JP2001108647A - 電極を用いた検出器 - Google Patents

電極を用いた検出器

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JP2001108647A JP29196399A JP29196399A JP2001108647A JP 2001108647 A JP2001108647 A JP 2001108647A JP 29196399 A JP29196399 A JP 29196399A JP 29196399 A JP29196399 A JP 29196399A JP 2001108647 A JP2001108647 A JP 2001108647A
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奈保子 河西
Keiichi Torimitsu
慶一 鳥光
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泰彦 神保
Katsuhiro Ajito
克裕 味戸
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水質の検査や細胞などを対象にした測定の際
に極めて有効な方法で、電極上に多孔質の膜を設置する
という簡便な方法で構築することを目的とする。 【解決手段】 電極を検出手段とする検出器において、
該電極A上もしくは該電極A近傍に、目的物質Eよりも
大きく妨害物質Fよりも小さい孔を有した多孔質膜Bを
設置することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、培養細胞や生体の
微小組織について、それらの刺激に対する応答の測定を
目的とした検出器に関する。
【0002】
【従来の技術】電極を手段とした検出器は、装置が簡便
かつ安価であり、多くの分野で広く使用されている。特
にpH電極やイオン電極のように汎用性の高い電極は、
水質管理等の環境測定では不可欠である。
【0003】さらに、近年では電極の微小化に伴って
(例えば、M. Morita, O. Niwa, T. Horiuchi, Electro
chemical Acta,42,3177-3183,1997)、極微小範囲におけ
る時間分解能の高い(「その場」)測定が行うことがで
きるようになったため、電極は生体を対象にした測定に
も用いられるようになった(例えば、H. Yokoyama, N.T
suchihashi, N. Kasai, T. Matsue, I. Uchida, N. Mor
i, H. Ohya-NishiguchiH. Kamada, Biosensors & Bioel
ectronics, 12, 9-10, 1037-1041, 1997)。
【0004】しかしながら多くの場合、使用に伴って電
極の汚染、ひいては劣化が発生するため、電極感度の維
持が困難となっている。例えば、水質の分析や細胞を対
象にした測定の際には、溶液中に含まれるタンパク質な
どの有機物質が電極上に付着し、電極の感度が低下して
しまうため、測定値も不正確になり経時変化を追うよう
な測定は不可能である。さらに、頻繁に電極の研磨や交
換が必要となる。それゆえ、電極の感度を保持すること
が大きな課題となっている。
【0005】電極の汚染を除去するためには、例えば溶
液を測定系に導入する前にその溶液に前処理を施し、問
題となる可能性のある物質を除去するという方法がある
が、その方法では溶液をサンプリングしてから測定する
までに時間差が生じ、「その場」測定ができない。特に
細胞を対象にした測定など、高時間分解能が必要な測定
では使用が困難である。そのため、短時間で簡便に効率
よく電極汚染物質を除去できる方法が不可欠になってい
る。
【0006】また、電極電位を制御しながら電極に流れ
る電流を測定する場合、若しくは、電流を制御しながら
電位を測定する場合、電極電位や電流値の変化が目的と
する測定物質や、細胞などの測定対象物、目的物質を含
有あるいは放出する物質、汚染物質など、電極や測定系
に影響を与える場合もある。例えば、細胞を測定対象に
した場合では、細胞の活性が減少したり、ひどい場合に
なると細胞が死に至ることもあり、目的物質の正確な検
出を妨害してしまう。
【0007】さらに、培養細胞を対象とした測定を行う
場合、電極上で細胞を培養することが多く行われている
が、その場合は同じ状態に保持した電極を再利用するこ
とが困難である。以上の点から、簡便で広く利用されて
いる電極を手段とした測定で、電極の汚染を防ぎ、かつ
電極からの測定系への影響を軽減することは、必要不可
欠の段階にきている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
した従来技術における問題点を解消するものであって、
測定用の電極の汚染を低減し、電極の活性低下を防ぐこ
とができ、測定対象物を「その場」測定できる、極めて
簡便な方法であって、不要物を簡便にかつ短時間で除去
する機能を有した電極測定装置の構築である。
【0009】またこの装置では、測定手段である電極と
測定対象物とが極めて隣接しているものの、一定の距離
だけ離れているため、電極を流れる電流や電位が測定系
に影響を与えることもなく、正確な「その場」測定が可
能である。さらに、培養した細胞や生体組織を容易に移
動することが可能となる。このため、環境保全のニ一ズ
が高まる中、例えば、水質管理などの環境計測の分野
や、近年注目されている細胞などを対象にした極微量測
定の分野、物質移動を伴う反応過程の解析などの物理化
学の分野などに貢献できるものと期待される。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明の請求項1に係る電極を用いた検出器は、電極を検出
手段とする検出器において、該電極上若しくは該電極近
傍に、多孔質膜を設置することを特徴とする。上記課題
を解決する本発明の請求項2に係る電極を用いた検出器
は、請求項1記載の検出器において、多孔質膜上に測定
対象物質を固定した電極を用いたことを特徴とする。上
記課題を解決する本発明の請求項3に係る電極を用いた
検出器は、請求項1記載の検出器において、多孔質膜上
に培養細胞若しくは生体の微小組織、微小片を固定した
ことを特徴とする。上記課題を解決する本発明の請求項
4に係る電極を用いた検出器は、請求項1,2又は3記
載の検出器において、酵素反応を用いて特定の物質のみ
を検出可能とすることを特徴とする電極を用いたことを
特徴とする。上記課題を解決する本発明の請求項5に係
る電極を用いた検出器は、請求項1,2,3又は4記載
の検出器において、複数の電極を用いることにより、同
時に多点における電流若しくは電位の計測が可能とする
ことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明は、電極の汚染を防止する
機能と、さらに電極と測定系と相互の影響をなくすよう
一定の距離離れた機能を有するために、多孔質膜を電極
上に設置することに重要なポイントがある。この多孔質
膜は、微細な多数の孔を有する有機・無機物質の絶縁性
の膜であり、目的とする物質のみを透過し、電極上では
その物質のみを捕捉、検出することができるものであ
る。例えば、目的物質よりも大きく妨害物質より小さい
孔を有する多孔質膜を使用するか、或いは、多孔質膜に
特殊な機能を保たせることで、例えば、電荷を持った物
質のみを透過させて電極で検出したり、特定の感応基を
有する物質のみ、あるいは、特定の分子量を持つ分子の
みを検出するなど、測定のために選択性を持たせること
も可能である。
【0012】このような多孔質膜を電極上に設置するこ
とにより、電極は多孔質膜によって、汚染物質からは簡
便に隔絶されることになる。また、透明性の多孔質膜を
使用すれば透過型顕微鏡を使用した観察も行うことがで
きる。測定対象物が溶液の場合は、容易に目的物質のみ
を抽出できるし、あるいは、測定対象物が細胞などのよ
うに付着性の物質の場合でも、測定対象物を多孔質膜上
に付着させて測定すれば、電極活性を損なうことなく、
さらに「その場」で測定を行うことが可能である。経時
変化を追うような測定も可能である。
【0013】電極と測定系との間に絶縁性の膜が存在す
ることから、電極を流れる電流や電位変化の影響を測定
系に与えることがないため、目的物のみの正確な測定を
行うことができる。また、同様の測定を連続して行う際
も、電極を交換したり電極表面を研磨する必要がなく、
特に、付着性培養細胞のように測定対象物が多孔質膜に
付着しているような場合では、多孔質膜を交換すること
によりきわめて簡単に測定対象物を交換することができ
る。
【0014】電極は、一般に使用されている平板状のも
のやシリンダ状のものなどが使用でき、それらを複数用
いれば、容易に同時に複数の測定を行うことも可能であ
る。また、電極と測定対象との距離を一定に保つことが
できるため、目的物質の移動速度などの物理化学の分野
への応用へも有効である。
【0015】
【実施例】以下、実施例及び図面を参照して本発明をさ
らに具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例の
みに限定されるものではない。
【0016】〔実施例1〕本発明の第1の実施例に係る
電極を用いた検出器を図1に示す。図1(a)はその概
観構成図、図1(b)はその電気化学検出器の拡大斜視
図、図1(c)はその電気化学検出器の拡大断面図であ
る。本実施例では、図1(a)に示すように、ポテンシ
オスタット(LC4C,Bioanalytical Systems Cor
p.)10を用いて、測定用セル20内に設置した作用極
(電極)Aに流れる電流を測定した。電極電位などの制
御及びモニタリングは、コントローラ・レコーダ(パー
ソナルコンピュータ)30によって行った。
【0017】測定用セル20内には、作用極Aと共に参
照極40及び対極50が測定溶液60中に浸漬されてい
る。本検出器は、作用極A及び多孔質膜Bから構成され
る極めて簡易な電気化学検出器である。この電気化学検
出器では、ポテンシオスタット10を用いることで、参
照極40に対する作用極Aの電位を制御しながら、同時
に作用極Aと対極50の間に流れる電流(還元電流)を
計測する。
【0018】作用極Aとしては絶縁基板C上の薄膜電極
を用い、その上部に多孔質膜Bを設置した。これによ
り、タンパク質などの電極を汚染する物質(妨害物質)
Fを除去することができ、多孔質膜Bを通過することの
できる目的物である分子(目的物質)Eのみを作用極A
で捕捉することが可能である。多孔質膜Bは、例えば、
目的物質Eよりも大きく妨害物質Fよりも小さい孔を有
する物質を使用し、ポリカーボネート製膜を用いる場合
には、レーザーを使用して任意の大きさの孔を開けるこ
とができる。また、多孔質膜Bが透明であるため、顕微
鏡下で使用することもできる。
【0019】作用極Aは、酸化インジウムスズ(IT
O)以外にも金属や炭素などの材料を用いる場合もあ
る。作用極A以外の電極(参照極40あるいは対極5
0)はガラス基板上に作用極Aと同様に作製される場合
もある。また、本実施例では3電極法(作用極A、対極
50、参照極40)で作用極Aが1つの場合を用いてい
るが、電流値が極微量の場合は、検出は2電極法(作用
極Aと参照極40)でも行うことができる。必要であれ
ば電流増幅器70を用いる場合もある。
【0020】本実施例では、作用極Aとしては、ガラス
基板上の酸化インジウムスズ薄膜を、リソグラフィによ
り一辺50マイクロメートルの正方彩の微小平板電極に
して用いた。作用極Aのリード部は絶縁膜で完全に覆
い、溶液60とは接触しないようにした。参照極40に
は銀/塩化銀を、対極50には白金線を用いた。
【0021】次に、図1で示した系による測定結果を図
2に示す。図2は異なる濃度のグルタミン酸に対して、
電極で得られた応答電流(還元電流)である。溶液60
にはグルタミン酸酸化酵素(2.7U)、西洋わさび由
来ペルオキシデース(13.5U)及び電極反応メディ
エータであるフェロセニルメタノール(0.33mmo
l/l)を含んだ緩衝液75μlを用いた。
【0022】その溶液60の上に多数の孔(孔径0.6
μm)を有するポリカーボネート製膜(厚さ7μm)を
設置し、そのうえからグルタミン酸を滴下して得られた
還元電流の変化を求めた。この溶液60中では、1mo
lのグルタミン酸がグルタミン酸酸化酵素により酸化さ
れ1molの過酸化水素を生成し、その過酸化水素が西
洋わさび由来ペルオキシデースにより還元され、同時に
フェロセニルメタノール1molが酸化される。
【0023】作用極Aでは、その酸化型フェロセニルメ
タノールの還元電流の変化を測定することにより、グル
タミン酸の濃度を算出するというのが測定原理である。
電極電位は酸化型フェロセニルメタノールが十分還元さ
れる電位(参照極に対して0mV)に固定した。この結
果から、グルタミン酸の濃度に比例した還元電流が観測
されることが分かった。また、異なる酵素を用いること
でグルタミン酸以外の物質も測定できる可能性も示唆さ
れた。
【0024】〔実施例2〕本発明の第2の実施例に係る
電極を用いた検出器を図3に示す。図3(a)はその概
観構成図、図3(b)はその電気化学検出器の拡大斜視
図、図3(c)はその電気化学検出器の拡大断面図であ
る。本実施例では、実施例1と同様の測定系を使用し、
検出部の作用極Aに複数の電極を使用したものである。
【0025】作用極Aとしては、実施例1と同様に、一
辺50マイクロメートルの酸化インジウムスズアレイ電
極を、フォトリソグラフィにより作製した。電極間の相
互作用が無視できるよう、電極間は150マイクロメー
トルと充分離した。電流測定は、マルチポテンシオスタ
ット80を用いて測定した。ただし、電流測定は、複数
の作用極Aを扱えるよう2台のポテンシオスタットを使
用しても測定可能である。
【0026】多孔質膜Bは、同様にポリカーボネート製
多孔質膜(厚さ7μm、孔径0.6μm)を使用し、細
胞の付着性を向上するため、Laminineとpoly-D-Lysinで
コーティングした。多孔質膜Bが透明であるため、倒立
顕微鏡90下で使用することもできる。多孔質膜B上に
ウィスター系ラットの胎児(18日)の神経細胞(大脳
皮質)を、CO2濃度10%、37℃下で23日間培養
した。
【0027】培養液にはDulbecco's Modified Essentia
l Mediumに非働化ウマ血清、非働化ウシ血清、インシュ
リン、ペニシリン・ストレプトマイシンを添加したもの
を使用した。培養2日後に、細胞が付着し、成長してい
ることを確認した。培養21日後に、多孔質膜上に培養
した細胞をインキュベータから取り出し、細胞にダメー
ジを与えないように測定溶液で2回洗浄し、電極上に設
置した。測定溶液には2mMCa2+を含むpH7.2の
HEPES緩衝液を、細胞の刺激には37mmol/l
塩化カリウム(5μl)を用いた。
【0028】測定溶液には、グルタミン酸酸化酵素
(2.7U)、西洋わさび由来ペルオキシデース(1
3.5U)及び電極反応メディエータとしてフェロセニ
ルメタノール(0.33mmol/l)を含んだpH
7.2のHEPES緩衝液75μlを用い、作用極A上
に滴下した上に、上述した培養細胞(測定対象物)Dの
付着した多孔質膜Bを乗せた。作用極Aには、細胞が近
傍にあるもの2つを選択し、電極電位を参照極に対して
0mVに固定した時に電極に流れる電流を測定した。そ
の結果を図4に示す。
【0029】図4に示すように、溶液に塩化カリウムを
添加した際、電極1、2でそれぞれ12ピコアンペア、
4ピコアンペアの電流増加が確認された。これは、細胞
がない状態で塩化カリウムを添加した時とは明らかに異
なる応答であり、この結果は、刺激に対して細胞がグル
タミン酸を放出しているということを示している。この
ように、本装置が細胞の応答を検出できることが確認さ
れた。
【0030】〔実施例3〕本発明の第3の実施例に係る
電極を用いた検出器を図5に示す。図5(a)はその概
観構成図、図5(b)はその電気化学検出器の拡大斜視
図、図5(c)はその電気化学検出器の拡大断面図であ
る。本実施例は、実施例2と同様の測定系であるが、図
5に示すように、グルタミン酸の測定に必要な酵素及び
メディエータ(グルタミン酸酸化酵素,西洋わさび由来
ペルオキシデース固定化オスミウムポリマ)Gを作用極
A上に固定して測定を行った。
【0031】刺激は、37mmol/l塩化カリウム
(5μl)を細胞近傍に添加して行った。電極電位は酸
化型オスミウムが十分還元される電位(参照極に対して
−100mV)に固定した。その結果、同様に、2つの
作用極Aで測定された還元電流値の増加はそれぞれ20
ピコアンペアと15ピコアンペアであった。この結果は
実施例2で得られた値よりも大きくなっていたが、これ
は、酵素やメディエータを電極を固定することにより、
電極反応がより効率よく行われたためであると考えられ
る。
【0032】また、固定化することにより、測定溶液中
に存在する酵素、メディエータが細胞に傷害を与えてし
まい細胞の活性が低下する可能性が回避できるとも予想
される。このように、本手法により、極微量濃度のグル
タミン酸が高精度、高感度に測定できることが分かっ
た。
【0033】〔実施例4〕本発明の第4の実施例に係る
電極を用いた検出器を図6に示す。図6(a)はその概
観構成図、図6(b)はその電気化学検出器の拡大斜視
図、図6(c)はその電気化学検出器の拡大断面図であ
る。本実施例は、実施例3と同様の検出系であるが、培
養海馬スライス片を用いて測定を行った例である。即
ち、生後2日目のラットの海馬スライス(300μm
厚)を作成し、前記した多孔質ポリカーボネート膜上
で、CO2濃度10%、37℃下で培養した。
【0034】培養液にはDulbecco's Modified Essentia
l Mediumに非働化ウマ血清、非働化ウシ血清、ペニシリ
ン・ストレプトマイシン、グルコース及び神経成長因子
を加えたものである。電極電位は、参照極に対して−1
00mVに固定した。培養開始2日後、スライス片が多
孔質膜膜(ポリカーボネート製)B上に付着し、成長し
ていることを確認した。
【0035】培養開始7日後に、スライス片(測定対象
物、生体微小組織)D’が固定された多孔質膜Bを取り
出し、測定溶液で2回洗浄した。実施例3で記述したよ
うに酵素、メディエータを固定した作用極A上に測定溶
液を30μlを滴下し、膜を設置した。刺激は、測定溶
液に溶解した10mMミューシモルをスライス片近傍に
投与して行った。その結果、電極で電流値の変化が観察
された。
【0036】また、スライス片D’のない系では電流変
化が観察されなかったことから、電流変化は、スライス
片D’からのグルタミン酸の放出の可能性を示唆してい
ると言える。ミューシモルはGABAAリセプタのアゴ
ニストであるが、GABAの投与による細胞からのグル
タミン酸の放出は現在までに報告されている(例えば、
K. Torimitsu, O. Niwa, Neuropharmacology and Neuro
toxicology, NeuroReport 8,1353-1358, 1997 )。本実
験からもそれを指示するような結果が得られた。
【0037】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明の
電極測定装置は、水質の検査や細胞などを対象にした測
定の際に極めて有効な方法で、電極上に多孔質膜を設置
するという簡便な方法で構築することができる。多孔質
膜により測定対象物や妨害物質を電極から簡便に分離す
ることができるため、測定対象物や妨害物質によって電
極を汚染されることなく、電極自体の活性を高く保つこ
とができ、目的物質を高感度に高精度な測定が可能であ
る。それゆえ、電極の交換や活性化の頻度が減少し、装
置の高寿命化が実現できる。
【0038】さらに、多孔質膜が絶縁性であるため、電
極を流れる電流や電極に印加される電位が測定系(目的
物質や測定対象物を含む)へ影響を及ぼすことも避けら
れるため、経時変化を追うような測定も可能である。ま
た多孔質膜上に細胞など測定対象物を固定することもで
きるため、測定対象物を簡便に交換することもできる。
透明な多孔質膜であれば、顕微鏡下での使用も可能であ
る。
【0039】このように、本発明により、既存の電極を
そのまま使用し、簡便な方法で高性能な「その場」測定
ができるということで、近年社会的に注目されている水
質分析などの環境分野などでの各種センシングや、細胞
を対象にした神経伝達物質の測定などの測定系に極めて
有効であり、利用される可能性が大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係る電極を用いた検出
器であって、図1(a)はその概観構成図、図1(b)
はその電気化学検出器の拡大斜視図、図1(c)はその
電気化学検出器の拡大断面図である。
【図2】実施例1で示される測定系による測定例に係る
グルタミン酸に対する電極の電流応答を示すグラフであ
る。
【図3】本発明の第2の実施例に係る電極を用いた検出
器であって、図3(a)はその概観構成図、図3(b)
はその電気化学検出器の拡大斜視図、図3(c)はその
電気化学検出器の拡大断面図である。
【図4】実施例2で示される測定系による測定例に係る
培養細胞に塩化カリウム刺激を与えたときの異なる2つ
の電極における電流応答(還元電流)、コントロールは
細胞が存在しない系で同様の刺激を与えたときの電流変
化を示すグラフである。
【図5】本発明の第3の実施例に係る電極を用いた検出
器であって、図5(a)はその概観構成図、図5(b)
はその電気化学検出器の拡大斜視図、図5(c)はその
電気化学検出器の拡大断面図である。
【図6】本発明の第4の実施例に係る電極を用いた検出
器であって、図6(a)はその概観構成図、図6(b)
はその電気化学検出器の拡大斜視図、図6(c)はその
電気化学検出器の拡大断面図である。
【符号の説明】
A 作用極(電極) B 多孔質膜 C 基板 D 培養細胞(測定対象物) D’スライス片(測定対象物、生体微小組織) E 目的物質 F 妨害物質 10 ポテンシオスタット 20 測定用セル 30 コントローラ・レコーダ(パーソナルコンピュー
タ) 40 参照極 50 対極 60 測定溶液 70 電流増幅器 80 マルチポテンシオスタット 90 倒立顕微鏡
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 神保 泰彦 東京都千代田区大手町二丁目3番1号 日 本電信電話株式会社内 (72)発明者 味戸 克裕 東京都千代田区大手町二丁目3番1号 日 本電信電話株式会社内 Fターム(参考) 4B029 AA07 AA21 BB11 BB12 BB15 CC01 CC02 CC03 CC08 FA12 FA15

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電極を検出手段とする検出器において、
    該電極上若しくは該電極近傍に、多孔質膜を設置するこ
    とを特徴とする電極を用いた検出器。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の検出器において、多孔質
    膜上に測定対象物質を固定した電極を用いたことを特徴
    とする検出器。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の検出器において、多孔質
    膜上に培養細胞若しくは生体の微小組織、微小片を固定
    したことを特徴とする電極を用いた検出器。
  4. 【請求項4】 請求項1,2又は3記載の検出器におい
    て、酵素反応を用いて特定の物質のみを検出可能とする
    ことを特徴とする電極を用いたことを特徴とする電極を
    用いた検出器。
  5. 【請求項5】 請求項1,2,3又は4記載の検出器に
    おいて、複数の電極を用いることにより、同時に多点に
    おける電流若しくは電位の計測が可能とすることを特徴
    とする電極を用いた検出器。
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