JP2001116891A - 放射性汚染物の気相ガス化除染方法およびその装置 - Google Patents

放射性汚染物の気相ガス化除染方法およびその装置

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JP2001116891A
JP2001116891A JP33037199A JP33037199A JP2001116891A JP 2001116891 A JP2001116891 A JP 2001116891A JP 33037199 A JP33037199 A JP 33037199A JP 33037199 A JP33037199 A JP 33037199A JP 2001116891 A JP2001116891 A JP 2001116891A
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Yukio Hishinuma
行男 菱沼
Naohiko Isoyama
直彦 磯山
Tsuneyuki Noguchi
恒行 野口
Katsuyoshi Tadenuma
克嘉 蓼沼
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Kaken Co Ltd
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Kaken Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】放射性物質で汚染した施設、設備、機器、配管
等に除染ガスを曝露させることにより、放射性汚染物質
を気体状で除去することができる気相ガス化反応を利用
した放射性汚染物の除染方法とその装置を提供する。 【解決手段】放射性物質で汚染した施設、設備、機器、
配管等に収着(付着/沈着/吸着)した放射化生成物、
核分裂生成物及び超ウラン元素等の放射性物質を、化学
的に活性な励起状態であるカルボニル及び/あるいはフ
ッ素と反応させ、放射性汚染核種を揮発性のカルボニル
化合物及び/あるいはフッ素化合物に変換して気体とし
て汚染物から分離除去する方法であり、除染ガスとして
気体の状態で汚染物に導入し処理することが可能である
ため、除染のために汚染物を切断や解体する必要もな
く、細く入り組んだ配管内部の汚染や放射能汚染レベル
が高く近づけない汚染などのような従来の方法では除染
処理が困難な放射性汚染物の除染処理が可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、原子力発電所、遠
心分離器等でウラン同位体の濃縮分離を行うウラン核燃
料の濃縮工場や加工転換工場あるいは再処理工場、その
他の原子力関連施設や原子力研究施設等の放射性物質の
取扱いに伴って放射性汚染物が発生する施設、さらに放
射性元素を用いて診断や治療等を行う病院等の核医学施
設、および高エネルギーの粒子や電子の加速器の運転に
伴って周囲を放射化する恐れのある施設のように、それ
らの施設、設備、機器、配管等が様々な放射性汚染物質
で汚染されて多様で多種類の放射性汚染物や廃棄物が発
生した場合のそれら放射性汚染物の除染処理方法及びそ
の装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、原子力産業において、放射性
物質によって汚染された施設、設備、機器、配管等から
該放射性物質を有効に除染することは重要な課題となっ
ている。従来の放射性汚染物の除染処理方法としては、
機械的にあるいは物理的に汚染物の表面汚染部を切削し
たり高エネルギーのレーザー光照射によって汚染表面を
溶融状態にして吹き飛ばして汚染部分を除去する方法、
あるいは最も一般的には酸溶液などを用いて汚染部分を
溶解して除去する化学的な方法など、その一部は実際の
汚染物の除染方法として利用されている。
【0003】
【発明が解決しようとしている課題】従来の機械的、物
理的、あるいは化学的な除染方法の問題として、機械的
に汚染表面を研削切除する方法の場合はその研削工具の
形状や加工処理可能範囲の制約により汚染物全面を切削
処理することが不可能であること、あるいは高エネルギ
ーレーザー光を照射して表面を溶融し吹き飛ばす方法の
場合も同様にそのレーザー光照射が可能な該汚染物の表
面形状に制約を受けるため汚染物全面をレーザー光照射
処理することが不可能であること、さらにそれらの方法
によれば汚染部分から放射性汚染は除去できるが周辺に
放射性物質が再付着して汚染を拡大してしまう、などの
理由からそれらの適用性が制限される。これら切削法の
ような機械的方法あるいはレーザー光照射除染法のよう
な物理的方法では、例えば細く入り組んだ配管内部や複
雑な表面構造を有する汚染物などの場合は非解体状態で
除染することは不可能であり、汚染物を除染し易いよう
に切断や解体する必要があった。一方、酸溶液を用いる
湿式除染法において、低濃度の酸溶液を室温等の低温で
処理しても除染効率が低いため、特に該汚染物の表面が
機械的に強固で化学的に安定で溶解性の低い酸化層に覆
われている場合は、高濃度で温度の高い酸溶液を使う必
要がある。そのため、作業の危険性が高い、二次廃棄物
である大量の廃液が発生し副次的な廃棄物としての廃液
処理のためのイオン交換樹脂等の廃棄物も大量に発生す
る、その廃液処理のための新たな処理施設や設備が必要
となる、除染工程が複雑となり除染作業に多くの時間を
要する、など一般的に利用されている湿式法においても
実際の適用性が制限される。
【0004】以上から、従来の方法は、除染処理の工程
が煩雑である、作業効率が悪くそのため除染作業者の放
射線被曝が起こる、除染効率が低く汚染物の形状や対象
材料の種類によっては除染ができない、除染処理に伴っ
て周辺の非汚染部の汚染が起り二次的汚染物が大量に発
生する、廃液処理等の新たな周辺設備が必要となる、汚
染物の再利用が困難、などの技術上あるいは経済上の問
題がある。
【0005】従って、本発明の目的は、放射性物質で汚
染された施設、設備、機器、配管等を解体することな
く、直接処理して放射性汚染を除去できる除染方法とそ
の装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】原子力施設から発生する
放射性汚染物の大部分が、それら施設、設備、機器、配
管等の表面に放射性核種が収着(付着/沈着/吸着)し
た状態であるため、本発明ではその表面汚染核種に対し
て高い反応性を有ししかも反応後の放射性核種が揮発性
化合物となる気体状であり化学的に活性な励起状態であ
るカルボニル及び/あるいはフッ素を汚染物に曝露して
気相ガス化反応処理し、放射性汚染核種を揮発性化合物
に変換して気体として汚染物から除去する方法である。
本発明は、除染薬剤として気体を用いる完全に乾式的に
除染する方法であり、多種類の放射性元素を同時に気相
化学反応で揮発させ汚染物から分離除去しようとする除
染方法はこれまで無かった。
【0007】このように、本発明によれば除染に有効と
なる活性なカルボニル及び/あるいはフッ素の化学種を
気体の状態で導入することが可能であるため、細く入り
組んだ配管内部の汚染や放射能汚染レベルが高く近づけ
ない汚染などのような従来の方法では除染処理が困難な
放射性汚染物の除染処理が可能である。しかも、本発明
によれば揮発性の放射性物質が安定な化合物の形態であ
るため、前記
【0003】に示したような機械的な研削除染処理、あ
るいは高エネルギーレーザー光を照射するような物理的
な除染処理の場合に見られる周辺への放射性物質の再付
着汚染は起こらない。
【0008】本発明は、放射性のCo,Zn,Ni,F
e,Mn,Cr,V,Mo,Tc,Ru,Rh,W,R
e,Os,Irなどの放射化生成物(CP)及び核分裂
生成物(FP)による汚染物の場合は、活性なカルボニ
ル(CO)と反応させて揮発性の金属カルボニル化合物
を生成させ汚染物から揮発分離し除染するカルボニル化
法で、またMo,Tc,Re,Ru,W等の核分裂生成
物(FP)及びU,Np,Pu等の超ウラン元素類(T
RU)による汚染物の場合は、活性なフッ素(F)と反
応させて揮発性の金属フッ素化合物を生成させ汚染物か
ら揮発分離するフッ素化法、これらのカルボニル化法及
びフッ素化法をそれぞれ単独あるいは複合的に用いる除
染方法である。
【0009】以上のカルボニル化反応及びフッ素化反応
のモデル式を数1〜2の反応式(1)〜(2)に、更に
本発明の除染の原理を図1に示す。
【0010】
【数1】反応式(1) Co,Ni,Cr,Mn,F
e,Mo,Tc,Ru,Rh,etc.+CO →Co(CO),Ni(CO),Cr(C
O),Mn(CO)10,Fe(CO),Mo
(CO)6,Tc(CO)10,Ru(C
O)5−6,Rh(CO),etc.
【0011】
【数2】反応式(2) Mo,Re,Tc,Ru,
W,U,Np,Pu,etc.+F(plasma−
F,ClF,BrF,IF,etc.) →MoF,ReF,TcF,RuF5−6,WF
,UF,NpF,PuF,etc.
【0012】更に、表1に主な放射性核種と本発明で除
染可能な対象核種を示す。
【0013】
【表1】
【0014】
【発明の実施の形態】本発明によるプラズマ除染の場合
にはその対象汚染物のサイズにより次の2つの処理方式
となる。まず、対象汚染物がプラズマ処理チェンバーに
入るように切断や解体されたもの、あるいは工具等のよ
うに小さなサイズのものの場合は、直接プラズマ処理チ
ェンバーに入れて除染処理することが可能である。この
装置は、プラズマ除染用のガスを定量的に導入する系
統、汚染物を入れ除染処理を行うための真空保持や気密
保持が可能なプラズマ反応容器、さらに処理によって発
生する揮発性の放射性化合物を吸着除去回収して除染ガ
スと分離する系統、未反応の過剰の除染ガスをリサイク
ルする系統、最終的な排気ガスを無害化処理する系統か
ら構成される。
【0015】次に、対象汚染物のサイズが大きい場合や
汚染が高く除染のために切断や解体が困難な場合には、
プラズマ励起ガスを汚染物に注入する方式の除染処理方
式となる。この装置は、プラズマ除染用のガスを定量的
に導入する系統、除染用ガスを励起するプラズマ励起
部、励起された除染ガスを汚染物に導入するための配
管、さらに除染処理によって発生する揮発性の放射性化
合物を吸引し吸着除去回収して除染ガスと分離する系
統、未反応の過剰の除染ガスをリサイクルする系統、最
終的な排気ガスを無害化処理する系統から構成される。
このプラズマ励起ガス注入方式除染処理の一例として、
ウラン同位体濃縮分離用遠心分離器を除染対象汚染物と
する除染処理システムを図2に示す。ガスに対する気密
性が保たれているウラン同位体濃縮分離用遠心分離器の
場合は一般に多段型に構成されており、そのため複数の
遠心分離器を同時に除染処理することが可能である。
【0016】上記のプラズマ励起ガス注入方式気相ガス
化除染処理において、除染用ガスを汚染物表面でプラズ
マ励起し同時にその汚染物表面に吹き付けることによっ
て、さらに効率的なプラズマ除染処理が可能となる。こ
の方式は、図3に示すように、全体が可動型のプラズマ
励起部に外部から配管を通して除染ガスを導入しプラズ
マ励起すると、局所的な汚染物表面に活性なカルボニル
及び/あるいはフッ素が吹き付けられその汚染表面に存
在する放射性核種と反応する。反応によって発生する揮
発性の放射性化合物は、プラズマ発生部の外側を囲む吸
引部から排気され、排ガスの回収分離系や除染ガスのリ
サイクル系によって処理される。この排気ガス吸引部を
有する除染ガス注入型プラズマ発生部は局所的な除染が
可能であるが、汚染面に押しつけながら汚染面全体を移
動させれば全面除染も可能となる。そのため、大型構造
物汚染物に対する除染方法としても有効である。
【0017】一方、KrF2,XeF2等の希ガスフッ
素化合物あるいはClF3,BrF5,IF7等のフッ
素化ハロゲン間化合物など高いフッ素化能力を有する気
体状のフッ素化薬剤を用いる本発明によるフッ素化反応
を利用した除染方法において、対象汚染物がプラズマ処
理チェンバーに入るように切断や解体されたもの、ある
いは工具等のように小さなサイズのものの場合は、フッ
素化反応チェンバーを有する除染装置で処理することが
可能である。この場合、気体状のフッ素化薬剤を定量的
に導入する系統、汚染物を入れ除染処理を行うための真
空保持や気密保持が可能なフッ素化反応容器、さらに揮
発性の放射性化合物を吸着除去回収して除染ガスと分離
する系統、未反応の過剰の除染ガスをリサイクルする系
統、最終的な排気ガスを無害化処理する系統から構成さ
れる放射性汚染物のフッ素化反応気相ガス化除染システ
ムである。
【0018】次に、対象汚染物のサイズが大きい場合や
汚染が高く除染のために切断や解体が困難な場合には、
フッ素化ガスを汚染物に注入する方式の除染処理方式と
なる。この装置は、フッ素化ガスを定量的に導入する系
統、除染ガスを汚染物に導入するための配管、さらに除
染処理によって発生する揮発性の放射性フッ素化合物を
吸引し吸着除去回収して除染ガスと分離する系統、未反
応の過剰の除染ガスをリサイクルする系統、最終的な排
気ガスを無害化処理する系統から構成される。このフッ
素化ガス注入方式除染処理の一例として、ウラン同位体
濃縮分離用遠心分離器を除染対象汚染物とする除染処理
システムを図2に示す。ガスに対する気密性が保たれて
いるウラン同位体濃縮分離用遠心分離器の場合は一般に
多段型に構成されており、そのため複数の遠心分離器を
同時に除染処理することが可能である。
【0019】なお、図4に示すように、前記
【0015】及び
【0018】に示したウラン同位体濃縮分離用遠心分離
器を、まず本発明のプラズマ励起ガス注入方式あるいは
フッ素化ガス注入方式により除染処理し、さらに溶融炉
等で処理する工程を組み合わせることによって、安全に
且つ経済的に汚染遠心分離器の除染処理と減容処理を一
連のプロセスとして処理することが可能で、しかも処理
後の遠心器材料の再利用の可能性もある。
【0020】
【実施例】本発明を次の実施例により説明する。 実施例1 Co−60とウランで汚染した材料(ステンレス鋼)に
ついて、カルボニル化反応及びフッ素化反応を同時に進
行させるために、有機フッ素化合物、無機フッ素化合
物、それらと酸素との混合ガス、あるいは炭素と酸素及
びフッ素の各元素を主成分として含む無機ガスあるいは
有機ガスを複合して用いたCF4+O2,CO2+H
2,CH4+O2,CF4の4種類の除染ガスをそれぞ
れ用いた場合の除染効率を調べた結果を表2に示す。こ
の結果から、ウランに関してはいずれも高い除染効率が
見られ、一方Co−60の除染効率は混合ガスの種類に
よっては低い場合もあったものの、本発明の有効性を示
す一例である。なお、カルボニル化反応およびフッ素化
反応を同時に進行する除染ガスとして、上記のガスも含
め、四フッ化炭素(CF4)、六フッ化二炭素(C2F
6)、三フッ化メタン(CHF3)等の炭素−フッ素
(C−F)結合を有する有機フッ素化合物と酸素(O
2)との混合ガス、または二酸化炭素(CO2)と水素
(H2)、メタン(CH4)やエタン(C2H6)等の
炭化水素化合物に酸素を混合した除染ガスが挙げられ
る。
【0021】
【表2】
【0022】実施例2 CP,FP,TRU核種で複合的に汚染した材料(ステ
ンレス鋼)について、除染ガスとしてCF4+O2混合
ガスを用い、直流放電励起型(DCプラズマ)、高周波
励起型(RFプラズマ)、電子サイクロトロン共鳴励起
型(ECRプラズマ)、ダウンストリーム型高周波励起
型(DS−MWプラズマ)、及びパルスコロナ放電型の
5種類のそれぞれ放電する圧力が異なるプラズマ励起方
式の除染効率の面での比較を行った。CP,FP,TR
Uそれぞれの代表的核種であるCo−60,Zn−6
5,Cs−137,Uの除染効率について調べた結果に
ついて表3に示す。この結果から、Co−60,Zn−
65の一部、及びUの全てについて高い除染効率が見ら
れたが、一方Cs−137についてはプラズマ処理によ
ってほとんど揮発しない結果である。このCs−137
のようなアルカリ元素、あるいはSr,Baのようなア
ルカリ土類元素は、本発明のカルボニル化法やフッ素化
法では揮発性化合物を形成しないことが分かっており、
その化学的性質が裏付けられた結果である。
【0023】
【表3】
【0024】実施例3 ウラン酸化物(UO2)が表面に固着汚染している状態
の、ステンレス鋼及びジルコニウム合金鋼などの金属材
料、ならびにアクリル樹脂、ネオプレンゴム、粘着テー
プのような有機材料、さらにシリカ繊維と有機バインダ
ーから構成されるヘパフィルタ、などをフッ素化除染ガ
スとしてClF3を用いた処理を行った。それらの汚染
材料に室温状態で300TorrのClF3を30分間
曝露処理した結果、いずれの汚染物からも80〜97%
のU汚染が消失し、繰り返し処理により当初のウラン汚
染が99%以上除染された。なお、このClF3曝露処
理による材料表面の外観的変化は無く、ClF3のそれ
ら材料との反応性や反応副生成物の表面残留は見られな
い。
【0025】次に、ウラン酸化物としてUO2及びU3
O8がそれぞれステンレス鋼の表面に固着している汚染
物を室温状態で10〜600TorrのClF3を30
分間で1回だけ曝露処理した結果、ClF3ガスの圧力
が高いほど除染効率が高いが、特に400Torr以上
においてUO2汚染物及びU3O8汚染物のU除染効率
はそれぞれ80%程度と98%以上であった。これらの
除染効率の差異は、Uの化学形態による反応性のためで
ある。
【0026】実施例4 ウラン酸化物が表面に約10μm程度の厚みで固着汚染
しているステンレス鋼をCF4+O2の混合ガスプラズ
マで処理した結果、表面のウラン酸化層が完全に消失
し、しかもステンレス鋼表面の酸化層も同時に消失し
た。これは、プラズマ励起により生成した活性なフッ素
原子が汚染物表面のUを揮発性のUF6に変換したのみ
ならず、酸化層を構成する酸素原子と反応し揮発性のO
Fxの形態で揮発除去されたものと考えられる。これら
の現象から、フッ素化プラズマ処理は、汚染物表面の酸
化層の除去とウラン汚染除去を同時に進行させる。
【0027】実施例5 UF4,UF5,UO2F2等のウラン沈着物で汚染し
たウラン遠心分離機の構成部材をClF3ガスで処理し
た結果、ClF3ガスの処理圧力が高いほど除染効果が
高かったが、特に600TorrのClF3ガスで30
分間ずつ2回処理した場合の除染効率は99%以上とな
り、法令で定めるウラン汚染物としての基準値(0.4
Bq/cm2)以下の表面汚染密度レベルにまで除染さ
れた。なお、これらの除染効率は、処理温度が高いほど
効果的であるが、10℃程度の低温でも充分な除染効率
が得られるため、除染処理に特別な加熱処理等は必要が
無い。
【0028】なお、前記
【0025】に示したUO2及びU3O8による汚染
物、さらに上記のUF4,UF5,UO2F2等のウラ
ン沈着物で汚染したウラン遠心分離機の構成部材につい
て、BrF5ガスあるいはIF7ガスを用いて除染処理
した結果、それらのガスはClF3ガスとほぼ同等のウ
ラン汚染物の除染性能が得られ、フッ素化除染剤として
有効である。
【0029】
【発明の効果】以上示したように、本発明のカルボニル
化反応及び/あるいはフッ素化反応によって、放射性汚
染物質である放射化生成物(CP)、核分裂生成物(F
P)ならびに超ウラン元素(TRU)の多くを同時に揮
発性化合物に変換し、それらを気体状で汚染物から揮発
分離し除去できる。
【0030】また、本発明は、従来の方法では切断や解
体せずに除染処理することが不可能あるいは困難であっ
た放射性物質で汚染した施設、設備、機器、配管等を、
除染ガスを注入するだけで除染処理が可能となる。この
ため、高い汚染レベルのため作業者を立ち入ることがで
きなかった場所でも、遠隔処理や無人処理で安全に除染
処理が行える。さらに、乾式除染法の共通の利点とし
て、除染処理に伴って発生する二次廃棄物が従来の湿式
法などに比べはるかに少ないため、最終的な放射性廃棄
物をコンパクトに処分できる。これらの理由により、本
発明は、作業者にかかる作業上の負担の低減や安全性の
確保、作業者の放射線被曝の軽減、非解体除染が可能で
あるため解体に伴う放射性物質の周辺への汚染の拡大の
防止、除染処理経費の低減、などの多くの効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカルボニル化反応及びフッ素化反応を
利用した気相ガス化除染方法の原理を示す。
【図2】本発明による、ウラン同位体濃縮分離用遠心分
離器の除染設備システムを示す。
【図3】本発明による、除染ガス注入型プラズマ発生方
式による局所除染処理システムを示す。
【図4】本発明によるウラン同位体濃縮分離用遠心分離
器の除染処理と除染処理後の遠心器の減容処理の一連の
プロセスを示す。

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】カルボニル化反応及び/あるいはフッ素化
    反応を利用して放射性重金属元素をカルボニル化合物及
    び/あるいはフッ素化合物の揮発性物質に変換すること
    を特徴とする、放射性汚染物の気相ガス化除染方法。
  2. 【請求項2】前記請求項1に示す放射性汚染物の除染方
    法において、カルボニル化反応及び/あるいはフッ素化
    反応のために、有機フッ素化合物、無機フッ素化合物、
    それらと酸素との混合ガス、あるいは炭素と酸素及びフ
    ッ素の各元素を主成分として含む無機ガスあるいは有機
    ガスを複合して用いることを特徴とする、放射性物質の
    気相ガス化除染方法。
  3. 【請求項3】前記請求項2に示す放射性汚染物の除染方
    法において、カルボニル化反応及び/あるいはフッ素化
    反応を同時に進行する除染ガスとして、四フッ化炭素
    (CF4)、六フッ化二炭素(C2F6)、三フッ化メ
    タン(CHF3)等の炭素−フッ素(C−F)結合を有
    する有機フッ素化合物と酸素(O2)との混合ガス、ま
    たは二酸化炭素(CO2)と水素(H2)、メタン(C
    H4)やエタン(C2H6)等の炭化水素化合物と酸素
    などの除染ガスがプラズマ状態で活性なカルボニル及び
    /あるいはフッ素を生成することを特徴とする、放射性
    物質の気相ガス化除染方法。
  4. 【請求項4】前記請求項1〜3における気相ガス化除染
    において、カルボニル化反応及び/あるいはフッ素化反
    応を進行させるための励起方法として、直流放電励起型
    (DCプラズマ)、高周波励起型(RFプラズマ)、電
    子サイクロトロン共鳴励起型(ECRプラズマ)、ダウ
    ンストリーム型高周波励起型(DS−MWプラズマ)な
    どの高真空状態から低真空状態でプラズマを生起する方
    式、あるいは無声放電型、パルスコロナ放電型、沿面放
    電型、パックドベッド型などの大気圧状態でプラズマを
    生起することを特徴とする、放射性汚染物の気相ガス化
    除染方法。
  5. 【請求項5】前記請求項1および2に示す無機フッ素化
    合物を除染ガスとするフッ素化反応を利用する放射性汚
    染物の気相ガス化除染方法において、前記請求項3に示
    すCF4,C2F6,CHF3等の炭素−フッ素(C−
    F)結合を有する有機フッ素化合物あるいは無機フッ素
    化合物としてF2,KrF2,XeF2,ClF3,B
    rF5,IF7,ClF,BrF3,IF5,BrF,
    NF3,SF6,PF3,PF5等の常温で気体あるい
    は高い蒸気圧を有するフッ素化合物であり、それらのガ
    スを前記請求項4に示すプラズマにより励起することを
    特徴とする、放射性汚染物の気相ガス化除染方法。
  6. 【請求項6】前記請求項4に示すプラズマ装置によって
    前記請求項5に示す除染ガスを処理し励起したガスを、
    放射性物質で汚染した施設、設備、機器、配管等に注入
    し除染処理することによって該汚染物を解体すること無
    く除染処理を行うことを特徴とする、プラズマ励起ガス
    注入方式による放射性汚染物の気相ガス化除染方法。
  7. 【請求項7】前記請求項5に示した除染ガスとして無機
    フッ素化合物の一部のKrF2,XeF2等の希ガスフ
    ッ素化合物あるいはClF3,BrF5,IF7等のフ
    ッ素化ハロゲン間化合物など高いフッ素化能力を有する
    気体状のフッ素化薬剤を用いることによってプラズマ励
    起すること無くフッ素化反応を起こすことを特徴とす
    る、放射性汚染物の気相ガス化除染方法。
  8. 【請求項8】前記請求項1〜7に示した対象元素とし
    て、カルボニル化反応によって除染可能な放射性元素
    は、Co,Zn,Ni,Fe,Mn,Cr,V,Mo,
    Tc,Ru,Rh,W,Re,Os,Irなどの放射化
    生成物及び核分裂生成物であり、さらにフッ素化反応に
    よって除染可能な放射性元素は、Mo,Tc,Re,R
    u,W等の核分裂生成物及びU,Np,Pu等の超ウラ
    ン元素類であることを特徴とする、放射性汚染物の気相
    ガス化除染方法。
  9. 【請求項9】前記請求項4に示すプラズマ装置によって
    前記請求項3に示す除染ガスを励起し除染処理を行う方
    法において、プラズマ除染用のガスを定量的に導入する
    系統、汚染物を入れ除染処理を行うための真空保持や気
    密保持が可能なプラズマ除染容器、さらに処理によって
    発生する揮発性の放射性化合物を吸着除去回収して除染
    ガスと分離する系統、未反応の過剰の除染ガスをリサイ
    クルする系統、最終的な排気ガスを無害化処理する系統
    から構成されることを特徴とする、放射性汚染物のプラ
    ズマ処理気相ガス化除染装置。
  10. 【請求項10】前記請求項6に示すプラズマ励起ガス注
    入方式による放射性汚染物の気相ガス化除染処理におい
    て、プラズマ除染用のガスを定量的に導入する系統、除
    染用ガスを励起するプラズマ処理部、励起された除染ガ
    スを汚染物に導入するための配管、さらに除染処理によ
    って発生する揮発性の放射性化合物を吸引し吸着除去回
    収して除染ガスと分離する系統、未反応の過剰の除染ガ
    スをリサイクルする系統、最終的な排気ガスを無害化処
    理する系統から構成されることを特徴とする、放射性汚
    染物のプラズマ励起ガス注入方式気相ガス化除染装置。
  11. 【請求項11】前記請求項10に示す放射性汚染物のプ
    ラズマ励起ガス注入方式気相ガス化除染装置において、
    除染用ガスを汚染物表面でプラズマ励起し該表面に吹き
    付けることを特徴とする、図3に示す放射性汚染物のプ
    ラズマ処理気相ガス化除染装置。
  12. 【請求項12】前記請求項7に示す高いフッ素化能力を
    有する気体状のフッ素化薬剤を用いるフッ素化反応利用
    除染方法において、気体状のフッ素化薬剤を定量的に導
    入する系統、汚染物を入れ除染処理を行うための真空保
    持や気密保持が可能な除染容器、さらに揮発性の放射性
    化合物を吸着除去回収して除染ガスと分離する系統、未
    反応の過剰の除染ガスをリサイクルする系統、最終的な
    排気ガスを無害化処理する系統から構成されることを特
    徴とする、放射性汚染物のフッ素化反応気相ガス化除染
    装置。
  13. 【請求項13】前記請求項12の放射性汚染物のフッ素
    化反応気相ガス化除染装置において、該汚染物に気体状
    のフッ素化薬剤を直接導入し除染することを特徴とす
    る、放射性汚染物の除染ガス注入方式フッ素化反応気相
    ガス化除染装置。
  14. 【請求項14】前記請求項9〜13に示す反応生成物と
    しての揮発性の放射性化合物を吸着除去回収して除染ガ
    スと分離する系統として、液体窒素等の冷媒や電子冷却
    器などを利用したコールドトラップ部、フッ素化合物を
    吸着回収するトラップ部、さらにカルボニル化合物を含
    む場合は酸化処理し放射性元素を吸着回収する酸化反応
    方式トラップ部、これらのトラップ部を単独あるいは複
    合的に用いた構成からなることを特徴とする、揮発性の
    放射性化合物を吸着除去回収して除染ガスと分離する系
    統を有する放射性汚染物の気相ガス化除染装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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DE102004036631A1 (de) * 2004-07-28 2006-03-23 Forschungszentrum Jülich GmbH Verfahren zur Behandlung einer mit Radiokarbon kontaminierten Keramik, insbesondere Reaktorgraphit
CN113795894A (zh) * 2020-10-14 2021-12-14 中广核研究院有限公司 基于等离子体的乏燃料干法后处理方法

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DE102004036631B4 (de) * 2004-07-28 2013-02-21 Forschungszentrum Jülich GmbH Verfahren zur Behandlung einer mit Radiokarbon kontaminierten Keramik, insbesondere Reaktorgraphit
CN113795894A (zh) * 2020-10-14 2021-12-14 中广核研究院有限公司 基于等离子体的乏燃料干法后处理方法

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