JP2001150368A - マニピュレータ制御装置 - Google Patents

マニピュレータ制御装置

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JP2001150368A
JP2001150368A JP33311499A JP33311499A JP2001150368A JP 2001150368 A JP2001150368 A JP 2001150368A JP 33311499 A JP33311499 A JP 33311499A JP 33311499 A JP33311499 A JP 33311499A JP 2001150368 A JP2001150368 A JP 2001150368A
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JP33311499A
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English (en)
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Keisuke Miura
圭介 三浦
Junichi Onishi
順一 大西
Yasushi Takahashi
裕史 高橋
Keiichi Seki
敬一 関
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Olympus Corp
Original Assignee
Olympus Optical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、マスターマニピュレータの機械的な
動作範囲の限界に制限されることなくスレーブマニピュ
レータを広域で効率よく動作させることができるマニピ
ュレータ制御装置を提供することを最も主要な特徴とす
る。 【解決手段】マスターマニピュレータ3の動作時にマス
ターマニピュレータ3の動作範囲の限界位置の近傍位置
でマスター制御部20の入力切換え装置41を切換え操
作することにより、マスターマニピュレータ3の1段目
の動作範囲A1を越えた拡張領域の動作範囲A2、また
はA1からA3内でマスターマニピュレータ3によるス
レーブマニピュレータ2の動作制御を可能にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生体の、例えば体
腔内に挿入したマニピュレータを操作手段によって遠隔
的に操作し、診断・処置等の手術を行う手術用のマニピ
ュレータ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、腹壁等の体壁に穴を開け、この
穴を通じて内視鏡や処置具を経皮的に体腔内に挿入する
ことにより、その体腔内での様々な処置を行なう経皮的
内視鏡下手術が、大きな切開を要しない低侵襲なものと
して、近年、注目されている。こうした術式は胆のう摘
出手術や肺の一部を摘出除去する手術等で広く行なわれ
ている。
【0003】このような手術において、マニピュレータ
に内視鏡や処置具を搭載し、そのマニピュレータによる
内視鏡や処置具を用いた手術を術者に代わって間接的に
行う手術用マニピュレータシステムが、米国特許第5,
217,003号や、特開平7−328016号公報な
どに示されている。
【0004】図16はこの手術用マニピュレータシステ
ムの概略構成を示すものである。このマニピュレータシ
ステムには術野にアクセスするように設置されているス
レーブマニピュレータaと、術者が操作できる領域内に
設置されたジョイスティックなどのマスターマニピュレ
ータbとが設けられている。ここで、スレーブマニピュ
レータaにはスレーブ制御部c、マスターマニピュレー
タbにはマスター制御部dがそれぞれ連結されている。
【0005】さらに、スレーブ制御部cとマスター制御
部dとの間は信号ケーブルなどの通信手段を介して連結
されている。ここで、マスター制御部dにはマスターマ
ニピュレータbの操作部の操作を検出する検出手段が設
けられている。そして、このマスター制御部dによって
検出されたマスターマニピュレータbの操作部の操作状
態が制御信号に変換されて通信手段を介してスレーブ制
御部cに伝送されるようになっている。また、スレーブ
制御部cからはマスター制御部dから送られるマスター
マニピュレータbの操作部の操作に追従した動きをスレ
ーブマニピュレータaに伝達する制御信号が出力される
ようになっている。
【0006】そして、こうした手術用マニピュレータの
遠隔操作では、内視鏡等の観察手段によりモニターに映
し出された腹腔内の患部の状態を見ながら、操作者がジ
ョイスティックなどのマスターマニピュレータbの操作
部を操作することによって例えばマスターマニピュレー
タbの操作部の操作方向にスレーブマニピュレータaを
動作させるようになっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、手術用マニ
ピュレータシステムではマスターマニピュレータbの動
作範囲とスレーブマニピュレータaの動作範囲とは一致
していない場合が多く、通常はマスターマニピュレータ
bの動作範囲よりもスレーブマニピュレータaの動作範
囲の方が大きくなるように設定されている。そのため、
上記従来構成の手術用マニピュレータシステムではマス
ターマニピュレータbが動作範囲の限界位置まで移動し
た時点で、スレーブマニピュレータaの動作も停止して
しまうので、スレーブマニピュレータaの動作範囲が実
際にスレーブマニピュレータaが動作可能な動作範囲よ
りも狭い範囲に制限され、スレーブマニピュレータaを
効率よく動かすことが難しい問題がある。
【0008】本発明は上記事情に着目してなされたもの
で、その目的は、マスターマニピュレータの機械的な動
作範囲の限界に制限されることなくスレーブマニピュレ
ータを広域で効率よく動作させることができるマニピュ
レータ制御装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、術野
にアクセスするように設置されたスレーブマニピュレー
タと、術者が操作できる領域内に設置され、前記スレー
ブマニピュレータを遠隔的に操作するマスターマニピュ
レータと、このマスターマニピュレータに接続され、前
記マスターマニピュレータの操作を電気信号に変換する
マスター制御部と、前記スレーブマニピュレータおよび
前記マスター制御部にそれぞれ接続され、前記マスター
制御部から送られる前記マスターマニピュレータの操作
に追従した動きを前記スレーブマニピュレータに伝達す
る制御信号を出力するスレーブ制御部と、前記スレーブ
マニピュレータの動作範囲に対応する前記マスターマニ
ピュレータの動作範囲を複数段に切換える切換え手段
と、前記マスターマニピュレータの動作時に前記マスタ
ーマニピュレータの動作範囲の限界位置の近傍位置で前
記切換え手段を切換え操作することにより、前記マスタ
ーマニピュレータの1段目の動作範囲を越えた拡張領域
内で前記マスターマニピュレータによる前記スレーブマ
ニピュレータの動作制御を可能にする前記スレーブマニ
ピュレータの動作範囲拡張手段とを具備したことを特徴
とするマニピュレータ制御装置である。そして、本請求
項1の発明では、マスターマニピュレータの動作時にマ
スターマニピュレータの動作範囲の限界位置の近傍位置
で切換え手段を切換え操作することにより、マスターマ
ニピュレータの1段目の動作範囲を越えた拡張領域内で
マスターマニピュレータによるスレーブマニピュレータ
の動作制御を可能にするようにしたものである。
【0010】請求項2の発明は、術野にアクセスするよ
うに設置されたスレーブマニピュレータと、術者が操作
できる領域内に設置され、前記スレーブマニピュレータ
を遠隔的に操作するマスターマニピュレータと、このマ
スターマニピュレータに接続され、前記マスターマニピ
ュレータの操作を電気信号に変換するマスター制御部
と、前記スレーブマニピュレータおよび前記マスター制
御部にそれぞれ接続され、前記マスター制御部から送ら
れる前記マスターマニピュレータの操作に追従した動き
を前記スレーブマニピュレータに伝達する制御信号を出
力するスレーブ制御部と、前記スレーブマニピュレータ
の動作範囲に対応する前記マスターマニピュレータの動
作範囲を複数段に切換える切換え手段と、前記マスター
マニピュレータの動作時に前記マスターマニピュレータ
の動作範囲の限界位置の近傍位置で前記切換え手段を切
換え操作することにより、前記マスターマニピュレータ
の1段目の動作範囲を越えた拡張領域内で前記マスター
マニピュレータによる前記スレーブマニピュレータの動
作制御を可能にする前記スレーブマニピュレータの動作
範囲拡張手段と、前記スレーブマニピュレータまたは前
記マスターマニピュレータの動作状態を表示する第1の
画像表示部と、この第1の画像表示部に表示されている
表示マニピュレータの動作範囲全体における前記表示マ
ニピュレータの現在位置となる指標を表示する第2の画
像表示部とを同時に表示可能な表示手段とを具備したこ
とを特徴とするマニピュレータ制御装置である。そし
て、本請求項2の発明では、マスターマニピュレータの
動作時にマスターマニピュレータの動作範囲の限界位置
の近傍位置で切換え手段を切換え操作することにより、
スレーブマニピュレータの動作範囲拡張手段によってマ
スターマニピュレータの1段目の動作範囲を越えた拡張
領域内でマスターマニピュレータによるスレーブマニピ
ュレータの動作制御を可能にする。さらに、スレーブマ
ニピュレータまたはマスターマニピュレータの動作状態
を表示する表示手段の第1の画像表示部にスレーブマニ
ピュレータまたはマスターマニピュレータの動作状態を
表示するとともに、この第1の画像表示部と同時に表示
可能な第2の画像表示部に第1の画像表示部に表示され
ている表示マニピュレータの動作範囲全体における表示
マニピュレータの現在位置となる指標を表示するように
したものである。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の第1の実施の形態
を図1乃至図6(A),(B)を参照して説明する。図
1は本実施の形態のマニピュレータ制御装置1のシステ
ム全体の概略構成を示すものである。本実施の形態のマ
ニピュレータ制御装置1には術野にアクセスするように
設置されたスレーブマニピュレータ2と、術者が操作で
きる領域内に設置され、スレーブマニピュレータ2を遠
隔的に操作するマスターマニピュレータ3とが設けられ
ている。ここで、スレーブマニピュレータ2には2組の
スレーブマニピュレータ、すなわち左側スレーブマニピ
ュレータ2aと、右側スレーブマニピュレータ2bとが
設けられている。さらに、マスターマニピュレータ3に
も同様に左側スレーブマニピュレータ2aを操作する左
側マスターマニピュレータ3aと、右側スレーブマニピ
ュレータ2bを操作する右側マスターマニピュレータ3
bとが設けられている。
【0012】また、2つのスレーブマニピュレータ2
a,2b、マスターマニピュレータ3a,3bはそれぞ
れ略同一構成になっているので、ここでは一方の左側の
スレーブマニピュレータ2aおよびマスターマニピュレ
ータ3aの構成のみを説明し、右側のスレーブマニピュ
レータ2bおよびマスターマニピュレータ3bの同一部
分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0013】すなわち、本実施の形態の左側のスレーブ
マニピュレータ2aには細長い挿入部4を備えたマニピ
ュレータ本体5と、このマニピュレータ本体5を駆動す
るスレーブ駆動部6とが設けられている。さらに、挿入
部4の先端部には図3に示すように例えば把持鉗子のよ
うに開閉可能な1対の把持部材7a,7bを備えた先端
把持部7が設けられている。これらの把持部材7a,7
bの基端部間は挿入部4の先端部に回動ピン8を中心に
回動可能に連結されている。そして、これらの把持部材
7a,7bはリンク機構部9によって回動ピン8を中心
に開閉可能に支持されている。
【0014】また、マニピュレータ本体5はスレーブ駆
動部6内の図示しないマニピュレータ本体駆動ユニット
によって図3中で、X軸方向(左右方向)、Y軸方向
(上下方向)、Z軸方向(前後方向)にそれぞれ移動可
能に駆動され、かつZ軸の軸回り方向に回動駆動される
ようになっている。さらに、マニピュレータ本体5の先
端把持部7も同様にスレーブ駆動部6内の図示しない先
端把持部駆動ユニットによって把持部材7a,7b間が
回動ピン8を中心に開閉駆動されるようになっている。
なお、図3中で、Osはスレーブマニピュレータ2aの
マニピュレータ本体5の原点位置である。
【0015】また、左側マスターマニピュレータ3aに
は図2に示すように例えば略鋏型の開閉動作可能なハン
ドル(操作部)10と、このハンドル10を図2中で、
X軸方向(左右方向)、Y軸方向(上下方向)、Z軸方
向(前後方向)にそれぞれ移動可能に、かつZ軸の軸回
り方向に回動可能に支持する支持機構部11(図4に示
す)とが設けられている。なお、図2中で、OM はマ
スターマニピュレータ3aのハンドル10の原点位置で
ある。
【0016】また、ハンドル10には図2に示すように
トッププレート12に一端部が固定された支軸13と、
この支軸13の他端部に回動軸14を中心に回動可能に
連結された2つのハンドル部材15a,15bとが設け
られている。さらに、2つのハンドル部材15a,15
b間には回動軸14側にリンク部材16、自由端部側に
板ばね部材17がそれぞれ配設されている。そして、こ
のハンドル10は板ばね部材17のばね力によって図2
中に実線で示すように全開位置方向に付勢されている。
【0017】また、このハンドル10の一方のハンドル
部材15aにはストッパ18が他方のハンドル部材15
b側に向けて突設されている。そして、このハンドル1
0の閉操作時には図2中に仮想線で示すようにハンドル
部材15aのストッパ18がハンドル部材15bに突き
当たることにより、このハンドル10の閉操作が規制さ
れ、この状態が全閉位置に設定されている。
【0018】さらに、ハンドル10のハンドル部材15
aにはポテンショメータ19が取付けられている。そし
て、このポテンショメータ19によってハンドル10の
開閉角度が検出されるようになっている。
【0019】また、マスターマニピュレータ3aの支持
機構部11はパンタグラフ機構を複数組み合わせて構成
された多自由度マニピュレータによって形成されてい
る。ここで、出力節であるトッププレート12には、3
つのパンタグラフと3つの回転対偶軸とが取付けられて
いる。なお、各パンダグラフ、対偶軸には、図示しない
エンコーダが取付けられている。そして、このエンコー
ダによってハンドル10の操作を検出する検出手段が形
成されている。さらに、マスターマニピュレータ3には
このマスターマニピュレータ3を操作不能なロック状態
と、このマスターマニピュレータ3の操作が可能なロッ
ク解除状態とに切換える例えば電磁ロック式の図示しな
いロック機構部が組込まれている。
【0020】また、マスターマニピュレータ3にはこの
マスターマニピュレータ3の操作を電気信号に変換する
マスター制御部20が接続されている。このマスター制
御部20にはマスターマニピュレータ3のポテンショメ
ータ19および支持機構部11のエンコーダなどの位置
検出装置21と、例えば位置計算用のコンピュータによ
って形成される演算回路22とが設けられている。そし
て、位置検出装置21による左右のマスターマニピュレ
ータ3a,3bの操作状態の検出データ(L検出信号、
R検出信号)は演算回路22に入力され、この演算回路
22で位置計算されてマスターマニピュレータ3のハン
ドル10の操作状態や、ハンドル10の開閉状態などの
データが算出されるようになっている。
【0021】さらに、このマスター制御部20にはマス
ターマニピュレータ3の入力切替え用の入力切替え手段
23が接続されている。この入力切替え手段23は例え
ばフットスイッチであり、2つのペダル23a,23b
が設けられている。そして、一方のペダル23aによっ
てマスターマニピュレータ3のロック状態と、ロック解
除状態とを切換えるロック状態の切換え操作部、他方の
ペダル23bによって移動用クラッチの切換え操作部が
それぞれ形成されている。
【0022】なお、マスターマニピュレータ3を操作す
る術者の近傍位置にはモニター24が配置されている。
そして、このモニター24に表示される表示画面を見な
がらマスターマニピュレータ3の操作が行われるように
なっている。
【0023】また、スレーブマニピュレータ2にはマス
ターマニピュレータ3の操作に追従した動きをスレーブ
マニピュレータ2に伝達する制御信号を出力するスレー
ブ制御部25が接続されている。このスレーブ制御部2
5にはスレーブマニピュレータ2のスレーブ駆動部6に
組込まれている複数の駆動モータ26を制御するモータ
駆動回路27と、例えばスレーブマニピュレータ制御用
のコンピュータによって形成される演算回路28とが設
けられている。
【0024】さらに、スレーブ制御部25の演算回路2
8とマスター制御部20の演算回路22との間は例えば
光ファイバーケーブルなどの通信手段29を介して接続
されている。そして、スレーブ制御部25ではマスター
制御部20から送られるマスターマニピュレータ3の操
作に追従した動きをスレーブマニピュレータ2に伝達す
る制御信号を出力するようになっている。
【0025】また、図6(A)は本実施の形態のマニピ
ュレータ制御装置1におけるマスターマニピュレータ3
の動作範囲Aと、スレーブマニピュレータ2の動作範囲
Bとをそれぞれ示すものである。ここで、マスターマニ
ピュレータ3の動作範囲Aよりもスレーブマニピュレー
タ2の動作範囲Bの方が大きくなるように設定されてい
る。
【0026】前述の入力切替え手段23のペダル23b
を操作することにより、スレーブマニピュレータ2の動
作範囲Bに対応するマスターマニピュレータ3の動作範
囲Aを図6(B)に示すように複数段(A1、A2、A
3)に切換えるものである。ここで、マスターマニピュ
レータ3の1段目の動作範囲A1の中央位置には原点O
M が設定されている。
【0027】さらに、マスター制御部20の演算回路2
2にはスレーブマニピュレータ2の動作範囲拡張手段が
内蔵されている。この動作範囲拡張手段はマスターマニ
ピュレータ3の動作時にマスターマニピュレータ3の動
作範囲の限界位置の近傍位置でペダル23bを切換え操
作することにより、マスターマニピュレータ3の1段目
の動作範囲A1を越えた拡張領域A2、A3内でマスタ
ーマニピュレータ3によるスレーブマニピュレータ2の
動作制御を可能にするものである。
【0028】次に、上記構成の作用について説明する。
本実施の形態のマニピュレータ制御装置1の使用時に
は、マスターマニピュレータ3が術者が操作できる領域
内に設置される。さらに、スレーブマニピュレータ2は
術野にアクセスするように設置される。例えば、図4に
示すように予め診断・処置等の手術を行う患者の腹壁等
の体壁Hに図示しないトロッカーによって穴を開け、こ
の穴に刺入されたトロッカー外套管内にスレーブマニピ
ュレータ2の挿入部4が挿入され、このトロッカー外套
管内を通じてスレーブマニピュレータ2の挿入部4が経
皮的に体腔内に挿入された状態にセットされる。このと
き、マスターマニピュレータ3を操作する術者の近傍位
置のモニター24にはスレーブマニピュレータ2とは別
の場所から経皮的に体腔内に挿入された内視鏡による術
野の内視鏡像、或いはコンピュータグラフィック装置に
よって合成された術野のコンピュータグラフィック画像
(CG画像)などが表示される。
【0029】また、スレーブマニピュレータ2およびマ
スターマニピュレータ3のセット後、これらのスレーブ
マニピュレータ2およびマスターマニピュレータ3の原
点(0点)位置を対応させるキャリブレーション動作が
行われる。このキャリブレーション動作時には入力切替
え手段23のペダル23aを踏むことにより、マスター
マニピュレータ3のロックが解除され、マスターマニピ
ュレータ3の左右のマスターマニピュレータ3a,3b
が図2中で、X軸方向(左右方向)、Y軸方向(上下方
向)、Z軸方向(前後方向)にそれぞれ移動可能、かつ
Z軸の軸回り方向に回動可能な状態にそれぞれ切換えら
れるとともに、左右のマスターマニピュレータ3a,3
bの2つのハンドル部材15a,15b間が開閉動作可
能な状態にそれぞれ切換えられる。
【0030】この状態で、マスターマニピュレータ3の
左右のマスターマニピュレータ3a,3bが任意の位置
に移動され、左右のマスターマニピュレータ3a,3b
の原点(0点)位置が設定される。
【0031】その後、スレーブマニピュレータ2におけ
る2つのスレーブマニピュレータ2a,2bのスレーブ
駆動部6内の図示しないマニピュレータ本体駆動ユニッ
トおよび先端把持部駆動ユニットが駆動される。これに
より、マニピュレータ本体5が図3中で、X軸方向(左
右方向)、Y軸方向(上下方向)、Z軸方向(前後方
向)にそれぞれ移動され、かつZ軸の軸回り方向に回動
駆動されて予め設定された左右のスレーブマニピュレー
タ2a,2bの原点(0点)位置に移動される。このと
き、スレーブマニピュレータ2a,2bの移動範囲が予
め決められた適正範囲でない場合は、警告表示等を行い
異常を操作者に告知を行っている。
【0032】さらに、このキャリブレーション動作の終
了後、本実施の形態のマニピュレータ制御装置1による
診断・処置等の手術が開始される。この手術時には術者
はモニター24に表示される術野の内視鏡像、或いはC
G画像の画面を見ながらマスターマニピュレータ3の左
右のマスターマニピュレータ3a,3bがそれぞれ操作
される。このとき、左側マスターマニピュレータ3aの
ハンドル10が術者の左手、右側マスターマニピュレー
タ3bのハンドル10が術者の右手で握られた状態でそ
れぞれ操作され、左側マスターマニピュレータ3aによ
って左側スレーブマニピュレータ2a、右側マスターマ
ニピュレータ3bによって右側スレーブマニピュレータ
2bがそれぞれ独立に遠隔操作される。
【0033】例えば、左側マスターマニピュレータ3a
のハンドル10を図2中で、X軸方向(左右方向)、Y
軸方向(上下方向)、Z軸方向(前後方向)にそれぞれ
移動させ、かつZ軸の軸回り方向に回動させた場合には
このときのマスターマニピュレータ3aの動作がマスタ
ー制御部20の位置検出装置21で検出される。この位
置検出装置21からの検出データは演算回路22に入力
される。このとき、マスターマニピュレータ3のポテン
ショメータ19および支持機構部11のエンコーダなど
の位置検出装置21で得られたマスターマニピュレータ
3のハンドル10の開閉角度や、ハンドル10のX軸方
向、Y軸方向、Z軸方向の各移動量や、Z軸の軸回り方
向の回動角度などのマスターマニピュレータ3の可動部
の位置・姿勢などの操作情報の検出信号であるアナログ
出力は演算回路22のA/D変換器30によって例えば
256階調のデジタル出力の制御信号に変換されてCP
U33に入力される。そして、この演算回路22のCP
U33で位置計算されてマスターマニピュレータ3のハ
ンドル10の操作状態や、ハンドル10の開閉状態など
のデータが算出される。
【0034】さらに、マスター制御部20の演算回路2
2で位置計算された算出データは光ファイバーケーブル
などの通信手段29を介してスレーブ制御部25に送信
される。ここで、マスターマニピュレータ3のハンドル
10のX軸方向、Y軸方向、Z軸方向の各移動量の検出
データは伝達倍率変換手段41で設定されている変換倍
率になるようにCPU33内の図示しない伝達倍率変換
回路によって任意の伝達倍率に変換されてスレーブ制御
部25に伝送され、ハンドル10の開閉角度の検出デー
タは1:1でスレーブ制御部25に伝送される。
【0035】また、スレーブ制御部25では受信された
制御信号にもとづいて演算回路28によってスレーブ駆
動部6に組込まれているモータ駆動回路27の複数の駆
動モータ26を制御する制御信号が算出される。そし
て、このスレーブ制御部25から出力される制御信号が
左側スレーブマニピュレータ2aに伝達され、左側スレ
ーブマニピュレータ2aが遠隔的に操作される。このと
き、左側スレーブマニピュレータ2aは左側マスターマ
ニピュレータ3aのハンドル10の動きに追従して動
く。なお、右側マスターマニピュレータ3bの操作時に
も同様の作用によって右側スレーブマニピュレータ2b
の動作が制御され、右側マスターマニピュレータ3bの
操作に追従して右側スレーブマニピュレータ2bが動く
ようになっている。
【0036】また、本実施の形態のマニピュレータ制御
装置1ではマスターマニピュレータ3の動作中、マスタ
ー制御部20の動作範囲拡張手段によってマスターマニ
ピュレータ3の動作範囲の限界位置の近傍位置でペダル
23bを切換え操作することにより、マスターマニピュ
レータ3の1段目の動作範囲A1を越えた拡張領域A
2、A3内でマスターマニピュレータ3によるスレーブ
マニピュレータ2の動作制御を可能にする動作範囲拡張
操作が図5に示すフローチャートにしたがって次のよう
に行われる。
【0037】まず、ステップS1で、マスターマニピュ
レータ3の位置検出が行われる。続いて、次のステップ
S2では、マスターマニピュレータ3の現在位置が1段
目の動作範囲A1内か、否かが判断される。ここで、マ
スターマニピュレータ3の現在位置が1段目の動作範囲
A1内の場合にはステップS1に戻される。
【0038】そして、ステップS2で、マスターマニピ
ュレータ3の現在位置が1段目の動作範囲A1内ではな
い状態、すなわちマスターマニピュレータ3が1段目の
動作範囲A1の限界位置に達したと判断された場合には
次のステップS3に進む。このステップS3では、スレ
ーブマニピュレータ2の動作が停止される。
【0039】その後、次のステップS4では、ペダル2
3bによる切換え操作が行われた(オン状態)か、否か
が判断される。ここで、ペダル23bがオフ状態である
と判断された場合にはステップS3に戻される。
【0040】また、ステップS4で、ペダル23bがオ
ン状態であると判断された場合には次のステップS5に
進む。このステップS5では、マスターマニピュレータ
3の動作データがキャンセルされるとともに、マスター
マニピュレータ3が原点OM 位置に戻される。
【0041】続いて、次のステップS6では、マスター
マニピュレータ3が原点OM 位置か、否かが判断され
る。ここで、マスターマニピュレータ3が原点OM
置ではないと判断された場合にはステップS5に戻され
る。
【0042】また、ステップS6で、マスターマニピュ
レータ3が原点OM 位置と判断された場合には次のス
テップS7に進み、マスターマニピュレータ3の操作が
再開される。このとき、マスターマニピュレータ3は1
段目の動作範囲A1の次の段階の動作範囲A2、または
A3で操作される。そのため、この状態ではマスターマ
ニピュレータ3の1段目の動作範囲A1を越えた拡張領
域の動作範囲A2、またはA3内でマスターマニピュレ
ータ3によるスレーブマニピュレータ2の動作制御が可
能となる。
【0043】以上の動作範囲拡張操作を、X軸,Y軸,
Z軸のそれぞれで行なうことにより、スレーブマニピュ
レータ2をこのスレーブマニピュレータ2の機械的な動
作限界まで動かすことが可能となる。
【0044】そこで、上記構成のものにあっては次の効
果を奏する。すなわち、本実施の形態ではマスター制御
部20にスレーブマニピュレータ2の動作範囲Bに対応
するマスターマニピュレータ3の動作範囲Aを図6
(B)に示すように複数段(A1、A2、A3)に切換
える入力切換え手段23を接続するとともに、マスター
制御部20の演算回路22にはマスターマニピュレータ
3の動作時にマスターマニピュレータ3の動作範囲の限
界位置の近傍位置で入力切換え手段23を切換え操作す
ることにより、マスターマニピュレータ3の1段目の動
作範囲A1を越えた拡張領域の動作範囲A2、A3内で
マスターマニピュレータ3によるスレーブマニピュレー
タ2の動作制御を可能にするスレーブマニピュレータ2
の動作範囲拡張手段を内蔵させたものである。そのた
め、マスターマニピュレータ3の操作中に1段目の動作
範囲A1の動作限界がきた時点で、入力切換え手段23
を用いてマスター制御部20からスレーブ制御部25へ
のデータ送信をキャンセルし、マスターマニピュレータ
3を動ける位置に戻してやる。この作業により、マスタ
ーマニピュレータ3の可動範囲が1段目の動作範囲A1
からこの1段目の動作範囲A1を越えた拡張領域の動作
範囲A2、またはA1からA3へと拡張させることがで
き、スレーブマニピュレータ2の動作範囲Bの全体をマ
スターマニピュレータ3の複数段の動作範囲A1、A
2、A3で網羅することができる。またA2からA3へ
の動作範囲の変更では伝達倍率変換手段41の倍率変換
を例えば1:5から1:2に切り替えることにより、A
2からA3へ直ちに変換される。したがって、マスター
マニピュレータ3の機械的な動作範囲の限界に制限され
ることなくスレーブマニピュレータ2を広域で効率よく
動作させることができる。
【0045】また、図7乃至図10(A),(B)は本
発明の第2の実施の形態を示すものである。本実施の形
態は第1の実施の形態(図1乃至図6(A),(B)参
照)のマニピュレータ制御装置1におけるマスター制御
部20の構成を次の通り変更したものである。
【0046】すなわち、本実施の形態では図7に示すよ
うにマスター制御部20内に制御部51と、グラフィッ
クボード52と、位置計算処理部53と、CG処理部5
4と、ミキサー55とが設けられている。ここで、制御
部51には入力切替え手段23と、グラフィックボード
52と、位置計算処理部53とがそれぞれ接続されてい
る。
【0047】さらに、グラフィックボード52の入力端
には内視鏡などのスコープ56に接続されたCCU57
の出力端が接続されている。また、ミキサー55には2
つの入力端と1つの出力端とが設けられている。そし
て、ミキサー55の一方の入力端にはグラフィックボー
ド52の出力端が接続されている。
【0048】また、位置計算処理部53にはCG処理部
54と、スレーブ制御部25が接続されている。さら
に、CG処理部54はミキサー55の他方の入力端に接
続されている。このミキサー55の出力端にはモニター
24が接続されている。
【0049】次に、上記構成の作用について説明する。
本実施の形態ではマスターマニピュレータ3の左右のマ
スターマニピュレータ3a,3bの操作時には図9
(A)に示すように操作者用モニター24に映っている
左右のスレーブマニピュレータ2a,2bの画像を見な
がら行なう。
【0050】図9(B)は左右のマスターマニピュレー
タ3a,3bを操作している間にR(右)側のスレーブ
マニピュレータ2bが操作者用モニター24の画面内か
ら外れた部分に移動してしまった状態を示すものであ
る。この状態では操作者はR(右)側のスレーブマニピ
ュレータ2bがどこにあるか、認識できないので、左右
のマスターマニピュレータ3a,3bが非常に操作し難
いものとなる。
【0051】そこで、図10に示すように操作者用モニ
ター24の画面上に、この画面全体の大部分に表示され
る第1の画像表示部58と、この第1の画像表示部58
内に局部的に子画面として同時にスーパーインポーズで
表示される第2の画像表示部59とを設け、第1の画像
表示部58に表示マニピュレータである左右のスレーブ
マニピュレータ2a,2bを表示させるとともに、第2
の画像表示部59には表示マニピュレータである左右の
スレーブマニピュレータ2a,2bの動作範囲全体にお
けるこの表示マニピュレータ2a,2bの現在位置とな
る指標60、61を同時にスーパーインポーズで表示す
るようになっている。なお、第2の画像表示部59には
スレーブマニピュレータ2のすべての動作範囲をモニタ
できるような3次元グラフィック等の表示を映し出すよ
うになっている。
【0052】図8はこの操作者用モニター24の画面切
換え動作を説明するためのフローチャートである。本実
施の形態のマニピュレータ制御装置1の使用時には、ま
ずステップS11で、左右のスレーブマニピュレータ2
a,2bのキャリブレーション動作が完了しているか、
否かが判断される。ここで、キャリブレーション動作が
完了していない場合にはステップS11に戻される。ま
た、ステップS11でキャリブレーション動作が完了し
ていると判断された場合には次のステップS12に進
む。
【0053】このステップS12では、スーパーインポ
ーズがオンされているか、否かが判断される。ここで、
スーパーインポーズがオンされている場合には次のステ
ップS13に進む。このステップS13では図10
(A)に示すようにモニター24の子画面である第2の
画像表示部59に表示マニピュレータ2a,2bの現在
位置となる指標60、61が同時にスーパーインポーズ
で表示される。
【0054】なお、ステップS12で、スーパーインポ
ーズがオンされていない場合には次のステップS14
で、モニター24の画面全体の大部分である第1の画像
表示部58の画面上に、スコープ56による観察画像の
みが表示され、その状態でマスタースレーブシステムを
操作する。その後、ステップS12に戻される。
【0055】また、ステップS13で、モニター24の
子画面である第2の画像表示部59に表示マニピュレー
タ2a,2bの現在位置となる指標60、61が同時に
スーパーインポーズで表示されたのち、次のステップS
15で、スレーブマニピュレータ2の位置が動いている
か、否かが判断される。ここで、スレーブマニピュレー
タ2の位置が動いていないと判断された場合にはステッ
プS15に戻される。
【0056】また、ステップS15で、スレーブマニピ
ュレータ2の位置が動いたと判断された場合には次のス
テップS16に進む。このとき、スレーブマニピュレー
タ2の位置データが更新され、CGがモニター24の第
2の画像表示部59の画面に反映される。これにより、
スレーブマニピュレータ2の現在位置がわかり、マスタ
ーマニピュレータ3側から送られてくる位置情報を利用
してスレーブマニピュレータ2のすべての動作範囲をモ
ニタできるような3次元グラフィック等の表示を映し出
す。この時、グラフィックにおけるスレーブマニピュレ
ータ2の左側と右側の表示を違う色で示すことにより、
操作者はスレーブマニピュレータ2の左、右を間違える
ことなく確認できる。
【0057】そこで、本実施の形態ではマスターマニピ
ュレータ3の操作者用モニター24の画面上で、スレー
ブマニピュレータ2が映らない場所に移動しても、操作
者はマスター操作者用モニター24の画面上にあるスレ
ーブマニピュレータ2の現在位置表示手段を見ることに
よりスレーブマニピュレータ2の現在位置を知ることが
でき、操作者は思った通りにスレーブマニピュレータ2
を操作することができる。
【0058】また、図11乃至図13(A),(B)は
本発明の第3の実施の形態を示すものである。本実施の
形態は第2の実施の形態(図7乃至図10(A),
(B)参照)のマスター制御部20の構成をさらに次の
通り変更したものである。
【0059】すなわち、本実施の形態では図11に示す
ようにマスター制御部20内の位置計算処理部53にマ
スターマニピュレータ3の位置検出装置21を接続した
ものである。そして、本実施の形態では図13(A)に
示すようにモニター24の第1の画像表示部58に表示
マニピュレータである左右のスレーブマニピュレータ2
a,2bを表示させるとともに、モニター24の子画面
である第2の画像表示部59には左右のマスターマニピ
ュレータ3a,3bの現在位置となる指標63、64を
同時にスーパーインポーズで表示するようになってい
る。
【0060】また、図12はこの操作者用モニター24
の画面切換え動作を説明するためのフローチャートであ
る。なお、本実施の形態のマニピュレータ制御装置1の
使用時には、操作者用モニター24の第1の画像表示部
58には表示マニピュレータである左右のスレーブマニ
ピュレータ2a,2bが既に表示されている。この状態
で、まずステップS21で、左右のマスターマニピュレ
ータ3a,3bのキャリブレーション動作が完了してい
るか、否かが判断される。ここで、キャリブレーション
動作が完了していない場合にはステップS21に戻され
る。また、ステップS21でキャリブレーション動作が
完了していると判断された場合には次のステップS22
に進む。
【0061】このステップS22では、スーパーインポ
ーズがオンされているか、否かが判断される。ここで、
スーパーインポーズがオンされている場合には次のステ
ップS23に進む。このステップS23では図13
(A)に示すようにモニター24の子画面である第2の
画像表示部59に左右のマスターマニピュレータ3a,
3bの現在位置となる指標63、64が同時にスーパー
インポーズで表示される。
【0062】なお、ステップS22で、スーパーインポ
ーズがオンされていない場合には次のステップS24
で、モニター24の画面全体の大部分である第1の画像
表示部58の画面上に、スコープ56による観察画像の
みが表示され、その状態でマスタースレーブシステムを
操作する。その後、ステップS22に戻される。
【0063】また、ステップS23で、モニター24の
子画面である第2の画像表示部59に左右のマスターマ
ニピュレータ3a,3bの現在位置となる指標63、6
4が同時にスーパーインポーズで表示されたのち、次の
ステップS25で、フットスイッチのペダル23bがオ
ンされたか、否かが判断される。ここで、フットスイッ
チのペダル23bがオンされたと判断された場合には次
のステップS26に進む。このステップS26では左右
のマスターマニピュレータ3a,3bの位置データが更
新され、第2の画像表示部59に表示される現在位置と
なる指標63、64のCGがモニター24の画面に反映
される。例えば、(X,Y,Z)が3次元表示のCG処
理に必要なマスターマニピュレータ3a,3bの座標、
(X0,Y0,Z0)が左右のマスターマニピュレータ
3a,3bの原点位置、A,B,Cがそれぞれの移動量
である場合、フットスイッチのペダル23bがオンされ
たときの移動量はX0+A,Y0+B,Z0+Cとな
り、これが蓄積される。これにより、左右のマスターマ
ニピュレータ3a,3bの現在位置がわかる。
【0064】なお、ステップS25で、フットスイッチ
のペダル23bがオンされていないと判断された場合に
はステップS25の直前に戻る。
【0065】また、ステップS26の処理の後、次のス
テップS28に進む。このステップS28ではフットス
イッチのペダル23bがオフされたか、否かが判断され
る。ここで、フットスイッチのペダル23bがオフされ
たと判断された場合には次のステップS29に進む。こ
のステップS29では左右のマスターマニピュレータ3
a,3bの位置データがキャンセルされ、第2の画像表
示部59に表示される現在位置となる指標63、64の
CGがモニター24の画面に反映しない。なお、ステッ
プS28で、フットスイッチのペダル23bがオフされ
たと判断されない場合にはステップS26に戻される。
【0066】そこで、本実施の形態では左右のマスター
マニピュレータ3a,3bの移動操作量をモニター24
の子画面である第2の画像表示部59にスーパーインポ
ーズで表示させることができる。ここで、例えば図13
(B)に示すように第2の画像表示部59に表示されて
いる左側のマスターマニピュレータ3aの指標63を赤
い円で示し、右側のマスターマニピュレータ3bの指標
64を青い円で示す。これにより、モニター24のスー
パーインポーズの子画面である第2の画像表示部59を
目視することにより、操作者は左右のマスターマニピュ
レータ3a,3bの現在位置が左右のマスターマニピュ
レータ3a,3bの原点位置(X0,Y0,Z0)から
どれだけ動かした状態(離れた状態)かを簡単に確認す
ることができる。そして、モニター24の第2の画像表
示部59内の2つの指標63,64を原点に戻す方向に
操作することにより、スレーブマニピュレータ2a,2
bを初期位置に戻すことができる。
【0067】したがって、本実施の形態ではスレーブマ
ニピュレータ2a,2bの操作時にスレーブマニピュレ
ータ2a,2bの移動量が大きくなり、スレーブマニピ
ュレータ2a,2bの少なくとも一方がモニター24の
画面内から外れ、操作者が見失った場合でもモニター2
4の第2の画像表示部59内の2つの指標63,64の
位置を確認しながら左右のマスターマニピュレータ3
a,3bを操作することにより、モニター24の画面内
から外れたスレーブマニピュレータ2a、または2bを
簡単にモニター24の画面内に戻すことができる。
【0068】また、図14および図15は本発明の第4
の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第3の
実施の形態(図11乃至図13(A),(B)参照)の
マスター制御部20の構成をさらに次の通り変更したも
のである。
【0069】すなわち、本実施の形態では図14に示す
ようにマスターマニピュレータ3に倍率変換スイッチ7
1を設け、マスターマニピュレータ3の操作時にこの倍
率変換スイッチ71によって移動倍率を切換えることに
より、すばやくスレーブマニピュレータ2a,2bを移
動させることができるようにしたものである。
【0070】また、図15は本実施の形態の操作者用モ
ニター24の画面切換え動作を説明するためのフローチ
ャートの要部である。なお、本実施の形態では第3の実
施の形態のフローチャート(図12参照)の一部(ステ
ップS26とステップS28との間の処理)が図15の
通り変更されたもので、残りの部分は図12のフローチ
ャートと同じである。そこで、ここではこの変更部分の
処理について説明する。
【0071】すなわち、本実施の形態ではステップS2
6での処理の後、次のステップS31に進む。このステ
ップS31では倍率変換スイッチ71がオンされたか、
否かが判断される。ここで、倍率変換スイッチ71がオ
ンされたと判断された場合には次のステップS32に進
む。このステップS32ではスレーブマニピュレータ2
a,2bの移動倍率をアップする操作が行われる。その
後、ステップS28に進む。なお、ステップS31で、
倍率変換スイッチ71がオンされていないと判断されな
い場合にはそのままステップS28に進む。
【0072】そこで、上記構成のものにあっては次の効
果を奏する。すなわち、本実施の形態ではマスターマニ
ピュレータ3に倍率変換スイッチ71を設けたので、マ
スターマニピュレータ3の操作時にこの倍率変換スイッ
チ71によって移動倍率を切換えることにより、すばや
くスレーブマニピュレータ2a,2bを移動させること
ができる。また、移動倍率の切換え時には操作者用モニ
ター24の画面も同時に切換えることにより、操作の安
全性を高めることができる。
【0073】さらに、本発明は上記実施の形態に限定さ
れるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種
々変形実施できることは勿論である。次に、本出願の他
の特徴的な技術事項を下記の通り付記する。 記 (付記項1) マスタースレーブ装置において、マスタ
ーマニピュレータのメカ的可動限界範囲に依存せず、ス
レーブマニピュレータを広域で動作させる手段を備えた
マスタースレーブ装置。
【0074】(付記項2) マスタースレーブ装置にお
いて、マスター操作者が見るモニター画面上にスレーブ
の実映像のみでなくスレーブの現在位置を表わす表示手
段を備えたマスタースレーブ装置。
【0075】(付記項3) 前記表示手段は、前記モニ
ターの表示画面内の一部にスーパーインポーズされた子
画面表示部によって形成され、前記表示画面内にスレー
ブの実映像、前記子画面表示部に前記スレーブの現在位
置を表わす指標がそれぞれ表示されるものであることを
特徴とする付記項2のマスタースレーブ装置。
【0076】(付記項4) 前記子画面表示部は、左右
のスレーブマニピュレータを異なる色で識別して表示す
る色表示手段を備えていることを特徴とする付記項3の
マスタースレーブ装置。
【0077】(付記項5) 前記子画面表示部は、左右
のスレーブマニピュレータの動作範囲の切換え状態を表
示する切換え状態表示手段を備えていることを特徴とす
る付記項3のマスタースレーブ装置。
【0078】(付記項6) 前記マスターマニピュレー
タの動作範囲を複数段に切換え、前記マスターマニピュ
レータの1段目の動作範囲を越えた広域の動作範囲で前
記スレーブマニピュレータを動作させている状態で、前
記スレーブマニピュレータを原点位置に戻す際に、前記
子画面表示部に表示される前記スレーブマニピュレータ
の表示画面を任意の高倍率に表示倍率を高める表示倍率
変更手段を備えていることを特徴とする付記項3のマス
タースレーブ装置。
【0079】(付記項1、2の従来技術) 手術用マニ
ピュレータシステムが、米国特許第5,217,003
号や、特開平7−328016号公報などに示されてい
る。
【0080】(付記項1が解決しようとする課題) 従
来の技術では、マスターマニピュレータの可動範囲に限
界が来ると、その時点でスレーブマニピュレータも動作
が停止してしまう。
【0081】(付記項2が解決しようとする課題) ま
た、スレーブマニピュレータの位置によっては、マスタ
ーマニピュレータ操作者順のモニタ上でスレーブマニピ
ュレータの映像がモニタ範囲外に出てしまい実映像だけ
ではスレーブマニピュレータの位置が分からず、操作し
ずらくなっていた。
【0082】(付記項1、2の目的) マスターマニピ
ュレータのメカ的可動限界範囲に依存せずスレーブマニ
ピュレータを広域で動作させることと、前記スレーブマ
ニピュレータの位置をマスター操作者に認識させること
のできるマスタースレーブシステムの提供。
【0083】(付記項1の効果) マスターマニピュレ
ータのメカ的可動限界範囲に依存せずスレーブを広域で
動作させることが可能。
【0084】(付記項2の効果) マスター操作者用モ
ニターの画面上で、スレーブが映らなくなってしまうと
ころに移動してしまっても、操作者はマスター操作者用
モニター画面上にあるスレーブの現在位置表示手段を見
ることによりスレーブの現在位置を知ることができ、操
作者は思った通りにマスタースレーブ装置を操作するこ
とができる。
【0085】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、マスターマニ
ピュレータの動作時にマスターマニピュレータの動作範
囲の限界位置の近傍位置で切換え手段を切換え操作する
ことにより、マスターマニピュレータの1段目の動作範
囲を越えた拡張領域内でマスターマニピュレータによる
スレーブマニピュレータの動作制御を可能にするように
したので、マスターマニピュレータの機械的な動作範囲
の限界に制限されることなくスレーブマニピュレータを
広域で効率よく動作させることができる。
【0086】請求項2の発明によれば、マスターマニピ
ュレータの動作時にマスターマニピュレータの動作範囲
の限界位置の近傍位置で切換え手段を切換え操作するこ
とにより、スレーブマニピュレータの動作範囲拡張手段
によってマスターマニピュレータの1段目の動作範囲を
越えた拡張領域内でマスターマニピュレータによるスレ
ーブマニピュレータの動作制御を可能にしたので、マス
ターマニピュレータの機械的な動作範囲の限界に制限さ
れることなくスレーブマニピュレータを広域で効率よく
動作させることができる。さらに、スレーブマニピュレ
ータまたはマスターマニピュレータの動作状態を表示す
る表示手段の第1の画像表示部にスレーブマニピュレー
タまたはマスターマニピュレータの動作状態を表示する
とともに、この第1の画像表示部と同時に表示可能な第
2の画像表示部に第1の画像表示部に表示されている表
示マニピュレータの動作範囲全体における表示マニピュ
レータの現在位置となる指標を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態におけるマニピュ
レータ制御装置のシステム全体の概略構成図。
【図2】 第1の実施の形態のマニピュレータ制御装置
におけるマスターマニピュレータの操作部を一部断面に
して示す側面図。
【図3】 第1の実施の形態のマニピュレータ制御装置
におけるスレーブマニピュレータの先端把持部を示す要
部の斜視図。
【図4】 第1の実施の形態のマニピュレータ制御装置
の使用状態を示す全体の概略構成図。
【図5】 第1の実施の形態のマニピュレータ制御装置
におけるモニターの画面切換え動作を説明するためのフ
ローチャート。
【図6】 (A)は第1の実施の形態のマニピュレータ
制御装置におけるマスターマニピュレータの動作範囲と
スレーブマニピュレータの動作範囲とを説明するための
説明図、(B)はマスターマニピュレータの動作範囲の
切換え動作を説明するための説明図。
【図7】 本発明の第2の実施の形態のマニピュレータ
制御装置におけるマスター制御部の概略構成図。
【図8】 第2の実施の形態のマニピュレータ制御装置
におけるモニターの画面切換え動作を説明するためのフ
ローチャート。
【図9】 第2の実施の形態のマニピュレータ制御装置
におけるモニターの表示画面を示すもので、(A)はモ
ニターの画面内に左右のスレーブマニピュレータが両方
とも表示されている状態を示す平面図、(B)は右側の
スレーブマニピュレータがモニターの画面から外れてい
る状態を示す平面図。
【図10】 (A)は第2の実施の形態のマニピュレー
タ制御装置におけるモニターに子画面がスーパーインポ
ーズされている状態を示す平面図、(B)はスーパーイ
ンポーズ画面を示す平面図。
【図11】 本発明の第3の実施の形態のマニピュレー
タ制御装置におけるマスター制御部の概略構成図。
【図12】 第3の実施の形態のマニピュレータ制御装
置におけるモニターの画面切換え動作を説明するための
フローチャート。
【図13】 (A)は第3の実施の形態のマニピュレー
タ制御装置におけるモニターに子画面がスーパーインポ
ーズされている状態を示す平面図、(B)はスーパーイ
ンポーズ画面を示す平面図。
【図14】 本発明の第4の実施の形態のマニピュレー
タ制御装置におけるマスター制御部の概略構成図。
【図15】 第4の実施の形態のマニピュレータ制御装
置におけるモニターの画面切換え動作を説明するための
フローチャート。
【図16】 従来の手術用マニピュレータシステムの概
略構成図。
【符号の説明】
2 スレーブマニピュレータ 3 マスターマニピュレータ 20 マスター制御部 25 スレーブ制御部 28 演算回路 41 入力切換え装置(切換え手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 裕史 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内 (72)発明者 関 敬一 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内 Fターム(参考) 3F059 AA10 BC02 CA08 DA08 DB01 DB05 DD01 EA05 FA03 FA05 FB12 FB22 FC01

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 術野にアクセスするように設置されたス
    レーブマニピュレータと、 術者が操作できる領域内に設置され、前記スレーブマニ
    ピュレータを遠隔的に操作するマスターマニピュレータ
    と、 このマスターマニピュレータに接続され、前記マスター
    マニピュレータの操作を電気信号に変換するマスター制
    御部と、 前記スレーブマニピュレータおよび前記マスター制御部
    にそれぞれ接続され、前記マスター制御部から送られる
    前記マスターマニピュレータの操作に追従した動きを前
    記スレーブマニピュレータに伝達する制御信号を出力す
    るスレーブ制御部と、 前記スレーブマニピュレータの動作範囲に対応する前記
    マスターマニピュレータの動作範囲を複数段に切換える
    切換え手段と、 前記マスターマニピュレータの動作時に前記マスターマ
    ニピュレータの動作範囲の限界位置の近傍位置で前記切
    換え手段を切換え操作することにより、前記マスターマ
    ニピュレータの1段目の動作範囲を越えた拡張領域内で
    前記マスターマニピュレータによる前記スレーブマニピ
    ュレータの動作制御を可能にする前記スレーブマニピュ
    レータの動作範囲拡張手段とを具備したことを特徴とす
    るマニピュレータ制御装置。
  2. 【請求項2】 術野にアクセスするように設置されたス
    レーブマニピュレータと、 術者が操作できる領域内に設置され、前記スレーブマニ
    ピュレータを遠隔的に操作するマスターマニピュレータ
    と、 このマスターマニピュレータに接続され、前記マスター
    マニピュレータの操作を電気信号に変換するマスター制
    御部と、 前記スレーブマニピュレータおよび前記マスター制御部
    にそれぞれ接続され、前記マスター制御部から送られる
    前記マスターマニピュレータの操作に追従した動きを前
    記スレーブマニピュレータに伝達する制御信号を出力す
    るスレーブ制御部と、 前記スレーブマニピュレータの動作範囲に対応する前記
    マスターマニピュレータの動作範囲を複数段に切換える
    切換え手段と、 前記マスターマニピュレータの動作時に前記マスターマ
    ニピュレータの動作範囲の限界位置の近傍位置で前記切
    換え手段を切換え操作することにより、前記マスターマ
    ニピュレータの1段目の動作範囲を越えた拡張領域内で
    前記マスターマニピュレータによる前記スレーブマニピ
    ュレータの動作制御を可能にする前記スレーブマニピュ
    レータの動作範囲拡張手段と、 前記スレーブマニピュレータまたは前記マスターマニピ
    ュレータの動作状態を表示する第1の画像表示部と、こ
    の第1の画像表示部に表示されている表示マニピュレー
    タの動作範囲全体における前記表示マニピュレータの現
    在位置となる指標を表示する第2の画像表示部とを同時
    に表示可能な表示手段とを具備したことを特徴とするマ
    ニピュレータ制御装置。
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