独立に水素原子またはメチル基を
表わし、R6は水素原子、メチル基または
【化8】 を表わし、kは2〜500の整数を表わす。)で示され
る化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種類の
(メタ)アクリル基含有ウレタン化合物を含有することを
特徴とする[1]に記載の木材処理剤。 [3] 上記一般式(1)(但し、R1はメチル基、mは
2、nは6〜200の整数、R3は上記と同様の意味を表わ
す。)で示される化合物からなる群から選ばれる少なく
とも1種の(メタ)アクリル基含有ウレタン化合物を含
有することを特徴とする[1]に記載の木材処理剤。 [4] さらにラジカル重合開始剤を含有することを特
徴とする[1]乃至[3]に記載の木材処理剤。 [5] [1]〜[4]に記載の木材処理剤を塗布また
は含浸させる工程を含むことを特徴とする木材の処理方
法。 [6] 上記の塗布または含浸させる工程後に木材を該
工程の実施温度よりも高温に保持し養生することを特徴
とする[5]に記載の木材の処理方法。 [7] [5]または[6]に記載の方法で処理された
木材。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
本発明に用いる用語(メタ)アクリは「アクリ」および/
または「メタクリ」を表わす。本発明の(メタ)アクリル
基含有ウレタン化合物は、基本骨格であるポリオキシア
ルキレン鎖の少なくとも一方の末端に、ウレタン結合を
介した(メタ)アクリル基を有することを特徴とする。
ポリオキシアルキレン鎖部分としては、種々の重合度の
オキシエチレン、オキシプロピレン、またこれらのブロ
ック重合体等が挙げられる。
【0012】好ましくは、下記一般式(1) 一般式(1)
【化9】 (但し、R1およびR2は独立に水素原子またはメチル基を
表わし、R3は水素原子、メチル基または
【化10】 を表わす。mは1、2または3を表わし、nは2〜50
0の整数を表わす。)で示される化合物、および下記一
般式(2)、一般式(2)
【化11】 (但し、R4およびR5は独立に水素原子またはメチル基を
表わし、R6は水素原子、メチル基または
【化12】 を表わし、kは2〜500の整数を表わす。)で示され
る化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種類の
(メタ)アクリル基含有ウレタン化合物である。
【0013】本発明の一般式(1)または(2)で示さ
れる(メタ)アクリル基含有ウレタン化合物を木材の寸法
安定化・割れ防止化処理に適用する場合、ポリオキシア
ルキレン部分の分子量が80以下では吸湿性が増大し木材
の湿潤を招き、また分子量20,000以上では木材中のセル
ロースの微細繊維中への浸透性が低く、十分な寸法安定
化効果が得られないため、分子量にして80〜20,000、望
ましくは300〜5,000の範囲である。即ち一般式(1)ま
たは一般式(2)において、n及びkは2〜500の範囲、
より好ましくは6〜120の範囲である。
【0014】本発明の(メタ)アクリル基含有ウレタン化
合物を木材に含浸した場合、末端の(メタ)アクリル基の
反応により、木材中で重合反応が進行することにより、
重合度が増大し本物質自体が水不溶化する、あるいは木
材中の微細繊維空隙に拡散した後高分子化することで空
隙を再通過できなくなることにより木材に固定化され、
固定化後は外界の水分による溶脱が抑制される。
【0015】(メタ)アクリル基含有ウレタン化合物は、
(メタ)アクリル基とポリオキシアルキレン構造の間のド
ナー性が高いウレタン結合の介在により、ポリオキシア
ルキレン(メタ)アクリレートに比して(メタ)アクリ
ル基のラジカル反応性が高く、木材中での重合・架橋反
応が十分に進行する。さらにウレタン構造自体の凝集性
の高さから、本物質の重合・高分子化物は乾燥後さらに
強固に木材中に固定され、ポリオキシアルキレン構造を
有する寸法安定化効果が過酷な条件下でも長期にわたり
維持される。
【0016】本発明の(メタ)アクリル基含有ウレタン化
合物は、一般に知られる、ポリオキシアルキレン化合物
またはその誘導体の水酸基と、(メタ)アクリル基含有イ
ソシアナートのイソシアネート基との間の付加反応によ
り製造される。ポリオキシアルキレン化合物の具体例と
しては、例えば分子量100〜20,000のポリオキシエチレ
ン、ポリオキシプロピレン等が挙げられる。また(メタ)
アクリル基含有イソシアネートの具体例としては、(メ
タ)アクリロイルオキシメチルイソシアナート、(メ
タ)アクリロイルオキシエチルイソシアナート、(メ
タ)アクリロイルオキシプロピルイソシアナート、(メ
タ)アクリロイルイソシアナート、等が挙げられる。
(メタ)アクリロイルイソシアナートが好ましい。
【0017】具体的には、常温もしくは加温下で溶融し
たポリオキシアルキレン化合物またはその誘導体を撹拌
しつつ、そこに(メタ)アクリル基含有イソシアナートを
少量ずつ滴下してゆくことにより反応が達成される。反
応効率を高めるために、系全体を室温〜100℃、望まし
くは室温から80℃の範囲で加熱すること、ジブチルスズ
ラウレートなどのスズ化合物や、トリエチルアミンなど
の3級アミン類、等を、(メタ)アクリル基含有イソシア
ナートの重量に対して例えば10〜5,000ppm程度添加する
こと、及び加熱と触媒添加を併用することもまた有効で
ある。特に加温を行う場合は、原料である(メタ)アクリ
ル基含有イソシアナートの(メタ)クリル基による重合、
及び生成物である(メタ)アクリル基含有ウレタン化合物
の(メタ)アクリル基の重合を防止するため、2、6-ジタ
ーシャリーブチルフェノールなどの、一般によく用いら
れるラジカル重合防止剤を、(メタ)アクリル基含有イソ
シアナートの重量に対して例えば10〜5,000ppm程度添加
することも有効である。またイソシアネート基の反応前
の分解を抑制し、反応効率を高めるため、蒸留などの方
法により系内の水分を除去しておくこともまた有効であ
る。
【0018】本発明の木材処理剤は、上記の製造時同
様、保存時等にも(メタ)アクリル基に起因する重合反応
が進行することが考えられるが、上記同様、2,6-ジタ
ーシャリーブチルフェノールなどの、一般によく用いら
れるラジカル重合防止剤を添加することによりこの重合
反応を防止することができる。また、この重合体が生成
しても、本発明の木材処理剤を使用する際に用いる溶媒
にこの重合体が溶解する範囲内であれば問題ない。ま
た、本発明の(メタ)アクリル基含有ウレタン化合物を木
材に塗布・含浸する際に悪影響を及ぼさない範囲であれ
ば問題はない。
【0019】本発明の木材処理剤を用いる木材の寸法安
定化・割れ防止方法について説明する。
【0020】本発明の木材処理剤の処理方法は、(メタ)
アクリル基含有ウレタン化合物を単独あるいは複数種の
混合物として、(メタ)アクリル基含有ウレタン化合物を
溶解できる溶媒、具体的には水、アルコールなどにて、
(メタ)アクリル基含有ウレタン化合物の溶液中の濃度が
0.01〜90%、望ましくは0.1〜50%の範囲となるよう溶
解し、木材に塗布する、または木材の一部または全体を
溶液に浸漬し含浸させる。より高い効果を得るために
は、加圧および/または減圧による含浸を行うこともで
きる。この溶液を塗布・含浸した木材を、常温〜200℃
の範囲、より好ましくは常温〜110℃の範囲で乾燥す
る。木材内部で(メタ)アクリル基含有ウレタン化合物の
重合が進行することにより、それ自体が水に不溶化する
こと、また微細な空隙を通過し浸透した後高分子化する
ことで木材繊維空隙を再通過できなくなることにより、
木材中に、水で溶出しない形で固定される。こうして該
化合物のポリオキシアルキレン鎖が、木材繊維中に固定
化されることにより、ポリオキシアルキレン構造が本来
持つ寸法安定化効果を、風雨に曝される屋外環境下でも
溶脱することなく長期間維持することが可能である。
【0021】木材内部の上記の重合反応は、一般に知ら
れる(メタ)アクリル基を有する化合物の重合に用いる種
々の重合開始剤を、(メタ)アクリル基含有ウレタン化合
物溶液に対し0.001〜20%、望ましくは0.01%〜10%添
加することにより促進することができる。ラジカル重合
反応に適用される種々の開始剤として、例えば、アゾビ
スイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(イソブチルア
ミド)などのアゾ系開始剤、過酸化ベンゾイルなどの有
機過酸化物系開始剤、金属過酸化物系開始剤、過酸化水
素、過硫酸アンモニウム等を挙げることができる。また
これらの重合開始剤の添加と、処理後の加熱養生を併用
することも、木材中での重合反応効率を高めるために有
効である。特に、十分に高い10時間半減期温度を有す
る開始剤を使用し、かつ、このような処理剤により含浸
・塗布処理された木材を処理後に加熱することにより、
木材処理剤としての安定性と、木材中での十分な重合・
固化を両立することができる。すなわち、処理剤中では
開始剤のラジカル発生量が少なく、重合反応の進行が緩
慢であるため成分が固化せず液剤として安定であり、剤
を繰り返し木材の処理に用いることができる。一方、処
理された木材中では、加熱操作によりラジカル発生量が
増大し、十分な重合反応が進行することで、成分が良好
に木材中に固定化される。このような目的に好適な開始
剤としては、例えば2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-
ヒドロキシエチル)プロピオンアミド] 、2,2’-アゾ
ビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオン
アミジン]ハイドレート、4,4’-アゾビス-4-シアノバ
レリル酸、等が挙げられる。また、本木材処理剤を短期
間繰り返し使用ができればよい場合は、単に前述のよう
な重合開始剤を低濃度として重合に要する期間を延長
し、一方含浸処理後の木材の重合処理時間を延長するこ
とによっても、処理溶液の繰り返し使用と、木材中での
十分な重合反応の進行の両立が達せられる。
【0022】本発明による木材処理剤には、本発明の目
的を損なわない範囲で、他の寸法安定化剤、その他の木
材処理剤および他の目的の薬剤、たとえば、芳香剤、消
臭剤、防錆剤、難燃化剤、抗菌剤、殺菌剤、防カビ剤、
防虫剤、殺虫剤、抗ウイルス剤、光遮蔽・吸収剤、染
料、顔料等を適時加えることができる。
【0023】また、本発明の木材処理剤には、(メタ)ア
クリル基含有ウレタン化合物の他に(メタ)アクリル基と
共重合反応可能なアリル基、アクリル基、メタクリル基
等を有する化合物を併用することも可能である。また、
本木材処理剤は、利便性を考慮し、使用直前に溶媒に溶
解または希釈して用いられるように濃縮液剤、粉剤、粒
剤、錠剤などの形態で提供することができる。
【0024】本発明の(メタ)アクリル基含有ウレタン化
合物を含む処理剤で前述のごとき方法で処理された木材
は、屋外環境中においても該化合物が雨水などにより容
易に溶脱することなく、長期間その寸法安定性、割れ防
止性を維持することができる。また該化合物及びその高
分子化物はほとんど着色がないこと、木材内部でその寸
法安定・割れ防止機能を発揮することから、木材本来の
木目、色合いなどの外観・風合いに与える影響が小さ
い。さらに、処理後の木材は、処理による寸法安定・割
れ防止効果を維持しつつ、通常の木材と同様の表面の塗
装・接着・他の薬剤による処理、切削などの加工をする
ことが可能である。よって本方法により処理された木材
は一般家屋の建築材料のみならず、公園遊具・電柱・ガ
ードレール・枕木等の外構材、橋梁・桟橋等の建設用
材、木造船舶本体または艤装類、農林水産業・土木建築
用作業構造物、家具用材、各種化粧材、工芸品用材な
ど、一般に知られる全ての木材用途に幅広く利用するこ
とが可能である。
【0025】
【実施例】以下に実施例を挙げ具体的に説明する。これ
らの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
【0026】(製造例1)ポリエチレングリコール#10
00(平均重合度22.7)40gを容器にとり、ヒーター
で60℃まで加熱し溶解した。ここに重合防止剤として
2、6-ジタシャリーブチルフェノールを0.01g、さらに反
応触媒としてジブチルスズラウレート0.01gを添加し、
撹拌・溶解した。この混合物溶液を60℃に保ちつつ撹拌
し、そこにメタクリロイルオキシエチルイソシアナート
11gを、1時間かけて滴下した。全量滴下後、さらに60℃
で1時間撹拌を続けたのち放冷し、無色の固形物として
化合物を得た(以下化合物1と称する)。
【0027】得られた物質の赤外線吸収スペクトルか
ら、イソシアナートに特徴的な振動吸収(2200cm-1
近)の消滅、及びウレタン結合の形成に特徴的な振動吸
収(1650m-1付近)の出現を確認した。さらに1H-NM
Rの結果から、ポリプロピレングリコール由来のOH基と
メタクリロイルオキシエチルイソシアナートのイソシア
ネート基がほぼ1:1で反応し、目的の物質が生成したこ
とが確認された。 (製造例2)ポリプロピレングリコール#600(平均重合
度13.6)30gを容器にとり、ヒーターで60℃まで加
熱した。ここに重合防止剤として2、6-ジターシャリー
ブチルフェノールを0.02g、さらに反応触媒としてジブ
チルスズラウレート0.02gを添加し、撹拌・溶解した。
この混合物溶液を60℃に保ちつつ撹拌し、そこにメタク
リロイルオキシエチルイソシアナート14gを、1時間かけ
て滴下した。全量滴下後、さらに60℃で1時間撹拌を続
けたのち放冷し、無色・粘凋の液体して化合物を得た
(以下化合物2と称する)。
【0028】得られた液体の赤外線吸収スペクトルか
ら、イソシアナートに特徴的な振動吸収(2200cm-1
近)の消滅、及びウレタン結合の形成に特徴的な振動吸
収(1650m-1付近)の出現を確認した。さらに1H-NM
Rの結果から、ポリプロピレングリコール由来のOH基と
メタクリロイルオキシエチルイソシアナートのイソシア
ネート基がほぼ1:1で反応し、目的物質が生成したこと
が確認された。
【0029】(製造例3)ポリエチレングリコール#10
00(平均重合度22.7)40gを容器にとり、ヒーター
で60℃まで加熱し溶解した。ここに重合防止剤として
2、6-ジーシャリーブチルフェノールを0.01g、さらに反
応触媒としてジブチルスズラウレート0.01gを添加し、
撹拌・溶解した。この混合物溶液を60℃に保ちつつ撹拌
し、そこにメタクリロイルイソシアナート7.2gを、1時
間かけて滴下した。全量滴下後、さらに60℃で1時間撹
拌を続けたのち放冷し、無色の固形物として化合物を得
た(以下化合物3と称する)。
【0030】得られた物質の赤外線吸収スペクトルか
ら、イソシアナートに特徴的な振動吸収(2200cm-1
近)の消滅、及びウレタン結合の形成に特徴的な振動吸
収(1650m-1付近)の出現を確認した。さらに1H-NM
Rの結果から、ポリプロピレングリコール由来のOH基と
メタクリロイルイソシアナートのイソシアネート基がほ
ぼ1:1で反応し、目的物質が生成したことが確認され
た。 (実施例1)化合物1、2及び3をそれぞれ15%(質量/体
積)となるよう水に溶解した。さらにこれらの水溶液
に、それぞれ過硫酸アンモニウムを1%(質量/体積)とな
るよう添加、溶解し薬液を調製した(以下それぞれ、薬
液1、薬液2 及び薬液3と称する)。
【0031】また比較例として、ポリエチレングリコー
ル#1000(平均重合度22.7)を同様に溶解した溶液
(以下 対照薬液1 と称する)及びポリエチレングリ
コール#600ジメタクリレート(平均重合度13.6)1
5%(質量/体積)と過硫酸アンモニウムを1%(質量/体積)含
む溶液(以下 対照薬液2 と称する)を調製した。
【0032】上記各水溶液をそれぞれ50mlをビーカーに
とり、60℃の循環式恒温器にて72時間乾燥させたスギ辺
材木片(気乾状態での寸法3×3×0.5cm、四方柾、木口
が3×3cm)を1点ずつ、あらかじめ重量及び寸法を測定
した後、重しをのせて木片全体が没するようにそれぞれ
の溶液に浸漬した。これらをビーカーごとコック付きの
デシケーター内に設置し、接続した真空ポンプにより21
3hPaまで減圧したところでコックを閉じ、水溶液が十分
に木片に浸透するようそのまま12時間静置した。木片を
溶液より回収し、60℃の循環式恒温器で72時間乾燥・養
生した後、重量・寸法を測定した。
【0033】得られたそれぞれの薬液注入木片を、木片
の10倍容積のイオン交換水に投入し、8時間の撹拌を行
い、木片を回収、12時間再乾燥させるま一連の行程を1
サイクルの耐候操作とし、3サイクル繰り返した。処理
直後、及び各回耐候操作後の、木片の木目に対して接線
方向の寸法の変化、及び薬液膨潤時の寸法を基準とした
各回乾燥後の収縮率を表1に示した。また乾燥重量の変
化から求めた成分固着量の挙動を、表2に示した。なお
木材の寸法測定は、マイクロメーター(CD-20CP、ミツ
トヨ製)を用い、1/100mmまで計測した。
【0034】薬液1で処理された木片は、対照薬液1及
び2で処理された木片に対し、3回の耐候操作後も高い寸
法安定化効果を有することが示された。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】(実施例2)化合物1を15%(質量/体積)と
なるよう水に溶解した。さらにこの水溶液に、ラジカル
重合開始剤として、2、2-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒ
ドロキシエチル)プロピオンアミド](和光純薬製)を
0.5%(質量/体積)となるよう添加し、溶解した(以下
薬液3 と称する)。
【0038】薬液3について、実施例1と同様に木片へ
の含浸処理、及び耐候操作を行い寸法の挙動を測定し
た。薬液3についても、実施例1に示す薬液1、2による
処理と同様、高い寸法安定化効果を有していた。
【0039】さらに、実施例1に示す薬液1と上記薬液3
について、木片を回収後の薬液の状態を、20℃の恒温イ
ンキュベータに開放して静置し、経時的に観察した。薬
液1では3日後で液の固化がビーカーの底部より始まり、
7日間で液全体が固化し透明のゲルを形成した。薬液3に
ついては20日間の静置後も液の固化は認められなかっ
た。
【0040】放置20日後の薬液2を用い、同様に木材へ
の含浸処理、及び耐候操作を行い寸法の挙動を測定した
結果を同じく表3に示した。放置後の薬液によっても、
高い寸法安定性が得られ、重合開始剤の選択により薬液
を常温では硬化させず、繰り返し木片の含浸処理に供す
ることができることが示された。
【0041】
【表3】
【0042】(実施例3)実施例1に記載の組成の薬液
1、対照薬液1及び2をそれぞれ1Lずつ調製し、気乾状態
のスギ木片(30×10×1cm、木口が10×1cmの柾目板)
を、重しをのせ全体が没するよう浸漬した。これらを浸
漬したままコック付きのデシケーター内に設置し、接続
した真空ポンプにより213hPaまで減圧したところでコッ
クを閉じ、水溶液が十分に木片に浸透するようそのまま
48時間静置し、さらにコックを開放し常圧下で48時間静
置した。木片を溶液より回収し、60℃の循環式恒温器に
て72時間乾燥させた。
【0043】それぞれの薬液を浸漬後乾燥した木片を、
直射日光及び雨水の当たる屋外に、長辺を上下方向にし
て、30×10cmの一面(以後 試験面 と称する)を真南
に向け45度傾けて設置し、60日間放置した。放置後、屋
内で室温にて10日間静置した後、試験面の表面に生じて
いた、肉眼で確認できるすべての亀裂の長さを測定し、
その長さの合計を求め表4に示した。
【0044】薬液1で処理された木片は、無処理木片、
および対照薬液1及び2で処理された木片に対し、屋外
環境下で高い割れ防止効果を有することが示された。
【0045】
【表4】
【0046】
【発明の効果】本発明の木材処理剤を用いて木材を処理
することにより、木材本来の風合いを保ちつつ、長期
間、木材の寸法を安定させ、かつ割れを防止することが
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08F 299/02 C08F 299/02 (72)発明者 三須 直明 福島県河沼郡河東町大字東長原字長谷地 111 昭和電工株式会社東長原工場内 Fターム(参考) 2B200 BB01 BB11 BB15 BB20 CA20 DA04 EC16 FA31 HB20 2B230 AA15 AA16 BA01 BA17 BA18 CB25 DA02 EA20 EB01 EB02 EB03 EB04 EB05 EB12 EB13 4H006 AA03 AB99 BT12 BV34 4J027 AC02 AC03 AC08 AJ01 AJ02 BA01 CB02 CB03 CB09 CD08 4J100 AL08P AL66P AM21P AM25P BA02P BA03P BA05P BA08P BA15P BA34P BA38P CA01 CA04 FA03 JA00

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリオキシアルキレン基と少なくとも1
    個の(メタ)アクリル基を有する(メタ)アクリル基含
    有ウレタン化合物を含有することを特徴とする木材処理
    剤。
  2. 【請求項2】 下記一般式(1)、一般式(1) 【化1】 (但し、R1およびR2は独立に水素原子またはメチル基を
    表わし、R3は水素原子、メチル基または 【化2】 を表わす。mは1、2または3を表わし、nは2〜50
    0の整数を表わす。)で示される化合物、および下記一
    般式(2)、一般式(2) 【化3】 (但し、R4およびR5は独立に水素原子またはメチル基を
    表わし、R6は水素原子、メチル基または 【化4】 を表わし、kは2〜500の整数を表わす。)で示され
    る化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種類の
    (メタ)アクリル基含有ウレタン化合物を含有することを
    特徴とする請求項1に記載の木材処理剤。
  3. 【請求項3】 上記一般式(1)(但し、R1はメチル
    基、mは2、nは6〜200の整数、R3は上記と同様の意
    味を表わす。)で示される化合物からなる群から選ばれ
    る少なくとも1種の(メタ)アクリル基含有ウレタン化
    合物を含有することを特徴とする請求項1に記載の木材
    処理剤。
  4. 【請求項4】 さらにラジカル重合開始剤を含有するこ
    とを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の木材
    処理剤。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれかに記載の木材
    処理剤を木材に塗布または含浸させる工程を含むことを
    特徴とする木材の処理方法。
  6. 【請求項6】 上記の塗布または含浸させる工程後に木
    材を該工程の実施温度よりも高温に保持し養生すること
    を特徴とする請求項5に記載の木材の処理方法。
  7. 【請求項7】 請求項5または6に記載の方法で処理さ
    れた木材。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006347160A (ja) * 2005-05-17 2006-12-28 Sekisui House Ltd 高機能内装材
JP2014091803A (ja) * 2012-11-06 2014-05-19 Nof Corp ホスホリルコリン基含有(メタ)アクリレート化合物、その製造方法、及びその重合体

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