JP2001191478A - 機上描画平版印刷方法及び機上描画平版印刷装置 - Google Patents

機上描画平版印刷方法及び機上描画平版印刷装置

Info

Publication number
JP2001191478A
JP2001191478A JP2000007064A JP2000007064A JP2001191478A JP 2001191478 A JP2001191478 A JP 2001191478A JP 2000007064 A JP2000007064 A JP 2000007064A JP 2000007064 A JP2000007064 A JP 2000007064A JP 2001191478 A JP2001191478 A JP 2001191478A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink
lithographic printing
recording head
plate
printing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2000007064A
Other languages
English (en)
Inventor
Yusuke Nakazawa
雄祐 中沢
Sadao Osawa
定男 大澤
Kazuo Ishii
一夫 石井
Eiichi Kato
栄一 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP2000007064A priority Critical patent/JP2001191478A/ja
Priority to US09/572,433 priority patent/US6513434B1/en
Publication of JP2001191478A publication Critical patent/JP2001191478A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 デジタル画像データに対応でき、安価かつ高
速で鮮明な画像の印刷物を多数枚印刷できる機上描画平
版印刷方法および装置を提供する。 【解決手段】 印刷機の版胴に版材を装着し、該版材上
に画像データの信号に基づき静電界を利用して油性イン
クを吐出させるインクジェット方式で直接画像を形成し
て刷版を作成し、該刷版をその状態で用いて引き続き平
版印刷を行なう機上描画平版印刷方法において、インク
ジェット記録ヘッドをクリーニング液中に浸漬し、前記
記録ヘッドに電圧を印加することにより記録ヘッドのク
リーニングを行なうようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、印刷機上で、デジ
タル製版を行なう機上描画平版印刷方法及び機上描画平
版印刷装置に関する。さらに詳細には、油性インクによ
って製版を行った上で印刷を行い、製版画質および印刷
画質が良好な製版・印刷方法及び印刷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】平版印刷においては、印刷版の表面に画
像原稿に対応してインク受容性とインク反発性の領域を
設け、印刷インクをインク受容性の領域に付着させて印
刷を行なう。通常は印刷版の表面に、親水性および親油
性(インク受容性)の領域を画像様に形成し、湿し水を
用いて親水性領域をインク反発性とする。
【0003】印刷原版(版材)への画像の記録(製版)
は、一旦画像原稿をアナログ的またはデジタル的に銀塩
写真フィルムに出力し、これを通してジアゾ樹脂や光重
合性のフォトボリマー感光材料(印刷原版)を露光し、
非画像部を主にアルカリ性溶液を用いて溶出除去して行
うのが一般的な方法である。
【0004】近年、平版印刷方法において、最近のデジ
タル描画技術の向上と、プロセスの効率化の要求から、
刷版上に、直接デジタル画像情報を描画するシステムが
数多く提案されている。これは、CTP(Computer-to-
plate)、あるいはDDPP(Digital Direct Printing
Plate)と呼ばれる技術である。製版方法としては、例
えばレーザーを用いて、光モードまたは熱モードで画像
を記録するシステムがあり、一部は実用化され始めてい
る。
【0005】しかし、この製版方法は、光モード、熱モ
ードともに、一般には、レーザー記録後にアルカリ性現
像液で処理して非画像部を溶解除去して製版が行われ、
アルカリ性廃液が排出され、環境保全上好ましくない。
【0006】さらに、印刷プロセスを効率化する手段と
して、画像描画を印刷機上で行うシステムがある。上記
のレーザーを用いる方法もあるが、高価でかつ大きな装
置となってしまう。そこで、安価でかつコンパクトな描
画装置であるインクジェット法を応用したシステムが試
みられている。
【0007】特開平4−97848号公報には、従来の
版胴に替えて、表面部が親水性または親油性である版ド
ラムを設け、この上に親油性または親水性の画像をイン
クジェット法で形成し、印刷終了後画像を除去し、クリ
ーニングする方法が開示されている。しかしながら、こ
の方法では、印刷画像の除去(すなわちクリーニングの
し易さ)と耐刷性とが両立し難い。また、耐刷性の高い
印刷画像を版胴上に形成しようとすると、比較的高濃度
の樹脂を含むインクを用いる必要があるため、印刷画像
を形成するインクジェット手段において、ノズル部分で
の溶媒蒸発に伴う、樹脂の固着が起こりやすく、インク
吐出の安定性が低い。その結果、良好な画像が得難い。
【0008】また、特開昭64−27953号公報で
は、親水性の版材に親油性のワックスインクを使用して
インクジェットで描画を行い、製版を行う方法が開示さ
れている。この方法では版材は使い捨てとなるため、印
刷終了後、画像を除去を行なう必要はなく、吐出安定性
も高いが、しかし、画像がワックスで形成されるため画
像部の機械的強度が弱く、かつ版材親水性表面との密着
性が不足するため耐刷性は低い。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
点に着目してなされたものであり、その目的は、第一
に、現像処理が不要なデジタル対応の機上描画平版印刷
方法および装置を提供することである。第二に、安価な
装置及び簡便な方法で、鮮明で高画質な画像の印刷物を
多数枚印刷可能とする機上描画平版印刷方法および装置
を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係る請求項1記載の平版印刷方法は、印刷
機の版胴に版材を装着し、該版材上に画像データの信号
に基づき静電界を利用して油性インクを吐出させるイン
クジェット方式で直接画像を形成して刷版を作成し、該
版材をその状態で用いて引き続き平版印刷を行う機上描
画平版印刷方法において、インクジェット記録ヘッドを
クリーニング液中に浸漬し、前記記録ヘッドに電圧を印
加することにより記録ヘッドのクリーニングを行なうこ
とを特徴とする。請求項2記載の平版印刷方法は、前記
油性インクが、固有電気抵抗値109Ωcm以上かつ誘
電率3.5以下の非水溶媒中に、少なくとも常温で固体
かつ疎水性の樹脂粒子を分散したものであることを特徴
とする。請求項3記載の機上描画平版印刷装置は、印刷
機の版胴に装着された版材上に画像データの信号に基づ
き直接画像を形成する直接画像形成手段として静電界を
利用して油性インクを吐出させる記録ヘッドを有するイ
ンクジェット描画装置を備え、該直接画像形成手段によ
って形成された刷版で平版印刷を行う平版印刷手段とを
備えた機上描画印刷装置において、前記記録ヘッドをク
リーニング液中に浸漬した状態で、前記記録ヘッドに電
圧を印加することによりクリーニングを行なう記録ヘッ
ドクリーニング手段を備えたことを特徴とする。請求項
4記載の機上描画平版印刷装置は、前記油性インクが、
固有電気抵抗値109Ωcm以上かつ誘電率3.5以下
の非水溶媒中に、少なくとも常温で固体かつ疎水性の樹
脂粒子を分散したものであることを特徴とする。請求項
5記載の機上描画平版印刷装置は、前記直接画像形成手
段が、前記インクの定着装置を備えたことを特徴とす
る。請求項6記載の機上描画平版印刷装置は、前記直接
画像形成手段が、版材への描画前及び/又は描画中に版
材表面に存在する埃を除去する版材表面埃除去手段を備
えたことを特徴とする。請求項7記載の機上描画平版印
刷装置は、前記版材への描画時に、前記直接画像形成手
段が、前記版材の装着された版胴の回転により主走査を
行うことを特徴とする。請求項8記載の機上描画平版印
刷装置は、前記インクジェット描画装置が、シングルチ
ャンネル記録ヘッド又はマルチチャンネル記録ヘッドを
備え、前記版材への描画時に該記録ヘッドが前記版胴の
軸方向に移動することにより副走査を行うことを特徴と
する。請求項9記載の機上描画平版印刷装置は、前記イ
ンクジェット描画装置が、版胴の幅と略同じ長さを有す
るフルライン記録ヘッドを備えたことを特徴とする。請
求項10記載の機上描画平版印刷装置は、前記インクジ
ェット描画装置が、前記記録ヘッドにインクを供給する
インク供給手段を備えたことを特徴とする。請求項11
記載の機上描画平版印刷装置は、前記記録ヘッドからイ
ンクを回収するインク回収手段を備え、前記インク供給
手段及び前記インク回収手段によりインク循環を行うこ
とを特徴とする。請求項12記載の機上描画平版印刷装
置は、前記油性インクを格納するインクタンク内にイン
ク攪拌手段を備えたことを特徴とする。請求項13記載
の機上描画平版印刷装置は、前記油性インクを格納する
インクタンク内にインクの温度を制御するインク温度制
御手段を備えたことを特徴とする。請求項14記載の機
上描画平版印刷装置は、前記インクのインク濃度を制御
するインク濃度制御手段を備えたことを特徴とする。請
求項15記載の機上描画平版印刷装置は、前記インクジ
ェット描画装置が、前記版材への描画時に前記記録ヘッ
ドを前記版胴へ接近させ、該版材への描画時以外は該記
録ヘッドを該版胴から離す記録ヘッド離接手段を備えた
ことを特徴とする。請求項16記載の機上描画平版印刷
装置は、前記平版印刷手段が、平版印刷時に発生する紙
粉を除去する紙粉除去手段を備えたことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。本発明は、印刷機の版胴上に設けら
れた版材(印刷原版)上に、油性インクを静電界によっ
て吐出するインクジェット法で画像を形成することを特
徴とする。本発明にかかるインクジェット法は、PCT
公開WO93/11866号明細書に記載のものであ
り、このインクジェット法においては絶縁性溶媒中に少
なくとも常温で固体かつ疎水性の樹脂粒子を分散した高
抵抗を有するインクを使用し、このインクに吐出位置で
強電界を作用させることにより、該樹脂粒子の凝集物を
該吐出位置に形成し、さらに静電手段により該凝集物を
吐出位置から吐出させる。この様に、樹脂粒子は高濃度
化した凝集物として吐出され、印字されたドットの膜厚
が十分に得られる。このことにより、記録媒体である版
材上では十分な耐刷性を有する凝集樹脂粒子の画像が形
成される。また、本インクジェット法では、吐出したイ
ンク滴の大きさは吐出電極先端部の大きさあるいは電界
印加条件によって決まり、吐出ノズル径、あるいはスリ
ット幅を小さくすることなく、小さなインク滴が得られ
る。電界印加条件を制御することにより版材上でのドッ
ト径をコントロールすることができる。したがって、記
録ヘッドのインク詰まりの問題なしに、耐刷性のある微
小な画像のコントロールが可能であり、本発明は、鮮明
な画像の印刷物が多数枚印刷可能となるな平版印刷方法
及び印刷装置を提供する。
【0012】本発明の平版印刷方法を実施するのに用い
られる機上描画平版印刷装置の構成例を以下に示す。
【0013】図1は、機上描画単色片面平版印刷装置の
全体構成図である。図2は本機上描画平版印刷装置の制
御部、インク供給部、記録ヘッド離接機構を含めた描画
部の概略構成例である。また、図3〜図9は、図1、及
び図12の機上描画平版印刷装置が具備するインクジェ
ット記録装置を説明するためのものである。図10は、
本発明に係る記録ヘッド洗浄の様子を示したものであ
る。図11は、図10の記録ヘッドクリーニング装置の
動作を説明するためのフローチャートである。また図1
2は本発明に係る機上描画4色片面平版印刷装置の全体
構成例である。
【0014】まずは図1に示す機上描画単色片面平版印
刷機の全体構成図を用いて本発明による印刷工程につい
て説明する。図1に示されるように、機上描画平版印刷
装置1(以下単に「印刷装置」ともいう)は、版胴1
1、ブランケット胴12及び圧胴13を一つづつ有し、
少なくとも平版印刷をおこなう際には版胴11に対して
転写用のブランケット胴12が圧接するように配置さ
れ、ブランケット胴12にはこれに転写された印刷イン
ク画像を印刷紙Pに転移させるための圧胴13が圧接す
るように配置されている。
【0015】版胴11は、通常金属製であり、その表面
は耐摩耗性を強化するために例えばクロムメッキが施さ
れているが、後述のようにその表面に断熱材を有しても
良い。一方、版胴11は静電界吐出において、吐出ヘッ
ド電極の対極となるためアースされることが好ましい。
また、版材の基体の絶縁性が高い場合には基体上に導電
層を設けることが好ましく、この場合にはこの導電層か
ら版胴にアースを取る手段を設けることが望ましい。さ
らに前述のように版胴上に断熱材を設ける場合にも、版
材からアースを取る手段を設けることにより描画は容易
になる。この場合には公知の導電性を有するブラシ、板
バネ、ローラ等の手段を使用できる。
【0016】さらに、印刷装置1はインクジェット記録
装置(インクジェット記録装置)2を有し、これによ
り、画像データ演算制御部21より送られてくる画像デ
ータに対応して、版胴11上に装着された版材9上に油
性インクを吐出し画線を形成する。
【0017】また、印刷装置1には版材9上の親水部
(非画像部)に湿し水を供給する湿し水供給装置3が設
置されている。図1には湿し水供給装置3の代表例とし
てモルトン給水方式の装置を示しているが、湿し水供給
装置3としてはその他にシンフロ給水方式、連続給水方
式等公知の装置が使用できる。さらに、印刷装置1は、
印刷インク供給装置4、および版材9上に描画された油
性インク画像を強固にするための定着装置5を有する。
必要に応じて版材9表面の親水性強化の目的で版面不感
脂化装置6を設置しても良い。また、印刷装置1は、版
材への描画前及び/または描画中に版材表面に存在する
埃を除去する版材表面埃除去手段10を有する。埃除去
手段10としては公知の吸引除去、吹き飛ばし除去、静
電除去等の非接触法の他、ブラシ、ローラー等による接
触法が使用でき、本発明では望ましくはエアー吸引、あ
るいはエアーによる吹き飛ばしのいずれか、あるいはそ
れらを組み合わせて使用される。この場合には、通常給
紙装置に使用されるエアーポンプをこの用途に流用する
こともできる。そして、印刷装置1は、本発明による記
録ヘッドクリーニング手段60を有する。記録ヘッドク
リーニング手段60については後述する。
【0018】さらに、印刷に供する版材9を版胴11上
に自動的に供給する自動給版装置7、および印刷終了後
の版材9を版胴11上から自動的に取り除く自動排版装
置8を設置してもよく、印刷機の補助装置として公知で
あるこの装置を有する印刷機として、例えばハマダVS
34A、B452A(ハマダ印刷機械(株))、トーコ
ー8000PFA(東京航空計器(株))、リョービ3
200ACD、3200PFA(リョービイマジクス
(株))、AMSIS Multi5150FA(日本
エーエム(株))、オリバー266EPZ(桜井グラフ
ィックシステムズ(株))、シノハラ66IV/IVP(篠
原商事(株))などがある。さらにブランケット洗浄装
置14、圧胴洗浄装置14’を設置してもよい。これら
の装置7、8、14、14’を用いることで印刷操作が
より簡便となり、また、印刷時間の短縮が図られること
から、本発明の効果をより一層高められる。さらに、圧
胴13の近傍に、紙粉発生防止装置(紙粉除去手段)1
5を設置しても良く、これにより版材上に付着する紙粉
を防止できる。紙粉発生防止装置15としては湿度コン
トロール、エアや静電力による吸引等の方法を使用する
ことができる。
【0019】画像データ演算制御部21は、画像スキャ
ナ、磁気ディスク装置、画像データ伝送装置等からの画
像データを受け、色分解を行うと共に、分解されたデー
タに対して適当な画素数、階調数に分割演算する。さら
に、インクジェット記録装置2が有する記録ヘッドとし
てのインクジェット吐出ヘッド22(図2参照。後に詳
述する。)を用いて油性インク画像を網点化して描くた
めに、網点面積率の演算も行う。
【0020】また、後述するように、画像データ演算制
御部21は、インクジェット吐出ヘッド22の移動、油
性インクの吐出タイミングを制御すると共に、必要に応
じて版胴11、ブランケット胴12、圧胴13等の動作
タイミングの制御も行う。
【0021】図1、及び一部図2を参照して印刷装置1
による刷版の作成工程を以下に詳細に説明する。まず、
版胴11に自動給版装置7を用いて版材9を装着する。
この時、公知の版頭/尻くわえ装置、エア吸引装置等に
よる機械的方法、あるいは静電的な方法等により版材は
版胴上に密着固定され、これにより版尻がばたついて描
画時にインクジェット記録装置2に接触し破損すること
を防止できる。また、インクジェット記録装置の描画位
置周辺のみで版材を版胴に密着させる手段を配し、少な
くとも描画を行う時にはこれを作用させることによっ
て、版材がインクジェット記録装置に接触することを防
止することもできる。具体的には、例えば版胴描画位置
の上流、及び下流に押さえローラを配する等の方法があ
る。また、版を固定する過程で、版尻がインク供給ロー
ラに接触しないようにする手段を設けることによって、
版面の汚れを防止でき損紙を減らすことができる。具体
的には押さえローラあるいはガイド、静電吸着などが有
効である。
【0022】磁気ディスク装置等からの画像データは、
画像データ演算制御部21に与えられ、画像データ演算
制御部21は、入力画像データに応じて油性インクの吐
出位置、その位置における網点面積率の演算を行う。こ
れらの演算データは一旦バッファに格納される。画像デ
ータ演算制御部21は、版胴11を回転させ、吐出ヘッ
ド22を記録ヘッド離接装置(記録ヘッド離接手段)3
1により版胴11と近接された位置に近づける。吐出ヘ
ッド22と版胴11上の版材9表面との距離は、付き当
てローラのような機械的距離制御、あるいは光学的距離
検出器からの信号による記録ヘッド離接装置の制御によ
り、描画中、所定距離に保たれる。吐出ヘッド22とし
ては、シングルチャンネル記録ヘッド、マルチチャンネ
ル記録ヘッド、あるいはフルライン記録ヘッドを使用す
ることができ、版胴11の回転により主走査を行う。複
数の吐出部を有するマルチチャンネル記録ヘッド、ある
いはフルライン記録ヘッドの場合には、吐出部の配列方
向は軸方向に設置する。さらにシングルチャンネル記録
ヘッド、あるいはマルチチャンネル記録ヘッドの場合に
は、画像データ演算制御部21により版胴11一回転毎
に記録ヘッド22を版胴の軸方向に移動して、上記演算
により得られた吐出位置および網点面積率で油性インク
を版胴11に装着した版材9に吐出する。これにより、
版材9には、印刷原稿の濃淡に応じた網点画像が油性イ
ンクで描画される。この動作は、版材9上に印刷原稿一
色分の油性インク画像が形成され刷版ができあがるまで
続く。一方、吐出ヘッド22が版胴の幅と略同じ長さを
有するフルライン記録ヘッドである場合には、版胴が一
回転することによって版材9上に印刷原稿一色分の油性
インク画像が形成され刷版ができあがる。このように版
胴回転により主走査を行うことにより、主走査方向の位
置精度を高め、高速描画を行うことができる。
【0023】ついで吐出ヘッド22を保護するために、
吐出ヘッド22は、版胴11と近接された位置から離れ
るように退避させられる。この時、吐出ヘッド22のみ
に離接してもよいが、吐出ヘッド22と記録ヘッド副走
査手段32を一緒に離接、あるいは吐出ヘッド22とイ
ンク供給部24と記録ヘッド副走査手段32全てを一緒
に離接することもできる。また、吐出ヘッド22とイン
ク供給部24と記録ヘッド副走査手段32と共に、定着
装置5、埃除去手段10にもそれぞれ離接手段を設け、
退避可能とすることにより、通常印刷にも対応できる。
【0024】この離接手段は、描画時以外は記録ヘッド
を版胴に対し少なくとも500μm以上離すように動作
する。離接動作はスライド式にしても良いし、ある軸に
固定されたアームで記録ヘッドを固定し、軸まわりにア
ームを動かし振り子状に移動してもよい。このように非
描画時に記録ヘッドを退避させることにより、記録ヘッ
ドを物理的破損、あるいは汚染から保護し、長寿命化を
達成することができる。
【0025】また、形成された油性インク画像は、定着
装置5で加熱等により強化される。インクの定着手段と
しては、加熱定着、溶媒定着などの公知の手段が使用で
きる。加熱定着では赤外ランプ、ハロゲンランプ、キセ
ノンフラッシュランプ照射あるいはヒーターを利用した
熱風定着、ヒートロール定着が一般的である。この場合
には定着性を高めるために、版胴を加熱しておく、版材
を予め加熱しておく、熱風を当てながら描画を行う、版
胴を断熱材でコートする、定着時のみ版胴から版材を離
して、版材のみを加熱する、等の手段を単独、あるいは
組み合わせてとることが有効である。キセノンランプ等
を使用してのフラッシュ定着は電子写真トナーの定着法
として公知であり、定着を短時間に行えるという利点が
ある。溶媒定着ではメタノール、酢酸エチル等のインク
中の樹脂成分を溶解しうる溶媒を噴霧し、余分な溶媒蒸
気は回収する。少なくとも吐出ヘッド22による油性イ
ンク画像形成から、定着装置5による定着までの行程で
は、湿し水供給装置3、印刷インク供給装置4、及びブ
ランケット胴12は版胴上の版材9には接触しないよう
に保たれることが望ましい。
【0026】刷版形成後の印刷工程は、公知の平版印刷
方法と同様である。すなわち、この油性インク画像が描
画された版材9に、印刷インクおよび湿し水を与え印刷
画像を形成し、この印刷インク画像を版胴11と共に回
転しているブランケット胴12上に転写し、次いでブラ
ンケット胴12と圧胴13との間を通過する印刷用紙P
上にブランケット胴12上の印刷インク画像を転移させ
ることで一色分の印刷が行われる。印刷終了後の版材9
は、自動排版装置8により版胴11から取り除かれ、ブ
ランケット胴12上のブランケットはブランケット洗浄
装置14により洗浄され、次の印刷可能な状態となる。
【0027】次に、インクジェット記録装置2について
詳細に説明する。
【0028】図2に示されるように、本平版印刷装置に
使用される描画部は、インクジェット記録装置2、イン
ク供給部24からなる。インク供給部24は、さらにイ
ンクタンク25、インク供給装置26、インク濃度制御
手段29を有し、インクタンク25内にはインク攪拌手
段27、インク温度管理手段(インク温度制御手段)2
8を含む。インクは記録ヘッド内を循環させてもよく、
この場合、インク供給部は回収循環機能も有する。イン
ク攪拌手段27はインクの固形成分の沈殿・凝集を抑制
する。インク攪拌手段としては、回転羽、超音波振動
子、循環ポンプが使用でき、これらの中から、あるいは
組み合わせて使用される。インク温度管理手段28は、
周りの温度変化によりインクの物性が変化し、ドット径
が変化したりすることなく高画質な画像が安定して形成
できる様に配置される。インク温度管理手段としては、
インクタンク内にヒーター、ペルチェ素子等の発熱素子
あるいは冷却素子を、該タンク内の温度分布を一定にす
るように攪拌手段と共に配し、温度センサ、例えばサー
モスタット等により制御するなどの公知の方法が使用で
きる。なお、インクタンク内のインク温度は15℃以上
60℃以下が望ましく、より好ましくは20℃以上50
℃以下である。またタンク内の温度分布を一定に保つ攪
拌手段は、前記のインクの固形成分の沈殿・凝集を抑制
を目的とする攪拌手段と共用しても良い。また、本印刷
装置では、高画質な描画を行うためインク濃度制御手段
29を有している。これによりインク中の固形分濃度の
低下による版上での滲みの発生や印刷画像の飛びやカス
レ、あるいは固形分濃度の上昇による版上のドット径の
変化等を有効に抑制することができる。インク濃度は光
学的検出、電導度測定、粘度測定などの物性測定、ある
いは描画枚数による管理等により行う。物性測定による
管理を行う場合には、インクタンク内、あるいはインク
流路内に、光学検出器、電導度測定器、粘度測定器を単
独、あるいはそれらを組み合わせて設け、その出力信号
により、また描画枚数による管理を行う場合には、製版
枚数、及び頻度によりインクタンクへ図示されない補給
用濃縮インクタンク、あるいは希釈用インクキャリアタ
ンクからの液供給を制御する。
【0029】画像データ演算制御部21は前述のよう
に、入力画像データの演算、また記録ヘッド離接装置3
1、あるいは記録ヘッド副走査手段32により記録ヘッ
ドの移動を行うほかに、版胴に設置したエンコーダー3
0からのタイミングパルスを取り込み、そのタイミング
パルスに従って、記録ヘッドの駆動を行う。これによ
り、副走査方向の位置精度を高められる。また、インク
ジェット記録装置による描画を行う際に版胴の駆動は、
印刷時の駆動手段とは異なる高精度な駆動手段を使用す
ることによっても副走査方向の位置精度を高められ、そ
の際には、ブランケット胴、圧胴その他から機械的に切
り離して、版胴のみを駆動させることが望ましい。具体
的には、例えば高精度モータからの出力を高精度ギア、
あるいはスチールベルト等により減速して版胴のみを駆
動させる方法などがある。高画質描画を行う際にはこの
様な手段を単独、あるいは複数組み合わせて使用する。
【0030】次に、吐出ヘッドについて図3〜9を使用
して説明する。ただし本発明の内容は以下の例に限定さ
れるものではない。図3、図4はインクジェット記録装
置に備えられている記録ヘッドの一例である。記録ヘッ
ド22は、絶縁性基材からなる上部ユニット221と下
部ユニット222とで挟まれたスリットを有し、その先
端は吐出スリット22aとなっており、スリット内には
吐出電極22bが配置され、インク供給装置から供給さ
れたインク23がスリット内に満たされた状態になって
いる。絶縁性基材としてはたとえば、プラスチック、ガ
ラス、セラミックスなどが適用できる。また、吐出電極
22bは、絶縁性基材からなる下部ユニット222上に
アルミニウム、ニッケル、クロム、金、白金などの導電
性材料を真空蒸着、スパッタ、あるいは無電界メッキを
行い、この上にフォトレジストを塗布し、所定の電極パ
ターンのマスクを介してフォトレジストを露光し、現像
して吐出電極22bのフォトレジストパターンを形成し
たのち、これをエッチングする方法、もしくは機械的に
除去する方法、あるいはそれらを組み合わせた方法など
公知の方法により形成される。
【0031】記録ヘッド22では、画像のパターン情報
のデジタル信号に従って、吐出電極22bに電圧が印加
される。図3に示されるように、吐出電極22bに対向
する形で対向電極となる版胴11が設置されており、対
向電極となる版胴11上には版材9が設けられている。
電圧の印加により、吐出電極22bと、対向電極となる
版胴11との間には回路が形成され、記録ヘッド22の
吐出スリット22aから油性インク23が吐出され対向
電極となる版胴11上に設けられた版材9上に画像が形
成される。
【0032】吐出電極22bの幅は、高画質の画像形成
を行うためにその先端はできるだけ狭いことが好まし
い。具体的な数値は条件等によって異なるが、通常5〜
100μmの先端幅の範囲で用いられる。例えば先端が
20μm幅の吐出電極22bを用い、吐出電極22bと
対向電極となる版胴11の間隔を1.0mmとして、こ
の電極間に3KVの電圧を0.1ミリ秒印加することで
40μmのドットを版材9上に形成することができる。
【0033】さらに図5、図6はそれぞれ、他の吐出ヘ
ッドの例のインク吐出部近傍の断面概略図、前面概略図
を示すものである。図中22は吐出ヘッドで、この吐出
ヘッド22は漸減形状をした第1の絶縁性基材33を有
している。上記第1の絶縁性基材33には第2の絶縁性
基材34が離間対向して設けられ、この第2の絶縁性基
材34の先端部には斜面部35が形成されている。上記
第1、第2の絶縁性基材は、例えばプラスチック、ガラ
ス、セラミックス等で形成されている。上記第2の絶縁
性基材34の斜面部35と鋭角をなす上面部36には、
吐出部に静電界を形成する静電界形成手段として複数の
吐出電極22bが設けられている。これら複数の吐出電
極22bの先端部は上記上面部36の先端近傍まで延長
され、かつ、その先端部は上記第1の絶縁性基材33よ
りも前方に突き出され吐出部を形成している。上記第1
および第2の絶縁性基材33、34間には前記吐出部へ
のインク23の供給手段としてインク流入路37が形成
され、前記第2の絶縁性基材34の下部側にはインク回
収路38が形成されている。上記吐出電極22bは、第
2の絶縁性基材34上にアルミニウム、ニッケル、クロ
ム、金、白金などの導電性材料を用い、前述と同様、公
知の方法により形成される。個々の電極22bは電気的
には互いに絶縁状態となるように構成されている。
【0034】吐出電極22bの先端が絶縁性基材33の
先端より突き出す量は2mm以下が好ましい。この突き
出し量を上記範囲にて好ましい理由は、突き出し量が大
きすぎるとインクメニスカスが吐出部先端まで届かず、
吐出しにくくなったり、記録周波数が低下するためであ
る。また、上記第1及び第2の絶縁性基材33、34間
のスペースは0.1〜3mmの範囲が好ましい。このス
ペースを上記範囲にて好ましい理由は、スペースが狭す
ぎるとインクの供給がしにくくなり吐出しにくくなった
り、記録周波数が低下したりするためであり、スペース
が広すぎるとメニスカスが安定せず吐出が不安定になる
ためである。
【0035】上記吐出電極22bは画像データ演算制御
部21に接続され、記録を行う際には画像情報に基づき
吐出電極に電圧印加を行うことにより該吐出電極上のイ
ンクが吐出し、吐出部と対向配置された図示されない版
材上に描画が行われる。上記インク流入路37のインク
滴吐出方向と逆方向は、図示しないインク供給装置の送
インク手段に接続されている。上記第2の絶縁性基材3
4の吐出電極形成面の反対面にはバッキング39が離間
対向して設けられ、両者間にはインク回収路38が設け
られている。前記インク回収路38のスペースは0.1
mm以上が望ましい。このスペースを上記範囲にて好ま
しい理由は、スペースが狭すぎるとインクの回収がしに
くくなり、インク漏れを起こしたりするためである。ま
た前記インク回収路38は図示しないインク供給装置の
インク回収手段に接続されている。吐出部上での均一な
インクフローを必要とする場合には吐出部と前記インク
回収部の間に溝40を設けてもよい。図6は吐出ヘッド
のインク吐出部近傍の前面概略図を示しているが、第2
の絶縁性基材34の斜面には吐出電極22bとの境界近
傍からインク回収路38に向かって複数の溝40が設け
られている。この溝40は、上記吐出電極22bの配列
方向に複数並んでおり、毛細管力により吐出電極22b
側の開口部からその開口径に応じた毛細管力により一定
量の吐出電極先端近傍のインクを各溝40に導き、導か
れたインクをインク回収路38に排出する機能を有す
る。このため、吐出電極先端近傍に一定の液厚を有する
インクフローを形成する機能を有している。溝40の形
状は毛細管力が働く範囲であればよいが、特に望ましく
は幅は10〜200μm、深さは10〜300μmの範
囲である。また溝40は記録ヘッド全面にわたって均一
なインクフローを形成できるように必要数設けられる。
【0036】吐出電極22bの幅は、高画質の画像形
成、例えば印字を行うためにその先端はできるだけ細い
ことが好ましい。具体的な数値は、印加電圧、インク物
性等の条件によって異なるが、通常5〜100μmの先
端幅の範囲で用いられる。
【0037】また、本発明を実施するのに用いられる吐
出ヘッドの他の例を図7から図8に示す。図7は説明の
ため記録ヘッドの一部分のみを示した概略図である。記
録ヘッド22は、図7に示すようにプラスチック、セラ
ミック、ガラス等の絶縁性材料から作成された記録ヘッ
ド本体41とメニスカス規制板42、42′からなる。
図中、22bは吐出部に静電界を形成するために電圧印
加を行う吐出電極である。さらに記録ヘッドから規制板
42、42′を取り除いた図8により記録ヘッド本体に
ついて詳述する。記録ヘッド本体41には記録ヘッド本
体のエッジに垂直に、インクを循環させるためのインク
溝43が複数設けてある。このインク溝43の形状は均
一なインクフローを形成できるように毛細管力が働く範
囲に設定されていればよいが、特に望ましい幅は10〜
200μm、深さは10〜300μmである。インク溝
43の内部には吐出電極22bが設けられている。この
吐出電極22bは、絶縁性材料からなる記録ヘッド本体
40上にアルミニウム、ニッケル、クロム、金、白金な
どの導電性材料を使って、上述の装置実施例の場合と同
様な公知の方法により、インク溝43内全面に配置して
もよいし、一部分のみに形成してもよい。なお吐出電極
間は電気的に隔離されている。隣り合う2つのインク溝
は1つのセルを形成し、その中心にある隔壁44の先端
部には吐出部45、45′を設けている。吐出部45、
45′では隔壁は他の隔壁部分44に比べ薄くなってお
り、尖鋭化されている。このような記録ヘッド本体は絶
縁性材料ブロックの機械加工、エッチング、あるいはモ
ールディング等の公知の方法により作成される。吐出部
での隔壁の厚さは望ましくは5〜100μmであり、尖
鋭化された先端の曲率半径は5〜50μmの範囲である
ことが望ましい。なお、吐出部は45′の様に先端をわ
ずかに面取りされていてもよい。図中には2つのセルの
みを示しているが、セルの間は隔壁46で仕切られ、そ
の先端部47は吐出部45、45′よりも引っ込むよう
に面取りされている。この記録ヘッドに対し、図示され
ないインク供給装置の送インク手段によりI方向からイ
ンク溝を通してインクを流し、吐出部にインクを供給す
る。さらに図示されないインク回収手段により余剰なイ
ンクはO方向に回収され、その結果、吐出部には常時、
新鮮なインクが供給される。この状態で、吐出部に対向
する形で設けられ、その表面に版材を保持した図示され
ない版胴に対して吐出電極に画像情報に応じて電圧印加
することにより、吐出部からインクが吐出され版材上に
画像が形成される。
【0038】さらに吐出ヘッドの他の実施例について図
9を用いて説明する。図9に示すように、吐出ヘッド2
2は、略矩形板状の一対の支持部材50、50′を有し
ている。これらの支持部材50、50′は、絶縁性を有
する1〜10mmの厚さの板状のプラスチック、ガラ
ス、セラミック等から形成され、それぞれの一方の面に
は、記録解像度に応じて互いに平行に延びた複数の矩形
の溝51、51′が形成されている。各溝51、51′
は、幅10〜200μm、深さ10〜300μmの範囲
であることが望ましく、その内部全体あるいは一部に吐
出電極22bが形成されている。このように、支持部材
50、50′の一面に複数の溝51、51′を形成する
ことにより、各溝51の間には、複数の矩形の隔壁52
が必然的に設けられる。各支持部材50、50′は、溝
51、51′を形成していない面を対向させるように組
合わされる。つまり、吐出ヘッド22は、その外周面上
にインクを流通させるための複数の溝を有する。各支持
部材50、50′に形成された溝51、51′は、吐出
ヘッド22の矩形部分54を介して1対1に対応して連
結され、各溝が連結された矩形部分54は、吐出ヘッド
22の上端53より所定距離(50〜500μm)だけ
後退している。つまり、各矩形部分54の両側には、各
支持部材50、50′の各隔壁52の上端55が矩形部
分54より突出するように設けられている。そして、各
矩形部分54から、前述したような絶縁性材料からなる
ガイド突起56が突出されて設けられ吐出部を形成して
いる。上記のように構成された吐出ヘッド22にインク
を循環させる場合、一方の支持部材50の外周面に形成
された各溝51を介して各矩形部分54にインクを供給
し、反対側の支持部材50′に形成された各溝51′を
介して排出する。この場合、円滑なインクの流通を可能
とするため、吐出ヘッド22を所定角度で傾斜させてい
る。つまり、インクの供給側(支持部材50)が上方に
位置し、インクの排出側(支持部材50′)が下方に位
置するように吐出ヘッド22が傾斜されている。このよ
うに、吐出ヘッド22にインクを循環させると、各矩形
部分54を通過するインクが各突起56に沿って濡れ上
がり、矩形部分54、突起56の近くにインクメニスカ
スが形成される。そして、各矩形部分54にてそれぞれ
独立したインクメニスカスが形成された状態で、吐出部
に対向する形で設けられ、その表面に版材を保持した図
示されない版胴に対して吐出電極22bに画像情報に基
づき電圧を印加することにより、吐出部からインクが吐
出され版材上に画像が形成される。なお、各支持部材5
0、50′の外周面上に溝を覆うカバーを設けることに
より、各支持部材50、50′の外周面に沿ったパイプ
状のインク流路を形成し、このインク流路によりインク
を強制的に循環させても良い。この場合、吐出ヘッド2
2を傾斜させる必要はない。
【0039】次に、本発明にかかるクリーニング手段に
ついて図10を用いて説明する。クリーニング手段は6
0で示されている。このクリーニング手段60は、図示
のない搬送機構が記録ヘッド22をこのクリーニング手
段60まで搬送した後、少なくとも記録ヘッド22の吐
出先端部をクリーニング液57中に浸漬し、該記録ヘッ
ド22の吐出電極にインク中の固体荷電成分と同極性の
電圧を電源59から導線591を介して印加し、電源5
9の他方の導線592をクリーニング液入れ58の金属
製シャーシに接続している。このように接続することに
より、該固体荷電成分は吐出電極より反発され強力に除
去されることとなる。この場合、印加される電圧は交流
電圧でも良く、また固体荷電成分と同極性の電圧に交流
電圧を重畳しても良い。特に、交流電圧を重畳した場合
には、固体荷電成分の振動が起こり、クリーニング効果
が高められる。また、電圧印加と共に超音波を印加する
ことによって、一層効果は高められる。クリーニング液
としては,前記記録ヘッドを侵さないものなら何でも良
いが、このような液体としては、インク溶媒あるいはイ
ンク自身が好適に使用される。
【0040】図11は、図10の記録ヘッドクリーニン
グ装置の動作を説明するためのフローチャートである。
このクリーニング手段60は、この印刷装置の休止状態
が長く続く場合と、画像や画質に問題が発生した場合に
動作するもので、印刷装置の休止状態をカウントする休
止期間カウンタ(図示なし)が休止期間のカウントを
し、所定期間(例えば、1カ月)を過ぎる(ステップ
1)とクリーニング手段60が動作をする(ステップ
3)。また、公知の方法で、例えばCCDカメラで画像
や画質を常時検出してメモリ内の基準画像と画質をCP
Uで比較している。そして比較の結果、画像や画質に問
題があれば(ステップ2)、印刷装置の休止期間が所定
期間内であっても、クリーニング手段60が動作をする
(ステップ3)。クリーニング手段60が動作すると、
上述の図10のように、少なくとも記録ヘッド22の吐
出先端部をクリーニング液57中に浸漬してクリーニン
グを行うものである。クリーニング終了後は、印刷装置
の休止状態をカウントする休止期間カウンタをリセット
させて、再び印刷装置の休止状態のカウントを開始す
る。
【0041】つぎに、本発明の具体例として機上描画複
色平版印刷機について説明する。図12は、機上描画4
色片面平版枚葉印刷機の全体構成例である。図12に示
されるように、該4色片面印刷装置は基本的に図1に示
した単色片面印刷装置の版胴11、ブランケット胴1
2、圧胴13を印刷用紙Pの同じ面に印刷が行われるよ
うに4個づつ有する構造である。尚、図示はしていない
が、図中Kで示す印刷用紙の隣接圧胴間での受け渡しに
は、公知の渡し胴方式等を使用する。詳細な説明は省く
が図12の例から容易に理解されるように、その他の複
色片面印刷装置も基本的に単色片面印刷装置の版胴1
1、ブランケット胴12、圧胴13を印刷用紙Pの同じ
面に印刷が行われるように複数個づつ有するような構造
であり、版胴に1色分の版のみを作成する場合には印刷
する色数分だけ版胴、ブランケット胴を有する。(この
ような印刷装置をユニット型印刷装置と称する。)一
方、複数色分の版胴、ブランケット胴に対し、版胴直径
の整数倍の直径を有する一つの圧胴を共有する共通圧胴
型印刷装置で本発明を実施する場合は、印刷する色数分
の版胴、ブランケット胴で一つの圧胴を共有する構造で
もよいし、複数色分の版胴、ブランケット胴で一つの圧
胴を共有する構造を複数個有し、版胴、ブランケット胴
の総数が印刷する色数分あるような構造でもよい。この
場合の隣接する共通圧胴間の印刷用紙の受け渡しは、前
記公知の渡し胴方式などを使用する。
【0042】一方、版胴に複数色の版を作成する場合に
は、印刷する色数を一版胴上の版数で割った値だけ版
胴、ブランケット胴が必要となる。例えば版胴上に2色
分の版材を作成した場合には、版胴、ブランケット胴を
2つづつ有する印刷機により片面4色印刷が可能とな
る。この場合、圧胴直径は1色分の版胴径と同じとし、
圧胴には必要に応じて必要色分の印刷が終わるまで印刷
用紙を保持しておく手段を設置し、圧胴間での印刷用紙
の受け渡しには、公知の渡し胴方式などを使用する。例
えば上述の2色分の版材を作成した版胴とブランケット
胴を2つづつ有する印刷機の場合、一方の圧胴が印刷用
紙を保持して2回転すると2色印刷が行われ、次に圧胴
間での印刷用紙の受け渡しが行われ、次に他方の圧胴が
印刷用紙を保持して2回転するとさらに2色印刷が行わ
れ4色印刷が完成する。また、圧胴は版胴と同数でも良
いが、幾つかの版胴、ブランケット胴で一つの圧胴を共
有してもよい。
【0043】一方、機上描画複色両面平版印刷機として
本発明を実施する場合には、上述したユニット型印刷装
置の少なくとも1つの隣接圧胴間に公知の印刷用紙反転
手段を設ける構造か、上述した共通圧胴型印刷装置を複
数個配置し、少なくとも1つの隣接圧胴間に公知の印刷
用紙反転手段を設ける構造か、図1に示した単色片面印
刷装置の版胴11、ブランケット胴12を印刷用紙Pの
両面に印刷が行われるように複数個有するような構造で
あり、後者の構造の場合、版胴に1色分の版のみを作成
する場合には印刷用紙の両面に印刷するのに必要な色数
分だけ版胴、ブランケット胴を有する。一方、上述のよ
うに版胴に複数色の版を作成する場合には、版胴、ブラ
ンケット胴、圧胴の数は減らすことができる。また、幾
つかの版胴、ブランケット胴で一つの圧胴を共有する場
合にはさらに圧胴の数を減らすことができる。版胴には
必要に応じて必要色分の印刷が終わるまで印刷用紙を保
持しておく手段を設置する。詳細については上述の機上
描画複色片面平版印刷機の例により容易に理解できるた
め省略する。
【0044】以上、本発明の機上描画複色平版印刷機の
実施形態として枚葉印刷機の例を述べた。一方、機上描
画複色WEB(巻取紙)平版印刷機として本発明を実施
する場合は、上述のユニット型、共通圧胴型が好適に使
用できる。また、機上描画複色WEB(巻取紙)両面印
刷機として本発明を実施する場合には、ユニット型、共
通圧胴型共に、少なくとも1つの隣接する圧胴間に公知
のWEB反転手段を設ける構造、印刷用紙Pの両面に印
刷が行われるように複数個有するような構造で達成でき
る。また、機上描画複色WEB(巻取紙)両面印刷機と
して最も好適なものはBB(ブランケット・トゥ・ブラ
ンケット)型である。これはWEBの一方の面を印刷す
るための1色分の版胴、ブランケット胴(圧胴はない)
と他方の面を印刷する1色分の版胴、ブランケット胴
(同じく圧胴はない)のブランケット胴同士が印刷時圧
接する構造を色数分有し、印刷時に圧接したブランケッ
ト間をWEBが通過することで多色の両面印刷が達成さ
れる。
【0045】また、機上描画平版印刷機の別の例として
は、ブランケット胴1つあたり版胴を二つ有し、一方で
印刷を行っている際、もう一方の版胴で描画を行うこと
もできる。この場合には描画を行っている版胴の駆動は
機械的にブランケットから独立されることが望ましい。
これにより、印刷機を休止させることなく描画を行うこ
とが可能になる。なお、容易に理解されるように、これ
は機上描画複色片面平版印刷機、機上描画複色両面平版
印刷機にも適用することができる。
【0046】次に本発明に用いられる版材(印刷原版)
について説明する。印刷原版としては、アルミニウム、
クロムメッキを施した鋼板などの金属版が挙げられる。
特に砂目立て、陽極酸化処理により表面の保水性及び耐
摩耗性が優れるアルミ版が好ましい。より安価な版材と
して、耐水性を付与した紙、プラスチックフィルム、プ
ラスチックをラミネートした紙などの耐水性支持体上に
画像受理層を設けた版材が使用できる。設けられる画像
受理層の厚さは5〜30μmの範囲が適当である。
【0047】画像受理層としては、無機顔料と結着剤か
らなる親水性層、あるいは不感脂化処理によって親水化
が可能になる層を用いることができる。親水性の画像受
理層に用いられる無機顔料は、クレー、シリカ、炭酸カ
ルシウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、硫酸バリウム
などを用いることができる。また結着剤としてはポリビ
ニルアルコール、澱粉、カルボキシメチルセルロース、
ヒドロキシエチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、ポ
リアクリル酸塩、ポリビニルピロリドン、ポリメチルエ
ーテル−無水マレイン酸共重合体等の親水性結着剤が使
用できる。また、必要に応じて耐水性を付与するメラミ
ンホルマリン樹脂、尿素ホルマリン樹脂、その他架橋剤
を添加してもよい。
【0048】一方、不感脂化処理をして用いる画像受理
層としては、例えば酸化亜鉛と疎水性結着剤を用いる層
が挙げられる。
【0049】本発明に供される酸化亜鉛は、例えば日本
顔料技術協会編「新版顔料便覧」319頁、(株)誠文
堂、(1968年刊)に記載のように、酸化亜鉛、亜鉛
華、湿式亜鉛華あるいは活性亜鉛華として市販されてい
るもののいずれでもよい。
【0050】即ち、酸化亜鉛は、出発原料および製造方
法により、乾式法としてフランス法(間接法)、アメリ
カ法(直接法)および湿式法と呼ばれるものがあり、例
えば正同化学(株)、堺化学(株)、白水化学(株)、
本荘ケミカル(株)、東邦亜鉛(株)、三井金属工業
(株)等の各社から市販されているものが挙げられる。
【0051】また、結着剤として用いる樹脂として、具
体的には、スチレン共重合体、メタクリレート共重合
体、アクリレート共重合体、酢酸ビニル共重合体、ポリ
ビニルブチラール、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、エポ
キシエステル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹
脂等が挙げられる。これらの樹脂は単独で用いてもよい
し2種以上を併用してもよい。
【0052】画像受理層における樹脂の含有量は、樹脂
/酸化亜鉛の重量比で示して9/91〜20/80とす
ることが好ましい。
【0053】酸化亜鉛の不感脂化は不感脂化処理液を用
いて常法により行われ、従来よりこの種の不感脂化処理
液として、フェロシアン塩、フェリシアン塩を主成分と
するシアン化合物含有処理液、アンミンコバルト錯体、
フィチン酸及びその誘導体、グアニジン誘導体を主成分
としたシアンフリー処理液、亜鉛イオンとキレートを形
成する無機酸又は有機酸を主成分とした処理液、あるい
は水溶性ポリマーを含有した処理液等が知られている。
【0054】例えば、シアン化合物含有処理液として、
特公平44−9045号公報、同46−39403号公
報、特開昭52−76101号公報、同57−1078
89号公報、同54−117201号公報等に記載のも
のが挙げられる。
【0055】また版材の画像受理層とは反対の表面は、
そのベック平滑度が150〜700(秒/10cc)の範
囲であることが好ましい。これにより、形成された印刷
版は印刷中でも版胴上でズレや滑りを起こすことなく、
良好な印刷が行われる。
【0056】ここでベック平滑度は、ベック平滑度試験
機により測定することが出来る。ベック平滑度試験機と
は、高度に平滑に仕上げられた中央に穴のある円形の硝
子板上に、試験片を一定圧力(1kgf/cm2 (9.8N
/cm2 ))で押しつけ、減圧下で一定量(10cc)の空
気が、硝子面と試験片との間を通過するのに要する時間
を測定するものである。
【0057】以下に本発明に用いられる油性インクにつ
いて説明する。
【0058】本発明に供される油性インクは、固有電気
抵抗109Ωcm以上かつ誘電率3.5以下の非水溶媒
中に、少なくとも常温で固体かつ疎水性の樹脂粒子を分
散してなるものである。
【0059】本発明に用いる固有電気抵抗109Ωcm
以上、かつ誘電率3.5以下の非水溶媒として好ましく
は直鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素、脂環式炭化
水素、または芳香族炭化水素、及びこれらの炭化水素の
ハロゲン置換体がある。例えばヘキサン、ヘプタン、オ
クタン、イソオクタン、デカン、イソデカン、デカリ
ン、ノナン、ドデカン、イソドデカン、シクロヘキサ
ン、シクロオクタン、シクロデカン、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、メシチレン、アイソパーC、アイソパー
E、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL(アイ
ソパー;エクソン社の商品名)、シェルゾール70、シ
ェルゾール71(シェルゾール;シェルオイル社の商品
名)、アムスコOMS、アムスコ460溶剤(アムス
コ;スピリッツ社の商品名)、シリコーンオイル等を単
独あるいは混合して用いる。なお、このような非水溶媒
の固有電気抵抗の上限値は1016Ωcm程度であり、誘
電率の下限値は1.9程度である。
【0060】用いる非水溶媒の電気抵抗を上記範囲とす
るのは、電気抵抗が低くなると、樹脂粒子等の濃縮が起
こりにくくなり、十分な耐刷性が得られなくなるからで
あり、誘電率を上記範囲とするのは、誘電率が高くなる
溶媒の分極により電界が緩和され、これによりインクの
吐出が悪くなりやすくなるからである。
【0061】上記の非水溶媒中に、分散される樹脂粒子
としては、35℃以下の温度で固体で非水溶媒との親和
性のよい疎水性の樹脂の粒子であればよいが、更にその
ガラス転移点が−5℃〜110℃もしくは軟化点33℃
〜140℃の樹脂(P)が好ましく、より好ましくはガ
ラス転移点10℃〜100℃もしくは軟化点38℃〜1
20℃であり、さらに好ましくはガラス転移点15℃〜
80℃、もしくは軟化点38℃〜100℃である。
【0062】このようなガラス転移点もしくは軟化点の
樹脂を用いることによって、印刷原版の画像受理表面と
樹脂粒子との親和性が増し、また、印刷原版上での樹脂
粒子同士の結合が強くなるので、画像部と画像受理表面
との密着性が向上し、耐刷性が向上する。これに対し、
ガラス転移点もしくは軟化点が低くなっても高くなって
も画像受理表面と樹脂粒子の親和性が低下したり、樹脂
粒子同士の結合が弱くなってしまう。
【0063】樹脂(P)の重量平均分子量Mwは、1×
103〜1×106であり、好ましくは5×103〜8×
105、より好ましくは1×104〜5×105である。
【0064】このような樹脂(P)として具体的には、
オレフィン重合体及び共重合体(例えばポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリイソブチレン、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体、エチレン−アクリレート共重合体、エチ
レン−メタクリレート共重合体、エチレン−メタクリル
酸共重合体等)、塩化ビニル重合体及び共重合体(例え
ば、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体
等)、塩化ビニリデン共重合体、アルカン酸ビニル重合
体及び共重合体、アルカン酸アリル重合体及び共重合
体、スチレン及びその誘導体の重合体ならびに共重合体
(例えばブタジエン−スチレン共重合体、イソプレン−
スチレン共重合体、スチレン−メタクリレート共重合
体、スチレン−アクリレート共重合体等)、アクリロニ
トリル共重合体、メタクリロニトリル共重合体、アルキ
ルビニルエーテル共重合体、アクリル酸エステル重合体
及び共重合体、メタクリル酸エステル重合体及び共重合
体、イタコン酸ジエステル重合体及び共重合体、無水マ
レイン酸共重合体、アクリルアミド共重合体、メタクリ
ルアミド共重合体、フェノール樹脂、アルキド樹脂、ポ
リカーボネート樹脂、ケトン樹脂、ポリエステル樹脂、
シリコン樹脂、アミド樹脂、水酸基及びカルボキシル基
変性ポリエステル樹脂、ブチラール樹脂、ポリビニルア
セタール樹脂、ウレタン樹脂、ロジン系樹脂、水素添加
ロジン樹脂、石油樹脂、水素添加石油樹脂、マレイン酸
樹脂、テルペン樹脂、水素添加テルペン樹脂、クマロン
−インデン樹脂、環化ゴム−メタクリル酸エステル共重
合体、環化ゴム−アクリル酸エステル共重合体、窒素原
子を含有しない複素環を含有する共重合体(複素環とし
て例えば、フラン環、テトラヒドロフラン環、チオフェ
ン環、ジオキサン環、ジオキソフラン環、ラクトン環、
ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、1,3−ジオキ
セタン環等)、エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0065】本発明の油性インクにおける分散された樹
脂粒子の含有量は、インク全体の0.5〜20wt%と
することが好ましい。含有量が少なくなるとインクと印
刷原版の表面との親和性が得られにくくなって良好な画
像が得られなくなったり、耐刷性が低下したりする等の
問題が生じやすくなり、一方、含有量が多くなると均一
な分散液が得られにくくなったり、吐出ヘッドでのイン
クの流れが不均一となりやすく、安定なインク吐出が得
られにくい等の問題がある。
【0066】本発明に供される油性インク中には、前記
の分散樹脂粒子とともに、製版後の版を検版する等のた
めに着色成分として色材を含有させることが好ましい。
【0067】色材としては、従来から油性インク組成物
あるいは静電写真用液体現像剤に用いられている顔料及
び染料であればどれでも使用可能である。
【0068】顔料としては、無機顔料、有機顔料を問わ
ず、印刷の技術分野で一般に用いられているものを使用
することができる。具体的には、例えば、カーボンブラ
ック、カドミウムレッド、モリブデンレッド、クロムイ
エロー、カドミウムイエロー、チタンイエロー、酸化ク
ロム、ビリジアン、コバルトグリーン、ウルトラマリン
ブルー、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ系顔
料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソ
インドリノン系顔料、ジオキサジン系顔料、スレン系顔
料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、チオインジゴ系
顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料、等の従来公
知の顔料を特に限定することなく用いることができる。
【0069】染料としては、アゾ染料、金属錯塩染料、
ナフトール染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、
カーボニウム染料、キノンイミン染料、キサンテン染
料、アニリン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ニトロ
ソ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料、フタロ
シアニン染料、金属フタロシアニン染料、等の油溶性染
料が好ましい。
【0070】これらの顔料及び染料は、単独で用いても
よいし、適宜組み合わせて使用することも可能である
が、インク全体に対して0.01〜5重量%の範囲で含
有されることが望ましい。
【0071】これらの色材は、分散樹脂粒子とは別に色
材自身を分散粒子として非水溶媒中に分散させてもよい
し、分散樹脂粒子中に含有させてもよい。含有させる場
合、顔料等は分散樹脂粒子の樹脂材料で被覆して樹脂被
覆粒子とする方法等が一般的であり、染料等は分散樹脂
粒子の表面部を着色して着色粒子とする方法等が一般的
である。
【0072】本発明の非水溶媒中に、分散された樹脂粒
子、更には着色粒子等を含めて、これらの粒子の平均粒
径は0.05μm〜5μmが好ましい。より好ましくは
0.1μm〜1.0μmであり、更に好ましくは0.1
μm〜0.5μmの範囲である。この粒径はCAPA−
500(堀場製作所(株)製商品名)により求めたもの
である。
【0073】本発明に用いられる非水系分散樹脂粒子
は、従来公知の機械的粉砕方法または重合造粒方法によ
って製造することができる。機械的粉砕方法としては、
必要に応じて、樹脂粒子とする材料を混合し、溶融、混
練を経て従来公知の粉砕機で直接粉砕して、微粒子と
し、分散ポリマーを併用して、更に湿式分散機(例えば
ボールミル・ペイントシェーカー、ケデイミル、ダイノ
ミル等)で分散する方法、樹脂粒子成分となる材料と、
分散補助ポリマー(または被覆ポリマー)を予め混練し
て混練物とした後粉砕し、次に分散ポリマーを共存させ
て分散する方法等が挙げられる。具体的には、塗料また
は静電写真用液体現像剤の製造方法を利用することがで
き、これらについては、例えば、植木憲二監訳「塗料の
流動と顔料分散」共立出版(1971年)、ソロモン
「塗料の科学」広川書店(1969)、原崎勇次「コー
ティング工学」朝倉書店(1971年)、原崎勇次「コ
ーティングの基礎科学」槇書店(1977年)等の成書
に記載されている。
【0074】また、重合造粒法としては、従来公知の非
水系分散重合方法が挙げられ、具体的には、室井宗一監
修「超微粒子ポリマーの最新技術」第2章、CMC出版
(1991年)、中村孝一編「最近の電子写真現像シス
テムとトナー材料の開発・実用化」第3章、(日本科学
情報(株)1985年刊)、K. E. J. Barrett「Disper
sion Polymerization in Organic Media」 John Wiley
(1975年)等の成書に記載されている。
【0075】通常、分散粒子を非水溶媒中で分散安定化
するために、分散ポリマーを併用する。分散ポリマーは
非水溶媒に可溶性の繰り返し単位を主成分として含有
し、かつ平均分子量が、重量平均分子量Mwで1×10
3 〜1×106 が好ましく、より好ましくは5×103
〜5×105の範囲である。
【0076】本発明に供される分散ポリマーの好ましい
可溶性の繰り返し単位として、下記一般式(1)で示さ
れる重合成分が挙げられる。
【0077】
【化1】
【0078】一般式(I)において、X1は−COO
−、−OCO−または−O−を表す。
【0079】Rは、炭素数10〜32のアルキル基また
はアルケニル基を表し、好ましくは炭素数10〜22の
アルキル基またはアルケニル基を表し、これらは直鎖状
でも分岐状でもよく、無置換のものが好ましいが、置換
基を有していてもよい。
【0080】具体的には、デシル基、ドデシル基、トリ
デシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデ
シル基、エイコサニル基、ドコサニル基、デセニル基、
ドデセニル基、トリデセニル基、ヘキサデセニル基、オ
クタデセニル基、リノレニル基等が挙げられる。
【0081】a1 及びa2 は、互いに同じでも異なって
いてもよく、水素原子、ハロゲン原子(例えば、塩素原
子、臭素原子等)、シアノ基、炭素数1〜3のアルキル
基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)、−
COO−Z1 または−CH2COO−Z1 〔Z1 は、置
換されていてもよい炭素数22以下の炭化水素基(例え
ば、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、脂環式
基、アリール基等)を表す〕を表す。
【0082】Z1 で表される炭化水素基のうち、好まし
い炭化水素基としては、炭素数1〜22の置換されても
よいアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピ
ル基、ブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル
基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、
テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エ
イコサニル基、ドコサニル基、2−クロロエチル基、2
−ブロモエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシ
カルボニルエチル基、2−メトキシエチル基、3−ブロ
モプロピル基等)、炭素数4〜18の置換されてもよい
アルケニル基(例えば、2−メチル−1−プロペニル
基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、3−メチル−
2−ペンテニル基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル
基、2−ヘキセニル基、4−メチル−2−ヘキセニル
基、デセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、ヘキ
サデセニル基、オクタデセニル基、リノレニル基等)、
炭素数7〜12の置換されてもよいアラルキル基(例え
ば、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル
基、ナフチルメチル基、2−ナフチルエチル基、クロロ
ベンジル基、ブロモベンジル基、メチルベンジル基、エ
チルベンジル基、メトキシベンジル基、ジメチルベンジ
ル基、ジメトキシベンジル基等)、炭素数5〜8の置換
されてもよい脂環式基(例えば、シクロヘキシル基、2
−シクロヘキシルエチル基、2−シクロペンチルエチル
基等)、及び炭素数6〜12の置換されてもよい芳香族
基(例えば、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシ
リル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、オク
チルフェニル基、ドデシルフェニル基、メトキシフェニ
ル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、デシ
ルオキシフェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェ
ニル基、ブロモフェニル基、シアノフェニル基、アセチ
ルフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキ
シカルボニルフェニル基、ブトキシカルボニルフェニル
基、アセトアミドフェニル基、プロピオンアミドフェニ
ル基、ドデシロイルアミドフェニル基等)が挙げられ
る。
【0083】分散ポリマーにおいて一般式(I)で示さ
れる繰り返し単位とともに、他の繰り返し単位を共重合
成分として含有してもよい。他の共重合成分としては、
一般式(I)の繰り返し単位に相当する単量体と共重合
可能な単量体よりなるものであればいずれの化合物でも
よい。
【0084】分散ポリマーにおける一般式(I)で示さ
れる重合体成分の存在割合は、好ましくは50重量%以
上であり、より好ましくは60重量%以上である。
【0085】これらの分散ポリマーの具体例としては、
実施例で使用されている分散安定用樹脂(Q−1)等が
挙げられ、また、市販品(ソルプレン1205、旭化成
(株)製)を用いることもできる。
【0086】分散ポリマーは、前記の樹脂(P)粒子を
分散物(ラテックス)等として製造するときには重合に
際し予め添加しておくことが好ましい。
【0087】分散ポリマーを用いるときの添加量は粒子
用樹脂(P)に対し1〜50重量%程度とする。
【0088】本発明の油性インク中の分散樹脂粒子及び
着色粒子(あるいは色材粒子)は、好ましくは正荷電ま
たは負荷電の検電性粒子である。
【0089】これら粒子に検電性を付与するには、湿式
静電写真用現像剤の技術を適宜利用することで達成可能
である。具体的には、前記の「最近の電子写真現像シス
テムとトナー材料の開発・実用化」139〜148頁、
電子写真学会編「電子写真技術の基礎と応用」497〜
505頁(コロナ社、1988年刊)、原崎勇次「電子
写真」16(No.2)、44頁(1977年)等に記
載の荷電調節剤などの検電材料及び他の添加剤を用いる
ことで行なわれる。
【0090】具体的には、例えば、英国特許第8934
29号、同第934038号、同第1122397号、
米国特許第3900412号、同第4606989号、
特開昭60−179751号、同60−185963
号、特開平2−13965号等に記載されている。
【0091】上述のような荷電調節剤は、担体液体であ
る分散媒1000重量部に対して0.001〜1.0重
量部が好ましい。更に所望により各種添加剤を加えても
よく、それら添加物の総量は、油性インクの電気抵抗に
よってその上限が規制される。即ち、分散粒子を除去し
た状態のインクの固有電気抵抗が109 Ωcmより低く
なると良質の連続階調像が得られ難くなるので、各添加
物の添加量を、この限度内でコントロールすることが望
ましい。
【0092】
【実施例】以下に実施例を示して、本発明を詳細に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。ま
ず、インク用樹脂粒子(PL)の製造例について示す。
【0093】製造例1 樹脂粒子(PL−1)の製造 下記構造の分散安定用樹脂(Q−1)10g、酢酸ビニ
ル100g及びアイソパーH384gの混合溶液を窒素
気流下攪拌しながら温度70℃に加温した。重合開始剤
として2,2′−アゾビス(イソバレロニトリル)(略
称A.I.V.N.)0.8gを加え、3時間反応し
た。開始剤を添加して20分後に白濁を生じ、反応温度
は88℃まで上昇した。更に、この開始剤0.5gを加
え、2時間反応した後、温度を100℃に上げ2時間攪
拌し未反応の酢酸ビニルを留去した。冷却後200メッ
シュのナイロン布を通し、得られた白色分散物は重合率
90%で平均粒径0.23μmの単分散性良好なラテッ
クスであった。粒径はCAPA−500(堀場製作所
(株)製)で測定した。
【0094】
【化2】
【0095】上記白色分散物の一部を、遠心分離機(回
転数1×104 r.p.m.、回転時間60分)にかけて、沈
降した樹脂粒子分を、捕集・乾燥した。樹脂粒子分の重
量平均分子量(Mw:ポリスチレン換算GPC値)は2
×105 、ガラス転移点(Tg)は38℃であった。
【0096】実施例1 まず、油性インクを作成した。 〈油性インク(IK−1)〉ドデシルメタクリレート/
アクリル酸共重合体(共重合比;95/5重量比)を1
0g、ニグロシン10g及びシェルゾール71の30g
をガラスビーズとともにペイントシェーカー(東洋精機
(株)製)に入れ、4時間分散し、ニグロシンの微小な
分散物を得た。
【0097】インク用樹脂粒子の製造例1の樹脂粒子
(PL−1)60g(固体分量として)、上記ニグロシ
ン分散物を2.5g、FOC−1400(日産化学
(株)製、テトラデシルアルコール)15g、及びオク
タデセン−半マレイン酸ヘキサデシルアミド共重合体
0.08gをアイソパーGの1リットルに希釈すること
により黒色油性インクを作成した。
【0098】次に、機上描画平版印刷装置(図1〜図2
参照)のインクジェット記録装置に上記のように作成し
た油性インク(IK−1)2リットルをインクタンクに
充填した。ここでは吐出ヘッドとして図3に示す900
dpi、64チャンネルマルチチャンネル記録ヘッドを
使用した。インク温度管理手段として投げ込みヒータと
攪拌羽をインクタンク内に設け、インク温度は30℃に
設定し、攪拌羽を30rpmで回転しながらサーモスタ
ットで温度コントロールした。ここで攪拌羽は沈降・凝
集防止用の攪拌手段としても使用した。また、インク流
路を一部透明とし、それを挟んでLED発光素子と光検
知素子を配置し、その出力シグナルによりインクの希釈
液(アイソパーG)あるいは濃縮インク(上記IK−1
インクの固形分濃度を2倍に調整したもの)投入による
濃度管理を行った。版材として、砂目立て及び陽極酸化
処理を施した0.12mm厚みのアルミ版を、版胴に設
けた機械的装置により版頭及び版尻をくわえて装着し
た。湿し水供給装置、印刷インク供給装置、ブランケッ
ト胴を版材に接触しないように離し、エアーポンプ吸引
により版材表面の埃除去を行った後、吐出ヘッドを描画
位置まで版材に近づけ、印刷すべき画像データを画像デ
ータ演算制御部に伝送し、版胴を回転させながら64チ
ャンネル吐出ヘッドを移動させることにより、アルミ版
上に油性インクを吐出して画像を形成した。この際、イ
ンクジェット記録ヘッドの吐出電極の先端幅は10μm
とし、光学的ギャップ検出装置からの出力に応じて、記
録ヘッドと版材の距離が常に1mmになるように制御を
行った。バイアス電圧として2.5KVの電圧を常時印
加しておき、吐出を行う際には500Vのパルス電圧を
さらに重畳し、そのパルス電圧を0.2ミリ秒から0.
05ミリ秒の範囲で256段階で変化させることでドッ
トの面積を変化させながら描画を行った。埃による描画
不良等は全く見られず、また、外気温の変化、製版数の
増加によってもドット径変化等による画像劣化は全く見
られず、良好な製版が可能であった。
【0099】さらにキセノンフラッシュ定着装置(ウシ
オ電機(株)製、発光強度200J/パルス)による加
熱により画像を強固にし、刷版を作成した。インクジェ
ット記録ヘッドを保護するためにインクジェット記録装
置を副走査手段ごと版胴と近接した位置から50mm退
避させ、その後、前述のようにして、通常の平版印刷方
法により印刷用コート紙への印刷を行った。すなわち、
印刷インク及び湿し水を与え印刷画像を形成し、この印
刷インク画像を版胴と共に回転しているブランケット胴
上に転写し、次いでブランケット胴と圧胴との間を通過
する印刷用コート紙上にブランケット胴上の印刷インク
画像を転移させた。
【0100】得られた印刷物は通し枚数一万枚後でも印
刷画像に飛びやカスレがなく極めて鮮明な画像であっ
た。また、製版終了後、記録ヘッド先端部をアイソパー
Gに浸漬し、1kVの正の直流電圧を30秒間印加する
ことで6ヶ月の間、保守作業の必要なしに、良好な印刷
物を作製できた。
【0101】実施例2 攪拌手段として循環ポンプを用い、図5に示すタイプの
600dpiフルラインインクジェット記録ヘッドを配
置した。ここではポンプを使用し、このポンプと吐出ヘ
ッドのインク流入路、そして吐出ヘッドのインク回収路
とインクタンクの間にそれぞれインク溜を設け、それら
の静水圧差によりインク循環を行い、インク温度管理手
段としてはヒータと上述のポンプを使用し、インク温度
は35℃に設定し、サーモスタットでコントロールし
た。ここで循環ポンプは沈殿・凝集防止用の攪拌手段と
しても使用した。また、インク流路に電導度測定装置を
配置し、その出力シグナルによりインクの希釈あるいは
濃縮インク投入による濃度管理を行った。版材として、
上述のアルミニウム版を、平版印刷装置の版胴に同様に
装着した。ナイロン製回転ブラシにより版材表面の埃除
去を行った後、印刷すべき画像データを画像データ演算
制御部に伝送し、版胴を回転させながらフルライン記録
ヘッドで描画させることにより、アルミ版上に油性イン
クを吐出して画像を形成した。埃による描画不良等は全
く見られず、また、外気温の変化、製版数の増加によっ
てもドット径変化等による画像劣化は全く見られず、良
好な製版が可能であった。続いてヒートロール定着(日
立金属(株)社製 消費電力1.2kW)により画像を
強固にし、刷版とした。製版した版で印刷を行ったとこ
ろ、通し枚数一万枚後でも印刷画像に飛びやカスレがな
く極めて鮮明な画像であった。また、製版終了後に記録
ヘッド先端部をアイソパーGに浸漬し、0.5kV/1
kHzの交流電圧を40秒間印加することでクリーニン
グを行ったところ、6ヶ月の間、保守作業の必要なし
に、良好な印刷物を作製できた。更に、上記図5に示す
タイプのインクジェットヘッドの代わりに、図7及び図
9に示すタイプの600dpiフルラインインクジェッ
トヘッドを用いて同様に行ったところ、各々上記と同様
に良好な結果が得られた。
【0102】実施例3 機上描画4色片面平版印刷装置(図12参照)のインク
ジェット記録装置に、吐出ヘッドとして図7に示すフル
ライン記録ヘッドを使用し、テフロン製の付き当てロー
ラによるギャップ調整(ギャップ0.8mm)を行っ
た。その他、インク濃度制御手段として描画枚数による
インクタンクへの濃縮インク補給を行った以外は実施例
1と同様の操作を行い、5000枚の製版を行った。そ
の結果、埃による描画不良、外気温の変化による影響は
全く見られなかった。製版数の増加によって、ドット径
に多少の変化が見られたが、影響はない範囲内だった。
また、製版した版は、前述と同様のフラッシュ定着の
他、ハロゲンランプ照射(ウシオ電機(株)製QIR、
消費電力1.5kW)、酢酸エチル噴霧による定着も行
った。ハロゲンランプ照射の際には版面温度95℃で2
0秒間加熱が行われるようにし、酢酸エチル噴霧の場合
には噴霧量が1g/m2程度になるようにした。その結
果、通し枚数1万枚後でも印刷画像に飛びやカスレがな
く極めて鮮明なフルカラー印刷物が得られた。特にヒー
トロール、あるいはハロゲンランプによる定着では版胴
のまわりに断熱材(PETフィルム)を巻いておくこと
で定着時間を大幅に短くできた。なお、その場合には導
電性ブラシ(槌屋製サンダーロン、抵抗約10-1Ωcm)
接触によりアルミ基体の接地を行った。また、製版終了
後に記録ヘッド先端部をインクに浸漬し、0.8kVの
正の直流電圧に0.3kV/500Hzの交流電圧を重
畳し、10秒間印加することでクリーニングをしたとこ
ろ、6ヶ月の間、保守作業の必要なしに、良好な印刷物
を作製できた。
【0103】実施例4 実施例1のアルミ版の替わりに、以下に示す表面に親水
性の画像受理層を設けた紙版材を用いた以外は実施例1
と同じ操作を行った。
【0104】基体として坪量100g/m2 の上質紙を
用い、基体の両面にカオリンと、ポリビニルアルコー
ル、SBRラテックスおよびメラミン樹脂の樹脂成分と
を主成分とする耐水性層を設けた紙支持体上に下記組成
で下記のようにして調製した分散液Aを乾燥後塗布量と
して6g/m2となるように画像受理層を設けて紙版材
とした。
【0105】 分散液A ゼラチン(和光純薬一級品) 3g コロイダルシリカ(日産化学製;スノーテックスC、20%水分散液) 20g シリカゲル(富士シリシア化学製;サイリシア#310) 7g 硬膜剤 0.4g 蒸留水 100g をガラスビーズとともにペイントシェーカーで10分間
分散した。
【0106】得られた印刷物は通し枚数1万枚後でも印
刷画像に飛びやカスレがなく極めて鮮明な画像であっ
た。一方、印刷用紙として上質紙を使用したところ、3
千枚印刷時に一部紙粉によるベタのつぶれ不良が発生し
たため、給紙部付近にエア吸引ポンプを紙粉防止装置と
して設置し、印刷を行った。その結果、印刷不良は発生
せず、得られた印刷物は通し枚数五千枚後でも飛びやカ
スレがなく極めて鮮明な画像であった。ただし通し枚数
五千枚後では、A3サイズの画像の縦方向で0.1mm
の伸びが認められた。また、製版終了後に記録ヘッド先
端部をドライヤーで乾燥させたところ、次の製版時にイ
ンク固着による描画不良が発生した。そこでアイソパー
Cにに浸漬し、1kVの正の直流電圧に0.6kV/6
0Hzの交流電圧を重畳し、1分間印加したところ、描
画不良は解消し、6ヶ月の間、保守作業の必要なしに、
良好な印刷物を作製できた。
【0107】実施例5 実施例1のアルミ版の替わりに、以下に示す表面に不感
脂化処理により親水化が可能になる画像受理層を設けた
版材を用い、刷版作成後に版面不感脂化処理装置を用い
て非画像部を親水化し、描画の際に導電性板バネ(燐青
銅製)接触により版材導電層の接地をとり、版材に熱風
を当てることにより定着を行った以外は実施例1と同じ
操作を行った。
【0108】基体として坪量100g/m2の上質紙を
用い、基体の両面にポリエチレンフィルムを20μmの
厚みにラミネートし耐水性とした紙支持体上に下記組成
で下記のようにして調製した導電層用塗料を片面に塗布
し、乾燥後塗布量として10g/m2となるようにし、
さにその上に分散液Bを乾燥後塗布量として15g/m
2となるように画像受理層を設けて版材とした。
【0109】・導電層用塗料;カーボンブラック(30
%水分散液)5.4部、クレー(50%水分散液)5
4.6部、SBRラテックス(固形分50%、Tg25
℃)36部、メラミン樹脂(固形分80%、スミレッツ
レジンSR−613)4部を混合し、全体の固形分が2
5%となるように水を加えて塗料とした。・分散液B;
乾式酸化亜鉛100g、下記構造の結着樹脂(B−1)
3g、結着樹脂(B−2)17g、安息香酸0.15g
及びトルエン155gの混合物を湿式分散機ホモジナイ
ザー(日本精機(株)製)を用いて回転数6,000r
pmで8分間分散した。
【0110】
【化3】
【0111】得られた印刷物は、通し枚数五千枚でも印
刷画像に飛びやカスレがなく極めて鮮明な画像であっ
た。また、製版終了後に記録ヘッド先端部をイソプロパ
ノールに浸漬し、0.5kVの交流電圧を20秒間印加
することでクリーニングをしたところ、6ヶ月の間、保
守作業の必要なしに、良好な印刷物を作製できた。
【0112】
【発明の効果】本発明によれば、鮮明な画像の印刷物を
多数枚印刷することができる。また、印刷機上で直接デ
ジタル画像データに対応した刷版が安定して高画質に作
成でき、安価で高速の平版印刷が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる機上描画平版印刷装置の一例を
模式的に示す全体構成図である。
【図2】本発明に用いる機上描画平版印刷装置の描画部
の一例を模式的に示す構成図である。
【図3】本発明に用いるインクジェット記録装置に備え
られる記録ヘッドの一例を示す概略構成図である。
【図4】図3のインク吐出部近傍の断面概略図である。
【図5】本発明に用いるインクジェット記録装置に備え
られる他の記録ヘッドの一例におけるインク吐出部近傍
の断面概略図である。
【図6】図5のインク吐出部近傍の前面概略図である。
【図7】本発明に用いるインクジェット記録装置に備え
られる他の記録ヘッドの一例の要部を示す概略構成図で
ある。
【図8】図7の記録ヘッドから規制板を取り除いた記録
ヘッドの概略構成図である。
【図9】本発明に用いるインクジェット記録装置に備え
られる他の記録ヘッドの一例の要部を示す概略構成図で
ある。
【図10】本発明にかかる記録ヘッドクリーニング装置
を説明するための説明図である。
【図11】図10の記録ヘッドクリーニング装置の動作
を説明するためのフローチャートである。
【図12】本発明にかかる複色機の一例として、機上描
画4色片面平版印刷機を模式的に示す全体構成図であ
る。
【符号の説明】
1 機上描画平版印刷装置 2 インクジェット記録装置 3 湿し水供給装置 4 印刷インク供給装置 5 定着装置 6 版面不感脂化装置 7 版材自動給版装置 8 版材自動排版装置 9 版材(印刷原版) 10 埃除去手段 11 版胴 12 ブランケット胴 13 圧胴 14 ブランケット洗浄装置 14’ 圧胴洗浄装置 15 紙粉発生防止装置 21 画像データ演算制御部 22 吐出ヘッド 221 上部ユニット 222 下部ユニット 22a 吐出スリット 22b 吐出電極 23 油性インク 24 インク供給部 25 インクタンク 26 インク供給装置 27 攪拌手段 28 インク温度管理手段 29 インク濃度制御手段 30 エンコーダー 31 記録ヘッド離接装置 32 記録ヘッド副走査手段 33 第1の絶縁性基材 34 第2の絶縁性基材 35 第2の絶縁性基材の斜面部 36 第2の絶縁性基材の上面部 37 インク流入路 38 インク回収路 39 バッキング 40 溝 41 記録ヘッド本体 42、42′メニスカス規制版 43 インク溝 44 隔壁 45、45′吐出部 46 隔壁 47 隔壁先端部 50、50′支持部材 51、51′溝 52 隔壁 53 上端部 54 矩形部分 55 隔壁の上端 56 ガイド突起 57 クリーニング液 58 クリーニング液入れ 59 電源 60 記録ヘッドクリーニング手段 P 印刷紙
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石井 一夫 静岡県榛原郡吉田町川尻4000番地 富士写 真フイルム株式会社内 (72)発明者 加藤 栄一 静岡県榛原郡吉田町川尻4000番地 富士写 真フイルム株式会社内 Fターム(参考) 2C034 AA12 BA02 2H084 AA25 AA38 AE05 BB02 BB16 CC05 2H113 AA01 AA05 BA05 BC02 DA04 DA24 DA46 DA53 EA27 FA29

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】印刷機の版胴に版材を装着し、該版材上に
    画像データの信号に基づき静電界を利用して油性インク
    を吐出させるインクジェット方式で直接画像を形成して
    刷版を作成し、該版材をその状態で用いて引き続き平版
    印刷を行なう機上描画平版印刷方法において、インクジ
    ェット記録ヘッドをクリーニング液中に浸漬し、前記記
    録ヘッドに電圧を印加することにより記録ヘッドのクリ
    ーニングを行なうことを特徴とする機上描画平版印刷方
    法。
  2. 【請求項2】前記油性インクが、固有電気抵抗値109
    Ωcm以上かつ誘電率3.5以下の非水溶媒中に、少な
    くとも常温で固体かつ疎水性の樹脂粒子を分散したもの
    であることを特徴とする請求項1記載の機上描画平版印
    刷方法。
  3. 【請求項3】印刷機の版胴に装着された版材上に画像デ
    ータの信号に基づき直接画像を形成する直接画像形成手
    段として静電界を利用して油性インクを吐出させる記録
    ヘッドを有するインクジェット描画装置を備え、該直接
    画像形成手段によって形成された刷版で平版印刷を行な
    う平版印刷手段とを備えた機上描画印刷装置において、 前記記録ヘッドをクリーニング液中に浸漬した状態で、
    前記記録ヘッドに電圧を印加することによりクリーニン
    グを行なう記録ヘッドクリーニング手段を備えたことを
    特徴とする機上描画平版印刷装置。
  4. 【請求項4】前記油性インクが、固有電気抵抗値109
    Ωcm以上かつ誘電率3.5以下の非水溶媒中に、少な
    くとも常温で固体かつ疎水性の樹脂粒子を分散したもの
    であることを特徴とする請求項3記載の機上描画平版印
    刷装置。
  5. 【請求項5】前記直接画像形成手段は、前記インクの定
    着装置を備えたことを特徴とする請求項3または4項記
    載の機上描画平版印刷装置。
  6. 【請求項6】前記直接画像形成手段は、版材への描画前
    及び/又は描画中に版材表面に存在する埃を除去する版
    材表面埃除去手段を備えたことを特徴とする請求項3〜
    5のいずれか1項記載の機上描画平版印刷装置。
  7. 【請求項7】前記版材への描画時に、前記直接画像形成
    手段が、前記版材の装着された版胴の回転により主走査
    を行なうことを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項
    記載の機上描画平版印刷装置。
  8. 【請求項8】前記記録ヘッドは、シングルチャンネル記
    録ヘッド又はマルチチャンネル記録ヘッドからなり、前
    記版材への描画時に該記録ヘッドが前記版胴の軸方向に
    移動することにより副走査を行なうことを特徴とする請
    求項7記載の機上描画平版印刷装置。
  9. 【請求項9】前記インクジェット描画装置は、版胴の幅
    と略同じ長さを有するフルライン記録ヘッドを備えたこ
    とを特徴とする請求項7記載の機上描画平版印刷装置。
  10. 【請求項10】前記インクジェット描画装置は、前記記
    録ヘッドにインクを供給するインク供給手段を備えたこ
    とを特徴とする請求項3〜9のいずれか1項記載の機上
    描画平版印刷装置。
  11. 【請求項11】前記記録ヘッドからインクを回収するイ
    ンク回収手段を備え、前記インク供給手段及びインク回
    収手段によりインク循環を行なうことを特徴とする請求
    項10記載の機上描画平版印刷装置。
  12. 【請求項12】前記油性インクを格納するインクタンク
    内にインク攪拌手段を備えたことを特徴とする請求項3
    〜11のいずれか1項記載の機上描画平版印刷装置。
  13. 【請求項13】前記油性インクを格納するインクタンク
    内にインクの温度を制御するインク温度制御手段を備え
    たことを特徴とする請求項3〜12のいずれか1項記載
    の機上描画平版印刷装置。
  14. 【請求項14】前記インクのインク濃度を制御するイン
    ク濃度制御手段を備えたことを特徴とする請求項3〜1
    3のいずれか1項記載の機上描画平版印刷装置。
  15. 【請求項15】前記インクジェット描画装置は、前記版
    材への描画時に前記記録ヘッドを前記版胴へ接近させ、
    該版材への描画時以外は該記録ヘッドを該版胴から離す
    記録ヘッド離接手段を備えたことを特徴とする請求項3
    〜14のいずれか1項記載の機上描画平版印刷装置。
  16. 【請求項16】前記平版印刷手段は平版印刷時に発生す
    る紙粉を除去する紙粉除去手段を備えたことを特徴とす
    る請求項3〜請求項15のいずれか1項記載の機上描画
    平版印刷装置。
JP2000007064A 1999-05-17 2000-01-14 機上描画平版印刷方法及び機上描画平版印刷装置 Withdrawn JP2001191478A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000007064A JP2001191478A (ja) 2000-01-14 2000-01-14 機上描画平版印刷方法及び機上描画平版印刷装置
US09/572,433 US6513434B1 (en) 1999-05-17 2000-05-17 On-press recording type lithographic printing method and apparatus

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000007064A JP2001191478A (ja) 2000-01-14 2000-01-14 機上描画平版印刷方法及び機上描画平版印刷装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001191478A true JP2001191478A (ja) 2001-07-17

Family

ID=18535493

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000007064A Withdrawn JP2001191478A (ja) 1999-05-17 2000-01-14 機上描画平版印刷方法及び機上描画平版印刷装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001191478A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20140128332A (ko) * 2012-01-13 2014-11-05 아르조 위긴스 파인 페이퍼즈 리미티드 시트의 제조방법

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20140128332A (ko) * 2012-01-13 2014-11-05 아르조 위긴스 파인 페이퍼즈 리미티드 시트의 제조방법
KR102145822B1 (ko) * 2012-01-13 2020-08-28 아르조 위긴스 파인 페이퍼즈 리미티드 시트의 제조방법

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6945631B2 (en) Image forming method and apparatus
JP2000158624A (ja) 平版印刷方法
US6470799B2 (en) Computer-to-cylinder type lithographic printing method and computer-to-cylinder type lithographic printing apparatus
US20020038611A1 (en) Plate-making method, plate-making apparatus, computer-to-cylinder type lithographic printing process and computer-to-cylinder type lithographic printing apparatus
US6513434B1 (en) On-press recording type lithographic printing method and apparatus
JP2003080664A (ja) 機上描画平版印刷方法及び機上描画平版印刷装置
US6481830B2 (en) Ink jet plate-making method, ink jet plate-making apparatus, computer-to-cylinder type lithographic printing process and computer-to-cylinder type lithographic printing apparatus
JP2002036488A (ja) インクジェット式製版方法及び製版装置
JP2001270071A (ja) 製版方法及び製版装置
JP2001138474A (ja) インクジェット記録方法及びそれを用いた平版印刷方法
JP2002019068A (ja) 製版方法及び製版装置
JP2001191478A (ja) 機上描画平版印刷方法及び機上描画平版印刷装置
JP2001225440A (ja) 製版方法及び製版装置
JP2000280438A (ja) 平版印刷方法
JP2001232745A (ja) 製版方法及び製版装置
JP2001171071A (ja) 機上描画平版印刷方法及び機上描画平版印刷装置
US20020157551A1 (en) Plate-making method and plate-making apparatus
JP2003053929A (ja) 機上描画平版印刷方法及び機上描画平版印刷装置
JP2002292819A (ja) 機上描画平版印刷方法及び機上描画平版印刷装置
JP2003326667A (ja) 機上描画平版印刷方法及び機上描画平版印刷装置
JP2002001898A (ja) 機上描画平版印刷方法及び機上描画平版印刷装置
JP2002273847A (ja) 製版方法及び製版装置
JP2000326479A (ja) 平版印刷方法および平版印刷装置
JP2000326477A (ja) 平版印刷方法および平版印刷装置
JP2000326478A (ja) 平版印刷方法および平版印刷装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050825

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20060324

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20061124

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20061204