JP2001121338A - エンドミルホルダーとこれに取付けられるスローアウエイチップ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 チップに大きな軸方向すくい角を備えると共
に、エンドミルの小形化を達成すること。 【解決手段】 ホルダー本体１の中心軸Ｏに対して点対
称位置に一対のチップ嵌合溝２，３が所定の軸方向すく
い角αを有するよう傾斜して軸方向に延びて設けられ、
この点対称位置に設けられた両チップ嵌合溝２，３間
に、両チップ嵌合溝２，３を互いに連通するスリット４
が設けられ、両チップ嵌合溝２，３と両チップ嵌合溝
２，３を連通するスリット４とを挟んでホルダー本体１
が２分されて一対のチップ挟持用半体５，６が形成さ
れ、両チップ挟持用半体５，６にわたってねじ込まれる
クランプボルト７によって両チップ嵌合溝２，３に夫々
嵌合されたチップ８，９が両チップ挟持用半体５，６に
挟持されるようになっている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、エンドミルとして
使用されるエンドミルホルダーと該ホルダーに交換可能
に取付けられる所謂スローアウェイ型のチップに関す
る。

【０００２】

【従来の技術】図９の（ａ）および（ｂ）に示すよう
に、従来からも、エンドミル本体３１の先端部にスロー
アウエイチップ３２を挟み込んで、該チップ３２に直交
する方向からクランプボルト３３をチップ３２に設けた
貫通穴３４を挿通させてチップ本体３１にねじ込むこと
によって、チップ３２をエンドミル本体３１の先端部に
挟持させるようにしたエンドミルホルダーとそれに取付
けられるスローアウエイチップは存在する。

【０００３】しかし、この従来技術のチップ３２は、そ
の径方向両端縁に主切れ刃３５，３５を設けると共に、
その中心部に上述のように貫通穴３４を設けて、クラン
プボルト３３を該挿通穴３４に挿通してホルダー本体３
１にねじ止めするようになっているため、主切れ刃３
５，３５に軸方向に傾斜したすくい角を形成しようとす
れば、チップ３２自体にその表裏両面対称位置に軸方向
すくい角面（axial rakeangle face)のための傾斜面を
形成しなければならず、当然のことながらチップ２の厚
みの範囲内に限定されるため大きな軸方向すくい角を取
ることができない。またチップ３２自体に傾斜面を取る
ことによってチップの剛性が低下する。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、主に上記の
難点を解消してチップに大きな軸方向すくい角を備える
ようにすることを解決課題とすると共に、その他にホル
ダー本体の小形化をも達成することを目的とするもであ
る。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項１に係る発明のエンドミルホルダーは、理解
を助けるために添付図面の参照符号を付して示すと、ホ
ルダー本体１の中心軸Ｏに対して点対称位置に一対のチ
ップ嵌合溝２，３が所定の軸方向すくい角α（図６）を
有するよう傾斜して軸方向に延びて設けられ、この点対
称位置に設けられた両チップ嵌合溝２，３間に、両チッ
プ嵌合溝２，３を互いに連通するスリット４が設けら
れ、両チップ嵌合溝２，３と両チップ嵌合溝２，３を連
通するスリット４とを挟んでホルダー本体１が２分され
て一対のチップ挟持用半体５，６が形成され、両チップ
挟持用半体５，６にわたってねじ込まれるクランプボル
ト７によって両チップ嵌合溝２，３に夫々嵌合されたチ
ップ８，９が両チップ挟持用半体５，６に挟持されるよ
うになっている構成からなるものである。

【０００６】また請求項２に係る発明のエンドミルホル
ダーは、ホルダー本体１に軸方向に延びて形成された前
記両チップ嵌合溝２，３に夫々チップ８，９が軸方向に
嵌合されて、その軸方向端部でチップ８，９の軸方向の
移動を阻止するためのストッパーピン１０がホルダー本
体１に径方向に挿入固定されてなる請求項１に記載の構
成からなるものである。

【０００７】また請求項３に係る発明のエンドミルホル
ダーは、前記チップ嵌合溝２，３は断面蟻溝状に形成さ
れてなる請求項１または２に記載の構成からなるもので
ある。

【０００８】また請求項４に係る発明のエンドミルホル
ダーは、図４に示すように、両チップ８，９には、その
互いの対向端面側に前記クランプボルト７を挿通するこ
とができる程度の切欠１１，１２を設け、両チップ８，
９の取付座１３，１４に直交する方向からクランプボル
ト７が両チップ８，９の切欠１１，１２を挿通して前記
両チップ挟持用半体５，６にわたってねじ込まれるよう
になっている請求項１〜３の何れかに記載の構成からな
るものである。

【０００９】また請求項５に係る発明のエンドミルホル
ダーは、図５に示すように、両チップ８，９には、その
互いの対向端面側に前記クランプボルト７を挿通するこ
とができる程度の切欠１１ａ，１２ａを設け、両チップ
８，９の取付座１３，１４に直交する位置に対して所要
の角度βだけ傾斜した方向からクランプボルト７が両チ
ップ８，９の切欠１１ａ，１２ａを挿通して前記両チッ
プ挟持用半体５，６にわたってねじ込まれるようになっ
ている請求項１〜３の何れかに記載の構成からなるもの
である。

【００１０】また請求項６に係る発明のエンドミルホル
ダーは、図８に示すように、ホルダー本体１にチップ嵌
合溝２ａが所定の軸方向すくい角α（図６）を有するよ
う傾斜して軸方向に延びて設けられ、このチップ嵌合溝
２ａに連通するスリット４ａが設けられ、チップ嵌合溝
２ａとスリット４ａとを挟んでホルダー本体１が２分さ
れて一対のチップ挟持用半体５ａ，６ａが形成され、両
チップ挟持用半体５ａ，６ａにわたってねじ込まれるク
ランプボルト７によってチップ嵌合溝２ａに嵌合された
チップ８ａが両チップ挟持用半体５ａ，６ａに挟持され
るようになっている構成からなるものである。

【００１１】また請求項７に係る発明のスローアウエイ
チップ８，９は、図３に示すように、チップ本体１５
は、軸方向に長尺に延びる板状体からなり、該板状チッ
プ本体１５の長尺側一端面に主切れ刃１６が形成され、
他端面に径方向の位置決め面１７が形成され、軸方向先
端面に底刃１８（図１，図６）が形成され、軸方向後端
面に軸方向位置決め面１９（図１，図６）が形成され、
チップ本体１５の上面２０とチップ本体１５の裏面２１
とが挟持面となっている構成からなのものである。

【００１２】また請求項８に係る発明のスローアウエイ
チップは、チップ本体１５の上面２０の径方向位置決め
面１７側は、前記チップ嵌合溝２（２ａ），３の蟻溝状
断面に合致する傾斜面２２に形成されてなる請求項７に
記載の構成からなるものである。

【００１３】また請求項９に係る発明のスローアウエイ
チップは、チップ本体１５の上面２０の主切れ刃１６側
は、所要の径方向すくい傾斜面２３に形成されてなる請
求項７または８に記載の構成からなるものである。

【００１４】また請求項１０に係る発明のスローアウエ
イチップは、チップ本体１５の径方向位置決め面１７側
にクランプボルト７を挿通させるための半円弧状の切欠
１１（１２）を設けてなる請求項７〜９の何れかに記載
の構成からなるものである。

【００１５】

【発明の実施の形態】図１〜図７は、本発明の一実施形
態のエンドミルホルダーを示すもので、これらの図にお
いて、ホルダー本体１には、その中心軸Ｏに対して点対
称位置に一対のチップ８，９が取り付けられる。一対の
チップ８，９はホルダー本体１に設けたチップ嵌合溝
２，３に軸方向から嵌合してクランプボルト７で挟まれ
るようにして取付けられる。なお全図において、Ｐは切
削軌跡を示す。

【００１６】更に詳細に説明すると、ホルダー本体１の
中心軸Ｏに対して点対称位置に設けられる一対のチップ
嵌合溝２，３は、図６に示すように、所定の軸方向すく
い角αを有するよう傾斜して軸方向に延びて設けられ、
この点対称位置に設けられた両チップ嵌合溝２，３間
に、両チップ嵌合溝２，３を互いに連通するスリット４
がワイヤーカット放電加工によりチップ８，９のねじれ
に沿ったスリ割り状に設けられ、両チップ嵌合溝２，３
と両チップ嵌合溝２，３を連通するスリット４とを挟ん
でホルダー本体１が２分されて、図２〜図５または図７
に示すように、一対のチップ挟持用半体５，６が形成さ
れ、両チップ挟持用半体５，６にわたってねじ込まれる
クランプボルト７（図４，図５）によって両チップ嵌合
溝２，３に夫々嵌合されたチップ８，９が両チップ挟持
用半体５，６に圧力的に挟持されるようになっている。

【００１７】そして、図１、特に図６を見れば分かるよ
うに、ホルダー本体１の軸方向にその軸心Ｏに対して所
定の軸方向すくい傾斜角α（axial rake angle）をもっ
てチップ嵌合溝２，３が形成される。

【００１８】該チップ嵌合溝２，３の形成方法として
は、効率的に形成するために、図１または図６に示すよ
うに、ホルダー本体１にワイヤーカット放電加工により
軸方向に貫通して形成されることになる。このため、チ
ップ嵌合溝２，３にチップ８，９が嵌合されると、その
ままではチップ８，９の軸方向の位置決めを行う部材が
存在しないことになる。そこで、チップ嵌合溝２，３に
軸方向に嵌合されたチップ８，９をその適当な軸方向の
位置で位置決めするために、図６に示すように、適宜に
割りピン状としたストッパーピン１０をホルダー本体１
にその径方向に設けたピン穴に圧入し、その両端部付近
がチップ嵌合溝２，３内に露出するようにして、このス
トッパーピン１０によってチップ８，９の軸方向後端面
が当接するようにした。この方法によれば簡単な構造で
チップ８，９の軸方向の位置決めを行うことができる。

【００１９】また図２、図３または図７を見れば良く分
かるように、スリット４を挟んで径方向に形成される一
対のチップ嵌合溝２，３は、その奥行き側、即ち中心軸
側の幅が広く、開口部側が狭い断面蟻溝状に形成され、
チップ嵌合溝２，３にその軸方向から嵌合されるチップ
８，９のチップ本体１５（図３）は、これらチップ嵌合
溝２，３の蟻溝形状に合致するように、その上面２０が
傾斜面２２に形成される。

【００２０】このように、蟻溝状のチップ嵌合溝２，３
に形成されることによって、該チップ嵌合溝２，３にチ
ップ８，９のチップ本体１５が適嵌合されることによっ
て、ホルダー本体１の高速回転によるもチップ８，９が
確実にホルダー本体１に保持されることになる。

【００２１】そして、クランプボルト７は、図４または
図５に示すように、前記両チップ挟持用半体５，６にわ
たってねじ込まれるが、その際にチップ８，９の互いの
対向端面側にはクランプボルト７が挿通することができ
る程度の円弧状の切欠１１，１２または１１ａ，１２ａ
が形成され、クランプボルト７はこれら円弧状の切欠１
１，１２または１１ａ，１２ａを挿通してねじ込まれる
ようになっている。

【００２２】このようにクランプボルト７が前記両チッ
プ挟持用半体５，６にわたってねじ込まれることによっ
て、チップ嵌合溝２，３の溝幅およびスリット４のスリ
ット幅を狭くする方向に両チップ挟持用半体５，６が弾
性変形して両チップ挟持用半体５，６間のチップ嵌合溝
２，３に嵌合されるチップ本体１５を圧力的に挟持する
ことになる。

【００２３】そして、クランプボルト７を前記両チップ
挟持用半体５，６にわたってねじ込む際に、図４に示す
ように、チップ本体１５の取付座１３，１４に対して直
交方向からねじ込んでもよいが、できるならば図５に示
すように、両チップ８，９の取付座１３，１４に直交す
る位置に対して所要の角度βだけ周方向に傾斜した方向
からクランプボルト７が前記両チップ挟持用半体５，６
にわたってねじ込まれることが好ましい。なお、その際
にはクランプボルト７が挿通するチップ８，９の対向端
面に形成される切欠１１ａ，１２ｂは、図４に示す切欠
１１，１２よりも若干切欠径が大きくなることになる。

【００２４】図５に示すように、クランプボルト７が両
チップ８，９の取付座１３，１４に直交する位置に対し
て周方向に所要の角度βだけプラス方向に傾斜した方向
から前記両チップ挟持用半体５，６にわたってねじ込ま
れることによって、各チップ８，９のすくい面に対応す
るチップポケット２４，２５を、図４に示す場合に比べ
て大きく取ることができる。チップポケット２４，２５
を大きく取ることによって、当然のことながら切屑の排
出性が良好となり、且つより大きな径方向への深切り込
みが可能となるという非常に大きな効果を期待すること
ができる。なおまた、クランプボルト７は前述のように
プラス方向に傾斜してねじ込まれるのに限定されること
はなく、マイナス方向に傾斜してねじ込まれるようにし
てもよい。これによって前記両チップ挟持用半体５，６
の各チップ８，９に対する締付力が増大し安定した切削
作業を行うことが可能である。

【００２５】上記実施形態は、一対のチップ８，９をホ
ルダー本体１に取り付けるようにした例であるが、必ず
しも一対のチップ８，９に限らず、図８に示すように、
一つのチップ８ａだけをホルダー本体１に取り付けるよ
うにしてもよい。即ち、ホルダー本体１にチップ嵌合溝
２ａが図６に示すように所定の軸方向すくい角αを有す
るよう傾斜して軸方向に延びて設けられ、このチップ嵌
合溝２ａに連通するスリット４ａが設けられ、チップ嵌
合溝２ａとスリット４ａとを挟んでホルダー本体１が２
分されて一対のチップ挟持用半体５ａ，６ａが形成さ
れ、チップ８ａに形成された切欠１１ａを挿通して両チ
ップ挟持用半体５ａ，６ａにわたってねじ込まれるクラ
ンプボルト７によってチップ嵌合溝２ａに嵌合されたチ
ップ８ａが両チップ挟持用半体５ａ，６ａに挟持される
ようにしてもよい。この場合にあっても、チップ８ａ
は、ホルダー本体１に所定の軸方向すくい角αを有する
よう傾斜して軸方向に延びて設けられるため、大きな軸
方向のすくい角αを取ることができる。

【００２６】本発明に採用されるチップ８（８ａ），９
は、図１，図３または図６に示すように、軸方向に長尺
に延びる板状体からなり、該板状チップ本体１５の長尺
側一端面に主切れ刃１６が形成され、他端面に径方向の
位置決め面１７（図３）が形成され、軸方向先端面に底
刃１８が形成され、軸方向後端面に軸方向位置決め面１
９が形成され、チップ本体１５の上面２０とチップ本体
１５の裏面２１とが挟持面となっている。

【００２７】そしてチップ本体１５の上面２０のうち、
主切れ刃１６側は、図３に示すように、径方向に所要の
すくい角θ（radial rake angle)を有するよう傾斜面２
３に形成されている。

【００２８】またチップ本体１５の上面２０の径方向の
位置決め面１７側は、前記チップ嵌合溝２，３の蟻溝状
断面に合致する傾斜面２２に形成されている。

【００２９】なおまたチップ本体１５の径方向の位置決
め面１７にクランプボルト７を挿通させるための半円弧
状の切欠１１，１２（１１ａ，１２ａ）を設けているこ
とは前述のとおりである。

【００３０】上述のように、ホルダー本体１の先端部
に、その中心軸Ｏに対して点対称位置に、且つ切削方向
に所定の軸方向すくい角αを有するよう傾斜して軸方向
に延びてチップ嵌合溝２，３が形成されると共に、中心
軸Ｏを通って前記両チップ嵌合溝２，３を互いに連通す
るスリット４を形成し、チップ嵌合溝２，３とスリット
４とによって、ホルダー本体１の先端部を２分して、一
対のチップ挟持用半体５，６を形成し、一対のチップ嵌
合溝２，３に夫々チップ８，９を嵌合すると共に、夫々
のチップ８，９には、互いの対向面側に半円弧状の切欠
１１，１２（１１ａ，１２ａ）を設けて両切欠１１，１
２（１１ａ，１２ａ）によってクランプボルト７を挿通
できる程度の挿通穴を形成し、クランプボルト７を両切
欠１１，１２（１１ａ，１２ａ）からなる挿通穴を挿通
させた状態で、両チップ挟持用半体５，６にわたってク
ランプボルト７をねじ込むことによって、両チップ８，
９は夫々独立して、周方向に所望のすくい角αを有する
ようにホルダー本体１に取り付けられることになり、軸
方向に長いすくい角αを取ることができるから、切削抵
抗が少なくして軸方向の深切り込みが可能となるエンド
ミルとすることができる。

【００３１】しかもこれらのチップ８，９は夫々設けた
切欠１１，１２を通してねじ込まれたクランプボルト７
によって両チップ挟持用半体５，６によって圧力的に挟
持されることになり、一本のクランプボルト７で一対の
チップ８，９をホルダー本体１に固着することができる
ことによって小形化が可能であると共にその取付構造が
簡単であり、しかも一対のチップ挟持用半体５，６に挟
圧的に固着されることになるからチップ８，９をホルダ
ー本体１に堅固に取り付けることができる。

【００３２】

【発明の効果】請求項１に係る発明のエンドミルホルダ
ーによれば、ホルダー本体１の中心軸Ｏに対して点対称
位置に一対のチップ嵌合溝２，３が所定の軸方向すくい
角αを有するよう傾斜して軸方向に延びて設けられ、こ
の点対称位置に設けられた両チップ嵌合溝２，３間に、
両チップ嵌合溝２，３を互いに連通するスリット４が設
けられ、両チップ嵌合溝２，３と両チップ嵌合溝２，３
を連通するスリット４とを挟んでホルダー本体１が２分
されて一対のチップ挟持用半体５，６が形成され、両チ
ップ挟持用半体５，６にわたってねじ込まれるクランプ
ボルト７によって両チップ嵌合溝２，３に夫々嵌合され
たチップ８，９が両チップ挟持用半体５，６に挟持され
るようになっているため、一対のチップ８，９は、夫々
独立して所定の軸方向すくい角αを大きく取ることがで
きることになり、それだけ切削抵抗が少なくして、軸方
向の深切り込みが可能となる。

【００３３】しかも、チップ嵌合溝２，３に嵌合された
一対のチップ８，９は、一本のクランプボルト７で固着
することができるから、取り付け作業が簡単であると共
に、ホルダー本体１やチップ８，９の小形化が可能とな
り、小径のエンドミルの製作が容易となる。

【００３４】さらには、一対のチップ８，９は、チップ
嵌合溝２，３において両チップ挟持用半体５，６によっ
て挟圧的に固定されることになるからチップ８，９をホ
ルダー本体１に強固に取り付けることができる。

【００３５】また請求項２に係る発明のエンドミルホル
ダーは、ホルダー本体１に軸方向に延びて形成された前
記両チップ嵌合溝２，３に夫々チップ８，９が軸方向に
嵌合されて、その軸方向端部でチップ８，９の軸方向の
移動を阻止するためのストッパーピン１０がホルダー本
体１に径方向に挿入固定されてなるため、チップ嵌合溝
２，３を効率的で正確なワイヤーカット放電加工によっ
て形成することができ、しかも簡単な構造でチップ８，
９の軸方向の位置決めを行うことができる。

【００３６】また請求項３に係る発明のエンドミルホル
ダーは、前記チップ嵌合溝２，３は断面蟻溝状に形成さ
れてなるため、請求項８に係る発明のスローアウエイチ
ップのチップ本体１５の上面２０の径方向位置決め面１
７側が前記チップ嵌合溝２（２ａ），３の蟻溝状断面に
合致する傾斜面２２に形成されてなることと相まって、
ホルダー本体１の高速回転による大きな遠心力の発生に
よっても、ホルダー本体１に取り付けられたチップ８，
９はホルダー本体１から離脱することはない。

【００３７】また請求項４に係る発明のエンドミルホル
ダーは、両チップ８，９には、その互いの対向端面側に
前記クランプボルト７を挿通することができる程度の切
欠１１（１１ａ），１２（１２ａ）を設け、両チップ
８，９の取付座１３，１４に直交する方向からクランプ
ボルト７が両チップ８，９の切欠１１（１１ａ），１２
（１２ａ）を挿通して前記両チップ挟持用半体５，６に
わたってねじ込まれるようになっているため、両チップ
８，９には従来のようにクランプボルトが挿通するため
の丸穴状の貫通穴を設ける必要がないからそれだけチッ
プ８，９の小形が可能であり、且つ一本のクランプボル
ト７で一対のチップ８，９をホルダー本体１に取り付け
ることができるから、この面からもエンドミルの小形化
に貢献することができる。

【００３８】また請求項５に係る発明のエンドミルホル
ダーは、両チップ８，９には、その互いの対向端面側に
前記クランプボルト７を挿通することができる程度の切
欠１１ａ，１２ａを設け、両チップ８，９の取付座１
３，１４に直交する位置に対して所要の角度傾斜した方
向からクランプボルト７が両チップ８，９の切欠１１，
１２ａを挿通して前記両チップ挟持用半体５，６にわた
ってねじ込まれるようになっているため、前記請求項４
による効果と共に、切屑を排出するためのチップポケッ
ト２４，２５を大きく取ることができ、これによって切
屑の排出性が一層良好になること共に、より大きな径方
向への深切り込みが可能となる。

【００３９】また請求項６に係る発明のエンドミルホル
ダーは、ホルダー本体１にチップ嵌合溝２ａが所定の軸
方向すくい角αを有するよう傾斜して軸方向に延びて設
けられ、このチップ嵌合溝２ａに連通するスリット４ａ
が設けられ、チップ嵌合溝２ａとスリット４ａとを挟ん
でホルダー本体１が２分されて一対のチップ挟持用半体
５ａ，６ａが形成され、両チップ挟持用半体５ａ，６ａ
にわたってねじ込まれるクランプボルト７によってチッ
プ嵌合溝２ａに嵌合されたチップ８ａが両チップ挟持用
半体５ａ，６ａに挟持されるようになっているため、一
つのチップ８ａであっても、ホルダー本体１に簡単に且
つ堅固に更には軸方向すくい角αを大きく取ることがで
き、主切れ刃の軸方向長さを多く取れ、軸方向の切り込
みを大きく取ることが可能となり、その他の請求項１で
述べた効果の殆どを発揮することができる。

【００４０】また請求項７に係る発明のスローアウエイ
チップは、チップ本体１５は、軸方向に長尺に延びる板
状体からなり、該板状チップ本体１５の長尺側一端面に
主切れ刃１６が形成され、他端面に径方向の位置決め面
１７が形成され、軸方向先端面に底刃１８が形成され、
軸方向後端面に軸方向位置決め面１９が形成され、チッ
プ本体１５の上面２０とチップ本体１５の裏面２１とが
挟持面となっているため、構成が簡単で、できるだけ小
形のチップ８，９に形成することができる。

【００４１】また請求項９に係る発明のスローアウエイ
チップは、チップ本体１５の上面２０の主切れ刃１６側
は、所要の径方向すくい傾斜面２３に形成されてなるた
め、請求項１の軸方向すくい角αと共に、大きな径方向
すくい角θを備えることができ、切削能力を格段に向上
させることができる。

【００４２】また請求項１０に係る発明のスローアウエ
イチップは、チップ本体１５の径方向位置決め面１７側
にクランプボルト７を挿通させるための半円弧状の切欠
１１（１２）を設けてなるため、従来のように丸穴状の
貫通穴をチップ本体１５に設ける必要がないから、それ
だけ切欠１１，１２のチップ本体１５に占める面積が少
なくて済み、チップ８，９そのものの小形化が一層可能
となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の一実施形態の正面図である。

【図２】 同側面図である。

【図３】 図１のＡーＡ線断面図である。

【図４】 図１のＢーＢ線断面図である。

【図５】 図１のＢーＢ線断面図で、他の実施形態を示
す図である。

【図６】 同背面図である。

【図７】 図６の側面図である。

【図８】 本発明の他の実施形態の図５に相当する断面
図である。

【図９】 従来技術を示し、（ａ）は縦断側面図、
（ｂ）は正面図である。

【符号の説明】

１ ホルダー本体 ２ チップ嵌合溝 ３ チップ嵌合溝 ４ スリット ４ａ スリット ５ チップ挟持用半体 ５ａ チップ挟持用半体 ６ チップ挟持用半体 ６ａ チップ挟持用半体 ７ クランプボルト ８ チップ ８ａ チップ ９ チップ １０ ストッパーピン １１ 切欠 １１ａ 切欠 １２ 切欠 １２ａ 切欠 １３ 取付座 １４ 取付座 １５ チップ本体 １６ 主切れ刃 １７ 径方向の位置決め面 １８ 底刃 １９ 軸方向位置決め面 ２０ 上面 ２１ 裏面 ２２ 傾斜面 ２３ 径方向すくい傾斜面 ２４ チップポケット ２５ チップポケット

Claims (10)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ホルダー本体の中心軸に対して点対称位
   置に一対のチップ嵌合溝が所定の軸方向すくい角を有す
   るよう傾斜して軸方向に延びて設けられ、この点対称位
   置に設けられた両チップ嵌合溝間に、両チップ嵌合溝を
   互いに連通するスリットが設けられ、両チップ嵌合溝と
   両チップ嵌合溝を連通するスリットとを挟んでホルダー
   本体が２分されて一対のチップ挟持用半体が形成され、
   両チップ挟持用半体にわたってねじ込まれるクランプボ
   ルトによって両チップ嵌合溝に夫々嵌合されたチップが
   両チップ挟持用半体に挟持されるようになっているエン
   ドミルホルダー。
2. 【請求項２】 ホルダー本体に軸方向に延びて形成され
   た前記両チップ嵌合溝に夫々チップが軸方向に嵌合され
   て、その軸方向端部でチップの軸方向の移動を阻止する
   ためのストッパーピンがホルダー本体に径方向に挿入固
   定されてなる請求項１に記載のエンドミルホルダー。
3. 【請求項３】 前記チップ嵌合溝は断面蟻溝状に形成さ
   れてなる請求項１または２に記載のエンドミルホルダ
   ー。
4. 【請求項４】 両チップには、その互いの対向端面側に
   前記クランプボルトを挿通することができる程度の切欠
   を設け、両チップの取付座に直交する方向からクランプ
   ボルトが両チップの切欠を挿通して前記両チップ挟持用
   半体にわたってねじ込まれるようになっている請求項１
   〜３の何れかに記載のエンドミルホルダー。
5. 【請求項５】 両チップには、その互いの対向端面側に
   前記クランプボルトを挿通することができる程度の切欠
   を設け、両チップの取付座に直交する位置に対して所要
   の角度傾斜した方向からクランプボルトが両チップの切
   欠を挿通して前記両チップ挟持用半体にわたってねじ込
   まれるようになっている請求項１〜３の何れかに記載の
   エンドミルホルダー。
6. 【請求項６】 ホルダー本体にチップ嵌合溝が所定のす
   くい角を有するよう傾斜して軸方向に延びて設けられ、
   このチップ嵌合溝に連通するスリットが設けられ、チッ
   プ嵌合溝とスリットとを挟んでホルダー本体が２分され
   て一対のチップ挟持用半体が形成され、両チップ挟持用
   半体にわたってねじ込まれるクランプボルトによってチ
   ップ嵌合溝に嵌合されたチップが両チップ挟持用半体に
   挟持されるようになっているエンドミルホルダー。
7. 【請求項７】 チップ本体は、軸方向に長尺に延びる板
   状体からなり、該板状チップ本体の長尺側一端面に主切
   れ刃が形成され、他端面に径方向の位置決め面が形成さ
   れ、軸方向先端面に底刃が形成され、軸方向後端面に軸
   方向位置決め面が形成され、チップ本体の上面とチップ
   本体の裏面とが挟持面となっているスローアウエイチッ
   プ。
8. 【請求項８】 チップ本体の上面の径方向位置決め面側
   は、前記チップ嵌合溝の蟻溝状断面に合致する傾斜面に
   形成されてなる請求項７に記載のスローアウエイチッ
   プ。
9. 【請求項９】 チップ本体の上面の主切れ刃側は、所要
   の径方向すくい傾斜面に形成されてなる請求項７または
   ８に記載のスローアウエイチップ。
10. 【請求項１０】 チップ本体の径方向位置決め面側にク
    ランプボルトを挿通させるための半円弧状の切欠を設け
    てなる請求項７〜９の何れかに記載のスローアウエイチ
    ップ。