JP2001153545A - 水蒸気ヒートポンプ方式乾燥装置およびその運転方法 - Google Patents
水蒸気ヒートポンプ方式乾燥装置およびその運転方法Info
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Abstract
良した水蒸気ヒートポンプ方式乾燥装置およびその運転
方法を提供する。 【解決手段】 予熱および追い炊きのための水蒸気ボイ
ラー(7)を設け、気密断熱容器(1)と水蒸気圧縮機
(2)とを連通する吸入側回路(6a)にその水蒸気ボ
イラー(7)からの水蒸気配管(6g)を接続する。ま
たは、水蒸気圧縮機(2)に気密断熱容器(1)から吸
気し凝縮器(3)へ連通する回路と外気から吸気し気密
断熱容器(1)へ連通する回路とを切換える切換手段
(8)を設ける。
Description
汚泥、または廃液等の高含水廃棄物の処理を主目的と
し、食品や医薬品等の生産施設における濃縮、脱水、ま
たは乾燥処理にも適用可能な、被乾燥物を入れる気密断
熱容器と、その容器内を減圧する水蒸気圧縮機と、その
水蒸気圧縮機で加圧した水蒸気を凝縮しその潜熱で容器
内の被乾燥物を乾燥する凝縮器とで構成される水蒸気ヒ
ートポンプ方式乾燥装置およびその運転方法に関する。
多く含む廃棄物は、貯蔵や運搬に困難を伴う難処理物で
あり、焼却する場合にも多量の助燃剤を必要とするた
め、エネルギー浪費型の処理になっている。しかし、こ
れらから水分を蒸発させれば大幅な減量化が可能であ
り、リサイクルも容易になる。また、水分の蒸発は、こ
のような廃棄物の処理のみではなく、食品や医薬品等の
生産プロセスにおいても重要なプロセスである。
は、水の大きな蒸発潜熱(100℃で2257kJ/k
g)を賄わねばならないので、莫大な熱エネルギーを必
要としている。しかるに、従来の乾燥装置では、化石燃
料ボイラーからの水蒸気で被乾燥物を加熱したり、ある
いは温風によって乾燥しており、乾燥後の熱をそのま
ま、あるいは冷却塔を介して大気に放出していた。
化を目的として、本出願人は、発生した水蒸気を圧縮し
て凝縮潜熱を回収利用する技術を特開平9−12665
2号、特開平10−103861号、および特開平10
−103862号の各公報に開示している。これらの技
術では、高含水廃棄物の入った気密断熱容器を予熱し、
次いで水蒸気圧縮機の運転によりその容器内を減圧して
100℃未満で沸騰させ、こうして生じた水蒸気を大気
圧以上に加圧して100℃以上で凝縮し、その潜熱を利
用して廃棄物を加熱している。
潜熱を回収する技術は、蒸気再圧縮方式として知られて
おり、大規模なビール醸造プロセス等に適用されてい
た。しかし、従来は、液状物質への適用に限られてお
り、構造が複雑、かつ運転操作が難しく、プラント規模
の大型装置が主体になっていた。そこで、小規模装置で
も実現可能な簡単な構造とし、液状のみならず固形物を
含む高含水廃棄物の乾燥にも適用できるようにすること
を目的としたのが上記の各技術である。
るヒートポンプと見なすことができ、ここでは、水蒸気
ヒートポンプ方式と称する。そして、石油等の化石燃料
ボイラーからの熱で乾燥させる従来の温風乾燥方式や伝
熱加熱乾燥方式等を従来方式と呼ぶ。本出願人は、上記
一連の技術の提案後、水蒸気ヒートポンプ方式乾燥装置
の実用化に向けて技術開発を進め、本発明はそれらの知
見に基づいてなされたものである。
置の基本的な構成が示されている。図において、水分蒸
発回路は、内部に被乾燥物である含水性廃棄物Wを入れ
た気密断熱容器1から配管6aが水蒸気圧縮機2に接続
され、水蒸気圧縮機2の吐出口から配管6bにより容器
1内の凝縮器3に接続され、凝縮器3から配管6cによ
りレリーフ弁4および蒸気トラップ5に接続されてい
る。なお、符号Eは、容器1の投入口、Fは排出口を示
している。
0℃未満に図示してない予熱手段により予熱し(予め加
熱した含水性廃棄物を入れてもよい)、水蒸気圧縮機2
を運転すると容器1内では大気圧以下で水分が沸騰(蒸
発)する。こうして生じた水蒸気を圧縮して凝縮器3に
送って凝縮させ、その潜熱を回収して被乾燥物Wを加熱
する。運転状態の一例としては、水蒸気の沸騰状態が絶
対圧力84kPaでその飽和温度95℃、凝縮状態とし
て絶対圧力142kPaでその飽和温度110℃が想定
できる。こうして生じた凝縮水は、大気圧よりも高いた
めに吸引ポンプが無くても蒸気トラップ5を通過し、自
発的に外部に排出される。また、図7中の不凝縮性ガス
排出弁(レリーフ弁)4は、容器1内の空気を運転初期
に排出することが主な目的であるが、運転中に被乾燥物
中から出てくる気体や、装置のシール部等から漏れ出る
空気を排出する機能を有している。
装置の基本的な構成を示すのみで、具体的な装置では、
多くのバリエーションや補助的な部品があり得る。例え
ば、凝縮器は、被乾燥物との熱交換が重要な機能であっ
て容器内の静止型熱交換器、容器の外壁に二重ジャケッ
トを形成したもの、または乾燥容器内で回転撹拌運動を
行う構造等が考えられる。なお、図7では、温度調整機
構(水蒸気排出弁)などの図示は省略されている。
報に開示の技術においては、図9に示すように、気密断
熱容器1内に設置した電熱ヒーター14やスチーム熱交
換器を用いて予熱を行っている。しかし、このような構
造では、熱交換部(凝縮器3、電熱ヒーター14)が容
器内に突出し、撹拌機17を使用する場合には障害とな
る。
報に開示の技術では、図10に示すように、水蒸気ボイ
ラー7を設けて水蒸気が容器1内に吹き込まれるように
構成している。しかし、このような構成では、水蒸気が
容器1内で凝縮するため、被乾燥物Wの水分が一時的に
増加するという問題点がある。
圧縮機2の吐出配管、または(図11に示すように)凝
縮器13に合流させる構成が開示されている。かかる構
成では、圧縮機2からの水蒸気にボイラー7からの水蒸
気が加わるため、凝縮圧力が上昇し、圧縮機2の過負荷
状態が生じ易い。また、追い炊きを要するのは沸騰温度
が下がり圧縮機吸入圧力が低い状態なので、ボイラー7
からの蒸気を加えると凝縮圧力が上昇し、圧縮比(吐出
圧力と吸入圧力との比)がさらに大きくなり、圧縮機2
がオーバーヒートし易くなる。この圧縮機2のオーバー
ヒートは、最悪では焼け付きに至り、そこまでは至らず
とも、耐久性の点からは望ましくない。
熱および追い炊きを行う従来の水蒸気ヒートポンプ方式
乾燥装置の構成が示されている。前記図7の構成に対
し、水蒸気ボイラー7が設けられ、その吐出管6gが水
蒸気圧縮機2と凝縮器2とを連結する配管6bに開閉弁
9を介装して接続されている。
イラー7からの水蒸気が凝縮器3へ導入される。水蒸気
は、ここで凝縮して潜熱を放出し、熱交換によって被乾
燥物Wの温度を上昇させる。そして、凝縮水は、蒸気ト
ラップ5を通過して外部へ放出される。次に、被乾燥物
Wの温度が100℃程度に達した時点で開閉弁9を閉
じ、圧縮機2が起動される。まず、容器1内の空気が排
出されるが、空気は凝縮しないので不凝縮性ガス排出弁
(レリーフ弁)4を開けて外部へ排出する必要がある。
容器1内は減圧されるため、被乾燥物Wに含まれる水分
が沸騰蒸発する。例えば、84kPaでは、沸騰蒸発温
度は約95℃と想定できる。こうして被乾燥物Wから蒸
発した水蒸気は、水蒸気圧縮機2で圧力を高め、同時に
温度が上昇する。この温度上昇は、理想的には断熱圧縮
で、実際にはポリトロープ圧縮として計算できる。
は、凝縮器3で熱を放出して液化する。凝縮条件として
は、例えば、143kPa、110℃に想定することが
でき、水蒸気凝縮器3の熱交換機能により、95℃に被
乾燥物Wを加熱する。凝縮水の圧力は、大気圧(101
kPa)より高いため、蒸気トラップ5を通過して自発
的に外部へ排出される。
の莫大な気液相変化潜熱が内部で循環しており、運転に
要するエネルギーは、僅かな圧縮機動力でよいため、省
エネルギー効果が極めて高い。このように、外部からの
エネルギー入力が小さいにもかかわらず、運転中の装置
温度は100℃に近いため、断熱しても装置の温度が徐
々に下がることがある。この場合は、沸騰温度を維持す
るために追い炊きが必要になる。なお、断熱効果が高い
場合は、圧縮機へのエネルギー入力によって装置の温度
すなわち沸騰温度が徐々に上がることもあり得る。この
場合は、水蒸気を外部へ(例えば、図7のレリーフ弁4
を開けて)捨てることによって容易に温度を下げること
ができる。
の水蒸気を凝縮器に加え、追い炊きを行っている。この
方法の問題点は、圧縮機を同時運転すると凝縮圧力が上
昇し、圧縮機が加熱することであった。これを避けるた
めには、圧縮機を停止して追い炊きしなければならな
い。さらに、ボイラーの水蒸気圧力は、圧縮機吐出圧力
よりも十分に高い必要がある。
ターや蒸気ボイラーを用いており、ランニングコスト、
あるいは省エネルギーの点から好ましいものではない。
なお、特開平10−264714号公報には、車両用エ
ンジン冷却水を熱源にして予熱する技術が開示されてい
るが、内燃機関の存在が条件となる。
は、低い含水率を実現することが困難な場合がある。こ
の原因は、乾燥が進み発生する水蒸気量が減少するとこ
れを冷媒とする水蒸気ヒートポンプサイクルが成り立た
なくなるためである。
るため、圧縮機が吸引する水蒸気の質量が減少し、乾燥
速度が遅くなる。 (2) このため、蒸発熱量を圧縮機入力で除した成績
係数(COP)が低くなり、省エネルギー効果が減少す
る。 (3) 沸騰圧力が低下すると圧縮比が大きくなり、圧
縮過程における水蒸気の温度上昇が大きくなって圧縮機
が過熱傾向となるため、耐久性等の見地からは望ましく
ない。さらに、極端な場合には圧縮機の焼け付きに至
る。 本発明者は、実験の結果、例えば生ごみでは水分(湿量
基準の含水率)が50%より下がると、上記(1)〜
(3)の現象が顕著となり、主に上記(3)の理由から
乾燥運転の継続が困難になることを見出した。
水蒸気ヒートポンプ方式乾燥装置の問題点に対処した改
良された水蒸気ヒートポンプ方式乾燥装置およびその運
転方法を提供することを目的としている。
に突出せず、省エネルギー効果に優れ、また、圧縮機の
過負荷(特に追い炊き時)が生じない水蒸気ヒートポン
プ方式乾燥装置を提供することを目的としている。
し、低含水率になった場合においても運転可能な水蒸気
ヒートポンプ方式乾燥装置およびその運転方法を提供す
ることを目的としている。
ンプ方式乾燥装置では、被乾燥物を入れる気密断熱容器
と、その容器内を減圧する水蒸気圧縮機と、その水蒸気
圧縮機で加圧された水蒸気を凝縮しその潜熱で前記容器
内の被乾燥物を乾燥する凝縮器とで構成される水蒸気ヒ
ートポンプ方式乾燥装置において、予熱および追い炊き
のための水蒸気ボイラーを設け、前記気密断熱容器と水
蒸気圧縮機とを連通する吸入側回路にその水蒸気ボイラ
ーからの水蒸気配管を接続している。
おいては、水蒸気圧縮機と水蒸気ボイラーとを同時に運
転してボイラーからの水蒸気を圧縮機で吸引し、加圧し
て凝縮器に送る。追い炊き運転では、圧縮機を運転した
ままでボイラーからの水蒸気を気密断熱容器内の被乾燥
物からの水蒸気に合流させて圧縮する。このように予熱
と追い炊きとで圧縮機を停止させる必要がなく、円滑に
運転を継続することができる。
大気圧以下で水蒸気を発生する水蒸気ボイラーである。
の吸入側に水蒸気ボイラーからの水蒸気を合流させるた
め、ボイラーの水蒸気圧力は低くてもよく、さらに、大
気圧以下での運転も可能である。(以下、大気圧以下の
ボイラーを負圧ボイラーと称する。) 例えば、95℃の温水は、絶対圧力84kPaで沸騰す
るため、圧縮機の吸入側で負圧沸騰させて生じた水蒸気
を加圧し、例えば、絶対圧力143kPaで飽和温度1
10℃の凝縮器へ送ることができる。
ラーの圧力を低くでき、安全性が高く、また、温水ボイ
ラーを使うこともできる。そして、温水の温度制御によ
り予熱と追い炊きの制御が容易にできる。
燥装置では、被乾燥物を入れる気密断熱容器と、その容
器内を減圧する水蒸気圧縮機と、その水蒸気圧縮機で加
圧された水蒸気を凝縮しその潜熱で前記容器内の被乾燥
物を乾燥する凝縮器とで構成される水蒸気ヒートポンプ
方式乾燥装置において、前記水蒸気圧縮機に気密断熱容
器から吸気し凝縮器へ連通する回路と外気から吸気し気
密断熱容器へ連通する回路とを切換える切換手段を設け
ている。
と水蒸気圧縮機とを連結する回路に容器・圧縮機間の連
通と、圧縮機側外気吸入・容器側外気開放とに切換える
切換弁を設け、前記水蒸気圧縮機と凝縮器とを連結する
回路から分岐して別の切換弁を介装して気密断熱容器に
連通する回路を設けて構成するのが好ましい。
を連結する回路の容器出口寄りに粉塵分離器を介装する
のが好ましい。
乾燥装置の運転方法によれば、被乾燥物を入れる気密断
熱容器と、その容器内を減圧する水蒸気圧縮機と、その
水蒸気圧縮機で加圧された水蒸気を凝縮しその潜熱で前
記容器内の被乾燥物を乾燥する凝縮器とで構成される水
蒸気ヒートポンプ方式乾燥装置の運転方法において、被
乾燥物の含水率が高い場合には気密断熱容器から水蒸気
圧縮機に吸気し凝縮器で凝縮する水蒸気ヒートポンプサ
イクルの乾燥運転を行い、含水率が低い場合には外気か
ら水蒸気圧縮機に吸気し気密断熱容器へ通気する通気乾
燥運転に切換えて運転する。
トポンプサイクルによる乾燥運転にて被乾燥物の含水率
が低下し、運転が困難になれば、圧縮機に外気を吸入し
て気密断熱容器へ通気する通気乾燥運転に切換えること
で運転が継続でき、被乾燥物から水分を奪って湿度の上
がった空気が排出されて被乾燥物を乾燥することができ
る。
(例えば80℃前後)ので、冷めるまでその顕熱が利用
できる。さらに、空気を圧縮してこの熱が利用される
が、特に、熱を与えなくとも通風だけでも乾燥は進行す
る。そして、水蒸気ヒートポンプサイクル乾燥運転終了
時点では、まだ被乾燥物の温度が高く、作業員への火傷
の危険性があったが、通気により冷却されるという効果
を生じる。さらに、圧縮機内部が通気運転により乾燥さ
れ、錆や腐食が防止される。
施形態を説明する。なお、前記の従来技術の説明におけ
る水蒸気ヒートポンプ方式乾燥装置と同一の構成部品に
は同じ符号を付け、重複説明は省略する。
からの水蒸気を吸入し、予熱および追い炊きを行う水蒸
気ヒートポンプ方式乾燥装置の実施形態が示されてい
る。まず、図1に示す実施形態では、前記図7に示した
基本的な構成に対し、水蒸気ボイラー7が設けられてそ
の供給管(水蒸気配管)6gが気密断熱容器1と水蒸気
圧縮機2とを連結する配管6aに第1の開閉弁9Aを介
装して接続されている。
水蒸気圧縮機2と水蒸気ボイラー7とを同時に運転し、
開閉弁9Aを開いてボイラー7からの水蒸気を圧縮機2
で吸引し、加圧して凝縮器3に送っている。そして、追
い炊き運転では、圧縮機2を運転したまま開閉弁9Aを
開き、ボイラー7からの水蒸気を気密断熱容器1内の被
乾燥物Wから発生する水蒸気と合流させて圧縮してい
る。このように予熱と追い炊きとで圧縮機を停止させる
必要がなく、スムースに運転を継続することができる。
に負圧蒸気ボイラー7Aが用いられ、そのボイラー7A
には、外部から加熱媒体、例えば水蒸気や高温水を導入
し、熱交換する配管21が設けられており、その配管2
1には、ボイラーの温水温度を検出するセンサー23に
よって制御される制御弁22が介装されている。また、
気密断熱容器1と水蒸気圧縮機2とを連結する配管6a
には、第2の開閉弁9Bが介装され、ボイラーの水蒸気
供給管6gは、第2の開閉弁9Bの後流側に接続されて
いる。
ラー7Aの温水温度を、例えば95℃(飽和圧力は84
kPa)に保つように制御すれば、後記するように予熱
と追い炊きとを自然的に行うことができる。なお、温水
温度の制御は、センサー23で温度検知して制御弁22
で加熱媒体の流量を調整するか、または、ボイラー7A
がガスや石油を燃料にする場合にはその燃焼量を調整す
る。
ために水蒸気の発生量は少なく、圧縮機2を通過する水
蒸気の大部分は、ボイラー7Aで発生したものである。
この水蒸気は凝縮器3へ送られて凝縮し、その潜熱で被
乾燥物Wが加熱される。被乾燥物Wの温度が上がってく
ると発生水蒸気も増えるため、負圧蒸気ボイラー7Aか
らの水蒸気と合流して圧縮される。このとき、気密断熱
容器1内に残っていた空気も水蒸気と一緒に凝縮器3へ
送られ、レリーフ弁4から不凝縮性ガスとして排出され
る。
5℃を上回ると、気密断熱容器1内の圧力は84kPa
以上になり、負圧蒸気ボイラー7Aよりも高圧となるた
めボイラー7Aからの水蒸気は自然に流れなくなる。一
方、被乾燥物Wの沸騰温度が95℃を下回れば容器1内
の圧力は84kPa未満になるため、ボイラー7Aから
の水蒸気が加わって自然に追い炊きが行われる。このよ
うに第1および第2の開閉弁9A、9Bを開放したまま
で予熱と追い炊きとが自然に行われるため運転操作は極
めて容易であり、場合によっては開閉弁9Aと9Bを省
略することもできる。なお、上記沸騰温度(95℃)お
よび飽和圧力(84kPa)は、一例であり、この他の
条件でも運転可能であることは言うまでもない。
利用が可能である。例えば、加熱媒体として85℃程度
の温水を用いれば、負圧蒸気ボイラー7Aで沸騰温度が
80℃、飽和絶対圧力が47kPaの水蒸気を得ること
が可能で、圧縮機2で昇圧昇温して、例えば絶対圧力1
43kPa、飽和温度110℃で凝縮し、被乾燥物Wを
加熱できる。
1の開閉弁9Aを開き、第2の開閉弁9Bを閉として排
熱利用で加熱する。被乾燥物Wの温度が十分上がった時
点で、第1の開閉弁9Aを閉じ第2の開閉弁9Bを開い
て乾燥運転に移行する。追い炊き運転は、予熱運転同様
に第1の開閉弁9Aを開、第2の開閉弁9Bを閉とすれ
ばよい。
た実施形態に対し、凝縮器3から蒸気トラップ5へ凝縮
水を排出する配管6cに調整弁25が介装され、負圧蒸
気ボイラー7Aへ給水する配管6fが設けられている。
なお、調整弁25としてフロート弁を示しているが、こ
れに限定されるものではない。例えば水位検知スイッチ
で電磁弁を開閉しても良い。
圧力より低く、ポンプ等を用いずとも給水でき、その流
量をフロート弁等の簡単な装置で調節するだけでよい。
ヒートポンプ方式乾燥装置の凝縮水は、基本的に蒸留水
であってミネラル分を含まないので軟水化装置を用いず
にボイラー7Aの補給水として利用できる。なお、図1
1に示す従来技術においても凝縮水をボイラー7に補給
する配管6fが示されているが、この従来技術ではボイ
ラー7の蒸気圧は凝縮水圧力より高く(図示されてない
が)給水ポンプ等の加圧手段を必要とする。
率の場合に、通気乾燥運転に切換え運転する装置の実施
形態が示されている。図4に示す実施形態では、前記図
7に示した基本的な構成に対し、通気乾燥運転への切換
手段として、気密断熱容器1から水蒸気圧縮機2へ至る
配管6aに第1の切換弁8Aが介装され、その切換弁8
Aの下流側には第2の切換弁8Bによって外気Aの吸入
口Iに切換える管路が、その上流側には第3の切換弁8
Cによって気密断熱容器1側を外気の排出口Xに切換え
る管路がそれぞれ接続されている。また、圧縮機2から
凝縮器3に至る配管6bから分岐され、第4の切換弁8
Dが介装されてさらに分岐され、気密断熱容器1の開口
N1、N2へ連通する配管6eが設けられている。な
お、開口の数は2つに限定せず、1または3以上であっ
てもよい。
1切換弁8Aを開き、第2〜第4切換弁8B、8C、8
Dを閉じて通常の水蒸気ヒートポンプサイクルによる乾
燥運転を行う。被乾燥物Wの含水率が低下すると容器1
内の沸騰圧力が下がり、さらに被乾燥物Wへの伝熱が悪
くなるため水蒸気凝縮圧力が上昇する。このため圧縮比
が大きくなり、圧縮機2の吐出蒸気温度が(例えば20
0℃以上に)上昇して圧縮機2が過熱するため、水蒸気
ヒートポンプサイクルの運転が困難になる。
〜第4切換弁8B、8C、8Dを開くと圧縮機2は吸気
口Iから外気Aを吸引し、配管6eを通して容器1の開
口N1、N2から被乾燥物Wへ通気して乾燥運転を継続
する。被乾燥物Wから水分を吸収して湿度の上がった空
気は、第3の切換弁8Cを通って排出口Xから排気され
る。なお、水蒸気圧縮機2は空気の圧縮に転用されても
問題を生じることはない。なお、図4の回路では、凝縮
器3へも空気が流れるが、蒸気トラップ5は気体を通さ
ず、レリーフ弁4は抵抗が大きいので流量は少ない。ま
た、凝縮器3への配管に止め弁を設けてもよい。
転から通気運転に切り換えた直後は、圧縮機2や被乾燥
物Wの温度が高いため(例えば被乾燥物Wは80℃程
度)、この顕熱を乾燥に使うことができる。また、空気
を圧縮する際に温度が上がるため、温風乾燥の効果もあ
る。特に、第3の切換弁8Cの開度を絞って容器1内の
圧力を上げれば、圧縮による昇温効果が高まり、温風温
度を上げることができる。
た実施形態の構成に対し、気密断熱容器1と水蒸気圧縮
機2とを連結する配管6aの容器1出口寄り(第3の切
換弁8Cへの分岐前)に粉塵分離機31が配設されてい
る。
乾燥物Wの種類によっては粉塵として飛散する場合があ
る。この粉塵が圧縮機2に入ると圧縮機2の機能低下あ
るいは損傷を招き、また、排出口Xから外部に吹き出す
と公害となる。この配置によれば、水蒸気ヒートポンプ
運転と通気乾燥運転とに両用できる。なお、粉塵分離機
31には、サイクロンが代表的であるが、これに限定さ
れない。
た実施形態に対し、切換弁8Dを介し気密断熱容器1へ
通気する配管6eに第1の加熱器34が介装されてい
る。前記実施形態のように水蒸気圧縮機2の加圧による
空気の昇温は、容器1の耐圧性あるいは安全性から制限
を受ける場合がある。そのような場合に、別個に空気を
加熱する第1の加熱器34を設け、通気乾燥能力を強化
して任意の低含水率(例えば、乾量基準の含水率が10
%以下)を実現する。この第1の加熱器34の熱源とし
ては、電熱、温水、蒸気等を用いる。
面では低含水率用として別に従来方式の乾燥機を併設す
るより低廉化が見込まれる。なお、この加熱器34は、
吸気口Iから圧縮機2を経て容器1の開口N1、N2に
至る配管のどの位置であっても同様の効果がある。
粉塵分離器31には、熱交換器36が設けられ、水蒸気
圧縮機2から凝縮器3に至る配管6bを流れる高温水蒸
気によって圧縮機吸入水蒸気圧を加熱するように構成さ
れている。
にあるため、配管6aや圧縮機2の吸入マニフォールド
でその水蒸気の一部が液化しやすく、この液滴を圧縮機
2が吸引し、体積効率を低下させるのを防ぐのに有効で
ある。この効果は、特願平10−103862号公報に
提案されているスーパーヒータと同様であるが、この従
来技術に対して、粉塵分離器31と一体化することで製
作コストが低廉化でき、水蒸気の流動圧力損失の増加を
避けることができる等の利点を有する。
の直前には、それぞれ逆止弁35、35が設けられ、ま
た、第3の切換弁8Cの排出口Xに脱臭器33が設けら
れている。
により、被乾燥物Wが、配管6eに逆流するのが防止で
き、また、被乾燥物Wの臭気が強い場合の脱臭器33の
配設が可能になる。
1および凝縮器3に対して、容器内に静置して熱交換機
能を有するもの、容器の外壁に二重ジャケットを形成し
たもの、あるいは容器内で回転撹拌運動を行うもの等が
あり、本発明では特定の気密断熱容器および凝縮器の構
造に限定してそれを対象としているものではない。
以下に示す効果を奏する。
ラーからの水蒸気配管を接続する構成により、気密断熱
容器内には水蒸気を加えないので被乾燥物の水分増加が
ない。 (2) 圧縮機吸入側に水蒸気を導入するので蒸気量急
増による凝縮圧力の過度な上昇がない。さらに、圧縮機
吸入圧が上昇し圧縮比が小さくなって圧縮機過熱が生じ
ない。 (3) 気密断熱容器内に予熱専用の熱交換器を設置し
ていないので、撹拌機を用いる場合に邪魔にならない。 (4) 予熱や追い炊きの熱源に温水等の排熱が利用で
きる。 (5) 水蒸気ボイラーの圧力を低くでき、安全性が高
い。そして、構造が簡単、廉価な温水ボイラーを用いる
ことができる。 (6) 負圧蒸気ボイラーの温水温度制御のみで予熱と
追い炊きが自然に行え、複雑な流量調整機構等が不要で
ある。 (7) 負圧蒸気ボイラーの使用により、ボイラー補給
水の給水ポンプが不要である。
る乾燥運転と外気の通気乾燥運転とを切換え可能に構成
することで、大幅な省エネルギー効果のある水蒸気ヒー
トポンプ方式乾燥装置の低含水率での運転困難の問題を
解決することができる。 (9) 水蒸気圧縮機を通気に転用するので送風機を必
要とせず、また、通気乾燥運転により圧縮機内部の乾燥
が同時に行える。 (10) 圧縮による昇温効果で、より容易に温風乾燥
が実現できる。 (11) 通気乾燥による冷却効果で、作業の安全性が
高まる。 (12) 乾燥運転と通風運転とを共用する粉塵分離器
を設け、粉塵による圧縮機損傷および外気への噴出を防
止できる。 (13) 通気用配管に加熱器を配設し、より低い含水
率が実現できる。 (14) 粉塵分離器に熱交換機能を付加し、容易に圧
縮機吸入水蒸気の湿り(微細液滴の生成)を防止でき
る。 (15) 気密断熱容器の通気開口に逆止弁を設けるこ
とで、被乾燥物の逆流の防止、さらに排気配管に脱臭器
を設けて臭気防止ができる。
的な構成を示す図。
加える水蒸気ヒートポンプ方式乾燥装置の構成を示す
図。
気ヒートポンプ方式乾燥装置を示す断面図。
蒸気ヒートポンプ方式乾燥装置を示す断面図。
来の水蒸気ヒートポンプ方式乾燥装置を示す断面図。
Claims (4)
- 【請求項1】 被乾燥物を入れる気密断熱容器と、その
容器内を減圧する水蒸気圧縮機と、その水蒸気圧縮機で
加圧された水蒸気を凝縮しその潜熱で前記容器内の被乾
燥物を乾燥する凝縮器とで構成される水蒸気ヒートポン
プ方式乾燥装置において、予熱および追い炊きのための
水蒸気ボイラーを設け、前記気密断熱容器と水蒸気圧縮
機とを連通する吸入側回路にその水蒸気ボイラーからの
水蒸気配管を接続していることを特徴とする水蒸気ヒー
トポンプ方式乾燥装置。 - 【請求項2】 前記水蒸気ボイラーは大気圧以下で水蒸
気を発生する水蒸気ボイラーである請求項1に記載の水
蒸気ヒートポンプ方式乾燥装置 - 【請求項3】 被乾燥物を入れる気密断熱容器と、その
容器内を減圧する水蒸気圧縮機と、その水蒸気圧縮機で
加圧された水蒸気を凝縮しその潜熱で前記容器内の被乾
燥物を乾燥する凝縮器とで構成される水蒸気ヒートポン
プ方式乾燥装置において、前記水蒸気圧縮機に気密断熱
容器から吸気し凝縮器へ連通する回路と外気から吸気し
気密断熱容器へ連通する回路とを切換える切換手段を設
けていることを特徴とする水蒸気ヒートポンプ方式乾燥
装置。 - 【請求項4】 被乾燥物を入れる気密断熱容器と、その
容器内を減圧する水蒸気圧縮機と、その水蒸気圧縮機で
加圧された水蒸気を凝縮しその潜熱で前記容器内の被乾
燥物を乾燥する凝縮器とで構成される水蒸気ヒートポン
プ方式乾燥装置の運転方法において、被乾燥物の含水率
が高い場合には気密断熱容器から水蒸気圧縮機に吸気し
凝縮器で凝縮する水蒸気ヒートポンプサイクルの乾燥運
転を行い、含水率が低い場合には外気から水蒸気圧縮機
に吸気し気密断熱容器へ通気する通気乾燥運転に切換え
て運転することを特徴とする水蒸気ヒートポンプ方式乾
燥装置の運転方法。
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CN109553270A (zh) * | 2018-12-06 | 2019-04-02 | 江苏天舒电器有限公司 | 一种热泵型闭式污泥干化系统及其控制方法 |
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