JP2001148647A - アンテナダイバーシティ方法とアンテナダイバーシティ装置 - Google Patents

アンテナダイバーシティ方法とアンテナダイバーシティ装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 OFDM変調されたダイバーシティ用データ
から効果的に最良の受信状態のアンテナを識別する。 【解決手段】 本発明においては、周波数特性評価法を
適用する。周波数特性評価法においては、OFDM方式
されて周波数軸上に複数のサブキャリアに分散している
ダイバーシティ用データのシンボルを、高速フーリエ変
換(FFT)回路214aで高速フーリエ変換処理し
て、有効なシンボルについてサブキャリアのエネルギー
を算出する。識別回路215aはサブキャリアのエネル
ギーがしきい値を越えている数を計数して、計数値の高
いアンテナを最良の受信状態にあるアンテナとして選択
する。さらに、受信電力強度評価法と上述した周波数特
性評価法とを組み合わせると、正確に最良の受信状態の
アンテナを選択できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は無線通信方法および
無線通信システムに関するものであり、特に、アンテナ
ダイバーシティ方式の無線通信システムとその方法に関
する。より特定的には、本発明は、直交周波数多重変調
(OFDM)された信号を受信した受信装置において、
OFDM信号から最良な受信状態のアンテナを決定する
方法と装置に関する。
【0002】本発明はさらに、アイソクロナス伝送(is
ochronous transfer、等時性伝送)において特定パター
ンのダミービットを挿入したOFDM変調したシンボル
を、データ伝送領域の剰余領域に挿入して伝送を行い、
その伝送特性を評価して最適なアンテナを決定するアン
テナダイバーシティ方式の無線通信システムとその方法
に関する。
【0003】本発明のアンテナダイバーシティ方式の無
線通信システムとその方法は、たとえば、複数の通信端
末を無線通信によって接続する無線LAN(Local Area
Network)システム、移動体通信システムなどに適用され
る。
【0004】
【従来の技術】複数のコンピュータを有線接続すること
によりLANを構築した有線LANシステムが知られて
いる。そのような有線LANシステムにおいては、複数
の伝送手段、たとえば、コンピュータ相互間でファイル
やデータの共有化を図り、電子メールやデータの転送を
相互に行うことができる。しかしながら、有線LANシ
ステムを構築する際には、複数のコンピュータ同士を接
続するために回避できない煩雑で高価格の布線工事が負
担となり、シンボル構成も複雑になる。そこで最近で
は、有線LANシステムから無線LANシステムに切り
換えることが試みられている。
【0005】そのような無線LANシステムにおいて
は、送信データを疑似雑音符号を用いた拡散符号、たと
えば、疑似乱数雑音符号(PN(Pseudorandom Noise)符
号)にを用いてスペクトラム拡散することにより生成し
た送信信号を用いて各通信端末同士のデータ通信を行う
ようにした方式、すなわち、スペクトラム拡散方式が提
案されている。
【0006】そのようなスペクトラム拡散方式を用いた
無線LANシステムは、送信信号にPN符号を乗算する
ことにより広帯域に拡散して電力密度の小さな電波によ
って送信する。その結果、送受信を行っている通信端末
以外の他の通信機器へ与える影響が少なく、PN符号を
用いて拡散及び逆拡散しているため他の通信機器からの
干渉を受け難いという利点がある。さらに、スペクトラ
ム拡散方式は、受信側で受信信号を復調する際に送信側
で用いられた拡散符号と同一系列パターンおよび同一位
相の拡散符号を受信信号に乗算して逆拡散処理を施さな
ければ復調できないので、秘話性に優れており盗聴防止
という観点からも利点がある。
【0007】スペクトラム拡散方式による無線LANシ
ステムは、複数の通信端末装置と、当該通信端末装置を
制御する通信制御端末装置とから構成されており、通信
制御端末装置は通信端末装置からそれぞれ所定距離だけ
離れた位置に設けられている。通信制御端末装置は、通
信端末装置との同期をとるために、フレームの先頭のタ
イミングで所定の符号系列パターンのPN符号を距離間
隔の異なる複数の通信端末装置にそれぞれ送信する。複
数の通信端末装置は、通信制御端末装置との距離に応じ
たそれぞれの遅延時間後にPN符号を受信する。
【0008】しかしながら、アイソクロナス伝送(等時
性伝送) を行っても、通信制御端末装置と通信端末装置
との距離に相違に基づく受信タイミングのずれが起こ
る。その結果、通信制御端末装置は、異なる距離に位置
する複数の通信端末装置から送られてくるパケットデー
タを受信するタイミングがそれぞれ異なり、受信タイミ
ングの誤差によって復調誤りが生じる。同様に、複数の
通信端末装置間でデータ通信を行う際にも、受信タイミ
ングの誤差によって同様の復調誤りが生じる。
【0009】このような問題を克服するため、本願の発
明者は、特願平10−237383号において、常時正
確に復調し得る無線通信方法及び無線通信システムを提
案している。その詳細は本発明の実施の形態と関連づけ
て詳述する。
【0010】ところで、上述した通信装置相互間の距離
る相違に基づく受信タイミングの相違に起因する復調誤
りを克服する前提としては、複数の通信端末装置のそれ
ぞれにおいて、および、通信制御端末装置において、受
信電波を正確に受信することが前提となる。しかしなが
ら、実際には、常に受信電波を良好な状態で受信できる
とは限らない。特に、移動体通信システムにおいては、
通信端末装置が移動することによりマルチパスなどの影
響により受信状態が大きく変動する。そのため、異なる
位置に複数のアンテナを配置し、一番、受信状態のよい
アンテナを選択して通信を行うアンテナダイバーシティ
方式が試みられている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】スペクトラム拡散方
式、OFDM方式に好適なアンテナダイバーシティ方式
が提案されていない。特に、OFDM方式によりダイバ
ーシティ用データを送出したとき、受信側でいかにその
ダイバーシティ用データの受信状態を評価する適切な方
法が提案されていない。
【0012】加えて、アンテナダイバーシティ方式にお
いて受信状態を評価するための基準信号を伝送すると、
その基準信号がデータ伝送領域を占有する分だけ、デー
タ伝送量が低下するという不具合がある。
【0013】本発明の目的は、OFDM方式でダイバー
シティ用データを送出したとき、せ適切に最適な受信状
態のアンテナを識別できるアンテナダイバーシティ方法
と装置を提供することにある。本発明の他の目的は、そ
のようなダイバーシティ用データを効果的に伝送し、そ
のダイバーシティ用データを受信して上記のごとく最適
なアンテナを識別可能なアンテナダイバーシティ方法と
装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の観点によ
れば、直交周波数多重変調により複数のサブキャリアに
変調されたダイバーシティ用データを信号を複数のアン
テナで受信し、上記複数のアンテナで受信した上記無線
送出されたダイバーシティ用データのそれぞれについ
て、逆周波数変換処理を行い上記サブキャリアのエネル
ギーを算出し、該算出したサブキャリアのエネルギーが
所定レベルを越えたサブキャリアの本数が多いアンテナ
を選択する、アンテナダイバーシティ方法が提供され
る。
【0015】すなわち、受信装置において、逆周波数変
換処理をしてサブキャリアのエネルギーを算出し、該算
出したサブキャリアのエネルギーが最大値を示したアン
テナを選択する。上記逆周波数変換処理は、好適には、
高速フーリエ変換処理である。
【0016】好適には、上記ダイバーシティ用データは
BPSKまたはQPSK変調されている。これにより、
サブキャリアの振幅低下が防止できる。
【0017】本発明の第2の観点によれば、複数のアン
テナで受信した上記無線送出されたダイバーシティ用デ
ータのそれぞれについて受信電界強度を算出し、複数の
アンテナで受信した上記無線送出されたダイバーシティ
用データのそれぞれについて、フーリエ変換を行い上記
サブキャリアのエネルギーを算出し、上記算出した受信
電力強度が第1レベルを越えており、かつ、上記算出し
たサブキャリアのエネルギーが所定算出したサブキャリ
アのエネルギーが第2レベル以下の数が少ない、信号を
受信したアンテナを選択する、アンテナダイバーシティ
方法が提供される。
【0018】このように、受信電力強度評価法と周波数
特性評価法とを適宜組み合わせると、選択性フェージン
グ、その他の条件で受信信号が変化する場合でも、正確
に最良のアンテナを選択できる。
【0019】なお、上記算出した受信電力強度が第1レ
ベルを越えていないときは、最大の受信電力強度の示し
ており、かつ、上記算出したサブキャリアのエネルギー
が所定算出したサブキャリアのエネルギーが第2レベル
以下の数が少ない、信号を受信したアンテナを選択す
る。
【0020】上記ダイバーシティ用データはデータ伝送
フォーマットの空き領域に挿入されて無線送出されるて
もよいし、上記ダイバーシティ用データはデータ伝送用
制御信号を用いることもできる。
【0021】上記無線送出データはフレームごと行わ
れ、当該フレームは、第1の同期獲得用データ格納領域
と管理データ格納領域とからなる第1の部分、第2の同
期獲得用データ格納領域と伝送すべきデータを格納する
パケットデータ格納領域とで構成される第2の部分とを
有する。
【0022】あるいは、上記無線送出データはフレーム
ごと行われ、当該フレームは、第1の同期獲得用データ
格納領域と管理データ格納領域とからなる第1の部分、
第2の同期獲得用データ格納領域と伝送すべきデータを
格納するパケットデータ格納領域とで構成される第2の
部分とを有し、上記パケットデータ格納領域には圧縮さ
れたデータが格納され、上記ダイバーシティ用データは
上記パケットデータ格納領域の空き領域に挿入され、上
記管理データ格納領域の空き領域に、上記ダイバーシテ
ィ用データが格納された上記パケットデータ格納領域の
位置およびデータ量が格納されている。
【0023】たとえば、上記圧縮されたデータは画像圧
縮方式で圧縮されたビデオ信号である。
【0024】本発明の第3の観点によれば、送信装置
と、受信装置と、上記送信装置と上記受信装置との間に
介在する無線回線とを具備する無線通信システムにおけ
るアンテナダイバーシティ装置であって、上記送信装置
は、直交周波数多重変調により複数のサブキャリアに変
調されたダイバーシティ用データを送出し、上記受信装
置は、上記無線回線を介して送信されて上記データを受
信する複数のアンテナと、上記複数のアンテナで受信し
た信号を切り換えて出力する切り換え制御部と、上記複
数のアンテナで受信したダイバーシティ用データのそれ
ぞれについて、逆周波数変換処理を行い上記サブキャリ
アのエネルギーを算出する信号処理手段と、該算出した
サブキャリアのエネルギーが所定レベルを越えたサブキ
ャリアの本数が多いアンテナを選択する評価手段とを有
し、上記切り換え制御部は上記評価手段で選択したアン
テナを選択する、アンテナダイバーシティ装置が提供さ
れる。
【0025】第3の観点の発明は第1の観点のアンテナ
ダイバーシティ方法を装置に実現した場合である。
【0026】本発明の第4の観点によれば、送信装置
と、受信装置と、上記送信装置と上記受信装置との間に
介在する無線回線とを具備する無線通信システムにおけ
るアンテナダイバーシティ装置であって、上記送信装置
は、直交周波数多重変調により複数のサブキャリアに変
調されたダイバーシティ用データを送出し、上記受信装
置は、上記無線回線を介して送信されて上記データを受
信する複数のアンテナと、上記複数のアンテナで受信し
た信号を切り換えて出力する切り換え制御部と、上記複
数のアンテナで受信した上記無線送出されたダイバーシ
ティ用データのそれぞれについて受信電界強度を算出
し、かつ、上記複数のアンテナで受信した上記無線送出
されたダイバーシティ用データのそれぞれについて逆周
波数変換処理を行い上記サブキャリアのエネルギーを算
出する信号処理手段と、上記算出した受信電力強度が第
1レベルを越えており、かつ、上記算出したサブキャリ
アのエネルギーが所定算出したサブキャリアのエネルギ
ーが第2レベル以下の数が少ない、信号を受信したアン
テナを選択する、評価手段とを有し、上記切り換え制御
部は上記評価手段で選択したアンテナを選択する、アン
テナダイバーシティ装置が提供される。
【0027】第4の観点の発明は第2の観点のアンテナ
ダイバーシティ方法を装置に実現した場合である。
【0028】なお、上記評価手段は、上記算出した受信
電力強度が第1レベルを越えていないときは、最大の受
信電力強度の示しており、かつ、上記算出したサブキャ
リアのエネルギーが所定算出したサブキャリアのエネル
ギーが第2レベル以下の数が少ない、信号を受信したア
ンテナを選択する。
【0029】
【発明の実施の形態】本発明の無線通信システムおよび
無線通信方法の第1実施の形態として、無線LANシス
テムについて述べる。
【0030】(1)無線LANシステムの全体構成 図1は本発明の1実施の形態としての無線通信システム
としての無線LANシステム10の構成図である。図1
に図解した無線LANシステム10は、リーフ(leaf)
として動作する通信端末装置11A、11Bと、ハブ
(hub)として機能する通信制御端末装置12とから構成
されている。図解の関係で、2つの通信端末装置11
A、11Bを図解したが、通信端末装置は1台以上、複
数台設けることができる。
【0031】図2は無線LANシステム10におけるデ
ータ伝送に使用するフレームフォーマットを図解した図
である。図2に図解したフレームフォーマットは、1474
55シンボル(4msecに相当する長さ)を1フレームと
し、先頭に第1のPN符号を配置し、次いで管理データ
領域を配置し、以下、第2のPN符号とパケットデータ
領域とが繰り返して配置される。
【0032】無線LANシステム10においては、図2
に図解した1フレーム内で時分割多重(TDMA:Time
Division Multiplexing )方式によって情報データを送
信する。すなわち、無線LANシステム10において
は、通信制御端末装置12と通信端末装置11A、11
Bそれぞれとの間、または、通信端末装置11A、11
B相互間で、図2に図解したフレームフォーマットでデ
ータ通信を行う。そのようなデータ通信は、同一周波数
を用いて送信と受信とを所定時間ごとる交互に切り換え
る、いわゆるTDD(Time Division Duplex)方式の通信
を行う。
【0033】通信端末装置11A、11Bは、それぞれ
コンピュータを内蔵したデータ端末装置13A、13B
に無線通信ユニット14A、14Bがそれぞれ接続され
て構成されている。通信制御端末装置12も、コンピュ
ータを内蔵したデータ端末装置15に無線通信ユニット
16が接続されて構成されている。無線LANシステム
10においては、通信端末装置11Aと通信端末装置1
1Bとの間でデータ通信が行われ、通信制御端末装置1
2によって通信端末装置11Aと通信端末装置11Bと
の間で行われるデータ通信を制御すると共に、通信制御
端末装置12から通信端末装置11Aおよび11Bに対
してもデータをアイソクロナス的に(isochronous 、等
時的に) 送信する。具体例を述べると、無線LANシス
テム10においては、通信制御端末装置12が、例えば
イーサネット等を介して得たデータを通信端末装置11
A及び11Bに送信し、当該通信端末装置11A及び1
1BにIEEE1394等の通信インターフェースを介
して接続された家庭用AV(Audio Vidual)機器、たとえ
ば、テレビジョン装置の間でデータ通信を行うことがで
きる。
【0034】通信端末装置11Aに設けられた無線通信
ユニット14Aは、送信部17Aと、受信部18Aと、
制御部19Aと、アンテナ20Aと、アンテナ切換部2
1Aとから構成されている。通信端末装置11Bに設け
られた無線通信ユニット14Bも無線通信ユニット14
Aと同様、送信部17Bと、受信部18Bと、制御部1
9Bと、アンテナ20Bと、アンテナ切換部21Bとか
ら構成されている。
【0035】無線LANシステム、移動体通信に代表さ
れる無線通信においてはフェージングに遭遇する。特
に、都市部などの高く電波を反射する建造物が多く存在
する場所では、マルチパス・フェージングの影響を受け
る。そのため、アンテナ20A、20Bとして図解した
部分はそれぞれ少なくとも2つのアンテナを内蔵してお
り、アンテナ切換部21A、21Bは最も受信感度の良
好なアンテナを検出してそのアンテナに切り換える処理
を行う。
【0036】マルチパス・フェージングに対して信頼性
の高い通信方式とし、OFDM(Orthogonal Frequency
Division Multiplexing : 直交周波数分割多重) 方式が
知られている。OFDM方式は、図3に図解したよう
に、周波数間隔f0 の各キャリアを互いに直交させるこ
とにより符号間干渉が生じないようにした複数のサブキ
ャリアを使用し、当該各サブキャリアに低ビットレート
の信号を割り当てて全体として高ビットレートを得るよ
うにしている。すなわち、OFDM方式によれば、直交
する複数のサブキャリアを使用してデータを並列的に送
ることにより、伝送レートを容易に上げることができる
と共に、ジッタが生じても誤りなく復調できる。
【0037】そこで、送信部17A及び17B及び受信
部18A及び18Bは、OFDM方式によるデータ通信
を行う。
【0038】OFDM方式を適用した場合のアンテナ切
換部21A、21Bにおけるアンテナ切り換え方法につ
いては、その詳細を後述する。
【0039】通信制御端末装置12に設けられた無線通
信ユニット16は資源情報格納部25を有しており、そ
の資源情報格納部25には、通信端末装置11A及び1
1Bがそれぞれデータ通信を行う際の送信割り当て時間
に関する資源情報(いわゆる所定時間幅のタイムスロッ
ト情報)が格納されている。
【0040】図2に図解したように、1フレームの先頭
には、通信制御端末装置12の無線通信ユニット16か
ら同期獲得用の第1のPN符号が配置され、送信の最初
にはまず、第1のPN信号が送信される。同期獲得用の
第1のPN符号は、通信端末装置11A及び11Bの無
線通信ユニット14A及び14Bによってそれぞれ受信
され、この受信タイミングを基準として通信制御端末装
置12と通信端末装置11A及び11Bとの間でデータ
通信を行う際の送受信タイミングと、通信端末装置11
A及び11B間でデータ通信を行う際の送受信タイミン
グとが設定される。
【0041】このように、無線LANシステム10で
は、通信端末装置11A、11Bからデータ通信要求が
ある場合、当該通信端末装置11A、11Bの無線通信
ユニット14A、14Bから通信制御端末装置12の無
線通信ユニット16に対して送信要求が送られる。通信
制御端末装置12の無線通信ユニット16は、送られて
きた送信要求と資源情報とに基づいて通信端末装置11
A、11Bに対する送信割り当て時間を決定し、この送
信割り当て時間を含んだ制御情報を通信端末装置11A
及び11Bの無線通信ユニット14A及び14Bに送信
する。これにより無線通信ユニット14A及び14B
は、送信割り当て時間に従って所定のタイムスロットの
タイミングでデータの送受信を行う。このとき無線通信
ユニット14A及び14Bが行うデータの送受信タイミ
ングとしては、上述したように1フレームの先頭に送ら
れてくる同期獲得用の第1のPN符号を基準にして行
う。
【0042】アンテナダイバーシティ方式 上述した同期獲得の前提として、アンテナにおいて正確
に信号が受信されている必要がある。ところが、無線L
ANシステム、移動体通信に代表される無線通信におい
ては、特に、都市部などのように、高さが高く電波を反
射する建造物が多く存在する場所では、マルチパス・フ
ェージングの影響を受けて受信を良好に行えないときが
起こる。その改善策として、本実施の形態においては、
アンテナダイバーシティ方式を採用している。すなわ
ち、移動する可能性があるリーフとしての通信端末装置
11A、11Bのそれぞれにおけるアンテナ20A、2
0Bとしてそれぞれ複数のアンテナを配設し、アンテナ
切換部21A、21Bにおいて最も受信の信頼度が高い
アンテナを選択する。もちろん、ハブとしての通信制御
端末装置12のアンテナ26を複数本のアンテナとし
て、アンテナ切換スイッチ27において最も受信の信頼
度の高いアンテナを選択することもできる。
【0043】以下、通信端末装置11Aにおけるアンテ
ナ20Aおよびアンテナ切換部21Aを代表して、本実
施の形態のアンテナダイバーシティ方式について述べ
る。
【0044】ダイバーシティ用データの位置 まず、ダイバーシティに使用するデータの挿入位置につ
いて述べる。第1の形態として、ダイバーシティ用デー
タの配設位置を図2に図解した管理データ領域の内の空
き領域にした。その詳細を図4に図解する。1フレーム
の先頭部分に位置する管理データ領域の空き部分に、通
信制御端末装置12のダイバーシティ用データ、通信端
末装置11Aのダイバーシティ用データ、通信端末装置
11Bのダイバーシティ用データを配置した。すなわ
ち、1フレームごと、その先頭の管理データ領域にダイ
バーシティ用データを配設した。その結果、1フレーム
ごと、アンテナダイバーシティ方式を適用できる。管理
データ領域の空き部分にダイバーシティ用データを配設
しているので、ダイバーシティ用データを挿入しても伝
送すべきデータの格納領域を減少させないし、通常のデ
ータ伝送を行うだけでダイバーシティ用データが伝送で
きるので、データ伝送効率の低下も起きないという利点
がある。
【0045】ダイバーシティ用データのパターン ダイバーシティ用データとしては、受信したとき、その
受信結果の評価を明瞭にするため、m系列などの既知の
ランダムデータパターン、または、データ伝送されるデ
ータとは異なるユニークな既知のデータパターンとす
る。そのようなデータパターンとしては、たとえば、
「1」のシンボルと「0」のシンボルとが交互に存在す
るデータパターン、あるいは、全て「1」のデータパタ
ーンなどを採用することができる。
【0046】受信したダイバーシティ用データの評価方
図5は複数のアンテナを有するアンテナ20Aとアンテ
ナ切換部21Aとその周辺の関連部の回路構成図であ
る。複数のアンテナ、本実施の形態では、4本のアンテ
ナAT1〜AT4は、所定間隔を隔てて通信端末装置1
1Aに所定位置に配設されている。アンテナ切換部21
Aは、切り換えスイッチ211と、高周波増幅回路21
2と、ダイバーシティ用データ検出回路213と、信号
処理手段214と、評価手段215と、切り換え制御部
216とを有する。
【0047】上記アンテナ切換部21Aを構成する回路
の基本動作を述べる。切り換えスイッチ211は、切り
換え制御部216によりアンテナAT1〜AT4を順次
切り換える。高周波増幅回路212は、アンテナ切換部
21Aで選択されたアンテナからの高周波(RF)信号
を増幅する。ダイバーシティ用データ検出回路213
は、高周波増幅回路212で増幅された信号から、図2
および図4に図解した自己、すなわち、通信端末装置1
1Aのダイバーシティ用データを検出する。信号処理手
段214は検出されたダイバーシティ用データを信号処
理する。評価手段215は信号処理された結果を評価し
て、最も適切なアンテナを選択する。切り換え制御部2
16は評価手段215で選択したアンテナが選択される
ようにそのスイッチ位置を切り換える。その結果、その
フレームは選択されたアンテナからの信号を用いて受信
動作が行われる。このように本実施の形態においては1
フレームごと、そのときの受信の最適なアンテナを用い
た受信処理が行われる。
【0048】高周波増幅回路212で増幅された信号
は、通信端末装置11Aの受信部18A内のデータ復調
回路181で復調が行われる。
【0049】以下、信号処理手段214における信号処
理と、評価手段215における評価方法を述べる。
【0050】受信電界強度評価法 第1の信号処理方法とその評価方法としては、ダイバー
シティ方式において周知の受信電界強度評価法を適用す
る。その場合、信号処理手段214は、ダイバーシティ
用データ検出回路213で検出したダイバーシティ用デ
ータの受信電界強度(RSSI:Received Signal Stre
ngth Indicator)を算出する。評価手段215は算出さ
れた受信電界強度と所定のしきい値とを比較し、受信電
界強度がしきい値を越えていれば、その信号を受信した
アンテナは利用可能と判断する。以上の処理を全てのア
ンテナAT1〜AT4から受信した信号について行い、
評価手段215は、利用可能なアンテナのうち、最も受
信電界強度の強い信号を受信したアンテナを選択アンテ
ナとして切り換え制御部216に指示する。切り換え制
御部216は評価手段215から指示されたアンテナか
らの信号が継続して受信できるように、そのアンテナを
選択する。以下、そのフレームのデータ受信および復調
処理は、その選択されたアンテナからの受信信号を用い
る。この受信電界強度評価法そのものはダイバーシティ
方式において周知であり、実施が容易である。
【0051】BER評価法 第2の信号処理方法とその評価方法としては、種々の分
野の受信装置、再生装置、たとえば、通信システム、磁
気記憶再生装置、光ディスク記録再生装置などにおいて
適用されている、ビット誤り率(BER)を評価する方
法である。この場合、信号処理手段214は、周知の方
法で、ダイバーシティ用データ検出回路213で検出し
た信号についてBERを算出する。評価手段215は算
出されたBERが所定の値以下か否かを判定し、算出さ
れたBERが所定の値以下であれば、その信号を受信し
たアンテナは利用可能と判断する。以上の処理を全ての
アンテナAT1〜AT4から受信した信号について行
い、評価手段215は、利用可能なアンテナのうち、も
っとも低いBERを示すアンテナを選択アンテナとして
切り換え制御部216に指示する。切り換え制御部21
6は評価手段215から指示されたアンテナからの信号
が継続して受信できるように、そのアンテナを選択す
る。以下、そのフレームのデータ受信および復調処理
は、その選択されたアンテナからの受信信号を用いる。
このBER法も、通信システム、記録再生装置などにお
いて周知であり、実施が容易である。
【0052】周波数特性評価法 第3の信号処理方法とその評価方法として、本願発明者
は、OFDM方式で変調されている信号について、新規
な周波数特性評価法を考案した。図3に図解したよう
に、OFDM方式においては、周波数間隔f0 の各キャ
リアを互いに直交させることにより符号間干渉が生じな
いようにした複数のサブキャリアを使用し、当該各サブ
キャリアに低ビットレートの信号を割り当てて全体とし
て高ビットレートを得るようにしている。そこで、本実
施の形態においては、図5のダイバーシティ用データ検
出回路213において、たとえば、図7に図解したよう
に、72シンボルのダイバーシティ用データを検出し、
信号処理手段214として図6に図解した、本発明の逆
周波数変換処理の1例として高速フーリエ変換(FF
T:Fast Fourie Transform)を行うの高速フーリエ変換
回路214aを用いて、たとえば、64シンボルの有効
信号に変換する(図7)。変換結果の例を図8に図解し
た。図8において横軸は周波数を示し、縦軸はサブキャ
リアのエネルギーES を示す。すなわち、ダイバーシテ
ィ用データ検出回路213で検出したOFDM変調シン
ボルをFFT回路214aで高速フーリエ変換すること
により受信信号の周波数特性を算出したことになる。
【0053】図5の評価手段215は、本実施の形態に
おいては図6に図解したような識別回路215aであ
り、識別回路215aは、たとえば、算出されたサブキ
ャリアエネルギーES とエネルギーしきい値THとを比
較して、しきい値THより高いサブキャリアエネルギー
S を与えるサブキャリアの本数を計数する。
【0054】切り換え制御部216は全てのアンテナA
T1〜AT4を順次切り換えて、それらの受信信号を高
周波増幅回路212、ダイバーシティ用データ検出回路
213に印加していく。FFT回路214aと識別回路
215aとは、ダイバーシティ用データ検出回路213
で検出した受信信号について上述した処理を反復する。
【0055】識別回路215aは、各アンテナで受信し
た信号について行った計数結果が最大の計数値を示した
アンテナ、すなわち、サブキャリアエネルギーES が所
定レベルを越えたサブキャリアの本数が多いアンテナを
最も受信感度の良好なアンテナとして、切り換え制御部
216に指示する。切り換え制御部216は評価手段2
15から指示されたアンテナからの信号が継続して受信
できるように、そのアンテナを選択する。以下、そのフ
レームのデータ受信および復調処理は、その選択された
アンテナからの受信信号を用いる。
【0056】上述した周波数特性評価法は、OFDM方
式の変調信号の特徴に則した処理をしており、受信信号
の品質を評価する方法としては上述した2つの方法より
信頼性が高い。この周波数特性評価方法は、信号処理手
段214として、FFT回路214aが必要になるが、
FFT回路は、たとえば、図15を参照して後述するよ
うに、無線通信ユニット14A内の高速フーリエ変換回
路(FFT)65と同様であり、高速フーリエ変換回路
65を流用することも可能である。その場合は本実施の
形態の周波数評価法を適用しても無線通信ユニット14
A内の回路構成は複雑にならないという利点がある。
【0057】なお、OFDM方式で変調したダイバーシ
ティ用データの評価方法として、高速フーリエ変換を例
示したが、本発明は、高速フーリエ変換に限らず、逆周
波数変換処理を行うその他の方法、たとえば、DFTな
どであってもよい。
【0058】周波数特性評価法の変形態様 16QAMで変調した場合、サブキャリアの信号点の配
置位置の相違によって振幅が最大3倍異なる。劣化がな
いOFDM信号であっても、サブキャリアエネルギーが
10dB程度低下することになる。したがって、そのよ
うなサブキャリアのエネルギーを一定のしきい値THで
比較すると、しきい値TH以下のエネルギーと判定され
る。
【0059】このような不具合を改善するため、複数の
OFDMシンボルを用いて、各サブキャリアのエネルギ
ーEsを平均し、その平均エネルギーについてしきい値
を用いて比較判定する。
【0060】上述したQAMに起因する不具合を回避す
るため、送信装置において、周波数特性評価法に使用す
るダイバーシティ用データをBPSK変調またはQPS
K変調することが望ましい。
【0061】評価用データの位置およびパターンの変形
態様 上述した実施の形態は、評価用データ(ダイバーシティ
用データ)をデータ伝送フォーマットの空き部分に挿入
して、データ伝送効率を低下させない場合を述べたが、
上述した周波数特性評価法のみの観点からすると、上述
したデータ伝送フォーマットの空き部分にのみ、評価用
データを挿入することはない。同様に、上述したデータ
パターンに限定されることはない。
【0062】たとえば、管理データ領域内の制御信号を
送る制御データ領域内の制御データを利用して、上述し
た高速フーリエ変換を行い、最適なアンテナを選択する
こともできる。ただし、アンテナを試験的に切り換える
期間は必要なので、そのような場合には、上述した実施
の形態と同様、データ伝送フォーマットの空き部分にそ
のような評価用データを格納することができる。
【0063】なお、制御データの種類によっては、毎フ
レーム受信しなくてもよいものがあるから、それを評価
用データとして使用することもできる。
【0064】また、伝送データ領域内のデータであっ
て、自己の受信装置当てではないデータを評価用データ
として使用することもできる。
【0065】振幅評価法 第4の信号処理方法とその評価方法としては、周知の振
幅評価法を適用する。信号処理手段214は、ダイバー
シティ用データ検出回路213で検出したダイバーシテ
ィ用データについて包絡線検波を行い、各サブキャリア
の振幅値を積分する。評価手段215は算出された振幅
積分値としきい値とを比較し、振幅積分値ががしきい値
を越えていれば、その信号を受信したアンテナは利用可
能と判断する。以上の処理を全てのアンテナAT1〜A
T4から受信した信号について行い、評価手段215
は、利用可能なアンテナのうち、もっとも振幅積分値の
大きな信号を受信したアンテナを選択アンテナとして切
り換え制御部216に指示する。切り換え制御部216
は評価手段215から指示されたアンテナからの信号が
継続して受信できるように、そのアンテナを選択する。
以下、そのフレームのデータ受信および復調処理は、そ
の選択されたアンテナからの受信信号を用いる。この振
幅評価は、回路構成が簡単である。
【0066】その他の評価方法 本実施の形態としては、上述した例示に限らず、無線送
信データ、衛星通信データの受信信号の評価に適用して
いるその他の種々の評価法を適用することがで。
【0067】その他のダイバーシティ用データの位置 図9を参照して、第2の形態としてのダイバーシティに
使用するデータの挿入位置について述べる。図9は図2
に図解したフレームフォーマットを適用して、MPEG
方式でビデオ信号および音声データを圧縮してデータ伝
送する場合のフォーマット例を示す。
【0068】MPEG方式でビデオ信号を圧縮した場
合、映像状況に応じて圧縮されるデータ量が変化する。
その結果、図2に図解した限られたパケットデータ領域
に空きがでることもある。本実施の形態はそのようなパ
ケットデータ領域の空き部分に、特に、1フレームの最
初のパケットデータ領域に、ダイバーシティ用データD
Vを挿入してデータ伝送することにより、第1実施の形
態のデータ配置と同様、データの格納領域を減少させず
に、通常のデータ伝送を行うだけでダイバーシティ用デ
ータを伝送してデータ伝送効率の低下も起きないように
している。ただし、MPEG方式でビデオ信号を圧縮し
た場合、どこにどれだけの空きが発生するかはMPEG
を適用しないと判らないから、固定した位置にダイバー
シティ用データは配設できない。そこで、1フレームの
先頭部分に位置する管理データ領域の空き部分に、ダイ
バーシティ用データの格納位置、そのデータ量を明示す
るデータを格納する。
【0069】ダイバーシティ用データのパターン 本実施の形態においても、上記と同様、ダイバーシティ
用データとしては、受信したとき、その受信結果の評価
を明瞭にするため、m系列などの既知のランダムデータ
パターン、または、データ伝送されるデータとは異なる
ユニークな既知のデータパターンとする。そのようなデ
ータパターンとしては、たとえば、「1」のシンボルと
「0」のシンボルとが交互に存在するデータパターン、
あるいは、全て「1」のデータパターンなどを採用する
ことができる。
【0070】図10は図9に図解したダイバーシティ用
データを検出し、その評価を行う、図5に類似するアン
テナ切換部21Aの回路図である。アンテナ切換部21
Aは、高周波増幅回路212、復調回路217、パケッ
ト再合成回路218、信号処理手段214、評価手段2
15、切り換え制御部216を有する。
【0071】上記アンテナ切換部21Aを構成する回路
の基本動作を述べる。切り換えスイッチ211は切り換
え制御部216によりアンテナAT1〜AT4を順次切
り換える。高周波増幅回路212はアンテナ切換部21
Aで選択されたアンテナからの高周波(RF)信号を増
幅する。復調回路217はRF増幅信号からMPEGに
よる圧縮信号およびダイバーシティ用データを復調す
る。パケット再合成回路218は、復調したデータをパ
ケットに再合成する。これにより、管理データ領域の空
き部分に格納されている位置指示データを参照してダイ
バーシティ用データを抽出可能となる。信号処理手段2
14は抽出されたダイバーシティ用データを信号処理す
る。評価手段215は信号処理された結果を評価して、
最も適切なアンテナを選択する。切り換え制御部216
は評価手段215で選択したアンテナが選択されるよう
にそのスイッチ位置を切り換える。その結果、そのフレ
ームは選択されたアンテナからの信号を用いて受信動作
が行われる。
【0072】受信したダイバーシティ用データの評価方
法(信号処理手段214および評価手段215の処理) 信号処理手段214および評価手段215としては、上
記同様、受信電界強度評価法、BER評価法、周波数特
性評価法、振幅評価法など、適宜の評価法を適用でき
る。
【0073】上述したように、本発明においては、図2
に図解したデータ伝送に用いるフレームフォーマットの
なかの空き部分にダイバーシティ用データを挿入し、受
信側に送出するという構想により、データ伝送系に特別
の回路増設、データ伝送効率の低下などを起こさずに、
ダイバーシティ用データを伝送することができる。さら
に、本発明においてはそのようなダイバーシティ用デー
タを受信した受信装置、たとえば、通信端末装置11
A、11Bなどにおいて、上述した評価法で受信信号を
評価して、最適なアンテナを選択することができる。
【0074】変形態様 信号圧縮したデータを伝送する際、データ格納領域に空
きが発生し、その空き領域にダイバーシティ用データを
埋め込む(挿入する)方法として、MPEG方式でビデ
オ信号などを圧縮した場合について述べたが、本発明
は、MPEGに限らず、その他の方法でビデオ信号、オ
ーディオ信号などを圧縮して伝送する場合にも、上記同
様に空き領域をダイバーシティ用データ伝送に利用する
という構想を適用できる。
【0075】さらに圧縮する信号としては、ビデオ信
号、オーディオ信号には限らない。たとえば、信号を暗
号化して伝送する場合に、信号と暗号方法とによって伝
送する暗号化データの量が変化する場合などのときも、
空き領域をダイバーシティ用データの伝送に利用でき
る。
【0076】伝送したダイバーシティ用データの評価方
法は上述した各種の方法の任意の方法、または、その他
の公知方法を適用できる。
【0077】組み合わせ評価方法 上述した評価方法は、受信電力強度評価法、BER評価
法、周波数特性評価法、振幅評価法を個別に行う例を示
した。しかしながら、これらの評価方法を個別に適用し
た場合は下記に述べる限界に遭遇することがある。
【0078】無線通信ユニット16から通信端末装置1
1A、11Bにデータ送信を行う際、自動利得制御(A
GC)をかけると、高速フーリエ変換(FFT)した結
果はほぼ同じレベルの信号となる。
【0079】次いで選択性フェージングに起因する問題
が起こる。たとえば、送信装置から受信装置にデータを
送出したとき、たとえば、データ伝送経路が2つ存在し
受信装置の1つのアンテナに2つの信号経路の2つの信
号が到達することがある。このとき、2つの信号には時
間差が生ずることが多い。1番目の信号より遅延した2
番目の信号の遅延時間τdが、τd≒1/BWであると
き、(BWはその信号の帯域を示す)、そして、2つの
信号のレベルがほぼ等しいとき、2つの信号か相殺しあ
って、その帯域内に少なくとも1か所のヌル点(信号の
レベルが0になる点)が生ずる。一般に、遅延広がり<
τd>が1/BWとオーダーが等しいと、帯域内の半分
近いエネルギーが失われる。実際は上述した信号経路が
2とは限らず、多重になる場合も多い。そのような多重
遅延による相互干渉があると、移相、振幅が平坦なスペ
クトラムになる場合もある。
【0080】上述した状況において、1台の受信装置に
2個のアンテナを設置して信号を受信する場合を考察す
る。たとえば、受信電力強度は第2のアンテナより第1
のアンテナが強いとする。しかしながら、第1のアンテ
ナは選択性フェージングの影響を受けた信号を受信して
おり、周波数特性評価法における高速フーリエ変換した
結果は、帯域のある部分のエネルギーがしきい値より1
/3程度低下し、しきい値より低い領域が広いとする。
この場合、ビット誤り率BERは大きい。他方、受信電
力強度は第1のアンテナより弱い第2のアンテナの受信
信号を高速フーリエ変換した結果は、第1のアンテナの
受信信号より平坦で、帯域のある部分のエネルギーがし
きい値TH1より低下している領域は小さいとする。こ
の場合ビット誤り率BERは小さい。
【0081】受信電力強度評価法のみによる評価では、
上述した場合、第1のアンテナを選択する。しかしなが
ら、上述した場合は第2のアンテナを選択すべきであ
る。その反面、第2アンテナの受信電力強度があまりに
小さい場合は、SNが低下するので、第1のアンテナを
選択すべきである。
【0082】建造物内の無線通信においては、屋外の通
信より上述した問題は著しい。帯域幅の逆数(数10n
s)と、送受信アンテナ間の電波伝搬が複数険路を辿る
場合に経路差による伝搬遅延時間、たは遅延広がりとが
同一オーダーになると、帯域の1/2〜数分の1の信号
が失われる。
【0083】このように、高速フーリエ変換を行うこに
起因する問題、選択性フェージングなどに影響により、
単独の評価法では限界がある。
【0084】そこで、好ましいアンテナ選択法として
は、下記のごとく組み合わせて行う。
【0085】組み合わせ評価法 1.まず、受信電力強度評価法で評価し、同時に、周波
数特性評価法で評価する。 2.次いで、(a)受信電力強度がしきい値TH1(受
信電力強度評価法におけるしきい値をTH1とする)よ
り大きく、かつ、(b)サブキャリアエネルギーEsが
エネルギーしきい値TH2(周波数特性評価法における
しきい値をTH2とする)より低いサブキャリアが最も
少ない、信号を受信したアンテナを最良のアンテナとし
て選択する。
【0086】2.もし、上述した、(a)受信電力強度
がしきい値TH1(受信電力強度評価法におけるしきい
値をTH1とする)より大きい受信信号が存在しない場
合は、受信電力強度が最大となるアンテナについて、
(b)サブキャリアエネルギーEsがエネルギーしきい
値TH2(周波数特性評価法におけるしきい値をTH2
とする)より低いサブキャリアが最も少ない、信号を受
信したアンテナを最良のアンテナとして選択する。
【0087】上述したアンテナダイバーシティ方式を、
通信端末装置11Aに適用した場合を述べたが、通信端
末装置11B、通信制御端末装置12にも適用できるこ
とは勿論である。
【0088】上述した回路と処理方法により、適切なア
ンテナが選択されてデータを受信できるとの前提で、さ
らに無線通信システムの構成と動作を述べる。
【0089】(2)通信制御端末装置の無線通信ユニッ
ト 図11を参照して、通信制御端末装置12に設けられて
いる無線通信ユニット16について述べる。無線通信ユ
ニット16は、通信コントローラ30を有し、当該通信
コントローラ30を介してデータ端末装置15とデータ
の交換を行う。
【0090】通信コントローラ30は、データ端末装置
15から送られてきたメッセージ情報を表す情報データ
S9に対して、誤り検出用のCRC(Cyclic Redundancy
Check) コードを付加して送信データS10を生成し、
これをDQPSK変調回路31に送出する。DQPSK
変調回路31は、送信データS10に対してDQPSK
変調処理を施して送信信号S11を生成し、これをOF
DM変調部47のシリアル/パラレル変換回路32に送
出する。
【0091】シリアル/パラレル変換回路32は、シリ
アルデータ列で供給される送信信号S11をパラレルデ
ータ列の送信信号S12に変換し、これを逆高速フーリ
エ変換回路(IFFT)33に送出する。逆高速フーリ
エ変換回路33は、送信信号S12に対して逆高速フー
リエ変換処理を施して送信信号S12のパラレルデータ
列を周波数領域のデータにマッピングし、その結果得ら
れる送信信号S13をパラレル/シリアル変換回路34
に送出する。
【0092】パラレル/シリアル変換回路34は、周波
数領域にマッピングされたパラレルデータ列の送信信号
S13をシリアルデータ列に戻し、その結果得られる送
信信号S14を切換スイッチ35に送出する。OFDM
変調部47は、図3に図解したように、周波数間隔f0
の各キャリアを互いに直交させることにより符号間干渉
が生じないようにした複数のサブキャリアを使用し、当
該各サブキャリアに低ビットレートの信号を割り当てて
全体として高ビットレートを得るようにしている。
【0093】図3はOFDM方式における伝送波形の周
波数スペクトラムを示す。このようにOFDM方式で
は、送信信号S11をシリアルパラレル変換し、このパ
ラレル変換された送信信号S12に逆高速フーリエ変換
処理を施すことによって、送信信号S12を互いに直交
する周波数間隔f0 の各サブキャリアに割り当てる。こ
の逆の復調時には、周波数間隔f0 毎のサブキャリアの
信号成分を取り込み、高速フーリエ変換処理を施すこと
によって当該サブキャリアに割り当てられているデータ
を抽出する。
【0094】図12は図11に図解した回路のうち、D
QPSK変調回路31、シリアル/パラレル変換回路3
2、逆高速フーリエ変換回路(IFFT)33およびパ
ラレル/シリアル変換回路34を図解する図である。O
FDM方式では、シリアル/パラレル変換回路32によ
ってDQPSK変調回路31から供給される送信信号S
11のうち実データの51サンプルをパラレルデータ列
に変換し、これを逆高速フーリエ変換回路33に送出す
る。
【0095】逆高速フーリエ変換回路33は、51サン
プルのパラレルデータ列を周波数領域にマッピングする
と共に、13サンプル分の無効データ(例えば「0」で
なる無効ビット)を周波数領域にマッピングすることに
より64サンプルからなる有効シンボル部分を生成した
後、当該64サンプルの有効シンボル部分に対して8サ
ンプルのガードインターバルを付加してパラレル/シリ
アル変換回路34に送出する。
【0096】図7に示すように、1シンボルは64サン
プルの有効シンボル部分及び8サンプルのガードインタ
ーバルの合計72サンプルから構成されている。この場
合、シンボル周期Tsymbolは、例えば1.953[μsec]であ
り、サンプル周期Tsampleは例えば27.127[nsec]であ
り、さらにサンプル周波数fsampleは例えば36.864[MH
z] である。
【0097】OFDM方式では、複数のサブキャリアに
分散してデータを送信しているので、1シンボル当たり
の送信時間が長くなるが、時間軸上でガードインターバ
ルを設けるようにしていることにより、ジッタに対する
影響やマルチパスに対する影響を受け難いという特徴が
ある。なおガードインターバルは、有効シンボル長の約
1〜2割程度に選定されている。
【0098】このように、OFDM方式では、復調時に
連続する受信信号の中から有効シンボル部分を抽出して
高速フーリエ変換処理を施す必要があり、このときジッ
タ等によって有効シンボル部分を切り出す際の誤差が生
じたとしても、ガードインターバルが設けられているた
めに周波数成分が変化することはなく、位相が回転した
分の位相差のみが生じる。
【0099】このためOFDM方式では、信号中に既知
パターンのデータを挿入して位相補正を行うか、あるい
は差分位相変復調方式によって位相差を打ち消すことに
より復調を可能にしている。通常のQPSK(Quadri Ph
ase Shift Keying) 変復調のみを用いた場合には、各ビ
ット毎に復調のタイミングを合わせる必要があるが、O
FDM方式の場合には数ビットずれたとしても感度が数
デシベル劣化するだけで復調が可能である。
【0100】再度図11を参照する。パラレル/シリア
ル変換回路34から出力される送信信号S14は、切換
スイッチ35の第1の切換入力端子35Aに供給され
る。切換スイッチ35の第2の切換入力端子35Bに
は、PN符号発生回路49によって生成されコントロー
ラ45の制御に基づいて選択された第1のPN符号S4
9PN1 又は第2のPN符号S49PN2 が1周期分だけ供
給される。
【0101】PN符号発生回路49は、M系列(Maximum
Length Code) の第1のPN符号S49PN1 を生成する
第1のPN符号発生部49Aと、M系列の第2のPN符
号S49PN2 を生成する第2のPN符号発生部49Bと
から構成されている。
【0102】図13に示すように、第1の符号系列生成
手段としての第1のPN符号発生部49Aは4段のシフ
トレジスタSR1〜SR4と、当該シフトレジスタSR
1〜SR4のうちシフトレジスタSR1及びSR4の出
力を排他的論理和演算する排他的論理和回路(エクスク
ルーシブオア回路)EXOR1及びEXOR2と、FI
RフィルタF49とから構成されている。
【0103】第1のPN符号発生部49Aは、初期値デ
ータとして例えば「1、1、1、1」をシフトレジスタ
SR1〜SR4に格納し、例えば18.432[MHz] の基準ク
ロックに同期したタイミングでシフトレジスタSR1〜
SR4に格納された初期値データを順次シフトすると共
に、EXOR1及びEXOR2によってエクスクルーシ
ブオア演算することによってシリアルデータ列でなる1
5ビット(約1[ μsec])の符号系列P10を18.432[M
bps]の速度で生成し、これを順次FIRフィルタF49
に送出する。
【0104】FIRフィルタF49は、15ビットの符
号系列P10を所定の周波数帯域幅で帯域制限し、符号
系列P10の1ビットをさらに8チップに量子化した
後、120チップ(15ビット×8チップ)のパラレル
データ列の第1のPN符号S49PN1 を出力する。但
し、第1のPN符号S49PN1 は符号系列P10の1ビ
ットを8チップに量子化したのであるから、ビット長は
変わらない。
【0105】図15に示すように、第2の符号系列生成
手段としての第2のPN符号発生部49Bは15ビット
の符号系列P10を5ビット遅延回路D49に送出す
る。5ビット遅延回路D49は、符号系列P10を5ビ
ット分遅延させた符号系列P10´を順次FIRフィル
タF49に送出することにより、第1のPN符号S49
PN1 とは位相が合計40チップ(5ビット×8チップ)
だけシフトした第2のPN符号S49PN2 を出力する。
【0106】すなわち第1のPN符号S49PN1 と第2
のPN符号S49PN2 とは、同一の系列パターンであり
ながら位相が異なるために独立した2種類のPN符号と
して用いられる。第2のPN符号発生部49Bは第1の
PN符号発生部49Aに対して5ビット遅延回路D49
を設けるだけの簡単な構成で第2のPN符号S49PN2
を生成し得る。
【0107】第1のPN符号S49PN1 とは、システム
間における同期獲得用のPN符号であり、通信制御端末
装置12がフレームの先頭部分で送信する。第2のPN
符号S49PN2 とは、通信制御端末装置12、通信端末
装置11A及び11Bが指定された送信割り当て時間に
従ってデータ通信を行う際、復調タイミングを指示する
同期獲得用のPN符号であり、メッセージデータの直前
に送信される。
【0108】切換スイッチ35は、システム間の同期信
号として第1のPN符号S49PN1又は復調タイミング
を指示する同期信号として第2のPN符号S49PN2 を
送信する場合、コントローラ45の制御に基づいて切換
入力端子35Bに切り換えて第1のPN符号S49PN1
又は第2のPN符号S49PN2 を出力し、それ以外の場
合には切換入力端子35Aに切り換えて送信信号S14
を出力する。
【0109】このようにして切換スイッチ35は、送信
信号S14、第1のPN符号S49PN1 又は第2のPN
符号S49PN2 を出力信号S16として、周波数変換回
路36、パワーアンプ38、アンテナ切換スイッチ27
及びアンテナ26からなる第1の送信手段に入力する。
【0110】第1の送信手段の周波数変換回路36は乗
算器でなり、PLL(Phase LockedLoop) シンセサイザ
37から供給される局部発振信号S17を出力信号S1
6に乗算することにより、所定周波数に周波数変換した
送信信号S18を生成し、これをパワーアンプ38に送
出する。なお送信信号S18の周波数としては、例えば
準マイクロ波帯の2.4[GHz]、5.7[GHz]あるいは19[GHz]
帯を用いる。
【0111】パワーアンプ38は、送信信号S18を所
定の電力レベルに増幅し、その結果得られる送信信号S
19をアンテナ切換スイッチ27の切換入力端子27A
に送出する。アンテナ切換スイッチ27は、コントロー
ラ45の制御に基づいて送信時と受信時でアンテナ26
に対する接続を切り換えるものであり、データ送信時に
は切換入力端子27A側に切り換え、データ受信時には
切換入力端子27B側に切り換える。これによりアンテ
ナ26を介して送信信号S19を送信し得る。
【0112】一方、無線通信ユニット16はデータ受信
時にアンテナ26を介して受信した受信信号S20を切
換スイッチ27の切換入力端子27Bを介して受信アン
プ(一般にはLNA(Low Noise Amplifier) と呼ばれ
る)39に送出する。受信アンプ39は、受信信号S2
0を所定レベルに増幅した後に周波数変換回路40に送
出する。
【0113】周波数変換回路40は乗算器で構成されて
おり、PLLシンセサイザ37から供給される局部発振
信号S21を受信信号S20に乗算することにより、中
間周波数の受信信号S22を生成し、これを復調手段と
してのOFDM復調部48のシリアル/パラレル変換回
路41に送出する。
【0114】シリアル/パラレル変換回路41は、シリ
アルデータ列の受信信号S22をパラレルデータ列に変
換し、その結果得られる受信信号S23を高速フーリエ
変換回路(FFT)42に送出する。高速フーリエ変換
回路42は、受信信号S23に対して高速フーリエ変換
処理を施すことによって受信信号S24を生成し、これ
をパラレル/シリアル変換回路43に送出する。パラレ
ル/シリアル変換回路43は、受信信号S24をシリア
ルデータ列の受信信号S25に戻し、これをDQPSK
復調回路44に送出する。
【0115】すなわちOFDM復調部48は、シリアル
/パラレル変換回路41によって有効データ部分を抽出
して受信波形を周波数間隔f0 毎に取り込んでパラレル
データに変換し、高速フーリエ変換回路42によって高
速フーリエ変換処理を施してOFDM方式の復調を行
う。
【0116】DQPSK復調回路44は、受信信号S2
5に対してDQPSK復調処理を施して送信データS1
0と同一の受信データS26を復元し、これを通信コン
トローラ30に送出する。通信コントローラ30は、受
信データS26に含まれている誤り訂正コード、たとえ
ば、CRCコードに基づいて誤り検出した後、データが
正しい場合に受信データS26をデータ端末装置15に
出力し、データが正しくない場合には受信データS26
をデータ端末装置15に出力しない。
【0117】無線通信ユニット16においては、全体の
動作がコントローラ45によって制御される。すなわち
無線通信ユニット16は、データ送信及びデータ受信を
コントローラ45からの指令に基づいて行い、通信コン
トローラ30が送信データS10又は受信データS26
の受渡しをデータ端末装置15との間で行う。
【0118】この無線LANシステム10においては、
1フレームを送信単位としてTDMA方式によってデー
タを送信する。すなわち通信制御端末装置12は、図8
に示すフレームフォーマットに基づいて、フレームの先
頭部分における時点t0 のタイミングで送信する1シン
ボルにはシステム間の同期をとるための同期獲得用の第
1のPN符号S49PN1 を送信した後、指定された送信
割り当て時間に基づく時点t5 のタイミングで第2のP
N符号S49PN2 を送信し、通信端末装置11A及び1
1Bは時点t7 及び時点t9 のタイミングで第2のPN
符号S49PN2を送信する。
【0119】第1のPN符号S49PN1 に続く管理デー
タ領域は、通信制御端末装置12から通信端末装置11
A、11Bに対して送信要求を問い合わせるポーリング
(Pallin)データや、当該通信端末装置11A、11B
からの送信要求を表すアクノーリッジ(Acknoledge)デ
ータ、さらに通信端末装置11A及び11Bに対する送
信割り当て時間を表す時間データや受信電界強度を調整
するための指令データ等の制御情報を送受信するための
領域である。
【0120】第2のPN符号S49PN2 に続いて送信さ
れるパケットデータ領域は、通信制御端末装置12、通
信端末装置11A及び11Bがメッセージデータである
情報データS9にCRCコードを付加して生成したパケ
ットデータを送信するためのデータ領域である。なお、
パケットデータとしては、少なくとも3[ μsec]以上で
かつ4[msec]以下の所定時間内でパケット長を可変とし
ている。
【0121】このように通信制御端末装置12は、図2
のフレームフォーマットに従ってTDMA方式によって
データを伝送するために、無線通信ユニット16に資源
情報格納部25と、タイマ46とを設けている。
【0122】無線通信ユニット16においては、時点t
0 のタイミングで第1のPN符号S49PN1 を送信した
ときを基準としてタイマ46によって1フレーム分の時
間を順次カウントすることにより、コントローラ45は
次の1フレームの先頭における時点t0 のタイミングを
検出し、常時一定の時間間隔で第1のPN符号S49PN
1 を送信する。
【0123】これによりコントローラ45は、第1のP
N符号S49PN1 に続いて管理データ領域の中でポーリ
ングデータを送信し、通信端末装置11A、11Bの無
線通信ユニット14A、14Bから送信要求を表すアク
ノーリッジデータが送られてきた場合、当該アクノーリ
ッジデータがアンテナ26で受信されて周波数変換され
た後、OFDM復調及びDQPSK復調処理されて通信
コントローラ30を介してコントローラ45に送信要求
が供給される。
【0124】コントローラ45は、送信要求と資源情報
格納部25の通信資源残量すなわち残っているタイムス
ロット情報とに基づいて、通信端末装置11A、11B
に対する送信割り当て時間を決定する。そしてコントロ
ーラ45は、送信割り当て時間を表す制御情報を送信デ
ータS10として、通信コントローラ30からDQPS
K変調回路31及びOFDM変調部47に供給すること
により変調処理を施し、送信信号S19としてアンテナ
26から通信端末装置11A、11Bに送信する。
【0125】(3)通信端末装置の無線通信ユニット 図15を参照して、通信端末装置11A及び11Bに設
けられている無線通信ユニット14A及び14Bについ
て説明する。無線通信ユニット14A及び14Bは、基
本的に同一の回路構成であることにより、以降の説明に
おいては無線通信ユニット14Aについてのみ説明す
る。
【0126】無線通信ユニット14Aは通信コントロー
ラ51を有し、当該通信コントローラ51を介してデー
タ端末装置13Aとデータの交換を行う。通信コントロ
ーラ51はデータ端末装置13Aから送られてくる情報
データS29に対して、誤り検出用のCRCコードを付
加して送信データS30を生成し、これをDQPSK変
調回路52に送出する。DQPSK変調回路52は送信
データS10に対してDQPSK変調処理を施して送信
信号S31を生成し、これを変調手段としてのOFDM
変調部70のシリアル/パラレル変換回路53に送出す
る。
【0127】シリアル/パラレル変換回路53はシリア
ルデータ列の送信信号S31をパラレルデータ列の送信
信号S32に変換し、これを逆高速フーリエ変換回路5
4に送出する。逆高速フーリエ変換回路54は送信信号
S32に対して逆高速フーリエ変換処理を施して当該送
信信号S32を周波数領域のデータにマッピングし、そ
の結果得られる送信信号S33をパラレル/シリアル変
換回路55に送出する。
【0128】パラレル/シリアル変換回路55はパラレ
ルデータ列で供給される送信信号S33をシリアルデー
タ列に戻すことにより送信信号S34を生成し、これを
切換スイッチ56の第1の切換入力端子56Aに供給す
る。切換スイッチ56の第2の切換入力端子56Bに
は、第2のPN符号発生部68によって生成された第2
のPN符号S49PN2 が供給されている。第2の符号系
列生成手段としての第2のPN符号発生部68は、通信
制御端末装置12の無線通信ユニット16で用いられた
第2のPN符号発生部49Bと同一の回路構成である。
【0129】第2のPN符号S49PN2 とは、上述した
ように通信端末装置11A及び11Bが指定された送信
割り当て時間に従ってデータ通信を行う際、受信側で復
調するときの復調タイミングを指示する同期獲得用のP
N符号であり、当該通信端末装置11A及び11Bがパ
ケットデータを送信する直前に送信する。
【0130】切換スイッチ56は、復調タイミングを指
示する同期信号として第2のPN符号S49PN2 を送信
する場合、コントローラ72の制御に基づいて切換入力
端子56Bに切り換えて第2のPN符号S49PN2 を出
力し、それ以外の場合には切換入力端子56Aに切り換
えて送信信号S34を出力する。
【0131】切換スイッチ56は、送信信号S34及び
第2のPN符号S49PN2 を出力信号S35として、周
波数変換回路57、パワーアンプ59、アンテナ切換ス
イッチ60及びアンテナ61からなる第2の送信手段に
入力する。
【0132】第2の送信手段の周波数変換回路57は乗
算器で構成され、PLLシンセサイザ58から供給され
る局部発振信号S36を出力信号S35に乗算すること
により、所定周波数に周波数変換した送信信号S37を
生成し、これをパワーアンプ59に送出する。なお送信
信号S37の周波数としては、この場合も準マイクロ波
帯の2.4[GHz]、5.7[GHz]あるいは19[GHz] 帯を用いる。
【0133】パワーアンプ59は、送信信号S37を所
定の電力レベルに増幅し、その結果得られる送信信号S
38をアンテナ切換スイッチ60の切換入力端子60A
に供給する。アンテナ切換スイッチ60は、コントロー
ラ72の制御に基づいて送信時と受信時でアンテナ61
に対する接続を切り換えるものであり、データ送信時に
は切換入力端子60A側に切り換え、データ受信時には
切換入力端子60B側に切り換える。これによりアンテ
ナ61を介して送信信号S38を送信し得る。
【0134】無線通信ユニット14Aは、データ受信時
にアンテナ61、アンテナ切換スイッチ60、受信アン
プ62及び周波数変換回路63からなる受信手段に入力
する。無線通信ユニット14Aは、アンテナ61を介し
て受信した受信信号S39を切換スイッチ60の切換入
力端子60Bを介して受信アンプ62に送出する。受信
アンプ62は、受信信号S39を所定レベルに増幅した
後に周波数変換回路63に送出する。
【0135】周波数変換回路63は乗算器で構成され、
PLLシンセサイザ58から供給される局部発振信号S
40を受信信号S39に乗算することにより、中間周波
数の受信信号S41を生成し、これを復調手段としての
OFDM復調部71のシリアル/パラレル変換回路64
に送出する。
【0136】シリアル/パラレル変換回路64は、受信
信号S41をパラレルデータ列に変換し、その結果得ら
れる受信信号S42を高速フーリエ変換回路(FFT)
65に送出する。高速フーリエ変換回路65は、受信信
号S42に対して高速フーリエ変換処理を施すことによ
って受信信号S43を生成し、これをパラレル/シリア
ル変換回路66に送出する。パラレル/シリアル変換回
路66は、受信信号S43をシリアルデータ列の受信信
号S44に戻し、これをDQPSK復調回路67に送出
する。
【0137】DQPSK復調回路67は、受信信号S4
4に対してDQPSK復調処理を施して送信データS1
0と同一の受信データS45を復元し、これを通信コン
トローラ51に送出する。通信コントローラ51は、受
信データS45に含まれているCRCコードに基づいて
誤り検出した後、データが正しい場合に受信データS4
5をデータ端末装置13Aに出力し、データが正しくな
かった場合には受信データS45をデータ端末装置13
Aに出力しない。
【0138】無線通信ユニット14Aにおいては、全体
の動作がコントローラ72によって制御される。すなわ
ち無線通信ユニット14Aは、データ送信及びデータ受
信をコントローラ72からの指令に基づいて行い、通信
コントローラ51が送信データS30又は受信データS
45の受渡しをデータ端末装置13Aとの間で行う。
【0139】この場合、通信端末装置11Aにおいて
は、図2のフレームフォーマットに基づいて、1フレー
ムの先頭部分における時点t0 のタイミングで通信制御
端末装置12の無線通信ユニット16から同期獲得用の
第1のPN符号S49PN1 が送られてきた後、指定され
た送信割り当て時間に基づく時点t7 のタイミングで第
2のPN符号S49PN2 を送信し、時点t9 のタイミン
グで通信端末装置11Bから送られてくる第2のPN符
号S49PN2 を受信する。
【0140】すなわち、通信端末装置11Aの無線通信
ユニット14Aは、フレームの時点t7 のタイミングで
切換スイッチ56を切換入力端子56B側に切り換える
ことにより、時点t7 のタイミングで1シンボルの第2
のPN符号S49PN2 を出力し、時点t8 のタイミング
で切換スイッチ56を切換入力端子56A側に切り換え
ることにより、パケットデータでなる送信信号S34を
出力する。
【0141】このようなフレーム構造のTDMA方式に
よって相手装置からのデータを受信して正確に復調する
ために、通信端末装置11Aは無線通信ユニット14A
に第1の相関検出回路69、第2の相関検出回路70及
びタイマ71を設けている。
【0142】通信端末装置11Aの無線通信ユニット1
4Aは、フレームの先頭における時点t0 のタイミング
で通信制御端末装置12の無線通信ユニット16から送
られてくる第1のPN符号S49PN1 をアンテナ61を
介して受信し、周波数変換回路63によって周波数変換
処理を施した後に受信信号S41として第1の相関検出
回路69及び第2の相関検出回路70に送出する。
【0143】無線通信ユニット14Aは、続いて送られ
てくる第2のPN符号S49PN2 をアンテナ61を介し
て受信し、周波数変換回路63によって周波数変換処理
を施した後に受信信号S41として第1の相関検出回路
69及び第2の相関検出回路70に送出する。
【0144】相関検出手段としての第1の相関検出回路
69では、受信した符号系列と予め内部で設定しておい
た符号系列との相関値を検出しており、高い相関値が得
られたときに第1のPN符号S49PN1 を受信したと判
定し、このとき検出信号S46をタイマ71に送出す
る。
【0145】図16に示すように、第1のPN符号S4
9PN1 は1周期分だけが送られてきており、これにより
送られてきた第1のPN符号S49PN1 の前後には一切
データは存在しない。
【0146】従って第1の相関検出回路69は、第1の
PN符号S49PN1 が送られてきたタイミングで当該第
1のPN符号S49PN1 を最初から全て順番通りに格納
して相関検出を行うことができるので、第1のPN符号
S49PN1 を受信したと判定したタイミングで検出信号
S46をタイマ71に送出することができる。
【0147】相関検出手段としての第2の相関検出回路
70も、第1の相関検出回路69と同様に受信した符号
系列と予め内部で設定しておいた符号系列との相関値を
検出しており、高い相関値が得られたときに第2のPN
符号S49PN2 を受信したと判定し、このとき検出信号
S47をタイマ71に送出する。
【0148】この場合も第2のPN符号S49PN2 は1
周期分だけが送られてきており、これにより送られてき
た第2のPN符号S49PN2 の前後には一切データは存
在しない。従って第2の相関検出回路70は、第2のP
N符号S49PN2 が送られてきたタイミングで当該第2
のPN符号S49PN2 を最初から全て順番通りに格納し
て相関検出を行うことができるので、第2のPN符号S
49PN2 を受信したと判定したタイミングで検出信号S
47をタイマ71に送出することができる。
【0149】タイマ71は、第1の相関検出回路69か
ら供給された検出信号S46に基づいてOFDM復調部
71の高速逆フーリエ変換回路65による高速逆フーリ
エ変換処理を開始するタイミング情報S50をコントロ
ーラ72に送出する。
【0150】これによりコントローラ72は、タイミン
グ情報S50に基づいて高速逆フーリエ変換回路65に
よる高速逆フーリエ変換処理を開始させることにより、
高速逆フーリエ変換回路65に受信信号S42のパラレ
ルデータ列が全て入力されたタイミングで高速逆フーリ
エ変換処理を行うことができる。かくしてOFDM復調
部71は、第1のPN符号S49PN1 に続いて受信した
管理データ領域の制御情報を正確な復調タイミングでO
FDM復調し得る。
【0151】タイマ71は、第2の相関検出回路70か
ら供給された検出信号S47に基づいてOFDM復調部
71の高速逆フーリエ変換回路65による高速逆フーリ
エ変換処理を開始するタイミング情報S51をコントロ
ーラ72に送出する。
【0152】これによりコントローラ72は、タイミン
グ情報S51に基づいて高速逆フーリエ変換回路65に
よる高速逆フーリエ変換処理を開始させることができ、
かくしてOFDM復調部71によって第2のPN符号S
49PN2 に続いて受信したパケットデータ領域のパケッ
トデータを正確な復調タイミングでOFDM復調し得
る。
【0153】タイマ71は、図17に示すように検出信
号S46を基準にして当該検出信号S46から所定時間
後に送られてくるはずの第2のPN符号S49PN2 のタ
イミングを予め予測し、そのタイミング情報TS1をコ
ントローラ72に送出する。これによりコントローラ7
2は、タイミング情報TS1のタイミングとタイミング
情報S51のタイミングとを比較して、両者のタイミン
グが大きく離れている場合には第2の相関検出回路70
によって検出された検出信号S47が誤検出であると判
断し、このときタイミング情報S51に基づいて高速逆
フーリエ変換処理を行わないように制御する。
【0154】(4)動作及び効果 以上の構成において、本発明の無線LANシステム10
は図18の通信シーケンスに示すように、通信制御端末
装置12が時点t0 のタイミングでシステム間の同期を
とるための第1のPN符号S49PN1 を通信端末装置1
1A及び11Bに対して送出し、続く時点t1 のタイミ
ングで送信要求があるか否かを問い合わせるためのポー
リングデータを通信端末装置11A及び11Bに対して
送出する。
【0155】これを受けた通信端末装置11Aは、時点
t2 のタイミングで応答信号であるアクノリッジデータ
を通信制御端末装置12に対して返答する。また通信端
末装置11Bは、時点t3 のタイミングでアクノリッジ
データを通信制御端末装置12に対して返答する。
【0156】ここで、例えば通信端末装置11Aが通信
端末装置11Bに対してデータ伝送する旨の送信要求を
送り、また通信端末装置11Bが通信端末装置11Aに
対してデータ伝送する旨の送信要求を送った場合、通信
制御端末装置12は受け取った送信要求に基づいて送信
割り当て時間を決定し、これを制御情報として時点t4
のタイミングで通信端末装置11A及び通信端末装置1
1Bに対してそれぞれ送信する。
【0157】この場合の通信制御端末装置12は自身の
メッセージデータを送信する送信開始タイミングを時点
t5 と決定し、通信端末装置11Aの送信開始タイミン
グを時点t7 と決定し、通信端末装置11Bの送信開始
タイミングを時点t9 と決定する。
【0158】すなわち通信制御端末装置12は、通信端
末装置11A及び通信端末装置11Bに対してメッセー
ジデータを送信する場合、時点t5 のタイミングで第2
のPN符号S49PN2 を通信端末装置11A及び通信端
末装置11Bに対してそれぞれ伝送し、続く時点t6 の
タイミングでパケットデータを通信端末装置11A及び
通信端末装置11Bに対してそれぞれ伝送する。
【0159】また通信端末装置11Bは、時点t9 のタ
イミングになると通信端末装置11Aに対して第1のP
N符号S49PN1 を送信した後、続く時点t10のタイミ
ングでパケットデータを通信端末装置11Aに対して伝
送する。なお通信端末装置11A及び通信端末装置11
Bにおける時点t7 及び時点t9 のタイミングは、第1
のPN符号S49PN1 を受信したタイミングを基準にし
て決定される。
【0160】この場合、通信制御端末装置12の無線通
信ユニット16は、フレームの先頭における時点t0 の
タイミングで切換スイッチ35を切換入力端子35B側
に切り換えることにより、時点t0 のタイミングで1シ
ンボルの第1のPN符号S49PN1 を出力し、時点t1
のタイミングで切換スイッチ35を切換入力端子35A
側に切り換えることにより、ポーリングデータでなる送
信信号S14を出力する。
【0161】無線通信ユニット16は、フレームの時点
t5 、t7 、t9 のタイミングで切換スイッチ35を切
換入力端子35B側に再度切り換えることにより、時点
t5のタイミングで1シンボルの第2のPN符号S49P
N2 を出力し、時点t6 、t8 、t10のタイミングで切
換スイッチ35を切換入力端子35A側に切り換えるこ
とにより、パケットデータでなる送信信号S14を出力
する。
【0162】このように無線LANシステム10では、
まずフレームの先頭で通信制御端末装置12から同期獲
得用の第1のPN符号S49PN1 を通信端末装置11A
及び11Bに対して送信することにより制御端末と通信
端末装置11A及び11B間の同期を確立する。
【0163】そして通信端末装置11A及び11B間で
相互にデータ通信を行う場合、通信端末装置11Aは、
送信割り当て時間に従った所定のタイミングで復調タイ
ミングを示す第2のPN符号S49PN2 を通信端末装置
11Bに対して送信した後に続けてパケットデータを送
信し、通信端末装置11Bはその後の送信割り当て時間
に従った所定のタイミングで第2のPN符号S49PN2
を通信端末装置11Aに対して送信した後に続けてパケ
ットデータを送信する。
【0164】この場合、例えば通信端末装置11Aは第
2の相関検出回路70によって第2のPN符号S49PN
2 を検出したタイミングで、OFDM復調部71の高速
フーリエ変換回路65による高速フーリエ変換処理を開
始させる。このとき第2のPN符号S49PN2 は1周期
分だけが送られてきていることにより、第2の相関検出
回路70は受信した符号系列と予め内部で設定しておい
た符号系列との間で位相ずれが生じることがないので、
受信した符号系列をシフトレジスタSR1 〜SR4に格
納したタイミングで相関検出処理を1回行えば第2のP
N符号S49PN2 を受信したか否かを判定することがで
きる。
【0165】従って通信端末装置11Aは、受信した符
号系列が第2のPN符号S49PN2であると判定したタ
イミングで第2のPN符号S49PN2 に続くパケットデ
ータを復調することにより、通信制御端末装置12と通
信端末装置11Aとの距離に応じた遅延時間Δt1に係
わらず常に正確に復調することができ、かくしてビット
誤りを低減することができる。
【0166】ところで通信端末装置11Aは、システム
間の同期を合わせたタイミングから所定時間後に送られ
てくるはずの第2のPN符号S49PN2 のタイミング情
報TS1をタイマ71によって予め予測しておくように
したことにより、第2のPN符号S49PN2 を受信した
と判定したタイミングがタイミング情報TS1による予
測タイミングと大きく異なる場合には第2のPN符号S
49PN2 を誤検出したと判定する。このとき通信端末装
置11Aは、コントローラ72の制御に基づいてOFD
M復調部71の高速フーリエ変換回路65による高速フ
ーリエ変換処理を行わないことにより、データの復調誤
りを未然に防止することができる。
【0167】また無線LANシステム10では、パケッ
トデータを送信する前に復調タイミングを指示するため
の120チップでなる第2のPN符号S49PN2 を送信
することにより、メッセージデータの送信容量を増やし
て効率の良いデータ通信を実行することができる。
【0168】また無線LANシステム10では、TDM
A方式を用いて所定の送信割り当て時間に従ってデータ
通信を行うと共に、通信制御端末装置12から通信端末
装置11A及び11Bに対してポーリングデータを送信
して送信要求を確認するようにしたことにより、当該通
信端末装置11A及び11Bによる同時送信を確実に防
止することができ、かくしてシステムの信頼性をより向
上させることができる。
【0169】さらに無線LANシステム10では、第2
のPN符号S49PN2 を誤検出したにも係わらず復調処
理してしまうことが万が一生じた場合でも、パケットデ
ータがメッセージデータにCRCコードが付加されて形
成されていることにより、当該CRCコードに基づいて
誤り検出することができ、誤った復調結果を出力するこ
とを未然に防止することができる。
【0170】ところで図19に示すように、無線LAN
システム10は近接した位置に、通信制御端末装置9
1、通信端末装置92A及び92Bからなる他の無線L
ANシステム90が存在していた場合、無線LANシス
テム10の通信端末装置11Bに対して無線LANシス
テム90の通信制御端末装置91から送信される電波が
干渉波となる。
【0171】ところが図20に示すように無線LANシ
ステム10及び90においては、互いに位相の異なる第
1のPN符号を使用してシステム間の同期を確立すると
共に、互いに位相の異なる第2のPN符号を使用してパ
ケットデータを送信すれば、通信端末装置11Bは無線
LANシステム10の第1のPN符号及び第2のPN符
号を検出しても、無線LANシステム90において用い
られている第1のPN符号及び第2のPN符号を検出す
ることはできないので、干渉波が存在してもデータ通信
に支障をきたすことはない。
【0172】以上の構成によれば、無線LANシステム
10は通信制御端末装置12からフレームの先頭でフレ
ーム同期獲得用に第1のPN符号S49PN1 を送信し、
通信端末装置11A(又は11B)から送信割り当て時
間に従った所定のタイミングで復調タイミングを示す第
2のPN符号S49PN2 を送信した後にユーザ情報であ
るパケットデータを送信するようにしたことにより、受
信した通信端末装置11B(又は11A)はシステム間
のフレーム同期を確立した後に所定のタイミングで送ら
れてくるパケットデータを短時間で常時正確に復調する
ことができる。
【0173】(5)他の実施の形態 上述の実施の形態においては、第1のPN符号発生部4
9A及び第2のPN符号発生部49Bによって生成した
符号系列P10に基づいて同一系列パターンでかつ互い
に位相の異なった第1のPN符号S49PN1 及び第2の
PN符号S49PN2 を生成して用いるようにした場合に
ついて述べたが、本発明はこれに限らず、系列パターン
が互いに異なる第1のPN符号S49PN1 及び第2のP
N符号S49PN2 を生成して用いるようにしても良い。
【0174】この場合、第2のPN符号発生部49Bに
おいては第1のPN符号S49PN1の系列パターンとは
異なる第2のPN符号S49PN2 を発生するために、5
ビット遅延回路49Dは必要なくなり、シフトレジスタ
SR2とSR4の出力を排他的論理和回路EXOR1及
び2に供給するようにしてタップ位置を変更するだけで
簡単に構成することができる。
【0175】また上述の実施の形態においては、通信制
御端末装置12によって通信端末装置11A及び11B
の間で行われるデータ通信を制御するようにした場合に
ついて述べたが、本発明はこれに限らず、通信端末装置
11A(又は11B)によって通信制御端末装置12と
通信端末装置11B(又は11A)との間で行われるデ
ータ通信を制御するようにしても良い。
【0176】この場合、通信制御端末装置12、通信端
末装置11A及び11Bは、図16との対応部分に同一
符号を付して示す図21のように第1のPN符号S49
PN1及び第2のPN符号S49PN2 を発生するPN符号
発生回路101と、第1のPN符号S49PN1 を検出す
る第1の相関検出回路102、第2のPN符号S49PN
2 を検出する第2の相関検出回路103及び資源情報格
納部104を具えた無線通信ユニット100をそれぞれ
共通に有し、当該無線通信ユニット100を介して各装
置間でパケットデータを送信する前に必ず第2のPN符
号S49PN2 を送信すれば良い。また通信制御端末装置
12、通信端末装置11A及び11Bが全て共通の無線
通信ユニット100を有しておくようにしたことによ
り、通信状態の最も良好な通信端末装置によってデータ
通信を制御することができ、自由な端末の配置を可能に
することができる。
【0177】さらに上述の実施の形態においては、4段
のシフトレジスタSR1〜SR4で構成された第2のP
N符号発生部49Bにおいて15ビットの符号系列P1
0における位相を5ビット遅延回路D49によって5ビ
ットだけシフトするようにした場合について述べたが、
本発明はこれに限らず、1〜14ビットまでの任意のビ
ット数でシフトするようにしても良い。この場合、最大
で15種類のPN符号符号S49PN2 を生成することが
できる。
【0178】さらに上述の実施の形態においては、第1
のPN符号発生部49A及び第2のPN符号発生部49
Bにおいて15ビットの符号系列P10を生成し、当該
符号系列P10に基づいて120チップの第1のPN符
号S49PN1 及び第2のPN符号S49PN2 を発生する
ようにした場合について述べたが、本発明はこれに限ら
ず、任意のチップ数でなる第1のPN符号S49PN1 及
び第2のPN符号S49PN2 を発生するようにしても良
い。
【0179】
【発明の効果】本発明のアンテナダイバーシティ方法と
装置によれば、OFDM方式により変調されたダイバー
シティ用データについて逆周波数変換して、たとえば、
高速フーリエ変換して、サブキャアのエネルギーを算出
し、そのエネルギーと所定のエネルギーレベルと比較し
て、所定のエネルギーレベル以上のエネルギーを与える
サブキャリアの本数が多いアンテナが最良の受信状態に
あるアンテナとして選択し、そのアンテナを使用してよ
り正確な通信が可能となる。
【0180】また本発明によれば、ダイバーシティ用デ
ータをデータ伝送のフレーム・フォーマットの任意の位
置に埋め込んで送信し、受信側でそのダイバーシティ用
データを検出して受信状態を評価して最適なアンテナを
選択するので、データ伝送効率を低下させずに、最適な
アンテナを使用して通信が可能となる。
【0181】さらに、本発明による、受信電力強度評価
法と周波数特性評価法とを組み合わせた方法および装置
によれば、最良の受信状態のアンテナを選択できる。
【0182】本発明によれば、上述した受信状態で通信
を行うことを前提として、通信端末は制御端末から送ら
れてきた第1の符号系列に基づいて当該制御端末との同
期を確立し、その後に送信信号の復調タイミングを表す
第2の符号系列を他の通信端末に送信した後、当該第2
の符号系列に続いて送信信号を他の通信端末に送信する
ようにしたことにより、他の通信端末は第2の符号系列
を受信して得た復調タイミングに基づいて復調処理を開
始すれば受信した送信信号を常時正確に復調し得る無線
通信方法を実現できる。
【0183】さらに、制御端末が同期を確立するための
第1の符号系列を生成して複数の通信端末に送信するこ
とにより複数の通信端末との同期を確立し、その後通信
端末が他の通信端末に対して送信信号の復調タイミング
を表す第2の符号系列を送信した後、情報データに基づ
いて変調した送信信号を送信することにより、他の通信
端末は第2の符号系列を受信して得た復調タイミングに
基づいて復調処理を開始すれば受信した送信信号を常時
正確に復調し得る無線通信システムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の実施の形態としての無線LAN
システムの全体構成を示す図である。
【図2】図2は図1の無線LANシステムのデータ伝送
に用いるフレームフォーマットを示す図である。
【図3】図3は図1の無線LANシステムで適用するO
FDM方式のサブキャリアを示す略線図である。
【図4】図4は本発明のアンテナダイバーシティ方式の
第1実施の形態としてのダイバーシティ用データの配置
を示す図である。
【図5】図5は図4の図解した方法で送信されたダイバ
ーシティ用データを評価し、最適なアンテナを選択する
回路構成図である。
【図6】図6は図5に図解した信号処理手段の回路構成
例を示す図である。
【図7】図7は図1の無線LANシステムにおいて適用
するOFDM方式のシンボル構成を示す図である。
【図8】図8は図6の信号処理手段の演算結果を示すグ
ラフである。
【図9】図9は本発明のアンテナダイバーシティ方式の
第2実施の形態としてのダイバーシティ用データの配置
を示す図である。
【図10】図10は図9の図解した方法で送信されたダ
イバーシティ用データを評価し、最適なアンテナを選択
する回路構成図である。
【図11】図11は図1に図解した通信制御端末装置の
無線通信ユニットの構成を示すブロック図である。
【図12】図12は図11に図解した部分回路構成を示
し、OFDM方式の信号処理の説明に使用する図であ
る。
【図13】図13は第1のPN符号発生部の構成を示す
ブロック図である。
【図14】図14は第2のPN符号発生部の構成を示す
ブロック図である。
【図15】図15は通信端末装置の無線通信ユニットの
構成を示すブロック図である。
【図16】図16は1周期分の第1のPN符号を示す略
線図である。
【図17】図17はタイマのカウントタイミングを示す
略線図である。
【図18】図18は通信シーケンスを示すシーケンスチ
ャートである。
【図19】図19は異なる無線LANシステムが混在す
る場合を示す図である。
【図20】図20は干渉波による受信状態を示す図であ
る。
【図21】図21は他の実施の形態による無線通信ユニ
ットの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
10……無線LANシステム、 11A、11B……通信端末装置、 12……通信制御端末装置、 14A、14B……無線通信ユニット、 21A、21B……アンテナ切換部、 211・・切り換えスイッチ 212・・高周波増幅回路 213・・ダイバーシティ用データ検出回路 214・・信号処理手段 215・・評価手段 216・・切り換え制御部 217・・復調回路 218・・パケット再合成回路 25……資源情報格納部、 45、72……コントローラ、 47……OFDM変調部、 48……OFDM復調部、 49……PN符号発生回路、 25、71……タイマ、 77……第2の同期遅延回路、 78……特徴量抽出回路、 79……画素数判断回路。

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】直交周波数多重変調により複数のサブキャ
    リアに変調されたダイバーシティ用データを信号を複数
    のアンテナで受信し、 上記複数のアンテナで受信した上記無線送出されたダイ
    バーシティ用データのそれぞれについて、逆周波数変換
    処理を行い上記サブキャリアのエネルギーを算出し、 該算出したサブキャリアのエネルギーが所定レベルを越
    えたサブキャリアの本数が多いアンテナを選択する、 アンテナダイバーシティ方法。
  2. 【請求項2】上記ダイバーシティ用データはBPSKま
    たはQPSK変調されている、 請求項1記載のアンテナダイバーシティ方法。
  3. 【請求項3】上記逆周波数変換処理は高速フーリエ変換
    処理である、 請求項1記載のアンテナダイバーシティ方法。
  4. 【請求項4】複数のアンテナで受信した上記無線送出さ
    れたダイバーシティ用データのそれぞれについて受信電
    界強度を算出し、 複数のアンテナで受信した上記無線送出されたダイバー
    シティ用データのそれぞれについて、フーリエ変換を行
    い上記サブキャリアのエネルギーを算出し、 上記算出した受信電力強度が第1レベルを越えており、
    かつ、上記算出したサブキャリアのエネルギーが所定算
    出したサブキャリアのエネルギーが第2レベル以下の数
    が少ない、信号を受信したアンテナを選択する、 アンテナダイバーシティ方法。
  5. 【請求項5】上記算出した受信電力強度が第1レベルを
    越えていないときは、最大の受信電力強度の示してお
    り、かつ、上記算出したサブキャリアのエネルギーが所
    定算出したサブキャリアのエネルギーが第2レベル以下
    の数が少ない、信号を受信したアンテナを選択する、 請求項4記載のアンテナダイバーシティ方法。
  6. 【請求項6】上記ダイバーシティ用データはデータ伝送
    フォーマットの空き領域に挿入されて無線送出される、 請求項4記載のアンテナダイバーシティ方法。
  7. 【請求項7】上記ダイバーシティ用データはデータ伝送
    用制御信号である、 請求項4記載のアンテナダイバーシティ方法。
  8. 【請求項8】上記無線送出データはフレームごと行わ
    れ、当該フレームは、第1の同期獲得用データ格納領域
    と管理データ格納領域とからなる第1の部分、第2の同
    期獲得用データ格納領域と伝送すべきデータを格納する
    パケットデータ格納領域とで構成される第2の部分とを
    有し、 上記ダイバーシティ用データは上記管理データ格納領域
    の空き領域に挿入されている、 請求項6記載のアンテナダイバーシティ方法。
  9. 【請求項9】上記無線送出データはフレームごと行わ
    れ、当該フレームは、第1の同期獲得用データ格納領域
    と管理データ格納領域とからなる第1の部分、第2の同
    期獲得用データ格納領域と伝送すべきデータを格納する
    パケットデータ格納領域とで構成される第2の部分とを
    有し、 上記パケットデータ格納領域には圧縮されたデータが格
    納され、 上記ダイバーシティ用データは上記パケットデータ格納
    領域の空き領域に挿入され、 上記管理データ格納領域の空き領域に上記ダイバーシテ
    ィ用データが格納された上記パケットデータ格納領域の
    位置およびデータ量が格納されている請求項6記載のア
    ンテナダイバーシティ方法。
  10. 【請求項10】上記圧縮されたデータは画像圧縮方式で
    圧縮されたビデオ信号である、 請求項9記載のアンテナダイバーシティ方法。
  11. 【請求項11】送信装置と、受信装置と、上記送信装置
    と上記受信装置との間に介在する無線回線とを具備する
    無線通信システムにおけるアンテナダイバーシティ装置
    であって、 上記送信装置は、直交周波数多重変調により複数のサブ
    キャリアに変調されたダイバーシティ用データを送出
    し、 上記受信装置は、 上記無線回線を介して送信されて上記データを受信する
    複数のアンテナと、 上記複数のアンテナで受信した信号を切り換えて出力す
    る切り換え制御部と、 上記複数のアンテナで受信したダイバーシティ用データ
    のそれぞれについて、逆周波数変換処理を行い上記サブ
    キャリアのエネルギーを算出する信号処理手段と、 該算出したサブキャリアのエネルギーが所定レベルを越
    えたサブキャリアの本数が多いアンテナを選択する評価
    手段とを有し、上記切り換え制御部は上記評価手段で選
    択したアンテナを選択するアンテナダイバーシティ装
    置。
  12. 【請求項12】上記信号処理手段は高速フーリエ変換処
    理を行う、 請求項11記載のアンテナダイバーシティ装置。
  13. 【請求項13】上記送信装置は上記ダイバーシティ用デ
    ータをBPSK変調またはQPSK変調して送出する、 請求項11記載のアンテナダイバーシティ装置。
  14. 【請求項14】送信装置と、受信装置と、上記送信装置
    と上記受信装置との間に介在する無線回線とを具備する
    無線通信システムにおけるアンテナダイバーシティ装置
    であって、 上記送信装置は、直交周波数多重変調により複数のサブ
    キャリアに変調されたダイバーシティ用データを送出
    し、 上記受信装置は、 上記無線回線を介して送信されて上記データを受信する
    複数のアンテナと、 上記複数のアンテナで受信した信号を切り換えて出力す
    る切り換え制御部と、 上記複数のアンテナで受信した上記無線送出されたダイ
    バーシティ用データのそれぞれについて受信電界強度を
    算出し、かつ、上記複数のアンテナで受信した上記無線
    送出されたダイバーシティ用データのそれぞれについて
    逆周波数変換処理を行い上記サブキャリアのエネルギー
    を算出する信号処理手段と、 上記算出した受信電力強度が第1レベルを越えており、
    かつ、上記算出したサブキャリアのエネルギーが所定算
    出したサブキャリアのエネルギーが第2レベル以下の数
    が少ない、信号を受信したアンテナを選択する、評価手
    段とを有し、 上記切り換え制御部は上記評価手段で選択したアンテナ
    を選択するアンテナダイバーシティ装置。
  15. 【請求項15】上記評価手段は、上記算出した受信電力
    強度が第1レベルを越えていないときは、最大の受信電
    力強度の示しており、かつ、上記算出したサブキャリア
    のエネルギーが所定算出したサブキャリアのエネルギー
    が第2レベル以下の数が少ない、信号を受信したアンテ
    ナを選択する、 請求項14記載のアンテナダイバーシティ装置。
  16. 【請求項16】上記信号処理手段は高速フーリエ変換処
    理を行う、 請求項14記載のアンテナダイバーシティ装置。
  17. 【請求項17】上記送信装置は上記ダイバーシティ用デ
    ータをBPSK変調またはQPSK変調して送出する、 請求項14記載のアンテナダイバーシティ装置。
  18. 【請求項18】上記ダイバーシティ用データはデータ伝
    送フォーマットの空き領域に挿入されて無線送出され
    る、 請求項14記載のアンテナダイバーシティ装置。
  19. 【請求項19】上記ダイバーシティ用データはデータ伝
    送用制御信号である、 請求項14記載のアンテナダイバーシティ装置。
  20. 【請求項20】上記送信装置は上記無線送出データをフ
    レームごと伝送し、当該フレームは、第1の同期獲得用
    データ格納領域と管理データ格納領域とからなる第1の
    部分、第2の同期獲得用データ格納領域と伝送すべきデ
    ータを格納するパケットデータ格納領域とで構成される
    第2の部分とを有し、 上記ダイバーシティ用データは上記管理データ格納領域
    の空き領域に挿入されている、 請求項18記載のアンテナダイバーシティ装置。
  21. 【請求項21】上記送信装置は上記無線送出データをフ
    レームごと伝送し、当該フレームは、第1の同期獲得用
    データ格納領域と管理データ格納領域とからなる第1の
    部分、第2の同期獲得用データ格納領域と伝送すべきデ
    ータを格納するパケットデータ格納領域とで構成される
    第2の部分とを有し、 上記パケットデータ格納領域には圧縮されたデータが格
    納され、 上記ダイバーシティ用データは上記パケットデータ格納
    領域の空き領域に挿入され、 上記管理データ格納領域の空き領域に上記ダイバーシテ
    ィ用データが格納された上記パケットデータ格納領域の
    位置およびデータ量が格納されている請求項18記載の
    アンテナダイバーシティ装置。
  22. 【請求項22】上記圧縮されたデータは画像圧縮方式で
    圧縮されたビデオ信号である、 請求項21記載のアンテナダイバーシティ装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011220854A (ja) * 2010-04-09 2011-11-04 Koden Electronics Co Ltd 受信装置
WO2011158681A1 (ja) * 2010-06-14 2011-12-22 独立行政法人産業技術総合研究所 スペクトル拡散通信システム
JP2014240843A (ja) * 2014-08-25 2014-12-25 株式会社Kodenホールディングス 受信装置

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