JP2001178091A - 高速電気機械用のロータ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高速電気機械用のロータを提供する。 【解決手段】 相互に隣接して軸上に整列している数枚
の厚いソリッドディスク（１）のスタックを備えてお
り、ソリッドディスク（１）が、規定された締め付け面
（５）をその末端面に有し、タイロッド（２）が、締め
付け面（５）の領域においてスタックを軸方向に貫通し
ている、高速電気機械用のロータ。この場合において、
タイロッド（２）は、ソリッドディスク（１）を相互に
締め付け面（５）において締め付けている。さらに、重
量及び材料を節約するため、各ソリッドディスク（１）
の周辺領域に隣接している中央の回転対称の凹部（８）
が、少なくともソリッドディスク（１）の一方の末端面
に設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、回転する電気機械
の分野に関する。本発明は、高速電気機械用のロータで
あって、相互に隣接して軸上に整列している数枚の厚い
ソリッドディスクのスタック、及び、該スタックを軸方
向に貫通しており、その末端で相互に接続されている短
絡バーを備えているものに基づく。

【０００２】

【従来の技術】電気高速回転機械、特に非同期式機械
は、通常、積層されたコアを備えたロータを有してい
る。ドイツ特許第693 11 530 T2号公報は、このような
ロータを開示している。積層されたコアの２つの末端面
のそれぞれには、短絡リングが取り付けられる。短絡リ
ングは短絡バーに接続しており、この場合において、短
絡バーは積層されたコアを周囲方向に貫通している。短
絡リング並びに短絡バーは、カゴ状の巻き線を形成す
る。さらに、ドイツ特許第693 11 530 T2号公報によれ
ば、各場合において、シャフトスタブがロータの末端面
の中心に取り付けられ、これらのシャフトスタブのうち
少なくとも１つは、ロータの回転運動を、例えば駆動す
べきユニットに、伝達するように作用する。各シャフト
スタブは、各々の短絡リングの上に載っている。さら
に、タイロッドが、積層されたコア、短絡リング、及び
シャフトスタブを、合わせて周囲方向に貫通している。
タイロッドは積層されたコアを一体に保持し、ここでタ
イロッドは、シャフトスタブの上に支持され、短絡リン
グを積層されたコアに対して締め付けている。シャフト
スタブの末端は、ベアリングによって通常の方法で導か
れ、一般に連結装置が一方の末端に付与されている。

【０００３】ドイツ特許第693 11 530 T2号公報による
ロータについての問題は、高速動作の間、ロータ全体に
ついて、特に積層されたコアについて、好適な剛性を達
成できるようにするためには、タイロッドにおいて大き
な軸方向の力が必要となる、ということにある。各積層
体に規定された座面はなく、ロータの積層体は製造誤差
を生じ易く、また起伏を有するため、結果として積層体
をスタックする間に非対称なロータ組立体が製造される
可能性がある。このことは、動作の間ロータが非同軸的
に回転すること、及び、ロータの均一な同軸回転を達成
するためには、追加の複雑なバランス測定が必要となる
ことにつながる。

【０００４】さらに、ドイツ特許第573512号公報は、剛
性の高いターボジェネレータロータであって、順番に整
列している溶接されたディスクを備えており、該ディス
クには末端面に凸部及び凹部が設けられているものを開
示している。しかしながら、ドイツ特許第573512号公報
によるロータは、必要とされるディスクの溶接のため設
計が複雑であり、したがって製造するには高価なものと
なる。また、このディスク、特に凸部及び凹部は、一方
が他方の内側に正確な様式で連結するように、極めて正
確に製造する必要がある。これによって、製造コストが
著しく上昇する。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、高速電気機械用のロータであって、高速で特に
剛性が高く、さらに製造が極めて容易であって、その結
果費用効果が高く、保守が容易なものを明記することに
ある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この目的は、高速電気機
械用のロータであって、相互に隣接して軸上に整列して
いる数枚の厚いソリッドディスクのスタック、及び、該
スタックを軸方向に貫通しており、その末端で相互に接
続されている短絡バーを備えており、ソリッドディスク
が、規定された締め付け面をその末端面に有すること、
及び、タイロッドが、締め付け面の領域及び／またはそ
の付近においてスタックを軸方向に貫通しており、該タ
イロッドが、ソリッドディスクを相互に締め付け面にお
いて締め付けていることを特徴とするものによって達成
される。本発明のさらなる有利な改良については、従属
項に記載されている。

【０００７】本発明によるロータは、相互に隣接して軸
上に整列しており、かつ規定された締め付け面をその末
端面に有する、数枚の厚いソリッドディスクのスタック
を有している。さらに、タイロッドが、締め付け面の領
域及び／またはその付近においてスタックを軸方向に貫
通しており、該タイロッドが、ソリッドディスクを相互
に締め付け面において締め付けている。その結果、高速
に必要な、極めて剛性の高いロータ組立体が、非常に有
利な方法で得られる。さらに、このロータは、熱負荷の
間、優れた曲げ剛性を有する。また、前記ソリッドディ
スクは、例えば旋盤加工などによって、極めて容易に、
かつ費用効果の高い方法で、製造することが可能であ
る。さらに、有利には、締め付け面が、ソリッドディス
クの末端面の実質的に周辺領域及び／またはその付近に
配置されており、また、本発明にしたがって、実質的に
環状の表面として設計され、タイロッドにおける低い軸
方向の力並びに高い曲げ剛性を同時に達成し、かくし
て、高速での遠心力による応力を特に受けるこのソリッ
ドディスクの領域において、特に円滑なロータの同軸回
転を達成する。また、この優れた同軸回転特性により、
ロータのシャフトベアリング、及びロータのシャフト末
端に連結されている駆動されるべきユニットが受ける摩
耗は、著しく少なくなる。本発明のこれら及びさらなる
目的、利益及び特徴は、本発明の好ましい形態の例につ
いての以下の記載から、明らかとなる。

【０００８】

【発明の実施の形態】本発明について、図面との関連で
例示の形態を参照して、以下にさらに詳細に説明する。
図面中に使用されている参照符号及びその意味について
は、符号の説明の欄にまとめられている。原則として、
図面において、同一の部分には同一の参照符号が付され
ている。

【０００９】図１は、本発明による高速電気機械用のロ
ータの一形態を示す。このロータは、相互に隣接して軸
上に整列している数枚の厚いソリッドディスク１のスタ
ックを有している。短絡バー３が、これらのソリッドデ
ィスク１を軸方向に貫通しており、該短絡バー３は、ソ
リッドディスク１のスタックの末端面に対して、周囲方
向に配列されている。さらに、短絡ディスク４が、それ
ぞれ、スタックの末端面に設けられている。短絡ディス
ク４は短絡バー３を相互に接続しており、かくしてカゴ
状の巻き線を形成している。

【００１０】ソリッドディスク１が、規定された締め付
け面５をその末端面に有すること、及び、タイロッド２
が、締め付け面５の領域及び／またはその付近におい
て、ソリッドディスク１のスタックを軸方向に貫通する
ことが、極めて有利であることが見出された。タイロッ
ド２は、スタックの末端面に対して周囲方向に配列され
ている。タイロッド２は、ソリッドディスク１が相互に
締め付け面５において締め付けられ、その結果、特に高
速において、極めて剛性の高いロータ組立体が得られる
という効果を達成する。図１によれば、ソリッドディス
ク１の規定された締め付け面５は、本発明にしたがって
実質的に環状の表面として設計され、この締め付け面５
は、実質的に各ソリッドディスク１の末端面の周辺領域
及び／またはその付近に配置されている。ロータが必要
とされる高速にある場合に、強い遠心力による応力を特
に受けるソリッドディスク１の領域において、特に高い
曲げ剛性を得ることが可能となり、またこの高い曲げ剛
性により、特に円滑なロータの同軸回転が可能となる。
この場合、タイロッド２における軸方向の力は小さくて
も、この曲げ剛性を達成するには十分である。また、ソ
リッドディスク１が相互に締め付け面５において締め付
けられることによって、熱負荷の間、所望の程度まで、
所望の高い曲げ剛性が達成される。さらに、ソリッドデ
ィスク１は、例えば旋盤加工などによって、極めて容易
な方法で製造することが可能である。

【００１１】本発明によるロータの、相互に隣接して積
層されている２枚のソリッドディスク１が、図３に示さ
れている。この場合、絶縁フィルム９が、２枚のソリッ
ドディスク１の各々の間に付与されており、また実質的
に締め付け面５の領域に配置されている。その結果、ソ
リッドディスク１は相互に有利に絶縁され、発生する渦
電流及びこれに関連するソリッドディスク１中の損失が
低減される。図１によれば、タイロッド２は短絡ディス
ク４を同様に軸方向に貫通しており、該タイロッド２
は、短絡ディスク４のスタックの末端面に対して周囲方
向に配列されている。この場合、タイロッド２は、短絡
ディスク４をソリッドディスク１のスタックに対して締
め付けるように作用する。さらに、図１によれば、シャ
フトスタブ６は、それぞれ、スタックとは反対に面して
いる短絡ディスク４の末端面の上に配列されており、ま
たタイロッド２は、このシャフトスタブ６を同様に貫通
しており、該タイロッド２は、シャフトスタブ６の上に
支持されている。シャフトスタブ６は、タイロッド２に
よって、短絡ディスク４に対して締め付けられている。
ここで、各シャフトスタブ６は、各々の短絡ディスク４
に面している側に、規定された締め付け面５を有してお
り、またこの締め付け面５は、実質的に環状の表面であ
って、実質的に各々の短絡ディスク４に面している側の
周辺領域及び／またはその付近に配置されている。タイ
ロッド２がシャフトスタブ６の上に支持されているこ
と、及び、シャフトスタブ６が短絡ディスク４に対して
締め付けられていることによって、この締め付け面５に
おいて、所望の高い曲げ剛性がまた達成される。

【００１２】本発明の他の形態であって、図２に示され
ているロータにおいては、タイロッド２は、図１による
ロータの形態とは異なり、短絡ディスク４の上に支持さ
れている。タイロッド２は、既述の様式で短絡ディスク
４を貫通している。また、シャフトスタブ６は、既述の
通り、それぞれ、ソリッドディスク１のスタックとは反
対に面している短絡ディスク４の末端面の上に配列され
ている。ただし、このシャフトスタブ６は、図１の場合
とは異なり、それぞれ、シャフトスタブ６を軸方向に貫
通している複数の軸ボルト７を介して、各々の短絡ディ
スク４に接続されている。図２によるロータのこの代替
形態においては、図１に示されている形態の場合と同様
に、各シャフトスタブ６が、また各々の短絡ディスク４
に面している側に、規定された締め付け面５を有してお
り、またこの規定された締め付け面５は、実質的に環状
の表面であって、実質的に各々の短絡ディスク４に面し
ている側の周辺領域及び／またはその付近に配置されて
いる。軸ボルト７は、シャフトスタブ６を短絡ディスク
４に対して締め付けるように作用し、これは規定された
締め付け面５において行われる。シャフトスタブ６と各
々の短絡ディスク４との間は、軸ボルト７によって脱着
可能な連結となっており、その結果、例えば必要が生じ
て任意のシャフトベアリングを交換する間、必要な保守
作業のために開放しなければならないのはこの連結のみ
であって、タイロッド２を取り外す必要はない。

【００１３】本発明の他の形態であって、図４に示され
ているロータにおいては、タイロッド２は、図１及び図
２によるロータの形態とは異なり、ソリッドディスク１
のスタックの末端面の上に支持されており、かくしてソ
リッドディスク１を相互に規定された締め付け面５にお
いて締め付けている。さらに、タイロッド２は、既述の
様式で短絡ディスク４を貫通している。シャフトスタブ
６は、既述の通り、それぞれ、ソリッドディスク１のス
タックとは反対に面している短絡ディスク４の末端面の
上に配列されている。この場合において、図１によるロ
ータの形態の場合と同様に、タイロッド２は、このシャ
フトスタブ６を貫通しており、該タイロッド２は、シャ
フトスタブ６の上に支持されている。ただし、図１及び
図２によるロータの形態の場合とは異なり、このシャフ
トスタブ６は、短絡ディスク４に対して締め付けられて
いるのではなく、各々独自で固定されている。したがっ
て、シャフトスタブ６は、タイロッド２に取り付けら
れ、かつ固定されているに過ぎない。図４によるロータ
のこの形態は、極めて良好な曲げ剛性を有するロータで
あって、特に高い熱負荷の間に、ロータの他の部分に関
らず、実質的にタイロッド２に引張応力を印加すること
なく、短絡ディスク４が軸方向に有利に拡張し得るもの
を示すものである。

【００１４】さらに、図１〜図４に示されているソリッ
ドディスク１は、少なくとも各ソリッドディスク１の一
方の末端面の上に中央に設けられていて、周辺領域に隣
接するようにされている凹部８を有している。凹部８
は、望ましくは回転対称に設計されている。その結果、
ソリッドディスク１の重量の低減に伴う材料の有利な削
減が達成される。この場合において、図１〜図４による
凹部８は、締め付け面５に影響を及ぼすことなくソリッ
ドディスク１の周辺領域に隣接するに過ぎないため、ロ
ータの曲げ剛性はそのまま影響を受けない。

【００１５】図１によるロータの好ましい形態並びに図
２及び図４によるロータの他の形態においては、周辺領
域に隣接している中央の、回転対称の凹部８が、また各
々の短絡ディスク４に面しているシャフトスタブ６の側
のシャフトスタブ６の上に設けられている。この方法に
より、ロータの曲げ剛性における損失を招くことなく、
ロータの重量及び材料をさらに節約することができる。
なぜなら、既述の通り、この場合、各々のシャフトスタ
ブ６における周辺領域はそのまま影響を受けないからで
ある。その結果、耐熱性、特にロータ全体の縦方向の耐
熱性が向上し、シャフトスタブ６及びそのベアリングの
過熱が抑制される。

【図面の簡単な説明】

【図１】高速電気機械用のロータの一形態の正面断面図
である。

【図２】高速電気機械用のロータの、図１に対する他の
形態の正面断面図である。

【図３】相互に隣接して積層されている２枚のソリッド
ディスクの詳細図である。

【図４】高速電気機械用のロータの、図１及び図２に対
するさらに他の形態の正面断面図である。

【符号の説明】

１ ソリッドディスク ２ タイロッド ３ 短絡バー ４ 短絡ディスク ５ 規定された締め付け面 ６ シャフトスタブ ７ 軸ボルト ８ 凹部 ９ 絶縁フィルム

Claims (18)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】高速電気機械用のロータであって、該ロー
   タは、相互に隣接して軸上に整列している数枚の厚いソ
   リッドディスク（１）のスタック、及び、該スタックを
   軸方向に貫通しており、その末端で相互に接続されてい
   る短絡バー（３）を備えており、ソリッドディスク
   （１）が、規定された締め付け面（５）をその末端面に
   有すること、及び、タイロッド（２）が、締め付け面
   （５）の領域及び／またはその付近においてスタックを
   軸方向に貫通しており、該タイロッド（２）が、ソリッ
   ドディスク（１）を相互に締め付け面（５）において締
   め付けていることを特徴とする、前記ロータ。
2. 【請求項２】絶縁フィルム（９）が、ソリッドディスク
   （１）の間に付与されていることを特徴とする、請求項
   １に記載のロータ。
3. 【請求項３】絶縁フィルム（９）が、実質的に締め付け
   面（５）の領域に配列されていることを特徴とする、請
   求項２に記載のロータ。
4. 【請求項４】それぞれ、短絡ディスク（４）が、スタッ
   クの末端面で配列され、該短絡ディスク（４）が、短絡
   バー（３）を相互に接続していることを特徴とする、請
   求項１に記載のロータ。
5. 【請求項５】タイロッド（２）が、短絡ディスク（４）
   を軸方向に貫通していることを特徴とする、請求項４に
   記載のロータ。
6. 【請求項６】タイロッド（２）が、短絡ディスクの上に
   支持されており、該タイロッド（２）が、短絡ディスク
   （４）をスタックの末端面に対して締め付けていること
   を特徴とする、請求項５に記載のロータ。
7. 【請求項７】タイロッド（２）が、スタックの末端面の
   上に支持されていることを特徴とする、請求項５に記載
   のロータ。
8. 【請求項８】それぞれ、シャフトスタブ（６）が、スタ
   ックとは反対に面している短絡ディスク（４）の末端面
   の上に配列されていることを特徴とする、請求項５に記
   載のロータ。
9. 【請求項９】タイロッド（２）が、シャフトスタブ
   （６）を軸方向に貫通しており、該タイロッド（２）
   が、シャフトスタブ（６）の上に支持されていることを
   特徴とする、請求項８に記載のロータ。
10. 【請求項１０】シャフトスタブ（６）が、タイロッドに
    取り付けられかつ固定されていることを特徴とする、請
    求項９に記載のロータ。
11. 【請求項１１】シャフトスタブ（６）を軸方向に貫通し
    ている複数の軸ボルト（７）を介して、各シャフトスタ
    ブ（６）が各々の短絡ディスク（４）に接続されてお
    り、該軸ボルト（７）が、シャフトスタブ（６）を短絡
    ディスク（４）に対して締め付けていることを特徴とす
    る、請求項８に記載のロータ。
12. 【請求項１２】タイロッド（２）が、シャフトスタブ
    （６）を短絡ディスク（４）に対して締め付けているこ
    とを特徴とする、請求項９に記載のロータ。
13. 【請求項１３】各シャフトスタブ（６）が、各々の短絡
    ディスク（４）に面している側に、規定された締め付け
    面（５）を有することを特徴とする、請求項１１または
    １２に記載のロータ。
14. 【請求項１４】締め付け面（５）が、実質的に周辺領域
    及び／またはその付近に配置されていることを特徴とす
    る、請求項１または１３に記載のロータ。
15. 【請求項１５】規定された締め付け面（５）が、実質的
    に環状の表面であることを特徴とする、請求項１４に記
    載のロータ。
16. 【請求項１６】周辺領域に隣接している中央凹部（８）
    が、少なくとも各ソリッドディスク（１）の一方の末端
    面に設けられていることを特徴とする、請求項１に記載
    のロータ。
17. 【請求項１７】各々の短絡ディスク（４）に面している
    シャフトスタブ（６）の側が、周辺領域に隣接している
    中央凹部（８）を有していることを特徴とする、請求項
    ８に記載のロータ。
18. 【請求項１８】中央凹部（８）が回転対称であることを
    特徴とする、請求項１６または１７に記載のロータ。