JP2001110158A - 接触型磁気ヘッドの支持構造 - Google Patents

接触型磁気ヘッドの支持構造

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JP2001110158A
JP2001110158A JP29016999A JP29016999A JP2001110158A JP 2001110158 A JP2001110158 A JP 2001110158A JP 29016999 A JP29016999 A JP 29016999A JP 29016999 A JP29016999 A JP 29016999A JP 2001110158 A JP2001110158 A JP 2001110158A
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JP29016999A
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Michio Kondo
道雄 近藤
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Daido Steel Co Ltd
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    • G11B5/48Disposition or mounting of heads or head supports relative to record carriers ; arrangements of heads, e.g. for scanning the record carrier to increase the relative speed
    • G11B5/58Disposition or mounting of heads or head supports relative to record carriers ; arrangements of heads, e.g. for scanning the record carrier to increase the relative speed with provision for moving the head for the purpose of maintaining alignment of the head relative to the record carrier during transducing operation, e.g. to compensate for surface irregularities of the latter or for track following
    • G11B5/60Fluid-dynamic spacing of heads from record-carriers
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    • GPHYSICS
    • G11INFORMATION STORAGE
    • G11BINFORMATION STORAGE BASED ON RELATIVE MOVEMENT BETWEEN RECORD CARRIER AND TRANSDUCER
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    • GPHYSICS
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    • G11B5/4833Structure of the arm assembly, e.g. load beams, flexures, parts of the arm adapted for controlling vertical force on the head

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  • Supporting Of Heads In Record-Carrier Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 交換型の磁気記録媒体に対して使用すること
ができ、Zハイトの公差範囲が広い場合、あるいは、小
型の磁気記録媒体に適用した場合であっても、ギャップ
センタオフセットの発生、磁気記録媒体表面の汚染、磁
極の摩耗及び自励振動の発生を抑制することが可能な接
触型磁気ヘッドの支持構造を提供すること。 【解決手段】 反対方向に延設された第1ビーム76b
及び第2ビーム76cからなる2本の支持ビーム76a
を備えた支持体70で接触型磁気ヘッド50を支持し、
ピボットスプリング68により接触型磁気ヘッド50に
対して所定の押圧力を付与する。この場合、2本の支持
ビーム76aを第1横梁76f及び第2横梁76gで連
結すると良い。また、ピボットスプリング68を、互い
に反対方向に延設される腕部68bと荷重付与ビーム6
8cで構成し、腕部68bの基端及び先端に設けられた
柔軟部68d及び68eにより押圧力を調節すると良
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、接触パッドを備え
た接触型磁気ヘッドの支持構造に関し、特に、コンピュ
ータ、デジタルカメラ、デジタルAV等に用いられるフ
ロッピーディスクの高密度記録・再生に好適な接触型磁
気ヘッドの支持構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】パーソナルコンピュータにおいて汎用さ
れている磁気記録媒体には、フロッピーディスクとハー
ドディスクが知られている。フロッピーディスクは、デ
ィスク交換式の磁気記録媒体であり、ハードディスクに
比べて記録密度は劣るが、持ち運びが容易で、衝撃に強
いという特徴を有している。一方、ハードディスクは、
固定式の磁気記録媒体であり、ディスクを装置から取り
出すことができず、衝撃に弱いが、記録密度が高く、記
録・再生速度も速いという特徴を有している。
【0003】図13に、フロッピーディスク及びそのト
ラッキング機構の一例を示す。図13において、フロッ
ピーディスク10は、可撓性の磁気ディスク14と、こ
れを収納するカードケース12からなっている。カード
ケース12には、窓12aが設けられ、窓12aは、矢
印E方向に付勢されたカバー12bにより開閉できるよ
うになっている。磁気ディスク14がカードケース12
内に納められているのは、ゴミ等から磁気ディスク14
の表面を保護するためと、ベルヌーイ効果により柔軟な
磁気ディスク14を平坦化し、電気特性を安定化させる
ためである。
【0004】また、フロッピーディスク10の記録・再
生は、カバー12bを矢印F方向にスライドさせて窓1
2aを開き、磁気ディスク14を矢印A方向に回転させ
ながら、トラッキング機構20を介してアダプタ22を
矢印G方向に進退動させ、アダプタ22の先端に設けら
れた磁気ヘッド24を所定のトラック上に移動させるこ
とにより行われる。このようなトラッキング方式は、一
般に、トランスバース方式と呼ばれている。トランスバ
ース方式は、アダプタ22の可動範囲が狭く、窓12a
の面積を小さくできることから、主にフロッピーディス
ク10のトラッキング方式として用いられている。
【0005】さらに、フロッピーディスク10用の磁気
ヘッドとしては、図14に示すように、磁極26を有す
るヘッドの先端を所定の曲率半径としたバルク型の磁気
ヘッド24が一般に用いられている。
【0006】また、図15に、ハードディスク装置の一
例を示す。図15において、ハードディスク装置28
は、アルミニウム合金等からなるハードディスク30
と、磁気ヘッド34と、アクチュエータ40等からなる
駆動装置とを一体化し、カードケース32内に納めて密
閉したものである。磁気ヘッド34は、支持具36を介
してアダプタ38の先端に取り付けられ、アダプタ38
の基端は、アクチュエータ40に取り付けられている。
【0007】また、ハードディスク30の記録・再生
は、ハードディスク30を矢印A方向に回転させなが
ら、アクチュエータ40を用いてアダプタ38を矢印H
方向に揺動させ、磁気ヘッド34を所定のトラック上に
移動させることにより行われる。このようなトラッキン
グ方式は、一般に、インライン方式と呼ばれている。イ
ンライン方式は、磁気ヘッド34の位置決めが容易であ
り、高密度の記録・再生に適していることから、主にハ
ードディスク30のトラッキング方式として用いられて
いる。
【0008】さらに、ハードディスク30用の磁気ヘッ
ドとしては、図示はしないが、エアスライダを備えた非
接触型の磁気ヘッドが一般に用いられている。また、記
録密度を高めるためには、ハードディスク30と磁気ヘ
ッド34を直接接触させた方が望ましいことから、ハー
ドディスク用の磁気ヘッドの分野においては、近年、接
触型の磁気ヘッドが注目されている。
【0009】図16に、接触型磁気ヘッドの一例を示
す。図16において、接触型磁気ヘッド50は、ほぼ三
角形をした薄板状のヘッドチップ50aの片面に3つの
接触パッドを設けたものである。その内の1つが磁極を
備えた磁極パッド52aであり、他の2つが磁極を備え
ていない補助パッド52b、52bになっている。
【0010】また、このような接触型磁気ヘッド50を
アダプタ38に取り付けるための支持構造については、
種々開示されている。例えば、特開平9−198823
号公報には、弾性材料からなる支持体に接触型磁気ヘッ
ドを取り付け、接触圧付与手段により接触型磁気ヘッド
を押圧する接触型磁気ヘッドの支持構造が本件出願人に
より開示されている。
【0011】図17に、その一例を示す。図17におい
て、支持具36は、ビーム状の支持体54とピボットス
プリング(接触圧付与手段)56からなっている。支持
体54の先端には、装着部54aが設けられ、装着部5
4aには、接続パッド54b、54bを介して接触型磁
気ヘッド50が取り付けられている。また、支持体54
の基端は、アダプタ38に連結されている。さらに、支
持体54の中央には、剛体部54cが設けられ、剛体部
54cの両側には、柔軟部54d、54eが設けられて
いる。
【0012】図17に示す接触型磁気ヘッドの支持構造
によれば、接触型磁気ヘッド50のピッチング方向(図
16(a)の矢印P方向)、あるいはローリング方向
(図16(c)の矢印R方向)に組立誤差が生じた場合
であっても、ピボットスプリング56により3つの接触
パッド52a、52b、52bをハードディスク30に
均等な接触圧で押し付けることができ、しかも、ハード
ディスク30からアダプタ38までの高さ(以下、これ
を「Zハイト」という。)の変動が柔軟部54d、54
eにより吸収されるので、安定した記録再生が可能にな
るというものである。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】ところで、図16に例
示したような接触型磁気ヘッド50は、通常、リソグラ
フィ技術を用いて作製されるので、トラック幅は2〜1
0μmとなり、記録密度を高くすることができるという
利点がある。
【0014】一方、フロッピーディスクに対して従来一
般に用いられているバルク型の磁気ヘッド24は、トラ
ック幅が50〜200μmになるので、ハードディスク
に比して記録密度を高めることができないという問題が
あった。そのため、図16に示すような構造を有する接
触型磁気ヘッド50をフロッピーディスク10に応用す
れば、フロッピーディスクの高記録密度化が期待でき
る。
【0015】しかしながら、ディスク交換式のフロッピ
ーディスク10に対し、インライン方式用に開発された
支持構造をそのまま転用するためには、図18(a)に
示すように、アダプタ22の可動範囲にあわせて、窓1
2aの面積を大きくする必要がある。窓12aの面積が
大きくなると、カードケース12内にゴミ等が侵入しや
すくなり、磁気ディスク14の表面を傷つけるという問
題がある。また、窓12aの面積が大きくなると、ベル
ヌーイ効果が低下するので、可撓性の磁気ディスク14
が回転中に波打ち、電気特性が不安定になるという問題
がある。
【0016】これに対し、フロッピーディスクのトラッ
キング方式をトランスバース方式のままとし、アダプタ
22の長手方向に対して直角方向に支持体54及びピボ
ットスプリング56を取り付ければ、トラッキング方式
をインライン方式とする場合に比較して、窓12aの面
積を小さくすることができる。
【0017】しかしながら、フロッピーディスク10の
窓12aの大きさは、規格により8×24mmと定めら
れているので、ハードディスク30用の支持構造をその
まま転用した場合には、図18(b)に示すように、接
触型磁気ヘッド50が窓12a内に収まらないという問
題がある。また、仮に、窓12aの横幅を広げたとして
も、磁極パッド先端の磁気ギャップがギャップセンタ
(磁気ディスク14の回転中心を通る直線)から所定の
距離(以下、これを「ギャップセンターオフセット」と
いう。)だけ離れた位置を走行するために、ヘッド先端
にスキュー角θが発生し、記録・再生時の電磁変換効率
が低下するという問題がある。
【0018】この問題を解決するために、支持体54の
長さを短くすることも考えられる。しかしながら、Zハ
イトもまた規格で定められているので、ハードディスク
30用の支持構造をそのまま転用するためには、Zハイ
トを規格値に納めたまま支持体54のみを短くする必要
がある。しかも、Zハイトには、公差範囲があるので、
組み立てられた各磁気ヘッドのZハイトは、公差範囲内
で変動することになる。
【0019】従って、支持体54がある程度の長さを有
する場合には、公差範囲内において、Zハイト(Z)が
設定値Zより大きくなったり(図19(a))、小さ
くなっても(図19(b))、接触型磁気ヘッド50が
受ける反力トルクMの変動が小さいので、支持体54に
対するヘッドチップ50aの位置、及びピボットスプリ
ング56が荷重を加える位置を調節することにより、各
接触パッド52a、52b、52bの接触荷重をほぼ均
等に維持することが可能であった。
【0020】しかし、支持体54の長さを短くした場
合、Zハイト(Z)が設定値Zより大きくなった時
(図19(c))には、反力トルクMが過大になる。そ
のため、磁極パッド52aに小さな荷重しか加わらず、
安定した接触が維持されないという問題がある。また、
Zハイト(Z)が設定値Zより小さくなった時(図1
9(d))には、反力トルクM’が過小になる。そのた
め、磁極パッド52aに大きな荷重が加わり、磁極パッ
ド52aの摩耗が速くなるという問題がある。
【0021】このような荷重バランスの崩れは、Zハイ
トの公差範囲を狭くすることにより防ぐことができる
が、特にフロッピーディスク用の接触型磁気ヘッドにつ
いては、窓12a幅の制約がきつく、安定走行が可能と
なるようなZハイトの公差範囲は極めて狭くなり、実用
的には達成が困難である。
【0022】また、フロッピーディスクに対しては、近
年、高記録密度化に加えて、小型化も要求されている。
フロッピーディスクを小型化できれば、デジタルカメ
ラ、デジタルAV等、適用範囲の拡大が期待できるため
である。そのためには、トラック幅を狭くするのみなら
ず、窓12aの横幅をさらに狭くする必要がある。しか
しながら、図18(b)に示す支持構造では、窓12a
の横幅が狭くなるに従い、支持体の長さをさらに短くす
る必要があり、これによって荷重バランスの崩れは加速
され、安定した接触走行はさらに困難になるという問題
がある。
【0023】さらに、支持体が長い場合、支持体全体の
剛性を高くするのは比較的容易であるので、接触走行時
に接触型磁気ヘッドの自励振動は起きにくい。しかしな
がら、接触パッドと磁気記録媒体との摩擦係数が大きい
場合において、支持体の長さを短くした時には、自励振
動が発生しやすくなり、高密度の記録・再生が困難にな
るという問題がある。
【0024】本発明が解決しようとする課題は、フロッ
ピーディスク等、トランスバース方式が採用される磁気
記録媒体の記録・再生用として使用した場合であって
も、ギャップセンタオフセットの発生及びゴミ等の侵入
に起因する磁気記録媒体表面の汚染を防止することが可
能な接触型磁気ヘッドの支持構造を提供することにあ
る。
【0025】また、本発明が解決しようとする他の課題
は、Zハイトの公差範囲を広く設定した場合、あるいは
窓幅の狭い小型の磁気記録媒体に対して適用した場合で
あっても、安定した接触走行と、磁極の摩耗の抑制が可
能な接触型磁気ヘッドの支持構造を提供することにあ
る。
【0026】さらに、本発明が解決しようとする他の課
題は、接触パッドと磁気記録媒体との摩擦係数が比較的
大きい場合であっても、自励振動が発生しにくい接触型
磁気ヘッドの支持構造を提供することにある。
【0027】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、磁極を有する接触パッドを備えた接触型
磁気ヘッドを支持するための弾性材料からなる支持ビー
ムを備えた支持体と、前記接触パッドと磁気記録媒体と
の接触面に押圧力を付与するための接触圧付与手段とを
備えた接触型磁気ヘッドの支持構造において、前記支持
ビームは、第1ビームと、該第1ビームの先端近傍を基
端とし、前記第1ビームと反対方向に延設される第2ビ
ームとを備えていることを要旨とするものである。
【0028】この場合、前記支持体は、前記接触型磁気
ヘッドを支持するための2本の前記支持ビームを備えて
いることが望ましい。また、前記2本の支持ビームは、
1又は2以上の横梁により連結されていても良い。特
に、前記各第1ビームの先端近傍を横梁で連結するのが
好ましい。
【0029】また、前記接触圧付与手段は、腕部と、該
腕部の先端近傍を基端とし、前記腕部と反対方向に延設
される荷重付与ビームとを備えていることが望ましい。
また、前記腕部の基端近傍及び/又は先端近傍には、柔
軟部を設けることが望ましい。さらに、前記柔軟部は、
前記腕部を側方に湾曲させたものが好ましい。
【0030】上記構成を有する接触型磁気ヘッドの支持
構造によれば、支持ビームは、第1ビームと、その先端
近傍を基端とし、かつ第1ビームと反対方向に延設され
る第2ビームからなっているので、磁極を備えた接触パ
ッドをギャップセンタに配置するのが容易となる。その
ため、接触型磁気ヘッドの電磁変換効率の低下を最小限
に抑制することができる。また、ギャップセンターオフ
セットをほぼゼロに維持したまま、第1ビームの長さを
短くすることもできるので、交換型磁気記録媒体の窓幅
を狭くすることができ、磁気記録媒体表面の汚染及びこ
れに起因する信頼性の低下がさらに抑制される。
【0031】また、反対方向に延設された第1ビーム及
び第2ビームからなる支持ビームで支持された接触型磁
気ヘッドに対して、接触圧付与手段により所定の押圧力
が付与されるので、Zハイトの変動に起因する接触荷重
の変動が軽減され、磁極の摩耗が抑制される。また、接
触圧付与手段により付与される押圧力を最適化すれば、
接触パッドと磁気記録媒体との摩擦係数が大きい場合で
あっても、自励振動が抑制される。
【0032】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の一実施の形態に
ついて図面を参照しながら詳細に説明する。図1に、本
発明の実施の形態に係る接触型磁気ヘッドの支持構造を
示す。図1において、本実施の形態に係る接触型磁気ヘ
ッドの支持構造(以下、単に「支持構造」という)60
は、ベースプレート62と、ベースプレート62の下面
に取り付けられたアダプタ64と、アダプタ64の下面
に取り付けられた支持具66とを備えている。また、支
持具66は、さらにピボットスプリング(接触圧付与手
段)68及び支持体70からなり、支持体70には、接
触型磁気ヘッド50が取り付けられている。
【0033】ベースプレート62は、トランスバース方
式が採用されるフロッピーディスク用のトラッキング機
構20(図13参照)に取り付けるためのものである。
そのため、ベースプレート62は、図2に示すように、
その基端には、トラッキング機構20に固定するための
ねじ穴62aが設けられている。ベースプレート62の
先端側には、アダプタ64を溶接する際の位置決めに用
いられる4つの丸形貫通孔62b、62c、62d、6
2eが設けられ、ベースプレート62のほぼ中央には、
同じく位置決め用の小判形貫通孔62fが設けられてい
る。
【0034】アダプタ64は、ベースプレート62と支
持具66とを連結するために用いられるものであり、図
3に示すように、羽子板状を呈している。アダプタ64
のほぼ中央には、ベースプレート62とアダプタ64と
を溶接する際の位置決めに用いられる丸形貫通孔64a
が設けられている。また、丸形貫通孔64aに隣接し
て、四角形状の配線窓64bが、また、アダプタ64の
先端側には四角形状の開口部64cが、それぞれ設けら
れている。本実施の形態では、アダプタ64の基端から
先端に向かって開口部64cの左側に位置する側腕部
(以下、これを「左側腕部」という。)64d及び右側
に位置する側腕部(以下、これを「右側腕部」とい
う。)64eに、それぞれ、ピボットスプリング68及
び支持体70を固定するようになっている。
【0035】なお、本実施の形態では、アダプタ64を
ベースプレート62の下面に固定し、ベースプレート6
2をトラッキング機構20に固定する構成になっている
が、アダプタ64を直接、トラッキング機構20に固定
するようにしてもよい。
【0036】ピボットスプリング68は、図4に示すよ
うに、基部68aと、2つの腕部68b、68bと、荷
重付与ビーム68cとを備えている。基部68aは、ア
ダプタ64の左側腕部64dに固定するための部分であ
る。
【0037】2つの腕部68b、68bは、基部68a
の両端近傍から中心に向かって左右対称に延設されてい
る。腕部68b、68bの基部68a側近傍には、内側
に向かってコの字型に湾曲させた柔軟部68dが設けら
れている。また、2つの腕部68b、68dの先端に
は、外側に向かってコの字型に湾曲させた柔軟部68
e、68eが設けられている。この柔軟部68d、68
eは、荷重付与ビーム68cによって接触型磁気ヘッド
に付与する押圧力を調節するための部分である。
【0038】荷重付与ビーム68cは、腕部68b、6
8bの先端近傍を基端とし、腕部68b、68bと反対
方向に向かって延設されている。また、荷重付与ビーム
68cの基端は、柔軟部68e、68eを介して腕部6
8b、68b先端と一体化されている。ここで、「反対
方向」とは、図4(a)の平面図において、腕部68
b、68bの中心線と荷重付与ビーム68cの中心線が
完全に平行となっている場合に限らず、中心線が90°
以下の角度で交差している場合も含まれる趣旨である。
中心線の交差角度の大きさは、ピボットスプリング68
の形状、支持体70の形状、製造工程の難易等を考慮し
て、任意に定めることができる。
【0039】また、荷重付与ビーム68cは、その基端
近傍及びほぼ中央部において、それぞれ、所定の折曲角
α及びβで下方に折り曲げられている。さらに、荷重付
与ビーム68cの基端には、位置決め用の突起68f、
68fが設けられている。
【0040】なお、ピボットスプリング68には、接触
型磁気ヘッドに所定の押圧力が付与されるよう、弾性材
料が用いられる。本実施の形態では、厚さ20〜25μ
mのステンレス鋼製の薄板が用いられる。また、荷重付
与ビーム68cの屈折角α及びβ、並びに、柔軟部68
d、68e及び腕部68bの形状は、荷重付与ビーム6
8cによって、接触型磁気ヘッド50のほぼ重心位置に
所定の押圧力が付与されるように定めると良い。
【0041】このように、ピボットスプリング68を、
互いに反対方向に延設された腕部68b、68bと荷重
付与ビーム68cにより構成すると、アダプタ64先端
の狭いスペース内にピボットスプリング68と支持体7
0の双方を取り付けるのが容易化されるという利点があ
る。また、腕部68b、68bの先端側及び基端側に柔
軟部68d、68eを設けると、荷重付与ビーム68c
の押圧力を容易に調節することができるという利点があ
る。特に、腕部68b、68bをコの字型に湾曲させた
柔軟部68d、68eを設けた場合には、柔軟部68
d、68eの長さ、横幅等を変えるだけで、押圧力を容
易に調節することができる。
【0042】支持体70は、図5に示すように、基部7
2aと、基部72aの一側縁からアダプタ64の長手方
向に向かって延設される短冊部72bからなるL字型を
呈しており、短冊部72bから磁気ディスク(図示せ
ず)の回転方向に向かって2本の支持ビーム76a、7
6aが延設されている。
【0043】また、支持体70には、スティフナ層7
2、絶縁層74、及びコンダクタ層76からなる三層ラ
ミネート材が用いられている。スティフナ層72は、支
持体70に剛性を持たせるためのものであり、厚さ20
〜25μmのステンレス鋼からなっている。絶縁層74
は、スティフナ層72とコンダクタ層76の絶縁を確保
するためのものであり、厚さ25〜50μmの接着剤か
らなっている。また、コンダクタ層76は、接触型磁気
ヘッド(図示せず)の電極となる部分であり、厚さ5〜
25μmのステンレス鋼からなっている。
【0044】なお、図5においては、見やすくするため
に、コンダクタ層76にハッチングを施してある。ま
た、絶縁層74は、スティフナ層72とコンダクタ層7
6が重なり合う部分に存在している。
【0045】スティフナ層72からなる基部72aに
は、2つの配線窓72c、72cが設けられ、配線窓7
2c、72cから支持体70の最下層に位置するコンダ
クタ層76を露出させるようになっている。また、短冊
部72bのほぼ中央には、ピボットスプリング68の荷
重付与ビーム68cの基端部分を載置するための載置片
72eが突設されている。また、短冊部72bの両端に
は、ピボットスプリング68の柔軟部68e、68eを
載置するための張出部72d、72dが設けられてい
る。
【0046】コンダクタ層76からなる2本の支持ビー
ム76a、76aは、ともに同一形状を有し、支持ビー
ム76a、76aの先端に取り付けられる接触型磁気ヘ
ッドの磁極パッド(図示せず)に対して左右対称に設け
られている。また、各支持ビーム76a、76aは、第
1ビーム76b、76bと、第2ビーム76c、76c
とを備えている。
【0047】第1ビーム76b、76bは、スティフナ
層72からなる短冊部72bを基端とし、磁気ディスク
の回転方向に向かって、かつ、磁気ディスクに対して水
平に延設されている。第1ビーム76b、76bの基端
側は、ほぼ三角形状を呈しており、そこには、第1ビー
ム76bの剛性を調節するための3つの貫通孔76d、
…が設けられている。また、第1ビーム76b、76b
のほぼ中央は、絶縁層74を介して、スティフナ層72
からなる第1横梁72fで連結されている。さらに、第
1ビーム76b、76bの先端には、それぞれ、内側に
向かって張出片76e、76eが設けられ、各張出片7
6e、76eの先端は、絶縁層74を介して、スティフ
ナ層72からなる第2横梁72gで連結されている。
【0048】このように、第1ビーム76b、76bの
ほぼ中央を第1横梁72fで固定すると、接触型磁気ヘ
ッドがサーボ信号に追従する際に生ずる横方向の自励振
動(ディスクの回転方向に対して垂直方向に発生する振
動)を抑制することができ、接触型磁気ヘッドの位置決
め精度が向上するという利点がある。また、第1ビーム
76b、76bの先端近傍を第2横梁72gで固定する
と、支持ビーム76a、76aが左右に開閉することに
よって生ずる縦方向の自励振動(ディスクの回転方向に
沿って発生する振動)を抑制することができるという利
点がある。
【0049】さらに、第1ビーム76a、76aは、そ
れぞれ、コンダクタ層76からなるリード線76g、7
6gを介して、スティフナ層72の基部72aの下面に
設けられた配線部76h、76hに連結されている。
【0050】第2ビーム76c、76cは、第1ビーム
76b、76bの先端近傍を基端とし、第1ビーム76
b、76bと反対方向であって、磁気ディスクに対して
平行に延設されている。また、第2ビーム76c、76
cの先端には、磁気ディスクに対して平行に、かつ、第
2ビーム76c、76cと反対方向に、ほぼL字型を呈
する溶接片76f、76fが延設されている。
【0051】なお、「反対方向」とは、ピボットスプリ
ング68の場合と同様に、図5(a)に示す平面図にお
いて、第1ビーム76bの中心線、第2ビーム76cの
中心線又は溶接片76fの中心線が完全に平行となって
いる場合に限らず、中心線が90°以下の角度で交差し
ている場合も含まれる趣旨である。また、中心線の交差
角度の大きさは、支持体70の形状、ピボットスプリン
グ68の形状、製造工程の難易等を考慮して任意に定め
ることができる点も、ピボットスプリング68と同様で
ある。
【0052】溶接片76f、76fには、絶縁層74を
介して、スティフナ層72からなる装着部72hが設け
られている。装着部72hは、その一辺が第2ビーム7
6c、76cの先端近傍にくるように取り付けられ、荷
重付与ビーム68cにより押圧力が付与された時に、第
2ビーム76c、76c先端近傍を中心として下方に向
かって撓むようになっている。また、装着部72hに
は、2つの配線窓72i、72iが設けられ、配線窓7
2i、72iから、左右の溶接片76f、76fの先端
を露出させるようになっている。
【0053】図6に、装着部72h及び装着部72hに
取り付けられた接触型磁気ヘッド50の拡大図を示す。
図6において、接触型磁気ヘッド50は、リソグラフィ
技術を用いて作製された誘導型の薄膜磁気ヘッドであ
り、ヘッドチップ50aの底面には、磁極を有する接触
パッド(磁極パッド)52aと、磁極パッド52aの接
触状態を安定化させるための2つの接触パッド(補助パ
ッド)52b、52bが設けられている。また、ヘッド
チップ50aの内部には、磁気情報の記録・再生を行う
ための磁気回路(図示せず)が形成されている。さら
に、磁気回路の周囲に形成されたコイル(図示せず)の
両端は、ヘッドチップ50aの上面に形成されたAuパ
ッド50b、50bに接続されている。
【0054】このAuパッド50b、50bは、それぞ
れ、溶接片76f、76fの先端に溶接される。これに
より、接触型磁気ヘッド50の自重は、約0.014×
10 −3Nと超軽量であるため、無負荷状態において、
電気的に絶縁された2つの支持ビーム76a、76aに
より水平に支持される。また、2つの支持ビーム76
a、76aにより接触型磁気ヘッド50がほぼ安定に支
持され、接触パッドを磁気記録媒体に対して均等に接触
させることができる。
【0055】なお、本発明で用いられる接触型磁気ヘッ
ド50のヘッドチップ50aの厚さは、100μm以下
であることを要する。これは、接触走行を安定化させる
ためには、ヘッドチップ50aにある程度の柔軟性が要
求されるためである。ヘッドチップ50aの厚さが10
0μmを超えると、接触走行中に発生する磁気ディスク
表面の僅かなうねりにヘッドチップ50aが追従できな
くなり、3個の接触パッドを磁気ディスクに同時に接触
させるのが困難となるので好ましくない。ヘッドチップ
50aの厚さは、好ましくは、50μm以下である。
【0056】また、第1ビーム76b、76bに設けら
れる貫通孔76d、76dの大きさ、数、あるいは、第
1ビーム76b、76b及び第2ビーム76c、76c
の横幅、長さ等は、支持ビーム76a、76aのバネ定
数が所定の値となるように定めるとよい。
【0057】次に、本実施の形態に係る支持構造60の
製造方法について説明する。まず、ベースプレート62
の下方にアダプタ64を配置し、ベースプレート62の
丸形貫通孔62bとアダプタ64の丸形貫通孔64aの
中心が一致するように重ね合わせ、ベースプレート62
とアダプタ64とを溶接する。
【0058】次に、予め作製しておいたピボットスプリ
ング68を、アダプタ64の下方に配置し、ピボットス
プリング68の基部68aとアダプタ64の左側腕部6
4dとを重ね合わせ、これらを溶接する。図7にピボッ
トスプリング68をアダプタ64に溶接した状態を示
す。なお、図7(a)においては、見やすくするため
に、アダプタ64は仮想線(二点鎖線)で示し、ピボッ
トスプリング68には、ハッチングを施してある。
【0059】次に、予め作製しておいた支持体70の第
2ビーム76c、76c先端に設けられた装着部72h
の下方に、同じく予め作製しておいた接触型磁気ヘッド
50を配置し、溶接片76f、76fの先端とAuパッ
ド50b、50bとを重ね合わせ、これらを溶接する。
【0060】次いで、接触型磁気ヘッド50が取り付け
られた支持体70を、ピボットスプリング68が取り付
けられたアダプタ64の下方に配置し、支持体70の短
冊部72bとアダプタ64の右側腕部64eとを重ね合
わせ、これらを溶接する。この時、アダプタ64の配線
窓64bから支持体70の2つの配線窓72c、72c
が露出し、かつ、荷重付与ビーム68cが装着部72h
の中心線上にくるように、ピボットスプリング68の突
起68f、68fと支持体70の載置片72eを用いて
位置合わせすると良い。図8に、ピボットスプリング6
8が溶接されたアダプタ64に、さらに支持体70を溶
接した状態を示す。なお、図8(a)においては、見や
すくするために、アダプタ64は仮想線(二点鎖線)で
示し、ピボットスプリング68には、ハッチングを施し
てある。
【0061】これにより、ピボットスプリング68の柔
軟部68e、68eが支持体70の張出部72d、72
dに支持されると共に、荷重付与ビーム68cが支持体
70の載置片72eにより持ち上げられる。また、この
時、荷重付与ビーム68cがその基端を中心として上方
に向かって撓み、ピボットスプリング68の柔軟部68
d、68d、68e、68eが適宜捻れることにより、
装着部72hには所定の押圧力が付与され、接触型磁気
ヘッド50は、アダプタ64の下面から所定の位置まで
押し下げられる。
【0062】最後に、アダプタ64の配線窓64bから
露出している支持体70の配線部76h、76hにリー
ド線を溶接すれば、支持構造60の組立が完了する。
【0063】なお、ピボットスプリング68は、ステン
レス鋼製の薄板から、エッチング、あるいはプレスによ
る打ち抜き等の手段を用いて、平板状のピボットスプリ
ングを切り出した後、プレスにより、荷重付与ビーム6
6cを所定の折曲角α及びβで折り曲げることにより製
造することができる。また、支持体68は、三層ラミネ
ート材から、リソグラフィ技術を用いて不要部分をエッ
チング除去することにより製造することができる。
【0064】次に、図1〜図8に示す支持構造60によ
り支持された接触型磁気ヘッド50の使用方法の一例に
ついて説明する。図9(a)に示すように、フロッピー
ディスク10をディスクドライブ16内に投入すると、
カバー(図示せず)がスライドして、フロッピーディス
ク10の上下に設けられた窓(図示せず)が開く。
【0065】次いで、図9(b)に示すように、フロッ
ピーディスク10をスピンドル17にセットする。トラ
ッキング機構20の固定部20aにはベースプレート6
3が取り付けられ、ベースプレート63の先端には、ア
ダプタ65及び支持具67を介して接触型磁気ヘッド5
1(アップフェイスヘッド)が設けられているので、フ
ロッピーディスク10をスピンドル17にセットするこ
とにより、接触型磁気ヘッド51(アップフェイスヘッ
ド)が磁気ディスク14の下面と接触する。
【0066】次いで、図9(c)に示すように、トラッ
キング機構20の可動部20bを下方に回動させる。可
動部20bにはベースプレート62が取り付けられ、ベ
ースプレート62の先端には、アダプタ64及び支持具
66を介して接触型磁気ヘッド50(ダウンフェイスヘ
ッド)が設けられているので、可動部20bを回動させ
ることにより、接触型磁気ヘッド50(ダウンフェイス
ヘッド)が磁気ディスク14の上面に接触する。この状
態から、スピンドル17を回転させる。
【0067】そして、図9(d)に示すように、磁気デ
ィスク14を2つの接触型磁気ヘッド50、51で挟ん
だ状態で、トラッキング機構20を矢印C方向に進退動
させる。これにより、接触型磁気ヘッド50、51が所
定のトラック上に移動し、磁気情報の記録、再生が行わ
れる。
【0068】次に、本発明の実施の形態に係る支持構造
60の作用について説明する。特開平9−198823
号公報において本件出願人により提案されている支持構
造は、ハードディスク用に開発されたものであり、接触
型磁気ヘッドを支持する支持体は、アダプタから接触型
磁気ヘッドに向かって真っ直ぐ伸びた形状をしている。
この支持構造をそのままフロッピーディスクの支持構造
として転用すると、図18(b)に示したように、ギャ
ップセンタオフセットの発生は避けられない。
【0069】図10に、ギャップセンタオフセットが発
生した磁気ヘッドを用いて磁気情報が記録された磁気デ
ィスク14表面の模式図を示す。図10において、磁気
ディスク14表面には、同心円状の多数のトラック16
a、16b、16c…が作られ、各トラック16a、1
6b、16c…は、磁気記録の最小単位であるセクタ1
8a、18b、18c…に分割されている。
【0070】図10からわかるように、ギャップセンタ
オフセットが発生すると、各セクタ18a、18b、1
8c…は、ギャップセンタに対して斜めに形成される。
従って、各セクタ18a、18b、18c…は、磁気デ
ィスク14が回転するに伴い、磁極パッド先端52aに
設けられた磁気ギャップ52cを斜めに通過し、これに
よって電磁変換効率の低下をきたす。このセクタ18
a、18b、18c…の傾きは、磁気ディスク14の外
側にあるトラック16cよりも内側にあるトラック16
aの方が大きくなるので、磁気ディスク14の中心に近
くなるほど電磁変換効率の低下が大きくなる。そのた
め、ギャップセンタオフセットが過大になると、磁気デ
ィスク14の中心付近を磁気記録に使用することができ
ない。
【0071】このギャップセンタオフセットによる電磁
変換効率の低下は、複数の磁気ギャップを有する磁気ヘ
ッド(例えば、下位互換機、記録・再生を異なるヘッド
で行うMRヘッドなど)では、特に大きな問題となる。
【0072】この問題を解決するために、例えば、図1
1に示すように、支持体54の基端をアダプタ22の側
方に張り出させ、これによって接触型磁気ヘッド50の
磁極パッド(図示せず)をギャップセンタ上に配置させ
ることも考えられる。しかしながら、このような支持構
造では、カードケース12の窓12aを大きくせざるを
得ず、カードケース12内にゴミ等が侵入しやすいとい
う問題がある。
【0073】また、窓12aは、横幅が大きくなること
に加え、ギャップセンタに対して非対称となる。このよ
うな窓12aを開閉するためには、複雑な開閉機構が必
要となり、高コスト化を招く。また、窓12aの横幅が
広くなるに伴い、カードケース12の強度が低下すると
いう問題もある。
【0074】さらに、フロッピーディスクは、その構造
上、ハードディスクに比べて大きなZハイトの変動が生
ずるが、窓12a幅を小さくするために支持体54の長
さを短くすると、Zハイトの僅かな変動によって接触パ
ッドに加わる荷重が大きく変動する。例えば、図11に
示す支持構造において、支持体54の全長を5mmと
し、Zハイトの変動に起因する磁極パッド52aに加わ
る荷重Na、及び各補助パッド52b、52bに加わる
荷重Niの変動を数値計算により求めると、次の表1に
示す結果が得られる。
【0075】
【表1】
【0076】表1より、Zハイトが基準値304.8μ
m(=12mil)から±152.4μm(=6mi
l)変動するに伴い、Naが0.32×10−3N〜
1.42×10−3Nの範囲で変動し、接触型磁気ヘッ
ド50に加わる全荷重の変動幅(=Na+Ni×2)に
対するNaの変動幅の比(以下、これを「変動比」とい
う。)は、0.86に達していることがわかる。しか
も、この変動比は、図11に示す支持構造では、支持体
54の長さが短くなるほど大きくなる傾向にある。
【0077】これに対し、本発明に係る支持構造60に
よれば、支持ビーム76aは、反対方向に延設された第
1ビーム76b及び第2ビーム76cからなっているた
めに、本質的には、ギャップセンターオフセットが発生
しない構造になっている。発生するギャップセンタオフ
セットは、組立誤差に起因する僅かなもののみである。
そのため、図12に示すように、各トラック16a、1
6b、16c…上のセクタ18a、18b、18c…
は、ギャップセンタに対してほぼ平行に形成されるの
で、磁気ギャップ52cが各セクタ18a、18b、1
8c…を横切る際の垂直方向成分が増加し、電磁変換効
率の低下が抑制される。また、複数の磁気ギャップを有
するヘッドを用いる場合であっても、電磁変換効率の低
下が少ない。
【0078】また、磁気ディスク14の外側に形成され
たトラック16c上のセクタ18cのみならず、内側に
形成されたトラック16a上のセクタ18aであって
も、磁気ギャップ52cをほぼ垂直に横切るので、磁気
ディスク14の記録領域を広くとることができ、磁気デ
ィスク14当たりの記憶容量を増加させることができ
る。
【0079】また、第1ビーム76b、76bの長さを
アダプタ64の横幅とほぼ同一とした場合であっても、
磁極パッド52aをギャップセンタ上に容易に配置する
ことができるので、汎用のフロッピーディスクに対して
そのまま適用することができる。また、窓幅を広くする
必要がないので、ゴミ等の侵入に起因する磁気ディスク
14表面の汚染のおそれも少ない。また、窓をギャップ
センタに対して対象に形成することができるので、複雑
な開閉機構も不要である。
【0080】また、支持ビーム76a、76aは、反対
方向に延設された第1ビーム76b及び第2ビーム76
cからなっているために、Zハイトの変動によって接触
型磁気ヘッド50に発生する反力トルクの変動が軽減さ
れるという特徴を有している。例えば、第1ビーム76
b、76bの全長が3.5mmである場合において、Z
ハイトの変動に起因する磁極パッド52aに加わる荷重
Na、及び各補助パッド52b、52bに加わる荷重N
iの変動を数値計算により求めると、次の表2に示す結
果が得られる。
【0081】
【表2】
【0082】表2より、Zハイトが基準値304.8μ
mから±152.4μm変動するに伴い、Naは1.0
1×10−3N〜0.29×10−3Nの範囲で変動す
るが、変動比は、0.46であり、図11に示す支持構
造に比較して、大幅に低下していることがわかる。これ
は、支持ビーム76aが反対方向に延設された第1ビー
ム76b及び第2ビーム76cからなっているために、
Zハイトの変動に起因する反力トルクが吸収されるため
である。そのため、本実施の形態に係る支持構造60に
よれば、Zハイトが比較的大きく変動した場合であって
も、安定した接触走行が可能となる。また、汎用のフロ
ッピーディスクよりも窓幅の狭い小型の磁気記録媒体に
対し適用した場合であっても、ギャップセンタオフセッ
トを発生させることなく、接触走行を安定化させること
ができる。
【0083】さらに、接触型磁気ヘッドと磁気記録媒体
とを接触走行させる場合において、磁気記録媒体の表面
粗さが粗い時には、接触パッドの円滑な走行が困難とな
り、磁気記録媒体の走行方向に沿って接触型磁気ヘッド
の自励振動が発生する場合がある。自励振動が発生する
と、高密度に配置されたセクタから正確に磁気情報を読
みとるのが困難になる。
【0084】この点は、接触型磁気ヘッド50を本実施
の形態に係る支持構造60により支持する場合も同様で
あり、表面粗さの粗い磁気記録媒体上を走行させた時に
は、接触走行時の摩擦によって支持ビーム76a、76
aが上下方向に振動し、これによって接触型磁気ヘッド
50が磁気記録媒体の走行方向に沿って自励振動を起こ
すおそれがある。
【0085】しかしながら、本実施の形態に係る支持構
造60では、ピボットスプリング68によって接触型磁
気ヘッド50の上面から所定の押圧力が付与され、しか
も、その押圧力は、腕部68b、荷重付与ビーム68
c、柔軟部68d、68e等の形状を制御することによ
り容易に調節することができる。そのため、磁気記録媒
体表面の摩擦係数に応じて、ピボットスプリング68に
よる押圧力を最適化すれば、摩擦に起因する支持ビーム
76a、76aの上下方向の振動が抑えられ、これによ
って接触型磁気ヘッド50の自励振動も抑制される。
【0086】以上、本発明の実施の形態について詳細に
説明したが、本発明は、上記実施の形態に何ら限定され
るものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々
の改変が可能である。
【0087】例えば、上記実施の形態では、本発明に係
る接触型磁気ヘッドの支持構造をトランスバース方式が
採用されるフロッピーディスクに適用した場合について
主に説明したが、本発明の適用範囲は、フロッピーディ
スク用の支持構造に何ら限定されるものではなく、磁気
テープ用の支持構造や、インライン方式が採用されるハ
ードディスク用の支持構造としても適用可能である。
【0088】また、上記実施の形態では、支持体70
は、2本の支持ビーム76a、76aを備えているが、
1本あるいは3本以上の支持ビーム76aを用いて接触
型磁気ヘッド50を支持しても良い。例えば、接触型磁
気ヘッドとしてMRヘッドを用いる場合、電極は合計4
個必要となるので、MRヘッドを2本の支持ビーム76
aで支持し、各支持ビーム76aに、互いに絶縁された
2個の電極を設けるようにしてもよい。あるいは、互い
に独立している4本の支持ビーム76aを用いてMRヘ
ッドを支持してもよい。
【0089】また、支持ビーム76a、76aは、無負
荷状態において、磁気記録媒体に対して水平に延設され
ているが、支持ビーム76a、76aを適宜下方に折り
曲げ、磁気記録媒体に向かって斜め下方に延設されるよ
うにしても良い。また、支持ビーム76aは、第1ビー
ム76b及び第2ビーム76cの2本のサブビームから
なっているが、3本以上のサブビームをジグザグ状につ
なげた支持ビームを用いてもよい。この場合、所定のバ
ネ定数が得られるように、各ビームの幅、長さ、貫通孔
の大きさ、数等を調節すればよい点は、上記実施の形態
と同様である。
【0090】また、支持ビーム76aは、磁気ディスク
の走行方向に向かって延設されているが、支持ビーム7
6aの延設方向は、これに限定されるものではなく、磁
気記録媒体の走行方向に対して直角方向であってもよ
い。
【0091】また、支持ビーム76aは、第1ビーム7
6aの中央及び先端の2箇所において、横梁で連結され
ているが、第1ビーム76aを3本以上の横梁で連結し
ても良く、あるいは、第2ビームを1本又は2本以上の
横梁で連結しても良い。
【0092】また、上記実施の形態では、ピボットスプ
リング68は、反対方向に延設された腕部68bと荷重
付与ビーム68cとを備えているが、荷重付与ビームの
みからなるピボットスプリングを、アダプタ64の左側
腕部64d又は右側腕部64eから接触型磁気ヘッド5
0に向かって設けるようにしても良い。
【0093】さらに、ピボットスプリング68に設けら
れる柔軟部はコの字型に湾曲させたものに限られない。
例えば、U字型に湾曲させた柔軟部を設けても良い。ま
た、例えば、腕部68bの基端近傍及び/又は先端近傍
に貫通孔を設けて柔軟部としても良く、あるいはその部
分の板厚を薄くしてこれを柔軟部としても良く、これに
より上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0094】
【発明の効果】本発明は、磁極を有する接触パッドを備
えた接触型磁気ヘッドを支持するための弾性材料からな
る支持ビームを備えた支持体と、前記接触パッドと磁気
記録媒体との接触面に押圧力を付与するための接触圧付
与手段とを備えた接触型磁気ヘッドの支持構造におい
て、前記支持ビームを、互いに反対方向に延設される第
1ビーム及び第2ビームにより構成したので、ギャップ
センタオフセットが発生しにくいという効果がある。ま
た、窓幅を広くする必要がないので、磁気記録媒体表面
の汚染が抑制されるという効果がある。さらに、窓幅の
狭い磁気記録媒体に対しても容易に適用できるという効
果がある。
【0095】また、反対方向に延設された第1ビーム及
び第2ビームとを備えた支持ビームと接触圧付与手段に
より、Zハイトの変動に起因する接触荷重の変動が軽減
されるので、磁極パッドの摩耗が抑制され、かつ、接触
走行が安定化するという効果がある。さらに、接触圧付
与手段による押圧力を最適化すれば、接触パッドと磁気
記録媒体の摩擦に起因する自励振動も抑制されるという
効果がある。
【0096】また、支持体から2本の支持ビームを延設
し、これによって接触型磁気ヘッドを支持すれば、接触
型磁気ヘッドを安定に支持することができるという効果
がある。また、1又は2以上の横梁を用いて2本の支持
ビームを連結した場合には、支持ビームの剛性を高める
ことができ、接触型磁気ヘッドがサーボ信号に追従する
際に生ずる自励振動を抑制することができるという効果
がある。特に、第1ビームの先端近傍を横梁で連結した
場合には、2本の支持ビームが左右に開閉することに起
因する自励振動を抑制することができるという効果があ
る。
【0097】また、接触圧付与手段が、互いに反対方向
に延設された腕部と荷重付与ビームとを備えている場合
には、アダプタの狭いスペース内に接触圧付与手段と支
持体の双方を取り付けることが容易になるという効果が
ある。
【0098】さらに、接触圧付与手段の腕部の基端近傍
及び/又は先端近傍に、柔軟部を設けた場合には、接触
圧付与手段による押圧力の調節が容易になるという効果
がある。特に、腕部を側方に湾曲させることにより柔軟
部とした場合には、柔軟部の長さ、横幅等の形状を最適
化することにより、接触圧付与手段による押圧力を容易
に調節できるという効果がある。
【0099】以上のように、本発明に係る接触型磁気ヘ
ッドの支持構造によれば、薄膜型の接触型磁気ヘッドを
汎用のフロッピーディスクの記録・再生に適用すること
ができるだけでなく、汎用のフロッピーディスクよりも
さらに小型の磁気記録媒体に適用することもでき、これ
によって、フロッピーディスクの記録密度を飛躍的に高
めることが可能となるものであり、産業上その効果の極
めて大きい発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は、本発明の第1の実施の形態に係
る接触型磁気ヘッドの支持構造を示す平面図であり、図
1(b)及び図1(c)は、それぞれ、その正面図及び
左側面図である。
【図2】図2(a)は、図1に示す支持構造に用いられ
るベースプレートの平面図であり、図2(b)は、その
正面図である。
【図3】図3(a)は、図1に示す支持構造に用いられ
るアダプタの平面図であり、図3(b)は、その正面図
である。
【図4】図4(a)は、図1に示す支持構造に用いられ
るピボットスプリングの平面図であり、図4(b)は、
その右側面図である。
【図5】図5(a)は、図1に示す支持構造に備えられ
る支持体の平面図であり、図5(b)及び図5(c)
は、それぞれ、その右側面図及び底面図である。
【図6】図6(a)は、図5に示す支持体の支持ビーム
先端に接触型磁気ヘッドが取り付けられた状態を示す拡
大平面図であり、図6(b)及び図6(c)は、それぞ
れ、その右側面図及び正面図である。
【図7】図7(a)は、アダプタにピボットスプリング
を取り付けた状態を示す平面図であり、図7(b)は、
そのA−A’線断面図である。
【図8】図8(a)は、ピボットスプリングが取り付け
られたアダプタに、さらに支持体を取り付けた状態を示
す平面図であり、図8(b)は、そのA−A’線断面図
である。
【図9】図1に示す支持構造の使用方法を説明する図で
ある。
【図10】図10(a)は、大きなギャップセンタオフ
セットが発生した磁気ヘッドを用いて磁気情報が記録さ
れた磁気ディスクの平面図であり、図10(b)は、ギ
ャップセンタ近傍の拡大平面図である。
【図11】図17に示す支持構造をフロッピーディスク
のトラッキング機構に転用した状態を示す図である。
【図12】図12(a)は、ギャップセンタオフセット
のほとんどない磁気ヘッドを用いて磁気情報が記録され
た磁気ディスクの平面図であり、図12(b)は、ギャ
ップセンタ近傍の拡大平面図である。
【図13】フロッピーディスクの使用方法を説明する図
である。
【図14】従来型のフロッピーディスク用磁気ヘッドの
斜視図である。
【図15】ハードディスクの使用方法を説明する図であ
る。
【図16】図16(a)は、薄膜型の接触型磁気ヘッド
の正面図であり、図16(b)及び図16(c)は、そ
れぞれ、その底面図及び右側面図である。
【図17】図17(a)は、図16に示す接触型磁気ヘ
ッドの従来の支持構造を示す平面図であり、図17
(b)は、その正面図である。
【図18】図18(a)は、インライン方式のトラッキ
ング機構をフロッピーディスクに適用した状態を示す図
であり、図18(b)は、図17に示す支持構造をトラ
ンスバース方式のトラッキング機構のアダプタに取り付
けた状態を示す図である。
【図19】接触型磁気ヘッドに発生するトルクに及ぼす
支持ビームの長さ及びZハイトの影響を説明する図であ
る。
【符号の説明】
14 磁気ディスク(磁気記録媒体) 50 接触型磁気ヘッド 52a 磁極パッド(接触パッド) 68 ピボットスプリング(接触圧付与手
段) 68b 腕部 68c 荷重付与ビーム 68d、68e 柔軟部 70 支持体 72f 第1横梁 72g 第2横梁 76a 支持ビーム 76b 第1ビーム 76c 第2ビーム

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁極を有する接触パッドを備えた接触型
    磁気ヘッドを支持するための弾性材料からなる支持ビー
    ムを備えた支持体と、前記接触パッドと磁気記録媒体と
    の接触面に押圧力を付与するための接触圧付与手段とを
    備えた接触型磁気ヘッドの支持構造において、 前記支持ビームは、第1ビームと、 該第1ビームの先端近傍を基端とし、前記第1ビームと
    反対方向に延設される第2ビームとを備えていることを
    特徴とする接触型磁気ヘッドの支持構造。
  2. 【請求項2】 前記支持体は、前記接触型磁気ヘッドを
    支持するための2本の前記支持ビームを備えていること
    を特徴とする請求項1に記載の接触型磁気ヘッドの支持
    構造。
  3. 【請求項3】 前記2本の支持ビームを連結するための
    1又は2以上の横梁を備えていることを特徴とする請求
    項2に記載の接触型磁気ヘッドの支持構造。
  4. 【請求項4】 前記横梁の1つが、前記各第1ビームの
    先端近傍を連結するものである請求項3に記載の接触型
    磁気ヘッドの支持構造。
  5. 【請求項5】 前記接触圧付与手段は、腕部と、 該腕部の先端近傍を基端とし、前記腕部と反対方向に延
    設される荷重付与ビームとを備えていることを特徴とす
    る請求項1に記載の接触型磁気ヘッドの支持構造。
  6. 【請求項6】 前記腕部の基端近傍及び/又は先端近傍
    には、柔軟部が設けられていることを特徴とする請求項
    5に記載の接触型磁気ヘッドの支持構造。
  7. 【請求項7】 前記柔軟部は、前記腕部を側方に湾曲さ
    せたものからなる請求項6に記載の接触型磁気ヘッドの
    支持構造。
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