JP2001160710A - 広帯域アレーアンテナ - Google Patents

広帯域アレーアンテナ

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JP2001160710A
JP2001160710A JP34328599A JP34328599A JP2001160710A JP 2001160710 A JP2001160710 A JP 2001160710A JP 34328599 A JP34328599 A JP 34328599A JP 34328599 A JP34328599 A JP 34328599A JP 2001160710 A JP2001160710 A JP 2001160710A
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裕二朗 田口
Tsutomu Chin
陳  強
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 航空機搭載用アンテナは、一般に厳しい環境
条件下での動作が要求されるので、周波数特性が変動し
ても性能を保証するためにアンテナの動作可能な帯域を
システム要求値よりも十分広く設計する必要がある。本
発明は、低姿勢形状でも高FBR指向性パターンを保持し
つつ上記周波数特性変動に対して性能を保証することが
可能な広帯域アレーアンテナを提供することを目的とす
る。 【解決手段】 給電素子としての逆Fアンテナと、所定
の素子長を有する無給電素子とをグランド板上に立設し
たアレーアンテナにおいて、該無給電素子の一部が前記
給電素子と所要の間隔をあけて上方に位置するよう配設
するとともに、当該無給電素子と前記給電素子の各素子
長がお互いに異なるように設定したことを特徴とする広
帯域アレーアンテナである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は広帯域アレーアンテ
ナに関し、特に逆Fアンテナに無給電素子を組み合わせ
て特性を広帯域化する手段に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、送信した質問無線信号に対す
る相手方からの応答信号を受信することにより敵味方を
識別する敵味方識別(IFF)システムが知られている。波
長が300mm程度の無線周波数信号を利用する敵味方識
別(IFF)システムを航空機に適用する場合、各航空機
に搭載するアンテナは主に機首部分に取り付けられてお
り、空気抵抗の低減の観点から高さの低いアンテナが要
求される。特に、諸般の事情からコックピット前方の機
首部に配置せざるを得ない場合は、パイロットの視界確
保の観点から低姿勢化は重要である。さらにこの場合、
電気的特性としては、アンテナ後方に位置するパイロッ
トに対する不要放射を抑制する観点から前後比(Front
to Back Ratio、以下FBRと記す)の高い指向性放射パタ
ーンとともに、周波数として1030MHz(送信)及び1090MHz
(受信)を一つのアンテナにてカバーする必要性から比帯
域5.7%以上を保証したものが要求される。
【0003】従来、上記要求を満足するものとして、以
下に説明するような強制励振アンテナが特開平3-213005
号公報に提案されている。
【0004】図8は従来の強制励振アンテナの構成例を
示す機能ブロック図である。この例に示される強制励振
アンテナは、第1の励振回路100とこれを介して互いに接
続された第1及び第2のモノポールアンテナ101、102と第
1の二重同調回路103と、該二重同調回路103を介して入
出力コネクタ104に接続された第2の励振回路105と、第2
の二重同調回路106とこれを介して前記第2の励振回路10
5に接続された第3のモノポールアンテナ107とから構成
される。このように構成された強制励振アンテナは、上
述した理由により要求される低姿勢形状を実現するため
に、アンテナ素子として例えばモノポールの頂部にロー
ディング素子を負荷したトップロード型モノポールアン
テナを用い、通常のモノポールアンテナに比べて素子長
を半分以下に短縮している。
【0005】この例に示した強制励振アンテナの動作
は、上記公報に詳細に記述されているので説明を省略す
るが、アンテナ寸法の短縮に伴う以下のような問題点が
あった。 即ち、この強制励振アンテナの入力インピー
ダンスは数オームの低抵抗特性を呈するため、50オーム
系でインターフェースが設計された送受信機とのインピ
ーダンス整合をとることが困難となる。そこで、第1及
び第2の二重同調回路103、106を採用することによりイ
ンピーダンス整合を図っている。さらに、高FBR指向性
パターンを実現するために、第1の励振回路100及び第2
の励振回路105を用いて所定の励振分布により2項係数
エンドファイヤアレーとしてアンテナを動作させる。従
って、従来の強制励振アンテナは所望の低姿勢形状及び
電気的性能を実現するために、複雑な励振回路と同調回
路(整合回路)とを必要とし、その結果として製造コス
トが高くなる等の問題点があった。
【0006】以上のような問題を解決するために、本願
発明者らは上述した複雑な励振回路及び同調回路を用い
ることなく、低姿勢形状でも高FBR指向性放射パターン
が得られるアレーアンテナを提案した(特開平9-55621号
公報参照)。詳細は当該公報に記述されているので、以
下これについて要点のみ簡単に説明する。
【0007】図9は、上記特開平9-55621号に開示された
アレーアンテナの構成例を説明するための図である。こ
の例に示されるアレーアンテナは、給電素子としての逆
Fアンテナ200と、その前後にそれぞれ間隔AS1、AS2だけ
離れた位置に配置された無給電素子としての逆Lアンテ
ナ210、220とから構成される。なお、図中の斜線を施し
た水平面230は航空機の機体、或いは、グランド板を意
味している。逆Fアンテナ200は、給電ピン部Hと短絡ピ
ン部Hsと頂部水平部WL、WRとから構成され、給電ピン部
Hの下部より給電が行われるとともに、短絡ピン部Hsの
下部は機体或いはグランド板230に接地された状態とな
っている。2つの逆Lアンテナ210、220は、それぞれ垂直
部HR、HDと水平部WRR、WRDとから構成され、各垂直部H
R、HDの下部は機体或いはグランド板230に接地されてい
る。
【0008】この例に示されるアレーアンテナは、以下
のように動作する。即ち、このアレーアンテナは基本的
に八木・宇田アンテナの原理を用いたものであり、給電
素子に対し所定の距離をおいて素子長がλ/4以上、若し
くはλ/4以下の無給電素子を適宜配置することにより、
これを反射器或いは導波器として動作させたものであ
る。具体的な形状パラメータの例を後述する表1にtype1
として示す。このtype1として示される形状は、特開平9
-55621号公報の図2に開示されたものと同一であり、VSW
R≦2の帯域幅として約10%、FBRとして約18dBの性能を有
している。従って、このような構成を採用することによ
り、複雑な励振回路及び整合回路を一切必要とせず低姿
勢形状(0.08λ=22.6mm)を保持したまま上述したシステ
ム要求を満足する所望の電気的性能を得ることができ
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上述した
ような従来のアレーアンテナにおいては以下に示すよう
な問題点があった。つまり、一般に航空機搭載用アンテ
ナは、例えば温度変化が-85℃〜+71℃のように厳しい環
境条件下での動作が要求されるので、周波数特性が変動
しても性能を保証するためアンテナの共振周波数帯域幅
をシステム要求値よりも十分広くマージンをもった設計
を行う必要がある。このような観点からみれば、上記ty
pe1などの従来のアレーアンテナはシステム要求値を満
足するものの、後述する図3に示すように受信周波数(1.
09GHz)側で周波数特性変動に対するマージンが十分では
なく実用に供する上で問題があった。本発明は、上述し
た従来のアレーアンテナに関する問題を解決するために
なされたもので、低姿勢形状でも高FBR指向性パターン
を保持しつつ十分なマージンが確保可能であり、上記周
波数特性変動に対して性能を保証することが可能な広帯
域アレーアンテナを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係わる広帯域アレーアンテナの請求項1記
載の発明は、給電素子としての逆Fアンテナと、所定の
素子長を有する無給電素子とをグランド板上に立設した
アレーアンテナにおいて、該無給電素子の一部が前記給
電素子と所要の間隔をあけて上方に位置するよう配設す
るとともに、当該無給電素子と前記給電素子の各素子長
がお互いに異なるように設定する。本発明に係わる広帯
域アレーアンテナの請求項2記載の発明は、給電素子と
しての逆Fアンテナと、所定の素子長を有する無給電素
子とをグランド板上に立設したアレーアンテナにおい
て、該無給電素子の一部が前記給電素子と所要の間隔を
あけて下方に位置するよう配設するとともに、当該無給
電素子と前記給電素子の各素子長がお互いに異なるよう
に設定する。本発明に係わる広帯域アレーアンテナの請
求項3記載の発明は、所定の素子長を有する第1の無給電
素子と、給電素子としての逆Fアンテナと、所定の素子
長を有する第2の無給電素子とを順にグランド板上に立
設したアレーアンテナにおいて、前記第1の無給電素子
の一部が前記給電素子と所要の間隔をあけて上方に位置
し、前記第2の無給電素子の一部が前記給電素子と所要
の間隔をあけて下方に位置するようそれぞれ配設すると
ともに、前記各素子の長さをお互いに異なるように設定
する。本発明に係わる広帯域アレーアンテナの請求項4
記載の発明は、請求項3記載の広帯域アレーアンテナに
おいて、前記第1の無給電素子の素子長をλ/4以下に設
定して導波器として動作させるとともに、前記第2の無
給電素子の素子長をλ/4以上に設定して反射器として動
作させるようにする。本発明に係わる広帯域アレーアン
テナの請求項5記載の発明は、請求項1、請求項2、請求
項3または請求項4記載の広帯域アレーアンテナにおい
て、前記各無給電素子を逆L型形状とする。本発明に係
わる広帯域アレーアンテナの請求項6記載の発明は、請
求項1、請求項2、請求項3、請求項4または請求項5記載
の広帯域アレーアンテナにおいて、前記給電素子および
前記各無給電素子を誘電体基板面に形成した導体パター
ンを用いて構成する。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図示した実施の形態例に基
づいて本発明を詳細に説明する。本発明に係わる広帯域
アレーアンテナは、上述した特開平9-55621号公報の図3
に開示した如く逆Fアンテナと1個の無給電素子とから構
成する2素子アレーアンテナとして動作させることも、
さらにはこれに多数の無給電素子を組み合わせたものを
動作させることも可能であるが、一例として最も一般的
な逆Fアンテナと2つの無給電素子とから構成する3素子
アレーアンテナとして動作させる場合について説明す
る。
【0012】図1は本発明に係わる広帯域アレーアンテ
ナの実施の形態例を示す構成図である。この例に示す広
帯域アレーアンテナは、グランド板上に立設した給電素
子としての逆Fアンテナ10と、所定の素子長を有し該素
子の一部が前記給電素子10の上方に配設されるよう所要
間隔A1にて前記逆Fアンテナ10の前方に配置した第1の無
給電素子としての逆Lアンテナ20と、所定の素子長を有
し前記逆Fアンテナ10の後方に所要間隔A2にて配置した
第2の無給電素子としての逆Lアンテナ30とを備え、前記
各素子の長さをお互いに異なるように構成している。
【0013】逆Fアンテナ10は、高さがHf=Hsの給電ピン
11と短絡ピン12と長さがWL+WRの頂部水平部13とから構
成し、給電ピン11の下部より給電を行う。また、2つの
無給電素子20、30の高さ及び水平部の長さをそれぞれH
1、W1及びH2、W2とし、この実施例においては線状導体
の全長がLd=H1+W1の第1の無給電素子20(第1の逆Lアンテ
ナ)を導波器、Lr=H2+W2の第2の無給電素子30(第2の逆L
アンテナ)を反射器としてそれぞれ機能させたものであ
る。なお、従来のアレーアンテナでは、導波器の高さH1
と逆Fアンテナの高さHf(Hs)を等しくしていたが、本発
明に係わる広帯域アレーアンテナの特徴的な構成は、H1
>Hfにするとともに導波器と逆Fアンテナとを従来より
も接近させたことにある。
【0014】なお、後述するように素子を所定長に調整
すること等により、第1の無給電素子20を反射器、第2の
無給電素子30を導波器として動作させることも可能であ
る。
【0015】この例に示す広帯域アレーアンテナは以下
のように動作する。即ち、本発明に係わる広帯域アレー
アンテナは、基本的に特開平9-55621号公報に記載した
ものと同様に八木・宇田アンテナの原理を用いたもので
あって、各無給電素子20、30は長さがλ/4以下では導波
器として、また、λ/4以上では反射器としてそれぞれ動
作することを利用する。つまり、第1の無給電素子20の
全長Ldをほぼλ/4以下に、第2の無給電素子30の全長Lr
をλ/4以上に設定し、それぞれ導波器及び反射器として
動作させる。
【0016】その際に、本願発明者らは、上述した構造
を用いて導波器20(第1の無給電素子)と給電素子10とを
従来のアレーアンテナよりも更に近接配置して素子間の
結合を強くすると、高FBR指向性パターンを有する広帯
域特性が得られることを新たに見いだした。以下、一例
として設計周波数としてIFFシステムの中心周波数であ
るf0=1.06GHz(λ0=283mm)、線状導体として半径ra=2.1m
mを用い、逆Fアンテナ10の素子長がHf+WL+WR≒0.25λ0
である場合の本発明に係わる広帯域アレーアンテナの特
性をシミュレーションした結果について詳細に説明す
る。
【0017】図2は、導波器高さH1をパラメータとして
配列間隔A1に対する電圧定在波比VSWR≦2の帯域幅特性
及び実用上重要な送信周波数1.03GHzにおけるFBR性能を
示す前方(-x軸方向)と後方(+x軸方向)の利得比Gd/Gr特
性を示す図である。ただし、導波器水平部の長さW1は後
述する理由により最適なW1=0.104λ0に設定するととも
に、反射器30に係わるパラメータは従来のアレーアンテ
ナであるtype1と同様な値に設定した。
【0018】配列間隔A1を狭くして導波器20を給電逆F
アンテナ10に接近させていくと、導波器水平部が逆Fア
ンテナ素子上部に配設される構造となるA1<0.1λ0で帯
域幅が急激に改善されるとともに、各導波器高さH1に対
して帯域幅最適となるA1が存在する。このとき、各H1に
対してGd/Grが最適値となるA1とVSWR帯域幅が最適値と
なるA1とはほぼ一致している。
【0019】そこで、図2よりGd/Gr≧30dBを得る条件で
最大の帯域幅となる形状を求めると図2に黒丸ドット印
で示すH1=0.102λ0、A1=0.055λ0となり(以下、この形
状の広帯域アレーアンテナをtype2と呼ぶ)、帯域幅とし
て18.8%、Gd/Grは32.9dBを得ることができる。また、Gd
/Grが最適となる条件で形状を選択すると、図2に白抜き
三角印で示すH1=0.098λ0、A1=0.055λ0となり(以下、
この形状の広帯域アレーアンテナをtype3と呼ぶ)、Gd/G
rとして45.9dB、帯域幅としては16.4%を得ることができ
る。
【0020】以上説明したように、本発明に係わる広帯
域アレーアンテナは、導波器20の配列間隔をA1<0.1λ0
とすることによりtype2、或いはtype3の形状に制限され
ることなく従来のアレーアンテナ(type1)の性能(帯域幅
≒10%、Gd/Gr≒18dB)を大幅に改善することができる。
なお、反射器30の効果については後述するが、上述した
導波器20の近接配置の代わりにH2<Hf(Hs)として反射器
30を給電素子10に近接配置するようにしても同様な広帯
域特性が得られる。
【0021】表1にtype2、type3のアンテナの形状パラ
メータをtype1の場合とともに示す。
【表1】 この表からも明らかなように、本発明に係わる広帯域ア
レーアンテナは、配列間隔A1を狭く設定することに伴い
全長Lが従来のもの(type1)に比較して約78%に短縮さ
れ、結果としてアンテナの小型化にも効果がある。
【0022】図3は、本発明に係わる広帯域アレーアン
テナの最適形状であるtype2、type3のリターンロスの周
波数特性のシミュレーション結果を示す図である。参考
のために右側の軸にはリターンロスに対応するVSWR値も
示しており、また、比較のために従来のアレーアンテナ
(type1)の特性も示している。VSWR≦2(リターンロスの
表現では-9.54dB以下と等価)で評価すると、本発明に係
わる広帯域アレーアンテナは従来のtype1の帯域幅より
も高域周波数側に広帯域化され、特にtype2では従来の
約2倍に広帯域化される。従って、本発明に係わる広帯
域アレーアンテナを用いれば、従来のアレーアンテナ(t
ype1)において問題であった受信周波数(1.09GHz)の低域
側への周波数変動に対するマージン不足を解決すること
ができる。
【0023】図4は、本発明に係わる広帯域アレーアン
テナ(type2、type3)の指向性利得及びGd/Grの周波数特
性を示す図である。Gd/Grがほぼ10dB以上の帯域幅は、t
ype2では従来のtype1に比べて約2倍に高域周波数側へ広
帯域化されるとともに、その帯域とVSWR≦2の帯域とは
ほぼ同一の周波数帯であるから、本発明に係わる広帯域
アレーアンテナはVSWR≦2の帯域内で単一指向性を有す
る八木・宇田アンテナとして動作していることがわか
る。また、Gd/Grは実用上重要な送信周波数1.03GHzで最
大値となり、従来のtype1から大幅に改善される。
【0024】指向性利得Gdは、送信周波数1.03GHzでは
従来のアレーアンテナ(type1)とあまり差はないが、Gd
≧7dBiで定義する帯域幅において比較するとtype2では
約45MHz、type3では約13MHzそれぞれ従来のtype1より高
域周波数側に広帯域化される。
【0025】ここで、導波器水平部の長さW1が特性に及
ぼす影響について考察する。図5は、上述したtype2にお
いてW1を変化させたときのVSWR≦2で定義する帯域幅及
び送信周波数1.03GHzにおけるGd/Grを示す図である。W1
をtype2の0.104λ0から変化させると、黒丸ドット印で
示すtype2の特性は帯域幅が急激に減少するとともにGd/
Grも減少しており、従って、導波器水平部の長さはW1=
0.104λ0が最適であることがわかる。
【0026】次に、反射器30の効果について考察する。
従来のアレーアンテナ(type1)において、高さH2の反射
器垂直部の導体中心と給電逆Fアンテナ10の頂部水平部W
Rの端部との距離は0.01λ0であり、従って、さらに反射
器30を給電逆Fアンテナ10に近接配置する場合は、高さH
2をHf(=0.08λ0)より低くする必要がある。
【0027】そこで、type2の形状において反射器の高
さH2を0.061λ0〜0.098λ0の範囲をパラメータとして、
配列間隔A2を0.16λ0〜0.28λ0まで変化させてアンテナ
特性に及ぼす影響を調べた。なお、H2<0.08λ0に対し
ては反射器が逆Fアンテナ10の下側に配設されるA2=0.13
λ0〜0.28λ0まで変化させた。図6は、H2<Hf(=0.08λ
0)として反射器30を近接配置する構成例を示す図であ
る。
【0028】その結果、図示は省略するがVSWR≦2の帯
域幅及びGd/Grはtype2の特性から急激に劣化した。ただ
し、反射器水平部の長さW2を適宜所定長に調整すればVS
WR≦2の帯域幅はtype2と同程度の性能を有するが、Gd/G
rは送信周波数1.03GHzで10.3dBとなるなど指向性パター
ン特性は若干劣化するので、この形状パラメータのアレ
ーアンテナは主にVSWR特性の広帯域化のみが要求される
用途には適用可能である。
【0029】次に、本発明の他の実施例について説明す
る。上述した実施例では半径raの線状導体を用いてア
ンテナを構成したが、比誘電率εrの誘電体基板をグラ
ンド板上に垂直に立設し、該基板の片面上に上述したty
pe2或いはtype3などの本発明に係わる広帯域アレーアン
テナ形状を構成する導体パターンをエッチング等による
銅箔にて形成してもよい。以下、これについて説明す
る。
【0030】図7は、基本実施例(図1)と同様の広帯域ア
レーアンテナを誘電体基板上に構成する例を示す図であ
る。この例に示す広帯域アレーアンテナは、グランド板
71上に立設した誘電体基板72の片面に給電逆F素子73及
び各無給電素子74、75が形成される。なお、各素子が形
成された面の反対面に導体パターンは無い。この場合の
形状パラメータは、波長が概ねλ/√εr〜0.95λ
に短縮されるので、給電素子と各無給電素子との間隔、
給電素子長及び各無給電素子長を上述した基本実施例の
場合よりも概ね1/√εr〜0.95に短縮する必要が
ある。また、発砲材等の誘電体の片面上に板状導体を接
着材等で保持し、当該板状導体により上記導体パターン
を形成してもよい。この場合はεr≒1であるため、給
電素子と各無給電素子との間隔、給電素子長及び各無給
電素子長の短縮等は行わなくてよい。
【0031】以上の実施例においては、無給電素子とし
て逆L型形状の導体を用いた場合について説明したが、
本発明に係わる広帯域アレーアンテナはこれに限定され
るものではない。即ち、無給電素子はその素子長が八木
・宇田アンテナの動作条件として重要なパラメータであ
ることは自明であり、その形状は任意のもので良い。ど
のような形状の無給電素子を用いる場合でも、その素子
長を導波器としてはほぼλ/4以下、反射器としてはほぼ
λ/4以上に設定するとともに、これらの無給電素子を上
述した如く給電素子に所要間隔にて近接配置して素子間
の結合を強くすることにより広帯域特性を得ることがで
きる。
【0032】
【発明の効果】本発明は以上説明したように逆Fアンテ
ナに無給電素子を近接配置した構造を用い、当該無給電
素子を導波器、或いは反射器として動作させることによ
り、アレーアンテナ全長の小型化が可能であるとともに
低姿勢形状で高FBR指向性パターンを保持しつつ広帯域
特性を有するので、航空機搭載用IFFアンテナとして周
波数特性が変動しても十分性能を保証することが可能な
広帯域アレーアンテナを実現する上で著効を奏す。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる広帯域アレーアンテナの構成を
説明する図
【図2】本発明に係わる広帯域アレーアンテナの帯域幅
とGd/Gr(FBR)特性を示す図
【図3】本発明に係わる広帯域アレーアンテナのリター
ンロスの周波数特性を示す図
【図4】本発明に係わる広帯域アレーアンテナの指向性
利得とGd/Gr(FBR)の周波数特性を示す図
【図5】本発明に係わる広帯域アレーアンテナの導波器
の水平長W1の変化に対する帯域幅とGd/Gr(FBR)特性を示
す図
【図6】本発明に係わる広帯域アレーアンテナにおいて
H2<Hfとした構成例を示す図
【図7】本発明に係わる広帯域アレーアンテナを誘電体
基板を用いて構成する例を示す図
【図8】従来のトップロード型モノポール素子を用いる
アレーアンテナの構成例を示す機能ブロック図
【図9】従来の逆Fアンテナと無給電素子とから構成さ
れるアレーアンテナの構成例を説明する図
【符号の説明】
10・・逆Fアンテナ(給電素子) 11・・逆Fアンテナの給電ピン(長さHf) 12・・逆Fアンテナの短絡ピン(長さHs) 13・・逆Fアンテナの頂部水平部(長さWL+WR) 20・・導波器(無給電素子) 30・・反射器(無給電素子)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 陳 強 宮城県仙台市太白区三神峯一丁目3番3− 506号 (72)発明者 澤谷 邦男 宮城県仙台市青葉区八幡四丁目2番31号 Fターム(参考) 5J020 AA03 BA02 BC08 CA05 CA06 5J045 AA02 AB05 AB06 DA08 FA01 NA01

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 給電素子としての逆Fアンテナと、所定
    の素子長を有する無給電素子とをグランド板上に立設し
    たアレーアンテナにおいて、 該無給電素子の一部が前記給電素子と所要の間隔をあけ
    て上方に位置するよう配設するとともに、当該無給電素
    子と前記給電素子の各素子長がお互いに異なるように設
    定したことを特徴とする広帯域アレーアンテナ。
  2. 【請求項2】 給電素子としての逆Fアンテナと、所定
    の素子長を有する無給電素子とをグランド板上に立設し
    たアレーアンテナにおいて、 該無給電素子の一部が前記給電素子と所要の間隔をあけ
    て下方に位置するよう配設するとともに、当該無給電素
    子と前記給電素子の各素子長がお互いに異なるように設
    定したことを特徴とする広帯域アレーアンテナ。
  3. 【請求項3】 所定の素子長を有する第1の無給電素子
    と、給電素子としての逆Fアンテナと、所定の素子長を
    有する第2の無給電素子とを順にグランド板上に立設し
    たアレーアンテナにおいて、 前記第1の無給電素子の一部が前記給電素子と所要の間
    隔をあけて上方に位置し、前記第2の無給電素子の一部
    が前記給電素子と所要の間隔をあけて下方に位置するよ
    うそれぞれ配設するとともに、前記各素子の長さをお互
    いに異なるように設定したことを特徴とする広帯域アレ
    ーアンテナ。
  4. 【請求項4】 前記第1の無給電素子の素子長をλ/4以
    下に設定して導波器として動作させるとともに、前記第
    2の無給電素子の素子長をλ/4以上に設定して反射器と
    して動作させたことを特徴とする請求項3記載の広帯域
    アレーアンテナ。
  5. 【請求項5】 前記各無給電素子を逆L型形状としたこ
    とを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3または請求
    項4記載の広帯域アレーアンテナ。
  6. 【請求項6】 前記給電素子および前記各無給電素子を
    誘電体基板面に形成した導体パターンを用いて構成した
    ことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4
    または請求項5記載の広帯域アレーアンテナ。
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