JP2001114339A - 無菌培地包装体 - Google Patents

無菌培地包装体

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JP2001114339A
JP2001114339A JP29778699A JP29778699A JP2001114339A JP 2001114339 A JP2001114339 A JP 2001114339A JP 29778699 A JP29778699 A JP 29778699A JP 29778699 A JP29778699 A JP 29778699A JP 2001114339 A JP2001114339 A JP 2001114339A
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JP29778699A
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Eiji Nagao
英二 長尾
Minoru Nakagawa
稔 中川
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Morinaga Milk Industry Co Ltd
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Morinaga Milk Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 別な培養容器に分注する必要がなく、無菌ブ
−スのような設備が不要であり、作業が簡便、短時間
で、特に、嫌気培養では確実な嫌気処理が実施でき、培
養中の温度管理が容易であり、コストが安価な無菌培地
包装体を提供する。 【解決手段】 培地を瓶体に充填し、無菌的に注射針を
刺入出し得るキャップにより密嵌した無菌培地包装体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無菌培地の包装体
であって、キャップを介して注射器により試料を注入可
能であり、そのまま培養又は保存ができる無菌培地包装
体に関する。
【0002】本発明において「好気性菌」とは好気状態
で生育し得る菌を意味し、「嫌気性菌」とは嫌気状態で
生育し得る菌を意味する。
【0003】
【従来の技術】最近、種々の細菌による食中毒が社会的
な問題になっているが、食品産業においては、消費者の
安全を担保するために厳重な品質管理が必要であり、食
中毒を惹起する病原性菌を対象として分離培養試験を行
うことが、日常の衛生管理及び工程管理の上で不可欠に
なっている。
【0004】例えば、真空包装又はガス置換包装が行わ
れている保存食品にあっては、ボツリヌス菌等の嫌気性
菌が増殖し、重大な食中毒事故を惹起した事例もある。
【0005】このような状況から、今後の食品産業にお
いては、特に病原性菌の培養試験は、品質管理及び衛生
管理の分野において、また試験研究の分野においても、
益々重要になってくるものと推測される。
【0006】一般に、細菌等の微生物を培養する場合、
培地の調製は次のとおり行われるのが通例であった。即
ち、大型三角フラスコ等の容器に所定量の水を秤取し、
所定量の粉末状培地成分を添加して分散又は溶解し、容
器に綿栓を施し、オートクレーブ等で滅菌し、のちシャ
ーレ等に所定量を分注し、冷却し、培養に使用していた
(東京大学医科学研究所学友会編、「微生物学実習提
要」、第34〜57ページ、丸善、平成元年)。
【0007】しかしながら、この方法においては、容器
が完全に密封されていないので、調製した培地が汚染さ
れ易く、乾燥し易いという不都合があり、一旦調製した
培地を長期間保存することには難点があった。そのた
め、微生物の培養を行う前に、培地を調製しなければな
らず、本来の検査又は研究以外に余分な作業を行わなけ
ればならなかった。
【0008】このような不都合を解決するために、培地
を容器に充填して密封した無菌培地包装体が実用化され
ている。このような無菌培地包装体としては、次の技術
が公知である。
【0009】即ち、培地成分を水に溶解し、pHを調整
し、パウチ袋体に封入し、加圧、加熱殺菌する、密封容
器を用いた微生物用培地の調製方法(特開昭62−11
089号公報)、包装体内に培地成分と所定量の水を充
填し、密封し、のち加熱殺菌処理を施してなる培地(特
開平8−205854号公報)等が開示されている。
【0010】一方、一般に、嫌気性菌の培養試験を行う
場合には、培養中に別途嫌気性の雰囲気を維持する操作
が必要であり、例えば、 a)試料を接種する前に培養容器内の空気を排気して不
活性ガスに置換する操作、 b)デシケ−タ−内を無酸素状態にしてこのデシケ−タ
−内で培養する操作、 c)培養容器にノズルを挿入して炭酸ガスを噴射しなが
ら培養する操作、等の操作を行うことが必要であった
(東京大学農学部農芸化学教室編、「実験農芸化学」、
下巻、第193〜196頁、株式会社朝倉書店、197
8年)。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記の
従来の無菌培地包装体にあっては、使用する際に無菌培
地包装体を開封し、無菌の雰囲気下で培地を取り出し、
別な培養容器に分注する必要があるため、このような分
注操作の間に培地が雑菌によって汚染される危険性を排
除することはできず、また、無菌ブ−スのような無菌雰
囲気を作成する機器を必要とするため、特定の場所でし
か培地を使用することができないという問題があった。
【0012】一方、嫌気性菌を培養するために従来必要
とされていた操作にあっては、例えば、前記a)の操作
では、培養開始前にガス置換操作を行うため、作業が繁
雑であり、作業者に熟練が要求されるという問題があっ
た。従って、大量のサンプルを短時間に処理する場合、
作業者が慣れていない場合等では、作業に時間がかか
り、またガス置換が不確実になる危険が多く、日常的な
衛生管理又は工程管理に適用するには問題が多かった。
また、前記b)の操作にあっては、培養容器はデシケ−
タ−内に配置されるが、このデシケ−タ−をふ卵器、恒
温槽等に保持した場合には、温度管理を厳密に行うこと
が困難になるという問題があった。更に、前記c)の操
作にあっては、炭酸ガスの消費量が大きく、培養のコス
トが高価になるという問題があった。
【0013】本発明の目的は、各種の微生物の培養試験
に好適な無菌培地包装体であって、好気性菌にも嫌気性
菌にも適用可能であり、培地を取り出して別な培養容器
に分注する必要がなく、無菌ブ−スのような無菌雰囲気
を作成する設備が不要であり、しかも、試料を植える作
業が簡便で短時間で済み、作業に高度な熟練を要するこ
とがなく、特に、嫌気培養にあっては、確実な嫌気処理
が行え、培養中の温度管理が容易であり、培養コストが
安価な無菌培地包装体を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の本発明は、瓶体に培地を充填し、無菌的に注射針を刺
入出し得るキャップにより密嵌したことを特徴とする無
菌培地包装体、である。
【0015】また、前記本発明は、キャップが、通気性
のある材質によって形成されており、培地が、好気性菌
用の培地であること、キャップが、気密性のある材質に
よって形成されており、培地は、嫌気性菌用の培地であ
り、瓶体は、前記培地とともに不活性ガスが封入されて
いること、キャップが、裏側に脱酸素剤を貼着されてい
ること、培地が、乾燥培地であること、及び、キャップ
が、オ−バ−キャップにより被嵌されていること、を望
ましい態様としている。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に前記課題を解決するために
案出した本発明を説明するが、本発明の要素には後述す
る実施例の要素との対応を容易にするため、実施例の要
素の符号をカッコで囲んだものを付記している。本発明
を後記実施例の符号と対応させて説明する理由は、本発
明の理解を容易にするためであって、本発明の技術的範
囲を実施例に限定するためではない。
【0017】図1は、本発明の無菌培地包装体の一実施
例の外観図であり、図2は、本発明の無菌培地包装体の
別な実施例の一部拡大断面図である。
【0018】本発明の無菌培地包装体(1)は、瓶体
(2)に培地(3)を充填し、キャップ(4)にて密嵌
したものである。
【0019】培地(3)としては、液体培地の他、寒天
を含有する固体培地等を採用することができる。寒天含
有培地としては、例えば、好気性菌用には公知の標準寒
天培地、ブドウ糖寒天培地、デソキシコレ−ト寒天培地
を例示でき、嫌気性菌用にはCW寒天培地、EG寒天培
地、ハンドフォ−ド培地等を例示することができる。
【0020】培地(3)の材料も、肉エキス、ペプト
ン、各種エキス等、いかなるものをも採用することがで
きるが、嫌気性菌の試験を目的とするものである場合に
は、培地(3)には、酸化還元電位を低下させるための
還元剤を加えることが好ましい。このような還元剤とし
ては、チオグリコ−ル酸ナトリウム、硫化ナトリウム、
システイン、アスコルビン酸等を例示することができ
る。
【0021】以上のような培地(3)を、瓶体(2)に
充填し、キャップ(4)を打栓して密封する。瓶体
(2)は密封可能なものであればいかなるものでも良
く、材質もいかなるものでも良いが、耐熱性、対腐食性
を有するものが好ましい。しかしながら、瓶体(2)は
加熱殺菌が容易なガラス製のものが好ましく、安価な市
販のバイアル瓶を利用することができる。
【0022】キャップ(4)は、このようなバイアル瓶
の口径に合致する径のものが好ましく、特に、注射針を
刺し入れ、かつ抜き取ることができる材質であることが
必要である。尚、「刺入出」とは、このように注射針を
刺し込み、また抜き取ることを意味する。
【0023】本発明の無菌培地包装体(1)において
は、キャップ(4)が、無菌的に注射針を刺入出し得る
ものであることが重要である。「無菌的に」とは、少な
くとも、注射針をキャップ(4)に刺入出することによ
って雑菌がキャップ(4)の外側から内側に移動するこ
とがないということを意味している。即ち、注射針の刺
入出にかかわらず、瓶体(2)の内部が無菌状態に保た
れることを意味しているのである。
【0024】例えば、キャップ(4)を適度の柔軟性を
有する部材によって形成し、注射針を貫通して引き抜い
た後の貫通穴が、注射針を引き抜くにつれて自然に縮小
して閉塞するようにすれば良い。
【0025】このようなキャップ(4)は、雑菌を混入
させないものであれば、気体を遮蔽するものであっても
気体を通過させるものであっても良い。即ち、嫌気性菌
のためには、キャップ(4)は気密性のものが好まし
く、好気性菌のためには、キャップ(4)は通気性のも
のが好ましいためである。
【0026】このようなキャップ(4)の材質は、気密
性のものは、シリコンゴムが最も望ましい。尚、ここに
「気密性」とは、ガスバリア性のことを意味している。
また通気性のものとしては、発泡シリコン等を例示でき
る。
【0027】培地(3)を瓶体(2)に充填した後に、
キャップ(4)を打栓し、公知の方法、例えば、アルミ
シ−ル(5)を被嵌して巻き締める方法によって密嵌
し、培地(3)を瓶体(2)の中に密封する。かくし
て、本発明の無菌培地包装体(1)を得ることができ
る。
【0028】培地(3)は、無菌培地であるから、保存
のために滅菌することが不可欠であるが、このように瓶
体(2)に密封した後に、レトルト滅菌器、オ−トクレ
−ブ等によって加圧加熱滅菌を施すことができる。
【0029】また、予め培地(3)を液体用滅菌器等に
よって滅菌し、無菌充填法によって、別途滅菌した瓶体
(2)に無菌充填することも可能である。
【0030】要は、本発明において、「無菌培地」は、
瓶体(2)に充填した後に加熱滅菌した培地であるか、
又は充填する前に予め滅菌して無菌充填した培地か、い
ずれであっても良いのである。
【0031】尚、培地(3)は、寒天、ゼラチン、ブイ
ヨン等の培養基材についてのみ加熱滅菌を行い、熱によ
って変性しやすい血液、血清、ビタミン、アミノ酸、蛋
白質等の易熱変性成分については、別途、濾過滅菌、放
射線滅菌等を行った上で、これらを充填時に混合した上
で無菌充填するか、又は各々瓶体(2)に別個に無菌充
填する態様であっても良い。
【0032】以上のような構造を有する本発明の無菌培
地包装体(1)を使用する方法は、次のとおりである。
【0033】最初に、注射器により試料を採取するが、
この際、シリンダ−内に空気が混入しないように注意す
る。次いで、本発明の無菌培地包装体(1)に対し、キ
ャップ(4)に注射針を突き刺して貫通させ、注射器の
シリンダ−を押し出して試料を瓶体(2)内に注入し、
培地(3)と混合する。この際は、シリンダ−を上下さ
せて瓶体(2)内部の空気を抜きながら注入すると良
い。尚、注射針は、予め無菌のものを選択するか、又は
十分に滅菌した上で使用することはいうまでもない。
【0034】試料の注入が終了すれば、直ちに瓶体
(2)を手で降って混合し、恒温水槽、恒温槽等に入
れ、そのまま培養試験又は保存を行うことができる。
【0035】このように、本発明の無菌培地包装体
(1)においては、瓶体(2)を開封することなく、培
地(3)に試料を植えることが可能であり、その状態の
まま培養することができる。従って、大量の試料を短時
間で、しかも確実に培地(3)に接種し、培養すること
ができる。
【0036】また、従来の無菌培地包装体のように、培
地(3)を取り出して別な培養容器等に分注する必要が
なく、分注操作の間に培地が雑菌によって汚染される危
険性は皆無である。また、分注のための無菌ブ−スのよ
うな機器を必要とせず、無菌設備が整っていない場所で
あっても使用することができる。
【0037】本発明の望ましい態様の一例は、例えば、
専ら好気性菌の培養に適した無菌培地包装体(1)であ
る。即ち、キャップ(4)が、通気性のある材質によっ
て形成されており、培地(3)が、好気性菌用の培地で
あることを望ましい態様とする。ここに「好気性菌用の
培地」とは、好気性菌を培養できる培地であればいかな
る培地でも良いことは言うまでもない。
【0038】このような無菌培地包装体(1)は、培地
を取り出して別な培養容器に分注する必要がなく、その
まま、試料を注入し、培養又は保存することができる。
キャップ(4)は通気性があるため、瓶体(2)の内外
は気体は導通しているが、雑菌の混入は防止されてい
る。このため、安全にかつ簡便な作業で好気性菌の培養
を行うことができる。
【0039】また本発明の望ましい態様の一例は、例え
ば、専ら嫌気性菌の培養に適した無菌培地包装体(1)
である。即ち、キャップ(4)が、気密性のある材質に
よって形成されており、培地(3)は、嫌気性菌用の培
地であり、瓶体(2)は、前記培地(3)とともに不活
性ガスが封入されていることを望ましい態様としてい
る。
【0040】この場合は、嫌気性菌用の培地(3)を瓶
体(2)に充填するが、その際に、例えば窒素置換充填
法を行うことによって調製できる。そして、瓶体(2)
内部の空間は酸素が除去され不活性ガスが充満している
ため、嫌気性菌の培養をより確実に行うことができる。
【0041】また、キャップ(4)は、気密状態で注射
針を刺入出し得ることが必要である。
【0042】このような態様では、瓶体(2)の中を気
密状態に維持したまま培養を行うことが可能であり、嫌
気性菌の培養に特に好適である。即ち、嫌気性菌を培養
する前に、瓶体(2)にはガス置換を施す必要がなく、
作業が簡単であるから、作業者に熟練を要しない。そし
て、瓶体(2)をそのまま恒温槽等に保管することがで
きるため、培養中の温度管理が容易である。また、培養
中に炭酸ガスを常時注入する等の操作が不要であるた
め、培養のコストも安価である。
【0043】このような態様では、キャップ(4)の裏
側には脱酸素剤(6。図2参照。)を貼着しても良い。
瓶体(2)内部の空間部分に脱酸素剤(6)を配置する
ことによって、瓶体(2)内部をより確実に嫌気状態に
維持することができる。即ち、仮に、試料を注入する際
に、誤って瓶体(2)内に空気を混入させてしまった場
合でも、脱酸素剤(6)によって、ある程度は嫌気状態
を維持することが可能である。
【0044】尚、脱酸素剤(6)は、単に酸素を吸収す
る機能を持つものに限られず、酸素の吸収と同時に二酸
化炭素等、他の気体を発生するものであっても良い。
【0045】尚、培地(3)が、好気性菌と嫌気性菌と
の双方に使用できる培地である場合には、前記二つの態
様(好気性菌用及び嫌気性菌用)のいずれにも使用でき
ることは言うまでもない。
【0046】更に、本発明は、培地(3)が、乾燥され
た乾燥培地であることを望ましい態様としている。この
場合は、注射器によって瓶体(2)に所定量の無菌水を
注入し、瓶体(2)を良く振盪して培地を溶解した上
で、別途、注射器によって試料を注入すれば良い。ま
た、試料の液、又は試料を予め無菌水で希釈した液を注
入すること自体によって乾燥培地(3)を溶解する方法
を採用することもできる。
【0047】尚、乾燥培地を採用する場合は、寒天を含
まないものを採用することが好ましい。
【0048】培地(3)を乾燥培地とすることによっ
て、保存期間が大幅に長期化され、培地製品としての確
実な品質を保証し得るとともに、無菌培地包装体(1)
を大量に貯蔵することが可能になる等、本発明の有用
性、利便性が飛躍的に増加するのである。
【0049】尚、この場合の製造方法としては、例え
ば、乾燥された乾燥培地(3)を瓶体(2)に充填し密
封した後、放射線殺菌等によって殺菌する方法を例示す
ることができる。
【0050】また、本発明では、キャップ(4)の上に
は、オ−バ−キャップ(図示せず)を被嵌することが望
ましい。キャップ(4)は注射針を刺入出する部材であ
るから、本発明の無菌培地包装体(1)の流通、販売、
保管の段階では、キャップ(4)を外気に露出しておく
ことは好ましくない。従って、キャップ(4)にはオ−
バ−キャップを被嵌し、汚れ、傷の発生等を防止するの
である。
【0051】以上、説明した本発明は、嫌気性菌の培養
試験に適用した場合は、例えば、真空包装、脱酸素包装
等を施された保存食品に対し、クロストリジウム属に属
する微生物(例えば、ボツリヌス菌、ウェルシュ菌等)
を培養する試験に採用し、保存食品の品質管理に役立て
ることができる。
【0052】この場合は、クロストリジウム属に属する
微生物が一般的に亜硫酸塩と鉄塩を含む培地中で発育す
ると硫化水素を産生して黒色集落を形成するという性質
があるので(春田三佐夫ら編、「目で見る食品衛生検査
法」、第24頁、中央法規出版株式会社、1989
年)、このような性質を考慮した培地によって本発明の
無菌培地包装体(1)を調製することが好ましい。
【0053】また、複数種類の選択培地を充填した複数
の無菌培地包装体(1)を準備し、各種の選択培地によ
って同時に培養試験を行い、1回の培養試験によって菌
種を特定することもできる。
【0054】また、本発明の無菌培地包装体(1)は、
原料、包材、加工、輸送、貯蔵等の各段階における衛生
上の取り扱いを評価する衛生管理に適用することもでき
る。
【0055】例えば、ビ−ル工場においては、ビ−ルの
汚染源となる微生物として、ペクチネイタス・セレビシ
イフィルス(Pectinatus cerevisiiphilus )、セレノ
モナス・ラクティシフェックス(Selenomonas lactici
fex )等の嫌気性菌が問題となっている(例えば、清水
潮ら編、「食品危害微生物ハンドブック」、第146〜
147頁、株式会社サイエンスフォ−ラム、1998
年)。
【0056】そこで、本発明の無菌培地包装体(1)で
は、培地(3)としてEG寒天培地、ABCM寒天培地
等の選択培地を採用することにより、ビ−ル工場におい
てビ−ルが細菌に汚染されたか否かを簡便に判別するこ
とが可能となる。
【0057】以上のとおり本発明は、現在、社会問題化
している病原性菌による食中毒を防止するために広い範
囲で利用可能であるのみならず、工場からの出荷段階に
おける品質判定、製造工程の品質管理にも利用すること
ができる。
【0058】また、培養を必要とする各種の試験、研究
にも広く利用することができる。
【0059】
【実施例】次に、実施例を示して本発明を詳細に説明す
るが、本発明は以下の実施例に限定されるものではな
い。
【0060】実施例1 図1は、本発明の無菌培地包装体の一実施例の外観図、
である。図1において、本発明の無菌無菌培地包装体1
は、30mlバイアル瓶2に10mlの培地3が充填さ
れており、気密性のあるシリコンキャップ4によって密
封され、アルミシ−ル5によって封緘されている。
【0061】図1に示す無菌培地包装体1は、次の手順
により調製されている。
【0062】最初に、市販のCW培地を常法どおり溶解
調製し、密閉式殺菌装置によって121℃15分の条件
で滅菌し、冷却した。別途、キャスタ−付リザ−バ−
(50リットル容)をオ−トクレ−ブにより滅菌し、こ
のリザ−バ−に前記のCW滅菌培地を流し込み、貯留し
た。
【0063】卵黄液を別途放射線滅菌した上で、リザ−
バ−に追加投入して混合した。尚、以上の操作は全て無
菌室内で行い、混合した培地は無菌状態でリザ−バ−に
貯留した。
【0064】一方、30mlバイアル瓶2を十分洗浄
し、乾熱滅菌器で180℃で乾熱滅菌処理を行った。
【0065】前記リザ−バ−を、クラス100の無菌室
(無菌ブ−ス)に設置したバイアル充填器にセットし、
培地を1時間あたり4000個の速度で、前記乾熱滅菌
済のバイアル瓶2に連続的に10mlづつ充填し、シリ
コンキャップ4を打栓し、バイアル瓶2を密封した。
尚、充填の際には炭酸ガス10%及び窒素90%の混合
無菌不活性ガスでバイアル瓶2内部を置換した。
【0066】充填後のバイアル瓶2は、無菌室内におい
て、アルミシ−ル5を被嵌して巻き締め、培地3を完全
な無菌状態で封入した。
【0067】以上の手順によって、嫌気性菌用の無菌培
地包装体(1)を取得することができた。
【0068】実施例2 次に、図1の無菌培地包装体において、培地の種類を変
更した別な実施例について説明する。図1における培地
を、凍結乾燥した粉末状の乾燥培地に変更したものであ
る。尚、以下の記載においては、説明を容易にするため
に、図1中の各要素に相当する要素には、図1と同一の
符号を付するものとする。
【0069】このような無菌培地包装体1は、次の手順
で調製した。
【0070】最初に、前記実施例1と同一の無菌培地包
装体1を調製したが、無菌充填機においてはシリコンキ
ャップ4は半打栓状態でとどめた。凍結乾燥機の内部を
十分洗浄し、エチレンオキサイドガスで滅菌し、無菌状
態に保持した。
【0071】前記半打栓状態のバイアル瓶2を凍結乾燥
機に移動させ、24時間凍結乾燥処理を行った。次いで
このバイアル瓶2を、無菌室に設置した別な打栓機及び
巻き締め機を通過させ、完全な無菌状態のまま密封し
た。
【0072】以上の手順により凍結乾燥した粉末培地3
を封入した無菌培地包装体1を得た。尚、この無菌培地
包装体1の構造は、図1と類似しているため図示は省略
する。
【0073】実施例3 図1の無菌培地包装体1において、培地3の種類を変更
した更に別な実施例について説明する。
【0074】(1)無菌培地包装体1の調製 市販のチオグリコレ−ト培地を常法どおり溶解調製し
た。これを、常法によりガス置換充填し、シリコンキャ
ップ4を打栓し、アルミシ−ル5で巻き締めて密封し、
レトルト殺菌機(日阪製作所社製)により121℃の温
度で30分間滅菌した後、放冷し、嫌気性菌の培養を目
的とする無菌培地包装体1を製造した。
【0075】(2)培養 ウェルシュ菌で汚染された肉汁を無菌水で10倍に希釈
して試料を調製した。この試料を5ml容注射器により
1ml採取した後、注射針をシリコンキャップ4に貫入
し、バイアル瓶2の内部に注入した。
【0076】バイアル瓶2を良く振った後、37℃の恒
温槽に入れ、18〜24時間培養を行った時点で、バイ
アル瓶2内部の試料を肉眼で観察したところ、明らかに
ウェルシュ菌の発育が認められた。
【0077】実施例4 図2は、本発明の無菌培地包装体の別な実施例の一部拡
大断面図、である。図2において、図1と共通する要素
には図1と共通の符号を付して、詳細な説明は省略す
る。
【0078】瓶体2には、シリコンキャップ4が打栓さ
れており、その上からアルミシ−ル5が封緘されてい
る。シリコンキャップ4の裏側には、脱酸素剤パック6
が貼着されている。
【0079】この脱酸素剤パック6は、リング状の形状
を有している。脱酸素剤パック6がリング状の形状を有
している理由は、次のとおりである。
【0080】即ち、注射針(図示せず)をシリコンキャ
ップ4の外側の中心箇所4aから刺入した際に、シリコ
ンキャップ4を貫通した注射針の先端が脱酸素剤パック
6に触れないようにするためである。即ち、脱酸素剤パ
ック6の中心部分を空洞にすることによって、シリコン
キャップ4は安全に注射針を貫通させることができるの
である。
【0081】このように、瓶体2の内部に脱酸素剤パッ
ク6を配置したことにより、嫌気性菌の培養中には、瓶
体2の内部を確実に嫌気状態に維持することができる。
【0082】実施例5 標準寒天培地を常法どおり溶解調製し、前記実施例1と
同一の充填装置によって、得られた培地3をバイアル瓶
2に充填し、通気性のある発泡シリコン製のキャップ4
を被嵌してアルミシ−ル5を巻き締めた。
【0083】次いで、レトルト殺菌機(日阪製作所製)
により121℃の温度で15分間滅菌し、放冷し、好気
性菌用の無菌培地包装体1を得た。尚、アルミシ−ル5
の上には、別途、オ−バ−キャップ(図示せず)を被嵌
した。
【0084】以上の手順により好気性菌用の無菌培地包
装体1を調製した。
【0085】尚、得られた無菌培地包装体1を、湯せん
で14分間加熱したところ、全体が均一に溶解し、直ち
に微生物の培養に使用することが可能であった。
【0086】
【発明の効果】本発明の無菌培地包装体は、好気性菌に
も嫌気性菌にも適用可能であり、培地を取り出して別な
培養容器に分注する必要がなく、無菌ブ−スのような無
菌雰囲気を作成する設備が不要である。また、培養にあ
たっての作業が簡便であり、短時間で処理でき、作業に
高度な熟練を要することがない。また嫌気性菌の培養に
あっては、確実な嫌気処理が行え、培養中の温度管理が
容易であり、しかも培養のコストが安価である。
【0087】従って、最終製品の品質検査の他に、生産
現場における衛生管理にも有用であり、現在、社会問題
化している病原性菌による食中毒を防止することの他、
試験、研究のために広く役立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の無菌培地包装体の一実施例の
外観図である。
【図2】図2は、本発明の無菌培地包装体の別な実施例
の一部拡大断面図である。
【符号の説明】
1 無菌培地包装体 2 瓶体(バイアル瓶) 3 培地 4 キャップ(シリコンキャップ・発泡シリコン製のキ
ャップ) 4a 注射針を刺入する中心箇所 5 アルミシ−ル 6 脱酸素剤パック
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3E067 AA11 AB99 BA03A BC07A CA03 CA04 EE25 EE30 GA19 3E084 AA04 AB10 BA03 CC02 CC03 CC08 DA01 DB14 DC02 FA09 FD01 GB19 HA03 HB01 HC03 HD01 HD04

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 瓶体に培地を充填し、無菌的に注射針を
    刺入出し得るキャップにより密嵌したことを特徴とする
    無菌培地包装体。
  2. 【請求項2】 キャップが、通気性のある材質によって
    形成されており、培地が、好気性菌用の培地である請求
    項1に記載の無菌培地包装体。
  3. 【請求項3】 キャップが、気密性のある材質によって
    形成されており、培地は、嫌気性菌用の培地であり、瓶
    体は、前記培地とともに不活性ガスが封入されている請
    求項1に記載の無菌培地包装体。
  4. 【請求項4】 キャップが、裏側に脱酸素剤を貼着され
    ている請求項3に記載の無菌培地包装体。
  5. 【請求項5】 培地が、乾燥培地である請求項1乃至請
    求項4のいずれかに記載の無菌培地包装体。
  6. 【請求項6】 キャップが、オ−バ−キャップにより被
    嵌されている請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の
    無菌培地包装体。
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