JP2001107173A - 回転式圧縮機用ローラ - Google Patents

回転式圧縮機用ローラ

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JP2001107173A
JP2001107173A JP28003599A JP28003599A JP2001107173A JP 2001107173 A JP2001107173 A JP 2001107173A JP 28003599 A JP28003599 A JP 28003599A JP 28003599 A JP28003599 A JP 28003599A JP 2001107173 A JP2001107173 A JP 2001107173A
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Takeshi Kuwabara
岳 桑原
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた耐摩耗性を有する回転式圧縮機用ロー
ラを提案する。 【解決手段】 回転式圧縮機用ローラを、Mn:0.50〜1.
00wt%、Cr:0.50〜1.20wt%、Mo:0.15〜0.40wt%を含
み、さらにNi:0.15〜0.40wt%およびCu:0.15〜0.40wt
%のうちから選ばれた1種または2種を合計で0.15〜0.
40wt%を含有し、かつ焼入れ焼戻し処理を施されて、基
地中に炭化物が分散し、黒鉛がASTM規格のA型の形状分
布を有し、硬さがHRC47〜55である鋳鉄で構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回転式圧縮機に関
し、とくに回転式圧縮機の構成部材の材質変更に関す
る。
【0002】
【従来の技術】回転式圧縮機は、ローラがシリンダ内を
偏心回転し、ベーンがシリンダ内に半径方向に形成され
たベーン溝内に挿入され摺動自在に保持され、ベーンの
先端部がローラの外周面に摺接している。近年、冷凍冷
蔵装置や空調機等に使用される圧縮機は、その使用条件
がますます厳しくなっている。オゾン層の破壊などの環
境問題のため、従来使用してきた分子内に塩素を含む冷
媒から分子内に塩素を含まない冷媒への変更が検討され
ている。とくに、塩素を含まない冷媒では、潤滑性能が
悪く圧縮機のローラ、ベーン等の摺動材料についてその
耐摩耗性の向上が要望されていた。
【0003】従来は、これら摺動部材は、耐摩耗性に優
れた鉄系材料に熱処理を施して使用していた。例えば、
ベーンには、鋳鉄、軸受鋼(SUJ 2)、高速度鋼(SKH
51)等を焼入・焼戻処理を行ったものを用い、ローラに
は、片状黒鉛鋳鉄に炭化物を析出させた特殊鋳鉄、鉄系
焼結合金等を熱処理したものを用いるのが一般的であっ
た。
【0004】さらに、摺動部材の耐摩耗性を向上させる
ために、例えば、特開昭64-63692号公報には、母材上に
被覆層を形成する方法が提案されている。この被覆層
は、母材の熱的劣化を防止しつつ緻密かつ平滑な被覆層
を形成できるイオンプレーティング法により形成されて
いる。また、最近では、耐摩耗性の向上を要望される圧
縮機のベーン等の摺動材料に焼結合金が使用されるよう
になっている。
【0005】圧縮機ベーン用焼結合金としては、Cr炭化
物を析出させた相とFe−C系のマルテンサイト相との混
合組織を有するクロム含有の鉄系焼結合金が使用されて
いる。このクロムを含有する鉄系焼結合金では、圧縮機
ベーン用としては、耐摩耗性が不足する場合があり、使
用される機種も低出力のものに限定されていた。圧縮機
ベーンの耐摩耗性の向上対策として、例えば、特開平7
−293463号公報には、クロムを含有する鉄系焼結合金の
表面に鉄とクロムと窒素からなる化合物層を形成し、さ
らに窒化クロム、窒化チタンあるいは炭化チタンのセラ
ミックコーティングを施す方法が提案されている。しか
しながら、このような化合物層の形成やセラミックコー
ティングを施す場合には、製造工程が複雑になるうえ、
製造コストを増加させるという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】さらに、近年、圧縮機
の使用条件が厳しくなり、したがって、ベーン、ローラ
の摺動条件もより厳しくなり、また、冷媒がR134a 、R
22代替冷媒に変わる中で、潤滑条件もより厳しくなって
きている。このような状況下では、上記したベーンにお
けるようなCr炭化物を析出させた相とFe−C系のマルテ
ンサイト相との混合組織を有する焼結合金材では単独で
も耐摩耗性が不十分であり、また、上記したローラのよ
うな特殊鋳鉄、鉄系焼結合金材では単独でも耐摩耗性が
不十分であるうえ、それらの組合せでは金属接触が発生
しやすく、お互いの摺動面において適正な潤滑条件で運
転することは十分にはできていないのが現状であり、長
時間の運転では摩耗が増大して圧縮性能の低下をきたす
という問題があった。
【0007】このような状況から、従来のように、ベー
ン材単独、あるいは、ローラ材単独で、耐摩耗性を向上
させるだけでは不十分であり、より耐摩耗性の良い材料
の組合わせが要求されるようになってきた。本発明は、
上記した問題に鑑みなされたものであり、優れた耐摩耗
性を有するベーンに組み合わせて好適な、優れた耐摩耗
性を有するローラを提案することを目的としている。こ
のような耐摩耗性を有するローラと、優れた耐摩耗性を
有するベーンとを組み合わせることにより、耐久性に優
れた回転式圧縮機を構成することが可能となる。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、回転式圧縮機
用ローラであって、T.C :3.00〜3.70wt%、Si:1.50〜
2.50wt%、Mn:0.50〜1.00wt%、P:0.30wt%以下、
S:0.10wt%以下、Cr:0.50〜1.20wt%、Mo:0.15〜0.
40wt%を含み、さらにNi:0.15〜0.40wt%およびCu:0.
15〜0.40wt%のうちから選ばれた1種または2種を合計
で0.15〜0.40wt%含有し、残部Feおよび不可避的不純物
からなり、かつ焼入れ・焼戻し後の組織の黒鉛形状がAS
TM規格のAタイプであり、炭化物を面積率で3 〜10%含
有し、硬さがHRC47 〜55の範囲を有する鋳鉄で構成され
ることを特徴とする回転式圧縮機用ローラである。
【0009】また、シリンダと、前記シリンダ内に偏心
回転自在に配設されたローラと、前記ローラの外周面に
先端部を摺接させるとともに、前記シリンダに半径方向
に形成された溝に摺動自在に挿入されたベーンとを備え
た回転式圧縮機において、前記ローラを、T.C :3.00〜
3.70wt%、Si:1.50〜2.50wt%、Mn:0.50〜1.00wt%、
P:0.30wt%以下、S:0.10wt%以下、Cr:0.50〜1.20
wt%、Mo:0.15〜0.40wt%を含み、さらにNi:0.15〜0.
40wt%およびCu:0.15〜0.40wt%のうちから選ばれた1
種または2種を合計で0.15〜0.40wt%含有し、残部Feお
よび不可避的不純物からなり、かつ焼入れ・焼戻し後の
組織の黒鉛形状がASTM規格のAタイプであり、炭化物を
面積率で3 〜10%含有し、硬さがHRC47 〜55の範囲を有
する鋳鉄製の本発明のローラで構成し、前記ベーンを10
μm 以下の微細炭化物が析出し、500 Hv以上の硬さを有
し、面積比が40〜90%の比率を有するFeを主成分とする
第1相と、前記第1相より軟質であり面積比が10〜60%
の比率を有する第2相との混合組織からなる鉄基基地組
織を主とする鉄系焼結合金材で構成することにより、相
対的に耐摩耗性を改善した回転式圧縮機とすることがで
きる。
【0010】また、前記鉄系焼結合金材は、前記第1相
が、C:2.0 wt%以下を含み、Cr:17wt%以下、Mo:12
wt%以下、W:20wt%以下、V:6wt%以下、Ti:3wt
%以下、Nb:3wt%以下、B:3wt%以下、Co:13wt%
以下の中から選ばれた1種または2種以上を含有し残部
Feおよび不可避的不純物からなるものとするのが好まし
く、また、前記第2相が、C:0.5 wt%以下を含有する
純鉄、あるいはC:1.5 wt%以下、Mn:0.5 wt%以下、
Si:1.0 wt%以下を含有し残部Feおよび不可避的不純物
からなる炭素鋼、あるいはC:1.5 wt%以下、Mn:0.5
wt%以下、Si:1.0 wt%以下を含有しCr:4wt%以下、
Mo:3wt%以下、Ni:5wt%以下、V:1.0 wt%以下、
Cu:5.0 wt%以下の中から選ばれた1種または2種以上
を含有し残部Feおよび不可避的不純物からなる低合金鋼
のうちのいずれかからなるのが好ましく、また、前記鉄
系焼結合金材には、前記鉄基基地組織に加えて、溶浸ま
たは予め添加したCu相またはCu合金相を面積比で1〜20
%含有させるのが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の構成について図3、図4
に基づいて説明する。図3は本発明の回転圧縮機用ロー
ラが適用される回転圧縮機の縦断面図であり、図4はそ
の横断面図である。回転式圧縮機は、密閉容器1内に電
動機部2と圧縮機構部3が配設されている。シャフト8
により電動機部2と圧縮機構部3とが直結され、シャフ
ト8は主軸受4と副軸受5により支持されている。
【0012】圧縮機構部3では、シリンダ6内にローラ
7が配設され、そのローラ7にはシャフト8と偏心部11
が装入され、シャフトの回転によりローラ7がシリンダ
6内を偏心回転する。また、ベーン12は、シリンダ6の
ベーン溝13に摺動自在に挿入され、バネ14に押圧されて
その先端部がローラ7の外周面に摺接するとともに、ロ
ーラ7の偏心回転にともないベーン溝13内を摺動する。
【0013】したがって、ベーンとローラ、およびベー
ンとベーン溝とが相対的摺動関係にある。この摺動点で
の摺動は、吸入ガス中に混入してくるオイルにより潤滑
されるが、その量は少なく、摺動点における潤滑状態は
金属接触に近い境界潤滑状態となり、冷媒に潤滑性が望
めない場合には厳しい摺動条件となる。本発明の回転式
圧縮機用ローラが適用された回転式圧縮機は、このよう
な厳しい摺動条件においても、十分耐摩耗性を発揮する
材料の組合せとなっている。
【0014】本発明の回転式圧縮機用ローラは、T.C :
3.00〜3.70wt%、Si:1.50〜2.50wt%、Mn:0.50〜1.00
wt%、P:0.30wt%以下、S:0.10wt%以下、Cr:0.50
〜1.20wt%、Mo:0.15〜0.40wt%を含み、さらにNi:0.
15〜0.40wt%およびCu:0.15〜0.40wt%のうちから選ば
れた1種または2種を合計で0.15〜0.40wt%を含有し、
残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、かつ
焼入れ・焼戻し後の組織の黒鉛形状がASTM規格のAタイ
プであり、炭化物を面積率で3 〜10%含有し、硬さがHR
C47 〜55の範囲を有する鋳鉄で構成されることを特徴と
する回転式圧縮機用ローラである。
【0015】本発明のローラ材として用いる鋳鉄は、片
状黒鉛が分布しており、さらにCr、Mo、およびNiおよび
/ またはCuを含有して、焼入れ焼戻し処理により基地が
焼戻しマルテンサイトとされ、基地中にCrを含む炭化物
が均一に析出分散した組織となっている。また、ローラ
材の硬さは、HRC47 〜55の範囲の硬さとするのが好まし
い。硬さがHRC 47未満では、目的とする耐摩耗性が確保
できない。一方、硬さがHRC 55を超えると、材質が脆化
するため、硬さは、HRC 47〜55の範囲とした。
【0016】また、熱処理(焼入れ焼戻し処理)された
鋳鉄のマルテンサイト基地組織中には、Crを含む炭化物
が均一に析出分散しているが、析出した炭化物の面積率
は3〜10%の範囲とする。炭化物の面積率が3%未満で
は、耐摩耗性が不十分となり、また、10%を超えると、
炭化物が粗大化し、強度が低下する。このため、マルテ
ンサイト基地中に析出する炭化物は、面積率で3 〜10%
の範囲に限定した。
【0017】ついで、組成の限定理由について説明す
る。 Mn:0.50〜1.00wt% Mn は、SをMnS として母材の劣化を防止する効果を有
しているが、0.50wt%未満ではその効果が認められず、
一方、1.00wt%を超えると、白銑化しやすくなりまた鋳
鉄の収縮も大きくなる。このため、Mnは0.50〜1.00wt%
の範囲に限定した。
【0018】Cr:0.50〜1.20wt% Cr は、強度の向上、耐摩耗性の向上、熱処理性の向上
のため添加する。この効果は、0.50wt%以上で認められ
るが、1.20wt%を超えると、炭化物量が増加し、母材特
性の劣化を招く。このため、Crは0.50〜1.20wt%の範囲
に限定した。 Mo:0.15〜0.40wt% Mo は、強度の向上、耐摩耗性の向上、熱処理性の改善
のため添加する。0.15wt%未満では、目的とする効果を
得るのに不十分でり、一方、0.40wt%を超えて添加して
も、添加量に比例した顕著な効果が得られない。このた
め、Moは0.15〜0.40wt%の範囲に限定した。
【0019】Ni:0.15〜0.40wt%およびCu:0.15〜0.40
wt%のうちから選ばれた1種または2種を合計で0.15〜
0.40wt% Ni 、Cuは、強度の向上、耐摩耗性の向上、焼入性改善
のため添加する。0.15wt%未満では、目的とする効果を
得るのに不十分である。一方、0.40wt%を超えて添加し
ても、添加量に比例した顕著な効果が得られない。この
ため、NiまたはCuは0.15〜0.40wt%の範囲に限定した。
なお、NiとCuは同時に添加しても、何ら問題はない。同
時に添加する場合は、NiとCuの添加量の合計が0.15〜0.
40wt%の範囲となるように添加する。
【0020】T.C :3.00〜3.70wt% Cは、片状黒鉛を晶出させるために3.00wt%以上の含有
が必要であるが、3.70wt%を超えて含有すると、黒鉛が
粗大化となるためT.C は3.00〜3.70wt%の範囲に限定し
た。 Si:1.50〜2.50wt%、 Siは、片状黒鉛を晶出させるために1.50wt%以上の含有
が必要であるが、2.50wt%を超えると靱性が劣化するた
め上限とした。
【0021】P:0.30wt%以下、S:0.10wt%以下、 Pは、鋳鉄の耐摩耗性を向上させる元素であるが、0.30
wt%を超えると靱性が劣化する。このため、Pは0.30wt
%以下に限定した。Sは、Mnと結合して切削性を向上さ
せるが、0.10wt%を超えて含有すると、靱性が劣化す
る。このため、Sは0.10wt%以下に限定した。
【0022】上記した材料で構成されたローラと、この
ローラと相性のよい材料で構成されたベーンとを組合せ
ることにより、ベーンとローラの摺動部での耐摩耗性は
著しく向上し、もっとも厳しい摺動条件となるベーンと
ローラの摺動部の耐摩耗性が著しく向上することによ
り、回転式圧縮機の信頼性がまた著しく向上するのであ
る。
【0023】本発明のローラと相性のよいベーンは、例
えば、特開平11-140603 号公報で公知の下記のような材
料で構成するのが好ましい。本発明のローラと相性のよ
いベーンは、焼戻しマルテンサイトの基地中に10μm 以
下の微細炭化物が分散・析出し、500 Hv以上の硬さを有
し、基本的には微細炭化物が析出した組織を主とする第
1相と、前記第1相より軟質な第2相との混合組織から
なる鉄基基地組織を主とする鉄系焼結合金材から構成さ
れるのが好ましい。また、鉄基基地組織中における第1
相の比率は面積比で40〜90%とするのが好ましい。
【0024】なお、第1相は、C:2.0 wt%以下を含
み、Cr:17wt%以下、Mo:12wt%以下、W:20wt%以
下、V:6wt%以下、Ti:3%wt以下、Nb:3wt%以
下、B:3wt%以下、Co:13wt%以下の中から選ばれた
1種または2種以上を含有し残部Feおよび不可避的不純
物からなる組成を有するのが好ましい。第2相は、前記
第1相より軟質であればよく、700 Hv以下の硬さとする
のが好ましい。第2相の組成はFeを主成分とする、純
鉄、炭素鋼あるいは低合金鋼のうちのいずれかからなる
ことが好ましい。鉄基基地組織中における第2相の比率
は面積比で10〜60%とするのが好ましい。
【0025】なお、第2相の組成は、C:0.5 wt%以下
を含有し、Feおよび不可避的不純物からなる純鉄、ある
いはC:1.5 wt%以下、Mn:0.5 wt%以下、Si:1.0 wt
%以下を含有し残部Feおよび不可避的不純物からなる炭
素鋼、あるいはC:1.5 wt%以下、Mn:0.5 wt%以下、
Si:1.0 wt%以下を含有しCr:4wt%以下、Mo:3wt%
以下、Ni:5wt%以下、Cu:5.0 wt%以下、V:1.0 wt
%以下の中から選ばれた1種または2種以上を含有し残
部Feおよび不可避的不純物からなる低合金鋼のうちのい
ずれかとするのが好ましい。第2相の選択は、目的によ
り適宜選択できる。硬さを要求される場合には、合金元
素を添加して所望の硬さとすることができる。本発明で
は、第2相に添加する合金元素量はその目的から上記し
たように比較的少量に限定するのが好ましい。
【0026】また、本発明のローラと相性の良いベーン
を構成する焼結合金材では、上記した鉄基基地組織に加
えて、Cu相またはCu合金相を面積比で1〜20%含有させ
てもよい。また、上記したCuまたはCu合金による封孔処
理に代えて、焼結空孔を、低融点金属により溶浸させて
もよい。低融点金属は、Pb、Pb合金、Sn、Sn合金、Zn、
Zn合金が好ましい。焼結合金材では、上記した鉄基基地
組織に加えて、平均粒径:20〜100 μm 、硬さ:700 〜
1500Hvの硬質粒子を面積比で1〜20%分散させてもよ
い。硬質粒子としては、Fe−Mo粒子、Fe−W粒子、Cr−
Mo−Co金属間化合物粒子、C−Cr−W−Co粒子のうちの
いずれでもよい。
【0027】また、本発明のローラが適用される回転式
圧縮機のシリンダは、共晶黒鉛鋳鉄、ねずみ鋳鉄、また
はFeを主成分とした焼結合金のいずれかで構成するのが
好ましい。
【0028】
【実施例】C:3.1 wt%、Si:1.9 wt%、Mn:0.8 wt
%、P:0.2 wt%、S:0.05wt%、Cr:1.0wt %、Mo:
0.3 wt%、Ni:0.3 wt%を含有する鋳鉄に、焼入れ(88
0 ℃)−焼戻し(250 ℃)処理を施し回転式圧縮機用ロ
ーラ材(テストプレート)とした。焼入れ−焼戻し処理
後のローラ材組織は、光学顕微鏡観察により、基地が焼
戻しマルテンサイト、黒鉛形状がASTM規格のA型で
あることを確認した。また、画像解析装置による観察
で、炭化物含有量が面積率で8%であることを確認し
た。なお、従来例のテストプレートとしてモニクロ鋳鉄
製のローラ材を用いた。
【0029】また、第1相となる、C:0.9 wt%、Cr:
4wt %、Mo:5 wt%、W:6 wt%、V:2 wt%を含有す
る合金鋼粉と、第2相となる、C:0.8 wt%、Cr:3 wt
%を含有する低合金鋼粉と、Cu粉とを配合して、圧縮、
成形したのち焼結して第1相と第2相と、Cu相とからな
る複合組織を有する鉄基焼結合金材とし、さらにサブゼ
ロ処理と焼戻し処理を施して回転圧縮機用ベーン材(テ
ストベーン)とした。
【0030】これらローラ材(テストプレート)とベー
ン材(テストベーン)とを組合わせ、図1に示す高圧雰
囲気摩耗試験機を用いて、下記に示す試験条件で摩耗試
験を実施した。なお、使用した試験片の形状を図2に示
す。 試験荷重 :1470N 周速 :500rpm 試験時間 :3 h 使用油 :エステル油 油温度 :110 ℃ 使用冷媒 :R134a 雰囲気圧力:1274kPa 試験後、摩耗量を測定し、その結果を表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】表1から、本発明例のローラ材では、従来
例のローラ材にくらべ摩耗量が少なく、ローラ材の耐摩
耗性が顕著に向上していることがわかる。さらに、本発
明例のローラ材とベーン材との組合せでは、ローラ材は
もちろん、相手材のベーン材の摩耗量が、従来例のロー
ラ材とベーン材の組合せの場合と比べ、顕著に低減して
いる。本発明のローラ材を用いることにより相手材の耐
摩耗性も向上し、これらを組み合わせた回転式圧縮機の
耐久性が顕著に向上すると期待される。
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、耐摩耗性に優れたロー
ラが得られ、さらに相性のよい焼結合金材製のベーンを
組み合わせることにより、厳しい運転状況でも、優れた
耐摩耗性を有する信頼性の高い回転式圧縮機の製造が可
能となり、産業上格段の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】高圧雰囲気摩耗試験機の概略説明図である。
【図2】高圧雰囲気摩耗試験に用いる試験片寸法形状を
示す説明図である。
【図3】本発明のローラを適用できる回転式圧縮機の1
例を示す縦断面図である。
【図4】本発明のローラを適用できる回転式圧縮機の1
例を示す横断面図である。
【符号の説明】
1 密閉容器 2 電動機部 3 圧縮機構部 4 主軸受 5 副軸受 6 シリンダ 7 ローラ 8 シャフト 10 吸入孔 11 偏心部 12 ベーン 13 ベーン溝 14 バネ

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転式圧縮機用ローラであって、T.C :
    3.00〜3.70wt%、Si:1.50〜2.50wt%、Mn:0.50〜1.00
    wt%、P:0.30wt%以下、S:0.10wt%以下、Cr:0.50
    〜1.20wt%、Mo:0.15〜0.40wt%を含み、さらにNi:0.
    15〜0.40wt%およびCu:0.15〜0.40wt%のうちから選ば
    れた1種または2種を合計で0.15〜0.40wt%含有し、残
    部Feおよび不可避的不純物からなり、かつ焼入れ・焼戻
    し後の組織の黒鉛形状がASTM規格のAタイプであり、炭
    化物を面積率で3 〜10%含有し、硬さがHRC47〜55の
    範囲であることを特徴とする回転式圧縮機用ローラ。
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