JP2001212805A - 木材処理剤及びその用途 - Google Patents

木材処理剤及びその用途

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JP2001212805A
JP2001212805A JP2000027219A JP2000027219A JP2001212805A JP 2001212805 A JP2001212805 A JP 2001212805A JP 2000027219 A JP2000027219 A JP 2000027219A JP 2000027219 A JP2000027219 A JP 2000027219A JP 2001212805 A JP2001212805 A JP 2001212805A
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compound
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Yasushi Aoki
裕史 青木
Takashi Echigo
貴 愛知後
Nobuo Uotani
信夫 魚谷
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 木材本来の風合いを保ちつつ、耐候性が高く
長期間効果を持続することができる木材寸法安定及び割
れ防止化処理剤、ならびに該処理剤を用いた簡便な木材
寸法安定及び割れ防止化処理方法を提供すること。 【解決手段】 シリル基含有ポリオキシアルキレン化合
物を含有する木材処理剤を提供する。該木材処理剤を用
いる木材の寸法安定化及び割れ防止方法を提供する。ア
ミノアルコキシシラン化合物とポリオキシアルキレン化
合物を反応させることによるシリル基含有ポリオキシア
ルキレン化合物を製造する方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、木材の寸法安定及び割
れ防止効果を有する化合物、及びその製法に関するもの
である。また該化合物を含有する木材の寸法安定及び割
れ防止化薬剤、ならびに該薬剤の使用方法、該薬剤で処
理された寸法が安定しかつ割れのない木材に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】木材は、その吸放湿性、断熱性、独特の
風合い、再生産可能な資源である等の特長により、現在
もなお土木・建築・家具・工芸等における主材料として
幅広く用いられている。
【0003】木材の材料としての欠点は、微生物やシロ
アリなど生物による侵食を受ける、火災などにより燃え
る、水分含量の変化により寸法に狂いが生じる、等であ
る。とくに水分変化による寸法の狂いは、施工後の乾燥
の進行による隙間や割れなどの欠陥の発生などにつなが
るだけでなく、伐採された丸太から材木を採取する際に
も、採取後の乾燥による変形や干割れを生じて材木の歩
留まりが低下するなど、資源の有効利用の面からみても
重要な課題であった。
【0004】外界の水分変化に伴う木材の寸法変化を低
減する方法が多数提案されている。例えば「Wood and C
ellulosic Chemistry、Marcel Dekker Inc.、 712頁、1
991年」には、木材中の結晶性セルロースの遊離水酸基
を無水酢酸を用いてアセチル化することにより木材繊維
を疎水化し、木材の水分感受性を低減する方法が記され
ている。また「Wood Science、第12巻、52頁、1979年」
には、遊離水酸基をイソシアネート基と反応させること
により同様の効果を得る方法が記されている。また「Wo
od and Cellulose Science、Ronald Press Company、33
8頁、1964年」は、ホルムアルデヒドを用いてセルロー
スの水酸基をアセタール化することで架橋し、寸法安定
性を得る方法である。さらに、木材の空隙中に樹脂を注
入し重合・高分子化することにより木材・プラスチック
複合体として空隙を埋めたプラスチックの構造強度によ
り物理的に寸法変化を抑制する方法は多数知られてい
る。
【0005】しかしながら、従来より知られるこれらの
方法は、コストや工程上の制約、処理後の溶剤・低分子
成分の揮散・溶出による環境・人体への害、木材の風合
いに与える影響など、実用面での課題について十分に考
慮されたものではなかった。
【0006】木材中にポリアルキレンオキサイドを注入
する方法もまた、古くから知られている手法である。例
えば、ポリエチレンオキサイドを、水溶液、もしくは有
機溶剤溶液として木材に含浸し、セルロース微細繊維中
に拡散させることで、木材セルロース繊維中の結晶水を
水素結合性かつ不揮発性のポリエチレンオキサイドに置
換することにより、木材セルロース繊維を膨潤状態に維
持し、乾燥時の収縮を防ぐ方法が知られる。例えば「東
京農工大演習林報、No.7、89頁110頁」では、木材中の
ポリエチレングリコールの含有率と抗収縮能の関係が詳
細に検討されている。しかしながらこの方法は、処理直
後の抗収縮効果は高いが、外壁・外構材など風雨にさら
される条件下では、注入されたポリアルキレンオキサイ
ドが容易に雨水により溶脱し、効果が長期間持続しない
という欠点があった。そのため用途は出土木材など文化
財の出土後の保護、内装向けの装飾木材の保護など、ご
く限られた用途に用いられるに止まっている。
【0007】ポリアルキレンオキサイドを木材に安定に
保持し、溶脱を防ぐため、ポリアルキレンオキサイド
に、木材成分または分子相互に架橋を形成することがで
きる官能基を導入し、水溶液、もしくは有機溶媒溶液と
して木材に含浸する方法が知られている。架橋性の官能
基を木材中で反応させることで、木材成分との共有結
合、もしくは分子相互の架橋による不溶化によりポリア
ルキレンオキサイドを固定化する方法である。例えば特
開昭55-25324号公報には、ポリアルキレングリコールモ
ノアクリレートを用いた方法が示されている。しかし、
こうした従来の方法は、木材中での架橋基の反応性が十
分でなく、屋外環境下での使用に広く普及するには至っ
ていない。さらに処理溶液に重合開始剤を添加すること
で架橋反応が加速され固着性は向上するが、木材処理溶
液中での重合反応もまた促進され、成分が溶液中で固化
し、溶液が繰り返し使用できない、固化した残液の処理
が困難である、成分が早期に高分子化・不溶化し微細な
セルロース繊維空隙に十分拡散できない等の問題があっ
た。
【0008】木材のコストを著しく上昇することなく、
また木材の本来の風合いなどの優れた性質を損ねること
なく、なおかつ外界に接する過酷な条件下でも効力の低
下が少ない、簡便な木材の寸法安定化処理方法の開発が
望まれていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、木材本来の
風合いを保ちつつ、耐候性が高く長期間効果を持続する
ことができる木材寸法安定及び割れ防止化処理剤、なら
びに該処理剤を用いた簡便な木材寸法安定及び割れ防止
化処理方法を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上記の課題
解決のため鋭意検討を行い、ポリアルキレンオキサイド
の末端にアルコキシシリル基を導入した化合物におい
て、簡便な処理により高い寸法安定・割れ防止作用、な
らびに木材への高い固着性が得られることを見いだし
た。該化合物を木材中に溶液として含浸処理し、木材成
分と反応・結合することにより、ポリアルキレンオキサ
イド由来の木材への高度な寸法安定化効果が付与され、
しかも木材成分に結合することにより水不溶化し、水に
触れる環境下でも容易に溶脱することがなく、長期間そ
の効果が持続することを知見した。
【0011】すなわち、本発明は、上記の知見に基づく
以下の事項に関するものである。 [1] 少なくとも1個のアルコキシシリル基を有する
ポリオキシアルキレン化合物を含有することを特徴とす
る木材処理剤。 [2] 少なくとも1個のアルコキシシリル基を有する
ポリオキシアルキレン化合物が下記の一般式(1)、一
般式(1)
【化6】 (但し、R1は水素原子、メチル基または
【化7】 を、R2は水素原子またはメチル基を、xは2〜500の整
数を、mは0または1〜8の整数を、nは1〜4の整数
を表わす。]で示される化合物であることを特徴とする
[1]に記載の木材処理剤。 [3] アルコール類を含有することを特徴とする
[1]または[2]に記載の木材処理剤。 [4] アルコール類が、低級アルコール類である
[3]に記載の木材処理剤。 [5] [1]〜[4]に記載の木材処理剤を用いるこ
とを特徴とする木材の寸法安定化及び割れ防止方法。 [6] [5]に記載の方法で処理された木材。 [7] 下記一般式(2)、一般式(2)
【化8】 (但し、R1は水素原子またはメチル基または
【化9】 を、R2は水素原子またはメチル基を、xは2〜500の整
数を表わす。)で示されるポリオキシアルキレン化合物
と、下記一般式(3)、一般式(3)
【化10】 (但し、mは0または1〜8の整数を、nは1〜4の整
数を表わす。)で示されるアミノアルコキシシラン化合
物を反応させることを特徴とする、少なくとも1個のア
ルコキシシリル基を有するポリオキシアルキレン化合物
の製造方法。 [8] 反応中にアルコール類を共存させることを特徴
とする[7]に記載の製造方法。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の少なくとも1個のアルコキシシリル基を
有するポリオキシアルキレン化合物(以下、「シリル基
含有ポリオキシアルキレン化合物」ともいう。)は、基
本骨格であるポリオキシアルキレン鎖に、少なくとも1
個のアルコキシシリル基を有することを特徴とする。
【0013】ポリオキシアルキレン鎖部分としては、種
々の重合度のオキシエチレン、オキシプロピレン、また
はこれらのブロック重合体等が挙げられる。該化合物を
木材の寸法安定化・割れ防止化処理に適用する場合、ポ
リオキシアルキレン鎖の鎖長は、例えばポリオキシエチ
レン鎖の場合、当該部分の分子量が100以下では吸湿性
が増大し木材の湿潤を招き、また分子量20,000以上では
木材中のセルロースの微細繊維中への浸透性が低く、十
分な寸法安定化効果が得られないため、ポリオキシアル
キレンの重合度としては2〜500程度、分子量にして100
〜20,000、望ましくは300〜5,000の範囲が好適である。
【0014】木材中のセルロースとの良好な相互作用を
与えるアルコキシシリル基としては、少なくとも1種類
の炭素数1〜4の低級アルコールにより置換されたトリ
アルコキシシリル基であり、特に、トリメトキシシリル
基、トリエトキシシリル基などが望ましく用いられる。
【0015】本発明のシリル基含有ポリオキシアルキレ
ン化合物末端のアルコキシシリル基は、例えば、セルロ
ースの水産帰途脱アルコール化反応を行い、共有結合を
形成することができる。
【0016】本発明のシリル基含有ポリオキシアルキレ
ン化合物は、そのまま、あるいは水、アルコール類等の
溶液として木材に含浸することにより、該化合物の末端
のアルコキシシリル基により木材中のセルロースの水酸
基と共有結合を形成することができる。木材中で上記の
式で示される反応が進行することにより、寸法安定性・
割れ防止性を有するポリオキシアルキレン鎖が、外界か
らの水分等により容易に溶脱しない状態で木材中に強固
に固定化される。
【0017】アルコキシシリル基の上記反応は、木材中
において特別な触媒・反応条件等を要することなく進行
する。さらに該化合物を含む製剤を用いた木材処理の
際、処理前ないし処理中、処理後に木材の加熱を行うこ
とは、反応の促進、水の存在による反応阻害の解除、な
どの観点から有用である。
【0018】本発明のシリル基含有ポリオキシアルキレ
ン化合物は、木材成分との間で共有結合を形成すること
により、既知の反応性ポリオキシアルキレン化合物に比
して木材に対する固着性に優れ、ポリオキシアルキレン
構造の有する寸法安定化効果が過酷な条件下でも長期に
わたり維持される。
【0019】本発明のシリル基含有ポリオキシアルキレ
ン化合物は、ポリオキシアルキレン化合物またはその誘
導体とアミノアルコキシシラン化合物を公知の方法によ
り反応させることにより取得することができる。
【0020】例えば、一般式(2)に示されるポリオキ
シアルキレン化合物またはその誘導体のグリシジルエー
テル化合物と、一般式(3)に示されるアミノアルコキ
シシラン化合物のアミノ基との間の反応により容易に合
成することができる。
【0021】一般式(2)に示されるポリオキシアルキ
レン化合物またはその誘導体のグリシジルエーテル化合
物の具体例としては、分子量100〜20,000のポリエチレ
ングリコールのモノグリシジルエーテル体またはジグリ
シジルエーテル体、同程度の分子量を有するポリプロピ
レングリコールのモノグリシジルエーテル体またはジグ
リシジルエーテル体、ポリエチレングリコールモノメチ
ルエーテルのグリシジルエーテル体、ポリプロピレング
リコールモノメチルエーテルのグリシジルエーテル体、
あるいはエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの
共重合体のモノグリシジルエーテル体またはジグリシジ
ルエーテル体、等を挙げることができる。
【0022】また一般式(3)で示されるアミノアルコ
キシシラン化合物の具体例としては、アミノエチルトリ
メトキシシラン、アミノエチルトリエトキシシラン、ア
ミノエチルトリプロポキシシラン、アミノプロピルトリ
メトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、
アミノプロピルトリプロポキシシラン等を挙げることが
できる。
【0023】反応は、具体的には、常温もしくは加温下
で溶融したポリオキシアルキレン化合物またはその誘導
体のグリシジルエーテル化合物にアミノアルコキシシラ
ン化合物を添加し加温することにより反応が達成され
る。反応効率を高めるために、系全体を室温〜100℃、
望ましくは50℃〜90℃の範囲で加熱することは有効であ
る。アルコキシシリル基およびグリシジル基は、ともに
水との反応により分解することが考えられるので、系内
の水分を蒸留、脱水剤等により除去しておくことは目的
物の収率の向上に有用である。
【0024】本発明の反応により生成されたシリル基含
有ポリオキシアルキレン化合物中のグリシジル基由来の
水酸基もまた、アルコキシシリル基との反応性を有す
る。これらの間の反応によりシリル基含有ポリオキシア
ルキレン化合物がゲル化、高分子量化してシリル基含有
ポリオキシアルキレン化合物の木材への注入性の低下を
もたらす。あるいは後に木材中の水酸基への結合基とし
ての機能を持つアルコキシシリル基がこの反応により消
費され木材への固着性が低下する可能性がある。反応中
から使用時にわたりこれらの反応を抑制しアルコキシシ
リル基を安定に保つため、アルコキシシリル基と交換反
応するアルコール類、具体的にはエタノール、n-プロパ
ノール、グリセロール等を、アルコール基として総アル
コキシル基と等量程度、系内に添加することは有用であ
る。また、これらの添加は、木材処理水溶液の調製にお
ける、アルコキシシリル基の水による分解からの保護に
も有用である。
【0025】本発明のシリル基含有ポリオキシアルキレ
ン化合物の木材への処理方法は、該化合物を単独あるい
は複数種の混合物として任意の溶媒、具体的には水、エ
タノールなどを用いて該化合物濃度が0.01〜90%、望ま
しくは0.1〜50%となるよう溶解し、木材に塗布する、
または木材の一部または全体を溶液に浸漬し含浸させ
る。より高い効果を得るには、加圧および/または減圧
による含浸は好適である。この溶液が塗布・含浸された
木材を、通常の木材乾燥に適用される条件、例えば常温
〜200℃の範囲、好ましくは常温〜110℃の範囲で乾燥す
る。木材内部でシリル基含有ポリオキシアルキレン化合
物の木材成分への架橋化が進行することにより、該化合
物が木材中に、水で溶出しない形で固定される。こうし
て該化合物のポリオキシアルキレン鎖が、木材繊維中に
固定化されることにより、ポリオキシアルキレン構造が
本来持つ寸法安定化効果を、風雨に曝される屋外環境下
でも溶脱することなく長期間維持することが可能であ
る。
【0026】シリル基含有ポリオキシアルキレン化合物
と木材中の水酸基との反応は、特別な反応触媒・特殊な
条件等を要せず進行する。さらに木材への固着率を高
め、十分な効果を得るためには、加熱乾燥により、アル
コキシシリル基と水酸基との反応に拮抗する、系内の水
分を早期に除去することは有用である。ただし、この反
応に有用な程度の水分の除去は、前述の、通常の木材乾
燥に適用される条件、例えば常温〜200℃の範囲、好ま
しくは常温〜110℃の範囲での乾燥により十分に達成さ
れる。本発明の木材処理剤を、新規な木材に繰り返し使
用する、保管するなどの目的で、溶液として長期間安定
に保ちたい場合には、シリル基含有ポリオキシアルキレ
ン化合物分子中の水酸基や、処理剤中の水との副反応か
らアルコキシシリル基を保護するため、本木材処理剤に
含まれるシリル基上のアルコキシル基と交換反応するア
ルコール類を、アルコール基としてアルコキシル基と等
モル量程度系内に含むことが有用である。この目的に適
したアルコール類としては、メタノール、エタノール、
n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、te
rt-ブチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレ
ングリコール、グリセロール等の低級アルコール類が挙
げられる。
【0027】本発明の木材処剤は、他の任意の薬剤、た
とえば、寸法安定・割れ防止性を有するその他の薬剤、
芳香剤、消臭剤、防錆剤、難燃化剤、抗菌剤、殺菌剤、
防カビ剤、防虫剤、殺虫剤、抗ウイルス剤、光遮蔽・吸
収剤、染料、顔料等を任意の濃度で含有することができ
る。また、該処理組成物は、利便性を考慮し、使用直前
に溶媒に溶解または希釈して用いる濃縮剤、粉剤、粒
剤、錠剤などの任意の形態で提供することができる。
【0028】本発明の方法で処理された木材は、屋外環
境中においてもシリル基含有ポリオキシアルキレン化合
物が雨水などにより容易に溶脱することなく、長期間そ
の寸法安定性、割れ防止性を維持することができる。ま
た該化合物及び木材中で高分子化した物は無色・透明で
あること、木材内部でその寸法安定・割れ防止機能を発
揮することから、木材本来の木目、色合いなどの外観・
風合いに与える影響が小さい。さらに、処理後の木材
は、寸法安定性があり、割れないという効果を維持しつ
つ、通常の木材と同様の表面の塗装・接着・他の薬剤に
よる処理、切削などの加工をすることが可能である。よ
って本発明の方法により処理された木材は一般家屋の建
築材料のみならず、公園遊具・電柱・ガードレール・枕
木等の外構材、橋梁・桟橋等の建設用材、木造船舶本体
または艤装類、農林水産業・土木建築用作業構造物、家
具用材、各種化粧材、工芸品用材など、一般に知られる
全ての木材用途に幅広く利用することが可能である。
【0029】
【実施例】以下に実施例を挙げ具体的に説明する。これ
らの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
【0030】(実施例1)ポリエチレングリコール#40
0(平均重合度9.1)ジグリシジルエーテル58.4g及び
アミノプロピルトリエトキシシラン44.2gを混合し、還
流下、60℃で4時間撹拌した。さらに102.6gのエタノー
ルを添加し、80℃に昇温し2時間撹拌した。得られた化
合物の1H-NMRの結果から、アミノプロピルトリメト
キシシラン由来のアミノ基とポリエチレングリコール#
400ジグリシジルエーテルのエポキシド基がほぼ1:1で
反応し、目的物質が生成したことが確認された。
【0031】こうして得られたエタノール溶液は、密
栓、室温保存において1ヶ月以上、溶液として安定であ
ることを確認した。
【0032】(実施例2)ポリプロピレングリコール#4
00(平均重合度6.9)ジグリシジルエーテル58.4g及
びアミノプロピルトリメトキシシラン44.2gを混合し、
還流下、60℃で4時間撹拌した。さらに102.6gのエタノ
ールを添加し、80℃に昇温し2時間撹拌した。
【0033】得られた化合物の1H-NMRの結果から、
アミノプロピルトリメトキシシラン由来のアミノ基とポ
リプロピレングリコール#400(平均重合度6.9)ジ
グリシジルエーテルのエポキシド基がほぼ1:1で反応
し、目的物質が生成したことが推定された。こうして得
られたエタノール溶液は、密栓、室温保存において1ヶ
月以上、溶液として安定であることを確認した。
【0034】(実施例3)実施例1及び2で得られた化合
物のエタノール溶液(以下 化合物1溶液及び化合物2溶
液 と称する)をそれぞれ30%(質量/体積)となるよう水
に溶解し薬液を調製した(以下それぞれ、薬液1 及び
薬液2 と称する)。これら薬液はそれぞれ化合物1、化
合物2を約15%含む。
【0035】また比較例として、ポリエチレングリコー
ル#600(平均重合度13.6)を15%(質量/体積)とな
るよう水に溶解した溶液(以下 対照薬液1 と称す
る)、及びポリエチレングリコール#600(平均重合度
13.6)ジメタクリレート15%(質量/体積)と過硫酸ア
ンモニウムを1%(質量/体積)含む水溶液(以下 対照薬
液2と称する)を調製した。
【0036】上記各水溶液をそれぞれ50mlをビーカーに
とり、60℃の循環式恒温器にて72時間乾燥させたスギ辺
材木片(気乾状態での寸法3×3×0.5cm、四方柾、木口
が3×3cm)を1点ずつ、あらかじめ重量及び寸法を測定
した後、重しをのせて木片全体が没するようにそれぞれ
の溶液に浸漬した。これらをビーカーごとコック付きの
デシケーター内に設置し、接続した真空ポンプにより22
hPaまで減圧したところでコックを閉じ、水溶液が十分
に木片に浸透するようそのまま12時間静置した。木片を
溶液より回収し、60℃の循環式恒温器で72時間乾燥・養
生した後、重量・寸法を測定した。
【0037】得られたそれぞれの薬液注入木片を、木片
の10倍容積のイオン交換水に投入し、8時間の撹拌を行
い、木片を回収、12時間再乾燥させるま一連の行程を1
サイクルの耐候操作とし、3サイクル繰り返した。処理
直後、及び各回耐候操作後の、木片の木目に対して接線
方向の寸法の変化、及び薬液膨潤時の寸法を基準とした
各回乾燥後の収縮率を表1に示した。また乾燥重量の変
化から求めた成分固着量の挙動を、表2に示した。なお
木材の寸法測定は、マイクロメーター(CD-20CP、ミツ
トヨ製)を用い、1/100mmまで計測した。
【0038】薬液1で処理された木片は対照薬液1及び
2で処理された木片に対し、3回の耐候操作後も高い寸法
安定化効果および有効成分固着性を有することが示され
た。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】(実施例4)化合物1溶液を30%(質量/体積)
となるよう、50%エタノール水溶液で希釈した(以下
薬液3と称する)。この薬液は化合物1を約15%含む。ま
た化合物2溶液を30%(質量/体積)となるよう、50%イソ
プロピルアルコール水溶液で希釈した(以下 薬液4と
称する)。これら薬液はそれぞれ化合物1または化合物2
を約15%含む。
【0042】実施例3の薬液1、及び薬液3について、実
施例3と同様に木片への含浸処理、及び耐候操作を行い
寸法の挙動を測定した。薬液3についても、実施例3に示
す薬液1、2による処理と同様、高い寸法安定化効果を有
していた。
【0043】さらに、実施例3に示す薬液1と上記薬液3
について、上記の通り木片を処理し回収した後、密栓し
て20℃の恒温インキュベータに静置し、薬液の状態を、
経時的に観察した。薬液1では2日後で液の固化がビーカ
ーの底部より始まり、4日間で液全体が固化し透明のゲ
ルを形成した。薬液3については14日間の静置後も液の
固化は認められなかった。
【0044】放置14日後の薬液2を用い、同様に木材へ
の含浸処理、及び耐候操作を行い寸法の挙動を測定した
結果を同じく表3に示した。放置後の薬液によっても、
高い寸法安定性が得られた。アルコールの添加により長
期間固化せず、繰り返し木片の含浸処理に使用可能な薬
剤を調製できることが示された。
【0045】
【表3】
【0046】(実施例5)実施例3に記載の組成の薬液
1、対照薬液1及び2をそれぞれ1Lずつ調製し、木目の均
一な気乾状態のスギ木片(30×10×1cm、木口が10×1cm
の柾目板)を、重しをのせ全体が没するよう浸漬した。
これらを浸漬したままコック付きのデシケーター内に設
置し、接続した真空ポンプにより22hPaまで減圧したと
ころでコックを閉じ、水溶液が十分に木片に浸透するよ
うそのまま48時間静置し、さらにコックを開放し常圧下
で48時間静置した。木片を溶液より回収し、60℃の循環
式恒温器にて72時間乾燥させた。
【0047】それぞれの薬液を浸漬後乾燥した木片を、
直射日光及び雨水の当たる屋外に、長辺を上下方向にし
て、30×10cmの一面(以後 試験面 と称する)を真南
に向け45度傾けて設置し、60日間放置した。放置後、屋
内で室温にて10日間静置した後、試験面の表面に生じて
いた、肉眼で確認できるすべての亀裂の長さを測定し、
その長さの合計を求め表4に示した。
【0048】薬液1で処理された木片は、無処理木片、
および対照薬液1及び2で処理された木片に対し、屋外
環境下で高い割れ防止効果を有することが示された。
【0049】
【表4】
【0050】
【発明の効果】本発明のシリル基含有ポリオキシアルキ
レン化合物は、木材中に含浸または表面に塗布処理等の
簡便な処理をすることにより木材に対して長期間高い寸
法安定・割れ防止効果を与えることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 魚谷 信夫 千葉県千葉市緑区大野台1丁目1番1号 昭和電工株式会社総合研究所内 Fターム(参考) 2B200 BA20 BB01 BB11 BB15 BB20 DA04 FA31 HB03 HB20 2B230 AA15 AA16 BA01 BA03 BA17 BA18 CB05 CC04 DA02 EB01 EB02 EB03 EB04 EB12 EB13 4J002 CH051 EC016 FD206 GT00

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも1個のアルコキシシリル基を
    有するポリオキシアルキレン化合物を含有することを特
    徴とする木材処理剤。
  2. 【請求項2】 少なくとも1個のアルコキシシリル基を
    有するポリオキシアルキレン化合物が下記の一般式
    (1)、一般式(1) 【化1】 (但し、R1は水素原子、メチル基または 【化2】 を、R2は水素原子またはメチル基を、xは2〜500の整
    数を、mは0または1〜8の整数を、nは1〜4の整数
    を表わす。]で示される化合物であることを特徴とする
    請求項1に記載の木材処理剤。
  3. 【請求項3】 アルコール類を含有することを特徴とす
    る請求項1または2に記載の木材処理剤。
  4. 【請求項4】 アルコール類が、低級アルコール類であ
    る請求項3に記載の木材処理剤。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれかに記載の木材
    処理剤を用いることを特徴とする木材の寸法安定化及び
    割れ防止方法。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の方法で処理された木
    材。
  7. 【請求項7】 下記一般式(2)、一般式(2) 【化3】 (但し、R1は水素原子またはメチル基または 【化4】 を、R2は水素原子またはメチル基を、xは2〜500の整
    数を表わす。)で示されるポリオキシアルキレン化合物
    と、下記一般式(3)、一般式(3) 【化5】 (但し、mは0または1〜8の整数を、nは1〜4の整
    数を表わす。)で示されるアミノアルコキシシラン化合
    物を反応させることを特徴とする、少なくとも1個のア
    ルコキシシリル基を有するポリオキシアルキレン化合物
    の製造方法。
  8. 【請求項8】 反応中にアルコール類を共存させること
    を特徴とする請求項7に記載の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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