JP2001131863A - 難燃性繊維、難燃性撚糸及び難燃性布状物 - Google Patents

難燃性繊維、難燃性撚糸及び難燃性布状物

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JP2001131863A
JP2001131863A JP35716699A JP35716699A JP2001131863A JP 2001131863 A JP2001131863 A JP 2001131863A JP 35716699 A JP35716699 A JP 35716699A JP 35716699 A JP35716699 A JP 35716699A JP 2001131863 A JP2001131863 A JP 2001131863A
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flame
retardant
particles
fiber
composition
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JP35716699A
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Tatsuaki Oda
達明 小田
Makio Nomura
牧夫 野村
Hisakuni Ito
寿国 伊藤
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Ishizuka Glass Co Ltd
Original Assignee
Ishizuka Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安価で高い難燃性を示す難燃性繊維と、それ
を用いた難燃性撚糸及び難燃性布状物を提供する。 【解決手段】 担持材料粒子に、珪素成分及び/又は金
属成分と酸素とを含有する化合物層を複合化させた構造
を有する難燃性付与用複合粒子10を、化学繊維又は天
然繊維16に複合化させる。これにより、繊維200に
高熱が付与された場合に、その高熱により難燃性付与用
複合粒子の化合物層が燃焼を阻害する保護膜を形成し、
繊維に対して高い難燃性を付与することが可能となる。
また、保護膜の形成効果により、繊維への配合量が少量
でも十分な難燃性能を付与することが可能となり、上記
複合粒子を含めた難燃剤の配合量を削減できる。その結
果、最終的に得られる繊維の強度や耐久性、さらには溶
融物の流動性が高められることから紡糸性などを向上で
きる効果も達成できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、難燃性繊維、難燃
性撚糸及び難燃性布状物に関する。
【0002】
【従来の技術】天然繊維や化学繊維、及びその応用製品
である撚糸や各種布地等の繊維完成品は、いうまでもな
く極めて広範囲な分野で使用されているが、炭素繊維や
セラミック繊維など、特殊なものを除けば一般の繊維材
料は燃えやすいのが大きな欠点であるため、その難燃化
が望まれている。
【0003】繊維を難燃化するための方法としては、例
えば化学繊維の場合は、難燃性を高めるために共重合な
どによって分子構造を変えることも行われているが、そ
れだけでは難燃性能としては不十分なことも多く、例え
ば燐酸エステル、ハロゲン化合物、水酸化アルミニウム
あるいはホウ酸塩などの難燃剤を分子中に共重合形態で
取り込んだり、あるいは繊維基質への練込み(分散)を
行って、ポリマーを改質することも試みられている。さ
らに、繊維や繊維完成品に難燃剤を吸尽あるいは固着す
るなど、後加工により難燃性を付与する方法もある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ハロゲ
ン化合物を使用するハロゲン系難燃剤は、燃焼時に発生
するダイオキシンやフランの問題から環境保護上好まし
くなく、エコロジカルな難燃剤の開発、実用化が望まれ
ている。ノンハロゲン系のリン系難燃剤もリンの水素化
物であるホスフィンが発生する場合があるので好ましく
ない。
【0005】また、水酸化アルミニウムや水酸化マグネ
シウム等の無機系難燃剤があり、水酸化アルミニウムは
低有害性、低発煙性、電気絶縁性も良好、しかも低コス
トであるため難燃剤の中では需要量も多い。しかし、十
分な難燃性を得るには多量配合が必要であり、特に練り
込等による繊維との複合化を図るには、繊維原料である
コンパウンドの粘度上昇して繊維化が困難となりやすい
欠点がある。また、配合量が必然的に多くなることか
ら、繊維の機械的性質や耐水性の低下を起こしやすい問
題を有するほか、400℃以上の高温での難燃効果が低
いこと、あるいは繊維加工時に脱水発泡し易いなど、単
独使用するには課題も多い。
【0006】また、水酸化マグネシウムは水酸化アルミ
ニウムと同様の難燃効果があり、水酸化アルミニウムの
欠点である樹脂の加工温度での脱水発泡がないが、酸に
対して弱く、湿度の高い条件では空気中の炭酸ガスと反
応して炭酸マグネシウムが生成して白化したり、コスト
が水酸化アルミニウムに比べ高い等の欠点がある。ま
た、これらの無機系難燃剤は単独では難燃効果が小さい
ため、他の難燃剤との併用が必要でもある。
【0007】本発明は、安価で高い難燃性を示す難燃性
繊維と、それを用いた難燃性撚糸及び難燃性布状物を提
供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】上記の課
題を解決するために、本発明の難燃性繊維の第一の構成
は、高分子材料、無機材料及び金属材料の1種又は2種
以上からなる担持材料粒子に、珪素成分及び/又は金属
成分と酸素とを含有する化合物層を複合化させた構造を
有する難燃性付与用複合組成物を、化学繊維又は天然繊
維に複合化させたことを特徴とする。
【0009】上記本発明の難燃性繊維の第一の構成によ
れば、担持材料粒子に、珪素成分及び/又は金属成分と
酸素とを含有する化合物層を複合化させた構造を有する
難燃性付与用複合組成物を、化学繊維又は天然繊維に複
合化させる(例えば、繊維基質中に分散及び/又は基質
表面に定着する)ことにより、繊維に高熱(例えば50
0℃以上)が付与された場合に、その高熱により難燃性
付与用複合組成物の化合物層が燃焼を阻害する保護膜を
形成し、繊維に対して高い難燃性を付与することが可能
となる。また、保護膜の形成効果により、繊維への配合
量が少量でも十分な難燃性能を付与することが可能とな
り、結果として上記複合組成物を含めた難燃剤の配合量
を削減できる。その結果、最終的に得られる繊維の強度
や耐久性、さらには溶融物の流動性が、従来の難燃剤を
用いる場合に比べて高められることから、紡糸性などの
諸性質の低下を抑制できる効果も達成できる。
【0010】上記の化合物層は、加熱により珪素及び/
又は金属の酸化物を主体とするガラス質セラミックスを
生ずるものとすることができる。また、本発明の難燃性
繊維の第二の構成は、高分子材料、無機材料及び金属材
料の1種又は2種以上からなる担持材料粒子に、加熱に
より珪素及び/又は金属の酸化物を主体とするガラス質
セラミックスを生ずる化合物層を複合化させた構造を有
する難燃性付与用複合組成物を、化学繊維又は天然繊維
に複合化させたことを特徴とする。さらに、本発明の難
燃性繊維の第三の構成は、珪素成分及び/又は金属成分
と酸素とを含有する化合物を主体とし、加熱により珪素
及び/又は金属の酸化物を主体とするガラス質セラミッ
クスを生ずる難燃性付与用組成物を、化学繊維又は天然
繊維に複合化させたことを特徴とする。難燃性付与用複
合組成物は粒子状に形成できる。また、第三の構成にお
いて難燃性付与用組成物は、化合物は担持材料粒子と特
に複合化されている必要はなく、単独で難燃性付与用単
独粒子が形成されるよう構成することができる。他方、
難燃性付与用組成物は、繊維表面に形成されたコーティ
ング層とすることもできる(これも表面定着の一形態で
ある)。
【0011】上記の難燃性付与用複合組成物あるいは難
燃性付与用単独組成物を構成する化合物は、これに含ま
れる珪素成分及び/又は金属成分が、加熱による酸化等
も相俟ってガラス質セラミックスを生じやすく、また、
その生成される珪素及び/又は金属の酸化物を主体とす
るガラス質セラミックスは耐熱性が高いため、高熱が付
加されたときに極めて強力な保護膜となって、繊維に対
して一層高い難燃性を付与することが可能となる。な
お、上記のようなガラス質セラミックは、始めから化合
物層の一部をなすものとして存在していてもよいし、化
合物層の一部又は全部が加熱されたときにガラス質セラ
ミックに転化する形態でもよい。また、金属成分として
は、例えばTi、Cu、Al、Zn、Ni及びZr、あ
るいはその他の遷移金属元素の1種又は2種以上を採用
することができる。
【0012】また、本発明の難燃性撚糸は、上記の難燃
性繊維を線状に撚り合わせた構造を有することを特徴と
する。さらに、本発明の難燃性布状物(繊維完成品)
は、上記の難燃性繊維により織布又は不織布として形成
されたことを特徴とする。
【0013】なお、本発明の難燃性繊維においては、J
IS L 1091に記載の繊維製品の燃焼性試験方法に
てテストしたときに、その燃焼残留物中の珪素成分の酸
化物換算重量含有率WSiと、同じく金属成分の酸化物換
算重量含有率WMとの合計WSi+WMが、0.5〜60重
量%となっているのがよい。WSi+WMが60重量%を
超えると、複合材料の強度(例えば引張強度等)等の物
理的性質が損なわれやすくなり、WSi+WMが0.5重
量%未満では難燃性能向上効果への寄与が不十分となる
場合がある。なお、珪素成分はSiOに換算する。ま
た、金属成分を含有する場合は、各金属成分を、含有さ
れる金属イオンの価数(X線光電子分光法により特定可
能である)に対応する組成の酸化物に換算する。例えば
Zn2+が検出されれば対応する酸化物はZnOであ
り、Cuが検出されれば対応する酸化物はCuOで
ある。
【0014】上記化合物は、例えば不純物成分等の形で
不可避的に混入するものを除いて、塩素あるいはフッ素
等のハロゲン成分を含有しないものとして構成すること
もできる。これにより、高熱付加時に従来のような有害
ガスを発生しないためエコロジカルな難燃性材料が実現
できる。
【0015】また、上記化合物は炭素成分を含有するも
のとして形成できる。当該難燃性付与用複合組成物ある
いは難燃性付与用組成物を繊維に複合させる際のなじみ
性(親和性)を向上させ、例えば繊維基質中に分散させ
る場合は粒子より均一に分散させることができ、例えば
化学繊維の場合は紡糸性等も向上させることが可能であ
る。また、組成物を表面に定着する場合はその付着性を
高めることができる。
【0016】さらに、上記の化合物は、加熱により燃焼
阻害性気体を分解生成するものとすることができる。こ
の場合、繊維に高熱が付与された場合に、燃焼阻害性気
体が発生し、該燃焼阻害性気体が繊維への難燃効果をさ
らに向上させる。この難燃性向上は、燃焼阻害性気体に
より燃焼のための酸素が、繊維付近において相対的に減
少するためであると推測される。
【0017】具体的に、燃焼阻害性気体としては、窒
素、硫黄及び炭素の1種又は2種以上を含有するものが
生成されるものとすることができる。この場合、例えば
窒素含有ガスとしてはNガスやNOガス、NOガ
ス、硫黄含有ガスとしてはSOガス、炭素含有ガスと
してはCOガス等が発生し、それらが繊維への難燃効
果をさらに向上させる。
【0018】本発明が適用可能な繊維の材質については
特に限定はされないが、例えば以下のようなものを例示
することができる(合成繊維については、繊維基質の材
質特定のために、対応する繊維素材の市販品を例示し
た。従って、難燃性付与用複合組成物あるいは難燃性組
成物を複合化させた本発明の繊維が、これら商品名にて
市販されていることを意味しないことは当然である) 天然繊維 ・植物系繊維:麻、パイナップル繊維など。 ・動物系繊維:羊毛、獣毛(モヘア、アルパカ、カシミ
アなど)、絹など。 化学繊維 ・再生繊維:レーヨン、テンセル、キチン、コラーゲン
繊維など。 ・半再生繊維:アセテート、トリアセテートなど。 ・合成繊維: ポリアミド系繊維(商品名:ナイロン、アミラン、グリ
ロン等) ポリエステル系繊維(商品名:テリレン、デークロン、
テトロン、エステル、シルック等) ポリアクリル系繊維(商品名:オーロン、クレスラン、
エクスラン、ボンネル、アクリラン、カネカロン、カシ
ミロン、トレロン、シルバロン、ファイネル等) ポリビニルアルコール系繊維(商品名:ビニロン等) ポリオレフィン系繊維(商品名:パイレン、メラクロン
(以上、ポリプロピレン系)、パイレンE(ポリエチレ
ン系)等) ポリウレタン(スパンデックス)系繊維(商品名:ライ
クラ、パイレーン、スパンデル、エスパ、オベロン、ネ
オロン等) また、繊維基質自体をメタ系アラミド(商品名:コーネ
ックス、ノーメックス等)、パラ系アラミド(商品名:
ケブラー29、テクノーラ等)、ポリベンズイミダゾー
ル(商品名:PBI等)、ポリアミドイミド(商品名:
KERMEL等)、カーボナイズド(商品名:パイロメックス
等)あるいはノボロイド(商品名:カイノール等)等の
耐熱性繊維素材で構成することも、難燃性向上の上で有
効である。
【0019】なお、繊維に難燃性付与用複合組成物ある
いは難燃性付与用組成物を複合化させる場合、天然繊維
については、以下の態様の1又は2以上を組み合わせに
よる複合化が可能である。 (1)繊維段階にて、表面に組成物を定着。 (2)繊維を撚糸あるいは繊維完成品とした段階で、組成
物を表面に定着。
【0020】他方、化学繊維の場合は、上記態様に加え
さらに次の態様も可能となる(もちろん、(1)あるいは
(2)との組み合わせが可能)。 (3)繊維基質中に練込み等により分散。
【0021】難燃性付与用複合組成物又は難燃性付与用
組成物を粒子状に形成する場合(以下、前者の粒子を難
燃性付与用複合粒子ともいい、後者の粒子を難燃性付与
用単独粒子ともいう)、その平均粒径を0.05〜50
0μmとするのがよい。平均粒径が0.05μm未満の
場合、難燃性付与用複合粒子あるいは難燃性付与用単独
粒子の製造が困難になる場合がある他、凝集等により偏
在を生じやすくなる場合があるため、難燃性付与効果が
低下したり、繊維の性能が特にその偏在領域において低
下したりする場合がある。また、凝集部が紡糸性に悪影
響を及ぼすこともありうる。一方、500μmを超える
場合、複合(添加)した粒子の分布が不均一になる場合
がある他、繊維の特性、例えば樹脂であれば流動性等の
性質が低下したり、繊維が外観不良を起こしたりする場
合がある。また、粒子を繊維基質に分散させる場合は、
繊維の強度確保と紡糸性確保の観点から、得るべき繊維
断面径よりも小さい粒子径を採用しなければならないの
は当然であり、最大径で繊維軸断面径の50%以下程度
のものを使用することが望ましい。なお、繊維の断面径
は、目的に応じて例えば0.001μ〜1000μmの
なかで選択できるが、一般的な繊維完成品の製造に使用
する場合は、おおむね10〜500μmの中で選択する
のがよい。
【0022】なお、難燃性付与用複合粒子あるいは難燃
性付与用単独粒子の平均粒径の測定は、例えばレーザー
回折式粒度計を用いることができる。この場合、レーザ
ー回折式粒度計による測定では、入射レーザー光の凝集
粒子による回折挙動と、孤立した一次粒子による回折挙
動とで大きな差異を生じないため、測定された粒径が、
一次粒子単体で存在するものの粒径なのか、あるいはこ
れが凝集した二次粒子の粒径なのかが互いに区別されな
い。したがって、該方法で測定した平均粒径は、凝集を
起こしていない孤立した一次粒子も広義に含めた二次粒
子の平均粒径を反映した値となる。なお、難燃性付与用
複合粒子あるいは難燃性付与用単独粒子の平均粒径は、
望ましくは0.1〜300μmとするのがよい。
【0023】また、難燃性付与用複合組成物を使用する
場合、その担持材料粒子は、難燃材料粒子とすることが
できる。この場合、上述した化合物が加熱により、例え
ばガラス質セラミックスを生じることによる難燃性付与
効果に加えて、担持材料粒子としての難燃材料粒子の難
燃効果も加わるため、難燃性付与用複合組成物の繊維へ
の難燃性付与効果が一層向上する。
【0024】このような難燃材料粒子としては、例え
ば、エコロジカルなノンハロゲン系難燃材料である水和
金属化合物、白雲母、金雲母、黒雲母、絹雲母等の雲母
類、カオリン、滑石、沸石、ホウ砂、ダイアスポア、石
膏等の鉱物類、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、
二酸化珪素等の金属酸化物、炭酸カルシウム等の金属化
合物、赤燐、ポリリン酸アンモニウム等のリン系化合
物、窒素系化合物等に代表される無機系難燃材料粒子
(無機材料系粒子)、及びリン系、シリコーン系、窒素
系の有機系難燃材料粒子、さらには金属粉末粒子(金属
材料系粒子)等を用いることができる。なお、樹脂への
添加性、難燃効果、コスト等の面において、無機系難燃
材料粒子を用いることが最も好ましい。特に、無機材料
系粒子としては、水酸化アルミニウム及び水酸化マグネ
シウムの少なくともいずれかを主成分とするものを使用
すると、難燃性付与効果が一層高まる。これら水酸化物
を用いた場合、例えば、上記アルコキシドをSiから構
成されるものとし、上記金属塩をZn及び/又はNiか
ら構成されるものとすれば、難燃性付与効果がさらに高
まる。
【0025】上記難燃材料粒子は、例えば平均粒径0.
05〜100μmのものを用いることが好ましい。平均
粒径が上記下限値未満の場合、製造が困難になる場合が
ある他、繊維へ複合(添加)した場合に偏在が生じ、複
合(添加)を均一にできない場合があるため、難燃性付
与効果が低下したり、繊維の性能が特にその偏在領域に
おいて低下したりする場合がある。また、上限値を超え
る場合、複合(添加)した粒子の分布が不均一になる場
合がある他、繊維の特性、例えば流動性等の性質が低下
したり、繊維が外観不良を起こしたりする場合がある。
なお、平均粒径の測定は、レーザー回折式の粒度測定装
置により行うことができる。
【0026】一方、担持材料粒子として高分子材料粒子
を用いることもできる。高分子材料粒子としては、例え
ば熱可塑性高分子材料からなるものや、熱硬化性高分子
材料からなるもの、あるいはそれらの混合材料等を使用
することができる。この場合、繊維として樹脂を用いた
場合に、担持材料としての高分子材料が樹脂となじみ
(親和性)がよいため、当該難燃性付与用複合粒子が繊
維に対して均一に分散されることとなり、繊維に効果的
に難燃性を付与することが可能となる。高分子材料粒子
を用いた場合、例えば、上記アルコキシドをSiから構
成されるものとし、上記金属塩をCu及び/又はFeか
ら構成されるものとすれば、難燃性付与効果をさらに高
めることができる。
【0027】なお、高分子材料粒子としては、例えば、
ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ
スチレン(PS)、アクリロニトリル・ブタジエン・ス
チレン(ABS)等の汎用樹脂、変性ポリフェニレンエ
ーテル(PPE)、ポリカーボネート(PC)、ポリブ
チレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフ
タレート(PET)、ポリアミド(PA)等のエンジニ
アリングプラスチック及びPC/ABSアロイ、PC/
PBTアロイ、PC/PETアロイ、PC/エラストマ
ー、PA/PP、PA/エラストマー等のポリマーアロ
イ等の微粉末粒子を用いることができる。
【0028】本発明に使用される難燃性付与用複合組成
物は、具体的には、以下のような製造方法により得られ
たものを使用することができる。該製造方法において
は、金属元素及び/又はSiの化合物を溶媒中に分散及
び/又は溶解させた溶液(例えばアルコキシド溶液)か
ら発生するゾル状組成物を担持材料と接触させる工程
と、前記ゾル状組成物を乾燥させる工程とを少なくとも
含み、前記ゾル状組成物の乾燥により生成するゲル状組
成物を前記担持材料と複合化させて難燃性付与用複合組
成物を得るようにする。
【0029】このように、ゾル状組成物を乾燥させてゲ
ル状組成物を担持材料に複合化させる、いわゆるゾルゲ
ル法により難燃性付与用複合組成物を得ることができ
る。すなわち、このような製造方法により得られる難燃
性付与用複合組成物は、担持材料にゲル状の金属元素及
び/又はSiの化合物が複合化された構成となる。一
方、担持材料への複合化を行わず前記した化合物単独に
て構成される難燃性付与用組成物を得たい場合は、例え
ば前記した金属元素及び/又はSiの無機化合物を溶媒
中に分散及び/又は溶解させたゾル状組成物をそのまま
乾燥・粒状化させることにより、難燃性単独粒子として
のゲル状組成物粒子が得られる。
【0030】上記のようなゾルゲル法は簡便な上、特別
な装置を必要とすることもないため、製造コストを大幅
に低減することが可能であり、製造時に従来のような有
害物質を発生することもない。そして、高熱が付与され
た場合には、その高熱により難燃性付与用複合組成物中
の上記無機化合物がガラス化ないしセラミック化し、そ
のガラス化ないしセラミック化した無機化合物が保護膜
となって、高い難燃性を付与することが可能となる。ま
た、高熱付加時に従来のような有害ガスを発生しないた
めエコロジカルである。
【0031】なお、難燃性付与用単独粒子を製造する方
法としては、例えば前記のゲル状組成物を粉砕してゲル
状組成物粒子となす方法や、ゾル状組成物を噴霧乾燥さ
せてゲル状組成物粒子とする方法等を採用できる。
【0032】一方、難燃性付与用複合粒子を製造する方
法としては、ゾル状組成物を担持材料と接触させる工程
は、担持材料をゾル状組成物に浸漬する方法や、担持材
料に対してゾル状組成物を吹き付ける方法等を採用する
ことができる。このようなゾルゲル法によると、担持材
料粒子に対して上記無機化合物を含むゲル状組成物が均
一に分散複合化された難燃性付与用複合粒子を得ること
が可能で、例えば、担持材料粒子の表面を前記ゲル状組
成物の被膜で覆った被覆難燃性付与用複合粒子とする場
合、そのゲル状組成物の被膜は、例えば0.01〜1.
0μm程度の薄くて均一なものとなる。このような難燃
性付与用複合粒子を繊維に複合(添加)した場合、担持
材料粒子に対して均一かつ薄膜状でゲル状組成物が被膜
されているため、その難燃性付与効果は大きく、その難
燃性付与用複合粒子の量が、例えば繊維に対して5〜1
50重量部、好ましくは20〜100重量部程度の少量
添加で十分な難燃性を付与することが可能である。
【0033】上記ゾルゲル法を用いた難燃性付与用複合
粒子の製造方法は、具体的には担持材料粒子とゾル状組
成物との混合物を作る混合工程と、その混合物から前記
溶媒を蒸発させて乾燥組成物となす乾燥工程とを含むも
のとすることができる。これは、例えば所定の容器にゾ
ル状組成物を入れ、これに担持材料粒子を浸漬して混合
物とした後に、その混合物から溶媒を蒸発させるもので
あり、その混合物を液切りすることなく溶媒を蒸発・乾
燥させることができるため非常に簡便な方法である。な
お、上記乾燥組成物は粉砕又は解砕して、難燃性付与用
複合粒子として用いるのがよい。この場合、粉砕又は解
砕により難燃性付与用複合粒子は微粉末化するため、繊
維への混入ないしコーティング等による複合(添加)の
際、その扱いが容易となり、当該難燃性付与用複合粒子
を繊維に対して簡便かつ均一に分散複合化させることが
可能となる。上記乾燥工程としては、加熱乾燥又は真空
乾燥、及びそれらの併用により行うことができる。
【0034】なお、乾燥工程としては、例えば、担持材
料粒子の集積体に振動及び/又は撹拌を加えながら、こ
れにゾル状組成物を接触させつつ行うこともできる。こ
の場合、集積体の振動及び/又は攪拌により乾燥効率が
向上し、乾燥時間を短縮することが可能となる。一方、
担持材料粒子にこれよりも大径の打撃メディアを混在さ
せ、それら担持材料粒子と打撃メディアとの集積体に振
動及び/又は撹拌を加えるものとすることもでき、この
場合、乾燥時間を一層短縮することが可能である。
【0035】次に、上記難燃性付与用複合組成物あるい
は難燃性付与用組成物の製造に使用するゾル状組成物
は、金属元素及び/又はSiのアルコキシドを加水分解
することにより製造するのがよい。このようなアルコキ
シドを加水分解させて生成したゾル状組成物には、金属
元素及び/又はSiの酸化物が含有され、さらにアルコ
キシドに由来する有機物(化合物層中の前記した炭素成
分はこれに由来するものとなる)が残存することとな
る。この酸化物は、上記した通り高熱によりガラス化な
いしセラミック化して繊維に高い難燃性を付与し、ま
た、残存有機物は、例えば繊維として樹脂を用いた場合
に、当該難燃性付与用複合組成物を繊維に複合させる際
のなじみ性(親和性)を向上させ、繊維に対して難燃性
付与用複合組成物を均一に分散させることが可能である
他、繊維の成形性等も向上させることが可能である。
【0036】上記ゾル状組成物を作るための溶媒はアル
コールを用いることができる。アルコールは比較的低沸
点であるため、乾燥工程が短時間で行える利点を備えて
いる。このようなアルコールとしては、例えば、メタノ
ール、エタノール、プロパノール、ブタノール等を用い
ることができる。その他の溶媒としては、アセトン、ア
セチルアセトン等のケトン系溶媒、トルエン、キシレン
等の芳香族炭化水素系溶媒、シクロヘキサン等の環状炭
化水素系溶媒、その他の鎖状炭化水素系溶媒、及びこれ
らの混合溶媒(アルコールとの混合溶媒も可)を用いる
ことができる。例えば、ケトン系の溶媒はアルコキシド
を安定化した状態で分散ないし溶解させることが可能で
あり、比較的低沸点のため乾燥工程を短時間で行うこと
ができる。また、炭化水素系の溶媒は含水率が低いた
め、アルコキシドを安定化した状態で分散ないし溶解さ
せることが可能であり、均一な膜厚のゲル状組成物被膜
を形成することができる。
【0037】なお、ゾル状組成物を作るための溶媒の配
合量を25〜98重量%、アルコキシドの配合量を0.
5〜40重量%程度にするのが好ましい。溶媒の配合量
が25重量%未満の場合は、アルコキシドが均一に分散
及び/又は溶解されにくくなることがあり、結果として
ゾル状組成物が担持材料に複合化されにくくなり、例え
ば担持材料粒子を用いた場合には、そのゲル状組成物の
複合化が不均一になったりする場合がある。また、溶媒
の配合量が98重量%を超えると、溶媒を蒸発させる乾
燥工程に長時間を要する場合があり、また、無駄な溶媒
を消費するためコスト高となる。一方、アルコキシドの
配合量が0.5重量%未満の場合、アルコキシドの金属
及び/又はSiのガラス化ないしセラミック化による難
燃効果が低下する場合があり、また、アルコキシドの有
機成分による繊維へのなじみ性も低下する場合がある。
一方、アルコキシドの配合量が40重量%を超えると、
アルコキシドの溶媒への分散性及び/又は溶解性が低下
し、ゾル状組成物が担持材料に対して均一に複合化しに
くくなる場合がある。
【0038】上記アルコキシドは、Si及び/又はTi
を必須成分とするのがよい。Si及び/又はTiをアル
コキシドの成分として用いると、加水分解されて生成す
る例えばSiOやTiO等の酸化物は、高熱により
ガラス化ないしセラミック化し易いため、特に難燃性付
与効果が高いものとなる。また、これらSi及び/又は
Tiを含むアルコキシドはゲル化しにくいため、安定し
た状態のゾル状組成物を得ることが可能である。なかで
も、特にSiは、生成する酸化物の安定性、ゾル状組成
物の安定性等を考慮すると、アルコキシド成分として最
も優れている。なお、Siを用いたアルコキシドとして
は、例えばテトラエトキシシラン(Si(OC
)等を用いることができ、Tiを用いたアルコキシド
としては、例えばチタンイソプロポキシド(Ti(iso
−OC)等を用いることができる。また、上
記以外の成分としては、例えば、Cu、Al、Zn、N
i及びZrの1種又は2種以上を含有するもの、あるい
はその他の遷移元素を含有するもの等を採用することも
でき、この場合、例えば、アルミニウムイソプロポキシ
ド(Al(OC)等を用いることができる。
なお、アルコキシドの構成成分は目的に応じて変化させ
ることが可能で、この場合、形成されるゲル状組成物被
膜(化合物層)の性質がそれぞれ異なるものとなる。
【0039】一方、上記ゾル状組成物には、無機酸又は
有機酸の金属塩を配合することができる。この場合、金
属塩のカチオン金属元素は、Cu、Al、Zn、Ni、
Fe、Ti及びZrの1種又は2種以上を含有している
のがよく、また、アニオン成分の特に無機酸としては、
酸性気体を水に溶解して得られる酸(以下、酸性気体ベ
ース無機酸という)が使用されているのがよい。なお、
カチオン金属元素としては、上記以外のその他の遷移元
素を用いることも可能で、上記酸性気体とは、水に溶解
したときに酸性を示す気体のことをいう。酸性気体ベー
ス無機酸としては、例えば硝酸、亜硝酸、硫酸、亜硫
酸、及び炭酸の1種又は2種以上を使用することができ
る。このような金属塩をゾル状組成物に含有させると、
難燃性付与用複合組成物が添加された繊維に高熱が付与
された場合に、前記酸性気体ベース無機酸に由来する気
体、例えばN含有ガスとしてのNガスやNOガスや
NOガス、S含有ガスとしてのSOガス、C含有ガス
としてのCOガス等の燃焼阻害性気体が発生し、それ
らが繊維への難燃効果をさらに向上させる。なお、上記
金属塩の具体例としては、硝酸銅(Cu(NO
3HO)、硝酸亜鉛(Zn(NO・6HO)
等を例示することができる。また、上記の無機酸以外に
も、例えば、有機酸としてシュウ酸、酢酸等を用いるこ
とも可能である。
【0040】上記ゾル状組成物中の金属塩の配合量は9
5重量%以下とするのがよい。金属塩の配合量が95重
量%を超えると、難燃性付与効果の主要因たる、アルコ
キシドの金属及び/又はSiのガラス化ないしセラミッ
ク化による難燃性の付与効果が低下する場合がある。な
お、ゾル状組成物において、アルコキシドの重量配合率
をWA、金属塩の重量配合率をWBとしたときに、WA/
WBが0.01〜30の範囲にて設定されていることが
好ましい。WA/WBが0.01未満の場合、アルコキシ
ド成分に由来するガラス化ないしセラミック化による難
燃性付与効果が十分に得られなくなる場合があり、ま
た、WA/WBが30を超えると、金属塩に由来する発生
ガスによる難燃性付与効果が十分に得られなくなる場合
があり、結果として、難燃性付与用複合組成物の難燃性
付与効果が低下する場合がある。
【0041】上記ゾル状組成物は、溶媒としてのアルコ
ールを25〜98重量%と、アルコキシドとしてのシリ
コンアルコキシドを0.5〜40重量%と、金属塩とし
ての硝酸金属塩を5〜95重量%と、水0.1〜20重
量%とが配合されたものを使用するのがよい。このよう
な各配合量にてゾル状組成物を形成すると、上記ゾルゲ
ル法による担持材料へのゲル状組成物の複合化が均一に
でき、特に担持材料粒子に対しては均一な被膜を形成す
ることが可能となる。その結果、上述したアルコキシ
ド、金属塩に由来する難燃性付与効果を一層効果的に発
揮することができるようになる。
【0042】上記の製造方法においては、例えば、上記
金属塩をアルコールに分散及び/又は溶解させて第一溶
液を作る工程と、その第一溶液にアルコキシドを分散及
び/又は溶解させて第二溶液となす工程と、その第二溶
液に水を加えてゾル状組成物となす工程とを含むものと
することができる。このように、アルコールに対して金
属塩、アルコキシドを順に分散及び/又は溶解し、その
後の第二溶液に水を加える各工程を段階的に行うことに
より、ゾル状組成物を効率良く製造することが可能とな
る。なお、例えば、アルコール等の溶媒にアルコキシド
を分散及び/又は溶解しておき、それに金属塩やアルコ
ール等の溶媒を加えたりすることも可能で、ゾル状組成
物がゲル化しない条件であれば、上記各工程の順序は任
意に変更することが可能である。
【0043】次に、ゾル状組成物の乾燥は、40〜25
0℃の範囲にて行うのがよい。40℃未満の場合は、ゾ
ル状組成物の乾燥に長時間を要してしまう場合があり、
250℃を超えると、ゾル状組成物が分解してしまう場
合がある。なお、減圧乾燥を行う場合は、温度及び圧力
を、ゾル状組成物が安定に担持材料に残存(付着)する
ように調整する必要がある。
【0044】難燃性付与用複合粒子の製造において、ゾ
ル状組成物中に担持材料粒子を浸漬することにより混合
物を作り、その混合物を液切りすることなく乾燥させる
工程を行う場合、例えば、ゾル状組成物1リットル当り
の担持材料粒子の混合量は、1g〜20kg程度とする
のがよい。1g未満の場合、難燃性付与用複合粒子の製
造効率が低下し、また、20kgを超えると、単位担持
材料粒子当たりに対するゾル状組成物の複合量が少なく
なり、難燃性付与効果が低減する場合がある。なお、上
記混合量は、好ましくは1kg〜10kg程度にするの
がよい。また、例えば、ゾル状組成物中のアルコキシド
及び金属塩の合計含有量をWs(単位:g)、担持材料
粒子の比表面積値をSg(単位:g/m)、ゾル状組
成物への担持材料粒子の混合量をWg(単位:g)とし
たときに、Ws/(Sg×Wg)が0.002〜2.0g
/mとなるように担持材料粒子の混合量を調整するの
がよい。
【0045】難燃性付与用複合粒子を製造する際の、担
持材料粒子の使用可能な材質については、難燃性付与用
複合粒子の構成説明の際に例示したものと全く同様であ
るので、詳細な説明は省略する。
【0046】なお、上記難燃性付与用複合組成物あるい
は難燃性付与用組成物とともに、高分子材料からなる繊
維基質が昇温により溶融した場合に、その流動・滴下を
抑制する流動抑制補助剤を繊維基質中に配合することも
できる。この場合、流動抑制補助剤により繊維基質の溶
融流動が抑制され、いわゆる燃焼時のドリップ防止性を
向上させることができる。なお、流動抑制補助剤は、例
えば無水ホウ酸、ホウ酸亜鉛等のホウ酸系無機化合物、
赤燐(例えば、鈴裕化学製:ノーバレッド(商品名)、
日本化学工業製:ヒシガード(商品名)等)等の燐系無
機化合物、あるいはカーボン(例えば、東ソー製:GREP
-EG(商品名)、UCAR Carbon社製:GRAFGuard(商品
名)に代表される膨張性カーボン等)等の無機材料系の
もの、もしくはシリコーン等を使用することができる。
【0047】なお、繊維基質中に難燃性付与用複合組成
物を分散配合する場合は、繊維基質中へのその含有比率
は、基質100重量部に対して、1〜10重量部とする
のがよい。含有比率が1重量部未満の場合、難燃性付与
効果が低減する場合があり、また、10重量部を超える
と、得られる繊維基質の機械的性質を損ねたり、あるい
は紡糸性が損なわれて繊維化自体が不能となってしまう
等の問題が生じる場合がある。
【0048】なお、上記含有比率は好ましくは1〜3重
量部とするのがよい。但し、上記流動抑制補助剤を用い
る場合は、難燃性付与用複合組成物の含有比率は、例え
ば1〜10重量部程度とすることが望ましい。なお、繊
維基質中の難燃性付与用複合組成物の含有比率を体積分
率で表した場合、0.5〜15体積%とするのがよい。
一方、難燃性付与用組成物を用いた場合は、高分子基質
100重量部に対して、0.1〜10重量部(好ましく
は1〜3重量部)とするのがよい。
【0049】なお、本発明の難燃性繊維、難燃性撚糸あ
るいは難燃性布状物は、一般衣料品をはじめ、各種防火
衣料あるいは耐熱衣料など、特殊用途の衣料品へも適用
できる。衣料品としては、被服、履き物、帽子類などが
ある。さらには、衣料品以外にも、毛布(電気毛布を含
む)や布団、ベッドリネンなどの寝具類、ロープ、テン
ト、日除け、帆、袋等の梱包材料、防火マット、建築用
内装部材(幕、緞帳、テーブルクロス、カーテン、壁ク
ロス、カーペット、フローリング、じゅうたん、リノリ
ウムなど)、あるいは自動車、鉄道車両、船舶、航空機
などの乗り物用内装部材(例えば、壁用クロス、フロー
リング、カーペット、じゅうたん、リノリウム等)な
ど、難燃性が要求され分野であれば限定なく使用するこ
とができる。
【0050】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
面に示す実施例を参照して説明する。図1は、本発明に
おいて使用する難燃性付与用複合粒子の一実施例を概念
的に示す模式図である。難燃性付与用複合粒子10は、
珪素成分及び/又は金属成分と酸素とを含有し、例えば
加熱によりガラス質セラミックスを生じる化合物層2が
担持材料粒子1に複合化された構成を有し、前述したゾ
ルゲル法により製造することができる。なお、粒子10
は模式的に球状に描いているが、製法により形状は種々
に変化し、必ずしも球状とはならないことも多い。化合
物層2と担持材料粒子1との複合化の形態は、例えば、
図1(a)に示すように、化合物層2が担持材料粒子1
の表面をほぼ全体にわたって均一に被覆された状態が、
難燃効果の発揮という点に関して最も望ましいといえ
る。ただし、良好な難燃効果が維持できる範囲内にて、
図1(b)に示すように、担持材料粒子1の表面に化合
物層2が部分的に付着し、一部の表面が未被覆となって
露出している形態であってもよい。また、化合物バルク
中に難燃性付与用複合粒子10を分散させた塊状物を、
粉砕又は解砕すれば、例えば図1(c)のような構成の
不定形の難燃性付与用複合粒子10となることもある。
いずれにしろ、上記のような複合粒子10を例えば繊維
に複合化(基質中への分散及び/又は表面定着)するこ
とで、該繊維に難燃性を付与することが可能となる。
【0051】図1(a)において、担持材料粒子1に被
膜ないし付着された化合物層2の厚さは、例えば0.0
1〜1.0μm程度とされる。このような難燃性付与用
複合粒子10を繊維に複合化した場合、担持材料粒子1
に対して均一かつ薄膜状で化合物層2が被膜ないし付着
されているため、その難燃性付与効果は大きく、その難
燃性付与用複合粒子10の量が、例えば繊維に対して1
〜10重量部、好ましくは1〜3重量部程度の少量添加
で十分な難燃性を付与することが可能である。この場
合、少量添加であるため、繊維の物性変化も少なく、化
学繊維の場合は紡糸性も良好に確保することができ、ま
た、コスト面でも大幅な削減が可能となる。
【0052】一方、図2に示すように、難燃性付与用複
合粒子10とともに従来からある難燃材料粒子11を混
合して、これを繊維に複合(添加)することも可能であ
る。この場合、難燃性付与用複合粒子10の難燃性付与
効果に加えて、難燃材料粒子11の難燃性付与効果も相
乗的に加わるため、繊維は高い難燃性を示すこととな
る。
【0053】他方、図3に示すように、前述したゾルゲ
ル法により製造される、ゲル状化合物のみからなる難燃
性付与用単独粒子310を使用してもよい。この場合、
図4に示すように、難燃性付与用単独粒子310を、従
来からある難燃材料粒子11とともに配合して使用する
ことも可能である。この場合、難燃性付与用粒子10の
難燃性付与効果に加えて、難燃材料粒子11の難燃性付
与効果も相乗的に加わるため、繊維は高い難燃性を示す
こととなる。
【0054】難燃性付与用複合粒子10あるいは難燃性
付与用単独粒子310に含有される上記のゲル状化合物
は、例えば図5に模式的に示すような構造を有している
ものと推測される(本図において分子式は模式的に示し
たものであって、該分子式が示す特定の構造を限定的に
有していることを意味するものではない)。繊維50の
内部又は表面に複合された化合物層2中には、珪素及び
/又は金属(これらを図中Mで示す)が酸化物又はアル
コキシド52の状態(例えばSiO、ZrO 、Si
(OCnHm)l(n≧1、m≧1、l≧1)等)、又
は単体状態で含有され、さらに炭素成分51が例えばC
nHm(n≧1、m≧1)の状態で含有されている構造
を推測できる。
【0055】上記のような難燃性付与用複合粒子10あ
るいは難燃性付与用単独粒子310は、例えば図8に示
すように、繊維基質16中に分散させてもよいし
((b)、(d):以下、分散態様ともいう)、繊維基
質16の表面に定着してもよい((a)、(c):以
下、定着態様ともいう)。なお、燃性付与用単独粒子3
10は難燃材料粒子11と併用する場合を例示している
が、前者を単独で使用してもよいことはもちろんであ
る。また、難燃性付与用複合粒子10と難燃材料粒子1
1とを複合して用いてもよい。さらに、分散態様と定着
態様とを組み合わせることも可能である。
【0056】分散態様は、化学繊維に粒子を複合化させ
る場合に特に有効である。すなわち、繊維基質となるべ
き紡糸原液中に粒子を配合しておき、これを紡糸するこ
とにより、前記した分散態様の繊維を簡単に得ることが
できる。図9は、溶融紡糸法の一例を示し、繊維基質が
熱可塑性高分子材料(ナイロン、ポリエステル、ポリエ
チレン、ポリプロピレンなど)である場合に有効であ
る。すなわち、繊維原料となるマスターバッチを溶融し
て溶融紡糸原液を作り、これを空気あるいは水等の冷却
媒中に押し出し、冷却して繊維状に凝固させるようにし
ている。
【0057】紡糸用のマスターバッチは、例えば以下の
ようにして製造できる。すなわち、図6(a)に示すよ
うに、上記のような難燃性付与用複合粒子10あるいは
難燃性付与用単独粒子310は、単独で、あるいは必要
に応じて、難燃性付与用複合粒子とは別の難燃剤や難燃
助剤、充填剤、顔料や染料等の着色剤、分散剤等ととも
に、基質となるべき高分子材料(本実施例では、熱可塑
性樹脂を使用している)41中に配合・混練されてコン
パウンド531とする。コンパウンド531は、例えば
ペレット等の粒状に成形することによりマスターバッチ
粒子32とすることができる。マスターバッチ粒子32
は、例えば球換算した直径による寸法にて0.1〜10
mm程度(例えば1〜4mm程度)の大きさを有するも
のである。マスターバッチ粒子32の形状は、特に限定
されるものではないが、例えば図6(b)に示すよう
に、軟化させたコンパウンドをストランド状に押し出し
て、これを所定長に切断することにより、柱状(例えば
円柱状)形態の粒子を得ることができる。なお、図6
(c)及び(d)は、マスターバッチ粒子32の別の形
状例を示しており、前者は球状のもの(例えば型成形等
により製造できる)、後者はフレーク状のもの(例えば
シート状物の破砕・整粒により製造できる)を示すが、
これに限定されるものではない。
【0058】なお、図7(a)に示すように、マスター
バッチ粒子32を単独で使用して紡糸するようにしても
よいが、同図(b)に示すように、マスターバッチ粒子
32の高分子基質と同材質あるいは異材質の高分子材料
からなる希釈高分子材料粒子40を適量配合することに
より、複合粒子の含有率が、マスターバッチ粒子32中
の含有率よりも小さい繊維を製造することもできる。こ
の場合、繊維中の複合粒子の含有率は、マスターバッチ
粒子32中の複合粒子の含有率と、そのマスターバッチ
粒子32に対する希釈高分子材料粒子40の配合比率に
よって定まる。
【0059】なお、このような希釈して使用するための
マスターバッチ粒子は、複合粒子の含有率が、例えば重
量比率にて20〜67重量%と高いが、複合粒子をこの
ような高い含有率にて基質中に均一分散させるために、
分散剤を配合することが望ましい。分散剤としては、例
えば金属セッケンを好適に使用することができる。金属
セッケン分は、例えば有機酸成分が、ナフテン酸(ナフ
テート)、ラウリン酸(ラウレート)、ステアリン酸
(ステアレート)、オレイン酸(オレエート)、2−エ
チルヘキサニック酸(オクテート)、あまに油あるいは
大豆油脂肪酸(リノレート)、トール油(トーレー
ト)、ロジン等(レジネート)からなるものを例示でき
る。また、金属の種類は下記のようなものを例示でき
る。 ・ナフテネート系(Al、Ca、Co、Cu、Fe、P
b、Mn、Zn等) ・レジネート系(Al、Ca、Co、Cu、Fe、P
b、Mn、Zn等) ・リノレート系(Co、Fe、Pb、Mn等) ・ステアレート系(Ca、Zn等) ・オクテート系(Ca、Co、Fe、Pb、Mn、Zn
等) ・トーレート系(Ca、Co、Fe、Pb、Mn、Zn
等) これらのうち、ステアリン酸Ca、ステアリン酸Zn
を、分散効果に特に優れる金属セッケンの具体例として
挙げることができる。なお、金属セッケンの複合材料中
への配合量は、多すぎると材料強度や均質性に問題が生
じ、少なすぎると分散効果が不十分となるので、これら
の不具合が生じないよう、例えば0.01〜3重量%の
範囲内にて選定するのがよい。
【0060】一方、図10は、紡糸法の別の例をいくつ
か示すものである。図10(a)は、湿式紡糸法の一例
を示すものであり、原料を溶媒中に溶解ないし分散させ
て紡糸原液を作り、これをノズルから凝固浴に押し出し
て、溶媒を抜きながら繊維の形に再生する方法である。
この方法は、繊維基質が、例えばレーヨンやアクリルな
いしビニロン等の場合に有効である。図10(b)は、
乾式紡糸法の一例を示すものであり、湿式法と同様の紡
糸原液を熱した気体(空気など)中に押し出し、溶媒を
蒸発させて繊維の形に再生する方法である。この方法
は、繊維基質が、例えばアセテート、ビニロンあるいは
ポリエーテルウレタン等の場合に有効である。図10
(c)は、乾湿式紡糸法の一例を示すもので、紡糸原液
を気体で満たされた空隙をまず通すことで、分子鎖の配
向状態をコントロールし、溶媒を液浴中で抜いて繊維に
再生する方法である。
【0061】次に、難燃性付与用複合粒子10あるいは
難燃性付与用単独粒子310は、繊維基質の表面に定着
することも可能である。天然繊維等を用いる場合に特に
有効である。図11は、そのいくつかの例を示してい
る。図11(a)は、高分子基質50の表面に形成され
た接着高分子層560を介して粒子10(310)を接
着形態により定着する例を示す。また、図11(b)に
示すように、定着された粒子10(310)の表面側
を、さらに高分子等によるオーバーコート561で覆う
ようにしてもよい。図11(c)は、粒子10(31
0)の表面を定着樹脂層562で予め覆っておき、加熱
により定着樹脂層562を軟化させつつ基質50の表面
に付着させた後、樹脂を硬化させることにより、複合粒
子10(310)を定着する例である。
【0062】上記のようにして得られた繊維は、紡糸工
程を経て撚糸に加工することができ、これにより本発明
の難燃性撚糸を得ることができる。撚糸方法としては、
各種公知の手法を採用できるが、図12(a)はその紡
糸機の一例たる空気撚糸機を示すものである。その作動
の概略は以下の通りである。繊維束201は、供給ロー
ラ202と付勢部材203との間に送り込まれる。付勢
部材203は図示しないスプリングにより付勢されるこ
とで、供給ローラ202との間で繊維束201を挟み付
ける。この状態で供給ローラ202を回転させることで
繊維束201がコーミングローラ204側へ送られる。
コーミングローラ204の外周には鋸刃状204aの歯
が刻設されており、その回転により繊維束201を歯2
04aの先端でひっかくようになっている。これによ
り、繊維束201は、気流通路200から導入される空
気の流れとコーミングローラ204の回転による遠心力
とで個々の繊維に分離されながら、ロータ206の中へ
送り込まれる。また、符号205は気流を分配するため
のセパレータである。
【0063】ロータ206は、繊維束201を加撚する
ためのものであり、例えば30000rpm程度で高速
回転するとともに、導糸管206bの周囲に所定の間隔
で複数の排気孔206bが形成されており、気流通路2
00から導入された空気がここから排出される。これに
より、コーミングローラ204の歯先から外れて導糸管
206bに吸い込まれた分離繊維の列は、空気の流れと
ロータ206の高速回転による遠心力との作用を受け
て、ロータ206の内壁に回転軸線周りに渦を描くよう
にして吹き付けられる。ここに、導糸管206から種糸
を垂れ下げると、ロータ206の回転により、その内面
に吹き付けられている繊維列が撚り付いて撚糸210と
なる。なお、撚糸210は、ピンチローラ207にて引
き出され、ローラ208の回転によりチーズ209に巻
き取られる。
【0064】図12(b)は、そのようにして製造され
た単糸210の一例を示している。難燃性付与用複合粒
子10を用いた場合は、図13に概念的に示すように、
該単糸210は、個々の繊維200が、その繊維基質中
に該粒子10を分散させているか、あるいは基質表面に
これを定着させた構造を有するものとなる。図14は、
難燃性付与用単独粒子310を用いた場合の単糸210
の概念図である(この例では、従来からある難燃材料粒
子11を併用しているが、該難燃材料粒子11を特に用
いない構成も可能である)。なお、図12に示すように
上記のような単糸を複数本撚り合わせて合糸を作ること
もできる。同図(d)は上記のような単糸を2本を撚り
合わせた双糸220の例であり、同図(e)は3本撚り
合わせた三子糸221の例を示す。なお、図12〜図1
4に示したものは、本発明の難燃性繊維を用いた撚糸の
具体的態様の一部に過ぎず、例えば繊維基質の異なる複
数種の繊維を撚り合わせて混紡糸としたり、複数種の撚
糸を撚りあわせた交撚糸とするなど、種々の変形を加え
うることはいうまでもない。また、混紡糸あるいは交撚
糸では、撚りあわせる一部の繊維(単糸)を難燃性付与
用複合粒子10あるいは難燃性付与用単独粒子310を
複合化しない、通常の繊維(単糸)とすることで、撚糸
中の粒子の含有率や分布形態を調整することも可能であ
る。
【0065】また、本発明の難燃性撚糸は、繊維を撚り
合わせて撚糸とした後に、難燃性付与用複合粒子10あ
るいは難燃性付与用単独粒子310を、その表面に定着
するようにしてもよい。この場合、使用する繊維は、上
記の粒子が複合化されているものを使用してもよいし、
特に複合化されていないものを使用してもよい。後者の
場合は、撚糸とする前の段階の繊維は難燃性付与用複合
粒子10あるいは難燃性付与用単独粒子310が複合化
されていないが、最終的な撚糸においては、これら粒子
10ないし310が表面定着形態にて繊維に複合化され
たものとなる。従って、繊維単独として見た場合には本
発明の難燃性繊維の要件を満たし、撚糸自体も本発明の
難燃性繊維を撚り合わせた構造を有したものとなること
は明らかである。
【0066】次に、本発明の難燃性撚糸を織り合わせる
ことにより、本発明の難燃性布状物の一形態である難燃
性織布を得ることができる。図15(a)は、上記本発
明の難燃性繊維を緯糸18及び経糸17として用いた難
燃性織布19を示している。ここでも難燃性付与用複合
粒子10は、図15(b)に示すように撚糸の繊維基質
の表面に定着された形となっていても、同図(c)に示
すように、繊維基質の内部に分散する形となっていても
いずれでもよい。
【0067】また、撚糸を織り上げた後に、その織布の
表面に粒子を定着させてもよい。この場合、当然に、
(A)繊維段階での粒子の複合化(繊維表面への定着及び
/又は基質中分散)、(B)撚糸段階での粒子の複合化
(撚糸表面への定着)、さらに(C)織布段階での粒子の
複合化(織布表面への定着)の2以上のものを累積して
実施することも可能である。なお、繊維段階で表面に粒
子を定着した後に撚糸化し、その撚糸を用いて織布を構
成した場合(つまり、(A)の基質中分散のみを単独実施
した場合)は、撚糸の基質中には粒子分散しないが、撚
糸を構成する繊維間には粒子が介在したものとなる。他
方、織布の段階でのみ粒子を定着したもの(つまり、
(C)を単独実施した場合)は、撚糸を構成する繊維間に
は粒子が介在しないものとなる。なお、図16(a)〜
(c)は、難燃性付与用複合粒子10に代えて難燃性付
与用単独粒子310(ここでは、従来からある難燃材料
粒子11を併用している)を用いた場合の難燃性織布1
9を示している。粒子の種別が異なる以外は、図15に
示すものと構成は全く同様である。
【0068】なお、図15及び図16に示す織布の組織
は、いわゆる平織のものを示しているが、織物組織はこ
れに限定されるものでないことは当然であり、綾織、朱
子織(サテン)、さらにはこれら3つの組織の2以上の
組み合わせ形態など、種々の変形を加えうることができ
るのはもちろんである。また、経二重(三重以上でもよ
い)あるいは緯二重(三重以上でもよい)の織物を作
り、その経糸あるいは緯糸の一部を適当の位置で切っ
て、織物の表面に毛羽を表したり、あるいは経糸を規則
的に輪形に浮かせてわなを作ったパイル織物を作ること
も可能である。例えば図17は、パイル織物の応用例で
あるカーペットの断面組織の一例を示している。パイル
経糸は芯経糸とともに地緯糸と織り合わされ、カラミ経
糸を用いて厚さ方向に緊束・一体化されている。パイル
経糸は、織物表面側に断続的に突出してパイルを形成
し、そのパイルの各基端側は、カラミ経糸により締めつ
け保持されている。(a)のカットパイル組織では各パ
イルが切り開かれて毛羽状となっており、(b)の非カ
ットパイル組織では各パイルが切り開かれず、ループ状
となっている。
【0069】なお、織布を構成する経緯糸の少なくとも
一部を前記した混紡糸とした混紡織物として構成するこ
とができるし、経緯糸の少なくとも一部を交撚糸とした
り、経糸と緯糸とに異種(例えば一方のみを難燃性撚糸
とする)の糸を用いたり、あるいは経緯糸の中に部分的
に異種の繊維の糸を縞状に配合して織り合わせた交織織
物とすることもできる。
【0070】また、本発明の難燃性布状物は短繊維をラ
ンダムに、布状に積層・一体化した不織布とすることも
可能である。図18は、そのような難燃性不織布23の
一例を模式的に示すものである。使用する短繊維を本発
明の難燃性繊維とすれば、得られる不織布23もそのま
ま難燃性不織布となる。例えば、繊維基質中に難燃性付
与用複合粒子10あるいは難燃性付与用単独粒子310
を分散させたものを使用すれば、図18(c)に示すよ
うな断面組織を呈するものとなり、繊維基質表面に粒子
10あるいは310を定着したものを使用するか、及び
/又は不織布形態に布状化した後に、その布状物の表面
に粒子10あるいは310を定着すれば、同図(b)に
示すような断面組織を呈するものとなる。なお、通常の
不織布と同様に、繊維同士を接着剤固着あるいは熱融着
させるようにしてもよい。
【0071】さらに、不織布以外に、本発明の難燃性繊
維を直接利用する形態としては、該難燃性繊維を不定形
に集積した綿類があり、難燃性の布団などに適用でき
る。この場合、木綿繊維に難燃性付与用複合粒子や難燃
性付与用単独粒子を定着したものを使用できる他、他の
材質の繊維に定着ないし基質分散させたものを使用して
もよい。
【0072】なお、以上説明した難燃性繊維、難燃性撚
糸あるいは難燃性布状物は、いずれも、例えば前記した
ゾルゲル法により形成される化合物、すなわち、珪素成
分及び/又は金属成分と酸素とを含有する化合物を主体
とし、加熱により珪素及び/又は金属の酸化物を主体と
するガラス質セラミックスを生ずる難燃性付与用組成物
が、繊維基質、繊維を撚り合わせた構造を有する撚糸基
材、あるいは織布又は不織布状に形成された布状物基材
に複合化された構造を有するものとなることは明らかで
ある。そして、この概念に属する難燃性繊維、難燃性撚
糸あるいは難燃性布状物又はその製造方法の態様として
は、上記説明したものに限定されず、種々の変形態様が
可能であることはいうまでもない。以下、その具体例に
ついてさらに説明する。
【0073】まず、難燃性繊維については、図19
(a)に示すように、繊維基質16の表面が化合物層
(すなわち、難燃性付与用組成物層)315によりコー
ティングされた態様がある。その製造方法の例を図9あ
るいは図10を援用して説明する。まず、図9の溶融紡
糸法を用いる場合は、溶融紡糸原液を冷却媒中に押し出
す際に、その冷却媒として前記したゾル状組成物を使用
する方法がある。溶融紡糸原液は繊維状に押し出され、
ゾル状組成物により冷却されるとともに、繊維の外面に
そのゾル状組成物が層状に塗布される。塗布後は、乾燥
により化合物層315が形成される。なお、化合物層3
15をなすゲル状組成物は、加熱・乾燥することがゲル
の縮重合反応を促す上で望ましいが、この加熱は繊維段
階で行ってもよいし、例えば繊維段階では比較的低温で
仮乾燥し、撚糸や織布あるいは不織布とした段階で加熱
するようにしてもよい。なお、ゾル状組成物中に前記し
た担持材料粒子(例えば難燃材料粒子や高分子材料粒
子)を懸濁させたものを使用すれば、図19に示すよう
に、化合物層315中に担持材料粒子11が分散された
構造が得られる。これは、粒子状でない難燃性付与用複
合組成物の一態様であるといえる。なお、難燃性付与用
複合粒子あるいは難燃性付与用単独粒子を懸濁させた水
等の冷却媒を使用して、図8(a)あるいは(c)に示
すような構造の繊維を製造する方法もある。
【0074】一方、図10(a)に示す湿式紡糸法や同
図(d)に示す乾湿式紡糸法では、凝固浴としての機能
も有するように溶媒選択がなされたゾル状組成物中に紡
糸原液を押し出せば、図19(a)あるいは(b)に示
すのと同様の構造の難燃性繊維を得ることができる。一
方、別の応用例として、有機溶媒を用いて調製したゾル
状組成物を紡糸原液中に配合して紡糸することにより、
繊維基質中に化合物粒子(すなわち難燃性付与用単独粒
子)が分散した繊維を得ることも可能である。
【0075】なお、天然繊維や、すでに繊維化された化
学繊維において、後塗布により化合物層315を形成し
てもよい。この場合、繊維をゾル状組成物中に浸漬して
塗布を行い、次いで乾燥を行った後、必要に応じて繊維
の解砕を行うことにより、図19(a)あるいは(b)
に例示したのと同様の構造の難燃性繊維を得ることがで
きる。
【0076】また、繊維(難燃性付与用複合組成物や難
燃性付与用組成物が複合化されたものであっても、そう
でないものであってもいずれでもよい)を予め撚り合わ
せた撚糸基材、あるいは織布又は不織布状の布状物基材
を予め用意形成しておき、これにゾル状組成物を含浸
後、加熱・乾燥させることにより、化合物(難燃性付与
用組成物)を複合化させて難燃性繊維、難燃性撚糸ある
いは難燃性布状物を得ることも可能である。この場合、
化合物は、粒子形態で繊維間に分散する形態となること
もあるが、図19(a)に示すように、繊維基質16の
表面の一部又は全部が化合物層315により覆われた構
造となる場合もある。一方、図19(c)に示すよう
に、ゾル状組成物を布状物基材400の片面又は両面に
塗布することにより、布状物基材400の表面を覆う化
合物層200bを形成するようにしてもよい。
【0077】なお、繊維を覆う化合物層315の厚さ
は、例えば20μm以下、望ましくは10μm以下とす
るのがよい。化合物層315の膜厚が20μmを超える
と、繊維の可橈性が損なわれる場合がある。なお、上記
膜厚は、さらに好ましくは5μm以下、さらには1μm
未満のサブミクロンサイズの膜厚とすることもあり得
る。このような薄膜を形成するために、上記のゾルゲル
法を採用することは、均一かつ薄い膜厚の被膜を簡便に
形成する上で極めて有利であるといえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】難燃性付与用複合粒子の形態をいくつか例示し
て示す模式図。
【図2】難燃性付与用複合粒子に別の難燃剤粒子を配合
して使用する例を示す模式図。
【図3】難燃性付与用単独粒子の分散形態を示す模式
図。
【図4】難燃性付与用単独粒子に別の難燃材料粒子を配
合して使用する例を示す模式図。
【図5】化合物の分子レベル構造を推測して示す模式
図。
【図6】マスターバッチの製造方法の一例を、マスター
バッチ粒子の種々の形態とともに示す模式図。
【図7】マスターバッチのいくつかの使用形態を示す説
明図。
【図8】本発明の難燃性繊維のいくつかの形態を模式的
に示す図。
【図9】本発明の難燃性繊維を製造するための紡糸法の
一例を示す模式図。
【図10】本発明の難燃性繊維を製造するための紡糸法
のいくつかの変形例を示す模式図。
【図11】繊維基質の表面に難燃性付与用複合粒子を定
着する方法をいくつか例示して示す工程説明図。
【図12】本発明の難燃性撚糸を製造するための空気撚
糸機の一例を示す断面図及び難燃性撚糸の種々の形態を
示す図。
【図13】本発明の難燃性撚糸として構成された単糸の
模式図。
【図14】同じくその変形例を示す模式図。
【図15】本発明の難燃性布状物を織布として構成した
例を示す説明図。
【図16】その変形例を示す説明図。
【図17】織布をパイル織物として構成したいくつかの
例を示す断面模式図。
【図18】本発明の難燃性布状物を不織布として構成し
た例を示す説明図。
【図19】本発明の種々の変形態様を説明する図。
【符号の説明】
1 担持材料粒子 2 化合物層 10 難燃性付与用複合粒子 19 難燃性織布(難燃性布状物) 23 難燃性不織布(難燃性布状物) 32 マスターバッチ粒子 200 難燃性繊維 210,220,221 難燃性撚糸 310 難燃性付与用単独粒子
フロントページの続き (72)発明者 伊藤 寿国 愛知県名古屋市昭和区高辻町11番15号 石 塚硝子株式会社内 Fターム(参考) 4H028 AA05 AA08 AA10 AA12 AA22 AA49 AB01 AB04 BA03 BA04 BA06 4J002 AB011 AJ001 BB011 BB032 BB122 BE011 BG021 BN152 CF001 CF062 CF072 CG002 CH072 CL001 CL002 CL061 DE046 DE076 DE146 DE236 DG056 DJ016 DJ036 DJ056 DK006 FB072 FB076 FD132 FD136 GK00 4L031 AB01 AB21 AB31 BA09 BA11 BA20 BA23 CA08 DA16

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子材料、無機材料及び金属材料の1
    種又は2種以上からなる担持材料粒子に、珪素成分及び
    /又は金属成分と酸素とを含有する化合物層を複合化さ
    せた構造を有する難燃性付与用複合組成物を、化学繊維
    又は天然繊維に複合化させたことを特徴とする難燃性繊
    維。
  2. 【請求項2】 高分子材料、無機材料及び金属材料の1
    種又は2種以上からなる担持材料粒子に、加熱により珪
    素及び/又は金属の酸化物を主体とするガラス質セラミ
    ックスを生ずる化合物層を複合化させた構造を有する難
    燃性付与用複合組成物を、化学繊維又は天然繊維に複合
    化させたことを特徴とする難燃性繊維。
  3. 【請求項3】 珪素成分及び/又は金属成分と酸素とを
    含有する化合物を主体とし、加熱により珪素及び/又は
    金属の酸化物を主体とするガラス質セラミックスを生ず
    る難燃性付与用組成物を、化学繊維又は天然繊維に複合
    化させたことを特徴とする難燃性繊維。
  4. 【請求項4】 前記難燃性付与用複合組成物又は難燃性
    付与用組成物を前記化学繊維の基質中に分散配合した請
    求項1ないし3のいずれかに記載の難燃性繊維。
  5. 【請求項5】 前記難燃性付与用複合組成物又は難燃性
    付与用組成物を前記化学繊維又は天然繊維の表面に定着
    した請求項1ないし4のいずれかに記載の難燃性繊維。
  6. 【請求項6】 前記化合物は炭素成分を含有する請求項
    1ないし5のいずれかに記載の難燃性繊維。
  7. 【請求項7】 加熱により燃焼阻害性気体を分解生成す
    る請求項1ないし6のいずれかに記載の難燃性繊維。
  8. 【請求項8】 前記燃焼阻害性気体として、窒素、硫黄
    及び炭素の1種又は2種以上を含有するものが生成され
    る請求項7記載の難燃性繊維。
  9. 【請求項9】 前記難燃性付与用複合組成物又は難燃性
    付与用組成物は粒子状に形成され、その平均粒径が0.
    05〜500μmである請求項1ないし8のいずれかに
    記載の難燃性繊維。
  10. 【請求項10】 前記担持材料粒子は難燃材料粒子であ
    る請求項1,2,4〜9のいずれかに記載の難燃性繊
    維。
  11. 【請求項11】 前記難燃材料粒子は、無機材料系粒子
    又は金属材料系粒子である請求項10記載の難燃性繊
    維。
  12. 【請求項12】 前記無機材料系粒子は、水酸化アルミ
    ニウム及び水酸化マグネシウムの少なくともいずれかを
    主成分とするものである請求項11記載の難燃性繊維。
  13. 【請求項13】 請求項1ないし12のいずれかに記載
    の難燃性繊維を線状に撚り合わせた構造を有することを
    特徴とする難燃性撚糸。
  14. 【請求項14】 繊維をより合わせた構造を有する撚糸
    基材に、珪素成分及び/又は金属成分と酸素とを含有す
    る化合物を主体とし、加熱により珪素及び/又は金属の
    酸化物を主体とするガラス質セラミックスを生ずる難燃
    性付与用組成物を複合化させたことを特徴とする難燃性
    撚糸。
  15. 【請求項15】 請求項1ないし12のいずれかに記載
    の難燃性繊維により織布又は不織布として形成されたこ
    とを特徴とする難燃性布状物。
  16. 【請求項16】 織布又は不織布状の布状物基材に珪素
    成分及び/又は金属成分と酸素とを含有する化合物を主
    体とし、加熱により珪素及び/又は金属の酸化物を主体
    とするガラス質セラミックスを生ずる難燃性付与用組成
    物を複合化させたことを特徴とする難燃性布状物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2015111172A1 (ja) * 2014-01-23 2015-07-30 泰陽株式会社 機能性エアフィルター

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