JP2001119038A - 単電子トランジスタおよびその製造方法 - Google Patents

単電子トランジスタおよびその製造方法

Info

Publication number
JP2001119038A
JP2001119038A JP29953399A JP29953399A JP2001119038A JP 2001119038 A JP2001119038 A JP 2001119038A JP 29953399 A JP29953399 A JP 29953399A JP 29953399 A JP29953399 A JP 29953399A JP 2001119038 A JP2001119038 A JP 2001119038A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electron transistor
electrode
substrate
manufacturing
drain electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP29953399A
Other languages
English (en)
Inventor
Kimitaka Ono
公隆 大野
Atsuhisa Inoue
敦央 井上
Kazushi Fujioka
一志 藤岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sharp Corp filed Critical Sharp Corp
Priority to JP29953399A priority Critical patent/JP2001119038A/ja
Publication of JP2001119038A publication Critical patent/JP2001119038A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Junction Field-Effect Transistors (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 室温で作動し、作製プロセスが簡便な単電子
トランジスタの製造方法を提供する。 【解決手段】 この単電子トランジスタの製造方法は、
予め形成されたソース電極4,ゲート電極6およびドレ
イン電極5の電極構造を有する基板2上のソース電極4
とドレイン電極5の間の表面酸化層3を、チオール誘導
体分子で終端されたコロイド粒子7を含む溶液中で、探
針9で部分的に剥離して、基板材料清浄表面8を溶液に
露出させる。そして、この操作によって露出した基板材
料表面8上だけに、自己組織化作用によって選択的にコ
ロイド粒子7を化学吸着させる。これにより、コロイド
粒子7がソース電極4とゲート電極6の間に1列に形成
される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、単電子トンネル
現象を利用した単電子トランジスタおよびその製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】21世紀は好みの情報を世界規模で交換
できるモーバイル機器が期待され、これに搭載されるエ
レクトロニクス素子は高機能,高速かつ大容量であるこ
とはもちろん、その一方で、電源や重量による負担から
解放されることが望まれている。この要望を実現するに
際して鍵となる超LSI技術は、主として微細加工技術
の進歩によって、集積度の向上を図り、同時に、動作速
度の向上と消費電力,コスト,重量,体積の低減を満たし
てきた。
【0003】しかしながら、現在のトランジスタのよう
に、電子数の確率的制御を動作原理とする素子では、T
(テラ)ビット[1テラ=1012]級の集積度の領域に到達
することは困難であり、個々の電子を確実に輸送でき、
貯蔵できる新たな原理に基づく素子開発が望まれてい
る。その有力候補としてクーロン・ブロッケード効果を
利用した単一電子素子が考えられている。
【0004】従来、単一電子トランジスタは、金属系と
半導体系の2つに大きく分けられる。金属系の単一電子
トランジスタとしては、2重シャドウ蒸着法によってト
ンネル接合形成した例(Phys.Rev.Letts.59(1),1
987 p.109(FultonとDolanによる))が報告され
ている。また、高分解電子ビーム露光装置によるチャン
ネル長25nm,幅約40nmのトンネルギャップを作
製した例(Appl.Phys.Lett.66(24),12 June 1
995 p.3383(Chenらによる))が有る。
【0005】さらに、ナノメータサイズのソース-ドレ
イン間ギャップ内に金属コロイド粒子を配置し、MTJ
(マルチプル・トンネル・ジャンクション:Multiple
Tunnel Junction)を形成した例(Appl.Phys.Lett.
68(18),29 April 1996 p.2574(Klein
らによる))等が詳しく研究されている。
【0006】また、AuPdのナノワイヤ上のごく近接
した2点に不連続部を設け、トレンチのエッジで自然に
破断させることによって、AuPdの島を形成するステ
ップクラック法を用いて素子を形成した例も有る(Jpn.
J.Appl.Phys.34(Pt1,12B)1995 p.69
56(Langheinrichらによる))。
【0007】一方、半導体系、特にシリコン系では、S
OI(Silicon−On−Insulator)基板を用いたSi単
結晶の島によるクーロン・ブロッケート素子が、Aliら
によって提案された(Appl.Phys.Lett.64(16),1
8 April 1994 p.2119)。また、矢野らによ
って、多結晶シリコンナノ粒子細線による単一電子メモ
リが開発されたことが示されている(IEEE TRANSACTIONS
ON ELECTRON DEVICES,41(9)September 1994
p.1628)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
いずれの方法においても、紫外線リソグラフィー(Ultr
a−Violet Light Lithography)、FIB(フォーカス
ド・イオン・ビーム:Focused Ion Beam)およびEB
リソグラフイー(Electron Beam Lithography)等の従
来の半導体プロセスでのパターニング技術を用いてい
る。このため、デバイスサイズが大きく、動作温度が低
い欠点があった。また、室温動作が可能である場合で
も、多結晶粒子間の電子のトンネリングを利用するの
で、島の大きさやトンネル障壁の大きさを制御できず、
トランジスタ素子毎の特性が“ばらつく”という問題が
あった。
【0009】上記方法の中でも、金属コロイド粒子をト
ンネル接合として利用した単電子トランジスタの場合に
は、粒径の揃ったナノメータサイズの金属コロイド粒子
をトンネル接合に用いるので、室温動作を期待できる
が、図3に示すように、これらのコロイド粒子107が
ソース104とドレイン105の間に無秩序に配置され
てしまう(Appl.Phys.Lett.66(24),12 June 19
95 p.3383)。このため、ソース104とドレイ
ン電極間のコロイド島の数およびトンネル障壁の大きさ
は、全くの偶然に頼る他はなく、トランジスタ特性のば
らつきが大きく実用的でないという問題がある。
【0010】そこで、この発明の目的は、室温で作動で
き、かつ、コロイド粒子の配列とコロイド粒子間のトン
ネル障壁を精密に制御できる単一電子トランジスタおよ
びその製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明の単電子トランジスタは、ソース電極,ゲ
ート電極およびドレイン電極が配置され、上記ソース電
極からドレイン電極に向かって、少なくとも2個以上の
コロイド粒子が一列に整列していることを特徴としてい
る。
【0012】この発明の単電子トランジスタでは、ソー
ス電極からドレイン電極に向かって、少なくとも2個以
上のコロイド粒子が一列に整列しているので、ソース電
極とドレイン電極間のコロイド島の数およびトンネル障
壁の大きさを精密に制御でき、トランジスタ特性を精密
に設定することができる。
【0013】また、一実施形態の単電子トランジスタで
は、上記コロイド粒子は、III-V族化合物半導体で構成
された面に接触している。
【0014】この一実施形態では、公知のリソグラフィ
ー技術を用いて、III-V族化合物半導体からなる基板表
面上に、ソース電極とゲート電極とドレイン電極を形成
できる。
【0015】また、他の実施形態の単電子トランジスタ
は、上記コロイド粒子が貴金属である。
【0016】上記他の実施形態では、上記コロイド粒子
を貴金属とすることで、トンネル障壁の精密化を図れ
る。
【0017】また、一実施形態の単電子トランジスタで
は、上記コロイド粒子が半導体である。
【0018】上記一実施形態では、上記コロイド粒子を
半導体とすることで、トンネル障壁の精密化を図れる。
【0019】また、他の実施形態の単電子トランジスタ
は、上記コロイド粒子の直径が、1乃至10nmであ
る。
【0020】上記他の実施形態では、上記コロイド粒子
の直径が、1乃至10nmであるから、ナノメータサイ
ズのコロイド粒子をトンネル接合に用いることとなり、
室温で動作する単電子トランジスタを実現できる。
【0021】また、一実施形態の単電子トランジスタで
は、上記コロイド粒子の表面が、脂肪族炭化水素を骨格
とする有機体で被覆された状態になっている。
【0022】この一実施形態では、上記コロイド粒子の
表面を被覆する脂肪族炭化水素を骨格とする有機体は、
露出された基板の清浄面に選択的に化学結合する。これ
により、上記コロイド粒子は、上記被覆有機体の厚さで
規定された間隔でソース-ドレイン電極間に略等間隔で
配列される。すなわち、上記被覆有機体の厚さでトンネ
ル障壁の間隔を制御することができる。
【0023】また、他の実施形態の単電子トランジスタ
は、上記コロイド粒子の表面が、少なくとも1つのチオ
ール基を持つ分子で被覆された状態になっている。
【0024】上記他の実施形態では、上記コロイド粒子
の表面が、少なくとも1つのチオール基を持つ分子で被
覆された状態になっているから、このチオール基を持つ
分子の分子長を変化させることによって、原子間距離程
度の精度でトンネル障壁の間隔を精密に制御できる。
【0025】また、一実施形態の単電子トランジスタの
製造方法は、ソース電極からドレイン電極に向かって、
少なくとも2個以上のコロイド粒子が一列に整列してい
る単電子トランジスタを製造する方法であって、上記コ
ロイド粒子を含む溶液中で、上記ソース電極とドレイン
電極との間の基板表面を、微小プローブで機械的に剥離
することによって、上記基板の表面酸化層を除去し、上
記基板の清浄面を露出させる工程を有している。
【0026】この一実施形態の製造方法では、コロイド
粒子の大きさがそろったコロイド溶液であれば、ソース
-ドレイン電極間に露出した清浄面の領域を制御するこ
とによって、この清浄面に吸着させるコロイド粒子の数
を精密に制御できる。
【0027】また、他の実施形態の単電子トランジスタ
の製造方法は、ソース電極からドレイン電極に向かっ
て、少なくとも2個以上のコロイド粒子が一列に整列し
ている単電子トランジスタを製造する方法であって、上
記コロイド粒子を含む溶液中で、上記ソース電極とドレ
イン電極間の基板表面を、微小プローブによって電解研
磨して剥離することによって、基板の表面酸化層を除去
し、上記基板の清浄面を露出させる工程を有している。
【0028】この実施形態の製造方法では、基板表面の
酸化層を、微小プローブによる電解研磨によって剥離す
る。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、この発明の単電子トランジ
スタを図示の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
【0030】図2に、この発明の単電子トランジスタの
実施の形態の構造を模式的に示す。
【0031】この実施形態の単電子トランジスタ1は、
III−V族化合物半導体基板2上に、通常の半導体製造
プロセスで用いられるリソグラフィー技術によって、同
一平面上に、ソース電極4,ゲート電極6およびドレイ
ン電極5が形成されている。
【0032】このソース電極4とドレイン電極5の間で
は、III−V族化合物半導体基板2の清浄表面8が露出
された領域だけに、少なくとも1個のコロイド粒子7が
化学吸着した構造になっていて、MTJ(マルチプル・
トンネル・ジャンクション:Multiple Tunnel Junction)
を形成している。
【0033】この単電子トランジスタ1では、ゲート電
極6に加える電圧を変化させることによって、金属コロ
イド内に閉じこめられた電子の動きを制御して、ソース
-ドレイン間の電子の輸送を制御できる。
【0034】上記単電子トランジスタ1は、例えば以下
の手順で製造される。
【0035】先ず、図1(a)に示すように、通常の半導
体製造プロセスで用いられるリソグラフィーによって、
III−V族化合物半導体基板2の表面酸化層3上に、ソ
ース電極4とドレイン電極5およびゲート電極6を形成
する。
【0036】次に、この基板2を、液中で動作する原子
間力顕微鏡装置にセットし、液中セルに、例えば、エタ
ノール溶媒1(mM)、1,9−ノナンダイチオール[1,
9-nonanedithiol HS(CH2)9SH]で終端された平均
粒径が5nmの金コロイド溶液を満たす。
【0037】次に、図1(b)に示すように、原子間力顕
微鏡(Atomic Force Microscope:AFM)の探針9に加え
る力が一定になるように、試料(すなわち基板2)に対す
る探針9の高さを変化させながら、試料台を面内方向の
X軸−Y軸方向に走査させる。この面内の位置の関数と
なる探針9の高さを、基板2の表面酸化層3の表面の凹
凸情報として、記録装置に記録する。
【0038】そして、この記録された凹凸情報が表す像
に基づき、ソース電極4とドレイン電極5との間の表面
酸化層3を、探針9で剥離する幅と長さを決定する。そ
して、剥離加工すべき始点に、探針9を移動させ、フォ
ースカーブを取り、探針9−試料間に加える力を決定す
る。さらに、この力が一定になるように、探針9を終点
まで1回あるいは繰り返し走査することによって、表面
酸化層3を機械的に剥離して、基板材料の清浄表面8を
溶液に接触させる。
【0039】このとき、Si34からなる探針9と試料
(基板2がGaAs(001)表面の場合には)に加える力
を、50nNに設定し、0.02μm/秒の走査速度で
走査することで、幅が10nmで深さが2nmの溝11
をソース電極4とドレイン電極5の間に形成した。
【0040】これにより、図1(c)に示すように、1,
9−ノナンダイチオールのチオール基で終端された金コ
ロイド粒子7が、探針9による機械研磨によって基板材
料が露出された上記清浄溝表面8に選択的に化学結合
し、図2に示す単電子トランジスタ構造が形成された。
【0041】こうして得られた単電子トランジスタ1
は、ソース電極4,ゲート電極6およびドレイン電極5
の各電極を外部回路(図示省略)に接続することによっ
て、電極間に電圧を加えることができる。そして、絶縁
体である1,9−ノナンダイチオールのトンネル障壁を
介した金コロイド粒子7の連続した島から構成されるM
TJを形成し、トンネル効果により1個の電子移動が行
える構成を呈した。したがって、この単電子トランジス
タ1は、ゲート電極6の電位によって、ソース-ドレイ
ン電極間の電流のオン−オフを制御することができ、ス
イッチング機能を果たすことができる。
【0042】なお、上述した単電子トランジスタの製造
方法では、金コロイド粒子7の表面を取り囲むチオール
誘導体の一端は、コロイド表面に強く化学吸着している
ので、粒子同士が融合することなく溶液中に分散してい
る。
【0043】そして、ソース-ドレイン間の自然表面酸
化層3を剥離して、基板2の清浄表面8を露出させる
と、金コロイド粒子7に化学吸着した分子であって未反
応のチオール基が溶液中を移動し、上記露出した清浄表
面8に選択的に化学結合する。これらの化学吸着した金
コロイド粒子7は、金コロイド粒子7が持つ立体的な障
害と剥離された基板2の清浄表面8の領域による制約と
によって、ソース-ドレイン電極の間にほぼ等間隔で配
列する。したがって、このコロイド粒子7間の間隔は、
コロイド粒子7に化学結合した有機分子の厚さの程度に
なる。
【0044】上記製造方法は、以下に示される特徴を有
している。
【0045】1.金コロイド粒子7の大きさが揃ったコ
ロイド溶液であるので、ソース-ドレイン電極間の表面
自然酸化層3の剥離領域を制御することによって、吸着
する金コロイド粒子7の数を精密に制御できる。
【0046】2.金コロイド粒子7に化学吸着させる有
機分子の分子長を変化させることによって、原子間距離
程度の精度でトンネル障壁の間隔を制御できる。例え
ば、有機分子をアルカンダイチオールとした場合には、
C−C結合長である0.15nmの2倍程度の精度でト
ンネル障壁の間隔を制御できる。
【0047】3.別の貴金属からなるコロイド粒子を採
用して、コロイド粒子の粒径を変化させることによっ
て、露出された清浄表面の単位長さ当たりに吸着させる
粒子数を制御できる。
【0048】このように、この製造方法によれば、トラ
ンジスタ構造のいくつものパラメータを精密に制御で
き、トランジスタ特性を精密に制御することができる。
よって、これまで余り明らかにされていなかった弾性・
非弾性コトンネリングがデバイス特性に及ぼす影響,オ
フセット電荷の起源,ショット雑音の定量的な評価等の
物理現象の解明にも役立つ。
【0049】尚、上記実施の形態では、ソース電極4,
ゲート電極6およびドレイン電極5を、III−V族化合
物半導体基板2表面上に形成する方法として、レジスト
塗布工程を経るリソグラフィー技術を利用したが、この
リソグラフィー技術としては、可能ならば、サイズの微
細化が容易な電子ビームリソグラフィーが好ましい。ま
た、このリソグラフィー技術に替えて、FIBから発生
するタングステン等の金属の集束イオンビームを基板上
に照射して電極をパターニングする方法を用いても良
い。その他、走査型プローブ探針からの電界蒸発を利用
して、探針直下の基板表面に探針材料を蒸着させて電極
構造をパターニングする方法を採用してもよい。さらに
は、電極パターニング方法として、ソース-ドレイン間
のギャップが0.1μm程度の電極構造を作製できる方
法であればよい。
【0050】また、チオール誘導体で表面を修飾した金
属コロイドは、Andresら(Science273, 20 Sept
ember 1996 p.1690)や高見ら(特開平9−27
8598)などによって既に開示されている方法で作製
できるが、市販のAu粒子をエタノール溶媒チオール誘
導体溶液中に投入するだけでも容易に作製できる。
【0051】また、ナノメータサイズの粒子の種類とし
ては、Au,Pd,Pt,Rh等の貴金属が好ましく、さ
らにそれらの合金でも構わないし、CdS等の化合物半
導体を用いてもよい。
【0052】また、チオール誘導体としては、1分子内
に少なくとも1個のチオール基を内在する分子が用いら
れる。それらの分子は、モノマー,オリゴマー,ポリマー
のいずれの有機材料でも良く、それらのうち何種類かを
混合させてコロイドを作製しても構わない。その中で
も、炭素数が9以上の直鎖の有機分子であるアルカンジ
チオールは、上記コロイド粒子に均一な厚さで自己組織
的に化学吸着するので、最も好ましい材料である。
【0053】また、ソース電極4とドレイン電極5間の
表面自然酸化層3を、上記作製したコロイド溶液中で剥
離する方法としては、液中で動作する走査型トンネル顕
微鏡(STM:Scanning Tunneling Microscope)の探
針に一定の電圧を印加した状態で、ソース電極とドレイ
ン電極の間を走査する方法を採用してもよい。また、上
記実施形態では、液中動作する原子間力顕微鏡(AFM)
に用いるカンチレバーに取り付けられた探針と試料との
間に、一定の力を加えた状態でソース電極4とドレイン
電極5の間を走査する方法を採用したが、上記STM
(走査型トンネル顕微鏡)と同様に、探針に一定の電圧を
印加した状態で走査する方法を採用してもよい。さらに
また、走査型近接場光学顕微鏡(SNOM:Sacanning
Near-feild Optical Microscope)のファイバープロ
ーブを用いて、上記表面自然酸化層3を剥離することも
可能である。
【0054】このような微細加工を行うためには、表面
形状の観察によって、探針を走査する領域を予め調べて
おく必要がある。したがって、得られた像が試料表面の
導電性の違いによって真の凹凸像が損なわれることのな
い原子間力顕微鏡(AFM)や走査型近接場光学顕微鏡
(SNOM)を用いることがより好ましい。
【0055】なお、原子間力顕微鏡(AFM)の探針を表
面加工装置として用いた場合、探針材料として、Si3
4、ダイヤモンド,シリコン等が用いられ、それらの材
料によって、加える力および走査速度を調整しなければ
ならない。例えば、Si34の場合、試料−探針間に加
える力は、1nN〜100nNで行われるが、10〜5
0nNが好ましい。また、走査速度は、0.01〜1μ
m/秒が用いられるが、0.02〜0.1μm/秒がより
好ましい。
【0056】
【発明の効果】以上より明らかなように、この発明の単
電子トランジスタは、ソース電極からドレイン電極に向
かって、少なくとも2個以上のコロイド粒子が一列に整
列しているので、ソース電極とドレイン電極間のコロイ
ド島の数およびトンネル障壁の大きさを精密に制御で
き、トランジスタ特性を精密に設定することができる。
【0057】また、一実施形態の単電子トランジスタで
は、上記コロイド粒子は、III-V族化合物半導体で構成
された面に接触している。
【0058】この一実施形態では、公知のリソグラフィ
ー技術を用いて、III-V族化合物半導体からなる基板表
面上に、ソース電極とゲート電極とドレイン電極を形成
できる。
【0059】また、他の実施形態の単電子トランジスタ
は、上記コロイド粒子が貴金属である。この請求項3の
発明では、上記コロイド粒子を貴金属としたので、トン
ネル障壁を精密に設定できる。
【0060】また、一実施形態の単電子トランジスタ
は、上記コロイド粒子が半導体であるので、トンネル障
壁を精密に設定できる。
【0061】また、他の実施形態の単電子トランジスタ
は、上記コロイド粒子の直径を、1乃至10nmとした
から、ナノメータサイズのコロイド粒子をトンネル接合
に用いて、室温で動作する単電子トランジスタを実現で
きる。
【0062】また、一実施形態の単電子トランジスタ
は、上記コロイド粒子の表面が、脂肪族炭化水素を骨格
とする有機体で被覆された状態になっている。
【0063】この一実施形態の単電子トランジスタで
は、上記コロイド粒子の表面を被覆する脂肪族炭化水素
を骨格とする有機体は、露出された基板の清浄面に選択
的に化学結合する。これにより、上記コロイド粒子は、
上記被覆有機体の厚さで規定された間隔でソース-ドレ
イン電極間に略等間隔で配列される。すなわち、上記被
覆有機体の厚さでトンネル障壁の間隔を制御することが
できる。
【0064】また、他の実施形態の単電子トランジスタ
は、上記コロイド粒子の表面が、少なくとも1つのチオ
ール基を持つ分子で被覆された状態になっているから、
このチオール基を持つ分子の分子長を変化させることに
よって、原子間距離程度の精度でトンネル障壁の間隔を
精密に制御できる。
【0065】また、一実施形態の製造方法は、ソース電
極からドレイン電極に向かって、少なくとも2個以上の
コロイド粒子が一列に整列している単電子トランジスタ
を製造する方法であって、上記コロイド粒子を含む溶液
中で、上記ソース電極とドレイン電極との間の基板表面
を、微小プローブで機械的に剥離することによって、上
記基板の表面酸化層を除去し、上記基板の清浄面を露出
させる工程を有する。
【0066】この一実施形態の製造方法では、コロイド
粒子の大きさがそろったコロイド溶液であれば、ソース
-ドレイン電極間に露出した清浄面の領域を制御するこ
とによって、この清浄面に吸着させるコロイド粒子の数
を精密に制御できる。
【0067】また、他の実施形態の単電子トランジスタ
の製造方法では、基板表面の酸化層を、微小プローブに
よる電解研磨によって剥離できる。
【0068】以上の通り、この発明の単電子トランジス
タおよびその製造方法によれば、冷却装置を要すること
なく、超小型電子機器に搭載してスイッチング素子とな
りうる単電子トランジスタを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施形態である自己組織化を利用
した構造の単電子トランジスタを製造する工程を示す図
である。
【図2】 上記単電子トランジスタの構造を示す模式図
である。
【図3】 従来の単電子トランジスタの構造を示す図で
ある。
【符号の説明】
1…単電子トランジスタ、2…III−V族化合物半導体
基板、3…III−V族化合物半導体基板表面酸化層、4
…ソース電極、5…ドレイン電極、6…ゲート電極、7
…金属コロイド、8…III−V族化合物半導体基板清浄
表面、9…探針。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤岡 一志 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 Fターム(参考) 5F102 FB05 FB10 GB01 GC01 GD10 GJ04 GJ05 GR01 HC11

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ソース電極,ゲート電極およびドレイン
    電極が配置され、上記ソース電極からドレイン電極に向
    かって、少なくとも2個以上のコロイド粒子が一列に整
    列していることを特徴とする単電子トランジスタ。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の単電子トランジスタに
    おいて、 上記コロイド粒子は、III-V族化合物半導体で構成され
    た面に接触していることを特徴とする単電子トランジス
    タ。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の単電子トランジスタに
    おいて、 上記コロイド粒子が貴金属であることを特徴とする単電
    子トランジスタ。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の単電子トランジスタに
    おいて、 上記コロイド粒子が半導体であることを特徴とする単電
    子トランジスタ。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載の単電子トランジスタに
    おいて、 上記コロイド粒子の直径が、1乃至10nmであること
    を特徴とする単電子トランジスタ。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載の単電子トランジスタに
    おいて、 上記コロイド粒子の表面が、脂肪族炭化水素を骨格とす
    る有機体で被覆された状態になっていることを特徴とす
    る単電子トランジスタ。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載の単電子トランジスタに
    おいて、 上記コロイド粒子の表面が、少なくとも1つのチオール
    基を持つ分子で被覆された状態になっていることを特徴
    とする単電子トランジスタ。
  8. 【請求項8】 ソース電極からドレイン電極に向かっ
    て、少なくとも2個以上のコロイド粒子が一列に整列し
    ている単電子トランジスタを製造する方法であって、 上記コロイド粒子を含む溶液中で、上記ソース電極とド
    レイン電極との間の基板表面を、微小プローブで機械的
    に剥離することによって、上記基板の表面酸化層を除去
    し、上記基板の清浄面を露出させる工程を有することを
    特徴とする単電子トランジスタの製造方法。
  9. 【請求項9】 ソース電極からドレイン電極に向かっ
    て、少なくとも2個以上のコロイド粒子が一列に整列し
    ている単電子トランジスタを製造する方法であって、 上記コロイド粒子を含む溶液中で、上記ソース電極とド
    レイン電極との間の基板表面を、微小プローブによって
    電解研磨して剥離することによって、基板の表面酸化層
    を除去し、上記基板の清浄面を露出させる工程を有する
    ことを特徴とする単電子トランジスタの製造方法。
JP29953399A 1999-10-21 1999-10-21 単電子トランジスタおよびその製造方法 Pending JP2001119038A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29953399A JP2001119038A (ja) 1999-10-21 1999-10-21 単電子トランジスタおよびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29953399A JP2001119038A (ja) 1999-10-21 1999-10-21 単電子トランジスタおよびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001119038A true JP2001119038A (ja) 2001-04-27

Family

ID=17873845

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP29953399A Pending JP2001119038A (ja) 1999-10-21 1999-10-21 単電子トランジスタおよびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001119038A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007091364A1 (ja) * 2006-02-06 2007-08-16 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. 単電子半導体素子の製造方法
WO2008075826A1 (en) * 2006-12-19 2008-06-26 Chungbuk National University Industry-Academic Cooperation Foundation Single electron based flexible multi-functional logic circuit and the transistor thereof
CN107492493A (zh) * 2016-06-12 2017-12-19 中芯国际集成电路制造(上海)有限公司 晶体管的形成方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007091364A1 (ja) * 2006-02-06 2007-08-16 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. 単電子半導体素子の製造方法
US7419849B2 (en) 2006-02-06 2008-09-02 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Method for producing single electron semiconductor element
WO2008075826A1 (en) * 2006-12-19 2008-06-26 Chungbuk National University Industry-Academic Cooperation Foundation Single electron based flexible multi-functional logic circuit and the transistor thereof
US7746118B2 (en) 2006-12-19 2010-06-29 Changbuk National University Industry-Academic Cooperation Foundation Single electron based flexible multi-functional logic circuit and the transistor thereof
CN107492493A (zh) * 2016-06-12 2017-12-19 中芯国际集成电路制造(上海)有限公司 晶体管的形成方法
CN107492493B (zh) * 2016-06-12 2021-03-09 中芯国际集成电路制造(上海)有限公司 晶体管的形成方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7790560B2 (en) Construction of flash memory chips and circuits from ordered nanoparticles
Tseng et al. Nanofabrication by scanning probe microscope lithography: A review
US8039368B2 (en) Nanogaps: methods and devices containing same
Snow et al. Nanofabrication with proximal probes
Haick et al. Making contact: Connecting molecules electrically to the macroscopic world
US6897009B2 (en) Fabrication of nanometer size gaps on an electrode
US7763552B2 (en) Method of interconnect formation using focused beams
JP4171304B2 (ja) 分子メモリシステムおよび方法
Gubin et al. Molecular clusters as building blocks for nanoelectronics: the first demonstration of a cluster single-electron tunnelling transistor at room temperature
US20020014667A1 (en) Method of horizontally growing carbon nanotubes and field effect transistor using the carbon nanotubes grown by the method
US20120198591A1 (en) Room temperature quantum field effect transistor comprising a 2-dimensional quantum wire array based on ideally conducting molecules
US5365073A (en) Nanofabricated structures
US7883933B2 (en) Method of making to small devices having self-assembled organic layers
Kirley et al. Monolayer graphene-insulator-semiconductor emitter for large-area electron lithography
JP2001119038A (ja) 単電子トランジスタおよびその製造方法
JP3560630B2 (ja) 単一電子素子
US6268273B1 (en) Fabrication method of single electron tunneling device
US6640433B1 (en) Method for forming a micro-pattern
Park et al. Polarity dependence in pulsed scanning tunneling microscopy fabrication and modification of metal nanodots on silicon
TWI227516B (en) Nano-electronic devices using discrete exposure method
Cheam et al. Step and flash imprint lithography for quantum dots based room temperature single electron transistor fabrication
Marchi et al. Nanometer scale patterning by scanning tunelling microscope assisted chemical vapour deposition
CN100521240C (zh) 水平生长碳纳米管的方法和使用碳纳米管的场效应晶体管
JPH04263142A (ja) プローブユニット、これを用いた情報処理装置及び情報処理方法
JP2001246600A (ja) 微細加工方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20051201

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080730

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080805

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20081224