JP2001098330A - 二方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

二方向性電磁鋼板の製造方法

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JP2001098330A JP27315399A JP27315399A JP2001098330A JP 2001098330 A JP2001098330 A JP 2001098330A JP 27315399 A JP27315399 A JP 27315399A JP 27315399 A JP27315399 A JP 27315399A JP 2001098330 A JP2001098330 A JP 2001098330A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 磁気特性が良好でばらつきも少ない二方向性
電磁鋼板。 【解決手段】冷間圧延は、ワークロールの直径Dと冷間
圧延中の鋼板厚さtとの比(D/t)が、D/t≧80
またはD/t≧100/tなる関係を満たす条件でおこ
なわれる、質量%で、C:0.02〜0.20、Si:
2.4〜4.0、Mn:0.20〜2.0を含有する鋼
の熱間圧延をおこない、次いで冷間圧延をおこない、そ
して焼鈍分離材を鋼板間に介在させて減圧下で(α+
γ)2相域で焼鈍をおこなう工程を含む二方向性電磁鋼
板の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気特性に優れた
二方向性電磁鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より電動機、発電機、変圧器などの
磁心材料には珪素含有率の高い電磁鋼板が用いられてい
る。この電磁鋼板には、交流磁界中で磁気エネルギー損
失が少ないことと高い磁束密度を有することが求められ
る。これらを実現するには、鋼の電気抵抗を高め、磁化
容易方向である体心立方格子の<001>軸が使用磁界
方向に集積した集合組織を形成させることが有効とされ
ている。
【0003】図1は電磁鋼板の集合組織の説明図であ
る。図1(a)は体心立方格子の{110}面が鋼板表
面に平行で、<001>軸が圧延方向のみに集積した組
織であり、変圧器の巻き鉄心のように鋼板の圧延方向に
磁束が流れる用途に適する。このような集合組織を持つ
電磁鋼板は一方向性電磁鋼板と称される。 図1(b)
は{100}面が鋼板表面に平行で、<001>軸が特
定の方向性を持たずに存在する組織であり、回転機の鉄
心のように板面内の様々な方向に磁束が流れる用途に好
適である。図1(c)は{100}面が鋼板表面に平行
で、<001>軸が圧延方向と幅方向に集積した組織で
ある(以下、単に{100}<001>集合組織とも記
す)。
【0004】{100}<001>集合組織を有する鋼
板は、圧延方向と圧延直角方向共に優れた磁気特性を備
えているので二方向性電磁鋼板と称され、巻き鉄心のみ
ならず積み鉄心のように圧延方向と幅方向の互いに直交
する二方向に磁束が流れる用途に特に好適である。
【0005】本発明者らは{100}面が鋼板表面に平
行な集合組織を備えた電磁鋼板およびその効率的な製造
方法に関する研究を進め、これまでに以下に述べるよう
な技術を開示した。
【0006】特開平7−173542号公報では、{1
00}面が鋼板表面に平行な集合組織を有する磁気特性
の優れた珪素鋼板の製造方法を開示した。それは、質量
%でC:1%以下、Si:0.2〜6.5%、Mn:
0.05〜3%を含有した冷間圧延鋼板をタイトコイル
状態もしくは積層状態にし、かつ、脱炭促進物質、もし
くは、脱炭促進物質と脱Mn促進物質の両方を焼鈍分離
材として鋼板間に介在させて最終焼鈍する方法であった
(以下、この製造方法を「MRD法」[Manganese Remo
val Decarburization Process ]とも記す)。
【0007】MRD法では、最終焼鈍時の脱炭過程にお
いてオーステナイト(γ)がフェライト(α)に変態す
る(γ→α変態)際に、表面エネルギー的に安定な{1
00}面を有する再結晶粒を鋼板表層部に生成させ、そ
の後脱炭を進行させて該再結晶粒を選択的に成長させる
ことにより{100}面集合組織を有する鋼板を得るも
のである。その際、焼鈍分離材に脱Mn促進物質を含有
させることにより、鋼板表面からのMn昇華を促進し、
これによりγ→α変態を促進させて{100}面集合組
織の発達を強めることができることも示した。
【0008】特開平9−20966号公報では、前記M
RD法による電磁鋼板に関し、鋼板表面のMn濃度と板
厚中心部のMn濃度の比が0.90以下、かつ厚さ方向
でのMn濃度減少割合の最大値が0.05質量%/μm
以下である脱Mn層を有する電磁鋼板を開示した。上記
公報には、中間焼鈍を挟む複数回の冷間圧延により最終
板厚とした鋼板を最終焼鈍することにより二方向性電磁
鋼板が得られることも示した。
【0009】国際特許出願WO98/20179号公報
において、磁気特性がより優れた二方向性電磁鋼板の製
造方法として、所定量のC、SiおよびMnを含有する
熱間圧延鋼板を中間焼鈍を含む2回以上の圧延による冷
間圧延を施し、その後、鋼板間に焼鈍分離材を介在させ
て減圧下で焼鈍する二方向性電磁鋼板の製造方法であっ
て、中間焼鈍時の加熱速度を急速加熱とすることにより
磁気特性を向上させる方法を開示した。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らのその後の
研究によれば、前記各公報に開示された方法では、十分
に集積した{100}<001>集合組織が安定して得
られず、製造チャンスや鋼板幅方向位置などにより磁気
特性の変動が生じることがあるという問題が判明した。
【0011】本発明の目的はこれらの問題点を解決し、
板面と平行な{100}面と、圧延方向と幅方向に<0
01>軸とが集積した集合組織が安定して得られ、磁気
特性が良好でばらつきも少ない二方向性電磁鋼板の製造
方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記MR
D法により{100}面方位を優先的に発達させる方法
を基にして、二方向性電磁鋼板を安定して製造する方法
について種々研究を重ねた。その結果、鋼の冷間圧延条
件および/または中間焼鈍条件を特定範囲に限定するこ
とにより、安定して良好な{100}<001>集合組
織を得ることができることを知った。
【0013】その条件は、(a)冷間圧延時のワークロ
ール径を大きくし、1パスあたりの圧下率を低く制限
し、潤滑がよい状態で冷間圧延すること、(b)冷間圧
延の途中で少なくとも1回のα+γの2相域の温度での
中間焼鈍をおこない、かつ、上記中間焼鈍の内の少なく
とも1回は冷却時にA1点直上からパーライト変態ノー
ズ温度までの間を急速冷却すること、であった。
【0014】(a)冷間圧延条件;従来、二方向性電磁
鋼板を製造する際の冷間圧延に関しては、例えば上記W
O98/20179号公報では、「中間焼鈍を挟む前後
の冷間圧下率が40〜85%であればよい」とあり、特
開平9−20966号公報には、「積算圧下率で50%
以上、好ましくは70%以上がよい、さらには(中間焼
鈍前の)1回目の圧下率を30〜90%とするのが望ま
しい」と記載されているにとどまっている。上記公報で
の冷間圧延率あるいは積算圧下率は鋼板の初期厚と中間
焼鈍をおこなう時点の板厚から求めるものと定義されて
いる。例えば、厚さ3mmの熱延板を0.75mmまで
冷間圧延してから中間焼鈍し、続いて0.35mmに冷
間圧延して最終焼鈍に供したとすれば、中間焼鈍前の冷
間圧延(一次冷間圧延)での圧延率(あるいは圧下率)
は75%であり、中間焼鈍後の冷間圧延(二次冷間圧
延)のそれは53%となる。
【0015】上記圧下率は上述したように一次冷間圧延
または二次冷間圧延の開始前と終了時点との厚さから計
算されるものであり、後ほど述べる1パス当りの圧下率
ではない。以上述べたように従来の技術では1パス当り
の圧下率が集合組織あるいは磁気特性におよぼす影響に
ついては何ら言及されていない。
【0016】本発明者らは冷間圧延条件の集合組織に対
する影響を明らかにするべく種々研究を重ねた。質量%
でC:0.066%、Si:2.78%、Mn:1.2
5%を含有する厚さ:80mm、幅:300mm、長
さ:900mmのスラブを熱間圧延して厚さ:3mmの
熱間圧延鋼板とし、これを酸洗して表面のスケールを除
去した後、厚さ:0.75mmまで一次冷間圧延し、1
050℃にて30秒間保持する中間焼鈍をおこない、そ
の後厚さ:0.35mmまで二次冷間圧延した。
【0017】図2(a)〜(c)上記は二次冷間圧延ま
まの鋼板表層部のX線積分強度の分布と、それを最終焼
鈍した後の磁束密度を示すグラフである。図2(a)は
冷間圧延時のワークロール直径(以下、単に「ロール
径」とも記す)の影響を示すものであり、一次冷間圧
延、二次冷間圧延共に圧延油を使用し、1パス当たりの
最大圧下率は30%未満である。ロール径は38mm、
または150mmである。圧延油を用いないで圧延する
(無潤滑圧延)場合にはワークロールと鋼板との間の摩
擦係数μは0.2程度であるが、圧延油を用いて圧延す
る場合(潤滑圧延)のμは0.05程度にまで低減され
る。
【0018】図2(b)は1パス当たりの最大圧下率の
影響を示すもので、一次冷間圧延、二次冷間圧延共に圧
延油を使用せず、ロール径は150mmである。図2
(c)は圧延油使用の効果を示すもので、一次冷間圧
延、二次冷間圧延共にロール径を150mmとし、1パ
ス当たりの最大圧下率を20%以下としたものである。
いずれの図共に縦軸は各結晶方位の回折強度をランダム
試料のX線回折強度に対する比率である比強度として示
した。
【0019】図2(a)〜(c)に示すようにロール径
が大きく、1パスあたりの圧下率が低く、潤滑して圧延
されると鋼板の表層部の{222}集積度が増大し、相
対的に{200}集積度が低下している。このような圧
延集合組織を備えた冷間圧延鋼板を最終焼鈍すると{1
00}<001>集合組織が強く形成され、図2(d)
に示すように磁束密度B10が1.8Tを超えて高い磁気
特性に優れた二方向性電磁鋼板が得られる。
【0020】本発明者らの研究結果によれば、最終製品
の{100}<001>集合組織を発達させるには、ロ
ール径D(mm)と板厚t(mm)との比率D/tを特
定の範囲よりも大きくするのがよい。また、1パスあた
りの圧下率が25%を超えない範囲で圧延するのがよ
い。さらには、潤滑圧延がよい。
【0021】冷間圧延鋼板の集合組織のX線回折積分強
度は、鋼板表層での積分強度のみならず鋼板の厚さ方向
での積分強度分布も上記した圧延条件に強く依存する。
以上述べた圧延条件が最終製品の{100}<001>
集合組織に影響する理由は以下のように考えられる。
【0022】図3は、図2で述べたのと同一の熱間圧延
鋼板を、厚さ:0.75mmまで一次冷間圧延した際、
無潤滑、かつ、1パス当たりの圧下を強圧下した場合
と、潤滑圧延で弱圧下とした場合の一次冷間圧延鋼板の
厚さ方向の集合組織変化を調査した結果の例を示すグラ
フである。
【0023】図3(a)に示す無潤滑で強圧下圧延した
場合には鋼板表面で{110}集合組織が強く、{11
1}や{100}集合組織が弱い。他方、図3(b)に
示す潤滑しつつ弱圧下圧延した場合には表層部はもちろ
ん厚さ方向内部でも{111}や{100}集合組織が
強くなっている。
【0024】摩擦係数が大きい熱間圧延では、鋼板表層
部分で強いせん断応力が働くため、鋼板表層にいわゆる
Goss方位{110}<001>が発達することが知
られているが、上記の結果は、冷間圧延においても、無
潤滑で強圧下圧延すると鋼板表層部分に強いせん断応力
が働いていることを示唆している。
【0025】ロール径や1パスあたりの圧下率は鋼板表
層部でのせん断変形挙動に影響し、圧延集合組織に影響
を及ぼしているものと考えられる。MRD法では、最終
焼鈍において鋼表面に平行に{100}面を有する再結
晶粒の表面エネルギーの差に起因する優先成長を利用し
ているので、鋼板表層部分での集合組織成分が極めて重
要である。鋼板表層部分でせん断変形が強く、圧延集合
組織として{110}集合組織が強い場合には、最終焼
鈍で{100}<001>再結晶集合組織が発達しにく
いものと考えられる。
【0026】(b)中間焼鈍条件;本発明が規定する化
学組成を有する鋼の室温における平衡相はフェライト
(α)とセメンタイト(Fe3 C)であり、通常の熱間
圧延を経て冷間圧延された鋼板は、圧延方向に展伸して
押しつぶされたフェライト粒とセメンタイトからなるバ
ンド状の組織を呈し、セメンタイトの近傍にはフェライ
トとセメンタイトが層状に交互に重なったパーライトが
形成される。
【0027】この状態の鋼板を(α+γ)2相域に加熱
して焼鈍すると、セメンタイトが分解して(α+γ)2
相状態となる。これを室温まで冷却するとγ相が変態す
るが、その際の生成物は冷却条件によって異なり、冷却
速度が大きいとマルテンサイトが生じ、冷却速度が小さ
いとパーライトが生じる。冷却速度がマルテンサイト生
成よりもさらに大きい場合にはγ相は残留γとしてその
まま残ることが知られている。
【0028】結晶粒は、冷間圧延ままでは圧延方向に押
しつぶされて展伸した形態であるが、中間焼鈍後は、数
μm〜100μm程度の粒径の等軸粒からなる再結晶組
織となる。中間焼鈍の条件によっては完全な再結晶組織
が得られない場合や、正常粒成長から進んでさらに異常
粒成長(いわゆる二次再結晶)が生じる場合もある。γ
相からの生成物の形態は冷却条件に応じて種々の形とな
ることは前に述べたが、その大部分はフェライトの粒界
に分布し、フェライト粒内には殆ど分布しない。このよ
うに、中間焼鈍条件を変化させると焼鈍後の結晶組織の
相や形態が様々に変化する。
【0029】本発明者らはFe−Si−Mn−C系合金
を種々の条件で中間焼鈍し、その条件が最終製品の磁気
特性に及ぼす影響について詳細な研究をおこなった。そ
の結果、冷間圧延の途中において750℃以上の(α+
γ)2相域に加熱し、かつ、その冷却過程において、A
1点直上からパーライト変態ノーズが生じる温度(以
下、単に「パーライト変態ノーズ温度」と記す)までの
間を2分以内で冷却する中間焼鈍を少なくとも1回施せ
ば、MRD法において最終的な集積度の高い集合組織が
安定して形成され、板幅方向に関してもより一様で優れ
た磁気特性が安定して得られることを知った。
【0030】ここで、A1点はγ←→(α+Fe3C)
なる共析変態が生じる温度であり、鋼の組成や冷却条件
から自ずと決定される。また、パーライト変態ノーズ温
度は、γを含んだ鋼を種々の温度に急冷して、その温度
に保持して恒温変態させた時、パーライト変態が最も短
時間で開始する温度である。パーライト変態ノーズ温度
は鋼の化学組成によっても変化するが、本発明が規定す
る化学組成であれば概ね500〜600℃の範囲にあ
る。従って上記の冷却は、A1点直上から500℃まで
の間を2分以内で冷却するのと同一と考えてよい。上記
冷却条件は、例えば、この温度範囲を実質的に一定な冷
却速度で冷却する場合であれば、冷却速度が2℃/秒以
上となるような冷却方法である。
【0031】中間焼鈍後2相領域から急速冷却すると、
旧γ相であったものの一部あるいはほぼ全部がマルテン
サイト変態してフェライト粒界に析出するか、もしくは
残留γとしてフェライト粒界に残存する。しかしながら
旧γ相がマルテンサイト変態しないほど冷却速度が遅い
場合には、フェライト粒界にパーライトが析出する。
【0032】この冷却時にフェライト粒界に析出する炭
素が濃化した第二相の約70%以上がパーライトである
場合には最終製品の磁気特性が劣化する。つまり、中間
焼鈍時に非パーライト粒子の生成比率を高め、パーライ
トの生成比率を70%以下にすることにより、最終製品
の板幅方向の磁気特性のばらつきが小さく、平均の磁束
密度が高い二方向性電磁鋼板が得られる。
【0033】中間焼鈍で形成される結晶組織が中間焼鈍
後の冷間圧延における冷延集合組織に影響を及ぼすの
は、以下の理由によるものと推察される。パーライトは
マルテンサイトに比較すると軟質であるために容易に変
形し、加工ひずみの集中が緩和される。これに対し、マ
ルテンサイトは基地であるフェライトよりも著しく硬質
であり、ここにひずみが集中して冷間圧延中の変形モー
ドや蓄積ひずみ量が変化し、最終焼鈍における再結晶集
合組織の発達に好影響を与えるものと考えられる。
【0034】残留γは基地のフェライトよりも軟質であ
るが、室温までもちきたされてもマルテンサイト変態し
ないことから推察されるように、過剰のSiを含有して
いるため、著しく加工硬化し易くなっており、冷間圧延
の初期段階で基地のフェライトよりも硬くなり、マルテ
ンサイトと同様の効果を奏するものと考えられる。
【0035】中間焼鈍では、鋼の結晶組織が(α+γ)
2相状態で整粒の再結晶組織となればよい。従って、均
熱温度が高いほど、また、高温域での加熱・冷却速度が
小さいほど、均熱時間は短時間でよい。すなわち、均熱
条件はこれらの条件から定められる均熱係数Gがある限
界値以上になるようにして中間焼鈍するのが望ましい。
【0036】本発明はこれらの新たに得られた知見を基
にして完成されたものであり、その要旨は下記(1)〜
(6)に記載の二方向性電磁鋼板の製造方法にある。
【0037】(1)質量%で、C:0.02〜0.20
%、Si:2.4〜4.0%、Mn:0.20〜2.0
%を含有する鋼の熱間圧延をおこない、次いで冷間圧延
をおこない、そして焼鈍分離材を鋼板間に介在させて減
圧下で(α+γ)2相域で焼鈍をおこなう工程を含む二
方向性電磁鋼板の製造方法であって、上記冷間圧延は、
ワークロールの直径Dと冷間圧延中の鋼板厚さtとの比
(D/t)が、D/t≧80またはD/t≧100/t
なる関係を満す条件でおこなわれることを特徴とする二
方向性電磁鋼板の製造方法。
【0038】(2)質量%で、C:0.02〜0.20
%、Si:2.4〜4.0%、Mn:0.20〜2.0
%を含有する鋼を熱間圧延し、冷間圧延し、焼鈍分離材
を鋼板間に介在させて減圧下で(α+γ)2相域で焼鈍
する工程を含む二方向性電磁鋼板の製造方法であって、
上記冷間圧延はその途中で、750℃以上の(α+γ)
2相域に加熱し、冷却時のA1点直上から500℃まで
の冷却時間が2分以下である中間焼鈍を施すものである
ことを特徴とする二方向性電磁鋼板の製造方法。
【0039】(3)質量%で、C:0.02〜0.20
%、Si:2.4〜4.0%、Mn:0.20〜2.0
%を含有する鋼を熱間圧延し、冷間圧延し、焼鈍分離材
を鋼板間に介在させて減圧下で(α+γ)2相域で焼鈍
する工程を含む二方向性電磁鋼板の製造方法であって、
上記冷間圧延は、ワークロールの直径Dと冷間圧延中の
鋼板厚さtとの比(D/t)が、D/t≧80またはD
/t≧100/tなる関係を満し、かつ、その途中で、
750℃以上の(α+γ)2相域に加熱し、冷却時のA
1点直上から500℃までの冷却時間が2分以下である
中間焼鈍を施すものであることを特徴とする二方向性電
磁鋼板の製造方法。
【0040】(4)冷間圧延の1パスあたりの圧下率を
25%以下とすることを特徴とする上記(1)〜(3)
のいずれかに記載の二方向性電磁鋼板の製造方法。
【0041】(5)冷間圧延時のワークロールと鋼板間
の摩擦係数μが0.10以下になるように潤滑圧延する
ことを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載
の二方向性電磁鋼板の製造方法。
【0042】(6)中間焼鈍の均熱温度(T、℃)、均
熱時間(s、秒)、750℃から均熱温度までの平均の
加熱速度(Vu、℃/秒)および均熱温度から750℃
までの平均の冷却速度(Vd、℃/秒)から下記式で計
算される均熱係数Gが4500(℃*秒)以上となるよ
うにこれらの条件を選定して中間焼鈍することを特徴と
する上記(2)〜(5)のいずれかに記載の二方向性電
磁鋼板の製造方法。
【0043】
【数2】
【0044】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を詳細
に説明する。なお、以下に述べる%表示は質量%をあら
わす。
【0045】(A)鋼の化学組成; C:最終焼鈍時に、脱炭に伴う(α+γ)相からのα相
への変態を利用した集合組織の制御をおこなうため、熱
間圧延に供する鋼(以下、単に「素材鋼」とも記す)の
C含有量を0.02%以上とする。C含有量が0.02
%未満では、最終焼鈍で脱炭する前からすべてα単相と
なっている場合があり、変態を活用した集合組織形成が
できない。C含有量が0.20%を超えると、脱炭に長
時間を要するうえ、圧延加工が困難になるので、素材鋼
のC含有量は0.20%以下とする。Cは電磁鋼板の磁
気特性を大きく劣化させるので、最終製品中では少ない
ほどよく、多くても0.005%以下とするのが望まし
い。
【0046】Si:Siは電気抵抗を増し、鉄損の一部
を構成する渦電流損失を低減させる。Siはフェライト
形成元素であり、Si含有量が増すと脱炭によるα相出
現の温度を高くする効果がある。本発明の製造方法で
は、{100}面方位の形成には(α+γ)域での高温
処理が必要である。脱炭時に高温でα単相となるのが望
ましいため、素材鋼のSi含有量は2.4%以上とす
る。その含有量が4.0%を超えると鋼が脆くなり、変
形抵抗が増して圧延が困難になるうえ磁束密度も低下す
る。これらのことから素材鋼のSi含有量は4.0%以
下とする。
【0047】Mn:Mnは鋼の電気抵抗を増し、鉄損を
低減させる効果がある。また、最終焼鈍時に脱炭と同時
に脱Mnさせることにより、{100}面方位をより一
層効果的に発達させることができる。このような効果を
得るために、素材鋼のMn含有量は0.20%以上とす
る。より安定して優れた磁気特性を得るために望ましく
は0.30%以上とするのがよい。
【0048】Mnはオーステナイト形成元素であり、
2.0%を超えて含有させると脱炭に伴う(α+γ)→
α変態時に安定化されたγが残留する。残留γは非磁性
であり、最終製品の磁気特性を劣化させる。これを避け
るために素材鋼のMn含有量は2.0%以下、望ましく
は1.5%以下とする。
【0049】Mnは最終焼鈍時に脱炭と平行して鋼板か
ら昇華して減少するので、最終製品でのMn量は、素材
鋼のC量に依存して、すなわち脱炭に要する時間に依存
して変化する。電気抵抗および鉄損の観点からは、最終
製品において0.10%以上のMnを含有しているのが
好ましい。
【0050】その他の元素:Alは一般的に、鋳片の健
全性確保やNの固定などを目的として鋼に添加される場
合が多く、電気抵抗を増して磁気特性を改善する効果も
ある。しかしながらAlは窒化物を形成し、脱炭最終焼
鈍時の表面で酸化物を形成して{100}面方位の形成
を阻害して磁気特性を損なうことがある。このため、本
発明においてはAl含有量は少ないほどよい。多くとも
0.20%以下とするのが望ましい。
【0051】不可避的に混入する不純物は加工性または
磁気特性を劣化させるので少ない方が好ましいが、P、
S、NbおよびCuに関しては各々0.5%以下、C
r、Ni、V、W、CoおよびMoに関しては各々1%
以下、Nに関しては0.05%以下、Bに関しては0.
005%以下であれば含有していても本発明の効果を損
なうことはない。
【0052】製鋼後の熱間圧延〜冷間圧延〜中間焼鈍〜
冷間圧延の工程では、鋼の化学組成の変化は無視しうる
程度に小さいとみなしてよく、本発明の規定する鋼の化
学組成は製鋼終了後の鋼材の化学組成と同等であるとし
てよい。
【0053】(B)圧延と中間焼鈍;熱間圧延:熱間圧
延の素材としては、鋳塊を分塊圧延したスラブ、連続鋳
造によるスラブ、あるいは連続鋳造した薄鋳片などいず
れでもよい。化学組成が上記の範囲を満足する鋼材は、
750〜1000℃の温度範囲でα+γの2相組織とな
り、通常の熱間連続圧延の後段では(α+γ)2相域で
の圧延となる。成分の組み合わせによっては、より高温
でも2相状態になる。
【0054】熱間圧延時の圧延集合組織は、高温のγ相
域での圧延では形成され難いが、α相域または(α+
γ)2相域での圧延では顕著に形成される。従って、化
学組成が上記の範囲を満足する鋼材では、熱間圧延温度
条件は特に設定しなくても、仕上げ圧延過程で圧延によ
る集合組織の形成が可能である。また、熱間圧延後には
熱間圧延集合組織を安定化させるなどの目的で熱延板焼
鈍を施しても構わない。
【0055】冷間圧延:冷間圧延においては、圧延機の
ワークロール径(D)と圧延中の鋼板の厚さ(t)との
比(D/t)が、D/t≧80またはD/t≧100/
tなる関係を満足する条件で圧延するのがよい。より望
ましくは、D/t≧100またはD/t≧100/tを
満す条件、さらに望ましくはD/t≧120またはD/
t≧100/tを満す条件とするのがよい。
【0056】圧延の進行に応じてtが小さくなるが、t
の減少に応じてワークロール径Dを変更しても良いし、
上記条件を満たす範囲内で1種類のワークロール径で最
終板厚まで圧延してもよい。圧延機のロール段数や圧延
速度など上記以外の条件は特に規定するものではなく、
D/t以外は通常使用される公知の圧延機でよい。
【0057】熱延鋼板を最終板厚まで冷間圧延する場合
に、大圧下圧延は磁気特性にとって好ましい集合組織の
形成を阻害するとして、従来は1パスあたりの圧下率を
低め(10〜15%)に抑制する場合が多かった。しか
しながらD/tが上記のような条件を満足していれば、
1パスあたりの圧下率を25%まで増大させることがで
きる。従って本発明の方法によれば従来よりも高い圧下
率での冷間圧延が可能となり、磁気特性を阻害しないで
効率のよい圧延ができる。
【0058】しかしながら、本発明で規定するような大
きなワークロール径の圧延機を用いる場合においても、
1パスあたりの圧下率は、より望ましくは20%以下、
さらに望ましくは10%以下とするのがよい。1パスあ
たりの圧下率が25%以下である限り、各パスでの圧下
率はパスごとに変動しても構わない。
【0059】冷間圧延を中間焼鈍を挟んだ複数回の圧延
としておこなう場合の、それぞれの圧延における圧下率
(積算圧下率、例えば一次冷間圧延であれば、一次冷間
圧延の開始前の厚さと終了時の厚さから計算される圧下
率)は特に限定するものではなく、通常採用される40
〜85%の範囲であればよい。
【0060】冷間圧延時にはワークロールと鋼板間の摩
擦係数μを0.1以下にして圧延するのが望ましい。さ
らに望ましくは0.05以下がよい。摩擦係数を低下さ
せる方法は特に限定するものではなく、圧延油や潤滑剤
を使用するなど公知の方法が適用できる。圧延速度は公
知の範囲でよいが、圧延速度の増大はワークロールと鋼
板との摩擦係数を低める効果もあるので、圧延速度を増
大させることはむしろ好ましい。
【0061】中間焼鈍:冷間圧延工程では圧延途中に中
間焼鈍をおこなうのがよい。中間焼鈍により冷間圧延が
容易になるとともに磁気特性を向上させる効果がある。
最終製品の厚さが薄い場合などでは中間焼鈍を2回以上
おこなってもよい。
【0062】中間焼鈍の均熱温度は750℃以上の(α
+γ)2相域がよい。より安定した磁気特性を得るには
850℃以上とすればなおよい。鋼が(α+γ)2相状
態であれば温度は高くてもよいが、設備や操業上の限界
から1200℃程度以下とするのが好ましい。
【0063】中間焼鈍後の冷却はA1点直上から500
℃までの冷却時間を2分以下とするのがよい。均熱温度
からA1点直上まで、および500℃以下での冷却速度
は特に限定するものではない。
【0064】中間焼鈍の際の加熱速度は特に限定するも
のではない。工業的に効率的な生産をおこなうために、
急速加熱・急速冷却が可能な連続焼鈍法のような焼鈍方
法を用いる場合、前記したような冷却条件となるような
通板条件をそのまま適用して昇温しても、もちろん構わ
ないし、冷却条件と別個に加熱速度を設定しても構わな
い。
【0065】均熱時間は、均熱温度が下限の750℃近
傍である場合には数分〜数十分が望ましいが、900℃
以上の温度域で焼鈍する場合には、10秒以上、より望
ましくは30秒以上がよい。連続焼鈍法などの工業的製
造の効率化の観点から均熱時間は5分程度以下が好まし
い。
【0066】図4は中間焼鈍における均熱係数Gと均熱
温度、均熱時間、加熱冷却速度の関係を模式的に示すグ
ラフである。中間焼鈍では鋼の圧延組織が整粒の再結晶
組織となるように焼鈍すればよい。従ってその条件は、
高温域での加熱・冷却速度が小さいほど、均熱温度が高
いほど、均熱時間は短時間でよい。すなわち、均熱温度
をT(℃)、均熱時間をs(秒)、750℃から均熱温
度までの平均の加熱速度をVu(℃/秒)、均熱温度か
ら750℃までの平均の冷却速度をVd(℃/秒)とす
れば、下記式で表される均熱係数G(℃* 秒)が450
0以上となる条件で焼鈍すれば十分な再結晶組織が得ら
れる。従ってG≧4500となる範囲で諸条件を設定す
るのが効率的でよい。
【0067】
【数3】
【0068】中間焼鈍の雰囲気は、露点を制御した水素
雰囲気や窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気など、非
酸化性のものなら常圧あるいは減圧下のいずれでもよ
い。中間焼鈍は少なくともその内の1回を上述の条件で
おこなえばその効果があるが、複数回中間焼鈍する場合
に全ての中間焼鈍を上述の条件でおこなえばなおよい。
【0069】(c)最終焼鈍 最終焼鈍は鋼板の形態が長尺である場合はコイル状に巻
き、切板状の場合は積層して、1.3×104 Pa以下
の減圧下ないしは真空中でおこなう。鋼板と鋼板との間
には、脱炭促進物質、もしくは脱炭促進物質と脱Mn促
進物質(以下、これらを総称して「反応促進物質」とも
記す)を含む焼鈍分離材を介在させて最終焼鈍する。一
般的には焼鈍分離材は鋼板同士の焼付きを防止すること
を目的とするが、本発明では、焼鈍分離材に脱炭もしく
は脱炭と脱Mnを促進する機能を持たせる。なお、最終
焼鈍での再結晶過程を安定化させるなどの目的で最終焼
鈍前の冷間圧延鋼板に急速加熱急速冷却からなる熱処理
を施しても構わない。その場合の加熱温度は中間焼鈍と
同様であり、750℃以上の(α+γ)2相域とするの
がよく、またその上限は1200℃程度とするのがよ
い。
【0070】脱炭促進物質としては例えばSiO2 、C
23、TiO2 、FeO、V23 、V25、VO等
の酸化物などがある。これらの酸化物は単独で使用して
もよいし、2種以上を混合して用いてもよい。これらの
酸化物を鋼板表面に接触させ、減圧下で高温にすれば、
酸化物が分解して放出された酸素と鋼中の炭素が反応し
て一酸化炭素となる等の反応により脱炭が進行するもの
と考えられる。反応生成 物としてのCOはガスとして
系外に排除される。
【0071】脱Mn促進物質としては、最終焼鈍中に鋼
板から昇華するMnを吸収する作用を有し、かつ、脱炭
反応や鋼板の表面エネルギー状態に悪影響を及ぼさない
ものを用いる。このような物質としては例えばTi
2 、Ti23、SiO2 、ZrO2 などがある。これ
ら物質は単独でもよいし2種以上の混合物として用いて
もよい。脱炭促進物質と脱Mn促進物質とを混合して用
いてもよい。
【0072】適切な雰囲気中では鋼板のMnは表面から
昇華し、鋼板表面近傍にMnの欠乏した層(脱Mn層)
が形成される。例えば脱Mn促進物質としてTiO2
用いる場合、TiO2 は鋼板から昇華したMnを吸収
し、結合して複合酸化物(TiMnO2 )を形成する。
これにより脱Mnが促進される。上記の脱Mn促進物質
のうち、SiO2 やTiO2 には脱炭促進作用もあるの
で、これら単独でも脱炭と脱Mnの双方を促進すること
ができる。
【0073】さらに、必須ではないが、これらの反応促
進物質に加えて、高温で安定な無機物、例えば、Al2
3、CaO、ZrO2 、MgOなどの酸化物、SiC
などの炭化物、BNなどの窒化物またはホウ化物のうち
の1種または2種以上を混合して含有させても構わな
い。これにより、反応促進物質の活性度の調整や、取り
扱いを容易にするための固体状、スラリー状あるいはペ
ースト状などへの成形が容易になり、また、鋼板への接
触性が改善されるなどの効果が得られる。
【0074】焼鈍分離材を鋼板間に介在させる方法は任
意であり、例えば粉末や液体状(スラリー状あるいはペ
ースト状も含む)にして鋼板に塗布したり、焼鈍分離材
組成物を繊維状、さらにはそれをシート状に加工した
り、それらの繊維やシートにさらに粉末などを混入させ
たものを用いてもよい。焼鈍分離材組成物を繊維状また
はさらにシート状に加工しておけば取り扱いが容易にな
るうえ、繊維間に生じる空隙が一酸化炭素の除去やMn
の昇華を促進する効果も期待できるので好適である。
【0075】焼鈍雰囲気は減圧雰囲気ないしは真空がよ
く、その圧力は1.3×104 Pa以下が望ましい。雰
囲気の圧力が1.3×104 Paを超えると一酸化炭素
など反応生成物が鋼板表面から除去されにくいために反
応速度が低下する。一層望ましいのは1.3×103
a以下である。雰囲気圧力は低いほどよく、すなわち真
空度は高いほどよいが、工業的に実施するには自ずから
限界があるため、下限は1.3×10-3Pa程度であ
る。
【0076】鋼板表面への酸化物の生成や内部酸化を抑
止し磁気特性の低下を避けるには全板厚にわたって脱炭
が完了するまで上記減圧雰囲気で焼鈍するのがよい。し
かしながら焼鈍分離材を用いて減圧下で脱炭する主たる
目的は、鋼板表面に数μm以上の{100}<001>
方位の再結晶粒の層を生じさせることにあるので、該再
結晶粒層が生じた後は、水素を含む湿性雰囲気で、より
高い圧力、ないしは常圧で脱炭しても構わない。
【0077】最終焼鈍では(α+γ)2相域に均熱保持
する。この温度領域での脱炭に伴う相変態により鋼板の
結晶組織はα単相に変化する。均熱温度の下限は、好ま
しくは工業的製造が可能な脱炭速度が実現できる850
℃以上である。その上限は、脱炭してα単相となる限り
いくら高温でもよいが、1300℃を超える高温は工業
的に実現するのが困難であるので、最終焼鈍温度の上限
は1300℃程度がよい。最も効果的に{100}<0
01>方位を形成できる温度は900〜1200℃であ
る。なお、鋼板表面に{100}<001>方位の再結
晶粒の層が生じた後は、脱炭が進行する温度であれば上
記のような高温でなくてもよい。
【0078】均熱保持時間は30分〜100時間の範囲
とするのが望ましい。30分未満では脱炭や脱Mnが不
十分で表面の{100}<001>方位の再結晶粒の発
達が不十分であり、また鋼板の結晶粒成長も十分ではな
い。保持時間が100時間を超えると焼鈍効果が飽和す
るうえ、結晶粒が大きくなりすぎて磁気特性が損なわれ
ることがある。
【0079】最終焼鈍を終えた鋼板には、鋼板の平坦度
を改善するための焼鈍や、絶縁コーティングや張力コー
ティング等を施すことは何ら差し支えがない。その方法
は任意であり、従来、無方向性電磁鋼板や方向性電磁鋼
板にて採用されているのと同様の公知の方法でよい。例
えばコーティングであれば、リン酸塩系やクロム酸塩系
の溶液を塗布し焼き付ける無機質系や、上記無機質系溶
液にポリアクリルタイプエマルジョン等の有機樹脂を混
合したものを塗布し焼き付ける有機−無機混合系のコー
ティングが考えられる。これらの皮膜は絶縁性を有する
とともに、焼付け後の冷却時の熱収縮により板面内に等
方的な張力を付加することができる。
【0080】
【実施例】(実施例1)表1に示す鋼Cを真空鋳造し、
鋳塊を熱間鍛造して80mm厚のスラブとし、1200
℃に加熱し、熱間圧延し、酸洗して厚さ3.0mm、幅
250mmの熱延鋼板とし、次いで冷間圧延して最終厚
さ0.35mmの鋼板とした。
【0081】
【表1】
【0082】冷間圧延時のロール径(D)は、38m
m、68mm、105mm、150mmおよび200m
mの4種類の中から適宜選択した。冷間圧延はいずれも
圧延油を用いた潤滑圧延とし、中間焼鈍をしないで最終
板厚まで圧延した場合と、1〜2回の中間焼鈍を挟んだ
2〜3回の冷間圧延により最終板厚まで圧延した場合と
についておこなった。冷間圧延時の摩擦係数μはロール
周速と鋼板の出側速度との差を基に求める先進法により
調査した結果0.05〜0.2の範囲であった。1パス
あたりの圧下率は全て25%以下とした。それぞれの圧
延におけるパス回数は5〜10パスの範囲であった。
【0083】図5は上記圧延途中における板厚(t)と
D/tの関係を示すグラフである(圧延経路図とも記
す)。図5で太線はD/t=80またはD/t=100
/tの関係を示し、この線上および線の上部が磁気特性
が良好になる範囲である。
【0084】中間焼鈍は連続焼鈍シミュレータを利用し
た。均熱温度はいずれも(α+γ)2相域である。焼鈍
後の冷却速度はA1点直上から500℃までの冷却時間
が2分以内の場合とそれよりも徐冷した場合の2種類と
した。冷却は液体窒素ボンベから取り出した冷たい窒素
ガスを鋼板に吹き付けておこなった。表2に中間焼鈍条
件を示す。
【0085】
【表2】
【0086】最終厚さに冷間圧延した鋼板から最終焼鈍
用に長さ100mm、幅30mmの短冊状の試験片を、
図6に示すように、その長手方向が圧延方向と平行、ま
たは幅方向と平行になるように採取した。
【0087】焼鈍分離材として、Al23:48質量
%、SiO2 :51質量%を組成物とする繊維化した脱
炭促進物質を40g/m2 と、脱Mn促進作用があるT
iO2 粉末を20g/m2 とを使用し、これらを試験
片の間に挟んで積層した。最終焼 鈍では、0.13P
a以下の真空中で1℃/分の速度で昇温し、1075℃
で2 4時間保持した。焼鈍後は炉の電源を切断した炉
内で冷却した。最終焼鈍後の鋼 板を化学分析した結
果、C含有量は全ての試料について0.0025%以下
であ った。最終焼鈍後の各試験片の磁気特性は単板磁
化特性測定装置で測定した。
【0088】表3に圧延経路および中間焼鈍条件と対応
させて最終焼鈍後の各試験片から得られた磁気特性を示
す。
【0089】
【表3】
【0090】表3で英語の大文字は図5の大文字に対応
するものであり、これから圧延時のワークロール径とD
/tがわかる。英語の小文字は表2の中間焼鈍条件符号
に対応する。例えば表3試験番号1に記載の「C→0.
35mm」は、図5に記載したように、厚さ3mmの鋼
板をロール径105mmの圧延機で中間焼鈍無しで最終
厚さまで圧延したことを表す。試験番号2に記載の「A
→A1 →b→A3 →a→0.35mm」は、厚さ3mm
の鋼板をロール径200mmの圧延機で1.6mmに一
次圧延し、条件bで中間焼鈍し、同一ロール径で0.7
5mmに2次圧延し、条件aで中間焼鈍した後同一ロー
ル径で最終厚さに圧延したことを表す。
【0091】試験番号10に記載の「B→B2 →b→E
2 →0.35mm」は、厚さ3mmの鋼板をロール径1
50mmの圧延機で1.6mmに一次圧延し、条件bで
中間焼鈍し、ロール径38mmの圧延機で0.35mm
に2次圧延したことを表す。
【0092】表3からわかるように、D/t≧80また
はD/t≧100/tなる関係を満す条件で冷間圧延し
た試験番号1〜7では、圧延方向、幅方向共に磁束密度
10が1.60以上となり、二方向性電磁鋼板として良
好な磁気特性が得られた。特に中間焼鈍条件aを挟んで
冷間圧延した場合の磁気特性が良好であった。D/tが
上記関係から外れるE、E1 、E2 などの圧延経路を経
て冷間圧延した試験番号8〜10では、平均磁束密度が
低くなった。
【0093】(実施例2)表1に示す鋼Bを真空鋳造し
て得た鋳塊を実施例1と同様の条件で厚さ3.0mmに
熱間圧延し、酸洗して、厚さ:0.75mmまで一次冷
間圧延し、中間焼鈍した後最終圧延して厚さ:0.35
mmの冷間圧延鋼板を得た。圧延は一次圧延、最終圧延
共に潤滑圧延とし、1パスあたりの最大圧下率はいずれ
も25%以下とした。圧延経路は、一次圧延、最終圧延
共に105mmφロールのみを用いて圧延する場合と、
3mmから1.2mmまでを150mmφロールで圧延
し、その後38mmφロールで0.75mmに一次圧延
し、その後、38mmφロールで0.35mmに最終圧
延する2種類とした。図5からわかるように後者はD/
tが好ましくない場合である。中間焼鈍は連続焼鈍シミ
ュレータを利用し、均熱条件や冷却速度を種々変化させ
た。冷間圧延後は図6に示すように長さ100mm、幅
30mmの短冊状の磁化測定用試験片を採取し、実施例
1に記載したのと同一条件で焼鈍分離剤を介在させた最
終焼鈍を施した。その後、実施例1に記載したのと同様
に単板磁気特性測定装置で試験片の磁気特性を測定し
た。表4に圧延経路、中間焼鈍条件および磁気特性測定
結果をまとめて示す。
【0094】
【表4】
【0095】磁気特性の幅方向での変化を見るために、
圧延方向の磁束密度について、板幅方向両端部2枚(図
6における「1」と「8」)の平均値から、板幅方向中
央部2枚(図6における「4」と「5」)の平均値を差
し引いた値(ΔB10)も示した。幅方向のB10平均値
は、幅方向試験片3枚(図6における「9」、「10」
および「11」)の平均値を表す。
【0096】表4からわかるように、750℃以上の
(α+γ)2相域に加熱した後、A1点直上から500
℃までを2分以下で冷却する中間焼鈍を施した試験番号
22〜30は、圧延方向、板幅方向共に1.70Tを超
える高い磁束密度を有し、磁束密度の板幅方向分布を示
すΔB10は0.10T以下で幅方向での磁束密度の変動
も小さかく、二方向性電磁鋼板として極めて良好な磁気
特性を有していた。
【0097】中でも中間焼鈍の均熱温度が高く冷却速度
も大きい試験番号27と28は磁束密度レベルおよびそ
の変動共に特に良好な特性を示した。試験番号29と3
0は、中間焼鈍条件は試験番号27、28とほぼ同様で
あったが、冷間圧延時のD/tが十分には好ましい範囲
でなかったために、その磁気特性は試験番号27、28
に比較するとやや劣った結果となった。中間焼鈍の均熱
温度が低すぎた試験番号21、あるいは、中間焼鈍後の
A1点直上から500℃までの冷却時間が2分を超えた
試験番号31は、二方向性電磁鋼板として良好な磁気特
性を有していたが、試験番号23〜30に比較するとや
や劣った結果となった。冷間圧延時のD/tが好ましく
なく、中間焼鈍をおこなわなかった試験番号32は磁気
特性が著しく劣るうえ、二方向性が実現されなかった。
【0098】(実施例3)表1に示す鋼Bと鋼Dについ
て実施例1と同様の条件で加熱、熱間圧延、酸洗し、厚
さ:0.75mmまで一次冷間圧延した。冷間圧延のワ
ークロール径は105mm、D/tは100/t以上で
あった。1パスあたりの圧下率は25%以下とした。そ
の後、連続焼鈍シミュレータを利用し、焼鈍後の冷却速
度を種々変更した以外は、表2の焼鈍条件番号aに記載
したのと同一の条件で中間焼鈍を施した。その後、ワー
クロール径:105mm、1パスあたりの圧下率は25
%以下とする条件で二次冷間圧延して厚さ:0.35m
mの冷間圧延鋼板とした。
【0099】この冷間圧延鋼板から図6に示した方法で
圧延方向または幅方向を長手方向とする長さ100m
m、幅30mmの短冊状の磁化測定用試験片を採取し
た。その後、実施例1に記載したのと同一の条件で焼鈍
分離材を鋼板間に介在させて積層し、0.13Pa以下
の真空中で1℃/分の速度で昇温し、1075℃で16
時間保持する最終焼鈍を施した。冷却は焼鈍炉加熱用電
源を切断した炉内で冷却した。最終焼鈍後の試験片のC
含有量は全ての試料について0.0025%以下であっ
た。最終焼鈍後、各試験片の磁気特性を実施例1に記載
したのと同様に単板磁気特性測定装置で測定した。
【0100】図7は、最終焼鈍後の試験片の圧延方向の
磁束密度B10に対する中間焼鈍後のA1点直上から50
0℃までの冷却時間の影響を示すグラフであり、図7
(a)は鋼Bについて、図7(b)は鋼Dについてのも
のである。
【0101】図8(a)、(b)は同様にそれぞれ鋼B
および鋼Dの幅方向の磁束密度B10に対する中間焼鈍後
のA1点直上から500℃までの冷却時間の影響を示す
グラフである。
【0102】図7および図8からわかるように、中間焼
鈍後のA1点直上から500℃までの冷却時間を2分以
内とした場合には、鋼B、D共に1.7T以上の高い磁
束密度が得られた。しかしながら、上記冷却時間が2分
を超えるように徐冷した場合には、板幅方向中央部分で
の磁束密度が低下し、上記冷却時間が10分であった場
合にはその低下が著しく、平均磁束密度も低かった。
【0103】別途、上記中間焼鈍直前および直後の微細
組織を走査電子顕微鏡(SEM)により観察し、αフェ
ライト粒界の炭素が濃化した第二相粒の形態を調査し、
同時に第二相粒にスジ状のコントラストが観察される部
分の第二相粒全体に対する面積率を画像解析装置により
計算した。
【0104】A1点の直上の温度から500℃までの冷
却時間が2分以内の場合には、αフェライト粒界に白色
のコントラストをもった団塊状の残留γあるいはマルテ
ンサイトが観察された。冷却時間が2分を超えて長い場
合には、それらの領域の大部分はスジ状のコントラスト
が観察され、これはパーライトになっていると判断され
た。すなわち、中間焼鈍での冷却においてA1点直上か
ら500℃までの冷却時間を2分以内とすれば、中間焼
鈍後の微細組織には残留γあるいはマルテンサイトが現
れ、αフェライト粒界の炭素が濃化した第二相粒の内3
0%以上が残留γあるいはマルテンサイトになってい
た。2分を超えて徐冷するとαフェライト粒界にはパー
ライトが多量に生成し、残留γあるいはマルテンサイト
の生成比率は30%に満たなかった。
【0105】(実施例4)表1に示す鋼AとBについ
て、実施例1と同様の方法で熱間圧延および酸洗して厚
さが3.0mmの熱延鋼板を得た。鋼Aは直径105m
mのワークロールにより、鋼Bは直径200mmのワー
クロールにより、共に厚さ0.75mmまで一次冷間圧
延し、いずれも表2に記載の条件aで中間焼鈍をおこな
い、二次冷間圧延して最終厚さ0.35mmの冷間圧延
鋼板とした。いずれの二次冷間圧延とも、1パスあたり
の最大圧下率を3水準に変更して圧延した。最大圧下率
を低くしたケースでは、当然のことながらパス回数は大
きくなった。最終焼鈍はいずれも焼鈍分離材の適用方法
を含めて実施例1に記載の条件と同一とし、実施例1に
記載したのと同様の方法で最終焼鈍後の鋼板の磁気特性
を測定した。表5に得られた磁気特性を二次冷間圧延で
のパス回数に対応させて示した。
【0106】
【表5】
【0107】表5に示されているように、1パスあたり
の最大圧下率が30%に達する強圧下をおこなった試験
番号41および45ではB10が1.75T以下の低い平
均磁束密度しか得られなかった。1パスあたりの最大圧
下率を20%以下に低下させたものの磁気特性が良好で
あった。
【0108】(実施例5)表1に示す鋼Dについて、実
施例1と同様の方法で熱間圧延および酸洗して厚さが
3.0mmの熱延鋼板を得た。これを直径105mmの
ワークロールにより潤滑または無潤滑にて冷間圧延し、
最終厚さ0.35mmの冷延鋼板を得た。冷間圧延の圧
延経路は表3に記載の試番5と同一とした。1パスあた
りの最大圧下率は25%以下とした。パス回数は一次圧
延が10〜12回、二次圧延が10〜11回であった。
実施例1と同様の方法で最終焼鈍し、磁気特性を測定し
た。冷間圧延時に潤滑を施さなかった場合のワークロー
ルと鋼板との摩擦係数μは0.2と推定された。その場
合の平均磁束密度B10は1.67Tであった。これに対
し、ワークロールと鋼板とに圧延油を塗布して一次およ
び二次冷間圧延した場合の平均磁束密度B10は1.83
Tであった。
【0109】(実施例6)表1に示す鋼Aについて、実
施例1と同様の条件で厚さ3.0mmに熱間圧延し、酸
洗して、厚さ:0.75mmまで一次冷間圧延し、中間
焼鈍した後最終圧延して厚さ:0.35mmの冷間圧延
鋼板を得た。圧延は一次冷間圧延、最終冷間圧延共に1
05mmφロールのみを用いた潤滑圧延とし、1パスあ
たりの最大圧下率はいずれも25%以下とした。中間焼
鈍は連続焼鈍シミュレータを利用し、均熱条件や冷却速
度を種々変化させた。冷間圧延後は実施例2と同様に短
冊状の磁化測定用試験片を採取し、実施例1に記載した
のと同一条件で焼鈍分離剤を介在させた最終焼鈍を施し
た。その後、実施例1に記載したのと同様に単板磁気特
性測定装置で試験片の磁気特性を測定した。表6に圧延
経路、中間焼鈍条件および磁気特性測定結果をまとめて
示す。
【0110】
【表6】
【0111】表6からわかるようにA1点直上から50
0℃までを2分以内で冷却した試験番号61〜67は二
方向性電磁鋼板として良好な磁気特性を有していた。し
かしながら、均熱係数Gが4500に満たなかった試験
番号66および67は磁気特性がやや悪かった。A1点
直上から500℃までの冷却時間が2分を超えた試験番
号68および69は、磁気特性がよくなかった。
【0112】
【発明の効果】本発明によれば、{100}面が板面に
平行で、圧延方向とそれに直交する方向の二方向の磁気
特性に優れた二方向性電磁鋼板を安定的かつ工業的に効
率よく製造することができる。従って電気機器の小型化
や高効率化に大きく寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】電磁鋼板の集合組織の説明図であり、同図
(a)は{110}面が板面に平行で、<001>軸が
圧延方向のみに集積した組織、同図(b)は{100}
面が板面に平行で、<001>軸が板面内に特定の方向
性を持たずに存在する組織、同図(c)は{100}面
が板面に平行で、<001>軸が板面内の圧延方向と幅
方向に集積した組織を示す。
【図2】図2(a)〜(d)は、冷間圧延直後の二次冷
間圧延鋼板表層部の集合組織およびこれらを最終焼鈍し
た後の磁気特性に対する各冷間圧延条件の影響を示すグ
ラフである。
【図3】図3(a)および(b)は、一次冷間圧延条件
をそれぞれ強圧下・無潤滑圧延と弱圧下・潤滑圧延とし
た場合の一次冷間圧延鋼板の厚さ方向での集合組織の変
化を示すグラフである。
【図4】中間焼鈍のヒートパターンを模式的にを示すグ
ラフである。
【図5】冷間圧延時の圧延経路を板厚tとD/tとの関
係で示すグラフである。
【図6】磁気特性測定用の単板磁化測定用試料の採取位
置を示す図である。
【図7】図7(a)および(b)は、鋼Bまたは鋼Dの
圧延方向の磁束密度B10の幅方向分布例を示すグラフで
ある。
【図8】図8(a)および(b)は、鋼Bまたは鋼Dの
幅方向の磁束密度B10の幅方向分布例を示すグラフであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上野谷 繁雄 大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金 属工業株式会社内 (72)発明者 神崎 豊 大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金 属工業株式会社内 Fターム(参考) 4K033 AA03 HA01 HA05 LA02 MA02 MA05 NA02 NA05 5E041 AA02 AA19 CA02 CA04 HB05 HB07 HB11 NN06 NN17 NN18

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 質量%で、C:0.02〜0.20%、
    Si:2.4〜4.0%、Mn:0.20〜2.0%を
    含有する鋼の熱間圧延をおこない、次いで冷間圧延をお
    こない、そして焼鈍分離材を鋼板間に介在させて減圧下
    で(α+γ)2相域で焼鈍をおこなう工程を含む二方向
    性電磁鋼板の製造方法であって、上記冷間圧延は、ワー
    クロールの直径Dと冷間圧延中の鋼板厚さtとの比(D
    /t)が、D/t≧80またはD/t≧100/tなる
    関係を満す条件でおこなわれることを特徴とする二方向
    性電磁鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 質量%で、C:0.02〜0.20%、
    Si:2.4〜4.0%、Mn:0.20〜2.0%を
    含有する鋼を熱間圧延し、冷間圧延し、焼鈍分離材を鋼
    板間に介在させて減圧下で(α+γ)2相域で焼鈍する
    工程を含む二方向性電磁鋼板の製造方法であって、上記
    冷間圧延はその途中で、750℃以上の(α+γ)2相
    域に加熱し、冷却時のA1点直上から500℃までの冷
    却時間が2分以下である中間焼鈍を施すものであること
    を特徴とする二方向性電磁鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 質量%で、C:0.02〜0.20%、
    Si:2.4〜4.0%、Mn:0.20〜2.0%を
    含有する鋼を熱間圧延し、冷間圧延し、焼鈍分離材を鋼
    板間に介在させて減圧下で(α+γ)2相域で焼鈍する
    工程を含む二方向性電磁鋼板の製造方法であって、上記
    冷間圧延は、ワークロールの直径Dと冷間圧延中の鋼板
    厚さtとの比(D/t)が、D/t≧80またはD/t
    ≧100/tなる関係を満し、かつ、その途中で、75
    0℃以上の(α+γ)2相域に加熱し、冷却時のA1点
    直上から500℃までの冷却時間が2分以下である中間
    焼鈍を施すものであることを特徴とする二方向性電磁鋼
    板の製造方法。
  4. 【請求項4】 冷間圧延の1パスあたりの圧下率を25
    %以下とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか
    に記載の二方向性電磁鋼板の製造方法。
  5. 【請求項5】 冷間圧延時のワークロールと鋼板間の摩
    擦係数μが0.10以下になるように潤滑圧延すること
    を特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の二方向性
    電磁鋼板の製造方法。
  6. 【請求項6】 中間焼鈍の均熱温度(T、℃)、均熱時
    間(s、秒)、750℃から均熱温度までの平均の加熱
    速度(Vu、℃/秒)および均熱温度から750℃まで
    の平均の冷却速度(Vd、℃/秒)から下記式で計算さ
    れる均熱係数Gが4500(℃*秒)以上となるように
    これらの条件を選定して中間焼鈍することを特徴とする
    請求項2〜5のいずれかに記載の二方向性電磁鋼板の製
    造方法。 【数1】
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