JP2001107615A - マンホール蓋の施錠検出センサ及び施錠監視システム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 マンホール蓋の施錠確認を光ファイバを用い
たセンサで行えるようにして現地に電源や信号伝送装置
がなくても遠隔監視を可能ならしめる。 【解決手段】 加圧子１２ｂで光ファイバ１２ａを加圧
変形させて光ファイバ１２ａに伝送損失を生じさせる歪
発生器１２と、マンホール蓋の施錠プレート４で押し下
げる可動リング６と、このリングの変位を加圧子１２ｂ
に伝えて加圧子１２ｂを作動させるロッド８とを組合わ
せて施錠検出センサを構成した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、マンホール蓋の
施錠状態の多点監視を行うのに有効な光ファイバ利用の
施錠検出センサと、そのセンサを用いた施錠監視システ
ムに関する。なお、本発明で云うマンホールには、ハン
ドホールも含まれる。

【０００２】

【従来の技術】静電誘導式或いは電磁誘導式のセンサを
用いてマンホールの蓋の開閉を検知するシステムは、こ
れまでに検討され、実用化されているものもある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】従来のシステムは、セ
ンサが電気式であるので、センサ設置点に電源を必要と
し、検出信号の変換、伝送装置も別途必要とする。その
ため、システムの構築が煩雑化し、コスト高になるほ
か、センサの設置規制等も受け易い。

【０００４】また、従来のシステムでは、蓋の開閉状態
は判るが、蓋の施錠がなされたかどうかは検出できな
い。

【０００５】マンホール蓋は、いたずら防止のために、
普段は確実に施錠しておくべきであるが、施錠の確認は
施錠者にまかせているのが実情であり、施錠忘れを無く
すことができない。

【０００６】そこで、この発明は、センサ設置点に電源
が無くてもマンホール蓋の施錠、解錠を検知できるよう
にし、さらに、遠隔の多点監視を経済的に行えるように
することを課題としている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、この発明においては、加圧子で光ファイバに歪を与
える歪発生器と、施錠点に移動したマンホール蓋の施錠
プレートに押し動かされて前記歪発生器の加圧子を作動
させる伝動要素とを有し、マンホール蓋の施錠、解錠に
伴い、前記歪発生器の光ファイバに光の伝送損失変化が
生じるようにしたマンホール蓋の施錠検出センサを提供
する。なお、歪発生器は、施錠プレートで押し動かした
ときに光ファイバに歪が与えられるものと、その歪が逆
に除去されるもののどちらを用いてもよい。

【０００８】このセンサは、マンホールの口金の下部に
スプリングで押し上げる可動リングを設け、前記伝動要
素として含めたその可動リングを施錠プレートで押し下
げ、この可動リングの変位を歪発生器に伝えて加圧子を
作動させるようにしたり、それに加えて更に、施錠プレ
ートを先細テーパの幅の広いプレートにし、このプレー
トを前記口金と可動リング間に入り込ませて可動リング
を押し下げるようにしたり、可動リング又は、口金もし
くはその両者の内周部に可動リングと口金間の界面の入
口を広げるテーパ面を形成したりするとより好ましいも
のになる。

【０００９】かかるセンサをマンホール設置点に設けて
このセンサに含まれる歪検出器の光ファイバを複数のマ
ンホール設置点を通って布設される光ファイバケーブル
にシリアルに接続し、光ファイバケーブルに光伝送損失
分布測定装置（ＯＴＤＲ：光ファイバの長さ方向の伝送
ロス分布を測定する装置）を接続して監視システムを構
築すると光ファイバの歪による伝送損失の有無と伝送損
失の発生位置を測定してマンホール蓋の施錠状態を把握
することが可能になる。

【００１０】

【作用】この発明のセンサは、マンホール蓋の施錠、解
錠に伴う施錠プレートの変位を伝動要素と歪発生器を用
いて光ファイバの光伝送損失の変化に置換するので、セ
ンサ設置点（現地）に電源が無くても、光ファイバケー
ブルと光伝送損失分布測定装置を用いて施錠、解錠を知
ることができる。

【００１１】また、伝送損失分布測定装置を用いると光
ファイバの長手方向各部における光伝送損失の発生状況
と発生位置が判るので、１本の光ファイバラインによる
多点監視も可能になる。

【００１２】なお、可動リングを備えるセンサは、蓋の
施錠がどの位置で行われても可動リングの変位が起こる
ので、歪発生器への変位伝達の安定性が高まる。特に、
施錠プレートを楔状の幅の広いプレートにしてマンホー
ルの口金と可動リング間に入り込ませるものは、可動リ
ングの全域を均等に押し下げることができ、歪発生器の
数が少なくても的確な検出が望める。

【００１３】また、可動リング又は、口金もしくはその
両者の内周部に可動リングと口金間の界面の入口を広げ
るテーパ面を形成したものは、口金と可動リング間に施
錠プレートがスムーズに入り込み、施錠プレートを動か
す鍵の回転操作力も低減される。

【００１４】

【発明の実施の形態】図１乃至図４に、この発明の施錠
検出センサの実施形態を示す。図の１はマンホールＭＨ
の蓋、２はマンホールの本体部３に埋込み固定された口
金である。蓋１の裏側には施錠プレート４が取付けられ
ている。この施錠プレート４は、偏心軸５を支点にして
回転させると一部が図２に示すように蓋１の外側に突出
し、その突出部が口金２の裏面に係止して蓋１が口金２
に固定される。偏心軸５は、専用の鍵が無いと回せない
構造になっている。

【００１５】図１の６は、口金２の下部に設けた可動リ
ングである。この可動リング６は、蓋１を外したとき
に、スプリング７の力で口金２に接する位置もしくはそ
の近辺まで押し上げられる。スプリング７は可動リング
６の全周にバランスよく押し上げ力が働くように配置し
てある。

【００１６】可動リング６の内周部には、口金２との間
の界面の入口を広げるテーパ面６ａを付してある。ま
た、施錠プレート４は、前側（施錠方向に回転するとき
に前になる側）部分を先細テーパ部４ａにして口金２と
可動リング６間にプレート４が入り込むときに楔効果が
生じるようにしてある。

【００１７】図１の８は、可動リング６に押し下げられ
るロッドである。このロッド８は、マンホールの側壁に
固定したブラケット９に上下動可能に貫通させ、ブラケ
ット９とロッド８に一体に形成したスプリング受け８ａ
との間に介在したスプリング１０で支えている。スプリ
ング１０は、ロッド８に上向きの付勢力を与えている。

【００１８】図１の１２は、マンホールの側壁部に固定
した支持金具１１で支えてロッド８の下方に設けた歪発
生器である。この歪発生器１２は、図３に示す光ファイ
バ１２ａと、その光ファイバを加圧変形させる加圧子１
２ｂを有している。加圧子１２ｂは、図４に示すよう
に、光ファイバ１２ａを多点で変形させるものが好まし
い。多点で光ファイバを変形させると大きな曲げ歪を加
えずに所要の伝送損失を生じさせ得る。

【００１９】このように構成した例示のセンサは、マン
ホールに蓋をして施錠プレート４を施錠方向に回転させ
ると、そのプレート４が図３（ａ）に示すように、口金
２と可動リング６との間に入り込んで可動リング６を押
し下げる。このとき、ロッド８が可動リング６に押され
て動き、歪発生器１２の加圧子１２ｂを押す。そのた
め、光ファイバ１２ａが加圧子に挟まれて変形し、歪に
よる光の伝送損失が生じる。

【００２０】なお、図５に示すように、施錠が解かれた
ときにロッド８がスプリング１０の力で押し上げられて
歪発生器１２の加圧子１２ｂを押し込み、ロッド８が押
し下げられたときに、加圧子の押込みが解除されるよう
にしても、発明の目的が達成される。

【００２１】また、歪発生器１２は、ひとつのマンホー
ルに複数設けることもできるが、可動リング６を含める
と、その数を増やさずに済む。

【００２２】図６は、例示のセンサを用いた施錠監視シ
ステムの概念図である。

【００２３】各マンホールＭＨの設置部にこの発明の施
錠検出センサＳを設ける。また、マンホール設置点を通
る光ファイバケーブル１３を布設し、そのケーブルにセ
ンサＳの歪発生器に含まれる光ファイバ（図３の１２
ａ）をシリアルに接続する。さらに、監視センタや中継
所に引込んだ光ファイバケーブル１３に光伝送損失分布
測定装置１４とデータ処理、表示装置１５を接続して監
視システムを完成する。このシステムは、測定装置１４
で光伝送損失の発生状況、発生位置を測定し、その測定
データを処理して各マンホール部の歪発生器の作動状況
（即ち、施錠状態）を知ることができる。

【００２４】

【発明の効果】以上述べたように、この発明のセンサ及
びそれを用いた監視システムは、マンホール蓋の施錠、
解錠を、光ファイバに生じる光伝送損失の有無と伝送損
失の発生位置を測定して把握できるようにしたので、現
地に電源や信号伝送装置を必要とせず、多点の遠隔監視
を経済的に設置規制も受けずに行える。

【００２５】また、蓋の施錠状態を把握できるので、シ
ステムの信頼性も高まる。

【００２６】このほか、可動リングを設けたセンサ、可
動リングが均等に押し下げられるようにしたセンサは、
蓋の施錠がどの位置でなされても施錠プレートの変位を
確実に歪発生器に伝えることができ、歪発生器の数を増
やさずに安定した検出が行える。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明のセンサの実施形態を示す断面図

【図２】施錠プレートの動きを示す平面図

【図３】（ａ）図２のＸ−Ｘ線部の断面図 （ｂ）図２のＹ−Ｙ線部の断面図

【図４】歪発生器の加圧子の好ましい例を示す図

【図５】施錠時に歪発生器がＯＦＦになる構造の具体例
を示す図

【図６】マンホール蓋用施錠監視システムの概念図

【符号の説明】 ＭＨ マンホール １ 蓋 ２ 口金 ３ 本体部 ４ 施錠プレート ４ａ 先細テーパ部 ５ 偏心軸 ６ 可動リング ６ａ テーパ面 ７ スプリング ８ ロッド １０ スプリング １２ 歪発生器 １２ａ 光ファイバ １２ｂ 加圧子 １３ 光ファイバケーブル １４ 光伝送損失分布測定装置 １５ データ処理、表示装置 Ｓ 施錠検出センサ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 理 東京都港区元赤坂一丁目３番12号 住友電 気工業株式会社東京本社内 Ｆターム(参考） 2F065 AA01 AA09 AA65 CC00 FF58 LL02 2F076 BA15 BB00 BD02 BD06 BD17

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 加圧子で光ファイバに歪を与える歪発生
   器と、施錠点に移動したマンホール蓋の施錠プレートに
   押し動かされて前記歪発生器の加圧子を作動させる伝動
   要素とを有し、マンホール蓋の施錠、解錠に伴い、前記
   歪発生器の光ファイバに光の伝送損失変化が生じるよう
   にしたマンホール蓋の施錠検出センサ。
2. 【請求項２】 マンホールの口金の下部にスプリングで
   押し上げる可動リングを設け、前記伝動要素として含め
   たその可動リングを施錠プレートで押し下げ、この可動
   リングの変位を歪発生器に伝えて加圧子を作動させるよ
   うにした請求項１記載のマンホール蓋の施錠検出セン
   サ。
3. 【請求項３】 施錠プレートを先細テーパの幅の広いプ
   レートにし、このプレートを前記口金と可動リング間に
   入り込ませて可動リングを押し下げるようにした請求項
   ２記載のマンホール蓋の施錠検出センサ。
4. 【請求項４】 可動リング又は、口金もしくはその両者
   の内周部に可動リングと口金間の界面の入口を広げるテ
   ーパ面を形成した請求項２又は３記載のマンホール蓋の
   施錠検出センサ。
5. 【請求項５】 マンホール設置点に請求項１〜４のいず
   れかに記載の施錠検出センサを設け、このセンサに含ま
   れる歪検出器の光ファイバを複数のマンホール設置点を
   通って布設される光ファイバケーブルにシリアルに接続
   し、前記光ファイバケーブルに接続した光伝送損失分布
   測定装置で光ファイバの歪による伝送損失の有無と伝送
   損失の発生位置を測定してマンホール蓋の施錠状態を把
   握するようにしたマンホール蓋の施錠監視システム。