JP2001098355A - 金属材の窒化方法 - Google Patents

金属材の窒化方法

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JP2001098355A
JP2001098355A JP27599299A JP27599299A JP2001098355A JP 2001098355 A JP2001098355 A JP 2001098355A JP 27599299 A JP27599299 A JP 27599299A JP 27599299 A JP27599299 A JP 27599299A JP 2001098355 A JP2001098355 A JP 2001098355A
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nitriding
metal material
halogen
abrasive
pretreatment step
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JP27599299A
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Yasuhiro Hikita
康弘 疋田
Shinichi Mizuguchi
慎一 水口
Hideaki Ko
秀明 洪
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Taiho Kogyo Co Ltd
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Taiho Kogyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】金属材、その中でも特にクロム含有金属材のよ
り良い窒化方法を提供すること。 【解決手段】本発明の金属材の窒化方法は、ハロゲン含
有物質の存在下で金属材の表面に研磨材を動的に接触さ
せる前処理工程と、その金属材の表面を窒化する窒化工
程とからなることを特徴とする。つまり、前処理工程に
よって窒化工程における金属材の窒化反応を阻害する表
面の酸化皮膜層が効果的に除去され、窒化工程における
金属材の窒化反応の進行が障壁なく行われるものであ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属材の窒化方法
に関する。そして特にクロム含有金属材の窒化方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、金属材の窒化方法は、高温の窒素
ガス雰囲気下で長時間にわたる処理が行われている。そ
れは、表面の酸化被膜が窒化反応を阻害するためであ
る。そのなかでもクロム含有金属材の窒化は、クロム由
来の強固な酸化被膜(不動態)が表面に形成されている
ことによって、この酸化被膜が障壁となり通常の窒化処
理によっては窒化が完全に達成できない。
【0003】そこで、従来からクロム含有金属材を窒化
処理する目的で何らかの方法によりこの酸化被膜を除去
していた。従来のクロム含有金属材の窒化方法に用いら
れる酸化膜除去方法としては、真空中で酸化被膜を除去
する方法、タフライド法、酸洗する方法、塩化アンモニ
ウムで処理する方法(特公昭36−15157号)、塩
素ガスにより処理する方法(特開平9−13162
号)、フッ素ガスにより処理する方法(特開平6−22
8732号)が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】したがって、従来の金
属材の窒化方法は、長時間にわたる処理が必要であり作
業効率が悪いという不都合があった。
【0005】また、従来のクロム含有金属材の窒化方法
は、次のような改善すべき問題が存在した。
【0006】すなわち、真空中で酸化被膜を除去する方
法は真空を達成するために大がかりな設備が必要なこ
と、タフライド法では均一な窒化層ができないこと、酸
洗する方法は別に酸洗の設備が必要であること、処理に
用いた酸溶液の後処理の負担が大きいこと、作業環境が
悪化すること、塩化アンモニウムで処理する方法は表層
の窒化層の品質がよくないこと、塩素ガス、フッ素ガス
により処理する方法は、素、フッ素ガスの腐食性が高い
こと、雰囲気を制御する必要があること、フッ素ガスに
ついてはさらに高価であることがそれぞれ問題であっ
た。
【0007】本発明は上記実情に鑑みてなされたもので
あり、金属材、そのなかでも特にクロム含有金属材のよ
り良い窒化方法を提供することを解決すべき課題とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する目的
で、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、以下の知見が
得られれた。それは、金属材はもとよりクロム含有金属
材表面の酸化被膜であっても、ハロゲン含有物質の存在
下で研磨材を動的に金属材に接触させることによって効
果的に酸化被膜を除去できるということである。本発明
はかかる知見に基づいて完成したものである。
【0009】すなわち、本発明の金属材の窒化方法は、
ハロゲン含有物質の存在下で金属材の表面に研磨材を動
的に接触させる前処理工程と、その金属材の表面を窒化
する窒化工程とからなることを特徴とする。
【0010】つまり、前処理工程によって窒化工程にお
ける金属材の窒化反応を阻害する表面の酸化皮膜層が効
果的に除去され、窒化工程における金属材の窒化反応の
進行が障壁なく行われるものである。
【0011】前処理工程で表面の酸化被膜が除去される
機構としては、研磨材の金属材表面の酸化被膜層への機
械的作用と、ハロゲン含有物質への研磨材によるメカノ
ケミカル作用等により解離する活性化された活性化ハロ
ゲン(ハロゲンイオンやハロゲンラジカル等)とが相乗
効果を奏し、金属材の表面の酸化被膜を除去すると同時
に、活性化ハロゲンが酸化被膜が除去された清浄な表面
に優先的に吸着することにより清浄な表面の新たな酸化
を防止しているものと考えられる。
【0012】なお、前述の前処理工程は、窒化工程の始
まる前に完了している必要は必ずしもない。すなわち、
金属材を窒化するには、個々の部位の酸化皮膜は窒化工
程の窒化反応が生起するまでには除去されている必要は
あるが、全体として前処理工程は、窒化工程と同時に行
うこともできる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に本発明の金属材の窒化方法
の実施形態について、詳細に説明する。なお、本発明
は、以下に示される実施形態によって限定されるもので
はない。
【0014】本実施形態の窒化方法は、金属材に適用で
きる。たとえば金属材としては、鉄系の材料、そのなか
でも、クロムを多く含有するステンレス系の材料である
SUS440C、SUS430、SUS304、SUS
630や、いくらかのクロムを含有する材料であるSK
D61、SKH51、SUJ−2や、クロムを含有しな
い材料等を挙げることができる。
【0015】本実施例の窒化方法は、前処理工程と窒化
工程とを有する。
【0016】また、前処理工程と窒化工程とを連続して
同一反応容器内で行うこともできる。前処理工程で用い
る研磨材やハロゲン含有物質の存在は、金属材の窒化反
応には影響を与えないからである。
【0017】また、前処理工程と窒化工程とは連続して
行う必要はないが少なくとも前処理工程が完了した後か
ら窒化工程に移行するまでは、金属材を非酸化雰囲気下
に保つことが好ましい。酸化雰囲気にさらすと前処理工
程により除去された酸化皮膜が再生するからである。
【0018】前処理工程は、ハロゲン含有物質の存在下
で金属材の表面に研磨材を動的に接触させる工程であ
る。前処理工程の目的は、金属材表面に形成されている
酸化皮膜を除去することを主目的とする。後の窒化工程
において金属材表面に形成されている酸化被膜層の存在
により窒化反応が阻害されるからである。この酸化被膜
は、クロムを含有する材料ほどクロムの酸素との親和性
の高さから窒化反応を阻害するだけの酸化被膜層を形成
する。
【0019】前処理工程は、非酸化雰囲気にて行うこと
が好ましい。酸化雰囲気下で前処理工程を行うと酸化被
膜が除去されてもすぐに新たな酸化被膜が形成されてし
まうからである。とくにクロム含有量の多い金属材を窒
化させるときには、酸化雰囲気下にさらすと窒化反応へ
の悪影響が高くなる。したがって、前処理工程は、外部
と前処理工程が進行する部分とを隔離できる反応容器内
で進行させることが好ましい。なお、ここで非酸化雰囲
気とは、酸素等の金属材表面に酸化皮膜を形成する物質
を含まない雰囲気をいう。また、反応容器は、その内部
にワークである金属材を保持でき、研磨材をその金属材
に動的に接触させることができるものである必要があ
る。研磨材を金属材に動的に接触させる方法については
後に詳しく説明する。
【0020】なお、前処理工程の雰囲気中に酸素が混入
しても、微量であれば前処理工程の進行には影響を与え
ない。それは、酸化被膜が除去された清浄な表面に後述
するハロゲン含有物質から解離する活性化ハロゲンが、
優先的に被覆して、その清浄な表面を酸化から保護して
いるからである。したがって、反応容器については、そ
の内外の気密性を担保できるほどのものである必要はな
い。したがって、反応容器中にワークである金属材を供
給する方法も、反応容器の前室として非酸化雰囲気の部
屋を用意して酸素の反応容器中への混入を防止しなくて
も、反応容器中に大気中から直接入れることも可能であ
る。すなわち、金属材は、反応容器中に連続的に出し入
れすることも可能である。
【0021】そして前処理工程は、加熱下において進行
させることが好ましい。加熱することによりハロゲン含
有物質の酸化被膜を除去する能力が向上するからであ
る。その加熱する温度としては、好ましくは400℃〜
600℃程度、より好ましくは、500℃〜600℃程
度がよい。したがって、前処理工程を行う反応容器に
は、加熱装置をもつことが好ましい。加熱装置として
は、必要な温度にまで反応容器全体を加熱・制御できる
公知の一般的な装置を用いることができる。たとえば、
反応容器として加熱炉を用いることができる。
【0022】前処理工程を行っている処理雰囲気の中に
ハロゲン含有物質を加える方法としては、常に処理雰囲
気中に一定濃度のハロゲン含有物質が存在するように行
うことが好ましい。たとえば、雰囲気中に連続的ないし
断続的に必要量を加える方法である。具体的には、ハロ
ゲン含有物質をホッパにより反応容器内に加える方法、
反応容器内にキャリアとしての非酸化性の気体を導入す
る装置を設け、ハロゲン含有物質をそのままないし気化
させた上でその非酸化性の気体にのせて加える方法等が
ある。
【0023】前処理工程で用いられるハロゲン含有物質
は、ハロゲン元素を分子内に有する物質もしくはハロゲ
ン分子そのものである。ハロゲン含有物質としては、た
とえば、ハロゲン化物、ハロゲン置換有機化合物、ハロ
ゲン分子等が挙げられる。そしてハロゲン含有物質とし
ては研磨材の衝突によるメカノケミカル作用によってよ
り多くの活性化ハロゲンを解離するものであることが好
ましい。なお、反応容器としては、これらの活性化ハロ
ゲンに対して耐性を有するものであることが好ましい。
【0024】そして、ハロゲン含有物質としてはハロゲ
ン化物であることが好ましい。ハロゲンがイオンとして
解離して全体として中性となるからである。解離したハ
ロゲン含有物質が全体として中性であれば反応容器を腐
食し難いからである。したがって、ハロゲン含有物質
は、ハロゲンが解離したときに、全体として電気的に中
性な塩等の物質が好ましい。
【0025】そしてハロゲン含有物質は、ハロゲン化物
の中でもさらに塩化物であることがより好ましい。塩素
は、ハロゲンの中でフッ素に次いで反応性が高く充分な
酸化被膜除去作用を有し、かつ、反応性の高いフッ化物
よりも、一般に安価であって、また、毒性も低いからで
ある。したがって、この点からもハロゲン元素のうちフ
ッ素に次いで反応性が高い塩素、すなわち塩化物を用い
ることが好ましい。塩化物としては、塩化水素を使用す
ることもできる。
【0026】さらに、ハロゲン含有物質は、塩化物のう
ち窒素含有塩化物であることがさらに好ましい。窒素を
含有させることにより前処理工程で窒化反応が幾分進行
する利点があるからである。窒素含有塩化物としては、
たとえば、種々のアミンの塩化物等が挙げられる。その
なかでも特に塩化アンモニウムが好ましい。毒性が低
く、安価であって、比較的低温(338℃)において気
体となってまんべんなく表面に行き渡るからである。な
お、塩化アンモニウムは、金属材を窒化させる場合に前
処理に使用した塩素と窒化反応において使用したアンモ
ニウムとが反応して生成することがあり、その場合には
配管等を閉塞させる原因ともなっていたが、本実施形態
においては、研磨材のメカノケミカル作用によって分解
しているのでそのような問題はない。
【0027】研磨材は、研磨材自身の機械的作用によっ
て金属材表面の酸化被膜層を除去する作用と、ハロゲン
含有物質へのメカノケミカル作用により活性化ハロゲン
を発生させる作用とを有すると考えられる。研磨材は、
前処理工程を通してワークである金属材と接触している
ので、特に理由がない限り金属材との反応性がないこと
が必要である。
【0028】そして、研磨材の硬度は、硬度が窒化され
る金属材表面の酸化被膜の硬度以上であることが好まし
い。研磨材の硬度が高いと研磨材によって金属材表面の
酸化被膜層を機械的に除去する作用も生じるからであ
る。
【0029】また、研磨材の大きさは、金属材の表面を
隅々までムラなく窒化させる目的で窒化される金属材の
形状の細かいところにも接触できる程度の細かさである
ことが必要である。さらに、窒化された金属材表面の品
質を向上させるには、できるだけ細かいことがより好ま
しいが、あまり細かいと研磨材の流動性が悪くなり、流
動層炉を使用する場合には研磨材の流動層化がし難くな
る。具体的には、100〜250μm(平均径120μ
m)程度の粒子径が好ましい。
【0030】研磨材としては、一般的には硬度等の点か
ら酸化金属、炭化金属、窒化金属等のセラミックス粉末
を用いることが好ましい。たとえば、アルミナ、炭化ケ
イ素、シリカの粉末を用いることができる。そのなかで
も特にアルミナ粉末がコスト等の点で好ましい。研磨材
の粒子形状は、特に限定されない。
【0031】金属材料の表面に研磨材を動的に接触させ
る方法としては、研磨材粉末で流動層を形成し、その中
に金属材を保持する方法、研磨材をボールとともにもし
くはボールを除いたボールミルや振動ミルの中に入れて
行う方法、研磨材を金属材の表面に雰囲気ガスとともに
吹き付ける方法等がある。
【0032】そのなかでも流動層中に保持する方法は、
流動層を流動層炉内で形成することにより、後の窒化工
程も流動層炉内で加熱することにより連続して行うこと
ができる点で好ましい。また、前処理工程に高価な雰囲
気ガスを用いる必要がないので、流動層形成用に大量の
ガスを流動層炉内に供給してもコスト的にも影響が少な
い。たとえば、流動層を形成するために吹き込むガス
は、安価な窒素ガス等を用いることができ、また、前述
のように解離するハロゲンにより微量に混入する酸素の
影響が抑えられるので、循環させて用いることができ
る。この窒素ガスは、後述する窒化工程においても一般
的に雰囲気ガスとして用いるので窒化工程における装置
ばかりでなく、雰囲気ガスについても窒化工程で連続し
て用いることができるという利点がある。また、ボール
ミル等のミルによって金属材表面に研磨材を接触させる
方法は、流動層による前処理よりも酸化皮膜層の除去が
速やかに進行する利点がある。
【0033】窒化工程は、前処理工程により処理した金
属材を窒化反応させる工程である。窒化反応は、一般的
に金属材表面から内部に向けて進行する。窒化工程は、
何らかの方法で生成させた原子状ないし分子状窒素を金
属材表面から金属材内部に拡散させる窒化反応の方法で
あれば、いずれかの公知の方法で進行させることができ
る。また、その他の窒化反応の方法であっても金属材の
表面を窒化できる方法であれば、本発明の窒化工程とし
て採用することができる。たとえば、金属材をアンモニ
アと窒素との混合ガス雰囲気下において加熱する方法等
が挙げられる。加熱する温度としては、好ましくは40
0℃〜600℃、より好ましくは500℃〜600℃程
度がよい。
【0034】窒化工程は、非酸化雰囲気下で行うことが
好ましい。前処理工程で清浄とした金属材表面が酸化さ
れることを防止する目的である。したがって、窒化工程
を進行させる反応容器は、非酸化雰囲気を維持できるだ
けの気密性が必要である。ただし、前処理工程で使用す
る反応容器について説明したとおり窒化工程における反
応容器も窒化工程においてハロゲン含有物質を加える場
合には、厳密な気密性は必要とされない。また、窒化工
程における反応容器として前処理工程における反応容器
を引き続き使用することが可能である。
【0035】非酸化雰囲気は、雰囲気内の酸素を完全に
除去する方法の他に、前述のように酸素をある程度除去
した後に前述の前処理工程で用いたハロゲン含有物質を
加えることで金属材の清浄な表面を保護させて微量の酸
素の影響を除去すること等の間接的な方法によっても達
成できる。この場合に、ハロゲン含有物質を存在させる
方が完全に酸素を除去するよりもより簡易であり好まし
い。
【0036】したがって、前処理工程と窒化工程とを連
続的に同一反応容器内において進行させる場合には、前
処理工程が終了した後に、雰囲気を変更するために処理
容器内をパージする必要がなく、全体としての時間が短
くてすむ。また、前処理工程の雰囲気が残っていても窒
化工程を阻害しないばかりか窒化反応に好影響を与える
ので、前処理工程と窒化工程とを一部重複して行っても
良い。
【0037】さらに窒化工程は、前述の前処理工程から
引き続き研磨材の存在下で金属材の表面にその研磨材を
動的に接触させて行うことが好ましい。研磨材によって
金属材の表面の酸化被膜を除去し続けることにより酸素
が窒化工程の雰囲気に混入しても酸化被膜が形成されな
いからである。
【0038】
【実施例】以下に本発明の金属材の窒化方法について実
施例と比較例とに基づいてさらに詳細に説明する。な
お、本発明は、以下の実施例により限定されるものでは
ないことはいうまでもない。
【0039】(実施例1)実施例1は、窒化処理される
金属材のテストサンプルとしてSUS440C(20x
25x5mm)を用いた。そのテストサンプルを以下の
窒化方法によって窒化したものを実施例1の処理後のテ
ストサンプルとした。
【0040】金属材の窒化は、前処理工程と窒化工程と
により行った。窒化を行う反応容器として、図1に示す
内径210mmの流動層炉1を用いた。
【0041】流動層炉1内で前処理工程を行うために流
動層炉1の炉本体10内にアルミナ粉末2(粒径120
μm)を入れた。流動層炉1のヒータ3により加熱して
炉内温度を570℃まで上昇させた後に、窒素ガスを7
0L/minで炉本体10内に送風管Aから導入して、
アルミナ粉末2を流動層とした。そして、塩化アンモニ
ウムを34g/hの割合で炉本体10内に薬剤供給管B
から供給しながら、ワークとしてのテストサンプル3を
ワーク保持具102に保持して固定した後に、ワーク3
の全体を流動層化したアルミナ粉末2中に埋入した。前
処理工程は、30分間行った。
【0042】引き続き同じ流動層炉1内で窒化工程を行
った。窒化工程における流動層炉1内の条件は、雰囲気
温度を引き続き570℃とし、塩化アンモニウムの炉本
体10内への導入量を5g/hに減らした。そして炉本
体10内に導入する窒素ガス量を42L/min、アン
モニアガスの導入量を28L/minとして、炉本体1
0内に導入した。そして、窒化工程を3時間行った後、
窒化処理後のテストサンプルを炉本体10内から取り出
した。
【0043】実施例1の処理後のテストサンプルには、
引き続き、硬さ、組織観察、摺動評価の各試験を行っ
た。
【0044】硬さ試験は、ビッカース硬さ試験により行
った。圧子への荷重は、0.1Nとして測定した。
【0045】試験方法としては、処理後のテストサンプ
ルを切断し、その切断断面について表面からの深さ方向
の硬さを測定した。
【0046】組織観察は、処理後のテストサンプルを切
断し、研磨後、ナイタール(硝酸/エチルアルコール=
5/95(重量比))でエッチングを行った。そして、
金属顕微鏡により切断断面を観察した。
【0047】摺動評価は、以下の試験条件により行っ
た。
【0048】 試験機 :冷媒雰囲気テスタ(ブロック/リングタ
イプ) ブッロク材 :処理後のテストサンプル リング材 :FC250(焼) HRC45〜50 荷重 :480N 速度 :1.0m/s オイル :エステル油 冷媒 :R407C オイル/冷媒:95/5(重量比) 温度 :80℃(初期値) 試験時間 :3時間20分 (実施例2)実施例2のテストサンプルとしてSKD6
1(20x25x5mm)を用いた。そのテストサンプ
ルを前述の実施例1と同様の窒化方法により窒化したも
のを実施例2の処理後のテストサンプルとした。
【0049】実施例2の処理後のテストサンプルには、
前述の実施例1で行った組織観察の他、目視観察を試験
を行った。
【0050】目視観察は、処理後のテストピースの窒化
されている表面状態を目視的に観察し、窒化のムラ、状
態等を評価した。
【0051】(実施例3)実施例3のテストサンプルと
してSUS440C(20x25x5mm)を用いた。
そのテストサンプルを窒化工程における雰囲気温度を5
20℃としたこと以外は、前述の実施例1と同様の窒化
方法により窒化したものを実施例3の処理後のテストサ
ンプルとした。
【0052】実施例3の処理後のテストサンプルには、
前述の実施例1で行った組織観察の試験を行った。
【0053】(比較例)比較例のテストサンプルとして
は、SUS440C(20x25x5mm)を用いた。
そのテストサンプルを窒化したものを比較例の処理後の
テストサンプルとした。
【0054】テストサンプルの窒化は、マッフル炉内で
前処理とその後の窒化処理とを行った。まずマッフル炉
内にテストサンプルを入れて、炉内を真空パージした
後、570℃に昇温した。そして、炉内にフッ素/窒素
=2/98(体積比)の混合ガスを大気圧まで導入し、
0.5時間加熱した。これにより前処理を行った。
【0055】次に、もう一度炉内を真空パージした後、
炉内にアンモニア/窒素=50/50(体積比)の混合
ガスを導入し、炉内を570℃に保持して3時間窒化処
理を行い、炉内から取り出した。
【0056】比較例の処理後のテストサンプルには、前
述の実施例1で行った硬さ、摺動評価の各試験を行っ
た。
【0057】(試験の結果と評価) 硬さ試験 硬さ試験の結果を図2に示す。図2から明らかなよう
に、実施例1と比較例との処理後の各テストサンプルを
比較すると、ともに表面からの深さ方向への硬度変化は
類似しており、双方とも表面から約60μmの深さまで
Hv900以上の硬度を有していた。したがって、本実
施例1の窒化方法で処理された金属材の窒化層の硬さ、
深さは、従来技術のフッ素系ガスを用いた方法による窒
化方法で生成したものと比較して同等であることが明ら
かとなった。
【0058】組織観察 実施例1、実施例2そして実施例3の処理後の各テスト
サンプルをそれぞれ組織観察した顕微鏡写真をそれぞれ
図3、図4そして図5に示す。それぞれの図から明らか
なように、表面から実施例1については約60μm、実
施例2については約70μm、そして実施例3について
は約30μmの深さまで窒化層が形成されていることが
認められた。
【0059】したがって、本発明の窒化方法は、金属材
の材質がSUS440C、SKD61のように組成、特
にクロム含有量が異なるものであってもほぼ同様に窒化
処理が可能であることがわかった。また、同一の金属材
でも温度によって窒化反応の進行速度が異なることが示
唆された。
【0060】目視観察 実施例2の処理後のテストサンプルの全面にわたってム
ラのない均一な窒化層の形成が観察された。SKD61
は、従来技術の窒化方法で窒化処理を行うと表面にムラ
が生じやすかったが、本実施例2ではムラなく均一に窒
化処理をすることができた。
【0061】摺動評価試験 摺動評価試験の結果を図6に示す。図6から明らかなよ
うに、実施例1の処理後のテストサンプルは、比較例の
処理後のテストサンプルと比較して、ブロック材の摩耗
量が少なかった。したがって、窒化層の耐摩耗性は、従
来技術のフッ素系ガスを用いた方法による窒化方法で生
成したものと比較して同等以上であることが明らかとな
った。
【0062】
【発明の効果】本発明の金属材の窒化方法によれば、金
属材、そのなかでも特にクロム含有金属材のより良い窒
化方法を提供することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で用いた流動層炉の模式図である。
【図2】実施例において評価した硬度試験の結果を示し
たグラフである。
【図3】実施例1の処理後テストサンプル断面の組織観
察図である。
【図4】実施例2の処理後テストサンプル断面の組織観
察図である。
【図5】実施例3の処理後テストサンプル断面の組織観
察図である。
【図6】実施例において評価した摺動評価試験の結果を
示したグラフである。
【符号の説明】
1…流動層炉 10…炉本体 101…フィルタ 102…ワーク
保持具 11…ヒータ 2…研磨材(アルミナ粉末) 3…ワーク(金属材)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 洪 秀明 愛知県豊田市緑ケ丘3丁目65番地 大豊工 業株式会社内 Fターム(参考) 4K028 AA02 AC05 AC08

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハロゲン含有物質の存在下で金属材の表
    面に研磨材を動的に接触させる前処理工程と、 該金属材を窒化する窒化工程とを有することを特徴とす
    る金属材の窒化方法。
  2. 【請求項2】 前記金属材は、クロムを含有している請
    求項1に記載の金属材の窒化方法。
  3. 【請求項3】 前記前処理工程は、流動層炉内で前記研
    磨材を流動層とする工程である請求項1に記載の金属材
    の窒化方法。
  4. 【請求項4】 前記ハロゲン含有物質は、ハロゲン化物
    である請求項1に記載の金属材の窒化方法。
  5. 【請求項5】 前記ハロゲン化物は、塩化アンモニウム
    または塩化水素である請求項4に記載の金属材の窒化方
    法。
  6. 【請求項6】 前記研磨材は、セラミックス粉末である
    請求項1に記載の金属材の窒化方法。
  7. 【請求項7】 前記セラミックス粉末は、アルミナ粉末
    である請求項6に記載の金属材の窒化方法。
  8. 【請求項8】 前記窒化工程は、アンモニアと窒素との
    混合ガス雰囲気下において、さらにハロゲン含有物質を
    存在させて前記金属材を加熱する工程である請求項1に
    記載の金属材の窒化方法。
  9. 【請求項9】 前記窒化工程は、前記前処理工程から引
    き続き前記研磨材の存在下で前記金属材の表面に該研磨
    材を動的に接触させて行う工程である請求項1に記載の
    金属材の窒化方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008031522A (ja) * 2006-07-28 2008-02-14 Toyota Central Res & Dev Lab Inc 被覆部材およびその製造方法
JP2009501844A (ja) * 2005-07-21 2009-01-22 ハード テクノロジーズ プロプライエタリー リミテッド 金属物の複合表面処理
US8146796B2 (en) 2001-01-30 2012-04-03 Seda S.P.A. Cardboard container for drinks and process therefor
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