JP2001145628A - 音波計測装置 - Google Patents

音波計測装置

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JP2001145628A
JP2001145628A JP32908999A JP32908999A JP2001145628A JP 2001145628 A JP2001145628 A JP 2001145628A JP 32908999 A JP32908999 A JP 32908999A JP 32908999 A JP32908999 A JP 32908999A JP 2001145628 A JP2001145628 A JP 2001145628A
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Japan
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sound wave
irradiation
light
transmitting
sound
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JP32908999A
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Hiromichi Horinaka
博道 堀中
Yoshio Cho
吉夫 張
Toshiyuki Matsunaka
敏行 松中
Shohei Hosomi
昌平 細美
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Aloka Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 超音波と光を組み合わせた新たな計測技術を
提供する。 【解決手段】 光ファイバ16を用い光源10の光を被
検体100にできるだけ均等に照射する。第1ロックイ
ンアンプ30の内部参照信号で送波振動子28aを駆動
し、向かい側の受波振動子28bで得られる受信信号を
その内部参照信号で同期検波して両者の位相差を求め
る。ライトチョッパ15で被検体100に対する光照射
を断続すると、光吸収による温度変化により被検体各部
の音速が変わり、振動子28a、28b間の音響的な距
離が変わり、第1ロックインアンプ30の位相差出力の
レベルが変化する。この変化を第2ロックインアンプ3
4でライトチョッパ15の断続に同期して検出すれば、
光照射の有無による被検体の音速変化が分かる。被検体
全周にわたって超音波ビームを走査し、各ビーム毎の音
速変化にCTの逆投影演算を適用することで、被検体の
光吸収分布の断層像が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超音波等の音波を
用いて生体その他の計測対象の物体内部の状態を計測す
るための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】医療分野で利用される超音波診断装置
は、超音波ビームを生体内に送波し、これに対する生体
内からのエコーを検知してこれを画像化する。電子走査
方式などにより断層画像をリアルタイム表示する装置が
広く普及しており、体内の非侵襲的な診断に大きな威力
を発揮している。
【0003】広く普及している超音波診断装置には、B
モードやMモードなどのようにエコーの強さを輝度変調
などで画像化するものと、カラードプラなどのように反
射体の運動によるエコーのドプラシフト成分を画像化す
るものとがあり、これら両者の機能を併せ持つ装置もよ
く用いられている。
【0004】超音波診断装置は、リアルタイム画像の画
質向上や、画像からの血流量の算出その他の応用ソフト
ウエアの開発など、様々な面で進歩しつつある。
【0005】このように、超音波診断装置の進歩は続い
ているが、開発の方向性がある程度定まって来ており技
術的に成熟に近づいている面もある。超音波を利用した
新たな診断・計測の技法の模索が続いている。
【0006】そのような試みに、光と超音波の相互作用
を利用したものがある。その一つとして、生体に超音波
を透過させた状態で生体にコヒーレント光を照射し、超
音波によるその光の変調を、参照光とのビート信号によ
り検出し、これをもとに生体の断層像を形成しようとす
るものがある(M.Kemple,M.Larionov,D.Zaslavsky,and
A.Z.Genack;J.Opt.Soc.Am,A 14(1997)1151等)。また別
の試みとして、生体に光照射を行い、これにより吸収体
が発生した超音波を検出する方式が提案され、実験が行
われている(H.Nathel;Optics & Photonics News,27(19
99)28.等)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記Kempleらの
提案する方式は、相互作用の検出のために光のコヒーレ
ンスを利用しなければならないと言う問題がある。生体
内では、光は複雑に反射・散乱されるため、超音波によ
る変調成分だけを感度よく取り出すことは難しい。
【0008】また、Nathelの方式は、光吸収によ
り発生した超音波を検出するという方式なので、強力な
光を用いないと十分な大きさの信号が得られない。生体
内では光は拡散するので、そのような強力な光を供給す
ることには困難が予想される。また、この方式では、超
音波が広い範囲で発生するので、空間分解能を高めるこ
とが難しいと考えられる。
【0009】以上、生体計測の技術を例にとって超音波
利用装置の問題点を説明したが、生体計測以外の分野で
も、超音波を用いた計測技術に新しい展開が求められて
いる。
【0010】本発明は、このような見地に立ってなされ
たものであり、超音波を用いた従来にない新たな計測・
解析のための装置を提供することを目的とする。特に、
本発明は、超音波と、光などの他のエネルギーとの相互
作用を用いた新たな計測・解析技術を提供することを目
的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明に係る音波計測装置は、物体に所定エネルギ
ーを照射する照射手段と、物体内に音波を送波し、前記
物体からの透過音波又は反射音波を受波して受信信号を
出力する送受波手段と、前記エネルギーの照射時と非照
射時の前記音波送受波手段の受信信号に基づいて物体を
評価する評価手段と、を有することを特徴とする。
【0012】この構成では、エネルギーを照射すると、
物体内の各部が、そのエネルギーに対する各々の吸収特
性に応じてそのエネルギーを吸収する。そのエネルギー
をよく吸収する部位は、そうでない部位よりも大きな温
度上昇を示す。超音波を含む音波は、媒質の温度変化に
応じてその伝搬速度(音速)が変化する。エネルギー照
射時と非照射時とでは、物体の音波伝搬経路各部の温度
分布が異なっているので、受信信号に差が現れる。この
差を分析することで、当該物体のそのエネルギーに対す
る吸収性を評価できる。なお、照射するエネルギーは、
光、電波、超音波などを用いることができる。
【0013】本発明の好適な態様では、評価手段は、照
射時と非照射時の受信信号から、照射の有無による前記
物体の音速変化に対応する物理量を求め、この物理量に
基づき前記物体を評価する。この物理量は、例えば照射
時と非照射時の受信信号の位相差や、被検体を横切る超
音波の伝搬時間の差などである。音速変化は、音波伝搬
経路上の各部の温度変化に依存し、この温度変化は、そ
れら各部のエネルギー吸収特性に依存する。したがっ
て、求めた物理量は、物体の音波伝搬経路のエネルギー
吸収特性の評価のために利用できる。
【0014】また別の好適な態様では、送受波手段は、
音波パルスのビームを送波し、その反射波を受波して受
信信号を生成し、評価手段は、照射時と非照射時の受信
信号同士の比較により、ビーム上の各点ごとに照射の有
無による音速変化に対応する物理量を求める。
【0015】この態様では、パルスエコー法を用いるこ
とにより、ビーム上の深さ方向の分解能を得ることがで
きる。各反射体に対応する受信信号上の各パルスの位置
が、光照射の有無によりどのように変わるかを調べるこ
とにより、そのビーム上の各部の音速変化に関する情報
を得ることができる。この態様において、ビームを走査
し、その走査に従って、各ビームの音速変化の分布を合
成すれば、物体内各部のエネルギー吸収率の分布を示
す、2次元又は3次元の画像を得ることができる。
【0016】別の好適な態様では、音波ビームで物体を
走査したときの、ビーム走査方向に沿った前記物理量の
分布を表示する。
【0017】更に別の好適な態様では、そのビーム走査
方向に沿った物理量の分布から、例えばX線CTなどで
用いられる逆投影演算などを用いることで、ビーム走査
面についての断層画像を形成することができる。
【0018】また、別の好適な態様では、照射手段が照
射するエネルギーに対して吸収性が高い造影剤を物体に
注入し、この状態で送受波手段で超音波を送受してその
受信信号を解析することで、造影剤が集まりやすい特定
の部位が強調された物体の画像を構成することができ
る。
【0019】また、本発明の好適な態様では、送受波手
段のビーム走査により物体内各部の音波反射特性を表す
断層エコー画像を形成するエコー画像形成手段を有し、
評価手段は、物体各部のエネルギーの吸収率の分布を表
す断層像を前記断層エコー画像に重畳して表示する。音
波反射特性は、例えば反射強度やエコーに与えるドプラ
シフトなどのことであり、音波反射特性を表す画像には
従来の超音波診断装置のBモード断層像やカラードプラ
画像などが含まれる。この態様によれば、従来からの断
層画像の情報で確認した部位がどのようなエネルギー吸
収特性を示しているかなどを一目で確認できる。
【0020】また、本発明に係る音波計測装置は、物体
に対して、所定エネルギーを、照射強度を変化させなが
ら照射する照射手段と、物体内に音波を送波し、前記物
体からの透過音波又は反射音波を受波して受信信号を出
力する音波送受波手段と、前記照射手段によるエネルギ
ーの照射量の変化と前記音波送受波手段の受信信号の変
化との関係に基づいて物体を評価する評価手段とを含
む。
【0021】この構成によれば、照射強度の変化に応じ
た受信信号の位相等の変化から、物体のエネルギー吸収
に関する情報を得ることができる。
【0022】また、本発明に係る音波計測装置は、物体
に所定エネルギーを照射する照射手段と、物体内に音波
を送波し、前記物体からの透過音波又は反射音波を受波
して受信信号を出力する送受波手段と、前記照射手段に
よるエネルギー照射の影響下で前記音波送受波手段に音
波送受を行わせ、その受信信号に基づいて物体を評価す
る評価手段とを含む。
【0023】この構成で、「照射手段によるエネルギー
照射の影響下」とは、エネルギー照射により物体各部の
温度が、そのエネルギーの吸収特性に応じて上昇した
後、平衡状態まで下がりきっていない状態であり、必ず
しもエネルギー照射中でなくてもよい。このような状態
での音波送受の受信信号から、例えば物体の音波伝搬経
路上の音速を求めるなどの評価演算を行うことで、物体
のエネルギー吸収に関する評価を行うことができる。
【0024】また、本発明に係る超音波計測方法は、
(a)所定エネルギー照射時の物体に対して音波を送波
し、前記物体からの透過音波又は反射音波を受波して受
信信号を生成するステップと、(b)所定エネルギー非
照射時の物体に対して音波を送波し、前記物体からの透
過音波又は反射音波を受波して受信信号を生成するステ
ップと、(c)ステップ(a)で得られた受信信号とス
テップ(b)で得られた受信信号との比較により、前記
物体の前記音波の伝搬経路を評価するステップと、を含
む。
【0025】この方法によれば、物体のエネルギー吸収
に関する特性を、そのエネルギー吸収による温度上昇か
ら引き起こされる音速変化の影響を含んだ受信信号から
検出することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態(以下
実施形態という)について、図面に基づいて説明する。
【0027】発明者らは、生体にエネルギーを照射した
場合に、生体各部のエネルギー吸収特性の相違により各
部で温度上昇に差が生じることに着目した。この差によ
り生じた生体各部の温度の差は、超音波の伝搬速度、す
なわち音速の差として検出できる。そこで、本発明の実
施形態では、生体に対して比較的透過しやすく、しかも
安全なエネルギーとして近赤外線を利用し、これを生体
に照射した時の音速の変化を超音波プローブで検出する
こととした。
【0028】[実施形態1]図1は、本発明の第一の実
施形態の計測装置の概略構成を示す図である。この装置
は、大きく分けて、生体にエネルギーを与えるための光
照射機構と、エネルギー吸収による温度変化を音速変化
として検出するための超音波計測機構とからなる。
【0029】光照射機構は、光源10、色フィルタ1
2、電磁シャッター14、光ファイバ16から構成され
る。色フィルタ12は、光源10から発せられた光の中
から所望の近赤外線だけを透過させる。色フィルタ12
を通過した光は、電磁シャッタ14を介して多数の光フ
ァイバ16に入力される。電磁シャッター14は、、制
御・解析用コンピュータ20から供給されるシャッター
制御信号に応じて開閉される。
【0030】光ファイバ16群は、一端を結束バンド1
7で留められており、その結束部が電磁シャッタ14の
出射側に配設されている。各光ファイバ16の他端は、
それぞれ被検体100の周囲を取り巻くように分布配置
されている。したがって、結束部側から入射した近赤外
線は、光ファイバ16群によって被検体100の周囲各
部に導かれ、被検体100に向かって照射される。照射
された近赤外線200は、被検体100の内部を伝搬
し、被検体100内各部のその光に対する吸収特性に応
じて吸収される。例えば、病変部110に吸収されやす
い波長の光を選べば、照射によりその病変部110が他
より光エネルギーを多く吸収し、高い温度上昇を示す。
【0031】この構成では、光ファイバ16群で多数の
箇所から被検体100に向かって光を照射するので、被
検体100内各部に、できるだけ均一なエネルギー密度
で光を照射することができる。また、光ファイバ16を
用いることにより、被検体100の形状に合わせて適切
な光照射が可能となるという利点もある。
【0032】超音波計測機構は、パルス発生器22、高
周波パワーアンプ24、入出力切り替え回路26、振動
子28及びA/D変換器29を含む。パルス発生器22
は、制御・解析用コンピュータ20から与えられるトリ
ガ信号に従って高周波の電気パルスを発生する。このパ
ルスが高周波パワーアンプ24で増幅され、入出力切り
替え回路26を介して振動子28に供給される。振動子
28は、この電気パルスを機械的振動に変換し、超音波
パルスを発生する。振動子28は、音響レンズその他の
機構により超音波を絞ってビームとする能力を有する。
振動子28は、送受波兼用であり、送波した超音波に対
するエコーを検出してそれを電気信号(受信信号)に変
換する。また、振動子28は、走査機構(図示省略)に
より、被検体100の周りを所定範囲にわたって走査さ
れる。このような機構により、超音波ビーム210で被
検体100の所望の断層面を走査することができる。こ
のビーム走査は、制御・解析用コンピュータ20が生成
する走査制御信号に従って行われる。
【0033】入出力切り替え回路26は、振動子28の
送受信を切り替えるための機構である。この切り替えに
より、送信時には高周波パワーアンプ24から振動子2
8に駆動パルスが供給され、受信時には振動子28のエ
コー検出による高周波の受信信号が入出力切り替え回路
26を介してA/D変換器29に入力される。A/D変
換器29は、その受信信号をディジタル信号に変換し、
制御・解析用コンピュータ20に入力する。制御・解析
用コンピュータ20は、そのディジタル化された受信信
号を解析して、被検体100内各部の光吸収による温度
上昇を評価する。
【0034】本実施形態では、電磁シャッター14を閉
じて光照射を行っていないときと、電磁シャッター14
を開いて光照射を行っているときとで、それぞれ超音波
パルスの送受を行い、それぞれの場合の被検体内からの
エコーの受信信号同士を比較することにより、光照射に
よる被検体内各部の温度上昇を解析する。このための一
連の制御及び解析は、制御・解析用コンピュータ20に
よって実行される。その一連の処理手順は、例えば次の
ようになる(図2参照)。
【0035】制御・解析用コンピュータ20は、振動子
28を所定の走査開始位置まで移動させ、電磁シャッタ
ー14に対して開動作を指示する制御信号を送る(S1
0)。これにより、光源10の光が光ファイバ16を介
して被検体100に照射される。そして、この照射開始
から所定時間経過後にパルス発生器22に対してトリガ
信号を送り、振動子28に超音波パルスビームの送受を
行わせる(S12)。ここで、光照射開始から超音波送
受開始までの時間は、被検体100各部が十分な光エネ
ルギーを吸収するのに要する時間であり、予め実験等で
定めてコンピュータ20に設定しておく。そして、制御
・解析用コンピュータ20は、この超音波送受によって
得られた受信信号の波形を記憶する(S14)。このよ
うにして光照射時の超音波受信波形の記憶が終わると、
制御・解析用コンピュータ20は電磁シャッター14に
対して閉動作を指示する制御信号を送る(S16)。こ
れにより被検体100に対する光照射が停止される。こ
の照射停止から所定時間経過して被検体100が十分に
温度低下したところで、制御・解析用コンピュータ20
から超音波パルス出力が指示され、送受波が行われる
(S18)。そして、その超音波送受により得られた受
信信号の波形が制御・解析用コンピュータ20に記憶さ
れる(S20)。
【0036】制御・解析用コンピュータ20は、このよ
うにして取得した光照射時と非照射時の受信信号同士を
比較し、超音波ビーム上の各点の光照射の有無による音
速の変化を解析する(S22)。この解析処理の概念を
図3を参照して説明する。
【0037】周知のように、超音波は音響インピーダン
スの異なる組織同士の境界面で反射される。本実施形態
では、パルス状の超音波を送波するので、エコーの受信
信号は、超音波ビーム上の各境界での反射によるパルス
成分が重なったものとなり、振動子28に近い順に各境
界に対応した反射パルス(高振幅部)が現れる。図3の
(a)は、光を照射していないときの受信信号の波形を
模式的に示したものである。この例では、受信信号に
A,B,Cの3つの反射パルスが認められ、それらはそ
れぞれビーム経路上の強反射体(すなわち組織境界)に
対応している。これに対し(b)は光照射を行ったとき
の受信信号波形を示したものである。波形(b)には、
波形(a)と同じく3カ所の反射パルスが現れている
が、温度上昇による音速変化によりその位置(受信時
刻)が少しずつずれている。例えば、振動子28に近い
境界からの反射による反射パルスAは位置ずれが起きて
いないが、2、3番目のパルスB,Cには位置ずれが起
こっている。これから、振動子28からパルスAに対応
する組織境界までの間の組織は光照射による音速変化
(すなわち温度変化)がほとんど起こっていないのに対
し、それより深い組織では温度上昇による音速変化が起
こっていることが分かる。そこで、本実施形態では、非
照射時の受信信号波形と照射時の受信信号波形の比較か
ら、図3に示すように、光照射の有無による各反射パル
スの位置の差(位置ずれ)を表す信号(c)を求め、こ
の信号(c)から、反射が生じた組織の位置と、その組
織の内部での音速の変化を求める。
【0038】ここで、反射パルスの位置の変化は、超音
波がその反射点まで往復するのに要した時間の変化に対
応していると考えられる。その往復時間の変化は、超音
波の往復経路上の各組織の温度上昇による音速変化が重
畳したものと考えられる。したがって、隣り合う反射パ
ルス同士の位置ずれ量の差が、それら反射パルスが表す
境界同士の間の組織を超音波が往復するのに要する時間
の、光照射による変化に対応すると考えることができ
る。また、その組織の厚みは反射パルス同士の間隔に対
応する。従って、これらを総合すると、各組織の位置
と、光吸収による温度上昇によるそれら各組織の音速変
化を求めることができる。
【0039】S22では、このような原理に従った演算
処理により、超音波ビームに沿った各組織の光照射によ
る音速変化度の分布情報が得られる。
【0040】以上の処理により、光照射の有無による音
速変化のビーム方向に沿った分布が得られると、制御・
解析用コンピュータ20は、予定したビーム走査が完了
したかどうか検査し(S24)、完了していなければ振
動子28を1ビーム分移動させ(S26)、上記のS1
0からS22までの処理を繰り返す。これにより、各ビ
ーム毎に、それに沿った各組織の音速変化の分布情報が
得られる。これらを合成することにより、光照射による
音速変化の2次元分布が得られる。音速変化は、照射さ
れた光エネルギーの吸収特性に依存するので、得られた
2次元分布は、被検体断層面における光吸収特性の分布
と捉えることができる。
【0041】例えば、1ビームずつ、S26でそのビー
ム方向に沿った各反射点での音速変化の値を画像メモリ
に書き込んでいけば、ビーム走査により光吸収特性の2
次元分布を画像化することができる。
【0042】以上説明したように、本実施形態によれ
ば、光エネルギーの吸収特性から見た被検体の断層画像
を生成することができる。
【0043】本実施形態では、光は被検体組織の加熱の
ために用いるだけなので、照射する光のコヒーレンスは
必要でない。したがって、光照射機構を簡素な構造とす
ることができる。また、本実施形態では、被検体内で発
生する超音波ではなく振動子から放射した超音波の反射
波を受信するので、「従来の技術」で説明したNath
elの技術と比べて受信信号がはるかに強くなり、信号
処理が容易である。また、本実施形態では、走査方向に
ついて基本的に超音波ビームのビーム幅程度の、深さ方
向については従来の超音波診断装置と同等の分解能が得
られるので、Nathelの技術と比べて高い分解能が
得られる。
【0044】以上の例では、ビームを走査することによ
り2次元的な画像を得たが、走査せずに得られるビーム
方向の光吸収分布の情報だけでも、有益な診断情報とな
る。
【0045】また、このようにして得た光吸収の分布情
報は、画像表示だけでなく、生体組織の定量分析への利
用も期待される。
【0046】[実施形態2]上記実施形態1では、超音
波パルスを用いたのに対し、この第二の実施形態では連
続波の超音波を用いる。
【0047】図4は、実施形態の装置の概略構成を示す
図である。図4において、図1に示した構成要素に相当
する構成要素には同一の符号を付して説明を簡略化す
る。
【0048】この実施形態の装置も、実施形態1の装置
と同様、光照射機構と超音波計測機構から構成される。
本実施形態の光照射機構は、電磁シャッターの変わりに
ライトチョッパ15を用いる点を除いては、実施形態1
の構成と同様である。ライトチョッパ15は、光源10
から出力された光が光ファイバ16群に入射するのを、
所定周期で断続する。
【0049】超音波計測機構は、実施形態1とは異な
り、送波振動子28aと受波振動子28bを対向配置
し、前者から発した連続波の超音波ビームを後者で受波
する構成をとっている。送波振動子28a及び受波振動
子28bは、図示しない走査機構に取り付けられ、制御
・解析用コンピュータ20の走査制御信号に従って、対
向状態を維持したまま移動させられる。
【0050】本実施形態では、連続波の超音波を被検体
100に送波する。連続波ではパルスとは違って距離分
解能は得られないので、1送信ビームではそのビーム経
路についての音速変化のみを求める。そして、ビーム走
査を行って多数のビームについて音速変化の情報を求
め、それらの情報からCT(コンピュータ断層像)の逆
投影(バックプロジェクション)の手法を用いて断層画
像を構成する。
【0051】第1ロックインアンプ30の内部参照信号
を高周波パワーアンプ32で増幅し、これで送波振動子
28aを駆動する。内部参照信号としては、例えば5M
Hzの正弦波を用いる。これにより、送波振動子28a
からは内部参照信号と同じ周波数の連続波の超音波ビー
ム220が出力される。向かい側の受波振動子28b
は、被検体100内を伝搬した超音波を受信し、電気的
な受信信号に変換する。この受信信号は第1ロックイン
アンプ30に入力される。
【0052】第1ロックインアンプ30は、入力された
受信信号を内部参照信号で同期検波する。送波した超音
波は内部参照信号から生成したものなので、受波振動子
28bで得られる受信信号も基本的に内部参照信号と同
じ周波数になる。第1ロックインアンプ30で受信信号
を同期検波すると、受信信号と内部参照信号との位相差
の情報が得られる。この位相差の信号が、第1ロックイ
ンアンプ30の位相差出力から出力され、第2ロックイ
ンアンプ34に入力される。
【0053】ここで、被検体100に光を照射すると、
被検体100の温度が上昇するため音速が変化する。こ
の音速が変化するとこれに応じて波長が変わるので、温
度上昇の前後では受波振動子28bで受信した受信信号
の位相が変化する。したがって、光照射時と非照射時で
は被検体の温度が変化するので、第1ロックインアンプ
30の出力する位相差信号のレベルが異なってくる。
【0054】第2ロックインアンプ34には、ライトチ
ョッパ15の断続制御信号が外部参照信号として入力さ
れる。第2ロックインアンプ34は、この外部参照信号
を用いて、光照射時と非照射時での第1ロックインアン
プ30の位相差信号の変化(振幅)を求める。求められ
た位相差信号の振幅は、光照射時と非照射時の受信信号
の位相の差分に対応しており、光照射の有無による超音
波伝搬路の音速の変化を反映している。第2ロックイン
アンプ34の出力は制御・解析用コンピュータ20に入
力される。
【0055】制御・解析用コンピュータ20は、走査制
御信号により送波振動子28a及び受波振動子28bを
被検体100の周囲に沿って移動させ、これにより超音
波ビームを走査する。そして、各走査位置ごとに、第2
ロックインアンプ34から出力された光照射時と非照射
時の受信信号の位相変化の情報を記憶する。このように
して、被検体100の全周にわたって走査が完了する
と、各走査位置での位相変化に対し、X線CT等で周知
のバックプロジェクション・アルゴリズムを適用するこ
とにより、被検体100の断層像を形成する。
【0056】次に、図5を参照して、第1ロックインア
ンプ30と第2ロックインアンプ34の動作、すなわち
光照射の有無による音速変化の検出手法を説明する。
【0057】図5に示すように、第1ロックインアンプ
30の内部参照信号(a)は正弦波であり、送波振動子
28aからはこの正弦波に対応した超音波が出力され
る。超音波は、被検体各部の組織ごとに音速が異なって
も同一周波数で被検体内を伝搬する(血流等の運動体に
よる変調成分が若干加わるがレベルとしては小さい)。
したがって、受波振動子28bの受信信号波形は内部参
照信号に近い波形となる。光源10の光を被検体100
に照射しない時(非照射時)の受信信号と内部参照信号
との位相差を0に調整すると、このときの受信信号(b
1)は、内部参照信号とほぼ同位相同周波数の信号とな
る。したがって、受信信号と内部参照信号の位相差を求
める第1ロックインアンプ30の出力(b2)は、ほぼ
0で一定の信号となる。
【0058】一方、被検体100に光を照射すると、被
検体100内の各部がその光の吸収特性に応じた温度上
昇を示す。この温度上昇により被検体各部の音速が変化
する。この音速変化により、送波振動子28aと受波振
動子28bとの間の音響的な距離が変化し、これが受信
信号の位相変化として現れる。すなわち、光照射時の受
信信号(c1)は、内部参照信号(a)に対して位相が
ずれた、ほぼ同一周波数の信号となっている。したがっ
て、光照射時の第1ロックインアンプ30の出力(c
2)は、受信信号(c1)と内部参照信号(a)との位
相差を表すほぼ一定値の信号となる。
【0059】ここで、ライトチョッパ15により制御信
号(d)に従って被検体100に対する光照射を断続す
ると、その断続に応じて被検体100各部の温度、ひい
ては音速が変化する。第1ロックインアンプ30の時定
数を、光照射の断続周期よりも十分短く設定しておく。
第1ロックインアンプ30の位相差出力は、模式的に
は、光照射の断続に対応して、光照射時(c2)と非照
射時(b2)のレベルを交互に繰り返す(信号
(e))。光照射を断続したときのこの第1ロックイン
アンプ30の出力変化(振幅)を、第2ロックインアン
プ34でその光の断続に同期して検出すれば、光照射の
有無による受信信号の位相変化のみを高い感度で取り出
せる。この位相変化は、振動子28a、28b間の超音
波伝搬経路の各点の音速変化を総合したものに対応す
る。
【0060】制御・解析用コンピュータ20は、振動子
28a、28bのペアを被検体100の周りに沿って少
しずつ移動させ、各走査位置ごとに上記の処理を行って
光照射の有無による受信信号の位相変化を検出して記憶
する。そして、これら各操作位置での検出結果をCTの
アルゴリズムで処理すれば、被検体100の走査断面各
部の、光照射の有無による音速変化の分布が求められ
る。被検体各部の音速変化は、その部分の光吸収率に依
存していると考えられるので、その音速変化の分布は、
被検体各部の光吸収率を表す断層画像とみなすことがで
きる。
【0061】このように、本実施形態によれば、光エネ
ルギーの吸収特性に着目した、被検体の断層画像を形成
することができる。
【0062】本実施形態でも、実施形態1と同様、光の
コヒーレンスは必要なく、十分強い受信信号を処理すれ
ばよいので、装置や信号処理回路の構成が簡素化でき
る。また、超音波ビームのビーム幅程度の分解能が得ら
れる。
【0063】また、以上では、被検体の全周にわたって
超音波ビームの走査を行い、得られた結果に逆投影アル
ゴリズムを用いて断層像を形成したが、これに限らず、
超音波ビームを例えばリニアに走査し、各走査線ごとに
光照射の有無による音速変化を求め、これを走査方向に
沿った一次元的な分布として表示するだけでも、有益な
診断情報となると考えられる。
【0064】[実施形態3]図6は、第3の実施形態の
概略構成を示す図である。この実施形態は、Bモード等
の従来の断層画像と本発明に係るエネルギー吸収分布画
像とを重畳表示するための装置構成である。
【0065】被検体100は、光源40により光照射を
受ける。光源40は、例えば赤外線レーザである。光源
40の出射側には、被検体100への光照射を断続する
シャッター42が配設される。このシャッター42は、
光吸収解析部60により開閉制御される。
【0066】超音波の送受は、リニアアレイ探触子50
により行われる。リニアアレイ探触子50は、直線状に
配列された複数の振動子を有する。各振動子は、送受信
部52からの駆動信号により励振されて超音波を発し、
この超音波に対する被検体内からのエコーを電気的な受
信信号に変換して送受信部52に返す。走査制御部54
は、送受波を行う振動子を順に切り換えることにより、
超音波ビームを走査する。以上のビーム送受信及び走査
の機構は、従来の超音波診断装置のものと同様でよい。
【0067】このようにして得られる探触子50の受信
信号は、Bモード信号処理回路56及び光吸収解析部6
0に入力される。Bモード信号処理回路56は、その受
信信号に対して周知のBモード断層画像形成処理を行っ
てビーム走査範囲の断層画像を形成し、DSC(ディジ
タルスキャンコンバータ)58に書き込む。
【0068】光吸収解析部60は、受信信号を解析して
ビーム走査範囲の光吸収分布の画像を形成する。光吸収
分布は、光照射時と非照射時での受信信号の変化に基づ
き求める。このための制御の手順を以下説明する。ま
ず、光吸収解析部60は、シャッター42を閉じ、被検
体100に光吸収による温度上昇がない状態での探触子
50の受信信号を1走査分記憶する。このとき、光吸収
解析部60は、走査制御部54からの走査情報に基づ
き、受信信号を各走査線(ビーム)ごとに区別して記憶
する。次に光吸収解析部60は、シャッター42を開い
て被検体100に光照射を行い、被検体各部に検出可能
な温度上昇が起こる程度の時間(これは予め実験で求め
て設定しておく)の経過後、再び探触子50の受信信号
を1走査分取得する。そして、光吸収解析部60は、1
走査線ずつ、光吸収前と吸収後の受信信号について実施
形態1と同様の解析を行い、各走査線毎に、その上の各
点の音速変化の程度を求める。この解析結果はDSC5
8に書き込まれる。
【0069】DSC58は、この光吸収解析部60の解
析結果である光吸収分布画像をBモード画像に重畳し、
その結果を表示装置62に表示する。表示形態として
は、輝度表示のBモード画像に対し、光吸収分布をカラ
ーで重畳するなどが考えられる。光吸収分布は、被検体
各部の温度上昇に対応しているので、暖色系の色を用
い、吸収率が高い(照射前後の位相差が大きい)ほど明
度の高い色になるようにするなどの形態をとれば、診断
者に直感的に把握しやすい画像が得られる。
【0070】本実施形態の表示によれば、超音波の反射
強度の分布(Bモード画像)と、光吸収特性の分布とい
う、異なる物理量の分布を一目で把握できる。したがっ
て、被検体組織の多面的な把握が可能になる。なお、こ
こではBモード画像と光吸収分布の画像を重畳表示した
が、カラードプラや組織ドプラの画像に光吸収分布の画
像を重畳することも可能である。この場合、ドプラ画像
はカラーで、光吸収分布は輝度で表すなど、互いの表示
情報が混ざり合わないようにする。
【0071】なお、この装置で検査を行う際、造影剤注
入器70により造影剤を注入することも好適である。造
影剤としては、光吸収率が高く、被検体中の注目組織
(例えばガン細胞などの病変部110)に特異的に取り
込まれやすいものを用いることが好適である。このよう
な造影剤を注入した後、本実施形態の光吸収イメージン
グを行えば、注目組織の光吸収による温度上昇が他の部
分より大きくなるので、注目組織を強調した画像を形成
することができる。なお、この造影剤は、上記実施形態
1や2、次の実施形態4にも適用可能である。
【0072】以上、本実施形態ではリニアアレイ探触子
50を用いたが、コンベックス探触子など他のタイプの
アレイ探触子を用いても同様の処理が行える。
【0073】[実施形態4]本発明の第4の実施形態を
図7を参照して説明する。
【0074】上記実施形態では、光照射時と非照射時と
の受信信号の比較から、光照射の有無による音速の変化
の程度を表す情報を得、これを画像化した。これに対
し、本実施形態では、被検体100を横切る超音波の絶
対的な音速を求め、この音速情報から画像を形成する。
【0075】このため、送波振動子70aから超音波パ
ルス230を被検体100内に送波し、これを向かい側
の受波振動子70bで受信する。解析部76には、送波
振動子70aに送る駆動パルスが与えられるとともに、
受波振動子28bの受信信号が入力される。解析部76
は、駆動パルスと受信信号のピークとの時間差を求め
る。この時間差が、送波振動子70aから受波振動子7
0bまでの音波伝搬時間である。送波振動子70aと受
波振動子70bにはレーザ測長器72が取り付けられて
おり、このレーザ測長器72によりそれら両振動子間の
距離を計測することができる。この距離計測結果は、解
析部76に入力される。なお、両振動子間の距離を測る
手段は、レーザ測長器72には限られない。
【0076】解析部76は、超音波送受により得た音波
伝搬時間と、レーザ測長器72から得た両振動子間の距
離とから、両振動子間の音波伝搬経路での平均音速を求
める。解析部76は、図示しない走査制御部に制御信号
を送り、振動子70a、70bを、対向状態を維持しつ
つ被検体100の周囲に沿って所定間隔ずつ移動させる
ことにより、被検体100を走査する。振動子ペアの各
停止位置ごとに、超音波の送受を行って両振動子間の平
均音速を求める。このようにして求められた各走査線の
平均音速に対してバックプロジェクション演算を適用す
れば、被検体100の走査断層面の音速分布の情報が得
られる。
【0077】解析部76は、光源40を発光させ、パル
ス発生器74にトリガ信号を送って超音波パルスを送信
させる。そして、このときの受信信号から、上述の手法
で平均音速を求める。振動子ペアを被検体100の全周
にわたって移動させながら超音波の送受を行うことによ
り、光照射を行ったときの被検体100の断層面の音速
分布が求められる。仮に非照射時の被検体内各部の温度
がほぼ一定であるなら、光照射時の音速分布から被検体
各部の光吸収性を知ることができる。
【0078】より厳密を期すなら、光照射前にも同様の
走査を行って被検体断面の音速分布を求め、光照射時の
音速分布との差分を求めればよい。これにより、被検体
断面各部の光吸収の程度を求めることができる。
【0079】以上説明したように、本実施形態でも、被
検体各部の光エネルギーの吸収特性に関する情報を、超
音波の受信信号に基づき得ることができる。
【0080】このように、本実施形態では、音速を求め
るに当たり振動子間の距離を実測した。これに対し、上
述の実施形態2では、光照射時と非照射時の受信信号の
差を求めており、この差分演算により距離のファクタは
キャンセルされる。したがって、実施形態2では、振動
子間の距離を実測しなくても音速の変化に相当する物理
量を求めることができる。同様の考え方をすれば、本実
施形態でも、非照射時と照射時の各々について振動子間
の音波伝搬時間を求め、それらの差分に対してバックプ
ロジェクションを行うことにより、音速変化の分布と等
価な画像が得られる。この場合、レーザ測長器などの距
離計測手段は不要になる。
【0081】[まとめ]以上、本発明の好適な実施の形
態を説明した。以上説明したように、上記各実施形態に
よれば、照射した光エネルギーを吸収しやすい部分とそ
うでない部分とが区別できる光吸収分布画像を得ること
ができる。生体組織の中には吸収しやすい光の波長が他
と異なるものもあるので、注目する組織に応じて使用す
る光の波長を選ぶことにより、適切な画像化が行える。
照射する光に対する吸収性がよく、特定組織に結びつき
やすい造影剤を用いることにより、その特定組織を明確
に検出することもできる。
【0082】また、上記実施形態1、2などでは機械的
なビーム走査機構を用い、実施形態3では電子的な走査
機構を用いたが、これに限らず、手動走査にも本発明は
適用可能である。手動走査の場合、各ビーム送受の際の
振動子の位置及びビームの方向を例えば機械的な機構に
より検出し、これを解析部に渡して画像形成のためのア
ドレッシングを行わせればよい。
【0083】また、上記実施形態での「光照射時」の超
音波の送受は、厳密に光を照射している間に行わなくて
もよい。光照射を止めた後でも、光照射による被検体各
部の温度上昇の影響が残っている段階であればよい。逆
に、「非照射時」とは、単に光照射を行っていない時点
ではなく、被検体が、光照射の影響下の温度分布とは異
なる温度分布を示すようになった時点である。両時点の
温度分布の差が、分隊各部の音速変化をもたらし、これ
が受信信号の変化として現れる。逆に言えば、「光照射
時」と「非照射時」では、原理的には、受信信号に検出
可能な差異(位相差など)が現れる程度に被検体内の温
度分布が変化していればよい。したがって、光照射を止
めずに単にその強度を、例えば周期的に、変化させるだ
けで、被検体の温度分布に検出可能な変化をもたらすこ
とができれば、本実施形態の装置でその照射強度の変化
に応じた音速変化を求めることで、被検体の断層画像を
形成することができる。
【0084】また、以上の各実施形態では、音速変化の
計測のために超音波を用いたが、本発明は原理上は超音
波に限らず音波一般に適用可能である。どの周波数帯域
の音波を用いるかは、計測対象の物体の音響特性に応じ
て適宜定めればよい。
【0085】また、以上の各実施形態では、被検体内部
に加熱エネルギーを供給する媒体として近赤外線を用い
たが、これに限らず、マイクロ波等の他の波長帯の電磁
波を用いてもよいし、場合によっては超音波を用いるこ
とも可能である。超音波でエネルギーを供給する場合、
エネルギー供給用の超音波と、計測用の超音波との干渉
が起こらないよう、その波長や送波の向きを適切に定め
る。
【0086】また上記各実施形態の手法は、体表からの
診断だけでなく、内視鏡下の術式にも応用可能である。
この場合、内視鏡の照明を被検体加熱用の光源として利
用することができる。
【0087】また以上では、生体診断のための装置への
本発明の適用例を説明したが、本発明は生物以外の対象
物体の計測・診断にも適用可能である。加熱のためのエ
ネルギーは、その対象物体に対してある程度の透過性を
持つものを選ぶ。
【0088】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
照射したエネルギーに対する物体各部の吸収性の情報
を、その物体内を伝搬した超音波の受信信号から得るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態1の装置の概略構成を示す図であ
る。
【図2】 実施形態1の処理手順を示すフローチャート
である。
【図3】 実施形態1の音速変化の検出手法を説明する
ための図である。
【図4】 実施形態2の装置の概略構成を示す図であ
る。
【図5】 実施形態2における光照射時と非照射時の各
信号波形の様子を模式的に示す図である。
【図6】 実施形態3の装置の概略構成を示す図であ
る。
【図7】 実施形態4の装置の概略構成を示す図であ
る。
【符号の説明】 10 光源、12 色フィルタ、14 電磁シャッタ
ー、15 ライトチョッパ、16 光ファイバ、17
結束バンド、20 制御・解析用コンピュータ、22
パルス発生器、24 高周波パワーアンプ、26 入出
力切り替え回路、28 振動子、28a 送波振動子、
28b 受波振動子、29 A/D変換器、30 第1
ロックインアンプ、32 高周波パワーアンプ、34
第2ロックインアンプ。
フロントページの続き (72)発明者 細美 昌平 東京都三鷹市牟礼6丁目22番1号 アロカ 株式会社内 Fターム(参考) 2F068 AA39 CC07 FF03 FF12 FF25 JJ11 KK12 TT01 4C301 AA01 AA06 AA10 BB28 BB29 CC01 CC02 CC03 DD02 DD12 DD18 DD29 EE20 GB04 GB06 GB27 HH01 JB03 JB11 JB22 JB24 JB50 KK02 KK12 KK22 LL04 LL20

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 物体に所定エネルギーを照射する照射手
    段と、 物体内に音波を送波し、前記物体からの透過音波又は反
    射音波を受波して受信信号を出力する送受波手段と、 前記エネルギーの照射時と非照射時の前記送受波手段の
    受信信号に基づいて物体を評価する評価手段と、 を含む音波計測装置。
  2. 【請求項2】 前記評価手段は、照射時と非照射時の前
    記受信信号から、照射の有無による前記物体の音速変化
    に対応する物理量を求め、この物理量に基づき前記物体
    を評価することを特徴とする請求項1記載の音波計測装
    置。
  3. 【請求項3】 前記音速変化に対応する物理量は、照射
    時と非照射時とでの前記受信信号の位相差であることを
    特徴とする請求項2記載の音波計測装置。
  4. 【請求項4】 前記照射手段は、エネルギー照射を断続
    するための断続手段を有し、 前記評価手段は、前記断続手段による照射の断続に同期
    して前記受信信号を検波することにより、照射時と非照
    射時の前記受信信号の位相差を検出することを特徴とす
    る請求項3記載の音波計測装置。
  5. 【請求項5】 前記音速変化に対応する物理量は、照射
    時と非照射時とでの前記物体内の音波伝搬時間の差であ
    ることを特徴とする請求項2記載の音波計測装置。
  6. 【請求項6】 前記送受波手段は、音波パルスのビーム
    を送波し、その反射波を受波して前記受信信号を生成
    し、 前記評価手段は、照射時と非照射時の前記受信信号同士
    の比較により、前記ビーム上の各点ごとに照射の有無に
    よる音速変化に対応する物理量を求め、この物理量に基
    づき前記物体を評価することを特徴とする請求項1記載
    の音波計測装置。
  7. 【請求項7】 前記評価手段は、前記送受波手段の前記
    ビームで前記物体が走査された場合の各ビーム毎の前記
    物理量の分布を求め、前記物体各部の前記エネルギーの
    吸収率の分布を表す断層像を構成する手段を有すること
    を特徴とする請求項6記載の音波計測装置。
  8. 【請求項8】 前記送受波手段は、音波ビームを送受波
    し、 前記評価手段は、前記音波ビームで前記物体が走査され
    た場合に、各ビーム毎に前記物理量を求め、これをビー
    ム走査に沿った分布として表示することを特徴とする請
    求項2記載の音波計測装置。
  9. 【請求項9】 前記送受波手段は、前記物体の周囲から
    音波ビームを走査し、前記物体を透過した音波ビームを
    受波して前記受信信号を生成し、 前記評価手段は、ビーム走査に沿った前記物理量の分布
    から前記物体の断層像を構成する手段を有することを特
    徴とする請求項8記載の音波計測装置。
  10. 【請求項10】 前記評価手段は、前記照射手段が照射
    するエネルギーに対して吸収性が高い造影剤を注入した
    前記物体についての前記送受波手段の受信信号に基づ
    き、前記造影剤が集まりやすい特定の部位が強調された
    前記物体の画像を構成することを特徴とする請求項7又
    は請求項9に記載の音波計測装置。
  11. 【請求項11】 前記送受波手段のビーム走査により前
    記物体内各部の音波反射特性を表す断層エコー画像を形
    成するエコー画像形成手段を有し、前記評価手段は、前
    記物体各部の前記エネルギーの吸収率の分布を表す断層
    像を前記断層エコー画像に重畳して表示することを特徴
    とする請求項7記載の音波計測装置。
  12. 【請求項12】 物体に対して、所定エネルギーを、照
    射強度を変化させながら照射する照射手段と、 物体内に音波を送波し、前記物体からの透過音波又は反
    射音波を受波して受信信号を出力する音波送受波手段
    と、 前記照射手段によるエネルギーの照射量の変化と前記音
    波送受波手段の受信信号の変化との関係に基づいて物体
    を評価する評価手段と、 を含む音波計測装置。
  13. 【請求項13】 前記評価手段は、前記照射強度の変化
    による前記受信信号の位相変化に基づき前記物体を評価
    することを特徴とする請求項12記載の音波計測装置。
  14. 【請求項14】 物体に所定エネルギーを照射する照射
    手段と、 前記物体内に音波を送波し、前記物体からの透過音波又
    は反射音波を受波して受信信号を出力する送受波手段
    と、 前記照射手段によるエネルギー照射の影響下で前記送受
    波手段に音波送受を行わせ、その受信信号に基づいて物
    体を評価する評価手段と、 を含む音波計測装置。
  15. 【請求項15】 前記評価手段は、前記受信信号に基づ
    き、前記物体各部の前記エネルギーの吸収特性の分布を
    表す画像を形成することを特徴とする請求項12又は請
    求項14に記載の音波計測装置。
  16. 【請求項16】 前記照射手段が照射するエネルギーは
    赤外線であることを特徴とする請求項1から請求項15
    までのいずれかに記載の音波計測装置。
  17. 【請求項17】 (a)所定エネルギー照射時の物体に
    対して音波を送波し、前記物体からの透過音波又は反射
    音波を受波して受信信号を生成するステップと、 (b)所定エネルギー非照射時の物体に対して音波を送
    波し、前記物体からの透過音波又は反射音波を受波して
    受信信号を生成するステップと、 (c)ステップ(a)で得られた受信信号とステップ
    (b)で得られた受信信号との比較により、前記物体の
    前記音波の伝搬経路を評価するステップと、 を含む音波計測方法。
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