JP2001183085A - 蓄熱槽、蓄熱装置及び蓄熱及び熱回収方法 - Google Patents

蓄熱槽、蓄熱装置及び蓄熱及び熱回収方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】過冷却状態にある潜熱蓄熱体に凝固を誘発させ
ることにより、潜熱蓄熱材が発生する融解熱を回収利用
する蓄熱槽、蓄熱装置及びこの装置を利用した熱回収方
法。 【解決手段】潜熱蓄熱材及び固体片が封入された潜熱蓄
熱体を収容しており、潜熱蓄熱体と蓄熱槽との間には熱
媒体を流すことができる空間を有している蓄熱槽、 前
記固体片に振動を与える振動付与手段として、固体片の
位置で振動の振幅の腹を持つような外力を付与する振動
付与手段又は固体片を固体片の固有振動数で振動させる
外力を付与する振動付与手段がが敷設されていることか
らなることを特徴とする蓄熱槽、蓄熱装置及びこの装置
を利用した熱回収方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、蓄熱槽、蓄熱槽を
用いた蓄熱装置及びこの蓄熱装置を用いた蓄熱及び熱回
収方法に関する。
【0002】
【従来の技術】熱の蓄熱保存過程においては蓄熱材を過
冷却状態に維持し、熱の回収過程において、何らかの手
段を用いて過冷却状態にある蓄熱材に凝固を誘発させ
て、相変化に伴い発生する蓄熱材の融解熱を回収利用す
る蓄熱装置がある。この回収装置では、凝固を誘発させ
るための発核手段が種々検討されている。具体的には、
例えば、蓄熱材にショックまたは振動を与えることによ
る特開平3−292214号公報等がある。
【0003】前記公報に記載された自動車の室内暖房装
置の蓄熱部は、図2に示すとおりである。自動車の即暖
房のための熱源となる。蓄熱部は囲い枠状の枠体31内
に、合成樹脂材のシート等から形成される水密なシート
である四角な箱状に形成されたパック32を保持せし
め、そのパック32には、前記枠体31を透通する方向
の通気管33多数本を並列させて装設しておき、このパ
ック32内に、チオ硝酸ナトリウムまたは酢酸ナトリウ
ム等が満たされており、液相でゆっくりと冷却されるこ
とで液相のまま過冷却の状態となる物質を、蓄熱材36
として密封状態に充填しておく。さらに、このパック3
2に充填された蓄熱材36に対してショックを与える衝
撃部材34を組み付け、その衝撃部材34を、リモート
コントロールにより作動させる押し釘式の操作部材35
を連繋しておき、キャビン(図示されず)内に配設する
ことで構成されている。
【0004】この構成の暖房装置の蓄熱部は、自動車の
運転時に暖房装置によってもたらされる温風により加温
され、パック32内に充填されている蓄熱材36である
酢酸ナトリウムは融解して液相になる。次に、自動車の
運転を終えて、スイッチを切り、自動車を次に運転する
まで放置しておくと、蓄熱材36は静置状態において放
冷されることになり、次に自動車の運転をするときが翌
日の朝であれば、その朝の外気温まで温度降下するよう
になる。そして、この静置状態での放冷により、蓄熱材
36は、液相のまま過冷却の状態となって冷却され、こ
れにより、融解熱に相当する熱量を蓄えた状態となる。
この過冷却の状態として蓄熱した熱量を、次回に自動車
を運転するときに放出させて、運転開始直後の冷えてい
るキャビン内の即暖房に用いる。すなわち、エンジン始
動時にキャビン内に配設してある操作部材35を操作し
て衝撃部材34を作動させ、蓄熱材36にショックまた
は振動を与えれば、瞬時に過冷却の状態が破れて固相に
変換していき、融解熱に相当する熱量を放出する。この
融解熱を用いて自動車のキャビン内の即暖房が可能にな
る。従来の暖房装置の蓄熱部は、凝固を誘発させる手段
として衝撃部材34を用いるものであり、単なるショッ
クや振動では実用に至るような凝固を開始させられない
ことが問題点として、指摘されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、過冷
却状態にある潜熱蓄熱体を用いる蓄熱槽及び過冷却状態
にある潜熱蓄熱体に凝固を誘発させることにより、潜熱
蓄熱材が発生する融解熱を回収利用する蓄熱槽、この蓄
熱槽を用いる蓄熱装置及びこの蓄熱装置を用いた蓄熱及
び熱回収方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、潜熱蓄熱
材4が収容されている潜熱蓄熱体3中に固体片を存在さ
せておき、前記固体片に振動を与える振動付与手段とし
て、固体片の位置で振動の振幅の腹を持つような外力を
付与する振動付与手段、又は固体片を固体片の固有振動
数で振動させる外力を付与する振動付与手段を用いて、
蓄熱槽を振動させると、振動の圧力波は熱媒体2を経て
潜熱蓄熱体3及び潜熱蓄熱材4へ順々に伝播し、固体片
13に達して固体片13を振動させることができ、潜熱
蓄熱体3の壁との間で摩擦が起き、過冷却の準安定状態
が破れ、核が発生して凝固させることができることを見
いだした。即ち、固体片13を前記手段より振動させる
と、固体片13と潜熱蓄熱材4の温度を凝固開始温度ま
で低下させることなく凝固を開始させることができるこ
とを見いだした。このような振動付与手段を用いると、
外部からの振動のエネルギーを、より有効に固体片13
の振動に利用することができることを見いだして、本発
明を完成させたものである。
【0007】すなわち、本発明によれば以下の発明が提
供される。潜熱蓄熱材及び固体片が封入された潜熱蓄熱
体が収容され、前記潜熱蓄熱体と蓄熱槽との間には熱媒
体を流すことができる空間が設けられており、 前記固
体片に振動を与える振動付与手段として、固体片の位置
で振動の振幅の腹を持つような外力を付与する振動付与
手段が敷設されていることからなることを特徴とする蓄
熱槽。潜熱蓄熱材及び固体片が封入された潜熱蓄熱体が
収容され、前記潜熱蓄熱体と蓄熱槽との間には熱媒体を
流すことができる空間が設けられており、 前記固体片
に振動を与える振動付与手段として、固体片を固体片の
固有振動数で振動させる外力を付与する振動付与手段が
敷設されていることからなることを特徴とする蓄熱槽。
前記記載のいずれかである蓄熱槽、潜熱蓄熱体と蓄熱槽
との間に熱媒体を流すことのできる空間、前記空間に満
たされた熱媒体、前記熱媒体を加熱・冷却するための熱
交換手段、 及び前記熱媒体から熱を回収する熱回収手
段を有することを特徴とする蓄熱装置。前記記載のいず
れかである蓄熱槽、潜熱蓄熱体と蓄熱槽との間に熱媒体
を流すことのできる空間、前記空間と熱媒体を加熱・冷
却するための熱交換手段とが開閉手段及び熱媒体駆動手
段を介して連絡されている熱媒体流路、及び前記潜熱蓄
熱体と蓄熱槽との間の空間と、熱回収設備を結ぶ連絡路
とが開閉手段と熱媒体駆動手段を介して連絡されている
熱媒体流路からなることを特徴とする蓄熱装置。前記記
載のいずれかである蓄熱槽、前記熱媒体を前記蓄熱槽に
導入し、潜熱蓄熱体と蓄熱槽との間の空間を経由させた
のちに蓄熱槽から排出して、再び蓄熱槽に導入するに至
る熱媒体循環経路に、熱媒体を加熱・冷却するための熱
交換手段及び熱回収設備が並列に設置され、前記循環経
路中に熱媒体の流れを調節する開閉手段及び熱媒体駆動
手段が設けられており、さらに前記循環経路とは別に、
潜熱蓄熱体と蓄熱槽との間の空間の一部を経由させたの
ちに蓄熱槽から熱媒体を排出し、前記循環経路に接続さ
れる熱媒体流路が、開閉手段を介して設けられているこ
とを特徴とする蓄熱装置。潜熱蓄熱材に粘性を増加させ
る物質を添加して用いることを特徴とする前記記載のい
ずれかである蓄熱装置。潜熱蓄熱材及び固体片が封入さ
れた潜熱蓄熱体を収容しており、前記固体片に振動を与
える振動付与手段として、固体片の位置で振動の振幅の
腹を持つような外力を付与する振動付与手段を敷設した
蓄熱槽を用いて、前記潜熱蓄熱材を融解させたのちに過
冷却状態で保持し、前記固体片に振動を付与して潜熱蓄
熱材を凝固させることにより、融解熱を発生させ、熱回
収することを特徴とする蓄熱及び熱回収方法。潜熱蓄熱
材及び固体片が封入された潜熱蓄熱体を収容しており、
前記固体片に振動を与える振動付与手段として、固体片
を固体片の固有振動数で振動させる外力を付与する振動
付与手段を敷設した蓄熱槽を用いて、前記潜熱蓄熱材を
融解させたのちに過冷却状態で保持し、前記固体片に振
動を付与して潜熱蓄熱材を凝固させることにより、融解
熱を発生させ、熱回収することを特徴とする蓄熱及び熱
回収方法。潜熱蓄熱材及び固体片が封入された潜熱蓄熱
体を収容しており、前記潜熱蓄熱体と蓄熱槽との間に熱
媒体を流すことができる空間、前記空間に満たされた熱
媒体を有している蓄熱槽に、前記固体片に振動を与える
振動付与手段として、固体片の位置で振動の振幅の腹を
持つような外力を付与する振動付与手段を敷設した蓄熱
槽を用いて、前記熱媒体により前記潜熱蓄熱材を加熱融
解させたのちに過冷却状態で保持し、前記固体片に振動
を付与して潜熱蓄熱材を凝固させることにより、融解熱
を発生させ、発生した融解熱を前記熱媒体で回収するこ
とを特徴とする蓄熱及び熱回収方法。潜熱蓄熱材及び固
体片が封入された潜熱蓄熱体を収容しており、前記潜熱
蓄熱体と蓄熱槽との間に熱媒体を流すことができる空
間、前記空間に満たされた熱媒体を有している蓄熱槽
に、前記固体片に振動を与える振動付与手段として、固
体片を固体片の固有振動数で振動させる外力を付与する
振動付与手段を敷設した蓄熱槽を用いて、前記熱媒体に
より潜熱蓄熱材を加熱融解させたのちに過冷却状態で保
持し、前記固体片に振動を付与して潜熱蓄熱材を凝固さ
せることにより、融解熱を発生させ、発生した融解熱を
前記熱媒体で回収することを特徴とする蓄熱及び熱回収
方法。前記記載のいずれかによる蓄熱及び熱回収方法に
おいて、潜熱蓄熱体と蓄熱槽との間の空間と、熱媒体を
加熱・冷却するための熱交換手段とが開閉手段及び熱媒
体駆動手段を介して連絡されており、この通路に熱媒体
を流して潜熱蓄熱材を融解させたのちに過冷却状態で保
持し、固体片に振動を付与して潜熱蓄熱材を凝固させる
ことにより、融解熱を発生させ、潜熱蓄熱体と蓄熱槽と
の間の空間と、熱回収設備とを結ぶ連絡路が、開閉手段
と熱媒体駆動手段とを介して連絡されている通路に熱媒
体を流して、潜熱蓄熱材から発生する融解熱を回収する
ことを特徴とする蓄熱及び熱回収方法。前記記載のいず
れかの蓄熱及び熱回収方法において、潜熱蓄熱体と蓄熱
槽との間の空間と、熱媒体を加熱・冷却するための熱交
換手段とが開閉手段及び熱媒体駆動手段を介して連絡さ
れており、この通路熱媒体循環経路に熱媒体を流して潜
熱蓄熱材を融解させたのちに過冷却状態で保持し、前記
循環経路とは別に、潜熱蓄熱体と蓄熱槽との間の空間の
一部を経由させた後に蓄熱槽から熱媒体を排出し、前記
循環経路に開閉手段を介して接続される熱媒体流路に熱
媒体を流して潜熱蓄熱材を冷却したのちに、前記固体片
に振動を付与して潜熱蓄熱材を凝固させることにより、
融解熱を発生させ、潜熱蓄熱体と蓄熱槽との間の空間
と、熱交換手段と並列に設置されている熱回収設備とを
開閉手段と熱媒体駆動手段を介して連絡する通路に熱媒
体を流して、潜熱蓄熱材から発生する融解熱を回収する
ことを特徴とする蓄熱及び熱回収方法。潜熱蓄熱材に粘
性を増加させる物質を添加して用いることを特徴とする
前記いずれか記載の蓄熱及び熱回収方法。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の蓄熱装置の断面図は、図
1に示されている通りである。蓄熱装置には、蓄熱槽1
が設けられており、この蓄熱槽1には、潜熱蓄熱体3が
設置されている。この蓄熱槽1の潜熱蓄熱体3と蓄熱槽
1との間には、熱媒体2を流すことができるように空間
7が形成されている。潜熱蓄熱体3には、潜熱蓄熱材4
及び固体片13が封入されている。
【0009】本発明の蓄熱装置は、この熱媒体2を用い
て潜熱蓄熱材4の加熱融解及び潜熱蓄熱材が発生した熱
を回収することができるものである。熱の供給及び発生
した熱の回収を行う装置は以下のように組み立てられ
る。潜熱蓄熱体と蓄熱槽の間の空間7と、熱媒体2を加
熱するための熱交換手段5とが開閉手段10及び熱媒体
駆動手段12を介して連絡される熱媒体流路、及び潜熱
蓄熱体と蓄熱槽の間の空間7と、熱回収設備6を結ぶ連
絡路が開閉手段11と熱媒体駆動手段12を介して連絡
されている熱媒体流路から構成されている。この熱の供
給及び発生した熱の回収装置である熱回収設備6は、以
下のように組み立てられることにより一層合理的に運転
される。蓄熱槽に熱媒体を導入する経路(b)を経て潜
熱蓄熱体と蓄熱槽の間の空間7に導かれ、更に蓄熱槽1
から熱媒体が排出する経路(a)から排出され、再び蓄
熱槽に熱媒体2を導入する経路からなる熱媒体2の循環
経路に、熱媒体2を加熱・冷却するための熱交換手段5
及び熱回収設備6が並列に設けられ、前記循環経路中に
熱媒体2の流れを調節する開閉手段9、10,11及び
熱媒体駆動手段12が設けられている熱媒体循環経路、
及びこの熱媒体循環経路とは別に、潜熱蓄熱体と蓄熱槽
の間の空間を経て蓄熱槽から熱媒体2が排出されて開閉
手段8を介して前記熱媒体循環経路に接続する熱媒体循
環経路から構成されている。
【0010】潜熱蓄熱体3には、潜熱蓄熱材4が充填さ
れている。潜熱蓄熱材4中には固体片13を存在させて
いる。固体片は、潜熱蓄熱材に対して振動、回転などの
運動により、物理的な刺激を与えることができるもので
あれば、任意の形状のものが使用できる。具体的には、
板状、球状、円筒状、角柱状等任意の形状のものを使用
することができる。材質は潜熱蓄熱材4に腐食されない
もので、かつ蓄熱槽1の運用される温度範囲において相
変化しないものであれば差し支えない。具体的には、金
属やセラミックス、ガラス、鉱石等の種々の物質から選
ばれるものが利用できる。金属の固体片ではステンレス
製の棒状体(rod)や板状体などが用いられる。固体
片は、蓄熱槽及び潜熱蓄熱体に振動、回転などの運動に
よる刺激が与えられたときに、潜熱蓄熱材の中で揺れ動
かされることにより、過冷却の状態にある潜熱蓄熱材を
凝固させるものである。潜熱蓄熱体3が複数個の場合、
固体片13も蓄熱体3のそれぞれに封入される。蓄熱槽
に接して振動子14が設けられている。振動子14は蓄
熱槽に振動を発生させることにより、潜熱蓄熱体及び潜
熱蓄熱材にも振動を与えることができ、その結果、固体
片13を振動させ、潜熱蓄熱材4の一部を強制的に結晶
化させるためのものである。
【0011】蓄熱槽1に接して、蓄熱槽1及び潜熱蓄熱
体3に対して振動を与える手段が設けられている。外部
から固体片13に振動を与えるには、超音波のような指
向性の強い振動を利用すれば、より効果的であり、実現
することが容易である。すなわち、振動子14に10k
Hz程度以上の高周波電力を与え、超音波振動を発生さ
せると、蓄熱槽1に接して取り付けられている振動子1
4が同じ周波数で振動し、その部分に接する蓄熱槽の内
部の熱媒体2を振動させて熱媒体2の中に縦波を発生さ
せる。この縦波は高周波の性質により、振動子14直近
の潜熱蓄熱体3の壁を振動させ、その部分の内側に接す
る潜熱蓄熱材4を振動させて、潜熱蓄熱材4の中に縦波
を発生させる。このようにして、縦波はほぼ直線状に蓄
熱槽から熱媒体2の中を伝わる。さらに、この縦波も高
周波の性質でほぼ直線状に潜熱蓄熱材4の中を伝わり、
やがて固体片13に達し、振動子14の周波数の振動を
与えることができる。振動を発生させる手段は、以下の
2通りの手段がある。 (1)固体片の位置で振動の振幅の腹を持つような外力
を付与する振動付与手段、及び(2)固体片を固体片の
固有振動数で振動させる外力を付与する振動付与手段。
【0012】固体片の位置で振動の振幅の腹を持つよう
な外力を付与する振動付与手段は次の通りである。外部
から固体片13に振動を与える際に、固体片13の位置
で振動の振幅の腹を持つような外力を付与すれば、外部
からの振動のエネルギーをより有効に固体片13の振動
に利用することができる。振動子14が蓄熱槽1の壁面
で振動するとき、蓄熱槽1の壁面は振動子14の変位と
同じ変位をするので、振動子14と同じ最大振幅で振動
することになる。すなわち、蓄熱槽1の壁面は振動の腹
となる。振動子14の振動周波数をfとし、熱媒体2の
音速をvとすれば、熱媒体2中に発生する振動波の波長
はv/fとなることが知られているから、振動面からv
/(4f)の位置に振動波の最初の節が、v/(2f)
の位置に振動波の二つ目の腹が、3v/(4f)の位置
に振動波の二つ目の節がそれぞれ発生するという具合
に、振動子14によって熱媒体2の中に造られる振動波
は、蓄熱槽1の壁面から離れる方向に腹と節をくり返し
持つ。振動の周波数と熱媒体2の音速が変わらない限
り、腹と節の位置は一定であり、波の筋では振幅がほぼ
無く、腹ではその波の圧力に応じた最大の振幅となる。
したがって、蓄熱槽1の壁面からnv/(2f)(nは
0以上の整数)離れた位置に潜熱蓄熱体3の壁面を設置
すれば、潜熱蓄熱体3の壁面に振動波の腹が当たるの
で、潜熱蓄熱体3の壁面を振動子14の最大振幅に近い
大きな振幅で振動させることができる。潜熱蓄熱体3か
ら潜熱蓄熱材4へと伝播する振動波も同様に腹と筋を持
ち、その位置は振動の周波数と潜熱蓄熱材4の音速等に
より定まる装置固有の値となる。したがって、潜熱蓄熱
材4の振動波の腹の位置に固体片13が滞留するように
潜熱蓄熱体3と固体片13との間隔や振動子14の振動
数を設計するか、あるいは固体片を潜熱蓄熱材4の振動
波長の4分の1以上の長さに設計すれば、固体片13を
振動波の最大の振幅で動かすことができ、潜熱蓄熱体3
と壁との摩擦振動を効果的に激しく行わせることができ
る。このような超音波振動を与える具体的な手段として
は、ハンマー或いはハンマーのような形状をしたものに
より、蓄熱槽の壁面に力を作用させるものがある。
【0013】固体片を固体片の固有振動数で振動させる
外力を付与する振動付与手段は次の通りである。外部か
ら固体片13に振動を与える際に、固体片13が固体片
の固有振動数で振動するような外力を付与すれば、外部
からの振動のエネルギーをより有効に固体片13の振動
に利用することができる。振動子14による振動波で振
動する固体片13は、液相の潜熱蓄熱材4の中で潜熱蓄
熱体3の壁面を摺動するので、運動の方向とは逆の方向
の制振力を潜熱蓄熱材4及び潜熱蓄熱体3の壁面から受
ける。この制振力は潜熱蓄熱材4の移動にともなう慣性
力と粘性力、固体片13の移動による潜熱蓄熱体3壁面
との摩擦力により発生するものであるので、固体片13
の運動速度が小さいうちは、潜熱蓄熱材4が固体片13
の動きにほぼ追従でき、制振力に大きな変化はないが、
固体片13の運動速度が大きくなると潜熱蓄熱材4の移
動が追いつけず、振動の位相が遅れるようになる。固体
片13の運動速度が更に大きくなると、固体片13の振
動の位相と潜熱蓄熱材4の振動の位相とが90°ずれ、
それまで固体片13の運動を減衰させる方向に働いてい
た潜熱蓄熱材4の制振力がほとんど働かなくなる。すな
わち固体片13はその固有振動数で共振することにな
る。固体片13の質量をm、変位をx、時間をt、潜熱
蓄熱材4の粘性抵抗係数をc、固体片13と潜熱蓄熱体
3の壁との動摩擦係数をμ、重力加速度をg、潜熱蓄熱
体3の壁の振動の振幅をA、角振動数をωであるとすれ
ば、固体片13の運動は m・d^2x/(dt^2)+c・dx/dt+μmg
=A・sin(ωt) で近似表記でき、ωが固有振動数の近傍で固体片13の
変位xは最大となることが知られている。すなわち、固
体片13の運動、したがって固体片13の固有振動数
は、固体片13の密度と形状、潜熱蓄熱材4の密度と動
粘性係数、固体片13と潜熱蓄熱体3の壁面との動摩擦
係数などで定まり、装置固有の値となる。したがって固
体片13をその固有振動数で振動するような外力を振動
子14で与えれば、あるいは固体片13の密度と形状、
固体片13と潜熱蓄熱体3の壁面との動摩擦を決めれ
ば、固体片13は少ない振動エネルギーで、共振して、
潜熱蓄熱材4中で激しく振動することになるので、効率
的に固体片13を潜熱蓄熱体3の壁面で振動させること
ができる。固体片を固体片の固有振動数で振動させるた
めには、固体片をマグネチックスターラーにより回転さ
せるものが装置があり、電動バイブレーターが利用でき
る。
【0014】さらに、図1に示す装置の潜熱蓄熱体3の
内部に粘性を増加させる物質を散在させることにより、
潜熱蓄熱材4の耐久性も優れた蓄熱装置を得ることがで
きる。また、本実施例では固体片13を潜熱蓄熱体3の
下方に描画してあるが、遠隔からの振動によって振動
し、潜熱蓄熱体13との間で摩擦を発生することができ
るものであれば、位置や構造は図3に限定されない。ま
た、本実施例では固体片13への振動の付与に圧力波を
用いる方法を挙げてあるが、たとえば電場や磁場、引力
のように遠隔的に力を及ぼすことのできる手段であれ
ば、その形態は限定されない。
【0015】潜熱蓄熱材4は、必要とする温度や過冷却
度に応じて種々の物質を用いることができる。例えば、
りん酸水素二ナトリウム・十二水和物(NaHPO
・12HO)を用いる場合には、融点は約309K
(36℃)であり、凝固開始温度は296K(23℃)
程度である。酢酸ナトリウム三水和物(CHCOOH
Na・3HO)を用いる場合には、融点は約331K
(58℃)であり、凝固開始温度は250K(−23
℃)程度である。 熱媒体は、使用温度範囲において液
体で安定に存在するものであれば用いることができる。
具体的には、水やエチレングリコール等各種アルコール
水溶液、シリコンオイル等を挙げることができる。
【0016】次に、蓄熱操作について説明する。潜熱蓄
熱材4に対して、潜熱蓄熱体3の外側から熱媒体2によ
り加熱を行うと、潜熱蓄熱材4の温度は上昇し、融点に
到達して融解する。潜熱蓄熱材を完全に融解させた後
に、熱媒体による加熱を終えると、高温にある蓄熱槽1
から低温にある蓄熱槽1の周囲環境への熱移動により、
蓄熱槽1すなわち潜熱蓄熱材4の温度は徐々に低下して
行く。潜熱蓄熱材4の温度はやがて融点に到達するが、
過冷却現象により、凝固が直ちに開始されることはな
い。温度はさらに低下を続け、融点よりも低い温度の凝
固開始温度まで液体のまま存在し続ける。潜熱蓄熱材4
は凝固開始温度を下回らないようにすることが必要であ
り、潜熱蓄熱材4が凝固開始温度に達することはないよ
うに、熱操作が行われる。蓄熱した熱を取り出すには、
過冷却の状態にある潜熱蓄熱材に凝固を発生させるよう
にすると、過冷却の状態は壊されて凝固が起こり、その
際に潜熱を放出する。このようにして発生させた潜熱を
熱媒体2と熱交換操作させることにより回収利用する。
【0017】潜熱蓄熱材4には、粘性を増加させる物
質、例えばパルプ、粘土、多糖類、高分子物、木綿等の
繊維、綿、合成高分子からなる不織布やスポンジ等を混
入させることにより、潜熱蓄熱材4の成分が分離するの
を防ぎ、繰り返し過冷却現象が起きるようにすることが
できる。
【0018】本発明の蓄熱操作は、前記潜熱蓄熱材の加
熱(蓄熱)工程と、熱の保存工程、及び前記潜熱蓄熱材
からの熱回収(熱の放出)工程を、順次行うものであ
る。蓄熱工程においては、蓄熱槽1と潜熱蓄熱体3との
間に、熱交換手段を用いて加熱された潜熱蓄熱材4の融
点以上の温度にある熱媒体2を流入させ、移動させるこ
とにより、潜熱蓄熱体3中の潜熱蓄熱材を加熱させる。
具体的な操作は次の通りである。この通路には経路を特
定するための開閉手段である開閉手段(バルブ)及び駆
動手段である熱媒体駆動手段(ポンプ)が設置されてい
る。この経路は、次の通りである。開閉手段(バルブ)
8、11を閉じ、開閉手段(バルブ)9、10を開き、
熱媒体駆動手段(ポンプ)12を動作させる。潜熱蓄熱
材の融解開始温度以上の温度とされた熱媒体2を用い、
連通管b→蓄熱槽1(蓄熱体と蓄熱槽の間の空間7)→
連通管aの順に循環させて、潜熱蓄熱材4を加熱融解さ
せる。
【0019】熱の保存工程では、潜熱蓄熱材の熱は蓄熱
槽を通して外部環境へ移動することとなるため、蓄熱材
の温度は徐々に下降する。蓄熱材の温度が凝固の始まる
温度(凝固開始温度)よりも高く保たれている限り、こ
の過冷却状態は持続され、熱は保存される。蓄熱槽1の
形状や蓄熱槽1を構成する断熱材は、貯蔵期間内に潜熱
蓄熱材4が凝固開始温度を下回らないように設計されて
いるため、潜熱蓄熱材4の温度は融点を下回り、凝固開
始温度に近づいて行くが、貯蔵期間内に凝固を開始し、
結晶化することはない。
【0020】熱回収過程においては、熱の保存過程にお
いて融点以下の温度に自然冷却されている潜熱蓄熱材4
の中に置かれた固体片13を振動付与手段により振動さ
せて、結晶を発生させ、これを核として(凝固を誘発さ
せるようにして)潜熱蓄熱体全体に凝固を起こさせて、
融解熱を発生させる。具体的な操作は次の通りである。
熱の保存過程において蓄熱槽1の中に静かに置かれてい
る潜熱蓄熱材4と熱媒体2は、自然冷却により温度が低
下するが、熱媒体2は蓄熱槽1の壁近傍から冷却される
ことになるので、蓄熱槽1の壁に近い熱媒体2ほど、温
度が低くなる。このため、熱媒体2の密度差と重力によ
る微弱な対流が発生し、蓄熱槽1の中でより下方にある
熱媒体2ほど低い温度となっている。したがって、熱媒
体2と接する潜熱蓄熱体3は、潜熱蓄熱体3の中でより
下方にある潜熱蓄熱材4ほど低い温度、すなわち凝固開
始温度により近い温度になっており、凝固しやすい条件
にある。熱の回収過程においては、まず蓄熱槽1に取り
付けられた振動付与手段が用いられる。振動付与手段に
は、(1)固体片13の位置で振動の振幅の腹を持つよ
うな外力を付与する振動付与手段、及び(2)固体片1
3が固体片13の固有振動数で振動するような外力を付
与する振動付与手段がある。これらは 、いずれも 外部
からの振動のエネルギーをより有効に固体片13の振動
に利用することができるものである。蓄熱槽1に振動す
る運動が与えられると、その運動は熱媒体2→潜熱蓄熱
体3の壁→潜熱蓄熱材4の順序で伝搬し、最後は固体片
13を振動させる。固体片13を磁性体とし、蓄熱槽1
に振動する磁力が与えられると、その力は固体片に伝搬
し、振動させる。固体片13は潜熱蓄熱材4の中で、上
述のような凝固しやすい条件にある部分に置かれている
ので、課題を解決する手段で述べたように、固体片13
の振動は潜熱蓄熱材4の凝固を誘発させる。凝固の誘発
によるごく微小な結晶が核となって、結晶は成長し、大
部分の領域を占める領域に存在する潜熱蓄熱体3の潜熱
蓄熱材4へと進展する。凝固が開始されると、上記の過
冷却の状態が破られ、潜熱蓄熱材4の温度は融点まで上
昇し、発生した熱は熱媒体2により回収される。自然冷
却により、熱の回収を行う時点で、潜熱蓄熱材4の温度
が融点よりも十分に低くかつ凝固開始温度よりも高い温
度になるように蓄熱槽1は設計されているが、何らかの
外乱により潜熱蓄熱材4の温度が依然として融点よりも
高い場合、あるいは融点より僅かに低い場合には、熱の
放出過程の凝固の誘発は以下のような操作により行う。
この工程の経路には、開閉手段(バルブ)及び熱媒体駆
動手段(ポンプ)が設置されている。潜熱蓄熱材4の温
度が融点よりも高い場合には、凝固を開始させる前に開
閉手段(バルブ)8、10を閉じ、開閉手段(バルブ)
9、11を開け、熱媒体駆動手段(ポンプ)12を動作
させる。熱回収設備6で熱を回収することで低い温度に
なった熱媒体7を、潜熱蓄熱材4の温度が融点よりも低
くなるまで、連通管b→蓄熱槽1→連通管aの経路で循
環させる。潜熱蓄熱材4の温度が融点よりも僅かに低い
場合、および上述の方法で融点よりも低い温度になるま
で熱回収設備6で熱回収を行った場合には、開閉手段
(バルブ)8、10を開け、開閉手段(バルブ)9、1
1を閉じ、熱媒体駆動手段(ポンプ)12を動作させ
る。熱交換手段で凝固開始点に近い温度とされた熱媒体
2を、連通管b→蓄熱槽1→連通管cの経路で循環させ
る。
【0021】このようにして、潜熱蓄熱材4のうち固体
片13のある部分の温度だけを凝固しやすい温度まで低
下させ、次に振動付与手段14を用いて固体片13を振
動させて、凝固を誘発させる。残りの潜熱蓄熱材4は、
凝固開始温度まで温度が降下しなくとも、前述したよう
に発生した微小な結晶が核となって、潜熱蓄熱材4全体
に結晶化の動きが波及することにより凝固が起こる。凝
固が開始されると、貯蔵していた融解熱によって蓄熱材
の温度が融点あるいは融点近くまで上昇する。次に、開
閉手段(バルブ)8、10を閉じ、開閉手段(バルブ)
9、11を開け、熱媒体駆動手段(ポンプ)12を動作
させて熱媒体2を流す。熱媒体2は、を連通管b→蓄熱
槽1→連通管aの経路で流すことにより、潜熱蓄熱材4
の融点あるいは融点に近い温度となった熱は熱媒体2で
回収される。回収された熱は、熱回収設備6に流され、
熱交換させることにより熱利用される。
【0022】蓄熱槽1の形状や蓄熱槽1を構成する断熱
材を適切に設計することにより、潜熱蓄熱材4の温度が
凝固開始温度を下回らないようにしたが、蓄熱期間内に
熱交換手段5を動作させ、蓄熱槽1に熱を注入すること
により、潜熱蓄熱材4の温度が凝固開始温度を下回らな
いにすることもできる。このような場合は、外部環境の
急変や何らかの事情で潜熱蓄熱材4が凝固開始温度を下
回りそうなときに有効である。また、本発明では、蓄熱
槽1の形状を円筒とし、潜熱蓄熱体3を蓄熱槽1の長手
方向に縦置きに配列してあるが、蓄熱槽1が球体や直方
体であったり、固体片13の位置が下方以外の位置にあ
っても機能的な問題はない。すなわち、蓄熱槽1、潜熱
蓄熱体3の形状、および固体片13の位置関係は、任意
に設定することが可能である。
【0023】
【実施例】実施例1 図1に示される蓄熱装置及びその装置を用いた熱回収方
法を行った。図において、1は蓄熱槽、3は潜熱蓄熱
体、4は潜熱蓄熱体中に充填されている潜熱蓄熱材であ
る。13は、潜熱蓄熱材4の内部に封入される固体片で
ある。潜熱蓄熱材には、リン酸水素二ナトリウム・十二
水和物(NaHPO ・12HO)(融点、約3
09K(36℃)。凝固開始温度、296K(23℃)
程度。)を用いた。潜熱蓄熱体3にはガラス、固体片1
3にはステンレス鋼の釘を用いた。振動付与手段には、
電圧の印加により歪む圧電素子を蓄熱槽1の底面に固着
し、25kHzの高周波電力を印加した。 潜熱蓄熱材の蓄熱工程 開閉手段(バルブ)8、11を閉じ、開閉手段(バル
ブ)9、10を開き、熱媒体駆動手段(ポンプ)12を
動作させた。潜熱蓄熱材4の融点より高い温度(40
℃)の熱媒体(水)を、連通管b→流路蓄熱槽1→連通
管aの順に循環させ、潜熱蓄熱材4を加熱し、融解させ
た。 熱の保存工程 外部環境の影響を受けて潜熱蓄熱材4の温度は徐々に低
下し、やがて潜熱蓄熱材の融点に到達するが、過冷却現
象のために凝固は開始されなかった。潜熱蓄熱材4の温
度はさらに低下し、融点よりも低い温度になるが、液体
のまま存在することができた。 熱の回収工程 振動子14に24kHzの高周波電流を流して蓄熱槽1
の外壁を振動させた。振動波は熱媒体2→潜熱蓄熱体3
の壁→潜熱蓄熱材4→固体片13へと順々に伝播した。
固体片13が潜熱蓄熱体3の内壁を摺動することによ
り、潜熱蓄熱材4に結晶核が発生し、潜熱蓄熱材4全体
に凝固が進展した。凝固が開始されると、貯蔵していた
融解熱によって蓄熱材の温度が融点あるいは融点近くに
回復し、開閉手段(バルブ)8、10を閉じ、開閉手段
(バルブ)9、11を開け、熱媒体駆動手段(ポンプ)
12を動作させることにより、蓄熱材4の融点あるいは
融点に近い温度の熱媒体2から熱を回収した。
【0024】
【発明の効果】本発明によれば、潜熱蓄熱材を結晶化
(固相化)させるきっかけとなる刺激を、蓄熱槽に接し
て設けられた振動付与手段を用い、潜熱蓄熱材中に存在
させた固体片を介して、過冷却の状態にある潜熱蓄熱材
に与えることにより行うことができ、その際に発生する
融解熱を回収することにより蓄熱することができる蓄熱
装置及びその蓄熱装置を用いた熱回収方法が得られる。
すなわち、潜熱蓄熱材の温度を結晶化の必要な温度まで
低下させることなく結晶化のきっかけを得ることができ
るので、貯蔵した熱をより多く回収することが可能にな
る。また、本発明の蓄熱装置の蓄熱体内部に粘性を増加
させる物質を散在させることによって、固体片による結
晶化のきっかけの機能を維持したまま、蓄熱材の相分離
を防止することができ、したがって繰り返し安定した過
冷却現象を起こさせることができる。しかも、熱交換手
段を用いて蓄熱材の温度が凝固開始温度を下回らないよ
うにすることができ、蓄熱期間や環境温度が外乱によっ
て予定外に変動しても、不必要な結晶化を回避すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における蓄熱装置のフローシートであ
る。
【図2】従来の蓄熱装置の断面図である。
【符号の説明】
1 蓄熱槽 2 熱媒体 3 潜熱蓄熱体 4 潜熱蓄熱材 5 熱交換手段 6 熱回収設備 7 蓄熱体と蓄熱槽との間の空間 8〜11 開閉手段(バルブ) 12 熱媒体駆動手段(ポンプ) 13 固体片 14 振動付与手段

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】潜熱蓄熱材及び固体片が封入された潜熱蓄
    熱体が収容され、前記潜熱蓄熱体と蓄熱槽との間には熱
    媒体を流すことができる空間が設けられており、前記固
    体片に振動を与える振動付与手段として、固体片の位置
    で振動の振幅の腹を持つような外力を付与する振動付与
    手段が敷設されていることからなることを特徴とする蓄
    熱槽。
  2. 【請求項2】潜熱蓄熱材及び固体片が封入された潜熱蓄
    熱体が収容され、前記潜熱蓄熱体と蓄熱槽との間には熱
    媒体を流すことができる空間が設けられており、前記固
    体片に振動を与える振動付与手段として、固体片を固体
    片の固有振動数で振動させる外力を付与する振動付与手
    段が敷設されていることからなることを特徴とする蓄熱
    槽。
  3. 【請求項3】請求項1又は2記載のいずれかである蓄熱
    槽、潜熱蓄熱体と蓄熱槽との間に熱媒体を流すことので
    きる空間、前記空間に満たされた熱媒体、前記熱媒体を
    加熱・冷却するための熱交換手段、 及び前記熱媒体から熱を回収する熱回収手段を有するこ
    とを特徴とする蓄熱装置。
  4. 【請求項4】請求項1又は2記載のいずれかである蓄熱
    槽、潜熱蓄熱体と蓄熱槽との間に熱媒体を流すことので
    きる空間、前記空間と熱媒体を加熱・冷却するための熱
    交換手段とが開閉手段及び熱媒体駆動手段を介して連絡
    されている熱媒体流路、及び前記潜熱蓄熱体と蓄熱槽と
    の間の空間と、熱回収設備を結ぶ連絡路とが開閉手段と
    熱媒体駆動手段を介して連絡されている熱媒体流路から
    なることを特徴とする蓄熱装置。
  5. 【請求項5】請求項1又は2記載のいずれかである蓄熱
    槽、前記熱媒体を前記蓄熱槽に導入し、潜熱蓄熱体と蓄
    熱槽との間の空間を経由させたのちに蓄熱槽から排出し
    て、再び蓄熱槽に導入するに至る熱媒体循環経路に、熱
    媒体を加熱・冷却するための熱交換手段及び熱回収設備
    が並列に設置され、前記循環経路中に熱媒体の流れを調
    節する開閉手段及び熱媒体駆動手段が設けられており、
    さらに前記循環経路とは別に、潜熱蓄熱体と蓄熱槽との
    間の空間の一部を経由させたのちに蓄熱槽から熱媒体を
    排出し、前記循環経路に接続される熱媒体流路が、開閉
    手段を介して設けられていることを特徴とする蓄熱装
    置。
  6. 【請求項6】潜熱蓄熱材に粘性を増加させる物質を添加
    して用いることを特徴とする請求項1乃至5記載のいず
    れかである蓄熱装置。
  7. 【請求項7】潜熱蓄熱材及び固体片が封入された潜熱蓄
    熱体を収容しており、前記固体片に振動を与える振動付
    与手段として、固体片の位置で振動の振幅の腹を持つよ
    うな外力を付与する振動付与手段を敷設した蓄熱槽を用
    いて、前記潜熱蓄熱材を融解させたのちに過冷却状態で
    保持し、前記固体片に振動を付与して潜熱蓄熱材を凝固
    させることにより、融解熱を発生させ、熱回収すること
    を特徴とする蓄熱及び熱回収方法。
  8. 【請求項8】潜熱蓄熱材及び固体片が封入された潜熱蓄
    熱体を収容しており、前記固体片に振動を与える振動付
    与手段として、固体片を固体片の固有振動数で振動させ
    る外力を付与する振動付与手段を敷設した蓄熱槽を用い
    て、前記潜熱蓄熱材を融解させたのちに過冷却状態で保
    持し、前記固体片に振動を付与して潜熱蓄熱材を凝固さ
    せることにより、融解熱を発生させ、熱回収することを
    特徴とする蓄熱及び熱回収方法。
  9. 【請求項9】潜熱蓄熱材及び固体片が封入された潜熱蓄
    熱体を収容しており、前記潜熱蓄熱体と蓄熱槽との間に
    熱媒体を流すことができる空間、前記空間に満たされた
    熱媒体を有している蓄熱槽に、前記固体片に振動を与え
    る振動付与手段として、固体片の位置で振動の振幅の腹
    を持つような外力を付与する振動付与手段を敷設した蓄
    熱槽を用いて、前記熱媒体により前記潜熱蓄熱材を加熱
    融解させたのちに過冷却状態で保持し、前記固体片に振
    動を付与して潜熱蓄熱材を凝固させることにより、融解
    熱を発生させ、発生した融解熱を前記熱媒体で回収する
    ことを特徴とする蓄熱及び熱回収方法。
  10. 【請求項10】潜熱蓄熱材及び固体片が封入された潜熱
    蓄熱体を収容しており、前記潜熱蓄熱体と蓄熱槽との間
    に熱媒体を流すことができる空間、前記空間に満たされ
    た熱媒体を有している蓄熱槽に、前記固体片に振動を与
    える振動付与手段として、固体片を固体片の固有振動数
    で振動させる外力を付与する振動付与手段を敷設した蓄
    熱槽を用いて、前記熱媒体により潜熱蓄熱材を加熱融解
    させたのちに過冷却状態で保持し、前記固体片に振動を
    付与して潜熱蓄熱材を凝固させることにより、融解熱を
    発生させ、発生した融解熱を前記熱媒体で回収すること
    を特徴とする蓄熱及び熱回収方法。
  11. 【請求項11】請求項9乃至10記載のいずれかによる
    蓄熱及び熱回収方法において、潜熱蓄熱体と蓄熱槽との
    間の空間と、熱媒体を加熱・冷却するための熱交換手段
    とが開閉手段及び熱媒体駆動手段を介して連絡されてお
    り、この通路に熱媒体を流して潜熱蓄熱材を融解させた
    のちに過冷却状態で保持し、固体片に振動を付与して潜
    熱蓄熱材を凝固させることにより、融解熱を発生させ、
    潜熱蓄熱体と蓄熱槽との間の空間と、熱回収設備とを結
    ぶ連絡路が、開閉手段と熱媒体駆動手段とを介して連絡
    されている通路に熱媒体を流して、潜熱蓄熱材から発生
    する融解熱を回収することを特徴とする蓄熱及び熱回収
    方法。
  12. 【請求項12】請求項9又は10記載のいずれかの蓄熱
    及び熱回収方法において、潜熱蓄熱体と蓄熱槽との間の
    空間と、熱媒体を加熱・冷却するための熱交換手段とが
    開閉手段及び熱媒体駆動手段を介して連絡されており、
    この熱媒体循環経路に熱媒体を流して潜熱蓄熱材を融解
    させたのちに過冷却状態で保持し、前記循環経路とは別
    に、潜熱蓄熱体と蓄熱槽との間の空間の一部を経由させ
    た後に蓄熱槽から熱媒体を排出し、前記循環経路に開閉
    手段を介して接続される熱媒体流路に熱媒体を流して潜
    熱蓄熱材を冷却したのちに、前記固体片に振動を付与し
    て潜熱蓄熱材を凝固させることにより、融解熱を発生さ
    せ、潜熱蓄熱体と蓄熱槽との間の空間と、熱交換手段と
    並列に設置されている熱回収設備とを開閉手段と熱媒体
    駆動手段を介して連絡する通路に熱媒体を流して、潜熱
    蓄熱材から発生する融解熱を回収することを特徴とする
    蓄熱及び熱回収方法。
  13. 【請求項13】潜熱蓄熱材に粘性を増加させる物質を添
    加して用いることを特徴とする請求項6乃至10いずれ
    か記載の蓄熱及び熱回収方法。
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