JP2001096608A - 押出成形機の加熱バレルの非干渉化温度制御方法 - Google Patents

押出成形機の加熱バレルの非干渉化温度制御方法

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JP2001096608A
JP2001096608A JP27784699A JP27784699A JP2001096608A JP 2001096608 A JP2001096608 A JP 2001096608A JP 27784699 A JP27784699 A JP 27784699A JP 27784699 A JP27784699 A JP 27784699A JP 2001096608 A JP2001096608 A JP 2001096608A
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barrel
extruder
disturbance
temperature
control
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Shuichi Yokoyama
修一 横山
Hitoshi Onogaki
仁 小野垣
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Japan Science and Technology Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヒータ発熱量を調節することにより、温度の
安定化を図り得る押出成形機の加熱バレルの非干渉化温
度制御方法を提供する。 【解決手段】 押出成形機の加熱バレルの非干渉化温度
制御方法において、仮想的入力vk から制御出力yk
公称値伝達関数に等しい伝達関数Pmk(s)とH∞制御
器から構成されるH∞外乱オブザーバを導入し、外乱や
モデル化誤差の影響によるバレル温度の変動を抑止す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラスチック材料
を加熱シリンダにより溶融し、金型へ連続的に押し出し
て成形品を製造する押出成形機の加熱バレルの非干渉化
温度制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】押出成形機においては、加熱シリンダ内
では材料を化学反応させるため温度制御を行う必要があ
り、シリンダ軸方向に並列に複数のヒータが設置されて
いる。
【0003】図13は係る従来の押出成形機の模式図、
図14はその押出成形機のバレルの断面模式図である。
【0004】これらの図において、1はモータ、2はギ
アボックス、3はスクリューであり、バレル内に2本の
スクリュー3A,3Bを備えている。また、4はホッ
パ、5は金型、10は加熱シリンダである。この加熱シ
リンダ10は、複数のバレル11〜13、それらのバレ
ルの外周に設けられるバンドヒータ14〜16、各バレ
ルに対応して配置される冷却ファン17〜19を備えて
いる。
【0005】図1に示すように、加熱シリンダ10は、
軸方向にバンドヒータ14〜16を分割し複数個のバレ
ル11〜13を直列接続した温度制御プラントである。
現在この温度制御系は、各バレル11,12,13ごと
に異なる温度設定値をもつ独立なものとして扱い、それ
ぞれ1ループ制御を行っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来の押出成
形機では、加熱シリンダ全体に対し、内部樹脂の溶融状
態に合わせて温度勾配を設けるようにしており、各種
材料の適切な混練を行うこと、目途に応じた多種類の
押出成形機の製造を行うこと、稼働時の保守やシステ
ム変更を容易にする。
【0007】ように考慮している。
【0008】その結果、バレル間に温度の相互干渉を起
こし、過渡特性の悪化による過渡的資源の損失及び品質
低下の原因となる。また、同時にオペレータの手動介入
を生み、これは省力化を阻害する。
【0009】また、現在でも、その制御は、PID制御
が主流である。PIDパラメータの調整は、作業時の熟
練者の手動介入に頼っている。
【0010】本発明は、上記状況に鑑みて、「ヒータ間
の熱量の移動」の影響を相殺するため、熱量の移動分だ
けヒータの発熱量を調整して、各ヒータ間を非干渉化
し、さらに、「気温等の外的環境の変化に基づくシリン
ダー温度の変動」を「実際の温度」から「予め測定され
た外的環境による温度変動の平均値(公称値)」を差し
引くことにより算出し、ヒータ発熱量を調節することに
より、温度の安定化を図り得る押出成形機の加熱バレル
の非干渉化温度制御方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、 〔1〕押出成形機の加熱バレルの非干渉化温度制御方法
において、仮想的入力vk から制御出力yk の公称値伝
達関数に等しい伝達関数Pmk(s)とH∞制御器K
(s)から構成されるH∞外乱オブザーバを導入し、外
乱やモデル化誤差の影響によるバレル温度の変動を抑止
することを特徴とする。
【0012】〔2〕上記〔1〕記載の押出成形機の加熱
バレルの非干渉化温度制御方法において、前記制御系は
PID制御系であることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。
【0014】1.本発明の概要 ここで、まず、用語の定義を行う。制御対象はP
k (s)(k=1,2,3)、状態フィードバックによ
る非干渉化クロスコントローラはH、規範モデルはP mk
(s)(k=1,2,3)、H∞制御器はK(s)であ
る。
【0015】まず、本発明は、温度干渉が存在する押出
成形機の加熱シリンダを、バレルの寸法に関するパラメ
ータを含まない集中定数系としてモデリングした。
【0016】バレル両側面から熱的干渉を有する、3連
バレル小型2軸押出成形機(熱干渉最小バレル構成数モ
デル)を例にとり制御系設計を行った。
【0017】ここで、2軸型とは、図14に示すよう
に、バレル内に2本のスクリュー3A,3Bを持ち、混
練の多目的機として出荷台数も多く、各分野で利用され
ている押出成形機である。多数の独立したループがあ
り、これらの中には相互に干渉を生ずる制御系がある。
【0018】そこで、非干渉化制御の適用によって相互
干渉を除去し、対象とするシステムの入出力関係が1対
1の干渉がないサブシステムに分割した。
【0019】しかし、いくつかの非干渉化手法の中で、
状態フィードバックによる非干渉化制御を適用した場
合、外乱の影響やモデル変動によって完全な非干渉化が
行われず良好な目標値特性を得ることができない。
【0020】これは、非干渉化PID制御において、状
態フィードバック係数Hは公称値に基づいて設計されて
いるためである。押出成形機非干渉化温度制御系におい
て、最適な係数Hの算出を行うことは難しい。PIDパ
ラメータ調整だけではこの問題を解決できず、非干渉化
の実現は困難である。H∞外乱オブザーバの導入によっ
て、外乱やモデル変動による影響低減に効果があること
は、製鉄、紙パルプ、自動車等の各種産業で実証されて
いる。
【0021】そこで、押出成形機非干渉化温度制御系に
対する外乱とモデル変動の影響を低減し、完全な非干渉
化を実現するために、H∞外乱オブザーバを導入した。
【0022】従来の非干渉化PID制御に、規範モデル
mk(s)とH∞制御器K(s)を新たに付け加えた構
成となっている。このK(s)は、各バレルの目標値変
動に対しては不感であり、外乱の影響によりバレル温度
が変動する場合のみ動作する。
【0023】したがって、目標値の変動に対する応答
は、従来の非干渉化PID制御と同様に設計できる。H
∞外乱オブザーバは、非干渉化制御系へ容易に取り外し
可能としている。押出成形機の生産ラインに影響を与え
ず、従来の制御系に機能付加できることから、工業上の
利点が得られる。
【0024】また、設計の最終目的を、外乱やモデル変
動の影響が生じても各バレルの異なる目標値に対し定常
偏差を±1℃以内に収めることとした。
【0025】以上の目的に対しシミュレーションを行
い、確認のためにテスト機による加熱基礎実験を行っ
た。この結果、PIDパラメータ調整が容易で、熱干渉
に関する問題を解決することができた。 2.制御対象とモデリング 〈2・1〉モデリング 多段バレル押出成形機のモデリングを行った。図13に
示したように、バレル11〜13は、鉄を主成分とする
円筒状の金属であり、外周からバンドヒータ14〜16
により加熱される。業務運転時のシステム変更が多いた
め、熱特性を分布定数系で解析した場合、モデリングか
ら得られる制御特性とコストがトレードオフになるこ
と、さらにロバスト制御の適用を考慮して、各パラメー
タを以下の熱流出入パラメータのみの集中定数系と考え
た。
【0026】図1に多段バレル押出成形機のモデル図を
示す。
【0027】バレルの温度[℃]:θk 単位時間にバレルに入る熱量[cal/sec]:qk バレルの熱容量[cal/℃]:Ck バレルの放熱熱量[cal(℃・sec)]:αk バレル間の熱伝導量[cal/(℃・sec)]:βk モデル図より求めた線形常微分方程式より、多段バレル
押出成形機の状態方程式と出力方程式は図2に示すよう
になる。
【0028】
【0029】〈2・2〉システム同定 本発明では、実験による検証を行うためモデリングから
得られた多段バレル押出成形機のモデルを、バレル両側
面から熱的干渉を有する3連バレル小型2軸押出成形機
(熱干渉最小バレル構成数モデル)に適用し、次の様な
テスト機によるステップ応答実験を行った。
【0030】すなわち、3つのバレルのうち1つを最大
制御入力で200℃まで加熱し、その後自然冷却を行っ
た。各バレルに対し同様な実験を5回行った。システム
同定は、得られた実験波形にステップ応答シミュレーシ
ョン波形をプロットすることにより、各パラメータを求
めた。各パラメータに対するヒストグラムを作成し、シ
ステムの公称値及び変動幅を求めた。特に、公称値は、
ヒストグラムの分布から最頻値を選んだ。
【0031】図3は本発明に係る多段バレル押出成形機
の実験装置の概略図であり、表1にその実験装置の詳細
を示す。
【0032】
【表1】
【0033】図3において、11〜13はバレル(丸バ
レル)、14〜16はバンドヒータ(1800W)、1
7〜19は冷却ファン、21〜23は熱電対(J型)、
31はコンピュータ(FC9801互換コンピュー
タ)、32はパラレルI/O、33はSSR(ソリッド
・ステート・リレー:Solid State Rel
ay)、34は電磁リレー、35は絶縁アンプ(増幅0
−10V)、36はA/D変換器(12bit)であ
り、これらから構成されている。
【0034】実験装置の構成より、サンプリング誤差
は、±0.5℃であるが、絶縁アンプ35は、出力波形
より電源の商用周波(50Hz)が乗り、およそ±0.
4℃の誤差が生ずる。したがって、計測系における誤差
は、±1.0℃の誤差を伴う。
【0035】表2にシステム同定より得られた各パラメ
ータ変動を示す。
【0036】むだ時間の表現は、低次元のK(s)を設
計するため2次のパディ近似式とした。
【0037】
【表2】
【0038】3.制御系の設計 〈3・1〉非干渉化制御 本発明では、状態フィードバック係数Hを用いてシステ
ムの非干渉化を行う。押出成形機3連バレルの状態方程
式、出力方程式の係数行列は図2より、
【0039】
【数1】
【0040】
【数2】
【0041】
【数3】
【0042】であり、状態フィードバック係数Hを
【0043】
【数4】
【0044】とし、むだ時間は無視できるものとする。
上記
【数1】、
【数2】、
【数3】より、D=0,かつ、A′=A−BHが対角化
可能であるから、非干渉化を実現するHは、
【0045】
【数5】
【0046】となる。この結果、系の伝達関数Gyvは、
【0047】
【数6】
【0048】と対角行列で表現される。
【0049】図4に状態フィードバックHを用いた押出
成形機3連バレルの非干渉化制御のブロック線図を示
す。
【0050】まず、バレル1P1 に注目する。H11がA
11に含まれる熱伝導量β1 を、H12がA12に含まれるそ
れを相殺するため、P1 は隣接するバレル2P2 からの
干渉を受けない独立した一次遅れ系とみなすことができ
る。同様に、P2 においても、H21がA21に含まれるβ
1 を、H23がA23に含まれるβ2 を相殺する。同じく、
3 では、H32がA32に含まれるβ2 を、H33がA33
含まれるそれを相殺する。したがって、各系はそれぞれ
干渉のないサブシステムに分割され、非干渉化が成立す
る。
【0051】〈3・2〉H∞外乱オブザーバの設計 状態フィードバックによる非干渉化制御は、プラントが
モデル誤差を持つとき完全に非干渉化を行うことは不可
能である。
【0052】これは、上記式(5)より状態フィードバ
ック係数Hは、バレル間の熱伝導熱量β[cal/(℃
・sec)]の公称値に基づき決定されるためである。
そこで、H∞外乱オブザーバを導入し外乱やモデル変動
を抑える設計をした。
【0053】H∞外乱オブザーバの導入によって外乱や
モデル変動を有する場合でも、各バレルの異なる目標値
に±1℃以内に偏差なく追従することを最終目的とす
る。
【0054】図5は本発明のH∞外乱オブザーバを付加
した非干渉化PID制御系のブロック線図を示す。
【0055】ここで、Pk (s)(k=1,2,3)
は、実制御対象の各バレル要素である。Pmk(s)(k
=1,2,3)は、仮想的入力vk (k=1,2,3)
から制御出力yk (k=1,2,3)の伝達関数に等し
く、公称値からなる規範モデルである。したがってPmk
(s)は、非干渉化した3連バレル小型2軸押出成形機
の各バレル単位を意味し、上記式(6)の各対角項成分
を基に作成される。なお、K(s)はH∞制御器、Hは
非干渉化クロスコントローラである。
【0056】図5の設計手順は、状態フィードバックに
よる非干渉化PID制御系を設計し、次に規範モデルP
m (s)を算出し、最後にH∞制御器K(s)を求め
る。
【0057】図5の制御系は、従来の非干渉化PID制
御に、H∞外乱オブザーバを構成するPmk(s)とK
(s)を新たに付け加えた構成となっている。
【0058】このため、K(s)は各バレルの目標値変
動に対しては不感であり、外乱やモデル変動の影響によ
りバレル温度が変動する場合のみ動作する。目標値の変
動に対する応答は、従来の非干渉化PID制御と同様に
設計することができる。制御系のサーボ機構はPID補
償器が担っている。したがって、PID制御の長所が生
かされる。
【0059】制御対象は、図6に示すように、ノミナル
プラントの出力側に乗法的変動が存在するプラントとし
て実現できる。K(s)の算出においては、制御系CA
DのMATLABを使用し、小ゲイン無限大ノルムロバ
スト制御問題を解く方法(hinf)を用いた。
【0060】以上から、H∞制御器K(s)設計仕様は
次のようにした。
【0061】(1)ロバスト安定の観点から、5×10
-3[rad/sec]以上の高周波領域において相補感
度関数WT (s)のゲインは0[dB]とし、−20
[dB/dec]で減衰する。
【0062】(2)できるだけ感度関数S(s)を低周
波領域で小さくする。設計仕様(1)より、変動上限の
安定な相補感度関数WT (s)を
【0063】
【数7】
【0064】と決め、設計仕様(2)を満足するため、
感度関数をWS (s)をパラメータρ>0を含んだ
【0065】
【数8】
【0066】とし、これを調整することによって低感度
化を図る。混合感度問題を解き一般化制御対象Gを求め
た。次に、H∞標準問題をρ=14、自由パラメータU
=0として解き、以下のコントローラを得た。
【0067】
【数9】
【0068】4.シミュレーション結果 〈4・1〉非干渉化PID制御シミュレーション 本シミュレーションは、非干渉化の有無による応答の違
い、外乱応答を比較する。シミュレーション条件は以下
の様にした。
【0069】(1)目標値は温度干渉を発生するため
に、各バレルの温度設定をバレル1を100℃、バレル
2を125℃、バレル3を150℃と異なったものとす
る。
【0070】(2)PIDコントローラは、位置型PI
D制御を用いた。PIDパラメータは、比例ゲインKP
=2.8、積分時間KI =18000sec、微分時間
D=60secとした。
【0071】(3)非干渉化を行うため、離散化は零次
ホールド法を用い、サンプリング周期は20secとし
た。また、むだ時間は二次のパディ近似とした。
【0072】PID制御と非干渉化PID制御の比較シ
ミュレーション結果を図7に示す。
【0073】バレルの内部の発熱及び吸熱等の熱外乱を
考慮に入れ、制御対象の入力側に冷却外乱を設定した。
外乱はシミュレーション開始から3時間後に一定外乱を
挿入し4時間後に外乱の挿入を止めた。
【0074】図7(a)は外乱やモデル化誤差が発生し
ていない理想的環境における制御シミュレーション、図
7(b)は途中冷却外乱が発生した場合の制御シミュレ
ーション結果を示す。ここで、点線はPID制御のみ、
実線はPID制御に状態フィードバックによる非干渉化
制御を追加した時のそれぞれのシミュレーションを表
す。
【0075】バレル1<バレル2<バレル3と25℃ず
つ目標値を高く設定しているため、バレル1はバレル2
から熱をもらう形で干渉が発生し、バレル3はバレル2
へ熱をあげる形で干渉が発生する。図7(a)では、P
ID制御のみでは約8時間経過後でさえ、それぞれの目
標値に整定しない。しかし、非干渉化制御を追加する
と、バレル間の熱干渉を状態フィードバックにより相殺
するため、どのバレルも他のバレルからの影響を受けず
に約1時間30分で整定していることが分かる。
【0076】しかし、図7(b)の外乱の影響を受けた
場合、完全な非干渉化を行うことができず、PID制御
の場合はバレル1、非干渉化制御の場合はバレル1とバ
レル3ともに8時間経ても目標値に整定しない。
【0077】〈4・2〉H∞外乱オブザーバを付加した
温度制御シミュレーション 図5のH∞外乱オブザーバを非干渉化PID制御系に付
加した制御系に対し、目標値応答特性・ロバスト性・外
乱応答特性の検討を行う。シミュレーション条件は非干
渉化PID制御の場合と同様とした。
【0078】最初に、目標値応答特性・ロバスト性の検
討を行った。システム同定より求めた変動幅から、各パ
ラメータの最大値・最小値を用いて目標値応答特性より
ロバスト性を評価した。非干渉化PID制御の場合とH
∞外乱オブザーバを付加した場合の両制御系に対し、プ
ラントがモデル誤差を持つときの目標値応答シミュレー
ション結果を図8に示す。ここで、図8(a)は非干渉
化PID制御の場合、図8(b)はそれにH∞外乱オブ
ザーバを付加した場合のシミュレーション結果である。
【0079】非干渉化PID制御では、図8(a)に示
すとおり、プラントにモデル変動が発生すると、目標値
応答にばらつきが見られる。しかし、H∞外乱オブザー
バを付加すると、図8(b)に示すとおり、プラントが
モデル変動を起こしても規範モデルに追従し、良好な目
標値応答が実現できている様子がわかる。
【0080】次に、H∞外乱オブザーバを付加した場合
の外乱応答を検証した。このシミュレーション結果を図
9に示す。
【0081】H∞外乱オブザーバを付加しない場合は、
外乱の影響で大きな偏差を生じ8時間後においても目標
値に収束していない。H∞外乱オブザーバを付加した場
合、外乱挿入途中でも外乱値を推定し目標値に追従しよ
うとしている。このため、外乱挿入終了(14400s
ec)から多少オーバーシュートを生じるが、40〜5
0分にて目標値の±1℃以内に整定している。通常PI
D制御器の積分器Iは、一定外乱の下で定常偏差をなく
す機能を有する。また、H∞外乱オブザーバは、外乱影
響を低減する働きがある。この結果、本発明では定常偏
差のない短時間の目標値整定が得られた。5.テスト機
による実験結果 〈5・1〉非干渉化PID制御実験 非干渉化PID制御におけるシミュレーション結果の確
認のため、テスト機において、シミュレーションと同じ
条件で実験を行った。ただし外乱応答実験において外乱
としてファンを用い、バレル側面より1時間空冷した。
図10に外乱を加えたときの外乱応答特性実験結果を示
す。
【0082】PID制御ではバレル1、非干渉化制御で
はバレル3が外乱の影響により偏差を生じ、6時間後に
おいても目標値に整定していない。これは、外乱によっ
て両制御法ともに熱干渉の影響を改善できないためであ
る。この偏差をなくすためのPIDパラメータの推定は
困難である。以上から、テスト機においても、図7のシ
ミュレーションと同様に満足する目標値整定を得られな
い。
【0083】〈5・2〉H∞外乱オブザーバを付加した
温度制御実験 非干渉化PID制御系にH∞外乱オブザーバを付加した
シミュレーション結果の確認のため、テスト機における
外乱応答特性実験を行った。実験は、シミュレーション
と同じ条件にて行い、また外乱には冷却ファンを用い外
乱値は未知である。H∞外乱オブザーバを付加したとき
の外乱応答特性実験の結果を図11に示す。
【0084】実験によっても、シミュレーションと同様
な結果が得られ、全バレルが外乱挿入終了時刻(144
00sec)より、約40分で目標値の±1℃以内に整
定している。H∞外乱オブザーバによってモデル変動及
び外乱による影響を抑え完全な非干渉化を実現した。 6.各制御系における比較実験 図12に非干渉化PID制御の場合〔図8(a)〕とH
∞外乱オブザーバを付加した場合〔図8(b)〕の両制
御系に対する実験結果拡大波形を示す。
【0085】このとき、各制御系ともにPIDパラメー
タは、前節と異なり微分時間KD のみ550secと大
きくした。また、両波形ともにバレル2の応答を拡大し
たものである。
【0086】この結果、非干渉化制御を適用した場合、
PIDパラメータのうちKD を大きくしたため、約20
400sec付近のように定常状態においても目標値の
±1℃以内に整定していない場合があり、また最大で約
1.5℃の振幅がみられた。
【0087】一方、H∞外乱オブザーバを付加した場
合、PIDパラメータのKD が大きくとも目標値に±1
℃以内に収束しかつ最大変動幅は約0.5℃であり、定
常状態におけるバレル温度の安定を確認できる。H∞外
乱オブザーバを付加することによって、よりロバストな
制御系を実現し、PIDパラメータを厳密に調整しなく
ても、最適な目標値設定を得ることができる。
【0088】本発明によれば、上記のように構成したの
で、 (1)押出成形機の各バレルを独立に、厳密な温度設定
を行うことができるので、従来の押出成形機よりも、精
密な温度勾配を規定でき、高品位な成形品の生産を行う
ことができる。 (2)現在、現場で実装されているPID制御系を主な
制御系として捉え、これに現代制御理論及びH∞制御理
論の枠組みを融合させるようにしたので、現場運転員は
従来のPID調整系をそのまま扱うことができる。 (3)押出成形機の生産ラインを変えずに、本発明を適
用させるようにしたので、製造コストがかからずに実現
可能であり、より厳密な温度制御を実現できる。 (4)シミュレーションによる検証のみではなく、押出
成形機のテスト機による実験を行うことにより、本発明
の有効性を実証することができる。 (5)運転条件や環境条件の影響を受けやすい温度プロ
セス系に対しては、先端的制御理論を適用することは困
難であるが、本発明は、この温度プロセス系に対する先
端的制御理論の設計手法を用いて、実用化に即してお
り、きわめて有意義である。
【0089】したがって、以下のような成果を奏するこ
とができる。 (1)押出成形機の各バレル間における熱的干渉の問題
を解決した。 (2)外乱やモデル変動の影響を受けても各バレルの目
標値に対して定常偏差を±1℃以内に収めることを実現
した。産業機械の設置される厳しい環境条件でも、厳密
な温度制御が可能となった。 (3)現場運転員の熟練技術を必要とせず、より高品位
な成形品の生産が可能となった。
【0090】なお、本発明は上記実施例に限定されるも
のではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能
であり、これらを本発明の範囲から排除するものではな
い。
【0091】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に
よれば、自動制御により押出成形機の温度安定化を図る
ことができ、熟練を要することなく、安定して高品質の
プラスチック成形品を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される押出成形機の多段バレル押
出成形機のモデル図である。
【図2】多段バレル押出成形機の状態方程式と出力方程
式を示す図である。
【図3】本発明に係る多段バレル押出成形機の実験装置
の概略図である。
【図4】本発明に係る押出成形機3連バレルの非干渉化
制御のブロック線図である。
【図5】本発明に係るH∞外乱オブザーバを付加した非
干渉化PID制御系のブロック線図である。
【図6】プラントの乗法的変動を示す図である。
【図7】PID制御と非干渉化PID制御の比較シミュ
レーション結果を示す図である。
【図8】プラントがモデル誤差を持つときの目標値応答
シミュレーション結果を示す図である。
【図9】H∞外乱オブザーバを付加した場合の外乱応答
特性シミュレーション結果を示す図である。
【図10】PID制御と非干渉化PID制御の外乱応答
特性実験結果を示す図である。
【図11】H∞外乱オブザーバを付加した場合の外乱応
答特性実験結果を示す図である。
【図12】各制御系の比較実験結果を示す図である。
【図13】従来の押出成形機の模式図である。
【図14】従来の押出成形機のバレルの断面模式図であ
る。
【符号の説明】
11〜13 バレル(丸バレル) 14〜16 バンドヒータ(1800W) 17〜19 冷却ファン 21〜23 熱電対(J型) 31 コンピュータ(FC9801互換コンピュー
タ) 32 パラレルI/O 33 SSR(ソリッド・ステート・リレー) 34 電磁リレー 35 絶縁アンプ(増幅0−10V) 36 A/D変換器(12bit) K(s) H∞制御器 H 非干渉化クロスコントローラ Pmk(s) 仮想的入力vk から制御出力yk の公称
値伝達関数

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 押出成形機の加熱バレルの非干渉化温度
    制御方法において、仮想的入力vk から制御出力yk
    公称値伝達関数に等しい伝達関数Pmk(s)とH∞制御
    器K(s)から構成されるH∞外乱オブザーバを導入
    し、外乱やモデル化誤差の影響によるバレル温度の変動
    を抑止することを特徴とする押出成形機の加熱バレルの
    非干渉化温度制御方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の押出成形機の加熱バレル
    の非干渉化温度制御方法において、前記制御系はPID
    制御系であることを特徴とする押出成形機の加熱バレル
    の非干渉化温度制御方法。
JP27784699A 1999-09-30 1999-09-30 押出成形機の加熱バレルの非干渉化温度制御方法 Pending JP2001096608A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016012228A (ja) * 2014-06-27 2016-01-21 株式会社Kelk 半導体ウェーハの温度制御装置、半導体ウェーハの温度制御方法
US10332764B2 (en) 2016-08-17 2019-06-25 Kelk Ltd. Temperature controller of semiconductor wafer and temperature control method of semiconductor wafer

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