JP2001201571A - 霧レーダ空中線走査方法および霧観測方法 - Google Patents

霧レーダ空中線走査方法および霧観測方法

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JP2001201571A JP2000011969A JP2000011969A JP2001201571A JP 2001201571 A JP2001201571 A JP 2001201571A JP 2000011969 A JP2000011969 A JP 2000011969A JP 2000011969 A JP2000011969 A JP 2000011969A JP 2001201571 A JP2001201571 A JP 2001201571A
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Toshio Wakayama
俊夫 若山
Koichi Hirashima
弘一 平島
Hisamichi Tanaka
久理 田中
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 霧の観測を、少ない数の仰角で、効率よく行
うことのできる霧レーダ空中線走査方法および霧観測方
法を得る。 【解決手段】 霧の分布範囲104内にある等高度面、
例えばエコー頂高度105を一様に観測するような仰角
の組合せを選択し(ST1)、それらの仰角に基づく水
平走査によって空中線より電波の放射を行って、霧粒で
反射された電波をその空中線で受信することによって霧
分布を観測し(ST2)、観測結果よりエコー頂高度1
05を求めて(ST3)、霧の状態変化を判定し(ST
4)、変化があれば仰角を選択し直し、なければその仰
角による霧観測を繰り返すようにしたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、霧の分布を測定
する霧レーダの空中線走査方法と霧観測方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】降雨を観測する気象レーダ(以後降雨レ
ーダと呼ぶ)では、従来から、複数の仰角を用いた水平
走査観測によって、3次元空間の降雨分布の測定を行っ
ている。特に、3次元走査で得られたデータから等高度
面降雨分布を合成する場合、その走査方法をCAPPI
(Constant Altitude Plan P
osition Indicator)走査と呼ぶ。図
12はこのような従来の降雨レーダにおけるCAPPI
走査の仰角設定例を示した説明図である。
【0003】このような降雨レーダでは、あらかじめ定
められた複数の等高度面におけるレーダ画像を得るのに
適した仰角設定が行われていた。また、降雨レーダは通
常2〜4rpm程度の空中線回転速度であり、CAPP
I走査の観測周期は通常5分程度である。
【0004】上記従来の気象レーダ(降雨レーダ)は降
雨観測が目的であったが、近年雨滴よりも微小な霧粒を
観測するための気象レーダ(霧レーダ)が開発されてい
る。このような霧観測を行うための霧レーダについて
は、例えば、「橋口他、ミリ波ドップラレーダーの開
発、1998年日本気象学会春季大会,C102」など
に紹介されている。霧レーダは従来の降雨レーダよりも
高い、例えば35GHz近辺の、通常Ka帯と呼ばれて
いる周波数帯域の電波を送受信することにより、微小な
霧粒からの反射エコーを観測することが可能となってい
る。
【0005】なお、このような霧レーダにおいても、3
次元空間上の霧の分布を見るためには、降雨レーダと同
様に、複数の仰角を用いた水平走査を行うことが望まし
い。霧レーダの観測対象である霧粒は、降雨レーダの観
測対象である雨粒よりも微小であり、レーダ装置の送信
周波数帯域をミリ波帯にしたとしても、反射エコーの電
力は微小である。従って、微小電力の反射エコーを確実
に検出するために、受信信号をできるだけ多く積分する
必要がある。霧の空間分布を観測するために空中線を走
査する場合、受信データの積分数を多くするためには、
空中線走査速度を遅くして同一方向のデータを多く収集
可能となるようにする必要がある。例えば、先に示した
「橋口他、ミリ波ドップラレーダーの開発、1998年
日本気象学会春季大会,C102」に紹介されているレ
ーダ装置では、空中線の走査速度を0.5〜1rpmと
している。この場合の走査速度は通常の降雨レーダの1
/4である。よって、霧レーダにおいて降雨レーダと同
様のCAPPI走査を行った場合、その観測周期は降雨
レーダの場合の4倍となってしまう。
【0006】一方、霧レーダに要求される観測の時間分
解能は、通常の気象レーダよりも高い。一般的に、降雨
レーダでは半径数100kmの観測範囲を数kmの空間
分解能で観測している。それに対して、霧レーダの観測
範囲は半径20km程度であり、その観測範囲に存在す
る霧の状況を詳細に観測するものである。そのため、霧
レーダでは降雨レーダよりも局所的な気象が観測の対象
となる。このように観測対象が局所的となれば、時間軸
方向においても、より短い時間で変化する対象を観測す
ることが必要になる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来の気象レーダ(降
雨レーダ)は以上のように構成されており、霧の分布を
観測する霧レーダにおいては、降雨レーダよりも高い時
間分解能が要求されているので、降雨レーダよりも空中
線走査を遅くしなければならず、観測周期を短くする必
要があるため、霧レーダには降雨レーダで用いられてい
たようなCAPPI走査は適しておらず、空中線水平走
査の仰角数が増加して、効率のよい霧観測を行うことが
困難であるという課題があった。
【0008】この発明は上記のような課題を解決するた
めになされたもので、従来のCAPPI走査よりも少な
い空中線水平走査の仰角数で、効率よく霧観測を行うこ
とができる霧レーダ空中線走査方法および霧観測方法を
得ることを目的とする。具体的には、霧の最大の特徴は
エコー頂高度が一定となることであるため、CAPPI
観測のように、多数の等高度面の分布を得なくても、エ
コー頂高度付近の等高度面の分布を知れば、霧の特徴を
よく観測することができるため、この発明では、エコー
頂高度における等高度面を観測するのに適した仰角設定
を行うことにより、少ない仰角数で効率よく霧観測を行
うことを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明に係る霧レーダ
空中線走査方法は、霧の存在する高度範囲内にある等高
度面を一様に観測する仰角の組合せを選択して空中線よ
り空間に電波を放射し、大気中の霧粒で反射された電波
をその空中線で受信することによって霧分布を観測する
ようにしたものである。
【0010】この発明に係る霧レーダ空中線走査方法
は、空中線の仰角の組合せを、霧のエコー頂高度を含む
等高度面を一様に観測するように選択するようにしたも
のである。
【0011】この発明に係る霧レーダ空中線走査方法
は、空中線の仰角設定に際して、霧のエコー頂高度を含
む等高度面にて、被観測点を水平方向に等間隔で得られ
るようにしたものである。
【0012】この発明に係る霧レーダ空中線走査方法
は、空中線の仰角を一意に決定する際に、霧のエコー頂
高度、霧レーダの最大水平観測距離、および空中線水平
走査の仰角数を設定するようにしたものである。
【0013】この発明に係る霧レーダ空中線走査方法
は、空中線の仰角を一意に決定する際に、霧のエコー頂
高度、霧レーダの最大水平観測距離、およびエコー頂高
度における被観測点の水平方向間隔を設定するようにし
たものである。
【0014】この発明に係る霧レーダ空中線走査方法
は、空中線の仰角を一意に決定する際に、霧のエコー頂
高度、霧レーダの空中線水平走査の仰角数、およびエコ
ー頂高度における被観測点の水平方向間隔とを設定する
ようにしたものである。
【0015】この発明に係る霧レーダ空中線走査方法
は、空中線水平走査の仰角の組合せの変更を、霧の状態
の変化に伴って、仮定する霧のエコー頂高度を変更する
ことによって行うようにしたものである。
【0016】この発明に係る霧観測方法は、複数選定さ
れた空中線の仰角を用いた水平走査によって霧を観測
し、その観測結果から検出された霧のエコー頂高度が時
間軸上で変化したかどうかを判定して、エコー頂高度が
変化していた場合には空中線の仰角の選定をし直してか
らその仰角を用いた水平走査による霧の観測を行い、変
化していなかった場合にはそのままの仰角で霧の観測を
繰り返すことによって、大気中の霧分布を観測するよう
にしたものである。
【0017】この発明に係る霧観測方法は、空中線の垂
直走査により霧の鉛直断面構造を観測してエコー頂高度
を算出し、算出されたエコー頂高度に応じて複数選定さ
れた空中線の水平走査の仰角を用いた水平走査によって
霧を観測し、その観測結果から検出された霧のエコー頂
高度が時間軸上で変化したかどうかを判定して、エコー
頂高度が変化していた場合には霧の鉛直断面構造の観測
に戻り、変化していなかった場合には空中線の仰角の選
定をやり直してから、もしくはそのままの仰角で霧の観
測を繰り返すことによって、大気中の霧分布を観測する
ようにしたものである。
【0018】この発明に係る霧レーダ空中線走査方法
は、空中線の水平走査の仰角を設定する際に、観測領域
を複数に分割した各小領域毎にエコー頂高度を仮定する
ようにしたものである。
【0019】この発明に係る霧レーダ空中線走査方法
は、方位角のみで観測領域の小領域への分割を行うよう
にしたものである。
【0020】この発明に係る霧レーダ空中線走査方法
は、地表面の高度に応じて仮定するエコー頂高度を変化
させることにより、水平走査の仰角を複数選定するよう
にしたものである。
【0021】この発明に係る霧レーダ空中線走査方法
は、地表面から測定したエコー頂高度を一定とすること
によって地表面の高度に応じたエコー頂高度を仮定し、
水平走査の仰角を複数選定するようにしたものである。
【0022】この発明に係る霧レーダ空中線走査方法
は、霧のエコー頂高度を含む水平面、および霧の内部の
単一あるいは複数の水平面を、それぞれ一様に観測する
ような空中線の仰角の組合せを選択して空中線より空間
に電波を放射し、大気中の霧粒で反射された電波をその
空中線で受信することによって霧分布を観測するように
したものである。
【0023】この発明に係る霧レーダ空中線走査方法
は、空中線の仰角の組合せとして、遠方の霧の分布を観
測するための低仰角を、霧のエコー頂高度を含む等高度
面を一様に観測する空中線の仰角の組合せに加えるよう
にしたものである。
【0024】この発明に係る霧レーダ空中線走査方法
は、霧の存在する高度範囲内にある等高度面の観測が、
近距離で細かく、遠距離で粗くなるように空中線の仰角
の組合せを選択して空中線より空間に電波を放射し、大
気中の霧粒で反射された電波をその空中線で受信するこ
とによって霧分布を観測するようにしたものである。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の一形態を
説明する。 実施の形態1.図1はこの発明の実施の形態1における
霧観測の動作手順を示すフローチャートである。図にお
いて、ST1は空中線の水平走査の仰角を複数選定する
仰角設定ステップであり、ST2はこの仰角設定ステッ
プST1で選定された複数の仰角を用いた水平走査によ
って霧の観測を行う水平走査霧観測ステップである。S
T3は水平走査霧観測ステップST2の観測結果に基づ
いて霧のエコー頂高度を検出するエコー頂高度検出ステ
ップであり、ST4はエコー頂高度検出ステップST3
で検出されたエコー頂高度に変化があるかどうかを判定
するエコー頂高度変化判定ステップである。
【0026】次に動作について説明する。まず、仰角設
定ステップST1において、霧のエコー頂高度に応じて
空中線の水平走査の仰角を複数選定する。この水平走査
の仰角設定においては、エコー頂高度を含む等高度面を
一様に観測することにより、観測範囲全域で霧の特徴を
捉えることを考える。なお、空中線を水平走査する場
合、方位角方向には連続的にデータが得られることか
ら、水平距離方向に一様な被観測点が得られるような観
測を行うことを考える。
【0027】水平距離方向に一様な被観測点を得るため
には、例えば、図2のように、被観測点が水平距離方向
に等間隔に存在するような設定とすればよい。図2はこ
の実施の形態1による空中線の水平走査における仰角設
定の原理を示す説明図である。図において、101は当
該霧レーダが配置されたレーダ位置であり、102a〜
102dはレーダ位置101に配置された霧レーダの空
中線ビーム方向を示す矢印である。103は観測対象と
なる霧のエコー頂、104はこの霧の分布範囲であり、
105は当該霧のエコー頂高度を示している。なお、こ
の図2の横軸はレーダからの水平距離、縦軸は高度を表
しており、霧の鉛直断面図上でレーダ仰角の設定原理を
説明する図となっている。
【0028】矢印102a〜102dで示される空中線
ビーム方向は、エコー頂103を含む等高度面において
水平距離方向に一定間隔で被観測点が得られるように設
定されている。限られた仰角数、すなわち限られた観測
周期内で、霧のエコー頂高度105が一定になるという
特徴を、霧の分布範囲104の全域で得ることが可能と
なる。そのため、霧エコーと、降雨エコーや地形エコー
などの他のエコーとの識別が全領域で可能となる。
【0029】このようにして、仰角設定ステップST1
にて空中線の水平走査のための複数の仰角が選定される
と、水平走査霧観測ステップST2に進み、選定された
それら複数の仰角を用いて空中線ビームの水平走査を行
い、観測対象となる霧の観測を行う。次にエコー頂高度
検出ステップST3において、水平走査霧観測ステップ
ST2の観測結果から、霧のエコー頂高度105を検出
する。このようにして検出されたエコー頂高度105は
エコー頂高度変化判定ステップST4にて、時間軸上で
変化したか否かが判定され、変化があれば仰角設定ステ
ップST1に、変化がなければ水平走査霧観測ステップ
ST2にそれぞれ戻って処理が繰り返される。
【0030】ここで、水平走査霧観測ステップST2の
観測結果からエコー頂高度105を求める原理について
図3を用いて説明する。図3はある方位角における霧の
鉛直断面上にて水平走査観測の様子を示したもので、図
中の101はレーダ位置、102は空中線ビーム方向を
示す矢印、103は霧のエコー頂、104は霧の分布範
囲、105は霧のエコー頂高度をそれぞれ表している。
また、空中線ビーム方向を示す矢印102上の○印はエ
コー強度が所定の閾値を超える被観測点、×印はエコー
強度が上記閾値を超えない被観測点を示している。
【0031】霧が存在する場合、被観測点の高度がエコ
ー頂高度105を越えないような距離までは、○印で示
すように霧が検出される。被観測点の高度がエコー頂高
度105を越えるような距離となると、×印で示すよう
に霧エコーが検出されなくなる。そこで、×印のよう
な、霧エコーの検出されない距離が一定以上連続した場
合に、その霧エコーが検出されなくなった被観測点の高
度がエコー頂高度105であるとする。
【0032】以下、図2のような仰角設定の具体的な方
法について説明する。ここで、仰角、エコー頂高度、仰
角数、最大水平観測距離の間には、次に示す式(1)の
ような関係がある。
【0033】
【数1】
【0034】なお、上記式(1)において、θi はi番
目の仰角、Nelは仰角数、Hは霧のエコー頂高度、R
max は最大水平観測距離である。この式(1)によって
仰角を設定する場合、エコー頂103における隣接する
被観測点の水平距離間隔dは、次に示す式(2)で表さ
れる。
【0035】 d=Rmax /Nel ・・・・・・ (2)
【0036】従って、エコー頂高度検出ステップST3
において検出したエコー頂高度に加えて、最大水平観測
距離と仰角数とを定めれば、被観測点の水平距離間隔が
定まる。また、先に仰角数と水平距離間隔を決定し、最
大水平観測距離が自動的に一意に定まるようにしてもよ
い。仰角数をあらかじめ設定しておくことは、観測周期
を一定時間内に収まるようにするために都合がよい。
【0037】また、最大水平観測距離と水平距離間隔を
先に決定し、仰角数が自動的に一意に定まるようにして
もよい。この場合、仰角数は最後に定まるため、観測周
期は長くなる可能性がある。しかしながら、霧分布の時
間変化が緩やかとみなせる場合には、このような仰角設
定方法も有効となる。
【0038】なお、この実施の形態1の説明において
は、観測の水平方向の一様性を得るため、エコー頂高度
面で得られる被観測点を等間隔とする、という条件を例
に説明したが、観測がほぼ一様となるのであれば、厳密
に等間隔でなくても同様の効果が得られる。例えば、低
エコー頂高度用、中エコー頂高度用、高エコー頂高度用
の仰角組合せをあらかじめ用意しておき、その中から霧
のエコー頂高度に応じて仰角の組合せを選択するように
してもよい。
【0039】以上の説明では、地球の曲率の影響によっ
て、被観測点の見かけの高度と実際の高度に相違がある
ことについて特に述べなかったが、必要があれば地球の
曲率の影響を考慮してエコー頂高度を仮定すればよい。
ただし、通常の霧レーダ探知距離は20kmから30k
mであり、数100kmの水平距離まで観測を行う通常
の気象レーダよりも地球曲率の影響は小さい。そのた
め、地球の曲率の影響を考慮した高度補正を省略しても
大きな問題とはならない。
【0040】以上のように、この実施の形態1によれ
ば、少ない仰角数で、霧の特徴を表す高度の等高度面全
域を一様に効率よく観測することが可能となり、特に霧
の特徴を表す代表的な高度であるエコー頂高度を含む水
平面を一様に観測することによって、霧エコーと降雨エ
コーや地形エコーなどの他のエコーとの識別を容易に行
うことができるなどの効果が得られる。
【0041】なお、仰角の設定方法として、例えば水平
方向探知距離と仰角数を先に設定することにより水平走
査の仰角を決めるようにすれば、必要な観測範囲をあら
かじめ定められた時間内に走査することになるため、必
要な観測距離と時間分解能を確保しながら効率よい霧観
測が可能となるといった効果が得られる。
【0042】また、その仰角の設定方法として、例えば
水平方向探知距離とエコー頂高度で得られる被観測点の
水平方向間隔を先に設定することによって水平走査の仰
角を決めるようにすれば、必要な観測範囲と空間分解能
を確保しながら霧観測を効率化することが可能となっ
て、霧の時間変化が遅く、観測の時間分解能が低い場合
に特に有効となり、仰角数とエコー頂高度で得られる被
観測点の水平方向間隔を先に設定することによって水平
走査の仰角を決めるようにすれば、必要な時間分解能と
空間分解能を確保しながら、効率よく霧の観測を行うこ
とができるという効果が得られる。
【0043】さらに、この実施の形態1では、霧のエコ
ー頂高度の変化に応じて空中線水平走査の仰角の設定を
変更しているため、霧の状態が変化しても最適な観測を
保つことが可能になるという効果が得られ、また、空中
線水平走査で得られた観測データのみから霧の状態変化
を捉えているため、空中線駆動部が垂直走査に対応して
いない場合にも適用可能となるという効果も得られる。
【0044】実施の形態2.なお、上記実施の形態1で
は、空中線を水平方向のみに走査することにより霧観測
を行うようにしたものについて説明したが、レーダ装置
の空中線駆動部が垂直走査にも対応している場合には、
垂直方向の空中線走査もレーダ観測に加えることが考え
られる。ここでは、そのようなこの発明の実施の形態2
による霧観測方法について説明する。
【0045】図4はこの発明の実施の形態2における霧
観測の動作手順を示すフローチャートである。図におい
て、ST11は空中線を垂直に走査することによって霧
の鉛直断面構造を観測する霧鉛直断面観測ステップであ
り、ST12はこの霧鉛直断面観測ステップST11で
得られた霧鉛直断面画像から霧のエコー頂高度を算出す
る霧エコー頂高度算出ステップである。また、ST1は
仰角設定ステップ、ST2は水平走査霧観測ステップ、
ST3はエコー頂高度検出ステップ、ST4はエコー頂
高度変化判定ステップであり、これらは図1に同一符号
を付して示した実施の形態1における各ステップと同等
のものである。なお、仰角設定ステップST1は空中線
の水平走査の複数の仰角の選定を、上記霧エコー頂高度
算出ステップST12で算出されたエコー頂高度に応じ
て行っている。
【0046】次に動作について説明する。まず、霧鉛直
断面観測ステップST11において、空中線を垂直走査
することによって霧の鉛直断面の構造を観測する。ここ
で、図5は距離[km]と仰角[度]による霧の典型的
な鉛直断面構造を表す霧レーダ画像を示した説明図であ
る。図示のように、仰角を変化させて空中線の垂直走査
を行い、霧の濃度に対応するレーダ反射因子をデシベル
で表したもので霧の鉛直断面構造を示せば、霧エコーの
特徴である等エコー頂高度の特性を明確に捉えることが
容易に実施できる。なお、空中線の水平走査では、仰角
が0度である場合を除いて、水平距離によって被観測点
の高度が変わるため、少ない仰角数で高度方向の分布を
詳細に捉えることが難しいが、垂直走査では1走査で高
度分布を明確に捉えることができる。垂直走査にはこの
ような利点がある。
【0047】このようにして霧鉛直断面観測ステップS
T11で得られた画像を元に、エコー頂高度を霧エコー
頂高度算出ステップST12にて算出する。以降、仰角
設定ステップST1からエコー頂高度検出ステップST
3については、図1に示した実施の形態1の場合と同様
である。
【0048】なお、上記垂直走査に関しては、必ずしも
全周を細かいステップで方位角を設定する必要はなく、
霧の高度方向の構造が分かるような代表的な方位角のみ
を選定すればよい。これは、方位角方向の分布、すなわ
ち霧の面的分布は、水平走査霧観測ステップST2の水
平走査によって得られるためである。このように垂直走
査の方位角を制限することにより、霧観測全体の観測周
期を抑制することが可能となる。
【0049】次に、エコー頂高度変化判定ステップST
4において、霧の状態が変化したかどうか、すなわちエ
コー頂高度検出ステップST3で検出されたエコー頂高
度が時間軸上で変化したかどうかを判定する。なお、こ
の判定についても図1に示した実施の形態1の場合と同
様である。ただし、霧の状態が変化したと判定された場
合には、実施の形態1とは異なり、霧鉛直断面観測ステ
ップST11による霧の鉛直断面構造の観測に戻る。一
方、エコー頂高度変化判定ステップST4において、霧
の状態が変化していないと判定された場合には、仰角設
定ステップST1に戻って水平走査の仰角を設定し直
す。なお、霧の状態が変化していないと判定された場
合、水平走査霧観測ステップST2に戻って、そのまま
複数仰角水平走査による霧観測を行うようにしてもよ
い。
【0050】以上のように、この実施の形態2によれ
ば、霧の状態変化を捉えるために垂直方向の空中線走査
を行っているため、霧の鉛直断面構造の画像を得ること
が可能となり、霧の状態変化をより正確に検出し、空中
線走査の最適化に反映させることができるという効果が
得られる。
【0051】実施の形態3.なお、上記各実施の形態で
は、観測範囲内において同種の霧が生じていると仮定し
た場合について述べたが、霧には様々な発生形態があ
り、場合によっては複数種類の霧が発生する場合があ
る。例えば、北海道太平洋岸では、海上で発生する移流
霧が内陸に侵入することが多いが、それに加えて、内陸
部で放射霧が発生することがある。このように複数形態
の霧が発生する場合には、観測範囲内の場所によって、
異なるエコー頂高度を仮定して空中線仰角を設定するの
が適当である。以下、そのようなこの発明の実施の形態
3について説明する。
【0052】図6はこの発明の実施の形態3による、方
位角によって異なる霧エコー頂高度を仮定している場合
の霧レーダ空中線走査方法を説明するための図である。
図において、101はレーダ位置、102a〜102h
は空中線ビーム方向を示す矢印、103a,103bは
観測対象となる発生形態の異なった霧のエコー頂、10
4a,104bはそれら各霧の分布範囲、105a,1
05bはそれぞれの霧104a,104bのエコー頂高
度を表している。
【0053】この図6においては、レーダ位置101よ
りも右側の領域では、エコー頂高度105aの霧104
aが存在しているため、そのエコー頂高度105aを仮
定して空中線水平走査の仰角の組合せを決定している。
また、レーダ位置101よりも左側の領域では、エコー
頂高度105bの霧104bが存在しているため、その
エコー頂高度105bを仮定して空中線水平走査の仰角
の組合せを決定している。このことによって、レーダ位
置101から見た方位により異なる種類の霧104a,
104bが存在している場合にも、的確な仰角設定を行
うことが可能となる。
【0054】実施の形態4.また、上記各実施の形態で
は、地形の影響については述べていなかったが、山間部
等では地形の影響を考慮することも考えられる。以下、
そのようなこの発明の実施の形態4について説明する。
【0055】図7は地表面の高さによって仮定する霧エ
コー頂高度を変化させる、この発明の実施の形態4によ
る霧レーダ空中線走査方法を説明するための図である。
図において、101はレーダ位置、102a〜102e
は空中線ビーム方向を示す矢印、111は霧が発生した
山地の地形等の地表面、112はこの地表面111の形
状によって変化した霧のエコー頂、104はそのような
霧の分布範囲、105は当該霧のエコー頂高度をそれぞ
れ表している。
【0056】次に動作について説明する。ここでは、山
間部に生じる霧として滑昇霧を例に挙げる。滑昇霧は平
野部などの高度の低い地域から山地などの高度の高い地
域に向かって風が流れる際に、地表面111に沿って上
昇した大気が冷やされて、水蒸気が凝結して水滴となる
ことにより生じる。図7に示す例では、風が左側から右
側に流れると、山地の地表面111に沿って大気が移動
し、この山地の地表面111に沿って霧104が発生す
る。この霧104は風によって山地の地表面111に沿
って移動するため、霧のエコー頂高度105を、一定の
海抜高度とするよりも、地表面111からの高度を一定
とする方が実際の霧分布に整合する。そこで、図7に示
すように、仰角設定のために仮定するエコー頂112
を、山地の地表面111の高度に応じて変化させ、その
エコー頂112を水平方向に一様に観測できるような仰
角を用いて空中線水平走査を行う。
【0057】以上のように、この実施の形態4によれ
ば、地表面の高度に応じて仮定する霧のエコー頂高度を
変化させているため、例えば山間部における滑昇霧の観
測において、限られた仰角数で霧分布を効率よく観測す
ることが可能になるという効果が得られる。
【0058】実施の形態5.また、上記各実施の形態で
は、一つの等高度面を水平方向に一様に観測する例を示
したが、場合によっては、時間分解能の許す範囲内で複
数の等高度面を一様に観測することも考えられる。以
下、そのようなこの発明の実施の形態5について説明す
る。
【0059】図8はそのような複数の等高度面を一様に
観測するように空中線仰角を設定する、この発明の実施
の形態5による霧レーダ空中線走査方法を説明するため
の図である。図において、101はレーダ位置、104
cは層構造を持った霧の上層の分布範囲、104dは当
該霧の下層の分布範囲、103は当該霧のエコー頂、1
13は当該霧の上層104cと下層104dの境界面、
105は当該霧のエコー頂高度、114は当該霧の上層
104cと下層104dの境界面高度、102a〜10
2hはエコー頂高度105あるいは境界面高度114を
水平方向に一様に観測するための空中線ビームの仰角を
表す矢印を表している。
【0060】また、図9は霧内部の速度分布が層構造と
なっている場合の、距離[km]と仰角[度]による霧
レーダドップラ速度画像の一例を示す説明図である。霧
は、ドップラ速度の異なる層状の内部構造を持つことが
ある。霧の鉛直断面構造をドップラ速度[m/s]で表
せば、図9に示す例では、高度300mを境界面113
として、上層104cにおいては霧レーダに近づく方向
のドップラ速度を持ち、下層104dではほぼ0のドッ
プラ速度を持っている。霧が図示のような内部構造を持
つ場合、エコー頂高度だけでなく、ドップラ速度の異な
る上層104cと下層104dの境界面113の高度1
14も霧の特徴量となる。このような霧の内部構造を表
す特徴量は、霧の種類を識別するのに有効な情報であ
る。霧の有無に加えて、その霧の種類に関する情報を用
いることにより、霧の移動予測や霧の存続時間予測など
の霧予報をより正確に行うことが可能となると期待され
る。
【0061】図8のように、矢印102e〜102hで
示される空中線ビームの仰角を用いて、霧の上層104
cと下層104dの境界面高度114を一様に観測すれ
ば、霧の内部情報を効率よく収集することが可能であ
る。なお、図8では、境界面高度114の観測には矢印
102e〜102hで示す空中線ビームを用い、エコー
頂高度105の観測には矢印102a〜102dで示す
空中線ビームを用いているが、矢印102e〜102h
で示す空中線ビームのうちの仰角の1つと、矢印102
a〜102dで示す空中線ビームのうちの仰角の1つが
ほぼ等しくなる場合、2つの仰角を1つの仰角で代表さ
せることによって、仰角数を減らすことが可能となる。
例えば、図8に示す例では、矢印102hで示される空
中線ビームと、矢印ビーム102cで示される空中線ビ
ームがほぼ同じ仰角であるため、これら2つの仰角を1
つにまとめることができる。
【0062】以上のように、この実施の形態5によれ
ば、複数の高度面を水平方向に一様に観測しているた
め、層状の内部構造を持つ霧の観測を行う場合に、効率
よく霧の特徴量を抽出することが可能となるという効果
が得られる。
【0063】実施の形態6.また、上記各実施の形態で
は、単一あるいは複数の等高度面を水平方向に一様に観
測する例を示したが、そのような場合、低仰角の観測が
困難になって、遠方で新たに発生した霧を捉えることが
できなくなる可能性がある。そのため、等高度面観測の
ための仰角に加えて、遠方の霧分布を監視するための固
定的な低仰角でも霧観測を行うことが考えられる。以
下、そのようなこの発明の実施の形態6について説明す
る。
【0064】図10はそのような遠方の霧を監視するた
めの固定的な低仰角を空中線仰角に加えた、この発明の
実施の形態6による霧レーダ空中線走査方法を説明する
ための図である。図において、101はレーダ位置、1
02a〜102dは等高度面観測のための空中線ビーム
方向を示す矢印、103は霧のエコー頂、104は霧の
分布範囲、105は霧のエコー頂高度であり、115は
遠方の霧を観測するための低仰角に固定された空中線ビ
ーム方向を示す矢印、116は観測時に霧分布が確認さ
れた最大水平観測距離をそれぞれ表している。
【0065】次に動作について説明する。図10に示す
例によれば、最大水平観測距離116まで分布している
エコー頂高度105の霧を、矢印102a〜102dで
表される4つの空中線ビームの仰角を用いて観測してい
る。このとき、最も低い仰角の空中線ビーム方向は矢印
102a示すものであるため、最大水平観測距離116
よりも遠方に存在し、エコー頂高度105よりも低い霧
を捉えることができない。その場合、矢印115で示す
ような低仰角の空中線ビームを用いた観測を加えれば、
遠方で新たに霧が発生した場合にも、その霧を検出する
ことが可能となる。
【0066】なお、この矢印115で示す遠方監視用の
空中線ビームの仰角は、できるだけ広範囲に霧を捉える
ことができるように設定することが望ましい。霧レーダ
が観測塔の上のように地上から高い位置に設置される場
合には、仰角を0度付近に固定的に設定しても、建物や
木立などのレーダ周囲に存在するものの影響を受けず
に、遠方まで見渡すことが可能となる。それに対して、
霧レーダが高所に設置されていないため、仰角0度に固
定しては遠距離まで見渡せない状況がある場合には、遠
方監視用の空中線ビームとして0度よりもある程度大き
な仰角を設定する方がよい。ただし、この矢印115で
示される空中線ビーム方向の仰角を大きなものに設定し
た場合、エコー頂高度105がある程度高い霧でないと
検出できないことになる。
【0067】ここで、遠方監視用の仰角は通常、上記の
ように1つに固定してよいと考えられるが、方位角によ
って見通し状況が異なる場合には、方位角に応じて遠方
監視用の仰角を変化させてもよく、また、観測周期の許
す範囲内で複数の遠方監視用仰角による観測を行うよう
にしてもよい。
【0068】このように、この実施の形態6によれば、
遠方の霧監視専用の低仰角による観測を加えたため、既
検出の霧観測を効率よく行うのと同時に、新たに遠方で
発生する霧をも検出することが可能になるという効果が
得られる。
【0069】実施の形態7.また、上記各実施の形態で
は、単一あるいは複数の等高度面を水平方向に一様に観
測するものについて説明したが、場合によっては、霧監
視点を1つ設定し、その霧監視点からの距離に応じて等
高度面上の被観測点の密度を変化させるようにしてもよ
い。
【0070】例えば、空港周囲の霧監視を行う場合、空
港位置を霧監視点とし、空港の近傍では細かい空間分解
能で霧監視を行い、空港から離れた距離の領域では粗い
空間分解能で霧監視を行うことが考えられる。特に、霧
レーダが空港内に設置されている場合は、当該霧レーダ
からの距離に応じて空間分解能を変化させればよいこと
になる。これにより、特に詳細な霧分布情報が必要な空
港近傍の空間分解能を確保しながら、仰角数を少なくす
ることができる。
【0071】図11はそのようなレーダ近傍では細かい
空間分解能で、レーダ遠方では粗い分解能で観測を行
う、この発明の実施の形態7による霧レーダ空中線走査
方法を説明するための図である。図において、101は
レーダ位置、103は霧のエコー頂、104は霧の分布
範囲、105は霧のエコー頂高度であり、117a〜1
17cは空中線ビーム方向を示す矢印である。
【0072】次に動作について説明する。ここでは、霧
レーダが配置されたレーダ位置101と霧監視点とが、
図11に示すように同一である場合を例に説明する。図
示のように、矢印117a〜117cで示される空中線
ビーム方向の仰角で観測を行った場合、レーダ位置10
1から離れるに従って、エコー頂103上で得られる○
印で示される被観測点の間隔が広がっている。この被観
測点の間隔は空中線ビームの仰角に応じて自由に選択す
ることが可能である。これにより、霧監視点すなわちレ
ーダ位置101の近傍では高い分解能による観測を行
い、遠方では分布の概要のみを見るための粗い空間分解
能での観測を行うことが可能になる。
【0073】このように、この実施の形態7によれば、
霧監視点近傍での空間分解能を保ったまま、仰角数を削
減することができるため、霧観測周期が短くなり、時間
分解能を向上させることができるという効果が得られ
る。
【0074】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、霧の
存在する高度範囲内に存在する等高度面を、一様に観測
するような仰角の組合せを選択して電波を放射するよう
に構成したので、少ない仰角数で霧の特徴を表す高度の
水平面を一様に効率よく観測することができ、限られた
観測周期内で霧分布の情報を観測範囲全域で得ることが
できる霧レーダ空中線走査方法が得られるという効果が
ある。
【0075】この発明によれば、霧のエコー頂高度を含
む等高度面を一様に観測するような仰角の組合せを選択
するように構成したので、霧の特徴を表す代表的な高度
としてエコー頂高度を含む水平面を一様に効率よく観測
でき、それにより、観測範囲全域において、霧エコーを
降雨エコーや地形エコーなどと容易に識別することが可
能になるという効果がある。
【0076】この発明によれば、被観測点を水平方向に
等間隔で得られるように空中線の仰角を設定するように
構成したので、距離方向に等間隔の観測点を得ることが
可能となり、霧のエコー頂高度を水平面内で一様に効率
よく観測することができるという効果がある。
【0077】この発明によれば、霧のエコー頂高度、最
大水平観測距離、空中線水平走査の仰角数を設定するこ
とにより、仰角を一意に決定するように構成したので、
必要な観測範囲をあらかじめ定められた時間内に走査す
ることになって、必要な観測距離と時間分解能を確保し
ながら、効率よく霧観測を行うことが可能となるという
効果がある。
【0078】この発明によれば、霧のエコー頂高度、最
大水平観測距離、被観測点の水平方向間隔を設定するこ
とにより、仰角を一意に決定するように構成したので、
必要な観測範囲と空間分解能を確保しながら霧観測を効
率化することができるようになり、霧の時間変化が遅
く、観測の時間分解能が低い場合に有効な霧レーダ空中
線走査方法が得られる効果がある。
【0079】この発明によれば、霧のエコー頂高度、空
中線水平走査の仰角数、被観測点の水平方向間隔を設定
することにより仰角を一意に決定するように構成したの
で、必要な時間分解能と空間分解能を確保しながら効率
よく霧観測を行うことが可能となり、レーダ近傍の霧分
布を詳細に得る必要があるときに有効な霧レーダ空中線
走査方法が得られる効果がある。
【0080】この発明によれば、霧の状態の変化に伴っ
て、仮定する霧のエコー頂高度を変更するように構成し
たので、霧のエコー頂高度の変化に応じて空中線水平走
査の仰角の設定が変更されるため、霧の状態が変化して
も最適な観測を保つことが可能になるという効果があ
る。
【0081】この発明によれば、複数選定された仰角を
用いた水平走査による霧の観測結果から検出されたエコ
ー頂高度が、時間軸上で変化していた場合には空中線の
仰角の選定をやり直して、その仰角の水平走査による霧
の観測を行い、変化していなかった場合にはそのままの
仰角で霧の観測を繰り返すように構成したので、空中線
水平走査で得られた観測データのみから霧の状態変化を
捉えているため、霧レーダの空中線駆動部が垂直走査に
対応していない場合にも適用可能な霧観測方法が得られ
る効果がある。
【0082】この発明によれば、垂直走査による霧の鉛
直断面構造より算出したエコー頂高度に応じて複数の仰
角を選定し、選定された仰角を用いた水平走査による霧
の観測結果から検出されたエコー頂高度が、時間軸上で
変化していた場合には鉛直断面構造の観測に戻り、変化
していなかった場合には仰角を選定し直してから、もし
くはそのままの仰角で霧の観測を繰り返すように構成し
たので、霧の状態変化を捉えるために垂直方向の空中線
走査が行われるため、霧の鉛直断面構造を容易に得るこ
とが可能となり、霧の状態変化をより正確に検出し、空
中線走査の最適化に反映させることができる霧観測方法
が得られる効果がある。
【0083】この発明によれば、観測領域を複数の小領
域に分割し、各小領域毎にエコー頂高度を仮定するよう
に構成したので、霧レーダの周囲に複数種類の霧が発生
する場合にも的確な霧観測が可能になるという効果があ
る。
【0084】この発明によれば、観測領域の分割を方位
角のみによって行うように構成したので、単一のエコー
頂高度を仮定する領域を方位角のみによって決定してい
るため、1つの方位角の仰角数が一定となり、観測周期
の増加がなくなって、時間分解能の劣化がなくなるとい
う効果がある。
【0085】この発明によれば、地表面の高度に応じて
仮定する霧エコー頂高度を変化させるように構成したの
で、例えば山間部の滑昇霧の観測などに的確に対応する
ことが可能になるという効果がある。
【0086】この発明によれば、地表面から測定したエ
コー頂高度を一定とすることによって、地表面の高度に
応じたエコー頂高度を仮定するように構成したので、簡
易な方法により地形の影響を表現することが可能とな
り、空中線を制御するためのプログラムを簡易化できる
という効果がある。
【0087】この発明によれば、霧のエコー頂高度を含
む水平面および霧内部の水平面を一様に観測する空中線
の仰角の組合せを選択するように構成したので、複数の
高度面を水平方向に一様に観測することができるため、
層状の内部構造を持った霧の観測を行う場合に、限られ
た仰角数で効率よく霧の特徴量を抽出することが可能に
なるという効果がある。
【0088】この発明によれば、空中線の仰角の組合せ
として、遠方の霧分布を観測するための低仰角を加える
ように構成したので、既検出の霧観測を効率よく行うこ
とができると同時に、新たに遠方で発生する霧をも検出
することが可能になるという効果がある。
【0089】この発明によれば、等高度面の観測が、近
距離で細かく、遠距離で粗くなるように、空中線の仰角
の組合せを選択するように構成したので、霧監視点近傍
での空間分解能を保ったまま、仰角数を削減することが
可能となるため、霧観測周期が短くなり、時間分解能を
向上させることができるなどの効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1による霧観測の動作
手順を示すフローチャートである。
【図2】 実施の形態1における空中線水平走査の仰角
設定の原理を示す説明図である。
【図3】 水平走査観測においてエコー頂高度の算出原
理を示す説明図である。
【図4】 この発明の実施の形態2による霧観測の動作
手順を示すフローチャートである。
【図5】 霧の典型的な鉛直断面構造を表す霧レーダ画
像を示す説明図である。
【図6】 この発明の実施の形態3による空中線水平走
査の仰角設定の原理を示す説明図である。
【図7】 この発明の実施の形態4による空中線水平走
査の仰角設定の原理を示す説明図である。
【図8】 この発明の実施の形態5による空中線水平走
査の仰角設定の原理を示す説明図である。
【図9】 速度分布が層状構造となっている霧の霧レー
ダドップラ速度画像を示す説明図である。
【図10】 この発明の実施の形態6による空中線水平
走査の仰角設定の原理を示す説明図である。
【図11】 この発明の実施の形態7による空中線水平
走査の仰角設定の原理を示す説明図である。
【図12】 従来の降雨レーダにおけるCAPPI観測
の仰角設定例を示す説明図である。
【符号の説明】
101 レーダ位置、102,102a〜102h 空
中線ビーム方向を示す矢印、103,103a,103
b エコー頂、104,104a〜104d霧の分布範
囲、105,105a,105b エコー頂高度、11
1 地表面、112 エコー頂、113 境界面、11
4 境界面高度、115 低仰角の空中線ビーム方向を
示す矢印、116 最大水平観測距離、117a〜11
7c空中線ビーム方向を示す矢印、ST1 仰角設定ス
テップ、ST2 水平走査霧観測ステップ、ST3 エ
コー頂高度検出ステップ、ST4 エコー頂高度変化判
定ステップ、ST11 霧鉛直断面観測ステップ、ST
12 霧エコー頂高度算出ステップ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 久理 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 Fターム(参考) 5J070 AB24 AC03 AE07 AE13 AF01 AG07 AK13 AK22 BA01

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 空間に電波を放射し、大気中の霧粒で反
    射された電波を受信することによって霧分布を観測する
    霧レーダにおける霧レーダ空中線走査方法において、 前記霧の存在する高度範囲内にある等高度面を一様に観
    測する空中線の仰角の組合せを選択することを特徴とす
    る霧レーダ空中線走査方法。
  2. 【請求項2】 霧の存在する高度範囲内にある等高度面
    を一様に観測する空中線の仰角の組合せを選択する際
    に、 前記霧のエコー頂高度を含んだ等高度面を一様に観測す
    る空中線の仰角の組合せを選択するものであることを特
    徴とする請求項1記載の霧レーダ空中線走査方法。
  3. 【請求項3】 霧のエコー頂高度を含む等高度面におい
    て、被観測点を水平方向に等間隔で得るように空中線の
    仰角を設定することを特徴とする請求項2記載の霧レー
    ダ空中線走査方法。
  4. 【請求項4】 霧のエコー頂高度と、霧レーダの最大水
    平観測距離と、空中線水平走査の仰角数とを設定するこ
    とにより、前記霧レーダの空中線の仰角を一意に決定す
    ることを特徴とする請求項3記載の霧レーダ空中線走査
    方法。
  5. 【請求項5】 霧のエコー頂高度と、霧レーダの最大水
    平観測距離と、エコー頂高度における被観測点の水平方
    向間隔とを設定することにより、前記霧レーダの空中線
    の仰角を一意に決定することを特徴とする請求項3記載
    の霧レーダ空中線走査方法。
  6. 【請求項6】 霧のエコー頂高度と、霧レーダの空中線
    水平走査の仰角数と、エコー頂高度における被観測点の
    水平方向間隔とを設定することにより、前記霧レーダの
    空中線の仰角を一意に決定することを特徴とする請求項
    3記載の霧レーダ空中線走査方法。
  7. 【請求項7】 霧の状態の変化に伴って、仮定する霧の
    エコー頂高度を変更し、空中線水平走査の仰角の組合せ
    を変更することを特徴とする請求項2記載の霧レーダ空
    中線走査方法。
  8. 【請求項8】 空間に電波を放射し、大気中の霧粒で反
    射された電波を受信することによって霧分布を観測する
    霧レーダによる霧観測方法において、 霧のエコー頂高度に応じて、前記霧レーダの空中線の水
    平走査の仰角を複数選定する仰角設定ステップと、 前記仰角設定ステップで選定された複数の仰角を用いた
    水平走査によって、霧の観測を行う水平走査霧観測ステ
    ップと、 前記水平走査観測ステップによる観測結果から、前記霧
    のエコー頂高度を検出するエコー頂高度検出ステップ
    と、 前記エコー頂高度検出ステップで検出された霧のエコー
    頂高度が時間軸上で変化したかどうかを判定するエコー
    頂高度変化判定ステップとを有し、 前記エコー頂高度変化判定ステップにおいて霧のエコー
    頂高度が変化したと判定された場合には前記仰角設定ス
    テップに戻り、前記霧のエコー頂高度が変化していない
    と判定された場合には前記水平走査霧観測ステップに戻
    ることを特徴とする霧観測方法。
  9. 【請求項9】 空間に電波を放射し、大気中の霧粒で反
    射された電波を受信することによって霧分布を観測する
    霧レーダによる霧観測方法において、 前記霧レーダの空中線を垂直に走査することにより霧の
    鉛直断面構造を観測する霧鉛直断面観測ステップと、 前記霧鉛直断面観測ステップで得られた霧鉛直断面画像
    から霧のエコー頂高度を算出する霧エコー頂高度算出ス
    テップと、 前記霧エコー頂高度算出ステップで算出された霧のエコ
    ー頂高度に応じて、前記霧レーダの空中線の水平走査の
    仰角を複数選定する仰角設定ステップと、 前記仰角設定ステップで選定された複数の仰角を用いた
    水平走査によって、霧の観測を行う水平走査霧観測ステ
    ップと、 前記水平走査観測ステップによる観測結果から霧のエコ
    ー頂高度を検出するエコー頂高度検出ステップと、 前記エコー頂高度検出ステップで検出された霧のエコー
    頂高度が時間軸上で変化したかどうかを判定するエコー
    頂高度変化判定ステップとを有し、 前記エコー頂高度変化判定ステップにおいて霧のエコー
    頂高度が変化したと判定された場合には前記霧鉛直断面
    観測ステップに戻り、前記霧のエコー頂高度が変化しな
    かったと判定された場合には前記仰角設定ステップまた
    は水平走査霧観測ステップに戻ることを特徴とする霧観
    測方法。
  10. 【請求項10】 観測領域を複数の小領域に分割し、 前記各小領域毎にエコー頂高度を仮定して空中線の水平
    走査の仰角を設定することを特徴とする請求項2記載の
    霧レーダ空中線走査方法。
  11. 【請求項11】 観測領域の分割を、方位角のみで行う
    ことを特徴とする請求項10記載の霧レーダ空中線走査
    方法。
  12. 【請求項12】 空中線の仰角を設定するために仮定す
    る霧のエコー頂高度を、地表面の高度に応じて変化させ
    ることを特徴とする請求項2記載の霧レーダ空中線走査
    方法。
  13. 【請求項13】 空中線の仰角を設定するために仮定す
    る霧のエコー頂高度を地表面の高度に応じて変化させる
    際、地表面から測定した前記エコー頂高度が一定となる
    ようにしたことを特徴とする請求項12記載の霧レーダ
    空中線走査方法。
  14. 【請求項14】 空間に電波を放射し、大気中の霧粒で
    反射された電波を受信することによって霧分布を観測す
    る霧レーダにおける霧レーダ空中線走査方法において、 前記霧のエコー頂高度を含む水平面、および霧の内部の
    単一あるいは複数の水平面をそれぞれ一様に観測する空
    中線の仰角の組合せを選択することを特徴とする霧レー
    ダ空中線走査方法。
  15. 【請求項15】 霧の存在する高度範囲内にある等高度
    面を一様に観測する空中線の仰角の組合せとして、 前記霧のエコー頂高度を含んだ等高度面を一様に観測す
    る空中線の仰角の組合せに加えて、 遠方の前記霧の分布を観測するための低仰角も含めたこ
    とを特徴とする請求項2記載の霧レーダ空中線走査方
    法。
  16. 【請求項16】 空間に電波を放射し、大気中の霧粒で
    反射された電波を受信することによって霧分布を観測す
    る霧レーダにおける霧レーダ空中線走査方法において、 前記霧の存在する高度範囲内にある等高度面を、近距離
    で細かく、遠距離で粗く観測するように仰角の組合せを
    選択することを特徴とする霧レーダ空中線走査方法。
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