JP2001151799A - 新規ペプチド及びそれを含有する消化管運動抑制剤 - Google Patents

新規ペプチド及びそれを含有する消化管運動抑制剤

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JP2001151799A
JP2001151799A JP33134199A JP33134199A JP2001151799A JP 2001151799 A JP2001151799 A JP 2001151799A JP 33134199 A JP33134199 A JP 33134199A JP 33134199 A JP33134199 A JP 33134199A JP 2001151799 A JP2001151799 A JP 2001151799A
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peptide
amino acid
lys
leu
tyr
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Kazuhisa Kashimoto
和久 樫本
Yumiko Nagano
由美子 長野
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Itoham Foods Inc
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 配列番号1に記載のアミノ酸配列におい
て、そのN末端から少なくとも23残基までのアミノ酸配
列(但し、1位のHisは欠失していてもよく、;C末端
側は-OH、-NH2のどちらでもよい。)からなり、かつ、
消化管運動抑制作用を有するペプチド、ならびに該ペプ
チドまたはそれらの薬学的に許容される塩を有効成分と
して含有する、消化管運動抑制剤。 【効果】 本発明によれば、胃蠕動運動の抑制作用を有
し、臨床上の副作用を起こさない安全性の高い消化管運
動抑制剤が提供される。本発明の消化管運動抑制剤は、
消化管検査・胃腸X線検査・腹部MRI検査・内視鏡検
査などのの検査前の処置に有効であるほか、液剤として
も提供できるので簡便に使用でき、かつ経済的である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規ペプチド、そ
の薬学的に許容される塩、これらを有効成分として含有
する消化管運動抑制剤に関する。
【0002】
【従来の技術】グルカゴンは消化管粘膜のグルカゴン分
泌細胞から分泌される29個のアミノ酸残基からなるペプ
チドである。グルカゴンは、アドレナリン様のグリコー
ゲン分解及び糖新生の促進 [Sutherland, E.W., Pharma
c.Rev., 12, 265〜299 (1960)]作用を有しており、膵臓
のグルカゴンと同じく血糖を上昇させる。また、グルカ
ゴンは、インスリン・成長ホルモン・カテコールアミン
などのホルモンの分泌を促進させることが知られてい
る。
【0003】グルカゴンはそのN末端側、詳しくは、N
末端から21個までのアミノ酸残基からなる部分に、生理
的活性である血糖上昇作用を除く、いわゆる薬理的活性
を有しているとされているが、その一つとして胃平滑の
筋弛緩作用がある [Jorgensen, A., Endocrinology, 12
1, 704 〜713 (1987);Frandsen,E.K., J.Biol.Chem.,
260, 7581〜7584 (1985)]。従って、グルカゴンは、上
記のような内分泌系に与える様々な作用により、成長ホ
ルモン分泌機能検査や肝型糖原病検査などに利用される
ほか、胃平滑筋弛緩作用及び胃酸分泌の抑制作用によ
り、消化管運動抑制剤として利用されている。
【0004】消化管運動抑制剤は、消化管のX線及び内
視鏡検査の前処置剤として投与されるもので、胃の蠕動
運動を抑制する作用を有する。従来より、消化管運動抑
制剤として主に臭化ブチルスコポラミンやグルカゴンが
用いられているが、臭化ブチルスコポラミン製剤は、抗
コリン剤として全身のムスカリン性受容体に作用するた
め、心悸亢進、排尿障害、遠近調節障害などの副作用が
出現することがあり、被験者が心疾患、緑内障、前立腺
肥大などを有している場合はその使用は困難であった。
一方、グルカゴンは、上記副作用がなく安全性面で優れ
ているが、非常に活性が低いため高濃度の薬物量が必要
となる。そのため、本来の機能であるグリコーゲンの分
解及び糖新生の促進作用により、急激に血糖値を上昇さ
せる可能性がある。また、現在グルカゴンはそのアミノ
酸残基数の関係で製造コストがかかりすぎていること
や、また前記の通り、活性が低い関係で高投与量が必要
であることから経済的ではない。さらに、グルカゴンは
液剤としては不安定であるため、凍結乾燥品として市販
され、用時溶解して使用されているので医療現場におけ
る操作が煩雑である。従って、これまで使用されている
消化管運動抑制剤は、胃平滑筋に対する弛緩作用はあっ
ても、安全性、製造コスト面、簡便性において必ずしも
満足ができるものはない。
【0005】一方、グルカゴンスーパーファミリーと呼
ばれるグルカゴンと相同性の高いアミノ酸配列を有する
ペプチドとして、VIP(血管作動性腸管ペプチド;Vo
soactive Intestinal Peptide)、PACAP(下垂体ア
デニレートイクラーゼ活性化ペプチド; Pituitary Aden
ylate Cyclase Activating Polypeptide) などが知られ
ている。VIPは脳−腸管ペプチドと呼ばれ [S.I.Sai
d, Science., 169, 1217 (1970)]、全身に広く存在し、
血流増加作用など多くの生理作用が報告されている(特
開昭63-179892)。セクレチンは膵外分泌を刺激し、胃酸
分泌 [K.Shiratori, Dig.Dis.Sci., 37, 397-402 (199
2)]やガストリン遊離 [W.Y.Chey, Am J Physiol.,240,
G239-G244 (1981)]を抑制する消化管ホルモンである。
PACAPは下垂体培養細胞のアデニレートサイクラー
ゼの活性化を指標として発見され、PACAP38と、
PACAP27の2種類がある [A.Miyata, Biochem.Bi
ophys.Res.Commun., 164, 567 (1989)]。これらのペプ
チドは、その前駆体のペプチド構造も似ており、さらに
シグナル配列、活性ペプチド部分が別々のエクソンにあ
るなど、遺伝子構造も類似している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、胃平滑筋に
対する弛緩作用を有しつつ、臨床上副作用がなく、安全
にかつ簡便に使用できる消化管運動抑制剤を提供するこ
とにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明らは、上記課題を
解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、グルカゴンファミ
リーに属するペプチドについて優れた胃平滑筋弛緩抑制
作用があること、さらには、当該ペプチドのC末端より
アミノ酸を順次欠失させたペプチド断片が、胃平滑筋弛
緩作用を有しつつ、かつ臨床上副作用となる血管作動性
作用もないことを見出し、本発明を完成した。
【0008】すなわち、本発明は、配列番号1に記載の
アミノ酸配列において、そのN末端から少なくとも23残
基までのアミノ酸配列(但し、1位のHisは欠失してい
てもよく、;C末端側は-OH、-NH2のどちらでもよ
い。)からなり、かつ、消化管運動抑制作用を有するペ
プチドである。本発明はまた、上記ペプチドまたはそれ
らの薬学的に許容される塩を有効成分として含有する、
消化管運動抑制剤である。以下、本発明を詳細に説明す
る。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明のペプチドは公知のペプチ
ド合成の常法に従って合成できる。例えば「ザ.ペプチ
ド(The Peptides)」第1巻(1966年) [Schreder and Luhk
e 著、Academic Press, New York, U.S.A.] 、あるいは
「ペプチド合成」[泉屋ら著、丸善株式会社(1975年)]
の記載に従い、具体的には、アジド法、酸クロライド
法、酸無水物法、混合酸無水物法、DCC法、活性エス
テル法(P-ニトロフエニルエステル法、N−ヒドロキシ
コハク酸イミドエステル法、シアノメチルエステル法な
ど)、ウッドワード試薬Kを用いる方法、カルボイミダ
ゾール法、酸化還元法、DCC−アディティブ(HON
B、HOBt、HOSu)法など、各種の方法により合
成することができる。これらの方法は、固相合成及び液
相合成のいずれにも適用できる。
【0010】本発明においては、上記のような一般的な
ポリペプチドの合成法に従って、例えば末端アミノ酸に
順次1個ずつアミノ酸を縮合させるいわゆるステップワ
イズ法によって、または数個のフラグメントに分けてカ
ップリングさせていく方法によって製造される。例えば
ステップワイズ法による固相合成は、例えばメリフィー
ルド(Merrifield.R.B.)の方法 [Solid phase peptide
synthesis, J.Amer.Chem.Soc., 85, 2149-2159 (1963)]
に従い、以下のようにして行うことができる。まず、C
末端アミノ酸(アミノ基を保護したもの)をそのカルボ
キシル基によって不溶性樹脂に結合させ、その後、該C
末端アミノ酸のアミノ基の保護基を除去する。次いで、
得られたこの遊離の反応性アミノ基に、目的とするペプ
チドのアミノ酸配列に従って、アミノ基を保護したアミ
ノ酸の反応性カルボキシル基を縮合反応により順次結合
させる。このようにして一段階ずつ全配列を合成した
後、ペプチドを不溶性樹脂からはずす。
【0011】上記の固相合成において用いられる不溶性
樹脂は、反応性カルボキシル基との結合性を有するもの
であればいずれをも使用でき、例えばベンズヒドリルア
ミン樹脂(BHA樹脂)、クロルメチル樹脂、オキシメチ
ル樹脂、アミノメチル樹脂、メチルベンズヒドリル樹脂
(MBHA樹脂)、4−アミノメチルフェノキシメチル樹
脂、4−ヒドロキシメチルフェノキシメチル樹脂、4−
オキシメチルフェニルアセタミドメチル樹脂などが挙げ
られる。
【0012】また、α−アミノ基の保護基として9−フ
ルオレニルメチルオキシカルボニル基(Fmoc)を使用す
る場合は4−ヒドロキシメチルフェノキシメチル樹脂な
ど、トリフルオロ酢酸(TFA)によって樹脂から脱離でき
るものがよく、t−ブトキシカルボニル基(Boc)を使用
する場合は4−オキシメチルフェニルアセタミドメチル
樹脂(PAM樹脂)など、フッ化水素などによって樹脂か
ら脱離できるものがよい。樹脂1g当りペプチド濃度は0.
5mmole以下とすることが好ましい。
【0013】上記の方法においては、アミノ酸のペプチ
ド結合に関与するアミノ基への保護基の結合及び該保護
基の脱離、ならびにアミノ酸のペプチド結合に関与する
カルボキシル基の活性化が必要である。アミノ基の保護
基として、例えば、ベンジルオキシカルボニル(Z)、
t−ブトキシカルボニル(Boc)、t−アミノオキシカ
ルボニル(Aoc)、イソボニルオキシカルボニル、p-メ
トキシベンジルオキシカルボニル、2−クロル−ベンジ
ルオキシカルボニル、アダマンチルオキシカルボニル、
トリフルオロアセチル、フタロイル、ホルミル、o-ニト
ロフェニルスルフェニル、ジフェニルホスフイノチオイ
ルなどの基が挙げられる。
【0014】また、アミノ酸の中で、側鎖に官能基を有
するもの、例えばHis、Tyr、Thr、Lys、Asp、Arg及びSe
rは、その側鎖の官能基を保護しておくのが好ましい。
官能基の保護は、通常用いられている方法で、下記のよ
うな通常の保護基を結合させることにより行われ、反応
終了後、該保護基は脱離される。Hisのイミノ基の保護
基としては、例えばベンジルオキシメチル(Bom)、p-
トルエンスルホニル(Tos)、ベンジル(Bzl)、ベンジ
ルオキシカルボニル(Z)、トリチル基などが挙げられ
る。
【0015】Ser及びThrの水酸基は、例えばエステル化
またはエーテル化によって保護することができるが、こ
の保護は必須ではない。エステル化に適する基として
は、アセチルなどの低級アルカノイル基、ベンゾイルな
どのアロイル基、ベンゾイルオキシカルボニル、エチル
オキシカルボニルなどの炭酸から誘導される基などが挙
げられる。またエーテル化に適する基としては、ベンジ
ル(Bzl)、テトラヒドロピラニル、tert−ブチル基な
どが挙げられる。
【0016】Tyrの水酸基の保護基としては、例えばベ
ンジル(Bzl)、ブロモベンジルオキシカルボニル(Br-
Z) 、ジクロロベンジル(Cl2-Bzl) 、ベンジルオキシカ
ルボニル(Z)、アセチル、p-トルエンスルホニル(To
s)基などが挙げられる。Lysのアミノ基の保護基として
は、例えばベンジルオキシカルボニル(Z)、クロロベ
ンジルオキシカルボニル(Cl-Z) 、ジクロロベンジル
(Cl2-Bzl)、t−ブトキシカルボニル基(Boc)、p-ト
ルエンスルホニル(Tos)基などが挙げられる。
【0017】Argのグアニジノ基の保護基としては、例
えばp-トルエンスルホニル(Tos)、ニトロ、ベンジル
オキシカルボニル(Z)、t−アミルオキシカルボニル
(Aoc)基などが挙げられる。Aspのカルボキシル基の保
護は、例えばベンジルアルコール、メタノール、エタノ
ール、tert−ブタノール、シクロヘキシル(cHex)などに
よるエステル化により行われる。
【0018】その他のアミノ酸の保護基として、Trpの
インドリル基の保護基としては、例えばホルミル、カル
ボベンゾキシル、4-メトキシ-2,3,6-トリメチルベンゼ
ンスルホニル、2,2,2-トリクロロエチルオキシカルボニ
ルなどが挙げられるが、この保護は必須ではない。Met
のチオメチル基の保護基としては予めメチルスルホキシ
ドにしておき、後に還元する方法があるが、この保護は
必須ではない。
【0019】一方、カルボキシル基の活性化は、従来公
知の方法にて行うことができ、用いられる試薬なども公
知のものから適宜選択しえる。例えば、カルボキル基の
活性化は、該カルボキシル基と種々の試薬とを反応さ
せ、対応する酸クロライド、酸無水物または混合酸無水
物、アジド、活性エステル(ペンタクロロフェノール、
p-ニトロフェノール、N−ヒドロキシコハク酸イミド、
N−ヒドロキシベンズトリアゾール、N−ヒドロキシ−
5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド等との
エステル)などを形成させることにより行う。
【0020】上記の固相における反応性アミノ基と反応
性カルボキシル基との縮合反応(ペプチド結合形成反
応)に用いる溶媒としては、ペプチド結合形成に使用で
きるものであればいずれでもよい。例えば無水または含
水のジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホ
キシド(DMSO)、ピリジン、クロロホルム、ジオキサ
ン、ジクロロメタン(DCM)、テトラヒドロフラン(TH
F)、酢酸エチル、N−メチルピロリドン、ヘキサメチル
リン酸トリアミド(HMPA)などを単独で、あるいは2種
以上の混合溶媒として使用することができる。また、上
記縮合反応は、縮合剤、例えばジシクロヘキシルカルボ
キシイミド(DCC)、カルボジイミダゾールなどのカルボ
ジイミド試薬やテトラエチルピロホスフェイト、ベンゾ
トリアゾール−N−ヒドロキシトリスジメチルアミノホ
スホニウムヘキサフルオロリン化物塩(Bop試薬)など
の存在下に行うこともできる。
【0021】得られたペプチドは、通常の方法に従い脱
塩、精製することができる。例えば、DEAE−セルロース
などのイオン交換クロマトグラフィー、セファデックス
LH-20 、セファデックスG-25 などの分配クロマトグラ
フィー、シリカゲルなどの順相クロマトグラフィー、OD
S−シリカゲルなどの逆相クロマトグラフィー、高速液
体クロマトグラフィーなどが挙げられる。上記のように
して得られた精製ペプチドは、各種の酸を用いて、所望
により薬学的に許容される塩、例えば、酢酸塩、塩酸
塩、リン酸塩などにすることが出来る。
【0022】本発明のペプチド及びその塩は、胃に対す
る平滑筋抑制作用を有する。従って、消化管検査・胃腸
X線検査・腹部MRI検査・内視鏡検査などの検査前に
消化管運動抑制剤として投与すれば、胃蠕動運動を抑制
することができる。本発明のペプチド及びその塩は、そ
のまま投与することができるが、一般には公知の方法に
より薬学的に許容される種々の担体その他の成分と混合
して、液状、固体状の経口製剤または非経口製剤として
投与される。本発明のペプチドの投与量は、使用(検
査)目的、被験者の年齢、体重、投与方法などにより適
宜決定されるが、例えば胃腸X線検査前に筋肉内注射を
行う場合、一回検査あたり、注射薬として2ug〜10ng/kg
体重程度を使用することが好ましい。
【0023】
【実施例】以下に本発明を実施例を挙げてより具体的に
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。なお、実施例において合成した各ペプチドの高速液
体クロマトグラフィー(HPLC) 及びアミノ酸分析条件は
以下の通りである。
【0024】・高速液体クロマトグラフィー(HPLC) 高速液体クロマトグラフィーはLC-Module-1 (日本ウォ
ーターズ・リミテッド社製)を用いて分析を行った。 (HPLC分析条件) カラム: TSK-gel ODS-120T(4.6×250mm) 溶 媒: A 0.1% TFA B アセトニトリル/0.1% TFA 溶媒Bを20%から60%に毎分1%変化させる直線勾配グラジェント 流 速:1mL/min 検出波長:220nm ・アミノ酸分析 アミノ酸分析条件は、6N-HCl 0.1%フェノール含有)中
で 110℃、20時間の加水分解反応を行った後に、日立ア
ミノ酸分析L−8500型(日立製作所社製)によって分析
した。
【0025】〔実施例1〕 ペプチドの合成(1) (1) ペプチド1の製造 配列番号2に示すアミノ酸配列を有するペプチド1を製
造した。
【0026】固相合成装置として Milligen Bioreserch
社製ペプチドシンセサイザー 9600を用いて固相合成を
行った。まず、MBHA樹脂(ペプチド研究所社製、アミノ
基0.57 mmol/g)1gを出発原料としてDCM 20ml(2
回)、50%TFA含有DCM溶液 30ml(30分)、イソプロピル
アルコール 20ml (1回)、 MeOH 20ml (2回)、10%
TEA含有DCM 20ml(2回)、MeOH 20ml (2回)、DCM 2
0ml(2回)の順に攪拌下処理し、各々の処理後濾過し
た。
【0027】これにアミノ酸順序28番目のBoc-Asn(Xan)
-OH 2mmole 、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)
2mmole、DCM 10ml及びDMF 2mlを加えて攪拌し、さらにD
CC(1M-DCM溶液)1.5mlを加えて2時間反応させた。反応
液を濾過した後、MeOH 20ml(2回)、DCM 20ml(2
回)の順に攪拌下処理し、各々の処理後濾過した。さら
に、Boc-Asn(Xan)-OH 2mmole、HOBt 2mmole、DCM 10ml
及びDMF 2mlを加えて攪拌し、DCC(1M-DCM溶液)0.8mlを
加えて1時間反応させた。反応液を濾過した後、MeOH 2
0ml(2回)、DCM 20ml(2回)の順に攪拌下処理し、
各々の処理後濾過して、Boc-Asn(Xan)-MBHA樹脂を得
た。なお、未反応のMBHA樹脂は、20%無水酢酸含有DCM
溶液10mlを加えて5分間攪拌し、濾過後MeOH 20ml (2
回)、DCM 20ml(2回)の順に攪拌下処理し、各々の処
理後濾過して副反応が進まないようにした。
【0028】次に、得られたBoc-Asn(Xan)-MBHA樹脂を
50%TFA含有DCM溶液 30ml(30分)、イソプロピルアルコ
ール 20ml(1回)、MeOH20ml(2回)、10%TEA含有DCM
20ml(2回)、MeOH 20ml(2回)、DCM 20ml(2回)
の順に攪拌下処理し、各々の処理後濾過した。これにア
ミノ酸順序27番目のBoc-Leu-OH 2mmole、HOBt 2mmole、
DCM 10ml及びDMF 2mlを加えて攪拌し、さらにDCC(1M-DC
M溶液)1.5mlを加えて2時間反応させた。反応液を濾過
した後、MeOH 20ml(2回)、DCM 20ml(2回)の順に
攪拌下処理し、各々の処理後濾過してBoc-Leu-Asn(Xan)
-MBHA樹脂を得た。
【0029】なお、未反応の Asn-MBHA樹脂は、20%無
水酢酸含有DCM溶液 10mlを加えて5分間攪拌し、濾過後
MeOH 20ml(2回)、DCM20ml(2回)の順に攪拌下処理
し、各々の処理後濾過して副反応が進まないようにし
た。以下、次に示す保護アミノ酸を用いて順次 26番目
から1番目までのアミノ酸をカップリングした。
【0030】
【表1】
【0031】この様にして、下記式: His(Bom)-Ser(Bz)-Asp(OcHex)-Ala-Val-Phe-Thr(Bzl)-A
sp(OcHex)-Asn(Xan)-Tyr(Br-Z)-Thr(Bzl)-Arg(Tos)-Leu
-Arg(Tos)-Lys(Cl2Z)-Gln(Xan)-Met-Ala-Val-Lys(Cl2Z)
-Lys(Cl2Z)-Tyr(Br-Z)-Leu-Asn(Xan)-Ser(Bz)-Ile-Leu-
Asn(Xan)-MBHA樹脂 5.09gを得た。
【0032】ここで得られた保護ペプチド−MBHA樹脂
5.0gにアニソール 7.5ml、1,2-エタンジチオール 7.5m
lを加え、さらに無水フッ化水素 60mlを加えて0℃で1
時間撹拌した。反応後、無水フッ化水素を減圧下留去
後、残査をエーテルで洗浄し、これに 10%酢酸 125ml
を加えてペプチドを抽出した。抽出液を以下に示す条件
で逆相カラムクロマトグラフィーにより精製後、さらに
分取用高速液体クロマトグラフィーを用いたイオン交換
クロマトグラフィー及び逆相クロマトグラフィーにより
精製した。
【0033】逆相カラムクロマトグラフィー カラム:ODS −1022TT(30×420mm) 流 速:5 ml/min
【0034】イオン交換クロマトグラフィー(分取用高
速液体クロマトグラフィー) カラム:TSK GEL SP-5PW(21.5×150mm) 溶 媒:35%イソプロピルアルコール/50mM酢酸緩衝液
(pH 5.3) 流 速:5 ml/min
【0035】逆相カラムクロマトグラフィー(分取用高
速液体クロマトグラフィー) カラム:TSK GEL ODS-120T(21.5×300mm) 溶 媒:30% アセトニトリル/0.1% TFA 流 速:10ml/min
【0036】得られた溶出液を凍結乾燥し,配列番号1
のアミノ酸配列を有する精製ペプチド1(C末端は−N
2)を得た。この精製ペプチドの収量、高速液体クロマ
トグラフィー(HPLC)の保持時間、アミノ酸分析結果を下
記に示す。 ・収量160mg ・HPLCの保持時間:18.98分 ・アミノ酸分析 Asx(5) 4.95, Thr(2) 1.90, Ser(2) 1.87, Glx(1) 1.0
0, Ala(2) 1.95,Val(2) 1.94, Met(1) 0.60, Leu(3) 2.
99, Tyr(2) 1.96, Phe(1) 0.95,His(1) 0.97, Arg(2)
2.07, Ile(1) 0.97 Lys(3) 2.98
【0037】(2) ペプチド2の製造 (1) と同様の方法で、配列番号3に示すアミノ酸配列を
有する精製ペプチド2(C末端は−NH2)を得た。この
精製ペプチドの収量、高速液体クロマトグラフィー(HPL
C)の保持時間、アミノ酸分析結果を下記に示す。 ・収量103.3mg ・HPLCの保持時間:16.34分 ・アミノ酸分析 Asx(3) 2.98, Thr(1) 0.95, Ser(3) 2.65, Glx(2) 2.0
5, Ala(3) 2.99,Val(3) 2.92, Met(1) 0.60, Leu(2) 2.
02, Tyr(4) 3.94, Phe(1) 0.95,His(1) 1.00, Arg(4)
3.95, Ile(1) 0.94, Lys(7) 6.93 Gly(2) 2.00,
【0038】(3) ペプチド3の製造 (1)と同様の方法で、配列番号4に示すアミノ酸配列を
有する精製ペプチド3(C末端は−NH2)を得た。この
精製ペプチドの収量、高速液体クロマトグラフィー(HPL
C)の保持時間、アミノ酸分析結果を下記に示す。 ・収量102.5mg ・HPLCの保持時間:20.23分 ・アミノ酸分析 Asx(2) 1.96, Thr(1) 0.89,
Ser(3) 2.24, Glx(1) 1.0
3, Ala(3) 3.11,Val(2) 2.0
6, Met(1) 0.97, Leu(2) 2.
12, Tyr(3) 3.06, Phe(1)
0.98,His(1) 0.95, Arg(2)
0.97, Ile(1) 0.94, Lys(3)
3.04 Gly(1) 0.97,
【0039】〔実施例2〕 ペプチドの合成(2) (1) ペプチド4の製造 MBHA樹脂の代わりに、4-オキシメチルフェニルアセタミ
ドメチル樹脂を使用する以外は、実施例1(1) と同様の
方法で、配列番号5に示すアミノ酸配列を有する精製ペ
プチド4(C末端は−OH)を得た。この精製ペプチド
の収量、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)の保持時
間、アミノ酸分析結果を下記に示す。 ・収量78.8mg ・HPLCの保持時間:18.10 ・アミノ酸分析 Asx(5) 4.95, Thr(2) 1.90, Ser(2) 1.87, Glx(1) 1.0
0, Ala(2) 1.95,Val(2) 1.94, Met(1) 0.60, Leu(3) 2.
99, Tyr(2) 1.96, Phe(1) 0.95,His(1) 0.97, Arg(2)
2.07, Ile(1) 0.97, Lys(3) 2.98
【0040】(2) ペプチド5の製造 実施例1(1) と同様の方法で、配列番号6に示すアミノ
酸配列を有する精製ペプチド5(C末端は−NH2)を得
た。この精製ペプチドの収量、高速液体クロマトグラフ
ィー(HPLC)の保持時間、アミノ酸分析結果を下記に示
す。 ・収量78.8mg ・HPLCの保持時間:19.16 ・アミノ酸分析 Asx(4) 3.95, Thr(2) 1.90, Ser(2) 1.87, Glx(1) 1.0
0, Ala(2) 1.95,Val(2) 1.94, Met(1) 0.60, Leu(3) 2.
98, Tyr(2) 1.96, Phe(1) 0.95,His(1) 0.97, Arg(2)
2.07, Ile(1) 0.97, Lys(3) 2.98
【0041】(3) ペプチド6の製造 実施例1(1) と同様の方法で、配列番号7に示すアミノ
酸配列を有する精製ペプチド6(C末端は−NH2)を得
た。この精製ペプチドの収量、高速液体クロマトグラフ
ィー(HPLC)の保持時間、アミノ酸分析結果を下記に示
す。 ・収量78.8mg ・HPLCの保持時間:15.58 ・アミノ酸分析 Asx(4) 3.95, Thr(2) 1.90, Ser(2) 1.87, Glx(1) 1.0
0, Ala(2) 1.95,Val(2) 1.94, Met(1) 0.60, Leu(2) 1.
99, Tyr(2) 1.96, Phe(1) 0.95,His(1) 0.97, Arg(2)
2.07, Ile(1) 0.97, Lys(3) 2.98
【0042】(4) ペプチド7の製造 実施例1(1) と同様の方法で、配列番号8に示すアミノ
酸配列を有する精製ペプチド7(C末端は−NH2)を得
た。この精製ペプチドの収量、高速液体クロマトグラフ
ィー(HPLC)の保持時間、アミノ酸分析結果を下記に示
す。 ・収量78.8mg ・HPLCの保持時間:19.32 ・アミノ酸分析 Asx(4) 3.95, Thr(2) 1.90, Ser(2) 1.87, Glx(1) 1.0
0, Ala(2) 1.95,Val(2) 1.94, Met(1) 0.60, Leu(2) 1.
99, Tyr(2) 1.96, Phe(1) 0.95,His(1) 0.97, Arg(2)
2.07, Lys(3) 2.99
【0043】(5) ペプチド8の製造 実施例1(1) と同様の方法で、配列番号9に示すアミノ
酸配列を有する精製ペプチド8(C末端は−NH2)を得
た。この精製ペプチドの収量、高速液体クロマトグラフ
ィー(HPLC)の保持時間、アミノ酸分析結果を下記に示
す。 ・収量78.8mg ・HPLCの保持時間:13.54 ・アミノ酸分析 Asx(4) 3.96, Thr(2) 1.90,
Ser(1) 0.87, Glx(1) 1.0
0, Ala(2) 1.95,Val(2) 1.9
5, Met(1) 0.65, Leu(2) 1.
99, Tyr(2) 1.95, Phe(1)
0.95,His(1) 0.97, Arg(2)
2.07, Lys(3) 2.99
【0044】(6) ペプチド9の製造 実施例1(1) と同様の方法で、配列番号10に示すアミ
ノ酸配列を有する精製ペプチド9(C末端は−NH2)を
得た。この精製ペプチドの収量、高速液体クロマトグラ
フィー(HPLC)の保持時間、アミノ酸分析結果を下記に示
す。 ・収量78.8mg ・HPLCの保持時間:14.22 ・アミノ酸分析 Asx(3) 2.98, Thr(2) 1.90, Ser(1) 0.87, Glx(1) 1.0
0, Ala(2) 1.95,Val(2) 1.95, Met(1) 0.65, Leu(2) 1.
99, Tyr(2) 1.95, Phe(1) 0.95,His(1) 0.97, Arg(2)
2.07, Lys(3) 2.97
【0045】(7) ペプチド10の製造 実施例1(1) と同様の方法で、配列番号11に示すアミ
ノ酸配列を有する精製ペプチド10(C末端は−NH2)
を得た。この精製ペプチドの収量、高速液体クロマトグ
ラフィー(HPLC)の保持時間、アミノ酸分析結果を下記に
示す。 ・収量78.8mg ・HPLCの保持時間:12.47 ・アミノ酸分析 Asx(3) 2.99, Thr(2) 1.90, Ser(1) 0.87, Glx(1) 1.0
0, Ala(2) 1.95,Val(2) 1.95, Met(1) 0.66, Leu(1) 1.
00, Tyr(2) 1.95, Phe(1) 0.95,His(1) 0.97, Arg(2)
2.07, Lys(3) 2.96
【0046】(8) ペプチド11の製造 実施例1(1) と同様の方法で、配列番号12に示すアミ
ノ酸配列を有する精製ペプチド11(C末端は−NH2)
を得た。この精製ペプチドの収量、高速液体クロマトグ
ラフィー(HPLC)の保持時間、アミノ酸分析結果を下記に
示す。 ・収量78.8mg ・HPLCの保持時間:19.74 ・アミノ酸分析 Asx(5) 4.95, Thr(2) 1.90,
Ser(2) 1.87, Glx(1) 1.0
0, Ala(2) 1.95,Val(2) 1.9
5, Met(1) 0.65, Leu(3) 3.
00, Tyr(2) 1.96, Phe(1)
0.95,Arg(2) 2.04, Ile(1)
0.98, Lys(3) 2.98
【0047】(9) ペプチド12の製造 実施例1(1) と同様の方法で、配列番号13に示すアミ
ノ酸配列を有する精製ペプチド12(C末端は−NH2)
を得た。この精製ペプチドの収量、高速液体クロマトグ
ラフィー(HPLC)の保持時間、アミノ酸分析結果を下記に
示す。 ・収量78.8mg ・HPLCの保持時間:18.10 ・アミノ酸分析 Asx(4) 3.95, Thr(2) 1.90, Ser(2) 1.87, Glx(1) 1.0
0, Ala(2) 1.95,Val(2) 1.94, Met(1) 0.60, Leu(2) 1.
99, Tyr(2) 1.96, Phe(1) 0.95,Arg(2) 2.07, Lys(3)
2.98
【0048】(10) ペプチド13の製造 実施例1(1) と同様の方法で、配列番号14に示すアミ
ノ酸配列を有する精製ペプチド13(C末端は−NH2)
を得た。この精製ペプチドの収量、高速液体クロマトグ
ラフィー(HPLC)の保持時間、アミノ酸分析結果を下記に
示す。 ・収量78.8mg ・HPLCの保持時間:18.10 ・アミノ酸分析 Asx(4) 3.95, Thr(2) 1.90, Ser(2) 1.87, Glx(1) 1.0
0, Ala(2) 1.95,Val(2) 1.95, Leu(3) 3.00, Tyr(2) 1.
96, Phe(1) 0.95, His(1) 0.97,Arg(2) 2.06, Lys(3)
2.98
【0049】(11) ペプチド14の製造 実施例1(1) と同様の方法で、配列番号15に示すアミ
ノ酸配列を有する精製ペプチド14(C末端は−NH2)
を得た。この精製ペプチドの収量、高速液体クロマトグ
ラフィー(HPLC)の保持時間、アミノ酸分析結果を下記に
示す。 ・収量75.4mg ・HPLCの保持時間:14.58 ・アミノ酸分析 Asx(4) 3.98, Thr(2) 1.98, Ser(1) 0.66, Glx(1) 1.0
1, Ala(2) 1.99,Val(2) 1.92, Leu(3) 3.01, Tyr(2) 1.
85, Phe(1) 0.90, Lys(3) 2.93,His(1) 0.99, Arg(2)
2.01
【0050】(12) ペプチド15の製造 実施例1(1) と同様の方法で、配列番号16に示すアミ
ノ酸配列を有する精製ペプチド15(C末端は−NH2)
を得た。この精製ペプチドの収量、高速液体クロマトグ
ラフィー(HPLC)の保持時間、アミノ酸分析結果を下記に
示す。 ・収量75.0mg ・HPLCの保持時間:15.26 ・アミノ酸分析 Asx(4) 3.98, Thr(2) 1.98, Ser(1) 0.66, Glx(1) 1.0
1, Ala(2) 1.99,Val(2) 1.92, Leu(3) 3.01, Tyr(2) 1.
85, Phe(1) 0.90, Lys(3) 2.93,His(1) 0.99, Arg(2)
2.01
【0051】(13) ペプチド16の製造 実施例1(1) と同様の方法で、配列番号17に示すアミ
ノ酸配列を有する精製ペプチド16(C末端は−NH2)
を得た。この精製ペプチドの収量、高速液体クロマトグ
ラフィー(HPLC)の保持時間、アミノ酸分析結果を下記に
示す。 ・収量74.4mg ・HPLCの保持時間:15.23 ・アミノ酸分析 Asx(2) 1.99, Thr(1) 0.90, Ser(3) 2.60, Glx(1) 1.0
0, Gly(1) 0.99Ala(1) 1.01, Val(1) 0.99, Met(1) 0.6
0, Ile(1) 1.02, Leu(1) 1.03,Tyr(3) 3.96, Phe(1) 0.
95, His(1) 0.97, Arg(2) 2.04, Lys(3) 2.98
【0052】〔試験例1〕 胃平滑筋弛緩試験(1) 上記実施例1で得られた精製ペプチド1〜3とグルカゴ
ン(対照)について下記の方法で、マウス胃平滑筋弛緩
作用の効果を評価した。マウスは雄のICRマウスを9週齢
ので購入し、1週間の予備飼育後、10〜18週齢に渡り使
用した。頸椎脱臼処理後、直ちに開腹し胃を全摘出、生
理食塩水にて胃内部を十分に洗浄し、標本とした。出来
上がった標本を内容量20mLのマグヌス槽(容量20mL、温
度37℃、荷重2.0g、95% CO2 +5% CO2 通気下:理研開
発)内に懸垂した。生理的溶液としてKrebs-Henseleit
Buffer Modified(SIGMA)溶液を使用した。反応はアン
プRMP-6004(日本光電)を介してレコーダーR-64M (理化
電機)上に描記した。
【0053】実験は標本をマグヌス装置にセットして、
ベースラインが安定した後、カルバコール溶液(添加濃
度6×10-3M)を100μL添加した。10分後に精製ペプチド
の試料溶液(添加濃度2×10-4M)を100μL添加し、標本
の弛緩作用を観察した。カルバコール添加前の平滑筋の
収縮の度合いを0%、カルバコール添加10分後の平滑筋
の収縮の度合いを100%として、各試料溶液を添加した
ときの平滑筋の最大収縮抑制率を求めた。表2に、精製
ペプチド1〜3及びグルカゴンの最終濃度10-6M (添加
濃度は2×10-4M)におけるマウス胃平滑筋の最大収縮
抑制率を示す。
【0054】
【表2】
【0055】いずれのペプチドもグルカゴンよりも優れ
た収縮抑制率を示した。ところが、最も強い弛緩作用が
確認されたペプチド1は、血管作動性が強く、血管が拡
張することによって血流量が増加し、脈拍増加、血圧変
動、ほてりなどの弊害が起こる可能性があり、臨床上副
作用が懸念される。そこで、ペプチド1のC末端からい
くつかのアミノ酸を欠失させたアミノ酸について、胃平
滑筋弛緩作用に併せて血管作動性作用についても検討し
た。
【0056】〔試験例2〕 胃平滑筋弛緩試験(2) 上記実施例2で得られた精製ペプチド4〜16について
試験例1と同様の方法でマウス胃平滑筋弛緩作用の効果
を評価した。また、下記の方法でラット頚動脈血流量に
対する作用を評価した。実験動物にはslc:Wistarラット
を用いた。動物を麻酔下で仰臥位に固定し、咽頭部を切
開し頚動脈を露出し、血流測定用プローブを固定した。
血流量は超音波トランジットタイム血流量計(トランソ
ニックシステムジャパン)を用いて測定した。血流の増
加作用は血流量計に接続したアンプAG-621G(日本光
電)を介して、MacLabを用いてデジタル信号に変換して
コンピューターに保存した。
【0057】実験は、注射用生理食塩液で1 mg/mLに調
整した精製ペプチドの各試料溶液を、個体あたり100μL
大腿静脈より静脈内投与を行った。投与後10分間の血流
変化を観察した。表3に、精製ペプチド4〜16及び精
製ペプチド1の最終濃度10-6Mにおけるマウス胃平滑筋
の最大収縮抑制率及び血流変化量(ペプチド1を100
として換算)を示す。
【0058】
【表3】
【0059】
【発明の効果】本発明によれば、胃蠕動運動の抑制作用
を有し、臨床上の副作用を起こさない安全性の高い消化
管運動抑制剤が提供される。本発明の消化管運動抑制剤
は、消化管検査・胃腸X線検査・腹部MRI検査・内視
鏡検査などのの検査前の処置に有効であるほか、液剤と
しても提供できるので簡便に使用でき、かつ経済的であ
る。
【0060】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> ITOHAM FOODS INC. <120> Novel Peptides and the Agent for suppressing gastrointestinal movement containing the same <130> P99-0589 <160> 17 <170> PatentIn Ver. 2.0 <210> 1 <211> 38 <212> PRT <213> Artificial Sequnece <220> <223> Synthetic Peptide <220> <221> PEPTIDE <222> 4 <223> Xaa represents Ala or Gly <220> <221> PEPTIDE <222> 5 <223> Xaa represents Val or Ile <220> <221> PEPTIDE <222> 9 <223> Xaa represents Asn or Ser <220> <221> PEPTIDE <222> 11 <223> Xaa represents Thr or Ser <220> <221> PEPTIDE <222> 13 <223> Xaa represents Leu or Tyr <220> <221> PEPTIDE <222> 17 <223> Xaa represents Met or Leu or nLeu <220> <221> PEPTIDE <222> 24 <223> Xaa represents Asn or Ala or Asp <220> <221> PEPTIDE <222> 25 <223> Xaa represents Ser or Ala <220> <221> PEPTIDE <222> 26 <223> Xaa represents Ile or Val <220> <221> PEPTIDE <222> 28 <223> Xaa represents Asn or Gly <400> 1 His Ser Asp Xaa Xaa Phe Thr Asp Xaa Tyr Xaa Arg Xaa Arg Lys Gln 1 5 10 15 Xaa Ala Val Lys Lys Tyr Leu Xaa Xaa Xaa Leu Xaa Lys Arg Tyr Lys 20 25 30 Gln Arg Val Lys Asn Lys 35 <210> 2 <211> 28 <212> PRT <213> Artificial Sequnece <220> <223> Synthetic Peptide <400> 2 His Ser Asp Ala Val Phe Thr Asp Asn Tyr Thr Arg Leu Arg Lys Gln 1 5 10 15 Met Ala Val Lys Lys Tyr Leu Asn Ser Ile Leu Asn 20 25 <210> 3 <211> 38 <212> PRT <213> Artificial Sequnece <220> <223> Synthetic Peptide <400> 3 His Ser Asp Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Gln 1 5 10 15 Met Ala Val Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu Gly Lys Arg Tyr Lys 20 25 30 Gln Arg Val Lys Asn Lys 35 <210> 4 <211> 27 <212> PRT <213> Artificial Sequnece <220> <223> Synthetic Peptide <400> 4 His Ser Asp Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Gln 1 5 10 15 Met Ala Val Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu 20 25 <210> 5 <211> 28 <212> PRT <213> Artificial Sequnece <220> <223> Synthetic Peptide <400> 5 His Ser Asp Ala Val Phe Thr Asp Asn Tyr Thr Arg Leu Arg Lys Gln 1 5 10 15 Met Ala Val Lys Lys Tyr Leu Asn Ser Ile Leu Asn 20 25 <210> 6 <211> 27 <212> PRT <213> Artificial Sequnece <220> <223> Synthetic Peptide <400> 6 His Ser Asp Ala Val Phe Thr Asp Asn Tyr Thr Arg Leu Arg Lys Gln 1 5 10 15 Met Ala Val Lys Lys Tyr Leu Asn Ser Ile Leu 20 25 <210> 7 <211> 26 <212> PRT <213> Artificial Sequnece <220> <223> Synthetic Peptide <400> 7 His Ser Asp Ala Val Phe Thr Asp Asn Tyr Thr Arg Leu Arg Lys Gln 1 5 10 15 Met Ala Val Lys Lys Tyr Leu Asn Ser Ile 20 25 <210> 8 <211> 25 <212> PRT <213> Artificial Sequnece <220> <223> Synthetic Peptide <400> 8 His Ser Asp Ala Val Phe Thr Asp Asn Tyr Thr Arg Leu Arg Lys Gln 1 5 10 15 Met Ala Val Lys Lys Tyr Leu Asn Ser 20 25 <210> 9 <211> 24 <212> PRT <213> Artificial Sequnece <220> <223> Synthetic Peptide <400> 9 His Ser Asp Ala Val Phe Thr Asp Asn Tyr Thr Arg Leu Arg Lys Gln 1 5 10 15 Met Ala Val Lys Lys Tyr Leu Asn 20 <210> 10 <211> 23 <212> PRT <213> Artificial Sequnece <220> <223> Synthetic Peptide <400> 10 His Ser Asp Ala Val Phe Thr Asp Asn Tyr Thr Arg Leu Arg Lys Gln 1 5 10 15 Met Ala Val Lys Lys Tyr Leu 20 <210> 11 <211> 22 <212> PRT <213> Artificial Sequnece <220> <223> Synthetic Peptide <400> 11 His Ser Asp Ala Val Phe Thr Asp Asn Tyr Thr Arg Leu Arg Lys Gln 1 5 10 15 Met Ala Val Lys Lys Tyr 20 <210> 12 <211> 27 <212> PRT <213> Artificial Sequnece <220> <223> Synthetic Peptide <400> 12 Ser Asp Ala Val Phe Thr Asp Asn Tyr Thr Arg Leu Arg Lys Gln Met 5 10 15 Ala Val Lys Lys Tyr Leu Asn Ser Ile Leu Asn 20 25 <210> 13 <211> 24 <212> PRT <213> Artificial Sequnece <220> <223> Synthetic Peptide <400> 13 Ser Asp Ala Val Phe Thr Asp Asn Tyr Thr Arg Leu Arg Lys Gln Met 5 10 15 Ala Val Lys Lys Tyr Leu Asn Ser 20 <210> 14 <211> 25 <212> PRT <213> Artificial Sequnece <220> <223> Synthetic Peptide <400> 14 His Ser Asp Ala Val Phe Thr Asp Asn Tyr Thr Arg Leu Arg Lys Gln 1 5 10 15 Leu Ala Val Lys Lys Tyr Leu Asn Ser 20 25 <210> 15 <211> 24 <212> PRT <213> Artificial Sequnece <220> <223> Synthetic Peptide <400> 15 His Ser Asp Ala Val Phe Thr Asp Asn Tyr Thr Arg Leu Arg Lys Gln 1 5 10 15 Leu Ala Val Lys Lys Tyr Leu Asn 20 <210> 16 <211> 24 <212> PRT <213> Artificial Sequnece <220> <223> Synthetic Peptide <400> 16 His Ser Asp Ala Val Phe Thr Asp Asn Tyr Thr Arg Leu Arg Lys Gln 1 5 10 15 Leu Ala Val Lys Lys Tyr Leu Asp 20 <210> 17 <211> 23 <212> PRT <213> Artificial Sequnece <220> <223> Synthetic Peptide <400> 17 His Ser Asp Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Gln 1 5 10 15 Met Ala Val Lys Lys Tyr Leu 20
【0061】
【配列表フリーテキスト】 配列番号1:Xaa はAla 又はGly を表す(存在位置:4) 配列番号1:Xaa はVal 又はIle を表す(存在位置:5) 配列番号1:Xaa はAsn 又はSer を表す(存在位置:9) 配列番号1:Xaa はThr 又はSer を表す(存在位置:11) 配列番号1:Xaa はLeu 又はTyr を表す(存在位置:13) 配列番号1:Xaa はMet 又はLeu 又はnLeuを表す(存在位置:17) 配列番号1:Xaa はAsn 又はAla 又はAsp を表す(存在位置:24) 配列番号1:Xaa はSer 又はAla を表す(存在位置:25) 配列番号1:Xaa はIle 又はVal を表す(存在位置:26) 配列番号1:Xaa はAsn 又はGly を表す(存在位置:28)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4C084 AA02 AA07 BA01 BA07 BA18 BA19 CA18 CA25 DB35 MA16 NA14 ZA282 ZA661 ZC541 4H045 AA10 AA30 BA17 BA18 BA19 CA40 DA45 EA25 FA30 FA34 FA40 FA58 HA03

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号1に記載のアミノ酸配列におい
    て、そのN末端から少なくとも23残基までのアミノ酸配
    列(但し、1位のHisは欠失していてもよく、;C末端
    側は-OH、-NH2のどちらでもよい。)からなり、かつ、
    消化管運動抑制作用を有するペプチド。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のペプチドまたはそれら
    の薬学的に許容される塩を有効成分として含有する、消
    化管運動抑制剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2003039577A1 (fr) * 2001-11-06 2003-05-15 Senju Pharmaceutical Co., Ltd. Remedes contre l'oeil sec et des maladies associees a l'oeil sec

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