JP2001208690A - ぬめりの定量化方法 - Google Patents

ぬめりの定量化方法

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JP2001208690A
JP2001208690A JP2000018454A JP2000018454A JP2001208690A JP 2001208690 A JP2001208690 A JP 2001208690A JP 2000018454 A JP2000018454 A JP 2000018454A JP 2000018454 A JP2000018454 A JP 2000018454A JP 2001208690 A JP2001208690 A JP 2001208690A
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slime
dye
slimming
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quantifying
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JP2000018454A
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English (en)
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Itsuro Mogi
逸郎 茂木
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水中の所定箇所におけるぬめりの発生を再現
性よくしかも簡単に測定し、ぬめりの各成分を解析する
ことも可能なぬめりの定量化方法を提供することを目的
とする。 【解決手段】 水中に発生したぬめりを採取し、有機試
薬を用いて染色し、染色された前記ぬめりの成分を比色
分析で定量分析する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は浴槽や水槽などの水
中に発生するぬめりを定量的に測定し評価することので
きるぬめりの定量化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、水中のぬめりを定量化する方法
は、例えば、ぬめりを含む液を指で触れて、その感触を
評価する官能検査等による方法が主であり、客観的な定
量化技術としては、唯一(J.Antibact.An
tifung.Agents,Vol.24, No.
11, 723−728, 1996)に記載されてい
るようなオズワルドの粘度計を用いて、ぬめりの粘度を
測定し、この数値によりぬめりを定量的に評価する方法
が存在するのみであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来のぬ
めりの定量化方法は、以下の課題を有していた。 (1)官能検査による方法は、個人の主観に委ねられて
いるため、客観性や再現性に乏しいという課題が存在し
た。 (2)粘度計で測定する方法は、客観的な数値が得られ
るものの、測定するのにぬめりを含む試料液を大量に収
集しなければならないという問題点があった。 (3)更に粘度計による方法では、ぬめりを含む試料液
の粘度を測るに留まっており、ぬめりを構成する糖質や
蛋白質等の成分と官能値との関係を解析するまでには至
っていなかった。
【0004】本発明は上記、従来の問題点を解決するも
ので、水中の所定箇所におけるぬめりの発生を再現性よ
くしかも簡単に測定して、ぬめりの各成分を解析するこ
とも可能なぬめりの定量化方法を提供することを目的と
する。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明のぬめりの定量化
方法は、水中に発生したぬめりを採取し、有機試薬を用
いて染色し、染色された前記ぬめりの成分を比色分析で
定量分析することを特徴とする。
【0006】これによって、水中の所定箇所におけるぬ
めりの発生を再現性よくしかも簡単に測定して、ぬめり
の各成分を解析することも可能なぬめりの定量化方法を
提供することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】請求項1に記載のぬめりの定量化
方法は、水中に発生したぬめりを採取し、有機試薬を用
いて染色し、染色された前記ぬめりの成分を比色分析で
定量分析するように構成されている。
【0008】これによって以下の作用が得られる。 (a)自然発生したぬめりを少量収集するだけで、ぬめ
りの量や成分を簡便かつ確実に測定し評価することがで
きる。 (b)染色したぬめりを比色分析の手段で定量化するた
め、主観に左右されず、客観的にぬめりの発生量を測定
することができる。 (c)有機試薬を用いているので、ぬめり中の糖質や蛋
白質等の特定の成分を選択的に染色して、各成分の比率
を定めることができ、これによってより精密にぬめりの
発生状況を把握することができる。 (d)有機物を染色し定量するので、ひいてはその源で
ある水質の有機物量まで推定できる。
【0009】ここで、ぬめりとは、例えば水中の動植物
性物質等の有機物が微生物等の細菌の作用で腐敗、又は
分解されて浴槽等の表面に付着して生じるような滑らか
で粘稠な液状成分をいう。このようなぬめりの成分に
は、糖質、蛋白質、脂質、核酸質等が含まれている。
【0010】ぬめりは、予め所定箇所にガラス板等を配
置してガラス板に付着させたり、あるいはスクレーパー
等で水槽の内面に付着したぬめりを掻き取ったりして採
取することができる。
【0011】比色分析とは、溶液等の色調またはその色
の濃さを、標準となるもの(標準液等)と比較して物質
を定量する化学分析法をいう。比色分析を行う装置に
は、物質による光の吸収を利用して、溶液中に溶解して
いる物質の定量分析を行う比色計や、単色光を二つに分
けて標準液槽と試料液槽とを通し、それぞれ透過後の強
度を光電的に測定する分光光度計、あるいは表色系の規
約に基づいて作った多くの色票を系統的に配列した色票
集の中から目視によって試料色にもっとも近似した色票
を選び出すようなものも含まれる。
【0012】また、特定波長における溶液の吸光度(ま
たは透過度)を光電的に測定し、ベールの法則によって
濃度の測定を行なう分光光度計またはフィルター式光度
計が用いられる。さらに吸光度の大きい主成分の定量が
できる示差吸光光度計、さらに混合成分の分別定量がで
きる2波長分光光度計等を適用できる。
【0013】有機試薬としては、キレート試薬や、錯体
が独特の螢光をもつ螢光試薬、有機化合物の官能基と選
択的に反応して結晶や誘導体を生じる試薬等を用いるこ
とができる。具体的には、例えば、パス(PAS)染
料、クーマシーブリリアントブルー((Coomass
ie Brilliant Blue:CBB)染料、
アゾ色素からなるオイルレッド、フォイルゲン反応を示
すDNA定量試薬であるライト・グリーン液、メチレン
ブルー等の有機試薬が使用できる。
【0014】請求項2に記載のぬめりの定量化方法は、
請求項1において、測定しようとする水中にぬめり付着
板を所定時間配置し、前記ぬめり付着板に付着させたぬ
めり成分に所定量の前記有機試薬を添加した後、前記ぬ
めり付着板を透過又は反射する所定波長の光量を測定し
て、前記ぬめり成分の定量分析を行うように構成されて
いる。
【0015】これによって、請求項1の作用の他、以下
の作用が得られる。 (a)ぬめり付着板を測定しようとする浴槽や水槽等の
所定位置に配置しておくだけでぬめりが採取でき、ぬめ
りを含む水を大量に採取するような必要がない。 (b)複数のぬめり付着板を水槽内等の複数箇所に亘っ
て配置し、ぬめりの分布状態を同時に評価することもで
きる。 (c)有機試薬で染色されたぬめりの成分を吸光光度分
析等の手法を用いて、その成分を特定し、定量すること
ができる。このように、ぬめりに関する詳細な成分デー
タを取得することができるので、ぬめりの発生を抑制す
るために、この成分データを用いることができる。 (d)ぬめりのサンプルが水溶液でなく、付着板につい
たまま保存できるので、いつでも測定でき、また長期保
存も可能となる。
【0016】請求項3に記載のぬめりの定量化方法は、
請求項1又は2において、前記有機試薬が糖質、又は蛋
白質、脂質、核酸質のそれぞれに特異的に結合する糖質
選択性染料、蛋白質選択性染料、脂質選択性染料、核酸
質選択性染料のいずれか1又はこれら複数の組み合わせ
からなるように構成されている。
【0017】これによって、請求項1又は2の作用の
他、以下の作用が得られる。 (a)ぬめりの感覚的ぬるぬる感を数値化した官能値と
ぬめり中の糖質、蛋白質、脂質、核酸のいずれの量との
間にも相関関係が存在するので、染色されたぬめりを測
色手段で測色することでぬめりを定量化することができ
る。 (b)ぬめりを含まれる糖質や蛋白質等の成分に応じ
て、それぞれ特定して定量できるので、ぬめりの発生量
のみならず、その成因を含めて解析することができる。 (c)水槽や、浴槽の使用状況に応じて有機試薬を選択
して染色する成分を変えることができるので、より確実
かつ適正にぬめりの定量化を実現できる。 (d)ぬめりの組成が把握できるので、ひいてはその源
である水質まで推定することができる。
【0018】請求項4に記載のぬめりの定量化方法は、
請求項3において、前記糖質選択性染料が、PAS染料
で構成されている。
【0019】これによって、請求項3の作用の他、以下
の作用が得られる。 (a)ぬめりの主成分である糖質のみを最も効果的に染
色して、ぬめりの測定を迅速かつ確実に行うことができ
る。 (b)ぬめりの官能値とぬめり中の糖質量との間には相
関関係が存在するので、染色されたぬめりを測色手段で
測色することでぬめりを定量化できる。 (c)糖質のみを染色するので、その源である水質まで
推定できる。
【0020】ここでPAS染料とは、1%過ヨウ素酸水
溶液、シッフ(schiff)液、10%重亜硫酸ナト
リウム水溶液、1N塩酸、全体のことをいい、糖質の
1,2−グリコール基群を過ヨウ素酸で酸化し、生じた
2分子のアルデヒド基からシッフ試薬と結合した赤紫色
の化合物を形成するPAS stainの原理が適用さ
れるようなものである。
【0021】請求項5に記載のぬめりの定量化方法は、
請求項3において、前記蛋白質選択性染料が、クーマシ
ーブリリアントブルー(Coomassie Bril
liant Blue:CBB)染料で構成されてい
る。
【0022】これによって、請求項3の作用の他、以下
の作用が得られる。即ち、 (a)ぬめりの主成分である蛋白質のみを最も効果的に
染色して、ぬめりの測定を迅速かつ確実に行うことがで
きる。 (b)蛋白質のみを染色するので、その源である水の富
栄養状態を知ることができる。
【0023】ここでCBB染料とは、蛋白質の染色色素
45443NaO72とC47483NaO72の2種
類がよく用いられる。0.5μg〜40μgの蛋白質が
CBB染料が結合するため、その色を定量することで、
蛋白質を定量できる。
【0024】請求項6に記載のぬめりの定量化方法は、
請求項3において、前記脂質選択性染料が、無極性かつ
脂溶性のオイルレッドで構成されている。
【0025】これによって、請求項3の作用の他、以下
の作用が得られる。 (a)ぬめりの主成分である脂質のみを最も効果的に染
色して、ぬめりの測定を迅速かつ確実に行うことができ
る。 (b)脂質のみを染色することができるので、その源で
ある水の富栄養状態を知ることができる。
【0026】ここでオイルレッドとは、オイルレッドO
の0.25〜0.5gをイソプロピルアルコール100
mlに溶解したものであり、無極性かつ脂溶性のため、
組織に触れると組織内脂質に溶け込み、組織内の脂肪染
色ができる。
【0027】請求項7に記載のぬめりの定量方法は、請
求項3において、前記核酸選択性染料が、フォイルゲン
反応を示す染料であるように構成されている。
【0028】これによって、請求項3の作用の他、以下
の作用が得られる。 (a)ぬめりの本体である細菌やその分泌物である有機
物中の核酸が染色される。また、ぬめりの官能値とぬめ
り中の核酸との間には相関関係が存在して、ぬめりの測
定を迅速かつ確実に行うことができる。 (b)核酸のみを染色するので、その源である水中の微
生物による汚染状況を知ることができる。
【0029】ここでフォイルゲン反応を示す染料とは、
1N塩酸、シッフ(schiff)液、10%重亜硫酸
ナトリウム水溶液、ライトグリーン液全体のことをい
い、1N塩酸によりDNAから切り離されてプリン塩基
となり。そのプリン塩基のアルデヒド基とシッフ試薬が
反応して、フォイルゲン色素複合体を形成するものであ
る。
【0030】以下、本発明の実施形態にかかるぬめりの
定量化方法について図を用いて説明する。
【0031】図1は本発明の実施の形態のぬめりの定量
化方法を適用する水槽の説明図である。
【0032】図1において、1は建物の屋上等におかれ
る水槽、2は水槽1内の所定箇所に配置されるぬめり付
着板、3は水槽1から取り出されたぬめり付着板2の表
面に付着したぬめりである。
【0033】水槽1には飲料用水等が大量に保持され、
図示しない給水管や配水管から水が流出入されるように
なっている。
【0034】ぬめり付着板2は、例えば、縦横厚みがそ
れぞれ10mm、3mm、1mmの矩形状のガラス板や
プラスチック板であって、必要に応じて透明又は着色し
たものを選択して用いることができる。なお、ぬめり付
着板2には、予め小孔を端部に設けておき、これに紐等
をつないで水槽1内につり下げて配置して、出し入れを
簡単にできるようにしておいてもよい。
【0035】本実施の形態のぬめりの定量化方法おいて
は、まず、水槽1の水中にぬめり付着板2を所定時間、
例えば1〜7日間配置する。これによって、水槽1中の
水に含まれる有機物が細菌等で分解されぬめりが発生す
るようになる。
【0036】こうして所定時間が経過した後、ぬめり付
着板2を水槽1内から取り出し、所定濃度の有機試薬が
含まれる溶液中に浸漬させるか、ぬめり付着板2にこの
溶液をふりかけて、ぬめり成分と有機試薬とを反応させ
て、ぬめり成分の染色操作を行う。
【0037】次に、この有機試薬により染色されたぬめ
りを保持するぬめり付着板2を、分光光度計等の測色手
段を用いて比色分析を行って、染色されたぬめり成分の
定量を行う。ここでは、濃度が既知のぬめり液等を用い
て、その光吸収度と濃度との対応関係を示す検量線を予
め作成しておき、測定される光吸収度の値から有機試薬
で染色される成分の濃度が定量的に求められるようにな
っている。
【0038】以下の実施例1〜5は使用する有機試薬の
種類、組み合わせをそれぞれ異ならせて行った実験の結
果を示している。
【0039】
【実施例】(実施例1)図2は実施例1における有機物
染色によるぬめりの定量化の操作フロー図、図3は実施
例1におけるぬめり官能値と有機物量の関係を示すグラ
フである。実施例1では、有機物に特異的な染色方法の
一例として、メチレンブルー染色法によるぬめりの定量
化の例を示す。塩基性染料であるメチレンブルーは、ア
ルデヒド基に対しては親和性は弱いが、カルボキシル基
に対しては著しく親和性が高まり、有機物が濃青色に染
色される。
【0040】まず、メチレンブルー(0.1g/l)溶
液に、ぬめり付着板2に自然付着したぬめり3を常温で
5分間又は80〜95℃で3分間浸漬し、次いで十分に
湯洗、水洗を行ってぬめり3を染色する。メチレンブル
ー染色では、ぬめり3は青く染色され、測色手段として
色彩計を用いると、青色と黄色の指標であるb値を測定
してぬめりの有機物量を定量化することができる。
【0041】またこの際、b値は有機物量を反映し、有
機物集合体であるぬめり官能値と有機物量は(図3)に
示すように相関関係が有する。従って、ぬめりを有機物
染色方法にて染色し、染色後の色の強弱を測色手段にて
測定して、有機物量と色の強弱との対応関係を示す検量
線を用いて有機物量を求め、図3からこの有機物量に対
応するぬめりの官能値を求めることができる。
【0042】ここで、ぬめりの官能値とは、ぬめりのぬ
るぬる感を数値化したものであり、具体的には以下のよ
うにして官能値を求めることができる。
【0043】ぬめりの発生部位に指を当て、軽く左右に
こすった時に感じるぬるぬる感を例えば、以下のように
5つの段階に分類して各官能値を定めることができる。
【0044】 全く気にならない。→官能値:1 殆ど気にならない。→官能値:2 少し気になる。 →官能値:3 気になる。 →官能値:4 がまんできない。 →官能値:5 また、Lab表色系の色座標において、Lは明度軸、a
は赤−緑の軸、bは黄−青の軸を表す。即ち、a値はマ
イナス側に絶対値が大きくなるほど緑色が、プラス側に
絶対値が大きくなるほど赤色が強くなる。b値はマイナ
ス側に絶対値が大きくなるほど黄色が、プラス側に絶対
値が大きくなるほど青色が強くなる。
【0045】例えば、メチレンブルー染色では有機物は
青色に染色され、その量に応じて青色の程度が変化する
ため、b値を測ることで有機物量を知ることができる。
【0046】(実施例2)図4は実施例2における糖質
染色によるぬめりの定量化の操作フロー図、図5は実施
例2におけるぬめり官能値と糖質量の関係を示すグラフ
である。実施例2では、糖質に特異的な染色方法の一例
として、PAS染色法によるぬめりの定量化の例を示
す。PAS反応は糖質に含まれる1,2グリコール基群
を過ヨウ素酸で酸化し、生じた2分子のアルデヒド基が
シッフ試薬1分子と結合して、赤紫色の化合物を形成す
る2つの反応を利用したものである。
【0047】まず、1%過ヨウ素酸水溶液中に付着対象
物に自然に付着したぬめりを常温で10分間染色し、次
いで十分水洗を行いぬめり中の糖質に含まれる1,2グ
リコール基群をアルデヒド基にする。次に生じた2分子
のアルデヒド基がシッフ試薬1分子と結合して、赤紫色
の化合物を形成し、0.6%亜硫酸による洗浄を経て、
ぬめりが赤紫色に染色される。PAS染色法では、ぬめ
りは赤紫色に染色されるので、測色手段として色彩計を
用いると、赤色や緑色の指標であるa値により定量化で
きる。またこの際、a値は糖質量を反映し、ぬめり官能
値と糖質量は(図5)に示すように相関関係が有るの
で、ぬめりを糖質に特異的な染色方法にて染色し、染色
後の色を測色手段にて測定する事によりぬめりの感覚的
なぬるぬる感を定量化することができる。
【0048】(実施例3)図6は実施例3における蛋白
質染色によるぬめりの定量化の操作フロー図、図7は実
施例3におけるぬめり官能値と蛋白質量の関係を示すグ
ラフである。実施例3では、蛋白質に特異的な染色方法
の一例として、Coomassie Brillian
t Blue(CBB)を用いた染色法によるぬめりの定
量化の例を示す。CBBは蛋白質に特異的に結合する色
素であり、電気泳動後の蛋白質の検出に広く使用されて
いる。
【0049】まず、0.5%CBB溶液中に付着対象物
に自然に付着したぬめりを常温で10分間染色し、次い
で十分水洗を行って、ぬめり中の蛋白質を染色した。次
に10%氷酢酸による脱色を行い、余分な色素を除去し
た。CBBを用いた染色法では、ぬめりは青色に染色さ
れるので、測色手段として色彩計を用いると、b値によ
り定量化できる。またこの際、b値は蛋白質量を反映
し、またぬめり官能値と蛋白質量は(図7)に示すよう
に相関関係が有るので、ぬめりを蛋白質に特異的な染色
方法にて染色し、染色後の色を測色手段にて測定する事
によりぬめりの感覚的なぬるぬる感を定量化することが
できる。
【0050】(実施例4)図8は実施例4における脂質
染色によるぬめりの定量化の操作フロー図、図9は実施
例4におけるぬめり官能値と脂質量の関係を示すグラフ
である。実施例4では、脂質に特異的な染色方法の一例
として、オイルレッド染色法によるぬめりの定量化の例
を示す。オイルレッドはアゾ色素であり、無極性かつ脂
溶性であるため、組織に触れると組織内脂質という溶媒
に溶け込み、結果として脂肪染色ができる。
【0051】まず、オイルレッド0染色溶液中に付着対
象物に自然に付着したぬめりを常温で15〜30分間処
理し、次いで十分水洗を行い、次にマイヤーのヘマトキ
シリン液処理と水洗を経てぬめり中の脂質を染色した。
オイルレッド0を用いた染色法では、ぬめりは赤色に染
色されるので、測色手段として色彩計を用いると、a値
により定量化できる。またこの際、a値は脂質量を反映
し、またぬめり官能値と脂質量は(図9)に示すように
相関関係が有るので、脂質成分を特異的に染色する方法
でぬめりを処理し、染色後の色を測色手段にて測定する
事によりぬめりの感覚的なぬるぬる感を定量化すること
ができる。
【0052】(実施例5)図10は実施例5における核
酸染色によるぬめりの定量化の操作フロー図、図11は
実施例5におけるぬめり官能値と核酸量の関係を示すグ
ラフである。実施例5では、核酸に特異的な染色方法の
一例として、フォイルゲン反応を利用した染色法による
ぬめりの定量化の例を示す。DNAを塩酸で加水分解す
ると、プリン塩基が選択的に切り離される。この反応に
より、デオキシリボースは、アルデヒド型の異性体を形
成する。形成されたアルデヒドにシッフ試薬(Schi
ff試薬)が反応し、もとの塩基性フクシンとは異なる
長波長のフォイルゲン色素の複合体を作製することがで
きる。従って、これによってフォイルゲン色素の複合体
量によりDNA量を知ることができる。
【0053】まず、60℃に加温した1N塩酸溶液中に
付着対象物に自然に付着したぬめりを常温で10分間処
理し、十分に水洗して、デオキシリボースのアルデヒド
型異性体を形成した。次にコールドシッフ試薬(Col
d Schiff試薬)で30〜60分間浸漬の処理を
行い、亜硫酸を用いて浸漬の処理を9分間施し、ライト
・グリーン液で1分間浸漬の処理を行って核酸を染色し
た。フォイルゲン反応を用いた染色法では、ぬめりは赤
色に染色されるので、測色手段として色彩計を用いる
と、a値により定量化できる。またこの際、a値は核酸
量を反映し、またぬめり官能値と核酸量は(図11)に
示すように相関関係が有るので、ぬめりを核酸に特異的
な染色方法にて染色し、染色後の色を測色手段にて測定
する事によりぬめりの感覚的なぬるぬる感を定量化する
ことができる。
【0054】
【発明の効果】請求項1に記載のぬめりの定量化方法に
よれば、これによって以下の効果が得られる。 (a)自然発生したぬめりを少量収集するだけで、ぬめ
りの量や成分を簡便かつ確実に測定し評価することがで
きる。 (b)染色したぬめりを比色分析の手段で定量化するた
め、主観に左右されず、客観的にぬめりの発生量を測定
することができる。 (c)有機試薬を用いているので、ぬめり中の糖質や蛋
白質等の特定の成分を選択的に染色して、各成分の比率
を定めることができ、これによってより精密にぬめりの
発生状況を把握することができる。 (d)有機物を染色し定量するので、ひいてはその源で
ある水質の有機物量まで推定できる。
【0055】請求項2に記載のぬめりの定量化方法によ
れば、これによって、請求項1の効果の他、以下の効果
が得られる。
【0056】これによって、請求項1の作用の他、以下
の作用が得られる。 (a)ぬめり付着板を測定しようとする浴槽や水槽等の
所定位置に配置しておくだけでぬめりが採取でき、ぬめ
りを含む水を大量に採取するような必要がない。 (b)複数のぬめり付着板を水槽内等の複数箇所に亘っ
て配置し、ぬめりの分布状態を同時に評価することもで
きる。 (c)有機試薬で染色されたぬめりの成分を吸光光度分
析等の手法を用いて、その成分を特定し、定量すること
ができる。このように、ぬめりに関する詳細な成分デー
タを取得することができるので、ぬめりの発生を抑制す
るために、この成分データを用いることができる。 (d)ぬめりのサンプルが水溶液でなく、付着板につい
たまま保存できるので、いつでも測定でき、また長期保
存も可能となる。
【0057】請求項3に記載のぬめりの定量化方法によ
れば、これによって、請求項1又は2の効果の他、以下
の効果が得られる。
【0058】これによって、請求項1又は2の作用の
他、以下の作用が得られる。 (a)ぬめりの感覚的ぬるぬる感を数値化した官能値と
ぬめり中の糖質、蛋白質、脂質、核酸のいずれの量との
間にも相関関係が存在するので、染色されたぬめりを測
色手段で測色することでぬめりを定量化することができ
る。 (b)ぬめりを含まれる糖質や蛋白質等の成分に応じ
て、それぞれ特定して定量できるので、ぬめりの発生量
のみならず、その成因を含めて解析することができる。 (c)水槽や、浴槽の使用状況に応じて有機試薬を選択
して染色する成分を変えることができるので、より確実
かつ適正にぬめりの定量化を実現できる。 (d)ぬめりの組成が把握できるので、ひいてはその源
である水質まで推定することができる。
【0059】請求項4に記載のぬめりの定量化方法によ
れば、これによって、請求項3の効果の他、以下の効果
が得られる。 (a)ぬめりの主成分である糖質のみを最も効果的に染
色して、ぬめりの測定を迅速かつ確実に行うことができ
る。 (b)ぬめりの官能値とぬめり中の糖質量との間には相
関関係が存在するので、染色されたぬめりを測色手段で
測色することでぬめりを定量化できる。 (c)糖質のみを染色するので、その源である水質まで
推定できる。
【0060】請求項5に記載のぬめりの定量化方法によ
れば、これによって、請求項3の効果の他、以下の効果
が得られる。
【0061】これによって、請求項3の作用の他、以下
の作用が得られる。即ち、 (a)ぬめりの主成分である蛋白質のみを最も効果的に
染色して、ぬめりの測定を迅速かつ確実に行うことがで
きる。 (b)蛋白質のみを染色するので、その源である水の富
栄養状態を知ることができる。
【0062】請求項6に記載のぬめりの定量化方法によ
れば、これによって、請求項3の効果の他、以下の効果
が得られる。
【0063】これによって、請求項3の作用の他、以下
の作用が得られる。 (a)ぬめりの主成分である脂質のみを最も効果的に染
色して、ぬめりの測定を迅速かつ確実に行うことができ
る。 (b)脂質のみを染色することができるので、その源で
ある水の富栄養状態を知ることができる。
【0064】請求項7に記載のぬめりの定量化方法によ
れば、これによって、請求項3の効果の他、以下の効果
が得られる。 (a)ぬめりの本体である細菌やその分泌物である有機
物中の核酸が染色される。また、ぬめりの官能値とぬめ
り中の核酸との間には相関関係が存在して、ぬめりの測
定を迅速かつ確実に行うことができる。 (b)核酸のみを染色するので、その源である水中の微
生物による汚染状況を知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態のぬめりの定量化方法を適
用する水槽の説明図
【図2】実施例1における有機物染色によるぬめりの定
量化の操作フロー図
【図3】実施例1におけるぬめり官能値と有機物量の関
係を示すグラフ
【図4】実施例2における糖質染色によるぬめりの定量
化の操作フロー図
【図5】実施例2におけるぬめり官能値と糖質量の関係
を示すグラフ
【図6】実施例3における蛋白質染色によるぬめりの定
量化の操作フロー図
【図7】実施例3におけるぬめり官能値と蛋白質量の関
係を示すグラフ
【図8】実施例4における脂質染色によるぬめりの定量
化の操作フロー図
【図9】実施例4におけるぬめり官能値と脂質量の関係
を示すグラフ
【図10】実施例5における核酸染色によるぬめりの定
量化の操作フロー図
【図11】実施例5におけるぬめり官能値と核酸量の関
係を示すグラフ
【符号の説明】
1 水槽 2 ぬめり付着板 3 ぬめり

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水中に発生したぬめりを採取し、有機試薬
    を用いて染色し、染色された前記ぬめりの成分を比色分
    析で定量分析することを特徴とするぬめりの定量化方
    法。
  2. 【請求項2】測定しようとする水中にぬめり付着板を所
    定時間配置し、前記ぬめり付着板に付着させたぬめり成
    分に所定量の前記有機試薬を添加した後、前記ぬめり付
    着板を透過又は反射する所定波長の光量を測定して、前
    記ぬめり成分の定量分析を行うことを特徴とする請求項
    1に記載のぬめりの定量化方法。
  3. 【請求項3】前記有機試薬が糖質、又は蛋白質、脂質、
    核酸質のそれぞれに特異的に結合する糖質選択性染料、
    蛋白質選択性染料、脂質選択性染料、核酸質選択性染料
    のいずれか1又はこれら複数の組み合わせからなること
    を特徴とする請求項1又は2に記載のぬめりの定量化方
    法。
  4. 【請求項4】前記糖質選択性染料が、PAS染料である
    ことを特徴とする請求項3に記載のぬめりの定量化方
    法。
  5. 【請求項5】前記蛋白質選択性染料が、クーマシーブリ
    リアントブルー(Coomassie Brillia
    nt Blue:CBB)染料であることを特徴とする
    請求項3に記載のぬめりの定量化方法。
  6. 【請求項6】前記脂質選択性染料が、無極性かつ脂溶性
    のオイルレッドであることを特徴とする請求項3に記載
    のぬめりの定量化方法。
  7. 【請求項7】前記核酸選択性染料が、フォイルゲン反応
    を示す染料であることを特徴とする請求項3に記載のぬ
    めりの定量化方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN112255178A (zh) * 2020-11-06 2021-01-22 鄂尔多斯市中钰泰德煤炭有限公司 一种高效连续的智能化在线监测煤泥水清水层厚度的系统

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