JP2001179991A - 液体噴射記録ヘッドの製造方法 - Google Patents

液体噴射記録ヘッドの製造方法

Info

Publication number
JP2001179991A
JP2001179991A JP36586899A JP36586899A JP2001179991A JP 2001179991 A JP2001179991 A JP 2001179991A JP 36586899 A JP36586899 A JP 36586899A JP 36586899 A JP36586899 A JP 36586899A JP 2001179991 A JP2001179991 A JP 2001179991A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
nozzle
liquid
recording head
etching
correction pattern
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP36586899A
Other languages
English (en)
Inventor
Tomoyuki Hiroki
知之 廣木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP36586899A priority Critical patent/JP2001179991A/ja
Priority to US09/742,433 priority patent/US6958125B2/en
Publication of JP2001179991A publication Critical patent/JP2001179991A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 記録液吐出後のリフィルを速やかに行なえる
ようにして高速動作が可能な液体噴射記録ヘッドの製造
方法を提供する。 【解決手段】 天板1の材料として、表面の結晶方位が
〈110〉面でノズル3の長さ方向の結晶方位が〈11
1〉面となるシリコンウェハ5を用い、ノズル3を異方
性エッチングにより形成する際に、ノズル形成のための
マスク層として機能する二酸化珪素層6に、ノズル壁の
長さ方向に対するオーバーエッチングを抑制する補正パ
ターン10をノズル後端側でノズル並び方向に延びるよ
うに付設し、補正パターン10の部分へのオーバーエッ
チングによりノズル3と液室2とを連通させるようにし
て、ノズル壁4の長さ方向のオーバーエッチ量Lを抑制
して、ノズル3と液室2の距離を低減させる。これによ
り、液吐出後のリフィルを速やかに行なうことができ、
高速動作を可能にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微細な吐出口から
記録液を液滴として吐出させて記録媒体に記録を行なう
液体噴射記録ヘッドの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】液体噴射記録装置に使用されるサーマル
インクジェットプリントヘッド等の液体噴射記録ヘッド
は、インク等の記録液を吐出する複数の微細なノズル
(吐出口)、各ノズルに連通する液室、および各ノズル
内に位置付けられた吐出エネルギー発生素子(例えば、
電気熱変換素子等の発熱体)を備え、記録情報に対応し
た駆動信号を吐出エネルギー発生素子に印加し、該吐出
エネルギー発生素子の位置するノズル内の記録液に吐出
エネルギーを付与することによって、記録液を微細なノ
ズルから飛翔液滴として吐出させて記録を行なうように
構成されている。
【0003】この種の液体噴射記録ヘッド用のノズルと
して様々な形態のものが提案されており、その一例を図
6を参照して説明する。
【0004】図6において、101は、上面が結晶の
〈110〉面になるように切断され研磨されたシリコン
ウェハから形成される天板(ノズル部材)であり、貫通
穴で記録液溜まりとなる液室102と、この液室102
に連通する記録液吐出用の複数のノズル溝103(以
下、単にノズルともいう)が設けられている。108
は、吐出エネルギー発生素子としての発熱体(ヒータ
ー)109が多数配設されたシリコンチップで構成され
た素子基板(ヒーターボード)である。
【0005】これらの天板101とヒーターボード10
8は、図6に示すように、ノズル103とヒーター10
9が相対向するように、密着接合あるいは接着され、ノ
ズル103とヒーターボード108の表面で細長い液吐
出用のノズルを形成し、また、このとき、ノズル103
内部にヒーター109を位置付けるように両者は精密に
位置調整される。記録液は図示しない記録液タンクから
供給されて液室102に導かれた後に、ノズル103内
に達する。ヒーターボード108上のヒーター109
は、図示しない制御回路によって制御され、印字データ
に応じてヒーター109の各々に通電される。制御回路
はヒーターボード108上に設けることもできるし、あ
るいは別基板に構成されていても良い。
【0006】印字データに応じて通電されるヒーター1
09は発熱し、そのノズル103内の記録液を加熱す
る。加熱された記録液は、ある臨界温度を越えると沸騰
し、泡を発生する。この発生した泡は数μSの短い時間
で成長し、記録液に衝撃力を与える。この衝撃で記録液
の一部がノズル103の吐出口から勢い良く押し出さ
れ、飛翔液滴として紙等の記録媒体上に着弾する。これ
が繰り返されることにより印刷画像が完成する。
【0007】次に、前記のような天板(ノズル部材)の
作製方法について図7を参照して説明する。なお、図7
において、左側の図(a、b、・・・)は、天板を液吐
出方向の面で切断した端面図であり、右側の図(a−
1、b−1、・・・)は、天板の下面(ノズル形成面)
側から見た図であり、以下の説明においては、(a)お
よび(a−1)、(b)および(b−1)・・・等を単
に(a)、(b)・・・と表示する。
【0008】図7の(a)において、ノズルを形成する
天板(ノズル部材)の材料となるシリコンウェハ105
は、表面の結晶方位が〈110〉面、ノズルの長さ方向
の結晶方位が〈111〉面となるものであって、このシ
リコンウェハ105の両面に、熱酸化あるいはCVD
(Chemical Vapor Deposition )等の成膜方法によっ
て、図7の(b)に示すように二酸化珪素(SiO2
の薄膜106を1μm程度形成する。この二酸化珪素層
106はシリコンを異方性エッチングする際のマスク層
として機能するものである。次に、二酸化珪素層106
に通常のフォトリソグラフィ技術を用いて、一方の面
(ノズル形成面)にノズルと液室を合わせた形状にパタ
ーニングし、反対側の面に液室の形状にパターニングを
行なう(図7の(c))。さらに、ノズル形成面に窒化
珪素(SiN)層107をCVD等の方法によって成膜
し(図7の(d))、そして、液室の形状にパターニン
グする(図7の(e))。
【0009】その後、これを、例えばTMAH(水酸化
テトラメチルアンモニウム)の22%溶液のようなエッ
チング液に浸して異方性エッチングを行なう。この異方
性エッチングにより、ウェハ両面でシリコンが露出した
部分(すなわち、液室の形状)にしたがってエッチング
が進み、最後は両面からのエッチングがつながって貫通
穴(液室102)を形成する(図7の(f))。
【0010】ここで、図7の(f)に示すエッチングの
形状について説明すると、天板(ノズル部材)は微細な
ノズルを異方性エッチングで形成することを主目的とし
ているので、シリコンの〈111〉面がノズル壁と平行
になる向きを選んでノズルをパターニングをしており、
液室102を略長方形とすると、ノズルの長さ方向(す
なわち、液室102の短辺方向)はウェハ表面と垂直に
〈111〉面が存在するために、エッチング後は液室短
辺の表面に垂直な面が残る。ところが、液室102の長
辺方向はウェハ表面と略30°傾いた〈111〉面が多
数並んでいるので、短辺方向のように垂直な面とはなら
ず、多数の面が複合した形となるので、厳密には滑らか
な面とはならない。
【0011】次に、ノズル形成面の窒化珪素層107を
エッチングにより除去し(図7の(g))、図7の
(c)で二酸化珪素層106に形成したノズルパターン
を露出させ、再び、TMAH溶液による異方性エッチン
グを行なうと、ノズルに相当する部分がエッチングさ
れ、ノズル103およびノズル壁104が得られる(図
7の(h))。
【0012】ところで、以上のように異方性エッチング
で得られるノズル103の形状は、液吐出方向にはウェ
ハ表面に垂直な〈111〉面が存在するので、断面が長
方形であるノズルを形成することができるが、ノズルの
長さ方向にはエッチングを止める面がないので、ノズル
103間のノズル壁104の部分が、ノズルの後端側
(液室側)とノズル先端側からもエッチングされ、長さ
方向にオーバーエッチされて鋭角の形状となる。したが
って、このオーバーエッチされた部分にはマスク層であ
る二酸化珪素の薄膜106が残ってしまう。そこで、こ
の二酸化珪素薄膜106を除去するために、高圧空気あ
るいは高圧空気に水などを含ませてウェハに吹き付ける
ことにより、シリコンを傷付けることなく二酸化珪素薄
膜だけを除去する。水を高圧空気で吹き付ける方法で1
μm程度の薄膜を除去するためには、100〜2000
kPaの圧力があれば十分である。あるいはフッ化アン
モニウムとフッ酸の混合液を用いたウェットエッチング
によって二酸化珪素薄膜全体を除去することもできる。
【0013】以上の工程によって作製された天板(ノズ
ル部材)101の形状を図8に図示する。ここで、液室
形成のパターニングの際、シリコンチップの両面でほぼ
同様の形状としているが、記録液供給側(すなわち図6
における上面)のパターンは、異方性エッチングによっ
て穴が貫通する程度に小さくてもよく、図示しない記録
液供給部材との接続形態あるいは天板形成時のウェハ強
度を確保するという観点で、むしろノズル形成面側より
も小さいパターンとしたほうが望ましい。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前述した従
来の天板(ノズル部材)作製工程においては、天板をシ
リコンの異方性エッチングを用いて作製することによ
り、天板をウェハ状態で生産できるために量産性が非常
に高く、また、フォトリソグラフィ技術を利用したノズ
ル形成を行なうことで、高密度のノズルが精度よく形成
できるけれども、異方性エッチングによってノズルを形
成する際にノズル間のノズル壁の部分が図9に図示する
ようにオーバーエッチされてしまうという問題点が生じ
る。
【0015】この問題点について図9を参照してさらに
説明する。図9は、天板のノズル形成部位近傍を示す図
面であり、同(a)はノズルの異方性エッチングをする
前の二酸化珪素のパターンを示すものであり、102は
記録液の液室となる貫通穴、105は二酸化珪素106
が取り除かれてシリコンが露出している部分、106は
マスク層として機能する二酸化珪素層である。この状態
の天板をTMAH溶液等のエッチング溶液で異方性エッ
チングを行なうと、同(b)ないし(d)に示すような
形状となる。なお、同(c)および(d)はそれぞれ同
(b)におけるX−X線およびY−Y線に沿った断面図
である。
【0016】すなわち、シリコンが露出している部分1
05はエッチングされ、垂直な壁面を有するノズル10
3が形成される。一方、二酸化珪素層106が残ってい
る部分は、ノズル103の間でノズル壁104を形成す
る。このように異方性エッチングで得られるノズル10
3の形状は、ノズル長さ方向にはウェハ表面に垂直な
〈111〉面が存在するので、同(c)に示すように、
断面が長方形であるノズルを形成することができるが、
ノズルの長さ方向にはエッチングを止める面がないため
に、ノズル間のノズル壁104の部分は、ノズルの後端
側(液室側)とノズル先端側からエッチングされ、ノズ
ル長さ方向にオーバーエッチされて、ノズル壁104の
長さは短くなり、その両端部は鋭角の形状となる(同
(b)において、ノズル壁104を断面にして斜線を施
して示す)。結果として、Y−Y線で示す位置では同
(d)に示すように二酸化珪素層106が残ってしま
う。ここで、残った二酸化珪素層106は、従来例に関
連して説明したような方法で取り除くことができるが、
問題となるのは、ノズル壁104の後端側のオーバーエ
ッチ量L(図9の(b)参照)が無視できない大きさと
なることである。
【0017】液体噴射記録ヘッドとして望ましいのは、
記録液の液滴を安定して吐出させることと、液吐出後速
やかにノズル内に記録液が補充されることであるのに対
して、オーバーエッチ量Lが大きいと、ノズルと液室と
の距離が離れるために、記録液の補充(以下、リフィル
という)が速やかに行なえず、すなわち液体噴射記録ヘ
ッドの高速動作が行なえないという問題があった。
【0018】そこで、本発明は、上記の従来技術の有す
る未解決の課題に鑑みてなされたものであって、記録液
吐出後のリフィルを速やかに行なえるようにして高速動
作が可能な液体噴射記録ヘッドを製造することができる
液体噴射記録ヘッドの製造方法を提供することを目的と
するものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の液体噴射記録ヘッドの製造方法は、画像デ
ータに応じて記録液に吐出エネルギーを付与する複数の
吐出エネルギー発生素子を有する素子基板と、複数のノ
ズルおよび該ノズルに連通して記録液を貯溜する液室を
有する天板とを備え、前記吐出エネルギー発生素子と前
記ノズルがそれぞれ対向するように前記素子基板と前記
天板とを接合して形成する液体噴射記録ヘッドの製造方
法において、前記ノズルを異方性エッチングにより形成
する際の異方性エッチングのマスク層に前記複数のノズ
ル間のノズル壁に対するオーバーエッチングを抑制する
補正パターンを付設し、前記ノズルを異方性エッチング
により形成する際に、前記補正パターンの部分へのオー
バーエッチングにより前記ノズルと前記液室とを連通さ
せることを特徴とする。
【0020】本発明の液体噴射記録ヘッドの製造方法に
おいては、前記天板の材料として表面が〈110〉面で
あるシリコンウェハを用いることが好ましい。
【0021】本発明の液体噴射記録ヘッドの製造方法に
おいては、前記補正パターンのノズル長さ方向の幅は前
記ノズルの深さよりも小さくなるように設定することが
好ましい。
【0022】本発明の液体噴射記録ヘッドの製造方法に
おいては、前記補正パターンは、ノズル形成部位と液室
形成部位の間でノズル並び方向に延びるように配設され
ていることが好ましく、さらに、前記ノズルの先端部分
にも前記ノズル壁に対するオーバーエッチングを抑制す
る補正パターンをさらに付設することもできる。
【0023】
【作用】シリコンの異方性エッチングにより天板(ノズ
ル部材)を作製する際に、ノズル形成のための異方性エ
ッチングのマスク層にノズル壁の長さ方向に対するオー
バーエッチングを抑制する補正パターンを付設し、異方
性エッチングによるノズルの形成時に、この補正パター
ンの部分へのオーバーエッチングによりノズルと液室と
を連通させるようにして、ノズル壁の長さ方向に対する
オーバーエッチングを抑制して、ノズルと液室の距離を
低減させる。これにより、記録液吐出後のリフィルを速
やかに行なうことができ、高速動作が可能な液体噴射記
録ヘッドを容易に実現することが可能になる。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面に基づ
いて説明する。
【0025】本発明に係る液体噴射記録ヘッドの製造方
法の第1の実施例について、図1ないし図3を参照して
説明する。
【0026】図1は、本発明に係る液体噴射記録ヘッド
の製造方法の第1の実施例を説明するための天板のノズ
ル形成部位近傍を示す図であり、同(a)はノズル形成
用のマスクパターンに加えて補正パターンを設けた状態
で、異方性エッチングを行なう前の状態を示す図であ
り、同(b)は異方性エッチングを行なった後の状態を
示す図であり、同(c)は(b)におけるA−A線に沿
った断面図である。そして、図2は、本発明の第1の実
施例における補正パターンの特性を示すデータ図であ
り、図3は、本発明に係る液体噴射記録ヘッドの製造方
法の第1の実施例に基づく天板作製工程を示す工程図で
ある。
【0027】図1の(a)は、天板(ノズル部材)1の
ノズル形成部位近傍を示し、2は既に異方性エッチング
により形成された貫通する液室、6はノズル形成用のマ
スク層となる二酸化珪素層であり、5は二酸化珪素層6
が取り除かれてシリコンが露出している部分であってノ
ズル3となる部分である。そして、本発明は、通常のマ
スク層となる二酸化珪素層6のパターンに加えて、ノズ
ル後端(液室側)においてノズル並び方向に延びて、ノ
ズル壁を形成する部分を全てつないだ形の補正パターン
10を付設する点に特徴を有するものであり、このノズ
ル後端(液室側)に形成する補正パターン10により、
ノズル長さ方向のオーバーエッチ量を抑え、ノズル後端
から液室までの距離が長くなることを阻止する。
【0028】これを図2を用いてさらに詳細に説明す
る。図2の(a)は、補正パターン10の幅X(補正量
Xともいう、図2の(b)参照)を変化させた場合の、
エッチング深さdとノズル長さ方向のオーバーエッチ量
Lの関係をプロットしたデータ図であり、図2の(b)
は、異方性エッチングを行なってノズル3およびノズル
壁4(ノズル壁については断面にして斜線を施して示
す)を形成した状態を示し、補正パターン10の幅Xと
オーバーエッチ量Lの位置関係を説明する図である。
【0029】図2の(a)において、補正量Xが0と
は、補正パターン10を設けない場合に相当し、これは
従来例として説明した図9に図示するパターンに対応
し、本発明との比較データである。すなわち、補正量X
が0の場合には、溝深さに従ってエッチングが進んでい
くと、ノズル長さ方向のオーバーエッチもほぼ直線的に
増加していき、オーバーエッチ量Lはエッチング深さd
の約3倍ほどになる。これに対して、前記のような補正
パターン10を設けた場合には、オーバーエッチ量Lが
補正パターン10の幅Xに一致するまではオーバーエッ
チの進み方が緩やかである。これは、エッチングの特徴
として、エッチング面積が大きい方がエッチング速度が
低下するという特性を利用したもので、オーバーエッチ
量Lが補正パターン10の幅Xに一致するまでは、全ノ
ズル分に相当する広い面積をエッチングするためにオー
バーエッチの速度が緩やかであり、補正パターン10の
部分がすべてオーバーエッチされると、エッチング面積
が小さくなるためにオーバーエッチが進むので、エッチ
ング深さdとオーバーエッチ量Lの関係は、図2の
(a)に示すように、途中で折れ曲がったような形とな
る。そこで、記録ヘッド設計として、ノズルの深さ(エ
ッチング深さdに相当する)を例えば25μmとする場
合には、補正パターン10の幅を20μm程度、ノズル
深さを45μmとする場合には補正パターン10の幅を
40μmとすると、エッチングが終了する頃には補正パ
ターン10の部分がすべてエッチングされているので、
最終的なノズルとノズル壁形状には影響を与えず、オー
バーエッチ量Lを減らして、ノズル後端から液室までの
距離を短くすることが可能となる。
【0030】そこで、図1の(a)に図示するように、
通常のマスク層となる二酸化珪素層6のパターンに加え
て、ノズル後端(液室側)においてノズル並び方向に延
び、ノズル壁を形成する部分を全てつなぎ接続する形の
補正パターン10を付設する天板1をTMAH溶液等の
エッチング液に浸して異方性エッチングを行なうと、図
1の(b)および(c)に図示するように、シリコンが
露出している部分5はエッチングされ、垂直な壁面をも
つノズル3が形成される。このとき、ノズル3の形状
は、ノズル長さ方向にはウェハ表面に垂直な〈111〉
面が存在するので、同(c)に示すように、断面が長方
形であるノズル溝を形成することができる。一方、マス
ク層としての二酸化珪素層6が残っている部分は、ノズ
ル3の間でノズル壁4が形成される。このノズル壁4の
部分(同(b)において、ノズル壁4を断面にして斜線
を施して示す)において、その先端部分はノズル先端側
からエッチングされ、ノズル長さ方向にオーバーエッチ
されて鋭角の形状となる。また、ノズル壁4の後端部分
は、一部オーバーエッチされて鋭角の形状となるとして
も、補正パターン10が設けられていることにより、そ
の補正パターン10の部分はすべてオーバーエッチされ
るけれども、ノズル壁4の後端部分はほとんどオーバー
エッチされることがなく、最終的にノズル壁4とノズル
3の後端部分の形状はほとんどエッチングの影響を受け
ず、オーバーエッチ量Lを減らすことができる。このよ
うに、補正パターン10の部分が全てオーバーエッチさ
れることにより、液室2とノズル3を連通するととも
に、ノズル壁4の部分はほとんどオーバーエッチされる
ことがなく、ノズル3の後端から液室2までの距離を短
くすることができる。
【0031】次に、本発明に係る液体噴射記録ヘッドの
製造方法の第1の実施例に基づく天板の作製方法につい
て図3を参照して説明する。なお、図3において、左側
の図(a、b、・・・)は、天板を液吐出方向の面で切
断した端面図であり、右側の図(a−1、b−1、・・
・)は、天板の下面(ノズル形成面)側から見た図であ
り、以下の説明においては、(a)および(a−1)、
(b)および(b−1)・・・等を単に(a)、(b)
・・・と表示する。
【0032】図3の(a)において、ノズル3を形成す
る天板1の材料となるシリコンウェハ5は、表面の結晶
方位が〈110〉面、ノズルの長さ方向の結晶方位が
〈111〉面となるものであって、このシリコンウェハ
5の両面に、熱酸化あるいはCVD等の成膜方法によっ
て、図3の(b)に示すように二酸化珪素(SiO2
の薄膜6を1μm程度形成する。この二酸化珪素層6は
シリコンを異方性エッチングしてノズル(3)を形成す
る際のマスク層として機能するものである。次に、二酸
化珪素層6に通常のフォトリソグラフィ技術を用いて、
一方の面(ノズル形成面)に、図1の(a)に詳細に図
示するように、ノズル壁に対応するマスクパターン6と
補正パターン10を設けるようにして、ノズルと液室を
合わせた形状をパターニングし、そして、その反対側の
面には液室の形状にパターニングを行なう(図3の
(c))。
【0033】さらに、ノズル形成面に窒化珪素層(Si
N)7をCVD等の方法によって成膜し(図3の
(d))、液室の形状にパターニングする(図3の
(e))。その後、これを、例えばTMAH(水酸化テ
トラメチルアンモニウム)の22%溶液のようなエッチ
ング液に浸して異方性エッチングを行なうと、ウェハ両
面でシリコンが露出した部分(すなわち液室)の形状に
したがってエッチングが進み、最後は両面からのエッチ
ングがつながって貫通穴(液室2)を形成する(図3の
(f))。
【0034】次に、ノズル形成面の窒化珪素層7をエッ
チングにより除去し(図3の(g))、図3の(c)で
二酸化珪素層6に形成したノズルパターンを露出させ、
再び、TMAH溶液による異方性エッチングを行なう。
この異方性エッチングにより、ノズルパターンのシリコ
ン5が露出している部分がエッチングされて、ノズル3
を形成し、そして、補正パターン10を設けてあること
により、前述したように、ノズル壁4のオーバーエッチ
が抑制されることにより、ノズル3の後端から液室2ま
での距離が短いノズル3が形成される(図3の(h)、
図1の(b)および(c)参照)。
【0035】以上のように、ノズル形成用のマスクパタ
ーン6に加えて補正パターン10を付設して、異方性エ
ッチングを行なうことにより、補正パターン10の作用
によって、ノズル3の後端から液室2までの距離が短い
ノズル3を形成することができる。なお、このとき、ノ
ズル後端側と同様にノズル先端からも図1の(b)に示
すようなオーバーエッチがあるために、図1の(b)に
おけるA−A線で切断することにより、各ノズル3の先
端が分離された最終的な天板1が得られる。この天板1
を図6に図示するようにヒーターボード上に密着接合あ
るいは接着することにより、液体噴射記録ヘッドが作製
される。
【0036】以上述べたように、本実施例によれば、シ
リコンを用いてノズルおよびノズル壁を異方性エッチン
グにより形成する際、ノズルと液室の距離を低減させる
ことができるので、記録液吐出後のリフィルが速く、高
速動作が可能な液体噴射記録ヘッドを容易に実現するこ
とが可能になる。さらに、天板をシリコンの異方性エッ
チングを用いて作製することにより、天板をウェハ状態
で生産できるために量産性が非常に高く、また、フォト
リソグラフィ技術を利用したノズル形成を行なうこと
で、高密度のノズルが精度よく形成できる。
【0037】次に、本発明に係る液体噴射記録ヘッドの
製造方法の第2の実施例について、図4を参照して説明
する。
【0038】本実施例は、オーバーエッチ低減のための
補正パターンをノズル後端だけでなく前方にも設けた点
で前記の第1の実施例と相違している。なお、その他の
構成に関しては前述した第1の実施例と同様であるの
で、同一部材には同じ符号を付し、詳細な説明は省略す
る。
【0039】天板(ノズル部材)について、これまでの
説明ではチップ単体での形状を示してきたが、実際には
シリコンウェハ上に多数のチップを配列して同時に形成
し、天板の基本的な形状がすべて完成してから単チップ
に切断して使用している。その際の切断位置は、例え
ば、図1の(b)におけるA−A線の位置である。つま
り、ノズル後端と同様にノズル先端からもオーバーエッ
チがあるために、元々一つのチップ領域としてパターニ
ングした境界位置よりもずらした位置で切断しなけれ
ば、チップ端面にノズル先端が位置しないことになる。
したがって、図1の(b)のA−A線より上の部分はチ
ップとして無駄になってしまい、ウェハ上の取り個数が
減少し、天板のコストアップにつながってしまう。
【0040】そこで、本実施例では、図4の(a)に示
すように、ノズル後端部の補正パターン10に加えてノ
ズル先端側にも補正パターン10aを設けることによ
り、ノズル先端からのオーバーエッチ量を低減させるも
のである。これにより、パターニング時のチップ端面か
ら切断位置B−B(図4の(b)参照)までの距離が少
なくなり、チップの取り個数が増えるという効果があ
る。
【0041】次に、本発明に係る液体噴射記録ヘッドの
製造方法の第3の実施例について図5を参照して説明す
る。
【0042】本実施例は、図5の(a)に示すように、
隣接する天板チップを向かい合わせに配置した点で、前
述した各実施例と相違する。なお、その他の構成に関し
ては前述した実施例と同様であるので、同一部材には同
じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0043】図5の(a)に示すように隣接する天板チ
ップ同士を向かい合わせに配置することにより、ノズル
先端からのオーバーエッチという問題はなくなり、2個
のチップ分のノズル長さを計算してノズルを形成した後
に、ノズルの中心位置(図5の(a)および(b)にお
けるC−C線)を切断することで、2チップ分のノズル
を得ることができる。
【0044】本実施例のもう一つの利点は、切断速度の
向上を図ることができるという点にある。つまり、前述
した実施例で形成したノズルを切断する場合、立体構造
のシリコンを壁折れやチッピングなしに切断するため
に、通常のシリコンチップの切断よりも遅い速度で慎重
に切断しなければならない。そのためにウェハ全体での
切断時間が多くなるという問題があるが、本実施例で
は、対向するノズル部分では遅い速度で慎重に切断する
が、チップ背面が対向する部分は通常の切断と同じ速度
で切断を行なうことができるので、全体として切断時間
を短くすることができる。
【0045】また、以上のように本発明により作製する
天板(ノズル部材)は、図6に示す形態に制限されるも
のではなく、例えば、液吐出の効率化のためにヒーター
ボード上に弁を設けた場合にも有効である。特に、本発
明により作製する天板においては、ノズル壁が垂直にな
っているので、弁の動作を妨げることがなく、より高速
な動作が可能となる。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
液体噴射記録ヘッドの天板(ノズル部材)をシリコンの
異方性エッチングにより作製する場合において、ノズル
の形成時に、ノズルと液室の距離を低減させることがで
きるので、記録液吐出後のリフィルが速く、高速動作が
可能な液体噴射記録ヘッドを容易に実現することが可能
になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る液体噴射記録ヘッドの製造方法の
第1の実施例を説明するための天板のノズル形成部位近
傍を示す図であり、(a)はノズル形成用のマスクパタ
ーンに加えて補正パターンを設けた状態で、異方性エッ
チングを行なう前の状態を示す図であり、(b)は異方
性エッチングを行なった後の状態を示す図であり、
(c)は(b)におけるA−A線に沿った断面図であ
る。
【図2】本発明の第1の実施例における補正パターンの
特性を示すデータ図である。
【図3】本発明に係る液体噴射記録ヘッドの製造方法の
第1の実施例に基づく天板の作製方法を工程順に示す工
程図である。
【図4】本発明の第2の実施例を説明するための天板の
ノズル形成部位近傍を示す図であり、(a)はノズル形
成用のマスクパターンに加えて補正パターンを設けた状
態で、異方性エッチングを行なう前の状態を示す図であ
り、(b)は異方性エッチングを行なった後の状態を示
す図であり、(c)は(b)におけるB−B線に沿った
断面図である。
【図5】本発明の第3の実施例を説明するための天板の
ノズル形成部位近傍を示す図であり、(a)はノズル形
成用のマスクパターンに加えて補正パターンを設けた状
態で、異方性エッチングを行なう前の状態を示す図であ
り、(b)は異方性エッチングを行なった後の状態を示
す図であり、(c)は(b)におけるD−D線に沿った
断面図である。
【図6】液体噴射記録ヘッドの構成の一例を示す斜視図
である。
【図7】従来の液体噴射記録ヘッドの製造方法における
天板作製工程を示す工程図である。
【図8】従来の天板作製工程により作製された天板を示
す図である。
【図9】従来の天板作製工程により作製される天板の問
題点を説明するための天板のノズル形成部位近傍を示す
図であり、(a)は異方性エッチングを行なう前の状態
を示す図であり、(b)は異方性エッチングを行なった
後の状態を示す図であり、(c)は同(b)におけるX
−X線に沿った断面図であり、(d)は同(b)におけ
るY−Y線に沿った断面図である。
【符号の説明】
1 天板(ノズル部材) 2 液室 3 ノズル 4 ノズル壁 5 シリコン(ウェハ) 6 二酸化珪素層 7 窒化珪素層 10,10a 補正パターン 101 天板(ノズル部材) 102 液室 103 ノズル 104 ノズル壁 105 シリコン(ウェハ) 106 二酸化珪素層 107 窒化珪素層 108 素子基板(ヒーターボード) 109 吐出エネルギー発生素子(ヒーター)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 画像データに応じて記録液に吐出エネル
    ギーを付与する複数の吐出エネルギー発生素子を有する
    素子基板と、複数のノズルおよび該ノズルに連通して記
    録液を貯溜する液室を有する天板とを備え、前記吐出エ
    ネルギー発生素子と前記ノズルがそれぞれ対向するよう
    に前記素子基板と前記天板とを接合して形成する液体噴
    射記録ヘッドの製造方法において、 前記ノズルを異方性エッチングにより形成する際の異方
    性エッチングのマスク層に前記複数のノズル間のノズル
    壁に対するオーバーエッチングを抑制する補正パターン
    を付設し、前記ノズルを異方性エッチングにより形成す
    る際に、前記補正パターンの部分へのオーバーエッチン
    グにより前記ノズルと前記液室とを連通させることを特
    徴とする液体噴射記録ヘッドの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記天板の材料として、表面が〈11
    0〉面であるシリコンウェハを用いることを特徴とする
    請求項1記載の液体噴射記録ヘッドの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記補正パターンのノズル長さ方向の幅
    は前記ノズルの深さよりも小さくなるように設定するこ
    とを特徴とする請求項1または2記載の液体噴射記録ヘ
    ッドの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記補正パターンは、ノズル形成部位と
    液室形成部位の間でノズル並び方向に延びるように配設
    されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれ
    か1項に記載の液体噴射記録ヘッドの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記ノズルの先端部分にも前記ノズル壁
    に対するオーバーエッチングを抑制する補正パターンを
    付設してあることを特徴とする請求項1ないし4のいず
    れか1項に記載の液体噴射記録ヘッドの製造方法。
JP36586899A 1999-12-24 1999-12-24 液体噴射記録ヘッドの製造方法 Pending JP2001179991A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP36586899A JP2001179991A (ja) 1999-12-24 1999-12-24 液体噴射記録ヘッドの製造方法
US09/742,433 US6958125B2 (en) 1999-12-24 2000-12-22 Method for manufacturing liquid jet recording head

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP36586899A JP2001179991A (ja) 1999-12-24 1999-12-24 液体噴射記録ヘッドの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001179991A true JP2001179991A (ja) 2001-07-03

Family

ID=18485322

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP36586899A Pending JP2001179991A (ja) 1999-12-24 1999-12-24 液体噴射記録ヘッドの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001179991A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6951385B2 (en) 2002-03-11 2005-10-04 Seiko Epson Corporation Liquid ejecting head and method of manufacturing flow path forming plate in use of liquid ejecting head

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6951385B2 (en) 2002-03-11 2005-10-04 Seiko Epson Corporation Liquid ejecting head and method of manufacturing flow path forming plate in use of liquid ejecting head

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100397604B1 (ko) 버블 젯 방식의 잉크 젯 프린트 헤드 및 그 제조방법
US5387314A (en) Fabrication of ink fill slots in thermal ink-jet printheads utilizing chemical micromachining
US4639748A (en) Ink jet printhead with integral ink filter
US5581861A (en) Method for making a solid-state ink jet print head
US6499832B2 (en) Bubble-jet type ink-jet printhead capable of preventing a backflow of ink
JP2000079693A (ja) インクジエットプリントヘッド及びその製造方法
JP3773843B2 (ja) 半球状のインクチャンバを有するインクジェットプリントヘッドの製造方法
US6649074B2 (en) Bubble-jet type ink-jet print head and manufacturing method thereof
JP3659303B2 (ja) 液体噴射記録装置の製造方法
JPH1058685A (ja) シリコン内に表面配列されて形成されたチャネルを有するインクジェットプリントヘッド
KR100433530B1 (ko) 일체형 잉크젯 프린트 헤드의 제조 방법
JP2001179992A (ja) 液体噴射記録ヘッドの製造方法
JP2001179991A (ja) 液体噴射記録ヘッドの製造方法
US6958125B2 (en) Method for manufacturing liquid jet recording head
JPH111000A (ja) ノズルプレートの製造方法、インクジェットヘッド、ノズルプレート及びインクジェット記録装置
JP2004142462A (ja) インクジェットプリントヘッド及びその製造方法
JP2003200578A (ja) 液体吐出ヘッドの製造方法
KR100400228B1 (ko) 잉크젯 프린트헤드 및 그 제조방법
US20030197763A1 (en) Liquid discharge head and method of manufacturing the same
KR100400229B1 (ko) 버블젯 방식의 잉크젯 프린트 헤드 및 그 제조방법
JP2002273884A (ja) 液体吐出ヘッドおよびその製造方法
JPH06218932A (ja) インクジェットヘッドの製造方法
JP2004025514A (ja) インクジェットヘッドの製造方法及びインクジェットヘッド
JPH04193546A (ja) インクジェットプリンタヘッド及びその製造方法
JPH06171089A (ja) インクジェットプリントヘッドおよびその製法