JP2001111386A - デジタル信号処理装置 - Google Patents

デジタル信号処理装置

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JP2001111386A
JP2001111386A JP28239899A JP28239899A JP2001111386A JP 2001111386 A JP2001111386 A JP 2001111386A JP 28239899 A JP28239899 A JP 28239899A JP 28239899 A JP28239899 A JP 28239899A JP 2001111386 A JP2001111386 A JP 2001111386A
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Japan
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unit
frequency spectrum
signal
tonal component
component
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JP28239899A
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English (en)
Inventor
Keiji Matsunaga
圭司 松永
Masaki Tsukamoto
正樹 塚本
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Nippon Columbia Co Ltd
Original Assignee
Nippon Columbia Co Ltd
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Publication date
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  • Signal Processing For Digital Recording And Reproducing (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】デジタルオーディオ信号における量子化雑音と
同等またはそれ以下の微小レベルの信号成分を再現でき
ない。 【解決手段】入力信号の複数サンプルを1ブロックとし
てオーバーラップして区切られブラックマン−ハリス窓
関数を用いた窓掛け処理を施し、ブロック毎に時間軸成
分から周波数スペクトルに変換し、周波数スペクトルか
らトーナル成分を検出して過去のトーナル成分の時間推
移に基づいて現時点のトーナル成分及び非トーナル成分
を予測トーナル成分及び予測非トーナル成分に置換し、
置換された周波数スペクトルと元の周波数スペクトルと
の差分周波数スペクトルを算出し、差分周波数スペクト
ルにフィルタリング処理を施して当該差分周波数スペク
トルにブラックマン−ハリス窓関数と矩形窓関数とのパ
ワー比を積算し、ブロック単位の時間軸成分に変換して
時間軸成分にハニング窓関数を用いて窓掛け処理を施し
て入力信号に合成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、デジタルオーディ
オ信号の量子化雑音または量子化歪みを低減するデジタ
ル信号処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】特開平7−193502号公報には、デ
ジタルオーディオ信号の量子化雑音または量子化歪みの
低減を目的とした信号処理装置が開示されている。この
信号処理装置では、デジタルオーディオ信号を周波数ス
ペクトルに変換した後、有効な信号成分がないと思われ
る帯域の周波数スペクトルを減衰或いは消去して、有効
な信号成分の周波数スペクトルを残し、時間軸上の信号
に逆変換するようにしている。この場合の周波数スペク
トルの有効、無効の判断は、量子化雑音に相当する量を
しきい値レベルとし、このしきい値レベル以下の帯域に
対して減衰または消去を行うことにより、量子化雑音の
低減効果を得るものである。
【0003】図10は、従来の信号処理装置の概略構成
を示す模式図である。図10において、入力端から入力
されたデジタルオーディオ信号(PCM(Pulse Code M
odulation)信号)は、FFT(Fast Fourier Transfor
m:高速フーリエ変換)部13において周波数スペクト
ルに変換されて、減衰帯域減衰量決定部14と係数演算
部14とに供給される。減衰帯域減衰量決定部14で
は、量子化雑音レベルを想定したしきい値レベル以下の
成分からなる帯域をFFT部からの周波数スペクトルか
ら抽出するとともに、この帯域の所定量の減算を係数演
算部15に指示する。
【0004】係数演算部15では、減衰帯域減衰量決定
部14からの指示に基づき、FFT部13からの周波数
スペクトルに対して減算処理を施し逆FFT部16に出
力する。逆FFT部16では、係数演算部15からの減
算処理された周波数スペクトルに逆FFTを施して時間
軸波形に変換し、量子化雑音が減少した信号を出力端か
ら出力する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前述した信号処理装置
は、オーディオ信号の量子化雑音を減少させることはで
きるが、量子化雑音と同等またはそれ以下の微小レベル
の信号成分を再現できない。そのため、時間推移によっ
ては減衰していくオーディオ信号が突然消えてしまうよ
うに聞こえたり、また、処理後の信号には狭帯域を感じ
ることがある。
【0006】本発明は、デジタルオーディオ信号の量子
化雑音または量子化歪みを低減する際に、量子化雑音と
同等またはそれ以下の微小レベルの信号成分を良好に再
現することが可能なデジタル信号処理装置を提供するこ
とを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本願の請求項1記載の発
明は、入力信号を予め定められた時間遅延させる遅延部
と、前記入力信号の複数サンプルを1ブロックとして各
ブロックがオーバーラップして区切られ、前記ブロック
の信号に第1窓関数を用いて窓掛け処理を施す第1窓掛
け部と、前記ブロック毎に時間軸上の信号を周波数スペ
クトルに変換する周波数スペクトル変換部と、前記周波
数スペクトルからトーナル成分を検出するトーナル成分
検出部と、過去のトーナル成分に基づいて現時点のトー
ナル成分を推測し予測トーナル成分を求める成分推測部
と、過去のトーナル成分の時間推移に基づいて現時点の
トーナル成分を予測トーナル成分に置換する置換部と、
該置換部から出力された周波数スペクトルと前記周波数
スペクトル変換手段から出力された周波数スペクトルと
の差分周波数スペクトルを算出する差分成分算出部と、
前記差分周波数スペクトルにフィルタリング処理を施す
フィルタリング部と、前記第1窓関数と第2窓関数との
パワー比を算出し前記差分周波数スペクトルに積算する
パワー補償部と、該パワー補償部から出力された差分周
波数スペクトルを時間軸上の信号に変換する逆周波数ス
ペクトル変換部と、逆周波数スペクトル変換部で変換さ
れた時間軸上の信号に第2窓関数を用いて窓掛け処理を
施す第2窓掛け部と、前記遅延部により遅延された入力
信号に前記第2窓掛け部から出力された時間軸上の信号
を合成する合成部とを備えたことを特徴としている。
【0008】
【発明の実施の形態】図1は、本発明のデジタル信号処
理装置の一実施例の概略構成を示す模式図である。図1
において、デジタル信号処理装置は、第1窓掛け部1、
FFT部2、トーナル成分検出部3、成分推測部4、置
換部5、差分成分算出部6、フィルタリング部7、パワ
ー補償部8、逆FFT部9、第2窓掛け部10、遅延部
11、合成部12を備えている。
【0009】第1窓掛け部1は、入力したオーディオ信
号を2nサンプル(例えば、1024サンプル)からな
るブロックに区切り、第1窓関数を用いた窓掛け処理及
びオーバーラップ処理を行う。本実施例においては、第
1の窓掛け処理に、瞬時ダイナミックレンジの大きな信
号解析に適した窓関数であるブラックマン−ハリス窓を
用いる。
【0010】FFT部2は、第1窓掛け部1から出力さ
れたデジタルオーディオ信号に高速フーリエ変換を施
し、周波数スペクトルを得る。
【0011】図2は、本実施例のデジタル信号処理装置
におけるFFT部のFFT処理を説明するための模式図
である。FFT部2におけるFFT処理は、可逆変換で
あるため、時間軸上で表されるデジタルオーディオ信号
を周波数スペクトルに変換し、当該周波数スペクトルを
時間軸上の信号に変換したとき、元のデジタルオーディ
オ信号に戻る。
【0012】例えば、図2(a)に示す単一周波数の信
号に対してFFT処理を施す場合、複数サンプル(例え
ば、1024サンプル)を1ブロックとして区切り、各
ブロック単位に周波数スペクトルに変換する。FFT
は、可逆変換であるため、時間軸上の信号から周波数ス
ペクトルを求め、周波数スペクトルを変更せずにそのま
ま時間軸上の信号に変換すると元の信号となる。周波数
スペクトルを変更すると、時間軸上の信号に変換したと
き、図2(b)に示すように、ブロックとブロックとの
つなぎ目で波形が不連続になることがある。この波形の
不連続部分は、高い周波数の成分を有している。
【0013】また、単一周波数の信号を複数サンプルを
1ブロックとして区切り、周波数スペクトルに変換する
と、単一周波数以外の周波数スペクトルにもスペクトル
が存在するスペクトル分布となる。
【0014】図2(b)に示す波形の不連続による高周
波成分を除去するために、当該ブロックの信号に窓関数
を掛け、ブロックとブロックとのつなぎ目部分では信号
のレベルが滑らかに「0」になるようにしてオーバーラ
ップ処理を施すことにより、ブロックとブロックとのつ
なぎ目による高周波成分を除去する。
【0015】前述したブロックの区切り方法では、複数
サンプルを1ブロックとして区切るとき、区切られた各
ブロックの信号は、それぞれ窓関数が掛けられるため、
各ブロックの周波数スペクトルに対して逆FFT処理を
行った場合、ブロックとブロックのつなぎ目の信号レベ
ルが「0」となる信号波形となり、元の信号波形と異な
る波形となる。
【0016】図3は、本実施例のデジタル信号処理装置
における第1窓掛け部を説明するめたの模式図である。
逆FFT処理を施した際に元の信号波形となるように、
複数サンプルを1ブロックとして区切る場合に、図3
(a)に示すように、ブロックとブロックとがオーバー
ラップ(例えば、50%のオーバーラップ)するように
区切る。
【0017】第1窓掛け部1においては、デジタルオー
ディオ信号のトーナル成分を正確に検出するため、信号
解析に適した窓関数であるブラックマン−ハリス窓が用
いられる。FFT部2におけるFFT処理では、複数サ
ンプルを1ブロックとして、図3(b)に示すように、
それぞれのブロックがオーバーラップするように区切ら
れ、各ブロックの信号には、図3(b)のb1又はb2
に示すように、ブラックマン−ハリス窓関数が掛けられ
る。図3(b)に示す各ブロックの信号を周波数スペク
トルに変換すると、図3(c)のc1又はc2に示すよ
うなスペクトル分布が得られる。
【0018】トーナル成分検出部3は、周波数スペクト
ルからトーナル成分及び前記トーナル成分以外の非トー
ナル成分を検出する。また、複数ブロックにわたって、
トーナル成分及び非トーナル成分の周波数(トーナル成
分周波数及び非トーナル成分周波数)と、トーナル成分
及び非トーナル成分のレベル(トーナル成分レベル及び
非トーナル成分レベル)を記憶部(図示せず)に一時記
憶する。
【0019】トーナル成分について説明する。図4は、
トーナル成分を説明するための模式図である。トーナル
成分とは、楽音中の純音的成分である。主要成分がいく
つかの正弦波からなる楽音信号は、FFTスペクトルに
ピークを作ることに着目して、例えば、以下のように楽
音信号のFFT結果よりトーナル成分を求めることがで
きる。
【0020】時間軸方向に所定の時間幅の区切りを1ブ
ロックとするとき、あるブロックのFFTスペクトルX
(ブロックサイズkのとき、XはX(0)、X(1)、・
・・X(n)、・・・X(k/2−1)よりなる。添字は低
周波数側からの並び順)が、例えば図のように得られた
とする。このFFTスペクトルXの中で極大なスペクト
ル(両端の周波数スペクトルより大)を抽出し、この抽
出された極大スペクトルの中で、さらにnによって定ま
る特定の周波数範囲(2≦i≦C、Cはnによって定ま
る定数)において、(1)式を満たすスペクトルX
(n)がトーナル成分の中心である。
【0021】 X(n)−7dB>X(n−i)、かつ、X(n)−7dB>X(n+i) ・・( 1)
【0022】(1)式において、7dBは任意に設定さ
れた数値である、必要に応じて7dBを他の値に置き換
えてもよい。
【0023】成分推測部4は、連続する複数ブロック
(あるブロックと、当該ブロックの時間的に2つ前のブ
ロック)のトーナル成分周波数及び非トーナル成分周波
数とトーナル成分レベル及び非トーナル成分レベルとを
参照して、予測式(数2式又は数3式)に基づいて予測
トーナル成分及び予測非トーナル成分を推測する。
【0024】FFT処理におけるサンプル数をH、当該
ブロックの周波数iのパワーをP0(i)、当該ブロック
の時間的に1つ前のブロックの周波数iのパワーをP-1
(i)、周波数iがトーナル成分であった場合に値が1
となるトーナル成分フラグをT-1(i)(初期値は
0)、当該ブロックの時間的に2つ前のブロックの周波
数iのパワーをP-2(i)、周波数iがトーナル成分で
あった場合に値が1となるトーナル成分フラグをT
-2(i)(初期値は0)、当該ブロックの周波数iの予
測パワーをP0’(i)(0≦i≦H/2−1)、しきい
値をSとする。
【0025】過去のブロックのトーナル成分の時間推移
から等比減衰による微小トーナル成分を推測する場合、
すなわち、T-2(i)=T-1(i)=1、かつ、P
-2(i)−P-1(i)>0、かつ、P-1(i)−P0(i)
>0、かつ、P0(i)<Sの場合、予測トーナル成分P
0’(i)は、(2)式により求まる。
【0026】 log100’(i)=log10-1(i) −{log10-2(i)−log10-1(i)} ・・( 2)
【0027】過去のブロックの非トーナル成分の時間推
移から等比減衰による微小非トーナル成分を推測する場
合、すなわち、T-2(i)=T-1(i)=0、かつ、P-2
(i)−P-1(i)>0、かつ、P-1(i)−P0(i)>
0、かつ、P0(i)<Sの場合、予測非トーナル成分P
0’(i)は、(2)式により求まる。
【0028】また、過去のブロックのトーナル成分又は
非トーナル成分の時間推移から微小トーナル成分又は微
小非トーナル成分を推測する場合、等差減衰に基づいて
予測パワーP0’(i)を算出することもできる。
【0029】置換部5は、トーナル成分及び非トーナル
成分に該当する周波数スペクトルを、予め定められた条
件にしたがって予測トーナル成分及び予測非トーナル成
分に置き換え、予測周波数スペクトルを出力する。
【0030】具体的には、T-2(i)=T-1(i)=1、
かつ、P0(i)<P0’(i)の場合、P0(i)をP0
(i)に置き換える。また、T-2(i)=T-1(i)=
0、かつ、P0(i)>P0’(i)の場合、P0(i)をP
0’(i)に置き換える。
【0031】置換部5は、成分推測部4で推測された予
測トーナル成分が有効か無効かの判断を行う。例えば、
トーナル成分が減衰傾向、或いは、予測トーナル成分レ
ベルが所定のしきい値以下のレベルでないときには、置
換部5は、トーナル成分が微小なものではなく楽音成分
が量子化雑音に埋もれてないと判断し、予測トーナル成
分を無効なものとする。この場合には、例えば、現時点
のブロックにおけるFFT部2からの周波数スペクトル
をそのまま差分成分算出部6に出力する。
【0032】これに対し、例えば、トーナル成分が減衰
傾向にあり、かつ、予測トーナル成分レベルが所定のし
きい値以下のレベルであった場合には、トーナル成分が
微小なものであり、楽音成分が量子化雑音に埋もれてい
ると判断し、予測トーナル成分を有効なものとする。こ
の場合には、当該トーナル成分を予測トーナル成分に置
き換えて出力する。
【0033】差分成分算出部6は、予測周波数スペクト
ルから周波数スペクトルを減算し、差分周波数スペクト
ルを得る。具体的には、1つのブロックの予測周波数ス
ペクトルをQ0(i)とすると、差分周波数スペクトル
0(i)は、(3)式により表すことができる。
【0034】 D0(i)=Q0(i)−P0(i) (0≦i≦H/2−1) ・・(3)
【0035】このとき、差分周波数スペクトルの特定の
条件を満たさない帯域成分について当該帯域のパワーを
0とし、当該特定の条件を満たさない帯域成分に隣接し
た周辺帯域のパワーを制限して出力する。
【0036】具体的には、差分周波数スペクトルD
0(j)=0の場合、差分周波数スペクトルD0(j)の周
波数より高周波側で最初に差分周波数スペクトル0が現
れる周波数(j+x1)までの帯域成分のパワーと、差
分周波数スペクトルD0(j)の周波数より低周波側で最
初に差分周波数スペクトル0が現れる周波数(j+
2)までの帯域成分のパワーとを、所定の計算式によ
り求められた値に制限する。一例として、制限値L
(i)は、(4)式及び(5)式により求めることがで
きる。
【0037】 L(i)={M/(x1+1)}×(j−i) (j≦i≦j+x1、Mは任意の定数) ・・(4) L(i)={M/(x2+1)}×(i−j) (j+x2≦i≦j、Mは任意の定数) ・・(5)
【0038】D0(i)>L(i)の場合、D0(i)=
L(i)に制限する。
【0039】フィルタリング部7は、差分成分算出部6
の出力に対し、周波数軸上での過度のパワー変化を抑制
する。具体的には、成分推測部4で推測された予測トー
ナル成分に置換部5において置き換えられ、差分成分算
出部6で算出された差分周波数スペクトルが、当該ブロ
ックの前後のブロックの同じ周波数スペクトルに対し
て、急激に変化したレベルを有している場合、その変化
がノイズとなりデジタルオーディオ信号の音質が劣化す
ることになるため、フィルタリング処理(移動平均フィ
ルタ)により、急激に変化する部分を除去し、音質劣化
を防止する。
【0040】パワー補償部8は、第1窓掛け部1でブラ
ックマン−ハリス窓関数を用いた窓掛け処理が行われた
周波数スペクトルから求められた差分周波数スペクトル
に対し、逆FFT及びハニング窓を用いた窓掛け処理及
びオーバーラップ処理をして入力信号の波形に加算する
ため、差分周波数スペクトルに、ハニング窓とブラック
マン−ハリス窓とのパワー比を積算し、矩形窓処理を行
った周波数スペクトルから求めた差分周波数スペクトル
と等価にする。
【0041】図5は、ハニング窓関数を用いた窓掛け処
理とブラックマン−ハリス窓関数を用いた窓掛け処理を
説明するための模式図である。図1に示すデジタル信号
処理装置において、第1窓掛け部1は、入力信号の周波
数を分析するため、図5(a)に示すように、ブラック
マン−ハリス窓関数を用いた窓掛け処理を行い、後述す
る第2窓掛け部10は、ブロックとブロックのつなぎ目
を連続したものとするため、図5(b)に示すように、
ハニング窓関数を用いて窓掛け処理を行う。
【0042】ブラックマン−ハリス窓関数とハニング窓
関数とでは、図5(c)及び図5(d)に示すように、
矩形窓関数に対する各周波数スペクトルのパワーの減衰
率が異なる。ブラックマン−ハリス窓関数のパワー減衰
率は、5.14dBであり、ハニング窓関数のパワー減
衰率は4.26dBである。
【0043】時間軸上の信号から周波数スペクトルに変
換するために用いられた窓掛け処理と、周波数スペクト
ルから時間軸上の信号に変換するために用いられた窓掛
け処理とにおいて、周波数スペクトルのパワー減衰率の
差がある。このパワー減衰率の差に基づく信号波形の歪
みの発生を防止するため、図5(e)に示すように、ブ
ラックマン−ハリス窓関数を用いて窓掛け処理が行われ
た周波数スペクトルに、ブラックマンーハリス窓関数と
ハニング窓関数のパワー比を積算してスペクトルパワー
を変化させる。
【0044】パワー補償前の差分周波数スペクトルをE
(i)、パワー補償後の差分周波数スペクトルをF(i)
とすると、F(i)は、(6)式により求まる。
【0045】F(i)=k×E(i) ・・(6)
【0046】逆FFT部9は、入力信号であるパワー補
償後の差分周波数スペクトルに対して、逆FFT処理を
行い、時間軸上の信号波形を出力する。
【0047】第2窓掛け部10は、逆FFT部9からの
出力信号にハニング窓関数を用いた窓掛け処理及びオー
バーラップ処理を施し出力する。
【0048】遅延部11は、入力信号を所定時間遅延さ
せる。遅延させる時間は、第1窓掛け部1から第2窓掛
け部10までの処理時間に相当する。
【0049】合成部12は、遅延部11の出力信号と第
2窓掛け部10の出力信号とを合成して出力する。
【0050】デジタル信号処理装置の処理動作について
説明する。図6は、本実施例のデジタル信号処理装置に
おける第1窓掛け部から差分推測部までの処理を説明す
るための模式図である。図7は、本実施例のデジタル信
号処理装置において予測トーナル成分が無効である場合
を説明するための模式図である。図8は、本実施例のデ
ジタル信号処理装置において予測トーナル成分が有効で
ある場合を説明するための模式図である。図9は、本実
施例のデジタル信号処理装置におけるフィルタリング部
から合成部までの処理を説明するための模式図である。
【0051】図6(a)に示すデジタルオーディオ信号
に2nサンプル(例えば、1024サンプル)からなる
ブロックに区切り、各ブロック毎に各ブロックの信号に
ブラックマン−ハリス窓関数を掛けて、ブロック間をオ
ーバーラップさせてFFT処理を施すと、図6(b)の
b1又はb2に示すようなスペクトル分布が得られる。
【0052】図6(b)のb1に示すブロックについて
注目すると、トーナル成分検出部2は、図6(b)のb
1に示すブロックのスペクトル分布からトーナル成分を
検出し、トーナル成分及びその周辺(非トーナル成分)
のレベルなどのパラメータを算出する。成分推測部4
は、トーナル成分及び非トーナル成分に基づいて、過去
数ブロック分のパラメータを用いて、現時点のブロック
での予測トーナル成分及び予測非トーナル成分を推測す
る。例えば、図6(b)のb1のスペクトル分布につい
て、図6(c)に示すようなスペクトル分布を推測す
る。
【0053】図6(c)に示す推定したスペクトル分布
と図6(b)のb1に示す元のデジタルオーディオ信号
のスペクトル分布とを比較することにより、図6(d)
に示す差分周波数スペクトルが得られる。
【0054】置換部5は、FFT部2から出力された周
波数スペクトルを成分推測部4で推測された予測トーナ
ル成分及び予測非トーナル成分に置換して出力する。
【0055】具体的には、入力信号が図7(a)のよう
なものであるとき、時間T1までは、トーナル成分が減
衰傾向にないか、或いは、推測された予測トーナル成分
レベルが所定のしきい値以下のレベルでない場合には、
置換部5は、トーナル成分が微小なものではなく楽音成
分が量子化雑音に埋もれていないと判断し、成分推測部
4で推測した予測トーナル成分を無効なものとする。
【0056】この場合、置換部5は、現時点のブロック
における周波数スペクトルをFFT部2からの周波数ス
ペクトルをそのまま出力する。したがって、置換部5か
ら出力された周波数スペクトル(図7(b))とFFT
部2から出力された周波数スペクトル(図7(c))と
は全く同じものとなり、差分成分算出部6からの出力
は、図7(d)に示すようにゼロとなる。この結果、第
2窓掛け部10からの出力波形は、図7(e)に示すよ
うに、ゼロレベルのものとなり、合成部12からの出力
は、図7(a)に示す信号波形そのものとなる。
【0057】図8において、入力信号が図8(a)に示
すものである場合、時間T1以降は、トーナル成分が減
衰傾向にあり、かつ予測トーナル成分レベルが所定のし
きい値以下のレベルである場合には、置換部5は、トー
ナル成分が微小なものであり、楽音成分が量子化雑音に
埋もれていると判断し、成分推測部6で推測された予測
トーナル成分を有効なものとなる。
【0058】この場合、置換部5は、当該トーナル成分
を予測トーナル成分に置き換えて出力する。置換部5か
ら出力された周波数スペクトルは、差分成分算出部6に
入力され、差分成分算出部6において、置換部5から出
力された周波数スペクトル(図8(b))とFFT部2
から出力された周波数スペクトル(図8(c))との差
分(図8(d))が算出される。差分成分算出部6の算
出結果は、図8(e)に示すような差分周波数スペクト
ルとなる。
【0059】図8(e)に示す差分周波数スペクトル
は、フィルタリング部7において移動平均フィルタリン
グ処理が施され、図9(a)に示すような差分周波数ス
ペクトルとなる。
【0060】フィルタリング部7から出力された差分周
波数スペクトル(図9(a))は、パワー補償部8にお
いて、ハニング窓関数とブラックマン−ハリス窓関数と
のパワー比が積算され、図9(b)に示す差分周波数ス
ペクトルが出力される。
【0061】パワー補償部8からの出力が、図9(b)
に示すような場合、逆FFT部9において周波数スペク
トルから時間軸上の信号に変換され、図9(c)に示す
信号波形が出力される。図9(c)に示す信号波形は、
これを入力信号に合成するときに、入力信号に含まれる
量子化雑音等を除去する方向に働く。
【0062】しかし、遅延部11から出力された所定時
間遅延した入力信号に対して微小トーナル成分を推測し
て付加すると共に、その周囲帯域を効果的に減衰させる
ために、逆FFT部9からの信号波形(図9(c))を
直接合成すると、ブロックのつなぎ目で「0」でない成
分、すなわち段差が生じるため、合成された信号にも段
差が生じる。
【0063】合成された信号に段差が生じないようにす
るため、第2窓掛け部10で、逆FFT部9からの出力
に所定の窓関数を掛ける。この窓関数には、ブロックの
つなぎ目で「0」となると共に、ブロックとブロックを
オーバーラップした場合に同じ周波数スペクトルのパワ
ーを合成したレベルが「1」となるものが用いられ、図
9(c)の信号波形にハニング窓関数を掛けることによ
り、図9(d)のd1又はd2に示すように、ブロック
のつなぎ目が「0」となる信号波形が得られる。
【0064】図9(d)のd1又はd2に示すような信
号波形を入力信号に合成すると、図9(e)に示すよう
な、微小トーナル成分を推測して付加すると共に、その
周囲の帯域を効果的に減衰させることができ、信号波形
に段差が生じない信号を得ることができる。
【0065】本実施例のデジタル信号処理装置において
は、入力信号の複数サンプルを1ブロックとするとき
に、入力信号にブラックマン−ハリス窓関数を用いて窓
掛け処理を施し、オーバーラップして区切られた各ブロ
ック毎に周波数スペクトルに変換し、変換されたブロッ
ク単位の周波数スペクトルからトーナル成分を検出し、
トーナル成分の時間推移により予測トーナル成分及び予
測非トーナル成分を備えた周波数スペクトルを構成し、
当該周波数スペクトルと実際の入力信号による周波数ス
ペクトルとの差分成分を算出し、差分成分をブロック単
位の時間軸波形に逆変換し、逆変換されたブロック単位
の時間軸波形に窓掛け処理を施し、窓掛け処理された時
間軸波形を所定時間遅延させた入力信号に量子化雑音ま
たは量子化歪みが除去される方向に合成する。
【0066】このことにより、デジタルオーディオ信号
の量子化ビット数により表される信号より微小な信号成
分の再生が可能となる。
【0067】すなわち、デジタルオーディオ信号のトー
ナル成分を使用して(微小トーナル成分を予測して用い
ることにより)、量子化雑音に埋もれている微小な楽音
成分を抽出することができる。微小トーナル成分を推測
して付加すると共に、その周囲帯域を効果的に減衰させ
ることによって、デジタルオーディオ信号の量子化ビッ
ト数により表される信号より微小な信号、特に楽音の減
衰部分で気になる量子化雑音による音質劣化や突然音が
消えてしまう尻切れを効果的に減少させることができ、
微小音再現性の高い高音質なデジタルオーディオ信号を
得ることができる。
【0068】前述した実施例では、デジタルオーディオ
信号の減衰部分に適用する場合について説明したが、音
楽信号の立ち上がり部分にも適用することができる。
【0069】
【発明の効果】本発明によれば、デジタルオーディオ信
号から量子化雑音または量子化歪みを低減する際に、量
子化雑音と同等またはそれ以下の微小レベルの信号成分
を良好に再現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のデジタル信号処理装置の一実施例の概
略構成を示す模式図。
【図2】本実施例のデジタル信号処理装置におけるFF
T部のFFT処理を説明するための模式図。
【図3】本実施例のデジタル信号処理装置における第1
窓掛け部を説明するめたの模式図。
【図4】トーナル成分を説明するための模式図。
【図5】ハニング窓関数を用いた窓掛け処理とブラック
マン−ハリス窓関数を用いた窓掛け処理を説明するため
の模式図。
【図6】本実施例のデジタル信号処理装置における第1
窓掛け部から差分推測部までの処理を説明するための模
式図。
【図7】本実施例のデジタル信号処理装置において予測
トーナル成分が無効である場合を説明するための模式
図。
【図8】本実施例のデジタル信号処理装置において予測
トーナル成分が有効である場合を説明するための模式
図。
【図9】本実施例のデジタル信号処理装置におけるフィ
ルタリング部から合成部までの処理を説明するための模
式図。
【図10】従来のデジタル信号処理装置の概略構成を示
す模式図。
【符号の説明】
1・・第1窓掛け部、2・・FFT部、3・・トーナル
成分検出部、4・・成分推測部、5・・置換部、6・・
差分成分算出部、7・・フィルタリング部、8・・パワ
ー補償部、9・・逆FFT部、10・・第2窓掛け部、
11・・遅延部、12・・合成部。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】入力信号を予め定められた時間遅延させる
    遅延部と、前記入力信号の複数サンプルを1ブロックと
    して各ブロックがオーバーラップして区切られ前記ブロ
    ックの信号に第1窓関数を用いて窓掛け処理を施す第1
    窓掛け部と、前記ブロック毎に時間軸上の信号を周波数
    スペクトルに変換する周波数スペクトル変換部と、前記
    周波数スペクトルからトーナル成分を検出するトーナル
    成分検出部と、過去のトーナル成分に基づいて現時点の
    トーナル成分を推測し予測トーナル成分を求める成分推
    測部と、過去のトーナル成分の時間推移に基づいて現時
    点のトーナル成分を予測トーナル成分に置換する置換部
    と、該置換部から出力された周波数スペクトルと前記周
    波数スペクトル変換手段から出力された周波数スペクト
    ルとの差分周波数スペクトルを算出する差分成分算出部
    と、前記差分周波数スペクトルにフィルタリング処理を
    施すフィルタリング部と、前記第1窓関数と第2窓関数
    とのパワー比を算出し前記差分周波数スペクトルに積算
    するパワー補償部と、該パワー補償部から出力された差
    分周波数スペクトルを時間軸上の信号に変換する逆周波
    数スペクトル変換部と、逆周波数スペクトル変換部で変
    換された時間軸上の信号に第2窓関数を用いて窓掛け処
    理を施す第2窓掛け部と、前記遅延部により遅延された
    入力信号に前記第2窓掛け部から出力された時間軸上の
    信号を合成する合成部とを備えたことを特徴とするデジ
    タル信号処理装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011514557A (ja) * 2008-03-05 2011-05-06 ヴォイスエイジ・コーポレーション 復号化音調音響信号を増強するためのシステムおよび方法
CN104391174A (zh) * 2014-11-21 2015-03-04 南京理工大学 一种基于数字信号处理器平台的微分测频方法及系统

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