JP2001207221A - 成形性に優れた高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

成形性に優れた高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法

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JP2001207221A JP2000014378A JP2000014378A JP2001207221A JP 2001207221 A JP2001207221 A JP 2001207221A JP 2000014378 A JP2000014378 A JP 2000014378A JP 2000014378 A JP2000014378 A JP 2000014378A JP 2001207221 A JP2001207221 A JP 2001207221A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 自動車部品用素材として好適な、成形性に優
れる高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法を提供する。 【解決手段】 C:0.05〜0.20%、Si:0.3 〜1.8 %、
Mn:1.0 〜3.0 %を含む組成を有する鋼素材を、加熱
し、仕上圧延終了温度を(Ar3点+150 ℃)以下とする
熱間圧延を行い700 ℃以下まで冷却し巻き取る工程と、
(Ac3点−50℃) 〜(Ac3点+100 ℃)で5s以上保持
した後10℃/s以上の冷却速度でMs 点以下まで冷却す
る工程と、(Ac1点〜Ac3 点) の温度域で5〜120 s間保
持した後、5℃/s以上の冷却速度で500 ℃以下まで冷
却する工程と、溶融亜鉛めっき処理を施した後、5℃/
s以上の冷却速度で300 ℃まで冷却する工程とを順次施
し、体積率で20%以上の焼戻マルテンサイト、2%以上
の残留γ、30%以上のフェライトおよび低温変態相から
なる複合組織とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高張力溶融亜鉛め
っき鋼板の製造方法に係わり、特に熱延板をめっき原板
とし連続溶融亜鉛めっきラインを利用した成形性に優れ
る高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、地球環境の保全という観点から、
自動車の燃費改善が要求されている。さらに加えて、衝
突時に乗員を保護するため、自動車車体の安全性向上も
要求されている。このようなことから、自動車車体の軽
量化および自動車車体の強化が積極的に進められてい
る。自動車車体の軽量化と強化を同時に満足させるに
は、部品素材を高強度化することが効果的であると言わ
れており、最近では高張力鋼板が自動車部品に積極的に
使用されている。
【0003】鋼板を素材とする自動車部品の多くがプレ
ス加工によって成形されるため、自動車部品用鋼板には
優れたプレス成形性が要求される。優れたプレス成形性
を実現するには、第一義的には高い延性を確保すること
が肝要である。さらに自動車部品のプレス成形において
は、伸びフランジ変形も多用されることから、自動車部
品用鋼板には、延性や伸びフランジ性等の優れた成形性
を有することが求められている。
【0004】また、自動車車体の強度を確保するための
骨格部材であるメンバーやリンフォース等を構成する部
品では、強度設計上の要求から素材の板厚が厚いことが
要求され、素材として熱延鋼板が使用されることが多
い。一方、自動車部品は、適用部位によっては高い耐食
性も要求される。高い耐食性が要求される部位に適用さ
れる部品の素材には、溶融亜鉛めっき鋼板が好適であ
る。
【0005】したがって、自動車車体の軽量化および強
化をより一層推進するためには、耐食性に優れ、しかも
延性や伸びフランジ性等の成形性に優れる熱延板をめっ
き原板とする高張力溶融亜鉛めっき鋼板が必要不可欠な
素材となっている。延性に優れる高張力鋼板としては、
フェライトとマルテンサイトの複合組織を有する二相組
織鋼板が代表的である。また、近年では残留オーステナ
イトに起因する変態誘起塑性を利用した高延性鋼板も実
用化の段階に至っている。
【0006】しかし、このような組織強化鋼板は、硬質
なマルテンサイトを主要強化因子としているため、局部
伸びが低く、このため、伸びフランジ性に劣るという問
題がある。また、多くの連続溶融亜鉛めっきラインは、
焼鈍設備とめっき設備を連続化して設置している。この
連続化されためっき工程の存在により、焼鈍後の冷却は
めっき温度で中断され、工程を通じた平均冷却速度も必
然的に小さくなる。したがって、連続溶融亜鉛めっきラ
インで製造される鋼板では、冷却速度の大きい冷却条件
下で生成するマルテンサイトや残留オーステナイトをめ
っき後の鋼板中に含有させることは難しい。このため、
これらの相を有する高張力溶融亜鉛めっき鋼板を連続溶
融亜鉛めっきラインにて製造することは、一般には困難
である。
【0007】一方、成形性に優れる高張力溶融亜鉛めっ
き熱延鋼板として、微細べイナイトを主体とする組織を
有する鋼板の製造方法が提案されている。べイナイト
は、連続溶融亜鉛めっきラインにおける冷却条件におい
ても形成することが比較的容易である。例えば、特開平
5-51647 号公報には、Ar3〜(Ar3+50℃)を仕上げ温
度とする仕上げ圧延後続いて直ちに50〜200 ℃/sの冷
却速度で620 〜680 ℃の温度域まで冷却し、保持または
空冷し、ついで50〜150 ℃/sの冷却速度で350 〜450
℃の温度に冷却し巻き取り、フェライト+ベイナイト複
合組織として、ついでAc1〜(Ac1+70℃)の(α+
γ)2相共存温度で加熱均熱したのち、溶融亜鉛めっき
を施し、その後合金化処理し、冷却し、さらに、スキン
パス圧延を行う、伸びフランジ性に優れた高張力合金化
溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法が提案されている。
【0008】また、特開平5-179356号公報には、(Ar3
+50℃)〜(Ar3+150 ℃)を仕上げ温度とする仕上げ
圧延後0.1 〜2sの間に冷却を開始し、50〜200 ℃/s
の冷却速度で450 ℃以下まで冷却し、350 〜450 ℃の温
度で巻き取り、50%以上のベイナイトを含むベイナイト
+フェライト複合組織、あるいはベイナイト単相組織と
して、ついで(Ac1+20℃)〜(Ac1+70℃)の(α+
γ)2相共存温度で加熱均熱したのち、溶融亜鉛めっき
を施し、その後合金化処理し、冷却し、さらに、スキン
パス圧延を行う、伸びフランジ性に優れた高張力合金化
溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法が提案されている。
【0009】一方、特開平9-263883号公報には、C、M
n、P、AlとTiを0.02〜0.5 %含む組成の鋼材を800 ℃
以上の仕上げ温度で熱間圧延し、平均冷却速度:5〜30
℃/sで650 ℃以下に冷却し巻き取ったのち、420 〜65
0 ℃に加熱してから420 〜450℃で溶融亜鉛めっきを施
し、引き続いて平均冷却速度:5℃/s以上で450 ℃以
下まで冷却し、16〜70体積%のフェライトと、残部がマ
ルテンサイト、焼戻しマルテンサイトおよびベイナイト
の低温変態組織のいずれか1種または2種以上の組織を
有し、低い降伏比と、耐孔あき腐食性および加工性に優
れた高強度亜鉛系めっき鋼板の製造方法が提案されてい
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
5-51647 号公報や特開平5-179356号公報に記載された技
術で得られる高張力溶融亜鉛めっき熱延鋼板は、伸びフ
ランジ性には優れるものの、延性の面で十分に満足でき
るものではなかった。また、特開平9-263883号公報に記
載された技術で製造された鋼板は、低い降伏比を有する
ものの、現在、自動車部品用鋼板として要求されている
成形性を十分に満足するまでに至っていない。
【0011】本発明は、従来技術が抱える上記問題点に
鑑みなされたものであり、熱延鋼板を原板として、自動
車部品用素材として好適な、成形性に優れる高張力溶融
亜鉛めっき鋼板の製造方法を提供することを目的とす
る。なお、本発明における高張力溶融亜鉛めっき鋼板
は、連続溶融亜鉛めっきラインを利用して製造されるこ
とが望ましい。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記した
課題を達成するため、成形性におよぼす鋼板の組成、ミ
クロ組織および製造条件の影響について、鋭意研究を重
ねた。その結果、化学組成と、熱間圧延条件等の製造条
件を適正な範囲に調整して、熱延板の組織をラス状マル
テンサイトを含む組織としたうえで、連続溶融亜鉛めっ
きラインで所定条件の熱処理およびめっき処理を施すこ
とにより、鋼板の組織が、所定の体積率範囲内のフェラ
イト、焼戻マルテンサイト、残留オーステナイト、低温
変態相からなる複合組織となり、優れた成形性を発現さ
せることが可能であるという知見を得た。
【0013】本発明は上記した知見に基づいて構成され
たものである。すなわち、本発明は、mass%で、C:0.
05〜0.20%、Si:0.3 〜1.8 %、Mn:1.0 〜3.0 %を含
み、あるいはさらに、次(a群)〜(d群) (a群):Cr、Moのうちの1種または2種を合計で、0.
05〜1.0 mass%、 (b群):Bを0.003 mass%以下、 (c群):Ca、REM のうちから選ばれた1種または2種
を合計で、0.01mass%以下 (d群):Ti、 Nb 、Vのうちから選ばれた1種または
2種以上を合計で、0.01〜0.2 mass%、 のうちから選ばれた1群または2群以上を含有し、残部
Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する鋼素材
を、加熱し、仕上げ圧延終了温度を(Ar3変態点+150
℃)以下の温度範囲とする熱間圧延を行い熱延板とした
のち、700 ℃以下の温度まで冷却し巻き取る熱延工程
と、ついで(Ac3変態点−50℃) 〜(Ac3変態点+100
℃)の温度域で5sec 以上保持する加熱処理を施した
後、10℃/s以上の冷却速度でMs 点以下の温度まで冷
却する熱延板組織調整工程と、次いで、(Ac1変態点〜Ac
3 変態点) の温度域で5〜120 s間保持する加熱処理を
施した後、5℃/s以上の冷却速度で500 ℃以下の温度
まで冷却する焼戻し工程と、次いで溶融亜鉛めっき処理
を施し、前記熱延板の表層に溶融亜鉛めっき層を形成し
た後、5℃/s以上の冷却速度で300 ℃まで冷却するめ
っき工程とを順次施し、鋼板組織を体積率で20%以上の
焼戻マルテンサイト、体積率で30%以上のフェライト、
体積率で2%以上の残留オーステナイトおよび低温変態
相からなる複合組織とすることを特徴とする成形性に優
れた高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法であり、ま
た、本発明では、前記熱延工程と前記熱延板組織調整工
程に代えて、前記鋼素材を、加熱し、仕上げ圧延終了温
度をAr3変態点以上(Ar3変態点+150 ℃)以下の温度
範囲とする熱間圧延を行い熱延板とし、該熱間圧延終了
後続いて(Ar3変態点−50℃)以上の温度からMs 点以
下の温度まで10℃/s以上の冷却速度で冷却し巻き取る
熱延および熱延板組織調整工程とし、次いで前記焼戻し
工程を施してもよい。
【0014】また、本発明では、前記めっき工程に代え
て、溶融亜鉛めっき処理を施し前記鋼板表層に溶融亜鉛
めっき層を形成した後、450 ℃〜550 ℃の温度域まで再
加熱して溶融亜鉛めっき層の合金化処理を施し、該合金
化処理後、5℃/s以上の冷却速度で300 ℃まで冷却す
るめっき・合金化処理工程とすることが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】まず、本発明の高張力溶融亜鉛め
っき鋼板の製造方法に用いる鋼素材の組成限定理由につ
いて説明する。なお、mass%を単に%と記す。 C:0.05〜0.20% Cは、鋼の高強度化に必須の元素であり、さらに残留オ
ーステナイトや低温変態相の生成に効果があり、不可欠
の元素である。しかし、C含有量が0.05%未満では所望
の高強度化が得られず、一方、O.20%を超えると、溶接
性の劣化を招く。このため、Cは0.05〜0.20%の範囲に
限定した。
【0016】Si:0.3 〜1.8 % Siは、固溶強化により鋼を強化するとともに、オーステ
ナイトを安定化し、残留オーステナイト相の生成を促進
する作用を有する。このような作用は、Si含有量がO.3
%以上で認められる。一方、1.8 %を超えて含有する
と、めっき性が顕著に劣化する。このため、Siは0.3 〜
1.8 %の範囲に限定した。
【0017】Mn:1.0 〜3.0 % Mnは、固溶強化により鋼を強化するとともに、鋼の焼入
性を向上し、残留オーステナイトや低温変態相の生成を
促進する作用を有する。このような作用は、Mn含有量が
1.0 %以上で認められる。一方、3.0 %を超えて含有し
ても効果が飽和し、含有量に見合う効果が期待できなく
なりコストの上昇を招く。このため、Mnは1.0 〜3.0 %
の範囲に限定した。
【0018】さらに、上記した化学成分に加え、鋼素材
には、必要に応じて、下記に示す(a群)〜(d群)の
うちの1群または2群以上を含有することができる。 (a群):Cr、Moのうちの1種または2種を合計で、0.
05〜1.0 % Cr、Moは、いずれも鋼の焼入性を向上し、低温変態相の
生成を促進する作用を有する元素である。このような作
用は、Cr、Moのうちの1種または2種を合計で0.05%以
上含有して認められる。一方、Cr、Moのうちの1種また
は2種を合計で1.0 %を超えて含有しても効果が飽和
し、含有量に見合う効果が期待できず、経済的に不利と
なる。このため、Cr、Moのうちの1種または2種は、合
計で0.05〜1.0 %の範囲に限定するのが望ましい。な
お、より好ましい範囲はCr、Moのうちの1種または2種
を合計で0.05〜0.5 %である。
【0019】(b群):B:0.003 %以下 Bは、鋼の焼入性を向上する作用を有する元素であり、
必要に応じ含有できる。しかし、B含有量が0.003 %を
超えると、効果が飽和するため、Bは0.003 %以下に限
定するのが望ましい。なお、より望ましいは範囲は0.00
1 〜0.002 %である。
【0020】(c群):Ca、REM のうちから選ばれた1
種または2種を合計で、0.01%以下 Ca、REM は、硫化物系介在物の形態を制御する作用を有
し、これにより鋼板の伸びフランジ性を向上させる効果
を有する。このような効果はCa、REM のうちから選ばれ
た1種または2種の含有量が合計で、0.01%を超えると
飽和する。このため、Ca、REM のうちの1種または2種
の含有量は、合計で0.01%以下に限定するのが好まし
い。なお、より好ましい範囲は0.001 〜0.005 %であ
る。
【0021】(d群):Ti、 Nb 、Vのうちから選ばれ
た1種または2種以上を合計で、0.01〜0.2 % Ti、Nb、Vは、鋼中で炭窒化物を形成し、これら炭窒化
物による析出強化により鋼を高強度化する効果を有する
とともに、結晶粒径を微細化する効果も有しており、必
要に応じて含有できる。このような効果は、Ti、Nb、V
のうちから選ばれた1種または2種以上を合計で、0.01
%以上で認められる。一方、合計で0.2%を超えて含有
しても効果が飽和し、含有量に見合う効果が期待でき
ず、経済的に不利となる。このため、Ti、Nb、Vのうち
の1種または2種以上の含有量は、合計で、0.01〜0.2
%の範囲に限定するのが好ましい。
【0022】本発明に用いる鋼板では、上記した化学成
分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物からなる。不
可避的不純物としては、Al:0.1 %以下、P:0.05%以
下、S:0.01%以下が許容できる。なお、伸びフランジ
性がとくに要求される場合にはSは0.005 %以下とする
のがより望ましい。次に、本発明の高張力溶融亜鉛めっ
き鋼板の製造方法について説明する。
【0023】まず、上記した組成を有する鋼を溶製し、
連続鋳造法等の通常の公知の方法でスラブ等に鋳造し圧
延用鋼素材とする。次いで、この鋼素材に、通常の公知
の方法で加熱し、粗圧延してシートバーとし、さらに仕
上げ圧延して所望の板厚を有する熱延板としたのち、巻
き取る熱延工程を施す。 (1)熱延工程 本発明では、熱延工程を、仕上げ圧延における圧延終了
温度を(Ar3変態点+150 ℃)以下の温度範囲とする熱
間圧延とする。圧延終了温度が(Ar3変態点+150 ℃)
を超えると、得られる熱延板の組織が粗大化しやすく、
最終的に得られるめっき鋼板の成形性が低下する。この
ため、仕上げ圧延の圧延終了温度を(Ar3変態点+150
℃)以下の温度範囲に限定した。
【0024】なお、圧延終了温度がAr3変態点未満で
は、α+γの2相域圧延となり、得られる熱延板の組織
が不均一となり、最終的に得られるめっき鋼板の成形性
が低下する。このため、仕上げ圧延の圧延終了温度はA
r3変態点以上とするのが好ましい。熱延板は、熱間圧延
終了後700 ℃以下の温度まで冷却され、コイル状に巻き
取られる。なお、熱間圧延後の冷却速度はとくに限定し
ないが、鋼板形状を良好に保ち、生産性の低下を避ける
ため、5〜100 ℃/sとするのが好ましい。
【0025】上記熱延工程を経た熱延板に、ついで、熱
延板組織調整工程を施す。なお、熱延板に、熱延板組織
調整工程まえに酸洗処理を加えることができることはい
うまでもない。 (2)熱延板組織調整工程 熱延板組織調整工程では、熱延工程を経た熱延板に、
(Ac3変態点−50℃) 〜(Ac3変態点+100 ℃)の温度
域で5sec 以上保持する加熱処理を施した後、10℃/s
以上の冷却速度でMs 点以下の温度まで冷却する。
【0026】この熱延板組織調整工程により、熱延板中
にラス状マルテンサイトが生成される。めっき工程後の
鋼板中に、フェライト、焼戻マルテンサイト、残留オー
ステナイト、低温変態相の均一微細な複合組織を得るた
めには、熱延板組織調整工程で鋼板組織を、ラス状のマ
ルテンサイトを含む組織とすることが必要である。熱延
板組織調整工程における加熱処理の加熱保持温度が(A
c3変態点−50℃)未満、あるいは保持時間が5sec 未満
では、加熱保持中に生成するオーステナイト量が少な
く、冷却後に得られるラス状マルテンサイト量が不足す
る。一方、(Ac3変態点+100 ℃)を超えると、加熱保
持中にオーステナイトの結晶粒径が粗大化するため、め
っき工程後に得られる鋼板組織が粗大化し、鋼板の成形
性の低下を招く。また、保持時間は120 sec 以下とする
のが好ましい。
【0027】また、加熱処理後の冷却速度が10℃/s未
満では、冷却後の鋼板組織をラス状マルテンサイトを含
む組織とすることができない。なお、加熱処理後の冷却
速度は、鋼板の形状を良好に保つためには100 ℃/s以
下とするのが望ましい。なお、本発明では、上記した熱
延工程と熱延板組織調整工程に代えて、熱間圧延後、急
冷する熱延および熱延板組織調整工程としてもよい。 (3)熱延および熱延板組織調整工程 熱延および熱延板組織調整工程では、上記した組成の鋼
素材を、加熱し、仕上げ圧延終了温度をAr3変態点以上
(Ar3変態点+150 ℃)以下の温度範囲とする熱間圧延
を行い熱延板とし、該熱間圧延終了後続いて(Ar3変態
点−50℃)以上の温度からMs 点以下の温度まで10℃/
s以上の冷却速度で冷却し巻き取る工程とする。
【0028】圧延終了温度がAr3変態点未満では、めっ
き工程後に得られる鋼板の成形性が大きく低下する。ま
た、急冷開始温度が(Ar3変態点−50℃)未満では、フ
ェライト変態が進行し、十分な量のラス状マルテンサイ
トが得にくくなる。さらに、Ms 点以下の温度までの冷
却速度が10℃/s未満では、冷却後の熱延板の組織をラ
ス状マルテンサイトを含む組織とすることが困難とな
る。なお、熱延後の冷却速度は、鋼板の形状を良好に保
つためには100 ℃/s以下とするのが望ましい。
【0029】上記各工程を順次経た熱延板に、ついで、
焼戻し工程を施す。 (4)焼戻し工程 焼戻し工程では、上記各工程を順次経てラス状マルテン
サイトを生成させた熱延板に、(Ac1変態点〜Ac3 変態
点) の温度域で5〜120 s間保持する加熱処理を施した
後、5℃/s以上の冷却速度で500 ℃以下の温度まで冷
却する処理を施す。
【0030】この焼戻し工程により、前工程で形成され
たラス状マルテンサイトを焼戻マルテンサイトとすると
ともに、めっき工程後に残留オーステナイトおよび低温
変態相を生成するために、鋼板組織の一部再オーステナ
イト化を図る。加熱処理の加熱保持温度がAc1変態点未
満では、オーステナイトが再生成せず、めっき工程後に
残留オーステナイトや低温変態相が得られない。また、
保持温度がAc3変態点を超えると、鋼板組織の全オース
テナイト化を招き、焼戻マルテンサイトが消失する。ま
た、加熱処理における加熱保持時間が5s未満ではオー
ステナイトの再生成が不十分であるため、めっき工程後
に十分な量の残留オーステナイトが得られない。また、
加熱保持時間が120secを超えると、焼戻マルテンサイト
の再オーステナイト化が進行し、必要量の焼戻マルテン
サイトを得ることが困難となる。
【0031】また、加熱処理後の冷却速度が5℃/s未
満ではこの加熱処理にて生成したオーステナイトがフェ
ライトやパーライトに変態し、残留オーステナイトや低
温変態相とならない。なお、この工程における加熱処理
後の冷却速度は5℃/s以上50℃/s以下とするのが好
ましい。なお、この焼戻し工程は、焼鈍設備と溶融亜鉛
めっき設備を兼ね備えた連続溶融亜鉛めっきラインで行
うのが好ましい。このような連続溶融亜鉛めっきライン
で行うことにより、この工程後直ちにめっき工程に移行
でき、生産性が向上する。
【0032】ついで、上記焼戻し工程を経た鋼板にめっ
き工程を施す。 (5)めっき工程 めっき工程では、焼戻し工程を経た鋼板に、溶融亜鉛め
っきを施し、5 ℃/s以上の冷却速度で300 ℃まで冷却
する。溶融亜鉛めっき処理は、通常、連続溶融亜鉛めっ
きラインで行われている処理条件でよく、特に限定する
必要はない。しかし、極端に高温でのめっきは必要な残
留オーステナイト量の確保が困難となる。このため、50
0 ℃以下でのめっき処理とするのが好ましい。また、め
っき処理後の冷却速度が極端に小さいときは、残留オー
ステナイト量の確保が困難になる。このため、めっき後
から 300℃までの温度範囲における冷却速度は5℃/s
以上に限定するのがよい。なお、好ましくは50℃/s以
下である。また、めっき処理後、必要に応じて目付量調
整のためのワイピングを行ってもよいのはいうまでもな
い。なお、めっき付着量は、使用部位により適宜決定す
ればよく、本発明ではとくに限定しない。自動車部品用
に使用される溶融亜鉛めっき鋼板では、目付量は30〜12
0g/m2 とするのが好ましい。
【0033】また、めっき工程に代えて、溶融亜鉛めっ
き処理後、めっき層の合金化処理を施すめっき・合金化
処理工程としてもよい。 (6)めっき・合金化処理工程 めっき・合金化処理工程では、溶融亜鉛めっき処理後、
450 〜550 ℃の温度域まで再加熱して溶融亜鉛めっき層
の合金化処理を施し、該合金化処理後、5 ℃/s以上の
冷却速度で300 ℃まで冷却する。
【0034】高温での合金化処理は、必要な残留オース
テナイト量の確保が困難となり、鋼板の延性が低下す
る。このため、合金化処理温度の上限は550 ℃に限定す
るのが好ましい。また、合金化処理温度が450 ℃未満で
は、合金化の進行が遅く生産性が低下する。このため、
合金化処理温度の下限は450 ℃とするのが好ましい。ま
た、合金化処理後の冷却速度が極端に小さい場合には必
要な残留オーステナイト量の確保が困難になる。このた
め、合金化処理後から300 ℃までの温度範囲における冷
却速度を5℃/s以上に限定するのがよい。
【0035】なお、めっき処理後あるいは合金化処理後
の鋼板には、形状矯正、表面粗度等の調整のための調質
圧延を加えてもよい。また、樹脂あるいは油脂コーティ
ング、各種塗装あるいは電気めっき等の処理を施しても
何ら不都合はない。本発明は、焼鈍設備とめっき設備お
よび合金化処理設備を連続した溶融亜鉛めっきラインに
おいて、焼戻し工程と、めっき工程あるいはめっき・合
金化処理工程を連続して行うことを前提としているが、
各工程を独立した設備で実施することも可能である。
【0036】上記した組成を有する鋼素材に上記した各
工程を施すことにより、得られる鋼板は、焼戻マルテ
ンサイト、フェライト、残留オーステナイトおよび
低温変態相からなる複合組織を有する高張力溶融亜鉛
めっき熱延鋼板あるいは高張力合金化溶融亜鉛めっき熱
延鋼板となる。これら各相が混在共存する複合組織とな
ることにより、鋼板の延性向上等の効果が発現し、成形
性に優れた鋼板となる。なお、本発明における焼戻マル
テンサイトとは、ラス状のマルテンサイトを加熱した際
に生成する相を指す。以下、本発明に係る溶融亜鉛めっ
き鋼板(熱延鋼板)に含まれる各相について説明する。
【0037】焼戻マルテンサイト 焼戻マルテンサイトは、焼戻前のラス状マルテンサイト
のラス形態を引き継いだ微細な内部構造を有することが
特徴であり、鋼板の伸びフランジ性向上に有効な相であ
る。また、焼戻マルテンサイトは、焼戻しによって軟質
化しており、十分な塑性変形能を有するため、鋼板の延
性向上にも有効な相である。本発明に係る鋼板では、こ
のような焼戻マルテンサイトを、体積率で20%以上含有
する。焼戻マルテンサイト量が20%未満では、前記した
効果が十分に期待できない。このため、複合組織中の焼
戻マルテンサイト量は20%以上に限定した。なお、焼戻
マルテンサイト量が60%を超えると、多相複合組織化に
よる利点が得にくくなるため、焼戻しマルテンサイト量
は60%以下とするのが望ましい。
【0038】フェライト フェライトは、軟質な相であり、高い変形能を有し、鋼
板の延性を向上させる。本発明では、このようなフェラ
イトを、鋼板中に体積率で30%以上含有する。フェライ
ト量が30%未満では、延性向上効果が少ない。なお、フ
ェライト量が70%を超えると、多相複合組織化による利
点が得にくくなるため、フェライト量は70%以下とする
のが望ましい。
【0039】残留オーステナイト 残留オーステナイトは、加工時にマルテンサイトに歪誘
起変態し、局所的に加えられた加工歪を広く分散させ、
鋼板の延性を向上させる作用を有する。本発明に係る鋼
板では、このような残留オーステナイトを、体積率で2
%以上含有する。残留オーステナイト量が2%未満で
は、顕著な延性の向上が期待できない。このため、残留
オーステナイト量は2%以上に限定した。また、残留オ
ーステナイト量は、好ましくは5%以上である。なお、
残留オーステナイト量は多いほどよいが、実際的には10
%以下である。
【0040】低温変態相 本発明でいう低温変態相とは、焼き戻しされていないマ
ルテンサイトあるいはべイナイトを指す。マルテンサイ
ト、べイナイトとも硬質相であり、組織強化によって鋼
板強度を増加させる作用を有する。また、変態生成時に
可動転位の発生を伴うため、鋼板の降伏比を低下させる
作用も有する。なお、前記作用を十分に得るためには、
低温変態相はマルテンサイトとするのが好適である。本
発明においては、低温変態相の量はとくに限定せず、鋼
板の強度に応じて適宜配分すればよく、好ましくは体積
率で5〜20%である。なお、とくに低い降伏比を要求さ
れる場合は、低温変態相として、マルテンサイトを体積
率で5〜20%含有するのが好ましい。
【0041】さらに、本発明に係る鋼板では、上記した
複合組織中のフェライトおよび焼戻マルテンサイトの結
晶粒径は平均粒径で10μm 以下となる。なお、平均粒径
10μm 以下という結晶粒径の微細化は鋼板の伸びフラン
ジ性を向上させる効果を有する。
【0042】
【実施例】(実施例1)表1に示す組成を有する鋼を転
炉にて溶製し、連続鋳造法にて鋳片(鋼素材)とした。
なお、表1に示す化学成分以外の残部はFeおよび不可避
的不純物である。
【0043】得られた鋳片(鋼素材)を1150℃に加熱し
たのち、表2に示す条件の熱延工程を施し、板厚2.3 mm
の熱延板(熱延鋼板)とした。
【0044】
【表1】
【0045】次いで、これら熱延板を酸洗し、連続焼鈍
ラインにて、表2に示す条件の熱延板組織調整工程を施
した。熱延板組織調整工程後、熱延板のミクロ組織調査
を行い、ラス状マルテンサイトの量を測定した。さら
に、熱延板組織調整工程を施されたこれら熱延板に、連
続溶融亜鉛めっきラインにて、表2に示す条件の焼戻し
工程を施し、ついで引き続き表2に示す条件のめっき工
程を施した。なお、一部については溶融亜鉛めっき後、
合金化処理を行う、めっき・合金化処理工程を施した。
【0046】なお、溶融亜鉛めっき処理は、浴温475 ℃
のめっき槽に鋼板を浸漬して行い、浸漬した鋼板を引き
上げた後、片面当たりの目付量(付着量)が50g/m2とな
るように、ガスワイピングにより目付量を調整した。亜
鉛めっき層の合金化処理を行う場合には、ワイピング処
理の後、10℃/sの加熱速度で500 ℃まで昇温して合金
化処理した。合金化処理時の保持時間は、めっき層中の
鉄含有率が9〜11%となるように調整した。
【0047】
【表2】
【0048】鋼板のミクロ組織は、鋼板の圧延方向断面
を光学顕微鏡あるいは走査型電子顕微鏡にて観察するこ
とにより調査した。鋼板中のラス状マルテンサイト、フ
ェライト、焼戻マルテンサイトの量については、倍率10
00倍の断面組織写真を用いて、画像解析により任意に設
定した100 mm四方の正方形領域内に存在する該当相の占
有面積率を求め、該当相の体積率とした。また、残留オ
ーステナイト量は、鋼板を板厚方向の中心面まで研磨
し、板厚中心面での回析X線強度測定により求めた。入
射X線にはMoK α線を使用し、残留オーステナイト相の
{111 }、{200}、{220 }、{311 }各面の回析X
線強度比を求め、これらの平均値を残留オーステナイト
の体積率とした。
【0049】フェライト粒径は、JIS Z0552の規定に準
拠して結晶粒度を測定し、平均結晶粒径に換算した。ま
た、焼戻マルテンサイト粒径も、フェライト粒径と同様
の方法により求めた。鋼板の機械的特性は、引張試験お
よび穴拡げ試験により調査した。引張試験は、鋼板より
圧延直角方向に採取したJIS Z2204に規定のJIS 5号試
験片を用いて、JIS Z2241の規定に準拠して、引張強さ
(TS)および破断伸び(El)を測定した。
【0050】穴拡げ試験は、日本鉄鋼連盟規格JFS T10
01に準拠して、鋼板に10mmφ(D0)の円穴を打抜き、
打抜き穴を頂角60°の円錐ポンチで押し拡げ、割れが板
厚方向に貫通した直後の穴径Dを求めた。DとD0
ら、λ={(D−D0 )/D0}×100 (%)で定義さ
れる穴拡げ率(λ)を求め、伸びフランジ性の指標とし
た。
【0051】得られた結果を表3に示す。
【0052】
【表3】
【0053】表3から、本発明例の溶融亜鉛めっき鋼板
は、590 MPa 以上の引張強さ(TS)を有し、強度−伸び
バランス(TS×El)が20000 MPa ・%以上、かつ、強度
−穴拡げ率バランス(TS×λ)が55000 MPa ・%以上
と、延性および伸びフランジ性にともに優れ、成形性に
優れた高張力溶融亜鉛めっき熱延鋼板となっている。一
方、本発明の範囲を外れる比較例では、強度−伸びバラ
ンスが20000MPa・%未満であり、強度−穴拡げ率バラン
スも低く、延性および伸びフランジ性が同時に優れるも
のはなく、十分な成形性を有するものはない。 (実施例2)表1に示す組成を有する鋼素材を用い、表
4に示す熱延条件で板厚2.3 mmの熱延板とし、熱間圧延
後、直ちに表4に示す条件で急冷しコイル状に巻き取
る、熱延および熱延板組織調整工程を施した。なお、こ
の工程後、熱延板のミクロ組織調査を行い、ラス状マル
テンサイトの量を測定した。
【0054】次いで、これら熱延板に、連続溶融亜鉛め
っきラインにて、表4に示す焼戻し工程と、さらに、表
4に示すめっき・合金化処理工程を施した。なお、溶融
亜鉛めっき処理は、実施例1と同様とした。これら鋼板
について、実施例1と同様にミクロ組織、機械的特性を
調査した。鋼板の機械的特性は、実施例1と同様に引張
試験および穴拡げ試験により調査した。
【0055】それらの結果を表5に示す。
【0056】
【表4】
【0057】
【表5】
【0058】表5から、本発明例の溶融亜鉛めっき鋼板
は、590 MPa 以上の引張強さ(TS)を有し、強度−伸び
バランス(TS×El)が20000 MPa ・%以上、かつ、強度
−穴拡げ率バランス(TS×λ)が60000MPa・%以上と、
延性および伸びフランジ性に優れ、成形性に優れたた高
張力溶融亜鉛めっき鋼板となっている。このことから、
熱延後所定の条件での急冷とすることにより、特に熱延
板組織調整のために再加熱冷却することなくラス状マル
テンサイトを含む組織を有する熱延鋼板とすることがで
き、成形性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板を製造できる。
【0059】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
非常に優れた延性、伸びフランジ性を有し、自動車部品
に代表される成形品素材として実に好適な、成形性に優
れた高張力亜鉛めっき鋼板が、安価にしかも安定して製
造でき、産業上格段の効果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C23C 2/28 C23C 2/28 2/40 2/40 (72)発明者 古君 修 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 Fターム(参考) 4K027 AA02 AA23 AB02 AB28 AB42 AC12 AC18 AC72 AC73 AE11 AE12 AE18 4K037 EA01 EA02 EA05 EA06 EA09 EA11 EA15 EA16 EA17 EA19 EA23 EA25 EA27 EA28 EA31 EA32 EA36 EB05 EB09 EB11 FA02 FB04 FC04 FE01 FE02 FF02 GA05 GA07 JA06

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 mass%で、 C:0.05〜0.20%、 Si:0.3 〜1.8 %、 Mn:1.0 〜3.0 % を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有
    する鋼素材を、加熱し、仕上げ圧延終了温度を(Ar3
    態点+150 ℃)以下の温度範囲とする熱間圧延を行い熱
    延板としたのち、700 ℃以下の温度まで冷却し巻き取る
    熱延工程と、ついで(Ac3変態点−50℃) 〜(Ac3変態
    点+100 ℃)の温度域で5sec 以上保持する加熱処理を
    施した後、10℃/s以上の冷却速度でMs 点以下の温度
    まで冷却する熱延板組織調整工程と、次いで、(Ac1変態
    点〜Ac3 変態点) の温度域で5〜120 s間保持する加熱
    処理を施した後、5℃/s以上の冷却速度で500 ℃以下
    の温度まで冷却する焼戻し工程と、次いで溶融亜鉛めっ
    き処理を施し、前記熱延板の表層に溶融亜鉛めっき層を
    形成した後、5℃/s以上の冷却速度で300 ℃まで冷却
    するめっき工程とを順次施し、鋼板組織を体積率で20%
    以上の焼戻マルテンサイト、体積率で30%以上のフェラ
    イト、体積率で2%以上の残留オーステナイトおよび低
    温変態相からなる複合組織とすることを特徴とする成形
    性に優れた高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記熱延工程と前記熱延板組織調整工程
    に代えて、前記鋼素材を、加熱し、仕上げ圧延終了温度
    をAr3変態点以上(Ar3変態点+150 ℃)以下の温度範
    囲とする熱間圧延を行い熱延板とし、該熱間圧延終了後
    続いて(Ar3変態点−50℃)以上の温度からMs 点以下
    の温度まで10℃/s以上の冷却速度で冷却し巻き取る熱
    延および熱延板組織調整工程を行い、次いで前記焼戻し
    工程を施すことを特徴とする請求項1に記載の成形性に
    優れた高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記めっき工程に代えて、溶融亜鉛めっ
    き処理を施し前記鋼板表層に溶融亜鉛めっき層を形成し
    た後、450 ℃〜550 ℃の温度域まで再加熱して溶融亜鉛
    めっき層の合金化処理を施し、該合金化処理後、5℃/
    s以上の冷却速度で300 ℃まで冷却するめっき・合金化
    処理工程とすることを特徴とする請求項1または2に記
    載の成形性に優れた高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 前記組成に加え、さらに、下記(a群)
    〜(d群)のうちから選ばれた1群または2群以上を含
    有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに
    記載の成形性に優れた高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造
    方法。 記 (a群):Cr、Moのうちの1種または2種を合計で、0.
    05〜1.0 mass%、 (b群):Bを0.003 mass%以下、 (c群):Ca、REM のうちから選ばれた1種または2種
    を合計で、0.01mass%以下 (d群):Ti、 Nb 、Vのうちから選ばれた1種または
    2種以上を合計で、0.01〜0.2 mass%、
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