JP2001154718A - 回転工具の送り制御方法及び同制御装置 - Google Patents

回転工具の送り制御方法及び同制御装置

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JP2001154718A
JP2001154718A JP33876899A JP33876899A JP2001154718A JP 2001154718 A JP2001154718 A JP 2001154718A JP 33876899 A JP33876899 A JP 33876899A JP 33876899 A JP33876899 A JP 33876899A JP 2001154718 A JP2001154718 A JP 2001154718A
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data
tool
aspect ratio
corner
speed
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JP33876899A
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Masanori Masubuchi
正則 増渕
Hiroaki Koyama
弘晃 小山
Isao Ito
勲 伊東
Hiroshi Yamanaka
山中  浩
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Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 回転工具、特に細長いエンドミルに好適な折
損防止技術を提供する。 【解決手段】 ST04:アスペクト比Aが20以上で
あるか否かを調べ、Yesなら次に進み、否(No)で
あればST10に進む。ST06:コーナー角度θが9
0゜以下であるか否かを調べ、Yesなら次に進み、否
(No)であればST10に進む。ST08:ST02
で読み込んだV字型速度線図を加工して、等脚台形型速
度線図を作成する。ST09:切削加工を実行する。 【効果】 加工所要時間の長い等脚台形型速度線図を、
アスペクト比が20以上で且つコーナー角度が90゜以
下の場合のみに限定し、その他を加工所要時間の短いV
字型速度制御で行わせるので、トータル加工時間の増加
を抑えることができ、高い水準の生産性を維持すること
ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は回転工具、特に細長
いエンドミルに好適な折損防止技術に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、特開平5−61531号公報
「数値制御における送り速度制御方法および装置」に、
ワークの切削部に円弧部があるときには、この円弧部に
おける送り速度を直線部の送り速度より遅くする制御方
法が示されている。同公報で従来技術として説明されて
いる図5の速度線図が、分かりやすいので、同図を再掲
した次図に基づいて、速度制御の一例を説明する。
【0003】図10は従来の円弧部切削に係る速度線図
の一例を示す図であり、横軸のP1は円弧開始点、P2は
円弧終点、縦軸は送り速度であり、Faは減速速度、F
cはFaより速い一定速度であり、この様に等脚台形曲
線に沿って送り速度を制御するというものである。すな
わち、エンドミルなどの回転工具で直線部及び円弧部を
切削するときに、直線部では工具の刃が1枚だけワーク
に接触し、円弧部では工具の複数の刃がワークに接触す
るため、工具に掛かる負荷は円弧部で増大する。円弧部
で送り速度を下げることで工具負荷を平均化して、工具
の破損を防止するというものである。しかし、P1〜P2
の間は低速域になるため、切削加工時間が延び、生産性
が上がらない。そこで、次の様な改良した速度制御が前
記公報に示されている。
【0004】図11は従来の別の速度線図であり、前記
公報の図4を再掲した図である。横軸の円弧終点P2
が、減速速度Faになるように、V字型曲線に沿って、
送り速度を制御するものであり、円弧終点Paから逆算
したP0で、減速を開始することを特徴とする。
【0005】この場合、常時円弧加工終了点で減速速度
に到達する。しかし、次図で説明するが、切削抵抗のピ
ーク(最大)が円弧の終了点の手前に現れることは従来
から知られている。
【0006】図12は工具に掛かる切削負荷を測定した
チャート図であり、横軸は時間、縦軸は切削負荷を示
す。このときの条件は次の通りである。 回転工具:3mm径×60mm長さのエンドミル 送り速度制御:V字型線図による。 コーナー部の角度:90゜ 切込み量:(工具の軸直角方向)0.5mm
【0007】チャートにおいて、横軸でtcは、工具が
コーナー部の中央にて急激に方向転換するため、切削負
荷がプラスからマイナスに切換わっており、且つこのt
cから62〜74mses前の位置に切削抵抗のピーク
(最大)が現れている。このピークでは、チャートから
分かるように、他の位置における切削抵抗の2倍もの切
削抵抗が掛かる。このことが工具破損の主因になってい
ると思われる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者等は
前記ピークで減速速度がFaになるようにすれば、工具
の寿命を延ばすことができることに着目し、本発明はピ
ークを解消するための好適な回転工具の送り速度制御方
法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】図1は回転工具と切削部
の関係を示す図であり、回転工具としてのエンドミル1
0の側周面に設けた刃11・・・(・・・は複数を示す。以下
同様。)及び正面(図では下端)に設けた正面刃12・・
・で、ワーク13を切削している状態を示す。エンドミ
ル10をチャック14で把持しているとすれば、このチ
ャック14から飛び出ている部分を工具長さLと定め
る。Dはエンドミル10の径(工具径)である。
【0010】この図から明らかなように、工具の長さL
が大きいほど、エンドミル10の先端(下端)が図面表
裏若しくは左右に撓みやすくなり、その結果、エンドミ
ル10に大きな曲げ応力が発生し、破損に繋がりやす
い。一方、工具径Dが大きいほど、剛性が高まり、撓み
が出にくくなり、曲げ応力を抑えることができ、工具が
破損しにくくなる。このため工具の破損に関しては、工
具の長さLと工具径Dとを考慮する必要がある。そこ
で、L/Dをアスペクト比Aとしたときに、このアスペ
クト比Aで工具の折損率を調べてみる。
【0011】図2はアスペクト比と工具の折損率の関係
を調べたグラフであり、コーナー部の中心に向って減速
し、コーナー部を抜けたら増速するところのV字型速度
制御にて、コーナー角度が90゜であるワークにおい
て、各アスペクト比について工具の折損率を調べた。横
軸はアスペクト比A、縦軸は折損率である。この調査の
結果、アスペクト比20を境にして、折損率が変化する
ことが分かった。すなわち、アスペクト比が20未満で
あれば、折損率は十分に小さい。しかし、アスペクト比
が20以上となると折損率が急増し、対策を講じる必要
があることが分かった。
【0012】すなわち、アスペクト比が20未満であれ
ばV字型速度制御を実施することは差支えないが、アス
ペクト比が20以上のときには、V字型速度制御に代わ
る速度制御の必要があると言える。そこで、発明者等
は、前記図12で認められたピークの位置でエンドミル
の送りを最低速にしておけば、切削抵抗の突出現象を抑
えることができることに着目し、V字型速度線図をベー
スにして減速開始点並びに並びに減速終了点を、前記6
2〜74msesだけ、前にずらした等脚台形型速度制
御を実施する必要がある。
【0013】図3(a),(b)は本発明に係る送り速
度線図であり、横軸は時間、縦軸は送り速度である。
(a)は基礎となるV字型速度線図、すなわちコーナー
部の中央位置で回転工具の送り速度を最低のFminに
決め、直線部での回転工具の送り速度を最高のFmax
とし、回転工具を送る段階でコーナー部中央位置Pcに
向ってFmaxからFminに減速し、コーナー部中央
位置PcからはFminからFmaxに増速するところ
のV字型速度線図である。
【0014】(b)は、τだけ減速開始点Ps並びに減
速終了点Peを入側の直線部側へ寄せたところの等脚台
形型速度線図であり、円弧中心Pcから以降の増速線2
1は(a)と同じであり、円弧中心Pcより前の減速線
22のみを(a)よりτだけ前にずらした速度線図であ
る。
【0015】そこで、図3(b)に示した等脚台形型速
度線図に基づいて、切削を実施した。そのときのチャー
トを次に示す。
【0016】図4は本発明方法に基づく切削負荷チャー
ト図であり、横軸は時間、縦軸は切削負荷を示す。この
ときの条件は次の通りである。 回転工具:3mm径×60mm長さのエンドミル コーナー部の角度:90゜ 切込み量:(工具の軸直角方向)0.5mm
【0017】チャートによれば、切削抵抗の突出現象は
解消し、切削抵抗が平均化したと認められ、エンドミル
が折損する心配はなかった。
【0018】しかし、前記等脚台形型線図は、62ms
ec相当長さだけ、切削に要する時間が延びることにな
り、この様な等脚台形型線図を多用することは、生産性
を維持する上で好ましいとはいえない。そこで、本発明
者等は、等脚台形型線図を使うべき範囲を定めるべく更
なる研究及び実験を続けた。
【0019】図5(a)〜(c)はコーナー角度と切削
抵抗との関係説明する平面図であり、コーナー部15
は、入側の直線部16と円弧部17と出側の直線部18
とを連続させたものといえる。19をエンドミル10の
中心軌跡としたときに、この軌跡19は、コーナー部1
5の中心位置Pcで方向を変える。このときの方向変換
角度に相当するものを、コーナー角度θ(θ1〜θ3)
と呼ぶことにする。
【0020】(a)は、コーナー角度θ1が直角(90
゜)であり、このときには、ワーク13に接触している
部分の角度(接触部の角度)αが90゜(=180゜−
90゜)であることを示す。(b)は、コーナー角度θ
2が鋭角(例えば60゜)であり、このときには、ワー
クに接触している部分の角度(接触部の角度)αは12
0゜(=180゜−60゜)になる。αが大きいため、
ワーク13に接する刃の数が増加し、切削抵抗は増大す
る。(c)は、コーナー角度θ3が鈍角(例えば120
゜)であり、このときには、ワーク13に接触している
部分の角度(接触部の角度)αは60゜(=180゜−
120゜)になる。αが小さいため、ワークに接する刃
の数が減少し、切削抵抗は減少する。
【0021】図6は高アスペクト比の工具におけるコー
ナー角度と折損率との関係を調べたグラフであり、横軸
はコーナー角度、縦軸は折損率である。アスペクト比A
が20であるエンドミルを用いて、V字型速度制御で切
削したときの折損率を細線で示す。全体的にリニアーで
あるが95゜付近を変曲点としてV字状に折れ曲がり、
95゜以下では折損率が見込みより増加する傾向が認め
られた。これはアスペクト比が20以上であるため、工
具の撓みが影響していると思われる。
【0022】一方、太線は等脚台形型速度制御を行った
ときの折損率を示すが、コーナー角度が90゜を超える
領域では、細線とそれほどの差が認められなかった。逆
に、コーナー角度が90゜以下の領域では細線と顕著な
差が認められた。ただし、コーナー角度が60゜を下回
ると折損率が増加率が高まり細線との差が減少した。
【0023】このことから、V字型速度制御はコーナー
角度が90゜以下、すなわち直角及び鋭角のときに有効
であることが分かった。更に、好ましくはコーナー角度
60゜〜90゜の範囲にV字型速度制御を適用すれば、
より効果が顕著であるといえる。
【0024】以上の知見から、本発明を次の通りに纏め
ることができる。すなわち、請求項1の回転工具の送り
制御方法は、直線部を切削するときには回転工具の刃が
1枚若しくは最少枚数のみ切削部に当り、コーナー部を
切削するときには切削部に当る回転工具の刃の数が増加
することから、前記コーナー部の中央位置で回転工具の
送り速度を最低のFminに決め、直線部での回転工具
の送り速度を最高のFmaxとし、回転工具を送る段階
でコーナー部中央位置に向ってFmaxからFminに
減速し、コーナー部中央位置からはFminからFma
xに増速するところのV字型速度線図で速度制御するこ
とで、回転工具に掛る切削負荷を平均化することを基本
とし、回転工具の工具径をD、工具長さをL、L/Dを
アスペクト比Aと呼ぶときに、このアスペクト比Aが2
0未満であれば、前記V字型速度線図で速度制御を行
い、前記アスペクト比Aが20以上であっても、前記コ
ーナー部のコーナー角度が鈍角であれば、前記V字型速
度線図で速度制御を行い、前記アスペクト比Aが20以
上で、且つ前記コーナー角度が直角若しくは鋭角であれ
ば、予め実験から求めたτだけ前記減速開始点並びに減
速終了点を入側の直線部側へ寄せたところの等脚台形型
速度線図に基づいて速度制御を行うことを特徴とする。
【0025】先ず、V字型速度線図と等脚台形型速度線
図との2種類の速度制御を準備し、使い分けることによ
り、工具の折損率を大幅に低減することに成功した。そ
して、加工所要時間の長い等脚台形型速度線図を、アス
ペクト比が20以上で且つコーナー角度が90゜以下の
場合のみに限定し、その他を加工所要時間の短いV字型
速度制御で行わせるので、トータル加工時間の増加を抑
えることができ、高い水準の生産性を維持することがで
きる。
【0026】請求項2の制御装置は、予め実験から求め
たτデータをデータベースの形で読み込ませるτデータ
ベース読み込み手段31並びにこのτデータベース読み
込み手段31で読み込んだτデータベースを記憶させる
τデータベース記憶部32と、V字型速度線図並びに工
具の移動軌跡座標群を含むNCデータを読み込ませるN
Cデータ読み込み手段33並びにNCデータ読み込み手
段33で読み込んだNCデータを記憶させるNCデータ
記憶部34と、工具の長さL、工具径D、その他の工具
データを入力するための工具データ入力手段35と、こ
の工具データ入力手段35からの情報に基づいてアスペ
クト比(L/D)を演算するアスペクト比演算部36
と、このアスペクト比演算部36で演算したアスペクト
比が所定値以上であるか否かにより制御方法を選択する
第1制御方法選択部37と、第1制御方法選択部37か
らアスペクト比が所定値以上であったとの情報を受けた
ときに前記NCデータ記憶部34に記憶してあるNCデ
ータから当該コーナー部のコーナー角度を演算するコー
ナー角度演算部38と、このコーナー角度演算部38で
求めたコーナー角度が90゜以下であるか否かにより制
御方法を選択する第2制御方法選択部39と、この第2
制御方法選択部39からコーナー角度が90゜以下であ
ったとの情報を受けたときに前記τデータベース記憶部
32の中から先に演算したアスペクト比に対応するτを
選択するτ値決定部40と、このτ値決定部40で決定
したτに基づいて前記NCデータ記憶部34に記憶させ
てあるNCデータのうちのV字速度線図を修正するNC
データ修正部41と、このNCデータ修正部41から修
正済NCデータを受けたときにはこれを採用し、第1又
は第2方法選択部37又は39から否の情報を受けたと
きには修正前NCデータを採用するNCデータ選択手段
42と、からなる。
【0027】
【発明の実施の形態】上述した課題を解決するための手
段を達成するための制御フローの例及び制御装置の例を
添付図に基づいて以下に説明する。
【0028】図7は本発明に係る回転工具の送り制御フ
ロー図であり、ST××はステップ番号を示す。 ST01:工具の長さL及び径Dを入力する。 ST02:V字型速度線図を読み込む。 ST03:A=L/Dの算式により、アスペクト比Aを
計算する。 ST04:アスペクト比Aが20以上であるか否かを調
べ、Yesなら次に進み、否(No)であればST10
に進む。
【0029】ST05:切削部におけるコーナー角度θ
を計算する。 ST06:コーナー角度θが90゜以下であるか否かを
調べ、Yesなら次に進み、否(No)であればST1
0に進む。 ST07:次図に示すデータベースからτの値を定め
る。 ST08:ST02で読み込んだV字型速度線図を加工
して、等脚台形型速度線図を作成する。 ST09:切削加工を実行する。 ST10:ST04でアスペクト比Aが20未満の場合
は、V字型速度線図にてST09の切削を実行する。又
は、ST06でコーナー角度θが90゜超、すなわち鈍
角の場合は、V字型速度線図にてST09の切削を実行
する。 以上のフローは一例を示すものであり、ステップの増減
やステップの入れ替えは自由である。
【0030】図8は本発明のτに係るデータベースの一
例を示すグラフであり、アスペクト比に対応するτデー
タを用いる。
【0031】ところで、コーナー角度が小さいほど折損
率が増加することは、図6に示した通りである。この図
6を見ると、コーナー角度が60゜未満になると等脚台
形型速度制御はV字型速度制御と大差がないことにな
り、コーナー角度が120゜を超えると等脚台形型速度
制御はV字型速度制御と大差がないことになり、時間の
掛かる等脚台形型速度制御をV字型速度制御に代えて採
用することには得策でない。
【0032】又、ワークにおけるコーナー部のコーナー
角度を色々調べてみると、大半が90゜であり、70゜
未満若しくは110゜を超えるものが若干あるだけで、
60゜未満若しくは120゜を超えるものは殆ど見当た
らなかった。そこで、本発明の等脚台形型速度制御は、
90゜を中心とした60゜〜120゜に適用すれば効果
が期待でき、好ましくは90゜を中心とした70゜〜1
10゜に適用する。
【0033】以上のことから、最も厳しい条件であるコ
ーナー角度60゜での切削抵抗に工具が耐えれば、実用
的には工具の折損率を好ましい水準に保つことができ
る。そこで、コーナー角度を90゜から60゜に変更
し、他の条件は維持した条件(下記)で、図12と同様
の実験を繰り返した。 回転工具:3mm径×60mm長さのエンドミル 送り速度制御:V字型線図による。 コーナー部の角度:60゜ 切込み量:(工具の軸直角方向)0.5mm
【0034】上記条件により実験を繰り返し、ピークの
発生位置からτを決めたものが図8である。なお、デー
タベースはデジタル的なマップ、数式であってもよく、
その形態は任意である。
【0035】次に、本発明を実施するのに好適な制御装
置の例を説明する。図9は本発明に係る回転工具の送り
制御装置のブロック構成図であり、回転工具の送り制御
装置30は、τデータをデータベースの形で読み込ませ
るτデータベース読み込み手段31並びにこのτデータ
ベース読み込み手段31で読み込んだτデータベースを
記憶させるτデータベース記憶部32と、V字型速度線
図並びに工具の移動軌跡座標群を含むNCデータを読み
込ませるNCデータ読み込み手段33並びにNCデータ
読み込み手段33で読み込んだNCデータを記憶させる
NCデータ記憶部34と、工具の長さL、工具径D、そ
の他の工具データを入力するためのキーボード、マウ
ス、ペンなどの工具データ入力手段35と、この工具デ
ータ入力手段35からの情報に基づいてアスペクト比
(L/D)を演算するアスペクト比演算部36と、この
アスペクト比演算部36で演算したアスペクト比が所定
値(例えば20)以上であるか否かにより制御方法を選
択する第1制御方法選択部37と、第1制御方法選択部
37からアスペクト比が所定値以上であったとの情報を
受けたときに前記NCデータ記憶部34に記憶してある
NCデータから当該コーナー部のコーナー角度を演算す
るコーナー角度演算部38と、このコーナー角度演算部
38で求めたコーナー角度が90゜以下であるか否かに
より制御方法を選択する第2制御方法選択部39と、こ
の第2制御方法選択部39からコーナー角度が90゜以
下であったとの情報を受けたときに前記τデータベース
記憶部32の中から先に演算したアスペクト比に対応す
るτを選択するτ値決定部40と、このτ値決定部40
で決定したτに基づいて前記NCデータ記憶部34に記
憶させてあるNCデータのうちのV字速度線図を修正す
るNCデータ修正部41と、このNCデータ修正部41
から修正済NCデータを受けたときにはこれを採用し、
第1又は第2方法選択部37又は39から否の情報を受
けたときには修正前NCデータを採用するNCデータ選
択手段42とからなる。NCマシン43は、前記NCデ
ータ選択手段42からの修正前NCデータ又は修正済N
Cデータに基づいて切削加工を実行する。
【0036】尚、回転工具は、実施例で述べたエンドミ
ルの他、各種のフライスであってもよく、要は側周面に
複数の刃(外周切れ刃)を有する棒状の回転工具であれ
ばよい。
【0037】
【発明の効果】本発明は上記構成により次の効果を発揮
する。請求項1の回転工具の送り制御方法は、回転工具
の工具径をD、工具長さをL、L/Dをアスペクト比A
と呼ぶときに、このアスペクト比Aが20未満であれ
ば、前記V字型速度線図で速度制御を行い、前記アスペ
クト比Aが20以上であっても、前記コーナー部のコー
ナー角度が鈍角であれば、前記V字型速度線図で速度制
御を行い、前記アスペクト比Aが20以上で、且つ前記
コーナー角度が直角若しくは鋭角であれば、予め実験か
ら求めたτだけ前記減速開始点並びに減速終了点を入側
の直線部側へ寄せたところの等脚台形型速度線図に基づ
いて速度制御を行うことを特徴とする。
【0038】先ず、V字型速度線図と等脚台形型速度線
図との2種類の速度制御を準備し、使い分けることによ
り、工具の折損率を大幅に低減することに成功した。そ
して、加工所要時間の長い等脚台形型速度線図を、アス
ペクト比が20以上で且つコーナー角度が90゜以下の
場合のみに限定し、その他を加工所要時間の短いV字型
速度制御で行わせるので、トータル加工時間の増加を抑
えることができ、高い水準の生産性を維持することがで
きる。
【0039】即ち、請求項1は回転工具が折れ易いアス
ペクト比20以上については、減速終了点を前倒しとし
た。このことにより、回転工具に最大の負荷が掛かる位
置で低速で工具を送ることができる。その結果、工具へ
作用する切削負荷が小さくなり、折損を回避することが
でき、切削工具の寿命を十分に延ばすことができ、切削
作業の能率向上と、切削コストの削減とが図れる。
【0040】そのときに使用する等脚台形型速度線図
は、V字型速度線図の一部を加工するだけであり、作成
は容易である。すなわち、等負荷加工制御法として広く
知られているV字型速度線図を巧みに利用したため、本
発明を実施する上での速度線図は短時間で作成若しくは
決定することができる。従って、NC研削盤の制御部に
おいて、プログラムの修正を施すにしても、この修正作
業はごく簡単なものに留めることができる。
【0041】請求項2の制御装置は、τデータベース読
み込み手段31と、τデータベース記憶部32と、NC
データ読み込み手段33と、NCデータ記憶部34と、
工具データ入力手段35と、アスペクト比演算部36
と、このアスペクト比演算部36で演算したアスペクト
比が所定値以上であるか否かにより制御方法を選択する
第1制御方法選択部37と、第1制御方法選択部37か
らアスペクト比が所定値以上であったとの情報を受けた
ときに前記NCデータ記憶部34に記憶してあるNCデ
ータから当該コーナー部のコーナー角度を演算するコー
ナー角度演算部38と、このコーナー角度演算部38で
求めたコーナー角度が90゜以下であるか否かにより制
御方法を選択する第2制御方法選択部39と、この第2
制御方法選択部39からコーナー角度が90゜以下であ
ったとの情報を受けたときに前記τデータベース記憶部
32の中から先に演算したアスペクト比に対応するτを
選択するτ値決定部40と、このτ値決定部40で決定
したτに基づいて前記NCデータ記憶部34に記憶させ
てあるNCデータのうちのV字速度線図を修正するNC
データ修正部41と、このNCデータ修正部41から修
正済NCデータを受けたときにはこれを採用し、第1又
は第2方法選択部37又は39から否の情報を受けたと
きには修正前NCデータを採用するNCデータ選択手段
42と、からなる。
【0042】V字型速度制御線図をNCデータに含めて
おき、基本的にはこのV字型速度制御線図で切削加工を
実施させ、第1又は第2方法選択部の双方で条件をクリ
アしたときにのみ 、NCデータを修正させる構成とし
たので、修正済NCデータの記憶量を最小に留めること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】回転工具と切削部の関係を示す図
【図2】アスペクト比と工具の折損率の関係を調べたグ
ラフ
【図3】本発明に係る送り速度線図
【図4】本発明方法に基づく切削負荷チャート図
【図5】コーナー角度と切削抵抗との関係説明する平面
【図6】高アスペクト比の工具におけるコーナー角度と
折損率との関係を調べたグラフ
【図7】本発明に係る回転工具の送り制御フロー図
【図8】本発明のτに係るデータベースの一例を示すグ
ラフ
【図9】本発明に係る回転工具の送り制御装置のブロッ
ク構成図
【図10】従来の円弧部切削に係る速度線図の一例を示
す図
【図11】従来の別の速度線図
【図12】工具に掛かる切削負荷を測定したチャート図
【符号の説明】
10…回転工具(エンドミル)、11…刃、13…ワー
ク、15…コーナー部、16…直線部(入側の直線
部)、17…円弧部、θ,θ1〜θ3…コーナー角度、
Pc…コーナー部の中央位置、Ps…減速開始点、Pe
…減速終了点。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊東 勲 埼玉県狭山市新狭山1丁目10番地1 ホン ダエンジニアリング株式会社内 (72)発明者 山中 浩 埼玉県狭山市新狭山1丁目10番地1 ホン ダエンジニアリング株式会社内 Fターム(参考) 3C022 AA08 5H269 AB01 AB05 BB01 EE01 EE11 QB15 QC01 QC03

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 直線部を切削するときには回転工具の刃
    が1枚若しくは最少枚数のみ切削部に当り、コーナー部
    を切削するときには切削部に当る回転工具の刃の数が増
    加することから、前記コーナー部の中央位置で回転工具
    の送り速度を最低のFminに決め、直線部での回転工
    具の送り速度を最高のFmaxとし、回転工具を送る段
    階でコーナー部中央位置に向ってFmaxからFmin
    に減速し、コーナー部中央位置からはFminからFm
    axに増速するところのV字型速度線図で速度制御する
    ことで、回転工具に掛る切削負荷を平均化することを基
    本とし、 回転工具の工具径をD、工具長さをL、L/Dをアスペ
    クト比Aと呼ぶときに、このアスペクト比Aが20未満
    であれば、前記V字型速度線図で速度制御を行い、 前記アスペクト比Aが20以上であっても、前記コーナ
    ー部のコーナー角度が鈍角であれば、前記V字型速度線
    図で速度制御を行い、 前記アスペクト比Aが20以上で、且つ前記コーナー角
    度が直角若しくは鋭角であれば、予め実験から求めたτ
    だけ前記減速開始点並びに減速終了点を入側の直線部側
    へ寄せたところの等脚台形型速度線図に基づいて速度制
    御を行うことを特徴とした回転工具の送り制御方法。
  2. 【請求項2】 予め実験から求めたτデータをデータベ
    ースの形で読み込ませるτデータベース読み込み手段3
    1並びにこのτデータベース読み込み手段31で読み込
    んだτデータベースを記憶させるτデータベース記憶部
    32と、V字型速度線図並びに工具の移動軌跡座標群を
    含むNCデータを読み込ませるNCデータ読み込み手段
    33並びにNCデータ読み込み手段33で読み込んだN
    Cデータを記憶させるNCデータ記憶部34と、工具の
    長さL、工具径D、その他の工具データを入力するため
    の工具データ入力手段35と、この工具データ入力手段
    35からの情報に基づいてアスペクト比(L/D)を演
    算するアスペクト比演算部36と、このアスペクト比演
    算部36で演算したアスペクト比が所定値以上であるか
    否かにより制御方法を選択する第1制御方法選択部37
    と、第1制御方法選択部37からアスペクト比が所定値
    以上であったとの情報を受けたときに前記NCデータ記
    憶部34に記憶してあるNCデータから当該コーナー部
    のコーナー角度を演算するコーナー角度演算部38と、
    このコーナー角度演算部38で求めたコーナー角度が9
    0゜以下であるか否かにより制御方法を選択する第2制
    御方法選択部39と、この第2制御方法選択部39から
    コーナー角度が90゜以下であったとの情報を受けたと
    きに前記τデータベース記憶部32の中から先に演算し
    たアスペクト比に対応するτを選択するτ値決定部40
    と、このτ値決定部40で決定したτに基づいて前記N
    Cデータ記憶部34に記憶させてあるNCデータのうち
    のV字速度線図を修正するNCデータ修正部41と、こ
    のNCデータ修正部41から修正済NCデータを受けた
    ときにはこれを採用し、第1又は第2方法選択部37又
    は39から否の情報を受けたときには修正前NCデータ
    を採用するNCデータ選択手段42と、からなる回転工
    具の送り制御装置。
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