JP2001209081A - ラマン増幅用光ファイバ、ラマン増幅器および光伝送システム - Google Patents

ラマン増幅用光ファイバ、ラマン増幅器および光伝送システム

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JP2001209081A
JP2001209081A JP2000019043A JP2000019043A JP2001209081A JP 2001209081 A JP2001209081 A JP 2001209081A JP 2000019043 A JP2000019043 A JP 2000019043A JP 2000019043 A JP2000019043 A JP 2000019043A JP 2001209081 A JP2001209081 A JP 2001209081A
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raman
raman amplification
optical
light
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Masayuki Nishimura
正幸 西村
Hideyori Sasaoka
英資 笹岡
Toshiaki Okuno
俊明 奥野
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な構成で安価であり安定したラマン増幅
利得を有するラマン増幅器等を提供する。 【解決手段】 このラマン増幅器1では、励起光源52
から出力された励起光は、光合波器42を介してラマン
増幅用光ファイバ32に供給される。上流側よりラマン
増幅用光ファイバ32に入力した信号光は、ラマン増幅
用光ファイバ32を伝搬する際に伝送損失を被る一方
で、ラマン増幅用光ファイバ32によりラマン増幅され
る。ラマン増幅用光ファイバ32は、伝搬する光の偏波
間でカップリングを誘起する偏波結合手段(ガラス部分
に加えられた捻れ)を有している。これにより、信号光
および励起光それぞれの偏波状態がラマン増幅用光ファ
イバ32の長手方向にランダムとなって、ラマン増幅器
1のラマン増幅利得は、平準化され、時間的にも安定し
たものとなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、励起光が供給され
ることにより信号光をラマン増幅し得るラマン増幅用光
ファイバ、このラマン増幅用光ファイバを用いたラマン
増幅器、および、このラマン増幅器が中継区間に設けら
れた光伝送システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】光ファイバ増幅器は、光伝送システムに
おいて信号光が光伝送路を伝搬する際の損失を補償すべ
く信号光を光増幅するものであり、光増幅用光ファイバ
および励起光供給手段を備えている。すなわち、励起光
供給手段により光増幅用光ファイバに所定波長の励起光
が供給され、この光増幅用光ファイバに信号光が入力す
ると、この入力した信号光は、光増幅用光ファイバにお
いて光増幅されて出力される。
【0003】このような光ファイバ増幅器として、希土
類元素(例えばEr元素)が光導波領域に添加された光
ファイバを光増幅用光ファイバとして用いる希土類元素
添加光ファイバ増幅器と、ラマン増幅現象を利用するラ
マン増幅器とがある。希土類元素添加光ファイバ増幅器
は、モジュール化されて中継器等に設けられる。これに
対して、ラマン増幅器は、信号光を伝搬させる光伝送路
またはその一部に光増幅用光ファイバ(ラマン増幅用光
ファイバ)が用いられ、このラマン増幅用光ファイバに
おいて該信号光を光増幅する。したがって、ラマン増幅
器を利用すれば、光伝送路の実効的損失の低減を図るこ
とができるだけでなく、光伝送路の各所における信号光
のパワーが大きくなりすぎることに因る非線形光学現象
の発生を抑制することができる。
【0004】このようなラマン増幅器では、ラマン増幅
用光ファイバを伝搬する信号光および励起光それぞれの
偏波面の間の関係がラマン増幅利得に影響を与えること
が知られている。すなわち、ラマン増幅利得は、ラマン
増幅用光ファイバを伝搬する信号光および励起光それぞ
れの偏波面が一致しているときに最大値となり、両者の
偏波面が直交しているときには上記最大値の1/10程
度まで劣化する。また、ラマン増幅用光ファイバを伝搬
する光の偏波面が長手方向で変動する場合には、ラマン
増幅利得は上記最大値の1/2程度となることが知られ
ている(例えば、文献1「S. E. Miller, et al., "Opt
ical Fiber Telecommunications", Academic Press, In
c., p.131 (1979)」を参照)。
【0005】ところで、励起光源や信号光源として一般
に半導体レーザ光源が用いられており、この半導体レー
ザ光源から出力される光(励起光または信号光)は直線
偏波である。また、光伝送路やラマン増幅用光ファイバ
として一般に用いられるシングルモード光ファイバで
は、伝搬する光の偏波面が変化したとしても僅かであ
り、偏波面は殆ど保持される。特に、近年のケーブル化
技術の進歩により、光ファイバに擾乱や側圧が加わらな
いようになってきていることから、光ファイバを伝搬す
る光の偏波面が保持される傾向が強まっている。
【0006】このような伝搬光の偏波面を保持する傾向
が強い光ファイバに、半導体レーザ光源から出力された
信号光や励起光を伝搬させると、信号光および励起光そ
れぞれの偏波面の間の関係は、中途半端に固定される。
その一方で、その固定状態が時間的に変動する場合があ
る。このような場合には、ラマン増幅利得は、信号光お
よび励起光それぞれの偏波面の間の関係の変化に依存し
て、時間的に変動することになる。
【0007】このような問題点を解決する為に、2個の
半導体レーザ光源それぞれから出力されたレーザ光を偏
波合成器により互いに偏波面を直交させて合波して、こ
の合波したものを励起光として用いる技術が知られてい
る(文献2「H. Masuda, etal., "Ultrawide 75-nm 3-d
B Gain-Band Optical Amplification with Erbium-Dope
d Fluoride Fiber Amplifiers and Distributed Raman
Amplifiers", IEEE Photon. Tech. Lett., Vol.10, No.
4, pp.516-518 (1998)」を参照)。このような励起光を
ラマン増幅用光ファイバに伝搬させることによりラマン
増幅利得の時間的変動を抑制しようとするものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記文
献2に記載された技術では、2個の半導体レーザ光源お
よび偏波合成器を設ける必要があることから、光部品の
点数が多く、システムコストが高価になる。また、2個
の半導体レーザ光源それぞれの出力パワーの比が変動す
ると、ラマン増幅利得も変動してしまう。
【0009】本発明は、上記問題点を解消する為になさ
れたものであり、簡単な構成で安価であり安定したラマ
ン増幅利得を有するラマン増幅器、このラマン増幅器に
おいて好適に用いられるラマン増幅用光ファイバ、およ
び、このラマン増幅器が中継区間に設けられた光伝送シ
ステムを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明に係るラマン増幅
用光ファイバは、励起光が供給されることにより信号光
をラマン増幅し得るラマン増幅用光ファイバであって、
伝搬する光の偏波間でカップリングを誘起する偏波結合
手段を有することを特徴とする。また、本発明に係るラ
マン増幅器は、(1) 信号光を伝送するとともに、励起光
が供給されることにより信号光をラマン増幅する上記の
ラマン増幅用光ファイバと、(2) ラマン増幅用光ファイ
バに励起光を供給する励起光供給手段とを備えることを
特徴とする。
【0011】このラマン増幅器では、励起光供給手段に
より励起光がラマン増幅用光ファイバに供給される。そ
して、ラマン増幅用光ファイバに入力した信号光は、ラ
マン増幅用光ファイバを伝搬する際に伝送損失を被る一
方で、ラマン増幅用光ファイバによりラマン増幅され
て、ラマン増幅用光ファイバより出力される。ラマン増
幅用光ファイバでは、伝搬する光の偏波間でカップリン
グを誘起する偏波結合手段の作用により、信号光および
励起光それぞれの偏波状態がラマン増幅用光ファイバの
長手方向にランダムとなる。これにより、ラマン増幅器
のラマン増幅利得は、平準化され、時間的にも安定した
ものとなる。また、従来の技術の欄に挙げた文献2の技
術と比較して、光部品の点数が少なく、システムコスト
が安価である。
【0012】このラマン増幅用光ファイバは、偏波結合
手段がガラス部分に加えられた捻れであることを特徴と
する。この場合には、この捻れにより、伝搬する光の偏
波間でカップリングが誘起されて、信号光および励起光
それぞれの偏波状態がラマン増幅用光ファイバの長手方
向にランダムとなる。また、捻れのピッチの平均値が2
回転/m以上であれば、伝搬する光の偏波間で充分なカ
ップリングを誘起する上で好適である。
【0013】本発明に係る光伝送システムは、上記のラ
マン増幅器が中継区間に設けられ、ラマン増幅器のラマ
ン増幅用光ファイバが中継区間の光伝送路の少なくとも
一部として用いられることを特徴とする。この光伝送シ
ステムによれば、中継区間の光伝送路を伝搬する信号光
は、ラマン増幅用光ファイバを伝搬する際に伝送損失を
被る一方で、ラマン増幅用光ファイバによりラマン増幅
されて、ラマン増幅用光ファイバより出力される。した
がって、光伝送路の実効的損失の低減を図ることがで
き、また、光伝送路の各所における信号光のパワーが大
きくなりすぎることに因る非線形光学現象の発生を抑制
することができる。また、ラマン増幅用光ファイバで
は、伝搬する光の偏波間でカップリングを誘起する偏波
結合手段の作用により、信号光および励起光それぞれの
偏波状態がラマン増幅用光ファイバの長手方向にランダ
ムとなるので、ラマン増幅利得(すなわち、受信端に到
達する信号光のパワー)は、平準化され、時間的にも安
定したものとなる。さらに、従来の技術の欄に挙げた文
献2の技術と比較して、光部品の点数が少なく、システ
ムコストが安価である。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して本発明
の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明にお
いて同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を
省略する。
【0015】先ず、本発明に係るラマン増幅器の実施形
態について説明する。図1は、本実施形態に係るラマン
増幅器1の概略構成図である。このラマン増幅器1は、
ラマン増幅用光ファイバ32、光合波器42および励起
光源52を備える。
【0016】ラマン増幅用光ファイバ32は、長さが例
えば数km〜数十kmであって、光伝送システムにおい
て信号光を伝送する光伝送路でもあり、励起光が供給さ
れることにより信号光をラマン増幅する光増幅媒体でも
ある。このラマン増幅用光ファイバ32は、信号光波長
帯域において単一モードであり、シリカガラスをベース
とするものである。また、このラマン増幅用光ファイバ
32は、累積波長分散に因る信号光の波形劣化を抑制す
る上では、信号光波長(1.55μm)付近に零分散波
長を有する分散シフト光ファイバであるのが好適であ
る。
【0017】励起光源52は、励起光を出力するもので
あり、例えば半導体レーザ光源が好適に用いられる。光
合波器42は、励起光源52から出力された励起光をラ
マン増幅用光ファイバ32へ導入するとともに、ラマン
増幅用光ファイバ32でラマン増幅された信号光を下流
側(図の右方)へ通過させる。なお、信号光の波長が
1.55μm付近であれば、ラマン増幅の為の励起光の
波長は、信号光の波長より0.1μm程度短い1.45
μm付近である。
【0018】このラマン増幅器1では、励起光源52か
ら出力された励起光は、光合波器42を介してラマン増
幅用光ファイバ32に供給される。上流側(図の左方)
よりラマン増幅用光ファイバ32に入力した信号光は、
ラマン増幅用光ファイバ32を伝搬する際に伝送損失を
被る一方で、ラマン増幅用光ファイバ32によりラマン
増幅される。そして、このラマン増幅用光ファイバ32
によりラマン増幅された信号光は、光合波器42を介し
て下流側へ出力される。
【0019】ラマン増幅用光ファイバ32は、伝搬する
光の偏波間でカップリングを誘起する偏波結合手段を有
している。この偏波結合手段は、例えば、ラマン増幅用
光ファイバ32のガラス部分に加えられた捻れである。
そして、伝搬光の偏波間のカップリングにより偏波状態
をランダムにする上では、その捻れのピッチの平均値が
2回転/m以上であるのが好適である。この偏波結合手
段の作用により、信号光および励起光それぞれの偏波状
態がラマン増幅用光ファイバ32の長手方向にランダム
となって、ラマン増幅器1のラマン増幅利得は、平準化
され、時間的にも安定したものとなる。従来の技術の欄
に挙げた文献2の技術のように2個の半導体レーザ光源
および偏波結合器を設ける必要がなく、励起光源として
1個の半導体レーザ光源のみでよいので、光部品の点数
が少なく、システムコストが安価である。
【0020】図2は、本実施形態に係るラマン増幅用光
ファイバ32の説明図である。この図には、ラマン増幅
用光ファイバ32の長手方向の各位置A〜Hにおける断
面図が示されている。ラマン増幅用光ファイバ32の断
面は、中心のコア領域32aをクラッド領域32bが取
り囲んだものとなっている。コア領域32aの断面形状
は、完全な円ではなく僅かに楕円となっている。この断
面図のコア領域32a中に示した矢印は、楕円の長径方
向を示している。そして、ラマン増幅用光ファイバ32
は、長手方向の各位置A〜Hで長径方向が異なってお
り、長手方向に見ていくと長径方向が回転している。こ
の長径方向の回転が、ラマン増幅用光ファイバ32のガ
ラス部分に加えられた捻れ(偏波結合手段)である。
【0021】次に、本実施形態に係るラマン増幅用光フ
ァイバの具体的な実施例について説明する。ここでは、
ラマン増幅用光ファイバ32として、捻れのピッチの平
均値が2.5回転/mであり、長さが10kmであり、
波長1.55μm付近で零分散波長を有する分散シフト
光ファイバを用いた。信号光源として、波長1.55μ
mの直線偏波のレーザ光を信号光として出力する半導体
レーザ光源を用いた。励起光源52として、波長1.4
5μmの直線偏波のレーザ光を励起光として出力する半
導体レーザ光源を用いた。ラマン増幅器1へ入射する信
号光のパワーを−20dBmとし、励起光の出力パワー
を180mWとした。
【0022】そして、ラマン増幅器1へ入射する信号光
の偏波面を偏波制御器により回転させながら、ラマン増
幅器1から出射される信号光のパワーを測定した。この
測定の結果、信号光の出力パワーの変動幅は0.1dB
以下であった。なお、捻れを有しない通常の分散シフト
光ファイバを用いて同様にして測定した結果、信号光の
出力パワーの変動幅は0.4dB程度であった。このよ
うに、本実施形態に係るラマン増幅器1のラマン増幅利
得は安定したものであることが確認された。
【0023】次に、このようなラマン増幅用光ファイバ
32の製造方法について説明する。図3は、本実施形態
に係るラマン増幅用光ファイバ32を好適に製造するこ
とができる光ファイバ製造工程の説明図である。この図
に示すように、先ず、光ファイバ母材100を用意す
る。この光ファイバ母材100は、気相軸付法(VAD
法)、外付け法(OVD法)、内付け法(MCVD法)
またはロッドインチューブ法などで作成される。また、
この光ファイバ母材100は、シリカガラスを主成分と
するものであって、添加物濃度が長手方向に均一であ
り、屈折率プロファイルも長手方向に均一である。
【0024】次いで、光ファイバ母材100を線引き炉
110にセットした後、線引き炉110内のヒータ12
0で光ファイバ母材100の下端を加熱・軟化させ、光
ファイバ130を線引きする。このときの線引き速度は
例えば100m/分である。線引きした光ファイバ13
0の外径をレーザ外径測定器140で測定する。この測
定結果は線引き制御部150に報告される。そして、線
引き制御部150は、測定結果に基づいて光ファイバ1
30の外径が所定の値になるように、ヒータ120の加
熱温度や線引き速度を制御する。
【0025】次いで、光ファイバ130を、第1の樹脂
コーティングダイス161に貯えられた液状樹脂171
中を経由させ、光ファイバ130表面に第1層目の樹脂
を付着させる。引き続き、第1層目の樹脂が付着した光
ファイバ130に対してUVランプ181により紫外光
を照射して、第1層目の樹脂を硬化させる。同様にし
て、第2の樹脂コーティングダイス162に貯えられた
液状樹脂172中を経由させ、光ファイバ130の第1
層目の樹脂表面に第2層目の樹脂を付着させた後、引き
続き、第2層目の樹脂が付着した光ファイバ130に対
してUVランプ182により紫外光を照射して、第2層
目の樹脂を硬化させる。こうして、光ファイバ130表
面に2層の樹脂からなる樹脂被膜190をコーティング
した光ファイバ200を形成する。このときの光ファイ
バ200の被覆径は例えば250μmである。
【0026】次いで、光ファイバ200を、光ファイバ
200の進行方向に自由に回転する光ファイバ応動抑制
用の1対のガイドローラ210の間を通過させた後、引
き続き、揺動ガイドローラ220、この揺動ガイドロー
ラ220の次段に設置された第1の固定ガイドローラ2
31、この第1の固定ガイドローラ231の次段に設置
された第2の固定ガイドローラ232で順次ガイドす
る。更に、これら揺動ガイドローラ220、第1の固定
ガイドローラ231および第2の固定ガイドローラ23
2を順次経由した光ファイバ200をドラム240に巻
き取る。
【0027】このとき、光ファイバ応動抑制用の1対の
ガイドローラ210は、揺動ガイドローラ220の真上
方向に距離100mmの位置に設置されており、1対の
ガイドローラ210の間隔は2mmである。また、揺動
ガイドローラ220は、そのローラ外径が150mm、
ローラ幅が30mmであり、ローラ表面の材質はローラ
自体の材質であるアルミニウムであり、その回転軸が引
張りタワー軸(光ファイバが線引き炉110から揺動ガ
イドローラ220までを線引される方向)に平行な方向
の回りに例えば角度−θから角度+θまで毎分100回
の周期で揺動している。
【0028】また、第1の固定ガイドローラ231は、
揺動ガイドローラ220の真横方向に距離250mmの
位置に設置され、揺動ガイドローラ220のローラと同
様にローラ外径が150mm、ローラ幅が30mmであ
るが、その回転軸が固定されていると共に、ローラ表面
の中央部に光ファイバ転動抑止手段としてのV字型の狭
溝が設けられている。このような条件で配置された光フ
ァイバ応動抑制用の1対のガイドローラ210、揺動ガ
イドローラ220および第1の固定ガイドローラ231
の組み合わせにより、有効に即ち揺動ガイドローラ22
0の揺動速度に対して高効率に光ファイバ200に所定
の捻れを付加する。
【0029】次に、光ファイバ200に所定の捻れを有
効に付加する方法を、図4および図5を用いて説明す
る。ここで、図4は、図3の揺動ガイドローラ220お
よび第1の固定ガイドローラ231を上から見た図であ
る。図5は、図3の光ファイバ応動抑制用の1対のガイ
ドローラ210および揺動ガイドローラ220を横から
見た図である。
【0030】図4に示すように、揺動ガイドローラ22
0が引張りタワー軸に平行な方向の回りに角度+θだけ
傾くと、この傾きによって光ファイバ200に横方向の
力が加わり、揺動ガイドローラ220のローラ表面を光
ファイバ200が転動する。そしてこの転動により、光
ファイバ200に捻れが付与される。続いて、揺動ガイ
ドローラ220は逆方向に角度−θだけ傾く。こうし
て、図中の両頭矢印に示されるように、揺動ガイドロー
ラ220が角度+θから角度−θまで揺動する対称的な
往復運動が繰り返されることにより、光ファイバ200
に進行方向に対する時計回りの捻れと反時計回りの捻れ
とが交番的に付与される。
【0031】このとき、揺動ガイドローラ220の次段
の第1の固定ガイドローラ231が揺動ガイドローラ2
20の真横向の位置に同じローラ外径をもって設置され
ているため、光ファイバ200の揺動ガイドローラ22
0のローラ表面に接触する長さは、揺動ガイドローラ2
20の円周角90°に相当するローラ円周とほぼ等しい
長さになる。ただし、実際には第1の固定ガイドローラ
231にV溝が付いているので、その分、90°より大
きくなる。すなわち、光ファイバ200は揺動ガイドロ
ーラ220のローラの一方の側面から底面まで接触し、
その最底部で離脱する。このため、ローラの他方の側面
において光ファイバ200の転動が生じて一方の側面に
おける光ファイバ200の転動を妨害し、光ファイバ2
00を摺動させるという事態が阻止される。したがっ
て、揺動ガイドローラ220のローラの一方の側面にお
ける光ファイバ200の転動により、揺動ガイドローラ
220の揺動速度に対して高効率に光ファイバ200に
捻れを付与することができる。
【0032】また、第1の固定ガイドローラ231のロ
ーラ表面の中央部に光ファイバ転動抑止手段としてのV
字型の狭溝250が設けられており、第1の固定ガイド
ローラ231でガイドされる光ファイバ200はこのV
字型の狭溝250に挿着される。このため、第1の固定
ガイドローラ231のローラ表面で光ファイバ200が
転動して光ファイバ200に捻れを付与するための揺動
ガイドローラ220における転動を妨害するという事態
が阻止される。したがって、V字型の狭溝250によっ
て第1の固定ガイドローラ231のローラ表面での光フ
ァイバ200の転動を抑止することにより、揺動ガイド
ローラ220の揺動速度に対して高効率に光ファイバ2
00に捻れを付与することができる。
【0033】図5に示すように、揺動ガイドローラ22
0が引張りタワー軸に平行な方向の回りに角度+θだけ
傾き、この揺動ガイドローラ220のローラ表面を光フ
ァイバ200が転動すると、この光ファイバ200の転
動に連れて、揺動ガイドローラ220直前の線引き炉側
の光ファイバ200も揺動ガイドローラ220の揺動方
向に応動する。そして、この光ファイバ200の応動が
一定範囲を越えると、光ファイバ200に付与する捻れ
のピッチが低減したり、樹脂被膜190をコーティング
した光ファイバ200が偏肉したりする原因となるが、
1対のガイドローラ210が揺動ガイドローラ220の
真上方向に設置されているため、光ファイバ200の応
動が一定以上になると、1対のガイドローラ210の一
方のローラに接触し、それ以上の光ファイバ200の応
動が阻止される。したがって、1対のガイドローラ21
0が光ファイバ200の応動を抑制することにより、光
ファイバ200に付与される捻れのピッチの低減や、樹
脂被膜190をコーティングした光ファイバ200の偏
肉を抑止することができる。
【0034】このように、光ファイバ応動抑制用の1対
のガイドローラ210、揺動ガイドローラ220および
第1の固定ガイドローラ231を組み合わせることによ
り、揺動ガイドローラ220がその揺動運動によってそ
のローラ表面に光ファイバ200を転動させ時計回りの
捻れと反時計回りの捻れとを交番的に付与すると共に、
光ファイバ応動抑制用の1対のガイドローラ210と光
ファイバ転動抑止手段を設けた第1の固定ガイドローラ
231とが揺動ガイドローラ220のローラ表面での光
ファイバ200のスムーズな転動を補助するため、揺動
ガイドローラ220の揺動速度に対して高効率に光ファ
イバ200に捻れを付与することができる。
【0035】光ファイバ200は、上記の製造方法によ
り製造されたものであって、コア部分とクラッド部分と
を備え、時計回りの捻れと反時計回りの捻れとが交番的
に付与されているため、たとえコア部分およびクラッド
部分の断面形状が真円形の同心円状でなくとも、伝搬光
の偏波状態をランダムとすることができる。
【0036】なお、上記実施形態においては、揺動ガイ
ドローラ220の揺動運動は、図4に示されるような角
度−θから角度+θまでの対称的な往復運動であった
が、これに限定されず、例えば角度0から角度+θまで
揺動する非対称の往復運動であってもよい。この場合
は、光ファイバ200には間欠的に捻れが付与される。
また、揺動ガイドローラ220の回転軸の方向に揺動す
る対称的な往復運動であってもよい。この場合は、上記
実施形態の場合と同様に、光ファイバ200には時計回
りの捻れと反時計回りの捻れとが交番的に付与される。
また、第1の固定ガイドローラ231の光ファイバ転動
抑止手段としてのV字型の狭溝250を設けたが、この
代わりにU字型の狭溝、または凹形状の狭溝を設けて
も、同様の効果を奏することが可能である。
【0037】以上のようにして製造された光ファイバ2
00は、ガラス部分に捻れが加えられたものであって、
本実施形態に係るラマン増幅用光ファイバ32である。
なお、この製造工程において、捻れのピッチの平均値が
2回転/m以上であるのが好適である。
【0038】次に、本発明に係る光伝送システムの実施
形態について説明する。図6は、本実施形態に係る光伝
送システム2の概略構成図である。この光伝送システム
2は、光送信器(または光中継器)10と光受信器(ま
たは光中継器)20との間に、光合波器41、ラマン増
幅用光ファイバ31、ラマン増幅用光ファイバ32、光
合波器42、光合波器43、ラマン増幅用光ファイバ3
3、ラマン増幅用光ファイバ34および光合波器44を
順に備える。また、光合波器41に励起光源51が接続
され、光合波器42に励起光源52が接続され、光合波
器43に励起光源53が接続され、光合波器44に励起
光源54が接続されている。
【0039】ラマン増幅用光ファイバ31、光合波器4
1および励起光源51で第1のラマン増幅器が構成され
ている。ラマン増幅用光ファイバ32、光合波器42お
よび励起光源52で第2のラマン増幅器が構成されてい
る。ラマン増幅用光ファイバ33、光合波器43および
励起光源53で第3のラマン増幅器が構成されている。
また、ラマン増幅用光ファイバ34、光合波器44およ
び励起光源54で第4のラマン増幅器が構成されてい
る。これらのうち、第2および第4のラマン増幅器それ
ぞれは、図1に示したものと同様の構成である。第1お
よび第3のラマン増幅器それぞれは、図1に示したもの
と比べると、ラマン増幅用光ファイバに励起光を導入す
る方向が異なるが、本発明に係るものである。
【0040】ラマン増幅用光ファイバ31〜34それぞ
れは、長さが例えば数km〜数十kmであって、光伝送
システム2において信号光を伝送する光伝送路でもあ
り、励起光が供給されることにより信号光をラマン増幅
する光増幅媒体でもある。このラマン増幅用光ファイバ
31〜34それぞれは、信号光波長帯域において単一モ
ードであり、シリカガラスをベースとするものである。
また、このラマン増幅用光ファイバ31〜34それぞれ
は、累積波長分散に因る信号光の波形劣化を抑制する上
では、信号光波長(1.55μm)付近に零分散波長を
有する分散シフト光ファイバであるのが好適である。
【0041】励起光源51〜54それぞれは、励起光を
出力するものであり、例えば半導体レーザ光源が好適に
用いられる。光合波器41は、励起光源51から出力さ
れた励起光をラマン増幅用光ファイバ31へ導入すると
ともに、光送信器10から送出された信号光をラマン増
幅用光ファイバ31へ向けて通過させる。光合波器42
は、励起光源52から出力された励起光をラマン増幅用
光ファイバ32へ導入するとともに、ラマン増幅用光フ
ァイバ32でラマン増幅された信号光を下流側へ通過さ
せる。光合波器43は、励起光源53から出力された励
起光をラマン増幅用光ファイバ33へ導入するととも
に、光合波器42より到達した信号光をラマン増幅用光
ファイバ33へ向けて通過させる。光合波器44は、励
起光源54から出力された励起光をラマン増幅用光ファ
イバ34へ導入するとともに、ラマン増幅用光ファイバ
34でラマン増幅された信号光を光受信器20へ向けて
通過させる。なお、信号光の波長が1.55μm付近で
あれば、ラマン増幅の為の励起光の波長は、信号光の波
長より0.1μm程度短い1.45μm付近である。
【0042】この光伝送システム2では、励起光源51
から出力された励起光は、光合波器41を介してラマン
増幅用光ファイバ31に供給される。励起光源52から
出力された励起光は、光合波器42を介してラマン増幅
用光ファイバ32に供給される。励起光源53から出力
された励起光は、光合波器43を介してラマン増幅用光
ファイバ33に供給される。また、励起光源54から出
力された励起光は、光合波器44を介してラマン増幅用
光ファイバ34に供給される。光送信器10より送出さ
れた信号光は、ラマン増幅用光ファイバ31〜34を順
に伝搬する。この信号光は、ラマン増幅用光ファイバ3
1〜34を伝搬する際に伝送損失を被る一方で、ラマン
増幅用光ファイバ31〜34によりラマン増幅される。
そして、このラマン増幅された信号光は、光受信器20
に到達して、光受信器20により受信される。この光伝
送システム2では、光送信器10と光受信器20との間
の光伝送路の実効的損失の低減を図ることができ、ま
た、光伝送路の各所における信号光のパワーが大きくな
りすぎることに因る非線形光学現象の発生を抑制するこ
とができる。
【0043】ラマン増幅用光ファイバ31〜34それぞ
れは、伝搬する光の偏波間でカップリングを誘起する偏
波結合手段を有している。この偏波結合手段は、例え
ば、各ラマン増幅用光ファイバのガラス部分に加えられ
た捻れである。そして、伝搬光の偏波間のカップリング
により偏波状態をランダムにする上では、その捻れのピ
ッチの平均値が2回転/m以上であるのが好適である。
この偏波結合手段の作用により、信号光および励起光そ
れぞれの偏波状態がラマン増幅用光ファイバ31〜34
それぞれの長手方向にランダムとなって、ラマン増幅利
得(すなわち、光受信器20に到達する信号光のパワ
ー)は、平準化され、時間的にも安定したものとなる。
また、この光伝送システム2は、上述したラマン増幅器
1の構成を採用しているので、光部品の点数が少なく、
システムコストが安価である。
【0044】本発明は、上記実施形態に限定されるもの
ではなく種々の変形が可能である。例えば、図6に示し
た光伝送システム2において、光送信器10と光受信器
20との間の中継区間の光伝送路の一部に本発明に係る
ラマン増幅用光ファイバが用いられてもよい。
【0045】
【発明の効果】以上、詳細に説明したとおり、本発明に
よれば、励起光供給手段により励起光がラマン増幅用光
ファイバに供給され、ラマン増幅用光ファイバに入力し
た信号光は、ラマン増幅用光ファイバを伝搬する際に伝
送損失を被る一方で、ラマン増幅用光ファイバによりラ
マン増幅されて、ラマン増幅用光ファイバより出力され
る。ラマン増幅用光ファイバでは、伝搬する光の偏波間
でカップリングを誘起する偏波結合手段の作用により、
信号光および励起光それぞれの偏波状態がラマン増幅用
光ファイバの長手方向にランダムとなる。これにより、
ラマン増幅器のラマン増幅利得は、平準化され、時間的
にも安定したものとなる。また、光部品の点数が少な
く、システムコストが安価である。
【0046】このラマン増幅用光ファイバは、偏波結合
手段がガラス部分に加えられた捻れである場合には、こ
の捻れにより、伝搬する光の偏波間でカップリングが誘
起されて、信号光および励起光それぞれの偏波状態がラ
マン増幅用光ファイバの長手方向にランダムとなる。ま
た、捻れのピッチの平均値が2回転/m以上であれば、
伝搬する光の偏波間で充分なカップリングを誘起する上
で好適である。
【0047】また、本発明に係る光伝送システムによれ
ば、中継区間の光伝送路を伝搬する信号光は、ラマン増
幅用光ファイバを伝搬する際に伝送損失を被る一方で、
ラマン増幅用光ファイバによりラマン増幅されて、ラマ
ン増幅用光ファイバより出力される。したがって、光伝
送路の実効的損失の低減を図ることができ、また、光伝
送路の各所における信号光のパワーが大きくなりすぎる
ことに因る非線形光学現象の発生を抑制することができ
る。また、ラマン増幅用光ファイバでは、伝搬する光の
偏波間でカップリングを誘起する偏波結合手段の作用に
より、信号光および励起光それぞれの偏波状態がラマン
増幅用光ファイバの長手方向にランダムとなるので、ラ
マン増幅利得(すなわち、受信端に到達する信号光のパ
ワー)は、平準化され、時間的にも安定したものとな
る。さらに、光部品の点数が少なく、システムコストが
安価である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係るラマン増幅器の概略構成図で
ある。
【図2】本実施形態に係るラマン増幅用光ファイバの説
明図である。
【図3】本実施形態に係るラマン増幅用光ファイバを好
適に製造することができる光ファイバ製造工程の説明図
である。
【図4】図3の揺動ガイドローラおよび第1の固定ガイ
ドローラを上から見た図である。
【図5】図3の光ファイバ応動抑制用の1対のガイドロ
ーラを横から、揺動ガイドローラを上から見た図であ
る。X−Xの線より上部が横から見た図であり、X−X
の線より下部が上から見た図である。
【図6】本実施形態に係る光伝送システムの概略構成図
である。
【符号の説明】
1…ラマン増幅器、2…光伝送システム、10…光送信
器、20…光受信器、31〜34…ラマン増幅用光ファ
イバ、41〜44…光合波器、51〜54…励起光源。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H04B 10/16 (72)発明者 奥野 俊明 神奈川県横浜市栄区田谷町1番地 住友電 気工業株式会社横浜製作所内 Fターム(参考) 2H050 AA08 AC47 AC84 2K002 AA02 AB30 CA15 DA10 FA15 GA10 HA23 5F072 AB07 AK06 JJ05 JJ20 KK30 PP07 RR01 YY17 5K002 AA06 BA02 BA04 CA13 FA01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 励起光が供給されることにより信号光を
    ラマン増幅し得るラマン増幅用光ファイバであって、伝
    搬する光の偏波間でカップリングを誘起する偏波結合手
    段を有することを特徴とするラマン増幅用光ファイバ。
  2. 【請求項2】 前記偏波結合手段がガラス部分に加えら
    れた捻れであることを特徴とする請求項1記載のラマン
    増幅用光ファイバ。
  3. 【請求項3】 前記捻れのピッチの平均値が2回転/m
    以上であることを特徴とする請求項2記載のラマン増幅
    用光ファイバ。
  4. 【請求項4】 信号光を伝送するとともに、励起光が供
    給されることにより前記信号光をラマン増幅する請求項
    1記載のラマン増幅用光ファイバと、 前記ラマン増幅用光ファイバに前記励起光を供給する励
    起光供給手段とを備えることを特徴とするラマン増幅
    器。
  5. 【請求項5】 請求項4記載のラマン増幅器が中継区間
    に設けられ、前記ラマン増幅器のラマン増幅用光ファイ
    バが前記中継区間の光伝送路の少なくとも一部として用
    いられることを特徴とする光伝送システム。
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