JP2001201432A - モニター材、モニター材を用いた疲労損傷度測定方法およびモニター材付き機械部品 - Google Patents

モニター材、モニター材を用いた疲労損傷度測定方法およびモニター材付き機械部品

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JP2001201432A
JP2001201432A JP2000008748A JP2000008748A JP2001201432A JP 2001201432 A JP2001201432 A JP 2001201432A JP 2000008748 A JP2000008748 A JP 2000008748A JP 2000008748 A JP2000008748 A JP 2000008748A JP 2001201432 A JP2001201432 A JP 2001201432A
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monitor
fatigue damage
monitor material
degree
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JP2000008748A
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Hiroshi Kako
浩 家口
Hiroyuki Mitani
宏幸 三谷
Kiyoyuki Nagano
清幸 永野
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Kobe Steel Ltd
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Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 機械部品の疲労損傷度について信頼性の高い
測定結果を得ることができるようにする。 【解決手段】 金属材料で調製したモニター材2を機械
部品1に一体に付着して機械部品1と同一の疲労損傷を
与えるようにし、この疲労損傷したモニター材2を取り
外してこのモニター材2に所定の試験を施すことによっ
て機械部品1の疲労損傷度を測定する金属材料の疲労損
傷度測定方法において、上記モニター材2としてアルミ
ニウム、アルミニウム合金または軟鋼からなる母材から
切り出したものを用いるとともに、上記母材としてモニ
ター材2の所定の特性が所定の範囲内に納まる均質なも
のを採用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、機械部品の疲労損
傷度を測定するために機械部品に取り付けられるモニタ
ー材、モニター材を用いた疲労損傷度測定方法およびモ
ニター材付き機械部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】機械部品は、本来的に塑性変形が起こら
ないように設計段階でその強度が設定されて製造される
が、機械を運転すると各所の構成部品に圧縮力や引っ張
り力が絶え間なく負荷されることから機械部品の内部に
繰返し応力が発生する。かかる繰返し応力は、短期間の
機械の使用では問題が生じることはないが、長期間に亘
って繰返し応力が発生すると、機械部品を構成している
金属材料が劣化する、いわゆる疲労損傷が起こり、つい
には破断して使用不能になる。
【0003】かかる破断は、発生する応力の繰返し数が
106〜107回に達したときに生じるのが一般的である
が、繰返し応力は、その強さや周期が不特定であった
り、複合的に生じる場合がある等、機械の使用状況に応
じたものであるため、疲労損傷の度合い(疲労損傷度)
を的確に把握することは困難である。
【0004】そこで、従来、機械部品からサンプルを採
取して各種の手法でそのサンプルを検査する破壊試験が
採用されることが多いが、破壊試験の場合は、サンプル
を採取した部分を元に修復しなければならず、また、場
合によっては修復が不可能なこともあるため、全ての機
械部品を対象として適用することができるとは限らな
い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】かかる不都合を解消す
るものとして、機械部品の適所に金属製のモニター材を
一体に貼付してこのモニター材に機械部品と同様の繰返
し応力が生じるようにし、所定の期間が経過した後にこ
のモニター材を剥がし取ってその疲労損傷度を測定する
ようにしたモニター法が採用されることがある。かかる
モニター法によれば、機械部品に破壊検査を施さなくて
もモニター材を調べることで、同じ繰返し応力を得てい
る機械部品の疲労損傷度を推定することが可能であり、
機械部品を傷付けることなく精度のよい結果が得られる
方法であるとして各所で多用されている。
【0006】ところで、モニター材は、大きなモニター
用の母材から切り取られて形成されるが、母材が材質的
に均一でない場合には、切り取られたモニター材の材質
にばらつきが生じる。従って、ばらつきの大きなモニタ
ー材を用いて機械部品の疲労損傷度を評価した場合に
は、使用したモニター材によって結論が異なってくるこ
とになり、評価結果は信頼性が乏しいものになる。
【0007】しかしながら、従来、モニター用の母材に
ついてはこのようなことには注目されずに使用されてい
たことが実状であり、従って、モニター法で得られた結
果は、信頼性の点で問題点を有していた。
【0008】本発明は、上記のような問題点を解消する
ためになされたものであり、機械部品の疲労損傷度につ
いて信頼性の高い測定結果を得ることができるモニター
材、モニター材を用いた疲労損傷度測定方法およびモニ
ター材付き機械部品を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
同一の疲労損傷が与えられるように機械部品に一体的に
取り付けられ、機械部品から回収して機械部品の疲労損
傷度の測定用として供される金属製のモニター材であっ
て、疲労損傷度の指標として採用される特性が所定の範
囲内に納まる母材から切り出したものであることを特徴
とするものである。
【0010】この発明によれば、モニター材を切り出す
母材は、モニター材の所定の特性が所定の範囲内に納ま
るもの、すなわち均質なものが採用されるため、かかる
母集団としての母材から切り出された複数のモニター材
は、それぞれ非常に高い確率で均等なものであり、従っ
て、同じ母材からモニター材を切り出した場合、その特
性に許容範囲を越えたばらつきが存在することはなく、
モニター材を用いた機械部品の疲労損傷度の測定結果
は、モニター材の特性のばらつきが大きいことにより精
度が悪いという従来の不都合が解消され、高精度にな
る。
【0011】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明において、上記母材は、アルミニウム、アルミニウム
合金または軟鋼製のものであることを特徴とするもので
ある。
【0012】この発明によれば、アルミニウム、アルミ
ニウム合金または軟鋼は、繰返し応力による疲労損傷に
おいて結晶組織内に等方性の転位セルが生じ易く、かか
る転位セルの形成状態は疲労損傷度を知るための非常に
適切な指標になるため、モニター材としてアルミニウム
等を採用することにより、他の金属材料をモニター材と
して用いる場合より機械部品の疲労損傷度がより的確に
かつ高精度で推定される。
【0013】請求項3記載の発明は、請求項1または2
記載の発明において、上記母材の特性は、X線回折にお
ける回折X線強度のピークの半価幅であることを特徴と
するものである。
【0014】この発明におけるX線回折の半価幅とは、
X線をモニター材に照射したときの回折X線の強度曲線
におけるピーク強度の1/2の強度に対応した回折角の
角度幅である。これら結晶粒径および半価幅は、疲労損
傷度を評価する場合の好適な指標となるものであり、か
かる指標に基づく母材の適否判定を行う請求項3の発明
は理にかなっている。
【0015】請求項4記載の発明は、請求項3記載の発
明において、上記母材は、略均等に離間した複数の被測
定位置における半価幅の標準偏差を平均半価幅で除した
値が0.25以下のものであることを特徴とするもので
ある。
【0016】この発明によれば、母材の半価幅は、十分
に均一であるとみなすことができ、かかる母材から切り
取られたモニター材は、どの部分から切り取られたもの
であっても、機械部品の疲労損傷度を適正にモニターす
ることが可能になる。
【0017】請求項5記載の発明は、請求項1または2
記載の発明において、上記母材の特性は、結晶粒径であ
り、上記母材は、略均等に離間した複数の被測定位置に
おける結晶粒径の平均値が5〜500μmのものであ
り、かつ、上記結晶粒径の標準偏差を平均結晶粒径で除
した値が0.50以下のものであることを特徴とするも
のである。
【0018】この発明によれば、結晶粒径の平均値が5
〜500μmのものであり、かつ、上記結晶粒径の標準
偏差を平均結晶粒径で除した値が0.50以下の母材か
ら切り取られたモニター材を機械部品に付着することに
より機械部品の疲労損傷度を適正にモニターすることが
可能になる。
【0019】請求項6記載の発明は、請求項5記載の発
明において、上記母材は、厚さ寸法が平均結晶粒径の5
倍以上のものであることを特徴とするものである。
【0020】この発明によれば、母材を所定の大きさに
切断するだけで、変質していない状態のモニター材が容
易に得られる。また、モニター材の厚さ寸法が、結晶粒
径に対して5倍以上であると、疲労損傷により金属結晶
中の転位セル組織が生じ易く、機械部品の疲労損傷度を
測定するための好適なモニター材が得られる。
【0021】請求項7記載の発明は、請求項1乃至6の
いずれかに記載のモニター材を用いて機械部品の疲労損
傷度を測定する疲労損傷度の測定方法であって、モニタ
ー材を同一の疲労損傷が与えられるように機械部品に一
体的に取り付け、所定期間使用後に機械部品から回収
し、このモニター材に所定の試験を行い、この試験結果
に基づいて機械部品の疲労損傷度を評価することを特徴
とするモニター材を用いた疲労損傷度の測定方法であ
る。
【0022】この発明によれば、請求項1記載の発明と
同じ作用効果が得られ、機械部品の疲労損傷度に対する
信頼性の高い測定結果を得ることができる。
【0023】請求項8記載の発明は、請求項7記載の発
明において、上記所定の試験は、モニター材の疲労損傷
による金属組織中の転位によって形成したセルのセル壁
厚さを測定することによって行われるものであることを
特徴とする疲労損傷度の測定方法である。
【0024】この発明によれば、金属の疲労損傷度とセ
ル壁厚さとの間には、相関関係が存在するため、モニタ
ー材の疲労損傷度が極めて高精度で測定され、これによ
ってモニター材の付着された機械部品の損傷度を高精度
で推定することが可能になる。
【0025】請求項9記載の発明は、上記請求項1乃至
6のいずれかに記載のモニター材の取り付けられた部品
本体を有する機械部品であって、部品本体と、この部品
本体と同一の疲労損傷が与えられるように部品本体に一
体に付着された金属製のモニター材とからなることを特
徴とするモニター材付き機械部品である。
【0026】この発明によれば、機械部品は、その疲労
損傷度が適正に評価されるため、この評価結果に基づい
た補修計画や更新計画が適正に立てられる。
【0027】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に係るモニター材
が付着された機械部品の一実施形態を示す説明図であ
る。なお、本発明においては、機械とは、外力に抵抗し
得る物体の結合からなり、一定の相対運動をなし、外部
から与えられたエネルギーを有用な仕事に変換する、い
わゆる通常の意味での機械であることはもちろんのこ
と、ビルディングや倉庫等の建造物、反応槽や貯槽さら
には加熱炉や高炉等の化学装置等を含む概念で使用して
いる。また、部品とは、上記のような機械の構成要素に
なるものであり、駆動軸や従動軸さらには支持軸等の各
種の軸類、内部あるいは外部の構造体を支持するフレー
ム類、柱や支柱類、外壁や仕切壁等の壁類等を含む概念
で使用している。従って、機械部品とは、上記のような
機械に用いられる構成要素ということになる。
【0028】モニター材2は、図1に示すように、機械
部品1の適所に溶接止めその他で一体に付着(貼着ある
いは取り付け)されるものであり、通常、短冊形に形成
されている。そして、機械部品1に加わる繰返しの荷重
(図1に矢印で表示)が機械部品1と一体のモニター材
2に伝達され、これによる機械部品1内に生じるのと同
様の繰返し応力の発生でモニター材2は、疲労損傷が機
械部品1と同様の傾向で進行するようになっている。
【0029】従って、機械部品1の稼働が所定期間継続
された時点で、モニター材2を機械部品1から剥がし取
り、このモニター材2を所定の疲労損傷度の測定方法で
測定することにより、この測定結果で破壊試験を行うこ
となく機械部品1の疲労損傷度を推し測ることが可能で
ある。かかる機械部品1の疲労損傷度の測定方法が、い
わゆるモニター法である。
【0030】モニター材2の材料としては、アルミニウ
ム、アルミニウム合金および軟鋼の内のいずれかが採用
されるのが好ましい。このような材料が採用されるの
は、疲労損傷の進行に応じた結晶の転位で金属組織内に
セル壁に囲まれた転位セルが生じ易く、かかる転位セル
は、疲労損傷度に対して高精度の指標になり得るからで
ある。
【0031】図2は、モニター材の母材を示す斜視図で
ある。母材3とは、モニター材2の元になる材料であ
り、この母材3を、図2に二点鎖線で示すように、所定
の平面形状(図2に示す例では所定の平面寸法の矩形
状)に切り取ることによってモニター材2が得られる。
そして、本発明においては、疲労損傷度の面から見た所
定の特性(後に詳述する結晶粒径および半価幅)が均一
なものが母材3として採用される。
【0032】そして、本発明では、母材として、略均等
に離間(分散)した5個所以上の位置における特性が測
定される。これらの特性値が、過去の知見に基づいて統
計的に許容される予め設定されたばらつきの範囲内に納
まっているか否かが判断されることによってその母材3
の採否が決定される。5個所以上の位置が設定されるの
は、少なくとも5個所から測定値が得られると、測定値
の統計的な処理が意味のあるものになるとともに、所定
の確率で母集団を推定することができ、これによって母
材3が均質であるか否かを判定し得るからである。
【0033】図3は、特性測定位置の設定の一例を示す
平面図である。この例は、横長の母材3に10個所の特
性測定位置を設定する場合のものである。この図に示す
ように、母材3の表面には、縦方向で均等に2分されて
横方向に延びる2分線が引かれるとともに、横方向に5
等分されて縦方向に延びる5本の区分線(いずれも二点
鎖線で表示)が引かれ、これら2分線および5本の区分
線で10等分されることによって同一面積の第1区画4
0、第2区画41、…、第i区画4i、…、第10区画
49からなる合計10の区画4が形成される。そして、
各区画4の中央位置に第1測定位置4a(点描で表示)
が設定されるとともに、各区画4の縁部(母材3の長尺
側の縁部)に第2測定位置4b(点描で表示)が設定さ
れ、これらの測定位置4a,4bにおける特性が測定さ
れることになる。
【0034】そして、本実施形態においては、特性とし
て母材3の結晶粒径およびX線回折の半価幅が採用され
る。以下、結晶粒径および半価幅について説明する。
【0035】結晶粒径は、母材3の金属組織内に形成し
た結晶の粒を球状と見立ててその直径寸法を示すもので
あり、通常、JISH0501によって測定される。J
ISH0501には、比較法、切断法および球積法が示
されているが、本実施形態では切断法を採用している。
この切断法は、母材3を切断してその切断面を電解また
は機械的方法によって研磨したあと化学的腐食によって
組織を露にした状態で、倍率を100倍に設定した光学
顕微鏡によって結晶を目視しながら各結晶の径寸法を測
定していき、最後に算術平均で結晶粒径を求めるもので
ある。径寸法は、顕微鏡の映像上で既知の長さの線分に
よって完全に切られる結晶粒の数を数え、これから逆算
して求める。
【0036】そして、図3に示す母材3の長手方向の縁
部が各第2測定位置4bに掛かるように直線Lに沿って
切断され、切断面の第2測定位置4bの部分が被検に供
される。本実施形態においては、まず、上記10個所の
第2測定位置4bの結晶粒径を測定することによって得
られた値が下記の式によって平均されて平均値が求めら
れる。 dave=(Σ(di))/n) (i=1〜n) (但し、dave:結晶粒径の平均値、di:第2測定位
置4bにおける結晶粒径の測定値、n:データ点数(本
実施形態ではn=10))。
【0037】ついで、上記10点の結晶粒径diについ
て以下の式により標準偏差(σd)が求められる。 σd=(Σ(di−dave2)/n この標準偏差σdがさらに上記平均値daveで除されて
単位粒径当りの標準偏差(σdu)が計算される。 σdu=σd/dave
【0038】そして、本実施形態においては、平均結晶
粒径daveの値が、5〜500μmの範囲内に納まって
いることが、母材3として採用される第1の条件とされ
る。このような範囲が設定されるのは、500μmを越
えると金属結晶のセル組織に異方性が現出し、多滑り系
による転位セルが形成され難くなることにより後述する
転位セルの壁厚さの測定が困難になるとともに、サンプ
リング場所によって粒径のばらつきが大きくなるが、か
かる不都合を回避するためである。また、5μm未満の
場合は、結晶粒径がセル組織と同等の大きさになり、こ
れによって転位セルの発達が抑制されるばかりか、転位
セルとの区別がつき難くなり、これによってセル壁厚さ
の測定が困難になるが、かかる不都合を回避するために
5μm以上の結晶粒径のものが採用される。
【0039】なお、本発明は、平均結晶粒径daveの値
が5〜500μmの範囲内でも特に10〜100μmが
より好適である。
【0040】ついで、母材3は、その厚さ寸法tが平均
結晶粒径daveの5倍以上、好ましくは7倍以上に設定
される。これが母材3の第2の条件である。母材3の厚
さ寸法tが平均結晶粒径daveの5倍以上に設定される
のは、5倍未満であると金属組織内にセル組織が生じ難
く、セル組織が形成されても異方性のものになる場合が
多く、等方性のセル組織が好適な疲労損傷のモニター用
としては不向きだからである。
【0041】実際には母材3の厚み寸法は、対象となる
機械部品1の種類によって異なるが、概ね0.5mm〜
50mm(好ましくは0.8mm〜10mm)の範囲内
のものが採用される。因みに、0.5mm未満である
と、薄すぎることによってハンドリングが困難になり、
ハンドリング中に変形してしまうような不都合が生じる
一方、50mmを越えると厚すぎることによってそのま
ま使用すると機械部品1の繰返し応力に確実に追随し得
なくなる。
【0042】上記の実施形態においては、モニター材2
の厚み寸法と、母材3の厚み寸法とが同一である場合に
ついて説明したが、本発明は、モニター材2および母材
3の厚み寸法が同一であることに限定されるものではな
く、母材3としてその厚み寸法がモニター材2の厚み寸
法に比べて格段に厚い塊状のものを採用してもよい。
【0043】但し、かかる塊状の母材3を採用する場合
には、モニター材2を切り取るときに幅方向に向かう切
断だけではなく、所定の厚みになるようにスライスしな
ければならない。
【0044】つぎに上記半価幅に関連してX線回折法に
ついて図4を基に説明する。図4は、X線回折法を説明
するための図であり、(イ)は、結晶にX線が照射され
た状態を示す説明図、(ロ)は、回折X線の強度を示す
グラフである。X線回折法とは、X線源51からのX線
を、入射角θで結晶6の結晶面に照射することにより得
られる反射X線(回折X線)の強度を検出器52で検出
し、この検出結果を解析することにより結晶構造を解明
するために本来用いられるものである。
【0045】そして、種々入射角θを変えてX線源51
から照射されたX線は、結晶表面61および表面から2
番目の結晶面62でそれぞれ反射して回折X線なり、互
いに干渉し合いながら所定のX線強度になって検出器5
2で検出され、この検出結果に基づいて入射角θとの関
連で結晶構造が解明されるのであるが、本発明において
は、かかる回折X線の強度と回折角2θ(入射角θ×2
の角度)との間の所定の関係から定義される半価幅を、
母材3の適否を判定するための指標として用いるのであ
る。因みに、半価幅を金属材料の疲労損傷度を評価する
ための指標として用いることについては、特開昭56−
87849号公報に開示されている。
【0046】以下この半価幅について図4の(ロ)のグ
ラフに基いて説明する。このグラフにおいては、縦軸に
回折X線強度Hの値を目盛り、横軸に回折角2θの値を
目盛っている。そして、回折角2θが「0°」から順次
大きくなるようにX線源51を、図4の(イ)に示すX
線の結晶表面61上の照射点回りに時計方向に回動させ
ていくとともに、検出器52を同照射点回り反時計方向
に回動させることにより、回折角2θに対応した回折X
線強度を検出器52で検出し、回折角2θの値に対応し
た回折X線強度Hの値をプロットしたのが図4の(ロ)
のグラフである。
【0047】このようなグラフにおいて、回折X線強度
Hのピーク値Hpの1/2の値をHmとしたとき、この
1/2値Hmと強度曲線との交点PおよびQに対応する
回折角2θの値2θpと2θqとの間の角度幅が半価幅
Bである(すなわち、B=2θq−2θp)。
【0048】そして、本発明においては、このような半
価幅Bが母材3の評価に適用されるのである。このよう
な半価幅Bが母材3の評価に用いられるのは、半価幅B
と金属材料の疲労損傷度との間には高度な相関関係が存
在し、半価幅が疲労損傷度を知る上で重要な指標になり
得るからである。すなわち、半価幅Bの値が均一な金属
材料は、モニター材2を切り出す母材3として適用し得
るのである。
【0049】かかる半価幅Bは、図3に示す母材3の各
区画4における第1測定位置4aにX線源51からのX
線を照射することによって測定される。本実施形態にお
いては、第1区画40、第2区画41、…、第i区画4
i、…、第10区画49の各第1測定位置4aに順次X
線が照射されてその回折X線強度が検出器52によって
検出されるとともに、検出器52に接続された図略のマ
イクロコンピュータによって半価幅Bi(i=1〜1
0)が演算される。なお、1個所の第1測定位置4aに
おいて、半価幅Bの測定は、1点であってもよいし、複
数点の測定結果の平均値であってもよい。
【0050】ついで、各半価幅Biの平均値Baveおよ
び標準偏差σbが以下の式によって演算される。 Bave=(ΣBi)/n、(但しi=1〜n、n=1
0) σb=(Σ(Bi−Bave))/n、(但しi=1〜
n、n=10) 引き続き、半価幅の標準偏差σbを、同平均値Bave
除すことにより単位半価幅当りの標準偏差σbuが演算
される。σbu=σb/Baveそして、このようにして
得られた単位半価幅当りの標準偏差σbuが0.25以
下のものが、モニター材2を切り出すための母材3とし
て合格品とされる。すなわち、単位半価幅当りの標準偏
差σbuが0.25以下であることが、母材3の第3の
条件である。
【0051】以上をまとめると、本発明の母材3は、均
等に分散された複数個所(少なくとも5個所またはそれ
以上)の被検位置からサンプリングすることを前提と
し、母材3の平均結晶粒径daveの値が、5〜500μ
mの範囲内に納まっていることが第1の条件とされ、母
材3の厚さ寸法tが平均結晶粒径daveの5倍以上であ
ることが第2の条件とされ、母材3の半価幅Bについて
単位半価幅当りの標準偏差σbuが0.25以下である
ことが第3の条件される。
【0052】そして、このような3つの条件の全てにつ
いて満足するものがモニター材2を切り出すための母材
3として採用されるのである。このような母材3は、通
常母材3の原料に均一化処理を施すことによって得るこ
とができる。均一化処理としては、所定の高温環境内に
所定時間原料を置いた後に放冷する熱処理(いわゆる焼
きなまし)や、付与方法および付与量を一定にした歪み
付与、あるいはそれらの組み合わせを挙げることができ
る。
【0053】つぎに、このような母材3から切り出され
たモニター材2を用いて行う転位組織の転位セル壁厚さ
法について説明する。この方法は、機械部品1に付着さ
れたモニター材2を剥がして切断し、この切断面を高倍
率(1万倍以上)の顕微鏡で観察して行うものである。
【0054】まず転位組織とは、金属結晶に転位が導入
されたことにより形成される結晶組織のことである。転
位は、結晶格子の構造上の乱れである格子欠陥の一種で
あり、本発明が対象としている機械部品1にはその稼働
によって生じる各種の繰り返しの内部応力が発生し、機
械部品1を構成している金属結晶に格子欠陥が起こり、
転位組織が形成されると考えられる。この転位組織を観
察することにより、疲労損傷の度合いを推し測ることが
可能であるが、本発明においては、単に定性的に転位組
織を観察するのではなく、後に詳述するように、転位組
織の観察から疲労損傷の度合い(疲労損傷度)を定量的
にとらえるための指標(パラメータ)の値を得るように
している。
【0055】ついで疲労損傷度とは、対象物(機械部品
1)に対して所定の周期で繰り返し加えられる負荷によ
り対象物内部に生じる応力に起因して対象物が破断して
しまう繰返し数を「Nf」(破断繰返し数)とした場
合、この「Nf」に対する実際に行われた繰返し数(実
繰返し数)「N」の割合「N/Nf(実繰返し比)」の
ことである。従って、疲労損傷度が1のとき(すなわち
実繰返し数Nが破断繰返し数Nfと等しくなったとき)
は、破断が起こって対象物の寿命は「0」ということに
なる。
【0056】従って、モニター材2の破断繰返し数Nf
を試験により予め把握しておくことにより、モニター材
2に加えられた負荷の実繰返し数Nが判ると、「N/N
f」を計算することによってモニター材2が破断するま
でのどの時点に位置しているかを知ることができる。し
かしながら、実際には機械部品1の稼働開始後の任意の
時点で実繰返し数Nの値を知ることができないのが通常
であるが、発明者らは先に転位組織の観察を行って上記
パラメータの値を知ることにより「N/Nf」の値を得
ることができることを見出した。このことは、特許第2
914254号公報に記載されている。
【0057】以下、転位組織の観察から疲労損傷の度合
い(疲労損傷度)を定量的にとらえるための上記パラメ
ータについて説明する。図5は、機械部品1から剥がし
たモニター材2の切断面を15000倍の顕微鏡で見た
状態の説明図であるが、この図に示すように、セルが形
成された転位組織10は、多数の転位セル11と、各転
位セル11の内部組織を取り囲むように形成されたセル
壁12とからなっている。セル壁12は、繰返しの応力
によって生じたモニター材2を構成する金属組織の転位
により原始変位が集中した部分である。そして、セル壁
12の壁厚さは、疲労損傷の本質に係るものであるた
め、この壁厚さをパラメータとして採用することにした
のである。
【0058】このような転位組織10のセル壁12の壁
厚さをパラメータとして疲労損傷度を評価する方法につ
いて以下説明する。
【0059】この評価方法により疲労損傷度を評価する
ためには、セル壁12の壁厚さを測定することから始め
なければならない。そのために顕微鏡下におけるセル壁
12の壁厚さsi(略0.10μm〜0.35μm)を
多数実測して下記式でその平均値sを計算することによ
りパラメータである壁厚さの値を得ることにした。
【0060】s=(s1+s2+…+sn)/n… なお、nはデータ点数である。本実施形態においては8
0点の壁厚さのデータを採用し、その平均値でパラメー
タの値としているが、データの採取点数については特に
限定はない。
【0061】このようにして得られた多くのセル壁厚さ
sの値のデータと、実繰返し比(N/Nf)とを半対数
グラフにプロットしたグラフが図6である。なお、この
グラフでは、横軸に対数目盛を採用して実繰返し比(N
/Nf)を設定しているとともに、縦軸に通常の10進
数目盛を採用して壁厚さsiを設定している。また、実
繰返し数Nにおける繰返し応力の応力振幅値(1回の応
力負荷の値)σについては、67MPa〜77MPaの
範囲内で種々値を変えて試験している。図6のグラフに
示すように、セル壁厚さsと実繰返し比(N/Nf)と
の間には以下の式に示す高度な相関関係の存在すること
が判る。
【0062】s=alog(N/Nf)+b… なお、aは比例常数であり、bはY切片(常数)であ
る。
【0063】そして、本実施形態においては、モニター
材2の切断面を顕微鏡下で観察してそれぞれについて上
記式によりセル壁厚さsを算出し、ついで得られたセ
ル壁厚さsの平均値s0と、予め試験して既知である破
断繰返し数Nfの値とを式を変形した式に代入する
ことにより、実繰返し数Nを算出するのである。
【0064】N=Nf×(10(s0-b)(1/a))… このようにして算出された実繰返し数Nの値は、機械部
品1の稼働開始からモニター材2を剥がしたときまでの
期間(Y年)に対応したものである。すなわち評価時点
でのモニター材2の疲労損傷度は、NおよびNfに数値
が代入されて計算された実繰返し比(N/Nf)という
ことになる。因みに、比例計算で下記式により残りの耐
用年数(余寿命)(X年)を計算することができる。
【0065】X=Y×(Nf/N−1)… なお、実際にこの方法で余寿命を推定するに際しては、
式のばらつきを考慮して式のNの値を、1より大き
い安全係数を乗じた値にするのが好ましい。安全係数と
してどのような値を採用するかについては、機械部品1
の稼働条件を総合的に勘案して決められるが、通常、1
〜20が安全係数として採用される。
【0066】そして、モニター材2の疲労損傷度を基
に、機械部品1の疲労損傷度が推定される。そのために
は、モニター材2の疲労損傷度と機械部品1の疲労損傷
度との関係を予め求めておく必要がある。
【0067】このようなモニター材2を、据え付けが完
了して稼働する直前の機械部品1の各所に一体に付着し
ておくことにより、所定の期間が経過する毎に剥がして
X線回折法や転位セル壁厚さ法等の測定方法によってモ
ニター材2の疲労損傷度を測定し、この測定結果に基づ
いて機械部品1の疲労損傷度を推定し、この推定結果に
基いて疲労損傷が著しい部分を補修する等のメンテナン
スを施すことにより、機械部品1は適正に保守管理され
るとともに、更新時期を適正に予測することが可能にな
る。本発明は、このような疲労損傷度の測定方法によっ
て保守管理される機械部品1を含むものである。
【0068】
【実施例】アルミニウム3003系の合金製の板材を試
験材料として採用し、所定寸法の直方体状に切断したも
の8種類を母材とした。これら8種類の母材の内の6種
類には焼鈍処理を施す一方、2種類には焼鈍処理を施さ
なかった。ついで、各母材の平均結晶粒径、単位結晶粒
径当りの粒径のばらつき(標準偏差)、X線半価幅およ
び単位半価幅当りの半価幅のばらつき(標準偏差)を測
定した。結晶粒径の測定においては、アルミニウム合金
が対象の場合に一般的に行われる方法を採用し、表面研
磨を行ったあとエッチングを施してから100倍の顕微
鏡で観察を行い結晶粒径を測定した。また、X線半価幅
の測定におけるX線回折は、モノクロメータにより単色
化されたMoKα線を照射し、(333)面反射の回折
を中心に半価幅を測定した。但し、(333)面反射に
限定されるものではない。それぞれの母材の特性値は表
1の前提条件の欄のとおりである。
【0069】このような母材の特性値測定の後、各母材
からそれぞれ所定寸法のモニター材を10枚ずつ切り出
し、それぞれを所定の繰返し応力負荷装置の試験位置に
付着してからセル組織が形成されるに充分な低サイクル
の疲労領域の応力を負荷した。その後、試験位置から各
モニター材を剥ぎ取り、転位セル壁厚さ法によって疲労
損傷度を測定するとともに、単位損傷度当りのばらつき
(標準偏差)を算出した。それぞれの単位損傷度当りの
ばらつきは、表1の試験結果の欄のとおりである。な
お、表1の試験結果の欄の円印は、試験結果が良好であ
ったことを示し、三角印は、試験結果がやや良好であっ
たことを示し、掛ける印は、試験結果が不良であったこ
とを示している。
【0070】
【表1】
【0071】表1から判るとおり、モニターの厚さ、平
均結晶粒径、モニター厚さと平均結晶粒径との比、単位
結晶粒径当りの粒径のばらつき、X線半価幅および単位
半価幅当りの半価幅のばらつきのいずれもが本発明で規
定した範囲内に納まっているもの(円印のもの)は、単
位損傷度当りの転位セルの壁厚さのばらつきが小さく、
モニター材として優れたものであることが判る。
【0072】これに対し、上記各特性のいずれかが本発
明の範囲内から外れているもの(掛ける印のもの)は、
単位損傷度当りの転位セルの壁厚さのばらつきが範囲内
のものに比べて非常に大きくなっており、モニター材と
して不適である。
【0073】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、モニター
材を切り出す母材は、モニター材の所定の特性が所定の
範囲内に納まるもの、すなわち均質なものが採用される
ため、かかる母集団としての母材から切り出された複数
のモニター材は、それぞれ非常に高い確率で均等なもの
であり、従って、同じ母材からモニター材を切り出した
場合、その材質に許容範囲を越えたばらつきが存在する
ことはなく、モニター材を用いた機械部品の疲労損傷度
を高精度で測定することができる。
【0074】請求項2記載の発明によれば、母材として
アルミニウム、アルミニウム合金または軟鋼製のものを
採用しているため、アルミニウム、アルミニウム合金ま
たは軟鋼は、繰返し応力による疲労損傷において結晶組
織内に等方性の転位セルが生じ易く、かかる転位セルの
形成状態は疲労損傷度を知るための非常に適切な指標に
なるため、モニター材としてアルミニウム等を採用する
ことにより、他の金属材料をモニター材として用いる場
合より機械部品の疲労損傷度をより的確にかつ高精度で
推定することができる。
【0075】請求項3記載の発明によれば、母材の特性
としてX線回折における回折X線強度のピークの半価幅
を採用したため、上記半価幅は、疲労損傷度を評価する
場合の好適な指標となるものであり、かかる指標に基づ
くことによって母材の適否判定を適正に行うことができ
る。
【0076】請求項4記載の発明によれば、母材として
略均等に離間した複数の被測定位置における半価幅の標
準偏差を平均半価幅で除した値が0.25以下のものを
採用するようにしているため、母材の半価幅は、十分に
均一であるとみなすことができ、かかる母材から切り取
られたモニター材は、どの部分から切り取られたもので
あっても、機械部品の疲労損傷度を適正にモニターする
ことができる。
【0077】請求項5記載の発明によれば、母材として
略均等に離間した複数の被測定位置における結晶粒径の
平均値が5〜500μmのものであり、かつ、結晶粒径
の標準偏差を平均結晶粒径で除した値が0.50以下の
ものを採用するようにしているため、かかる母材から切
り取られたモニター材を機械部品に付着することにより
機械部品の疲労損傷度を適正にモニターすることができ
る。
【0078】請求項6記載の発明によれば、母材として
厚さ寸法が平均結晶粒径の5倍以上のものを採用するよ
うにしたため、母材を所定の大きさに切断するだけで容
易に、かつ、変質していない状態のモニター材を得るこ
とができる。また、モニター材の厚さ寸法が、結晶粒径
に対して5倍以上であると、疲労損傷による金属結晶の
転位によってセル組織が生じ易く、良好なモニター材を
得ることができる。
【0079】請求項7記載の発明によれば、モニター材
を同一の疲労損傷が与えられるように機械部品に一体的
に取り付け、所定期間使用後に機械部品から回収し、こ
のモニター材に所定の試験を行い、この試験結果に基づ
いて機械部品の疲労損傷度を評価するようにしているた
め、機械部品の疲労損傷度に対する信頼性の高い測定結
果を得ることができる。
【0080】請求項8記載の発明によれば、モニター材
の疲労損傷による金属組織の転位によって形成したセル
のセル壁厚さを測定するようにしたため、金属の疲労損
傷度とセルのセル壁厚さとの間には、高度な相関関係が
存在することによってモニター材の疲労損傷度が極めて
高精度で測定され、これによってモニター材の付着され
た機械部品の損傷度を高精度で推定することができる。
【0081】請求項9記載の発明によれば、部品本体
と、この部品本体と同一の疲労損傷が与えられるように
部品本体に一体に付着された金属製のモニター材とから
機械部品を構成したため、機械部品は、その疲労損傷度
が適正に評価され、この評価結果に基づいた補修計画や
更新計画を適正に立案することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るモニター材が付着された機械部品
の一実施形態を示す説明図である。
【図2】モニター材の母材を示す斜視図である。
【図3】特性測定位置の設定の一例を示す平面図であ
る。
【図4】X線回折法を説明するための図であり、(イ)
は、結晶にX線が照射された状態を示す説明図、(ロ)
は、回折X線の強度を示すグラフである。
【図5】機械部品1から剥がしたモニター材の切断面を
15000倍の顕微鏡で見た状態の説明図である。
【図6】セル壁厚さの値のデータと、実繰返し比とを半
対数グラフにプロットしたグラフである。
【符号の説明】 1 機械部品 10 転位組織 11 転位セル 12 セル壁 2 モニター材 3 母材 4 区画 40,…,4n−1 第1〜n区画 51 X線源 52 検出器 6 結晶 61 結晶表面 62 表面から2番目の結晶面 2θ 回折角 H 回折X線強度 Hp 回折X線強度のピーク値 Hm 回折X線強度のピーク値の1/2の値
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 永野 清幸 兵庫県高砂市荒井町新浜2丁目3番1号 株式会社神戸製鋼所高砂製作所内 Fターム(参考) 2G024 AA06 BA12 BA21 CA30 EA06 2G050 AA01 AA07 BA12 DA03 EB07 EB10 EC06

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 同一の疲労損傷が与えられるように機械
    部品に一体的に取り付けられ、機械部品から回収して機
    械部品の疲労損傷度の測定用として供される金属製のモ
    ニター材であって、疲労損傷度の指標として採用される
    特性が所定の範囲内に納まる母材から切り出したもので
    あることを特徴とするモニター材。
  2. 【請求項2】 上記母材は、アルミニウム、アルミニウ
    ム合金または軟鋼製のものであることを特徴とする請求
    項1記載のモニター材。
  3. 【請求項3】 上記母材の特性は、X線回折における回
    折X線強度のピークの半価幅であることを特徴とする請
    求項1または2記載のモニター材。
  4. 【請求項4】 上記母材は、略均等に離間した複数の被
    測定位置における半価幅の標準偏差を平均半価幅で除し
    た値が0.25以下のものであることを特徴とする請求
    項3記載のモニター材。
  5. 【請求項5】 上記母材の特性は、結晶粒径であり、上
    記母材は、略均等に離間した複数の被測定位置における
    結晶粒径の平均値が5〜500μmのものであり、か
    つ、上記結晶粒径の標準偏差を平均結晶粒径で除した値
    が0.50以下のものであることを特徴とする請求項1
    または2記載のモニター材。
  6. 【請求項6】 上記母材は、厚さ寸法が平均結晶粒径の
    5倍以上のものであることを特徴とする請求項5記載の
    モニター材。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至6のいずれかに記載のモニ
    ター材を用いて機械部品の疲労損傷度を測定する疲労損
    傷度の測定方法であって、モニター材を同一の疲労損傷
    が与えられるように機械部品に一体的に取り付け、所定
    期間使用後に機械部品から回収し、このモニター材に所
    定の試験を行い、この試験結果に基づいて機械部品の疲
    労損傷度を評価することを特徴とするモニター材を用い
    た疲労損傷度の測定方法。
  8. 【請求項8】 上記所定の試験は、モニター材の疲労損
    傷による金属組織中の転位によって形成したセルのセル
    壁厚さを測定することによって行われるものであること
    を特徴とする請求項7記載のモニター材を用いた疲労損
    傷度の測定方法。
  9. 【請求項9】 上記請求項1乃至6のいずれかに記載の
    モニター材の取り付けられた部品本体を有する機械部品
    であって、部品本体と、この部品本体と同一の疲労損傷
    が与えられるように部品本体に一体に付着された金属製
    のモニター材とからなることを特徴とするモニター材付
    き機械部品。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2012061979A1 (en) 2010-11-09 2012-05-18 Abb Research Ltd. Cable fatigue monitor and method thereof

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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