JP2001091264A - 高いq値を有する角速度検出ジャイロスコープ - Google Patents

高いq値を有する角速度検出ジャイロスコープ

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JP2001091264A
JP2001091264A JP2000014190A JP2000014190A JP2001091264A JP 2001091264 A JP2001091264 A JP 2001091264A JP 2000014190 A JP2000014190 A JP 2000014190A JP 2000014190 A JP2000014190 A JP 2000014190A JP 2001091264 A JP2001091264 A JP 2001091264A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 角速度検出ジャイロスコープの精度と効率を
改善するための構造と配列を開示する。 【解決手段】 電圧ピックオフ用導体が、ジャイロスコ
ープが回転的に静止している場合に実質的にゼロの応力
を受ける角速度検出ジャイロスコープの共振エレメント
の表面に取付けられている。同じように、ジャイロスコ
ープが回転的に静止している場合に実質的に均一なレベ
ルの応力を受ける共振エレメントの領域によって規定さ
れる箇所に、アクチュエータ用導体が共振エレメントに
取付けられている。圧電共振エレメントの電圧応答を改
善する方法も開示されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、共振エレメントを
利用するタイプの角速度センサーに関する。詳しくは、
本発明は、レートジャイロスコープの共振エレメントの
上におけるアクチュエータとピックオフの形状と配置に
関する。
【0002】
【従来の技術】レートジャイロスコープは慣性の原理に
基づいて作動する。共振エレメントに定常波が励起さ
れ、所定数の節(node)を有する所望の振動モードを生じ
る。この振動は、振幅、周波数及びジャイロスコープ自
体の直線・回転慣性とは別個の固有振動慣性を有してい
る。共振エレメントがその検出軸を中心に回転する時
に、振動の大部分はその絶対的空間配向を維持する。し
かし、その絶対的空間配向を維持する際に、所望の振動
モードを規定する節は、共振エレメントの物理的構造に
対して回転する。この節の回転は、共振エレメントに付
与される物理的回転に比例する。この現象を利用して回
転速度を測定し、共振エレメントが受ける回転の量と方
向を求めることが可能である。
【0003】上述の原理に基づく固体ジャイロスコープ
は一つの軸を中心とする回転だけを検出可能である。本
体の相対姿勢を求めるのに充分な情報を得るには、デカ
ルト座標のx,y,z軸をカバーする直交関係にある少
なくとも三つのこのようなジャイロスコープを配置する
ことが必要である。周知のタイプの角速度センサーの一
つは、対になった同調フォーク型に配列された圧電セラ
ミック結晶を使用している。このタイプの例は、Watson
の米国特許4,628,7734及びKimuraの米国特許4,671,112
に示されている。このタイプのセンサーでは、一対の駆
動エレメントにエネルギが付与され、それに制御された
振動を誘起する。これらの駆動エレメントは、振動が一
つの平面内で誘起されるように配置されている。これら
の駆動エレメントの端部には検出エレメントが接続さ
れ、前記一つの平面内で駆動エレメントと共に振動す
る。しかし、この検出エレメントは、その変形が駆動エ
レメントの振動面に垂直な平面内でのみ生じるように配
置されている。この垂直面で振動する検出エレメントに
回転力を付与することによって検出出力信号が誘起さ
れ、この出力信号はモニターされフィルタされて、検出
エレメントが取付けられている検出対象の角速度の変化
を特徴付ける。同調フォーク型の角速度センサーは、検
出エレメントを駆動エレメントから90°回転させるこ
とによって駆動エレメントから検出エレメントを切り離
すように構成されているが、駆動エレメントの振動に起
因する小さな曲げ力が検出エレメントに印加される。こ
れらの好ましくない曲げ力は電圧信号を発生させ、検出
エレメントの電圧出力のノイズ比に関して前記信号を劣
化させ、角速度センサーがその検出軸を中心に回転して
いると言う誤った情報を示すことがある。
【0004】別のタイプの角速度センサーは、公知のよ
うに振動せしめられるカップ型又はベル型共振器を使用
している。このようなセンサーの一つが、図1〜図3に
示すVarnham 他の米国特許5,218,867 に示されている。
Varnham 共振器のカップ部分はステムの上に支持され、
このステムはセンサーの架台に固定されている。Varnha
m は互いに45°の角度で配置された一対のアクチュエ
ータを使用し、共振器に所望の振動モードを誘起する。
この共振器自体は圧電セラミック材料で作られ、アクチ
ュエータは薄い又厚い導体材料であって公知のように共
振器の壁に直接取付けられている。回転速度を検出する
ために、このVarnham の装置は、構造的にはアクチュエ
ータと同一で前記一対のアクチュエータと直径方向に対
向して取付けられた一対のピックオフを提供する。これ
らのアクチュエータを通じて、アクチュエータ駆動ネッ
トワークが作動して共振器に位相がロックされた電圧波
形を印加し、これによって共振器を所望の振動モードを
する。ピックオフは、センサーの角度的回転によって生
じた所望の振動モードの変化を検出する。ピックオフか
らの信号はセンサーの回転速度に比例し、得られた信号
を時間で積分することによって、センサーが回転した実
際の角度を求めることができる。この回転角度はアクチ
ュエータ駆動ネットワークによって用いられて、共振器
に印加された波形を修正して共振器を所望の振動モード
に復帰させる。
【0005】Varnham に特許が与えられたタイプの角速
度センサーに伴う問題点は、比較的低いQ値、低い感度
及び低い精度である。例えば、Varnham の装置等の従来
技術の装置のアクチュエータとピックオフは、共振器の
壁の広い応力勾配の範囲をアクチュエータとピックオフ
が跨ぐように共振器に取付けられた均一な大きな導体材
料のパッチである。圧電電圧は圧電材料の応力にほぼ比
例するので、多数の応力勾配を横切って印加された電圧
は、圧電材料の内部の異なる応力の領域同士を互いに作
用させ、共振器のQ値を減少させる。同じように、広い
応力勾配を横切って測定された電圧は、ピックオフが横
切る共振器内の各応力勾配に生じる電圧の平均に更に近
くなる。
【0006】その上、応力勾配を横切ってアクチュエー
タとピックオフを設けることは、圧電材料の不均一な電
圧応答と相俟って、共振器をその望ましいモードで駆動
することを難しくしている。適正な振動を保証するため
には、振動を修正するのに更に多くのエネルギが費やさ
れ、共振器のQ値を低下させる。振動システムのQ値と
は、各振動サイクルにおいてシステムに付加されるエネ
ルギの大きさに対する振動システムの全エネルギの大き
さの比率である。
【0007】ピックオフの導体パッチのサイズが大きい
ことは、Varnham の特許に開示されているタイプのレー
トジャイロスコープの精度を低下させる。図3は大きな
表面積を有する従来技術のピックオフとアクチュエータ
用導体Cを示す。圧電材料は電圧応答が均一でなく、し
たがって大きな表面積を有するピックオフは圧電材料の
不均一な電圧応答によって歪められた正味電圧を検出す
ることが多い。ピックオフの被覆領域が大きいほど、ピ
ックオフによって検出される電圧が共振器の圧電材料の
不均一な電圧応答に起因する信号を含む傾向が高くな
る。そして、ピックオフによって検出された実際の電圧
が非常に小さいので、不均一な電圧応答に起因する電圧
信号成分は、この信号を、ジャイロスコープの回転の速
度と量を正確に求めることが困難な程度の検出電圧のノ
イズに対する信号の比にまで変えてしまうことが多い。
更に、共振器を構成する圧電材料の各領域の電圧応答は
ジャイロスコープの作動する環境の温度の変化とは無関
係に変動することも多いので、検出された電圧の信号に
対するノイズの比は更に劣化する。
【0008】一般に、圧電材料は、焼結され、強力な直
流電圧の印加によって特定の極性を付与された多くの個
々の結晶でできている。この極性化が圧電材料の個々の
領域全体、例えばアクチュエータとピックオフの導電性
パッチによって被覆された共振器の表面全体にわたって
行われた場合、各領域の縁の材料の極性化は好ましい方
向には行われず、したがって不規則な電圧応答を生じ
る。更に、共振器の圧電材料が不規則な応力や変形を受
けることは普通である。不規則な応力や変形と不均一な
縁部の極性化との組合せによって、この角速度センサー
の精度と感度に大きな変動を生じ、システムのQ値も低
下する。
【0009】前述の問題に加えて、コネクタとして細い
ワイヤを用いて、共振器上のアクチュエータとピックオ
フ及びこれに連携する検出・フィルタ用電子機器との間
の電気的接続を行うことは公知である。図1を参照され
たい。これらのワイヤは各端に接続されているが、その
間では支えられていない。これらの接続部を形成するの
に使用されるワイヤは、共振器の振動との干渉を避ける
ために非常に細くなければならない。接続用ワイヤを細
くするとその強度が小さくなり、そのような小さな接続
部を形成するのによく使用される超音波接合プロセスに
よって加えられる力や内部応力に起因して故障すること
が多い。その上、ワイヤと共振器との間の物理的接触部
に共振器上ではんだやはんだ状材料を使用すると、所望
の振動モードの誘起と維持を阻害することが多く、それ
によってシステムのQ値が低下する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の一つの目的
は、均一に極性化された圧電共振器を提供することにあ
る。本発明のもう一つの目的は、共振器の壁の実質的に
等しい応力の領域に一致した形状を有し、共振器に印加
される単位電圧当たりの共振器の壁の変形を最大にする
ように共振器上に位置決めされた複数のアクチュエータ
を設けることによって、共振器の精度とQ値を改善する
ことにある。同様に、本発明の更に別の目的は、圧電共
振器上にアクチュエータとピックオフを適正に配置する
ことによって、好ましくない振動モードを抑制すること
にある。本発明の他の目的は、共振エレメントに現れる
好ましくない応力と変形に起因するエラーを最小にする
ピックオフの構造を提供することにある。更に他の目的
は、ジャイロスコープが作動する環境条件の変動に起因
する、節に設置されたピックオフで検出された出力電圧
の固有の変化を減少させることにある。更に又別の目的
は、アクチュエータ、ピックオフと、これらのアクチュ
エータとピックオフから受けた又はこれらに送る電気信
号をフィルタし処理するのに使用される電子機器との間
に信頼性の高い電気的接続を提供することにある。
【0011】
【発明の実施の形態】前述の背景に留意して、角速度検
出用ジャイロスコープによって検出された角速度の変化
におけるエラーを最小にする、改善されたピックオフ及
びアクチュエータ用導体が開発された。更に、本発明を
組み入れた角速度検出用ジャイロスコープは一層均一な
電圧応答を有し、損傷に対して抵抗性を有する導体リー
ド線を具えている。
【0012】本発明によって構成された角速度検出用ジ
ャイロスコープは、誘起された応力レベルに比例した電
圧信号を出力するように配置・構成された共振エレメン
トと、該共振エレメントに所定のモードの振動を付与す
る手段と、共振エレメントから出力された応力起因型電
圧信号を検出するように配置・構成された電圧ピックオ
フ用導体と、該ピックオフ用導体によって検出された電
圧信号を処理する手段とを具えている。このピックオフ
は、ジャイロスコープが回転的に静止している場合に実
質的にゼロの応力を受ける共振エレメントの表面領域に
取付けられている。その結果、ピックオフ用導体によっ
て検出されたすべての電圧信号は、ジャイロスコープの
回転速度の指標となる。
【0013】本発明による共振エレメントは、複数の安
定した節と腹で定義された所定の振動モードで振動可能
な特徴を有する。本発明のアクチュエータ用導体は、実
質的に腹の位置に前記共振エレメントの表面に取付けら
れ、ピックオフ用導体は実質的に節の位置に取付けられ
ている。アクチュエータ用及びピックオフ用導体をそれ
ぞれ腹と節の位置に取付けたこの好ましい構成により、
一層感度が高く効率的な角速度検出用ジャイロスコープ
が得られる。
【0014】本発明のアクチュエータ用導体は、ジャイ
ロスコープが回転的に静止している場合に実質的に均一
なレベルの応力を受ける共振エレメントの領域と一致す
る境界線によって規定される共振エレメントの表面の所
定位置に取付けられる。又は、アクチュエータ用導体が
取付けられる領域は、ジャイロスコープが回転的に静止
している場合に共振エレメントに現れる実質的に均一な
応力の領域を規定する少なくとも一つの応力勾配ライン
によって区切られている。基本的には、アクチュエータ
用導体の縁部は共振エレメントにおける実質的に均一な
応力の領域を特定する応力勾配ラインに一致する。アク
チュエータ用導体の少なくとも一つは縦方向に対称な二
つの半体で構成されていることが好ましいことが多い。
これら対称位置にある半体は互いに電気的に隔離され、
アクチュエータを通じて共振エレメントに所定の一連の
電圧信号を共振エレメントに印加して該共振エレメント
に所定の振動モードを付与するように構成・配置された
駆動回路に、別々に電気的に接続されている。
【0015】共振エレメントの節にピックオフ用導体を
設置することにより、ピックオフ用導体は、ジャイロス
コープが回転的に静止している場合に実質的にゼロの正
味の電圧信号を検出する。しかし、幾何学的な又は電圧
応答の不連続性に起因して、ジャイロスコープが回転的
に静止している場合にピックオフ用導体によって検出さ
れた正味の電圧信号が実質的にゼロでない場合には、ピ
ックオフ用導体と導通する平衡導体が共振エレメントの
表面に取付けられる。この平衡導体は、ジャイロスコー
プの共振エレメントが回転的に静止している場合に電圧
ピックオフ用導体によって検出された正味の電圧信号を
ゼロにするように配置・構成されている。
【0016】共振エレメントは多くの適宜な形状から選
ばれる。共振エレメントの例としては、これに限定され
るものではないが、円柱、リング及びバーの形状をした
ものか挙げられる。共振エレメントとして使用されるバ
ー形状の構造体は多角形状断面を有する。好ましいバー
形状の共振エレメントの例は、各長手方向の側面に導体
エレメントを具えた三つの長手方向側面を有する三角柱
である。この例では、三つの導体エレメントの中の二つ
がピックオフ用導体として使用され、第3のものがアク
チュエータ用導体である。好ましい共振エレメントの別
の例は、圧電材料で形成された曲線状の軸対称のシェル
である。
【0017】本発明は、複数の脚部材によって磁場に支
持構造体から吊り下げられたリングを具えたタイプの角
速度検出ジャイロスコープと共に使用することも可能で
ある。このリング型共振エレメントは、以下に更に詳し
く述べるように、複数の振動の節と腹によって定義され
た共振周波数で振動可能である。このリングは、更にジ
ャイロスコープの回転速度の指標である電流を検出する
ように配置された複数のピックオフ用導体を具えてい
る。回転を示すこれらの電流は、リングがジャイロスコ
ープの回転によって偏った場合に磁場を通ってリングと
導体が運動することにより、ピックオフ用導体内に誘起
される。リング上には磁場を通って電流を流すように複
数のアクチュエータ用導体も配置され、それによってリ
ングに共振を誘起するように構成されている。本発明
は、このような速度検出用ジャイロスコープにおいて、
リングを複数対の脚部材によって支持する改良を行って
いる。これらの脚部材は、リングの節に隣接して位置決
めされ、節に対称に取り付けられている。ピックオフ用
導体は脚部材の上に配置されてループを形成し、各ピッ
クオフ用導体は一対の脚部材の一方の脚部材に沿って下
方に延び、該脚部材の対の中間のリングの部分を横切
り、前記脚部材の対の残りの脚部材に沿って上方に戻
る。この構成は、ピックオフ用導体の部分をリングの各
節を中心に対称的にリング上に配置するので好ましい。
同様に、複数のアクチュエータ用導体はループ状に配置
され、第1脚部材の対の一つの脚部材に沿って下方に延
び、前記第1脚部材の対と第2の脚部材の対との中間の
リングに沿って延び、前記第1脚部材の対に最も近い方
の第2脚部材の対の一つの脚部材に沿って上方に戻る。
この構成も、アクチュエータ用導体をリングの各腹を中
心に対称に配置することができる。ピックオフ用及びア
クチュエータ用の導体で形成された各導体ループは、ジ
ャイロスコープを作動させる回路手段に電気的に接続さ
れている。
【0018】本発明のこの実施例では、リングの各節と
腹は、それぞれピックオフ用導体又はアクチュエータ用
導体を具えている。しかし、各節及び腹はそれと連携す
る導体を持たなくてもよい。更に、ピックオフ用導体と
アクチュエータ用導体を前記リングの実質的に全周にわ
たって延在させることが望ましいが、これも必須ではな
い。
【0019】直交する平面内で互いに結合された、平行
な一対の圧電駆動エレメントと平行な一対の圧電検出エ
レメントと、これら駆動エレメントと検出エレメントに
電気的に接続された複数のリード線と、該リード線に電
気的に接続された複数のリード端子とを含む振動部品か
らなる同調フォーク型の角速度検出用ジャイロスコープ
では、本発明による電圧ピックオフ用導体は各検出エレ
メントの表面に配置されている。これらのピックオフ用
導体は、共振エレメントから出力された角速度検出用ジ
ャイロスコープの回転速度の指標である応力誘起型電圧
信号を検出するように配置・構成されている。ピックオ
フ用導体は、角速度センサーが回転的に静止している場
合に実質的にゼロの応力を受ける検出エレメントの表面
領域に取付けられている。電圧ピックオフ用導体は、検
出エレメントからリード線に達する電気経路を提供す
る。
【0020】本発明のもう一つの実施例では、多角形断
面を有する共振エレメントは、その側面に取付けられた
所定数の改良型導体エレメントを有する。この導体エレ
メントは、角速度検出用ジャイロスコープが回転的に静
止している場合に電位差によって検出されたゼロの駆動
運動応力を受ける共振エレメントの側面領域に取付けら
れる。この実施例の導体エレメントは、更に、導体エレ
メントに電気的に通じるように共振エレメントに取付け
られた電圧平衡導体を具え、角速度検出用ジャイロスコ
ープが回転的に静止している場合に前記導体エレメント
によって検出される正味電圧信号がゼロになるように構
成されている。実質的に共振エレメントの全長にわたっ
て取付けられた導体エレメントを使用した電位差による
検出は、共振エレメントに対して均等に付与された振動
や磁場等の外乱を減衰させる傾向があることに留意する
ことが肝要である。共振エレメントを所望のモードで振
動させる別のやり方は、望ましくない振動モードを物理
的に減衰させることである。これは、共振エレメントの
幾何学的形状をエレメント上の所定位置で変更すること
で達成される。この振動の物理的減衰法は、リング状又
は円柱状エレメント等の軸対称型共振エレメントに対し
て特に利用可能であるが、それ専用ではない。リング及
び円柱状共振エレメントに関しては、好ましくない振動
モードを物理的に減衰させる特別の手段は、これらの共
振エレメントの腹の位置で壁又は断面を厚くすることで
ある。
【0021】共振エレメントの圧電材料が均一な電圧応
答を有する場合に、速度検出用ジャイロスコープは更に
正確になる。第1、第2の対向する表面を有する中実の
共振エレメントの所定位置における圧電共振エレメント
の均一な電圧応答を改善する方法は、厚い又は薄いフィ
ルム状導体を共振エレメントの第1表面全体に取付ける
ことから始まる。次に、別のフィルム状導体を共振エレ
メントの第2表面全体に取付ける。取付けられた各フィ
ルム状導体は次に直流電源に接続され、所定の強さの直
流電圧が各フィルム状導体を横切って印加され、各フィ
ルム状導体同士の間の位置する圧電材料の実質的に全領
域にわたって、共振エレメントの圧電材料の電圧応答を
均等に修正する。最後に、各フィルム状導体の所定部分
が除去されて、前記共振エレメントの一方又は両方の表
面に配置された複数の離散的なフィルム状導体が形成さ
れる。
【0022】軸対称型共振エレメントを具えたレートジ
ャイロスコープの有効寿命は、共振エレメントの表面に
配置されたアクチュエータ用導体とピックオフ用導体の
それぞれから共振エレメントのベース部分まで延在する
複数のフィルム状導体リード線を設けることで大幅に改
善される。フィルム状導体のリード線はアクチュエータ
用導体とピックオフ用導体とをこの角速度検出用ジャイ
ロスコープを作動させる回路に電気的に接続している。
ワイヤの代わりにフィルム状導体のリード線を用いるこ
とによって、ワイヤが応力に起因して破損する故障を少
なくすることができる。
【0023】本発明の好適実施例は、レートジャイロス
コープに使用される種々のタイプの共振エレメントと関
連して用いられる。しかし、本発明の好適実施例は、図
1、図3〜図5に示された軸対称のシェル10に適用さ
れたものとして説明される。このシェル10は、図2に
示されるように二つの節直径(nodal diameter)(n=
2)によって特徴づけられるより好ましい振動モードを
有する共振周波数で振動することができる。ここに述べ
る改良は、本明細書に記載された特定の実施例以外にも
適用可能であり、したがってこれらの実施例に限定され
るものではないことを理解すべきである。
【0024】図1、図3〜図5に示すように、この好適
実施例のシェル10はほぼ円筒形をなし、対称軸12を
有する。シェル10の上部は上縁16を有する比較的薄
い壁14の中空シリンダである。シェルの下部又はステ
ム18はシェルの上部を支え、ベース20内に受け入れ
られるように構成されている。その代りにこのベース2
0はシェル10をセンサーの架台(図示しない)に取付
けるように配置され、細いワイヤ23で複数の導体Cに
接続された電線22を具え、これらの導体はシェル10
の表面に設けられセンサーの電気部品に接続されてい
る。ベース20上のOリング24が、センサーの架台の
振動等の外部からの入力からシェル10を隔離してい
る。
【0025】このシェル10は、シェル10の変形ある
いは曲がりが電荷又は電圧信号を発生し、シェル10に
印加される電圧がシェル10に変形あるいは曲がりを生
じるように、圧電材料で作られている。軸対称シェル1
0にとって好ましい振動モードが図2に示されている。
シェル10の上縁16は、26で示された第1節直径と
28で示された第2節直径との間でその最低共振周波数
で振動する。図2から判るように、シェルの上縁16は
各節直径26と28において楕円形をなす。この好まし
い振動モードにおいて、シェル10の上縁16は四つの
節(node)Nと四つの腹(anti-node) Aを有する。これら
の腹Aはシェル10の上縁16の最大変位点、即ち前記
二つの節直径26、28の両端に位置し、節Nは変位が
ゼロの点に位置する。節Nと腹Aは相互に45°離れて
いる。
【0026】シェル10が図2に示すようにその共振周
波数で振動する場合、節N上に正しく位置する壁14の
圧電材料は変形せず、したがって節Nで検出された電荷
信号は実質的にゼロとなる。逆に、腹Aに位置する壁1
4の圧電材料は共振周波数で振動する際に変形し、相対
的に大きな電荷信号を発生する。容易に判るように、振
動の際にシェル10の壁14には応力が生じる。これら
の応力は、シェル10の壁14の圧電材料の変形量即ち
振幅に相当する。図5は、図2に示されたように振動す
る軸対称シェル10にこれらの応力がどのように分布し
ているかを模式的に示したものである。シェル10の壁
14に実際に発生する応力パターンは、図5の模式図と
は異なる場合もあることに留意されたい。シェル10が
二つより多い節直径を持つ(即ちn>2)モードで振動
せしめられる場合には、シェル10の壁14に発生する
応力パターンは図5に示されたものとは異なる。しか
し、本発明の原理はその場合にも適用される。
【0027】図5では、ライン18は、振動の際のシェ
ル10の変形によってシェルの壁14に発生した等しい
応力勾配を示す。定義によれば、節Nにおける壁14の
変形とこれによる応力は実質的にゼロである。しかし、
腹Aにおいては壁14は大きく変形し、したがって大き
な応力を受け、その応力のレベルはシェル10の上縁1
4に近いほど大きくなる。シェル10の壁14はその底
部では実質的に固定され、一方、上縁16の近傍では自
由に変形する。壁14の基礎の近くでは、壁14の変形
が非常に少なく、したがってそれに応じた応力が発生す
る。
【0028】図5に示されているように、この振動モー
ド即ちn=2の場合には、シェル10の壁14の圧電材
料の応力は節Nでは殆ど存在せず、腹Aで最大となる。
好ましい振動モードはn=2であるけれども、二つより
多い節直径、例えばn=2、4、6、8--- 等の偶数個
の節直径によって定義されるモードでシェルを振動させ
てもよいことを理解すべきである。本発明のこの好まし
い実施例は、僅かな変更を加えるだけで二つより多い節
直径を有する安定したモードで振動する共振器Rに対し
ても適用可能であることを理解すべきである。
【0029】図3は、壁16の比較的大きい領域全体に
シェル10の壁に直接取付けられた従来技術の導体Cを
有する軸対称シェル10を示す。これらの比較的大きい
導体Cは同じものであり、シェル10の振動によってシ
ェル10の壁14の圧電材料に発生する多数の異なる応
力勾配を包含する。この従来技術の導体Cは、シェル1
0を構成する圧電材料に対して電圧信号の授受を行うの
に使用されている。代表的な例としては、シェル10の
内部の全部又は一部が接地された導体Gで被覆され、導
体Cによってシェル10の壁14に電気信号が印加され
た場合に、シェル10の壁14を横切って必要な電位差
が生じるように構成されている。この導体Gは、シェル
10の外面を包み込んで各導体C同士の間に延在するフ
ィンガを有している。これらのフィンガは接地され、各
導体Cを互いに電気的に隔離する作用を行う。
【0030】従来技術の導体Cと同様にシェル10の壁
14の大きい領域を横切って均一な電圧を印加する代わ
りに、図4と図6に示されているように、特殊形状を有
するアクチュエータ40を使用して電圧信号をシェル1
0に対して印加する方が有利であることが判った。この
アクチュエータ40は、常態では実質的に均一な応力を
受けるシェル壁14の領域を覆うような形状を有する。
各アクチュエータ40の外形線は、図4と図5に示され
た応力勾配ライン18の形状に忠実に従っている。好ま
しくはアクチュエータ40の外形線は応力勾配ライン1
8に平行で、これと交叉していない。
【0031】本発明のアクチュエータ40は正確にシェ
ル10の各腹Aに中心に置き、応力勾配ライン18の形
に平行している。このアクチュエータ40を互いに90
°隔たった腹Aに位置決めすることによって、シェルの
壁14に電圧信号が印加されると、シェル10は節の直
径26、28に沿って直接変形する。この構成により、
シェル10の壁14に印加される単位電圧当たりの最大
の変形が与えられる。すべての信号は、各節直径26、
28に沿って直径方向に対面するアクチュエータの各対
によってシェル10に印加される。直径方向に対面する
電圧信号をシェル10に印加することにより、付与され
る駆動信号即ち修正信号を効果的に二倍にすることがで
きる。
【0032】アクチュエータによってシェル10に印加
される電圧信号は、シェル10に所望の振動モードを与
えることを意図した成分と、シェル10の振動モードの
変化を修正し、それを所望の振動モードに戻すことを意
図した成分とを含んでいる。代表的なものとして、共振
シェル10に取付けられる少なくとも一つのアクチュエ
ータは、電気的に隔離された二つの三日月型部分41a
と41bとに分割されている。分割されたアクチュエー
タ41の半体41aと41bとは、腹Aの両側に対称的
に配置されている。分割されたアクチュエータ41は、
シェル10の壁14に非対称的な電圧信号を印加して、
シェル10の振動を所望の振動モードに戻すのに適して
いる。
【0033】各アクチュエータ40の特定のサイズと位
置は、駆動回路のインピーダンスとシステムの所望のシ
ステムのQ値とに直接関連している。アクチュエータ4
0と41のサイズと位置は、アクチュエータ40と41
に必要な動力が、ジャイロスコープの駆動回路が提供で
きる動力を上回ることがないように注意して配置されな
ければならない。更に、アクチュエータ40と41のサ
イズと位置を特定する場合に、共振エレメント即ちシェ
ル10の材料の固有のQ値とシステム全体の所望のQ値
とを同時に考慮に入れる必要がある。
【0034】アクチュエータ41と42の特定のサイズ
と位置は、好ましい振動モードで好適実施例のシェル1
0を駆動するのに必要な動力の量に大きく依存してい
る。シェル10の幾何学的構成と剛性は、シェル10に
所望の変位を起こさせて振動を発生させるのに必要な動
力の量に影響を与える。圧電材料で作られた共振エレメ
ントの壁を変形させて所望の振動モードを与えるため
に、圧電材料に電位差を発生させる必要がある。シェル
10の場合には、アクチュエータ40、41とシェル1
0の内側に取付けられた接地導体Gとの間に電位差を発
生させることが必要である。一般的に、アクチュエータ
40、41が大きいほど(即ちアクチュエータが広い表
面積を持っているほど)、シェルの壁14を横切って大
きな電位差が生じる。アクチュエータ40、41の表面
積と高さを別々に変えることによって、所望のシステム
Q値と所望の必要動力量の両者が得られる。
【0035】実質的に等しい応力の多くの領域を横切っ
てシェルの壁14に信号を印加することにより、振動す
るシェル10のQ値が著しく減少する。理想的には、ア
クチュエータ40、41は、シェル10が振動している
際に実質的に均一な応力を受ける一つの領域全体に設置
される。実質的に均一な応力の領域全体にアクチュエー
タ40、41を取付けることにより、システムQ値の減
少が最小になる。しかし、振動するシェルの壁14の応
力は連続的に変化するので、小さな表面積を有するアク
チュエータ40、41は実質的に均一な応力を有する不
連続な多数の領域を被覆することになるであろう。アク
チュエータ40、41の領域が増大するにつれて、この
アクチュエータで被覆された均一な応力の領域の数も増
大する。同様にシステムQ値の低下量も増大する。した
がって、アクチュエータ40、41の領域を最小にする
ことが望ましい。結果として、アクチュエータ40、4
1のサイズは、ジャイロスコープの必要動力及びQ値に
注意深く適合させることが重要である。
【0036】アクチュエータ40、41のサイズと共
に、シェル10の上縁16からアクチュエータ40、4
1までの距離もこの振動システムの必要動力に適合させ
るのに重要な事項である。アクチュエータ40、41を
シェルの壁14の上縁16の近くに設置すると、シェル
の壁14の上縁の近くに誘起される変形が伝播し易いと
云う機械的利益が得られる。例えば、アクチュエータ4
0、41をシェル10の底部の近くに設置すれば、シェ
ル10の振動を発生させるのに必要な動力が増大する。
即ちシェルの壁14の底部の近傍においてはシェル10
の剛性が大きいので、シェル10に好ましい振動モード
を付与するにはシェルの壁14を横切って大きな電位差
を発生させることが必要となる。逆に、アクチュエータ
40をシェルの壁14の上縁16の近傍に設けた場合に
は、シェルの壁14の剛性が小さいので、シェル10に
好ましい振動モードを付与するのに必要な動力が少なく
てすむ。したがって、シェル10の必要動力が高い場合
には(アクチュエータ40、41がシェルの壁14の底
部の近くにある場合のように)、アクチュエータはこれ
に対応して大きなものとなり、シェル10の必要動力が
小さい場合には(アクチュエータ40、41がシェルの
壁14の上縁の近くにある場合のように)、アクチュエ
ータはこれに対応して小さくなる。アクチュエータ40
と41は、各腹A上に設置されそのAを中心に対称的に
配置されなければならないことを忘れてはならない。更
に、本発明のアクチュエータ40、41は、ジャイロス
コープが回転的に静止している場合に、実質的に等しい
レベルの応力を受ける共振エレメント10の領域に一致
する境界線によって規定されるシェルの壁14上の所定
の位置に、共振エレメント10に取付けられている。別
のやり方として、アクチュエータ40、41が設けられ
る領域は、ジャイロスコープが回転的に静止している場
合に共振エレメント10に現れる実質的に均一な応力領
域を規定する少なくとも一つの応力勾配ライン18によ
って区分される。アクチュエータ40、41の縁は、実
質的に共振エレメントに等しい応力の領域を特定する応
力勾配ライン18と一致している。
【0037】シェル10の上縁16に対するアクチュエ
ータの位置は、特定の応力勾配ライン18に現れた応力
値として示されることが望ましい。本発明のアクチュエ
ータ40、41の外形線が応力勾配ライン18の外形線
に平行になっている場合、アクチュエータの40、41
の高さを示す応力勾配からの偏りの割合によってアクチ
ュエータ40、41の幅を表すことが好ましい。本発明
の好適実施例においては、アクチュエータ40、41の
高さは、シェルの壁14の最大応力の75%の応力値を
示す応力勾配ライン18の位置によって決められる。ア
クチュエータ40、41の幅は、この好適実施例におけ
るアクチュエータ40、41の下にあるシェルの壁14
の部分が、このシェルの壁14に現れる最大応力の75
%の値を特定する応力勾配ラインから12%(±12
%)を超えない範囲の偏りのある応力を受けるようにな
っている。上述のように、アクチュエータ40、41の
高さと幅は、両方とも特定の用途の必要性に合致するよ
うに修正することができ、したがって本発明はこの好適
実施例にのみ限定されるものではない。
【0038】共振システムの高いQ値が必要な場合、及
びこのシステムを駆動するのに大きい動力も必要な場
合、複数の狭いアクチュエータ40、41を同心的に巣
状に配置して高いQ値を得るとともに、充分な表面積を
提供して高い駆動動力の必要性も満足させることもでき
る。この別の態様の実施例(図示しない)は、例えばシ
ェルの壁14に現れる最大応力の65%の高さに第1ア
クチュエータ40又は41を設置し、シェルの壁14に
現れる最大応力の80%の高さに第2アクチュエータ4
0又は41を設置している。これらの巣状に配置された
各アクチュエータは、アクチュエータの高さを示すのに
使用された応力のほぼ5%の範囲にわたっている。上に
のべたやり方で任意の数のアクチュエータを巣状に配置
することができるが、巣状に配置されるアクチュエータ
の数は3個より少ないことが望ましく、特に2個が好ま
しい。各レベルのアクチュエータは異なる電圧レベルで
駆動され、振動シェル10の振動エネルギに対して等し
く寄与するようにすることが肝要である。
【0039】アクチュエータ40、41と連携する駆動
・検出回路(図示しない)はシェル10に印加される電
圧信号の駆動成分を発生し、以下に述べるピックオフ5
0からの電圧信号を用いて、分割アクチュエータ41を
介してシェル10に印加される電圧信号の修正成分も発
生する。この回路はジャイロスコープのピックオフ50
からの回転速度データも出力し、温度の変動に起因する
シェル10又はこれと均等な共振エレメントの共振周波
数の変化を補償できることが望ましい。本発明のジャイ
ロスコープを作動させるのに適した回路は、米国特許4,
479,098 及び4,578,650 に開示されており、これらの特
許は本発明と共に譲渡され、番号を参照することによっ
て本明細書中に組み込まれている。
【0040】本発明によって構成・配置されたピックオ
フ50は、シェルの壁14の節Nに中心を置いて設置さ
れたフィルム状導体である。定義によって、節Nにおい
てはシェルの壁14は、ジャイロスコープの回転的に静
止している定常状態の作用の際には応力を受けないの
で、実質的に無応力の領域の節Nに正確に心合わせされ
て配置されているピックオフ50は、シェル10の圧電
材料から実質的に何らの電圧信号も検出しない。
【0041】しかし、実際には、ピックアップ50を節
に正確に心合わせすることは難しい。そして、ピックオ
フ50が節Nに正確に心合わせされていない場合には、
ピックオフ50は、シェル10の振動に起因する応力を
受けるシェルの壁14の一部に重なってしまう。こうし
た場合、ピックオフ50を「調整」して、ジャイロスコ
ープが回転的に静止している場合に実質的にゼロである
正味の電圧信号を、ピックオフ50が発するようにする
ことが必要である。調整は、平衡導体51をピックオフ
50に電気的に接続して設置し、この導体51をトリミ
ングしてピックアップ50によって節の位置で検出され
た電圧信号を調節することで行われる。平衡導体51の
サイズと位置は、圧電材料から出力される不揃いの電圧
応答を減衰させるように注意して調整される。平衡導体
51を使用することによって、ジャイロスコープが回転
的に静止状態にある場合、ピックオフ50が実質的にゼ
ロの正味の電圧信号を発するようになる。
【0042】ジャイロスコープが回転的に変位する場合
には、節Nにおけるシェルの壁14の材料は応力と変形
を受け、それによって壁14の圧電材料は電圧信号を発
し、それがピックオフ50によって検出される。上述の
ように、ピックオフ50に対する節Nの変位はジャイロ
スコープの回転によって生じるか、又は温度の変動等の
環境条件による捩じれに起因して生じる。前述のジャイ
ロスコープに付随する制御回路は、このピックオフ50
の出力を使用してジャイロスコープの回転の速度と方向
の両者を求め、シェル10の共振周波数の温度誘因型変
動を修正し、シェル10の圧電材料の電圧応答の温度誘
因型変動を修正し、振動を起こさせる電圧信号と振動を
修正する電圧信号が適正な位相関係に維持されることを
保証する。
【0043】節Nに非常に細いピックオフ50を使用す
る利点は、従来技術のピックオフとして使用されている
広い導体Cよりもこの細いピックオフ50がシェル10
の壁14の振動の振幅を正確に検出することができる点
にある。従来技術の導体Cは、シェル10の比較的大き
な領域全体で検出された電圧信号を平均化してしまう。
検出されたこれらの電圧には、ジャイロスコープの回転
に起因する信号と導体Cの縁におけるシェル10の圧電
材料の不均一な電圧応答に起因する信号とが含まれてい
る。前述のように、広くて大きい導体Cはシェルの壁1
4内のより不連続な応力勾配を覆い、その結果、導体C
の一つの箇所で検出された大きな信号が導体Cの他の箇
所で検出された対応する信号によって打ち消されてしま
う傾向をとる。逆に、細いピックアップ50の場合に
は、細いために、シェル10の壁14のより明確に規定
された特定の箇所における振動の振幅に起因する電圧信
号を検出することが可能となり、それによってジャイロ
スコープの正確性と精度の両者が向上する。
【0044】図4と図6に示されたピックオフ50とア
クチュエータ40の配置において、細いピックオフ50
と等高線状のアクチュエータ40、41を使用すること
のもう一つの利点は、これらのアクチュエータ40とピ
ックオフ50が好ましくない振動モードに対する物理的
フィルタとして作用する点にある。前述のように、アク
チュエータ40と41は、所望の方向即ち所望の節直径
26、28に沿う方向のみにシェル10に変形を与え
る。更に、低いインピーダンスのピックオフ50は節N
におけるシェル10の変形に起因する電圧信号を吸い上
げ、シェル10の壁14を通して電圧信号の伝播を減少
させる。アクチュエータ40とピックアップ50とによ
る構成のフィルタ作用によって、シェル10は、僅かな
好ましくない振動モードのみを減衰させればよいよう
に、効率的に作動することができる。
【0045】好ましくない振動モードを物理的に濾過す
るもう一つの方法は、腹Aがシェル10の残りの部分よ
りも低い共振周波数で振動するようにシェル10の壁1
4を厚くすることによって、共振エレメントの構造を変
更することである。図7と図8を参照されたい。これ
は、腹の位置のシェル10の壁14の上縁16に凹凸
(図示しない)を設けたり、腹Nの壁14にウエートW
を取付けたりすることによって、腹Aの位置において壁
14の厚さを増加させることで達成される。重量の増加
と幾何学的形状の変化によって、腹Aにおける壁の物理
的特性が変化し、シェルの壁14の当該部分を一サイク
ルを通じて共振させるのに必要な周期が増大し、シェル
10をその最も単純な振動モード、即ちこの場合にはn
=2で振動させる。シェル10をこのように配置し構成
することによって、シェル10の振動効率が改善され、
Q値が増加する。
【0046】アクチュエータ40とピックアップ50の
構成の改善に加えて、シェル10の圧電材料の電圧応答
の正確性と精度にも改善がなされている。図14に示さ
れているように、シェル10が作られている圧電材料
は、不連続な圧電材料粒子Mから構成されている。各粒
子Mは、特定方向に生じた変形のみに敏感である。この
極性は図14に、各粒子内の黒い矢印で示されている。
【0047】導体Cと内部の薄いフィルムからなる接地
層Gとの間の圧電材料を横切って強い直流電圧を印加し
て、図15に示すように圧電材料の個々の粒子Mの感度
又は極性の方向を一方向に向かせることは公知である。
圧電材料の粒子Mの極性が同じになると、粒子Mの総合
的電圧応答が打ち消し合うものではなく足し算になる状
況が生まれ、材料の変形に起因する圧電材料の電圧応答
が改善される。
【0048】しかし、バイアス用の直流電圧が印加され
る導体Cの縁部の近く又は縁部における圧電材料の粒子
M′は、導体Cの中心近傍に位置する圧電材料の粒子M
が受けるのと同じバイアスは受けないのが普通である。
図15を参照されたい。圧電材料Mの粒子のこの不均一
なバイアスのために、図1と図3に示された従来技術の
装置等のシェル10の電圧応答は不均一なものとなる。
圧電材料のこの不均一な電圧応答は、アクチュエータと
して使用されている導体によってシェル10に電圧が印
加される際、シェル10の好ましくない変形を起こすこ
とがあり、これによってシェル10のQ値が低下し、好
ましくない振動モードが生じる。更に、粒子Mの不均一
な極性はピックオフとして使用される導体Cからの電圧
の読みを不正確にし、それによってジャイロスコープか
ら出力される回転データが間違ったものとなる。その
上、電圧材料の電圧応答は材料に加えられる変形即ち応
力に比例するので、粒子Mにかかる不均一なバイアスに
起因する不均一な電圧応答は、シェル10に現れる応力
が増加するにつれて益々顕著になる。
【0049】図16と図17は、シェル10の圧電材料
の粒子Mバイアスをかけるための改善された方法を示
す。図16では、シェル10の内外面全体が導体の層で
コーティングされていることが判る。図16で、符号4
0と50はシェル10のアクチュエータ40とピックオ
フ50を表しているばかりでなく、シェル10の外面に
付与された薄いフィルム状導体材料を示し、符号Gはシ
ェル10の圧電材料を通る電圧導通経路を形成するよう
にシェル10の内面に付与された接地された薄いフィル
ム状導体材料を示す。適宜な大きさの直流電圧がこれら
の導体40、50とGとの間の圧電材料を横切って印加
され、圧電材料の各粒子Mに(図14〜図17に矢印で
示された)所望の方向の極性を与える。シェル10全体
の圧電材料にバイアスをかけることによって、図15に
示されているように不規則にバイアスをかけられた粒子
M′はシェル内に存在しなくなる。シェル10全体に適
宜な極性が与えられると、化学的又は機械的エッチング
等によって不必要な薄いフィルム状導体が除去され、ア
クチュエータ40とピックオフ50に図17に模式的に
表されたような所望の形状と位置を与える。図17から
判るように、アクチュエータ40又はピックオフ50の
位置又はその近傍にあるシェル10の圧電材料には不均
一にバイアスのかけられた粒子M′は残存せず、更に均
一な予測可能な電圧応答が保証される。
【0050】本発明のジャイロスコープは、シェル10
の圧電材料に対するバイアスのかけ方を改善することに
加えて、アクチュエータ40とピックオフ50をジャイ
ロスコープの制御回路に接続する導体リードの耐久性を
改良することによって更に信頼性の高いものとなる。従
来技術では、接地されたフィルム状導体G、アクチュエ
ータ40とピックオフ50及び制御回路の間にはんだ付
け又は圧接された非常に細いワイヤ23を用いることが
知られていた。図1を参照されたい。ワイヤ状導体23
はその曲げに起因して時間が経過すると切断することが
あるので、その使用は信頼性を低下させることが判って
いる。更に、このワイヤ状導体を導体Cに固定するのに
使用される材料とこのワイヤ状導体自体の剛性によっ
て、シェル10の物理的特徴が変わってシェル10のQ
値が低下する傾向がある。図4と図6に模式的に示され
ているように、付与されたフィルム状導体49は各アク
チュエータ40とピックオフ50からシェル10の側壁
14に沿って下向きに延び、駆動回路との間の必要な電
気的接続を構成している。好ましくは各アクチュエータ
40とピックアップ50から出た導体経路即ちリード線
49は、図4と図6に示されているように、シェル10
のステム18に沿って下方に連続している。これらの改
善された導体経路49を構成するフィルム状導体材料
は、シェル10の振動モードに重大な影響を与えないよ
うな形状を有している。更に、アクチュエータ40、ピ
ックオフ50及び制御回路の間の必要なすべての電気的
接続部は実質的に振動の生じないシェル10のステム1
8の上、又は少なくともシェル10のベースの近傍に設
けられているので、電気的接続部はワイヤ状導体23を
破壊する繰り返し応力を受けることがなく、したがって
電気的接続部自体はより長く存続する。
【0051】本発明の別の実施例を図9〜図13を参照
して説明する。図9は従来技術の振動リング型ジャイロ
スコープの共振エレメントを示す。この共振エレメント
は、多数の半径方向に順応性を有するスポーク102に
よって円周方向に等しい間隔で支持フレーム104によ
って支えられたリング100を具えている。典型的な例
としては、図9に示されたような共振エレメント100
は、コンピュータチップの製造に使用されるタイプの結
晶シリコンウエハー等の比較的剛性の高い材料の一枚の
薄いシートで作られる。この共振エレメントの支持フレ
ーム104は、熱的にこれに適合した材料、この例では
ガラス製の支持構造体105に取付けられている。図1
1を参照されたい。この例では円柱状の磁石コア106
がリング100によって形成された中心孔に受け入れら
れている。このコア106はリング100を取り囲んで
これを貫通する強力な磁場を形成する。
【0052】図9と図10を参照すると、周知の蒸着技
術によって電流搬送導体112が共振エレメント100
の上面に形成され、隣接するスポーク102同士の間に
リング100の外周面沿って均等な間隔で複数の同一の
導体ループ110を形成している。これらの同じ導体ル
ープ110は、それぞれスポーク102に沿って下に延
び、リング100の周囲を周回し、隣のスポーク102
に沿って上に戻る一つの導体で構成されている。導体パ
ッド111は、導体ループ110とジャイロスコープの
駆動・検出回路(図示しない)との間で電流を運ぶ複数
のワイヤ103にこれらの導体ループ110を接合する
ことを可能にする。各スポーク102は、隣り合う導体
ループ110同士の間の容量結合を最小にするための中
立導体ループ113も有している。電磁気学の原理を利
用して、リング100の周囲に配置された又は選ばれた
電流用導体ループ110を通る電流は、コア106によ
って形成された磁場に反応して、リング100自体の反
作用的変位を生じる。同じように、ジャイロスコープの
回転加速度によるリング100の好ましい振動モードの
変位によって、所与の導体ループ110に電流が誘起さ
れる。上述のタイプの駆動・検出回路(図示しない)
は、リング100に所望の振動モードを印加し、ジャイ
ロスコープの回転によって生じた電圧を検出するのに使
用される。
【0053】図9に示された従来技術の装置の導体ルー
プ110は、リング100の外周においてすべて同一で
あり、アクチュエータとピックオフの両方として使用さ
れている。図9と図11に示された従来技術のリング型
ジャイロスコープにおけるアクチュエータ用ループとピ
ックオフ用ループは、ピックオフによって検出された信
号に好ましくない大きさの誤差を生じやすい。本発明の
原理をジャイロスコープに組み入れることにより、図1
2に示された共振エレメント100′が生まれる。スポ
ーク102の各対はリング100′の節Nを対称的に取
り囲み、それによってピックオフ用導体ループ110も
確実に節Nの上に位置決めされる。同じように、アクチ
ュエータ用ループ110はリング100′の腹Aの上に
対称的に位置決めされている。このようにして、本発明
の前記好適実施例と同様に、図12に示された実施例
は、コア106を構成している材料の欠陥に起因する磁
場の不連続性の影響を最小にしている。
【0054】図13は、図9に示されたリング100と
同様の共振エレメントを示す。図13のリング100は
その好ましい振動モードの腹Aの位置が厚くなった壁を
有し、好ましくない振動モードを物理的に除去する。こ
うした修正は図12に示されたリング100′にも組み
入れることができる。図18は、Kimuraの米国特許5,01
4,554 等に開示された同調フォーク型の従来技術の角速
度センサーを示す。このタイプのセンサーはフォークの
枝120を矢印122に示すように振動させて働く。セ
ンサーが回転すると、検出エレメント124が矢印12
3の方向に変形し、回転速度に比例した電圧信号を発生
する。しかし、矢印122で示された平面内でのフォー
クの枝120の振動は、矢印123で規定される平面内
での少なくとも一定の少量の検出エレメント124の変
形も与える。この少量の変形は、検出エレメント124
を構成する圧電材料に幾らかの回転が生じていることを
誤って示す小さな電圧信号を発生するのに充分なもので
ある。
【0055】図19は、本発明の原理を図18の従来技
術のセンサーに適用したものである。ピックオフ50
は、矢印122によって示された平面内での変形によっ
て生じる電圧信号を最小にするようにビーム型検出エレ
メント124の中心に精確に設けられている。図19に
示されているように検出エレメントの中心に沿って細い
ピックオフ50を設ければ、最も好ましくない電圧信号
を解消することができるが、導体51を用いてピックオ
フ50をバランスさせることが必要である。この平衡導
体51は検出エレメント124に取付けられたフィルム
状導体であり、矢印122で示された平面内での検出エ
レメントの変形に起因する正味の電圧信号を消失させる
ようにピックオフ50と電気的に通じている。この平衡
導体51の一部は、図19に示されたジャイロスコープ
が回転的に静止している場合にピックオフ50が実質的
にゼロの正味電圧を感知するようにエッチングによって
除去される。
【0056】図20は、日本でMurata Electric Corpor
ation に特許が与えられている従来技術のジャイロスコ
ープを示している。この装置では、共振エレメント15
0は圧電バーである。この実施例では共振エレメント1
50は二等辺三角形断面の角柱の形をしているが、四角
形断面や六角形断面のバー等の他の多角形断面を有する
エレメントでもよい。この共振エレメント150は、ワ
イヤ状のアーチ等の一対の支持部材152からベース1
54の上に吊り下げられている。この共振エレメント1
50の両側には導体エレメント158が取付けられてい
る。ワイヤ160が導体エレメント158を多数の導体
パッド162に接続し、この導体パッドを介してワイヤ
160はジャイロスコープを作動させるのに使用される
駆動・検出回路(図示しない)に電気的に接続されてい
る。
【0057】前記エレメント150は、この例の場合に
は最も下に位置するエレメント150である駆動エレメ
ント158によって好ましい振動モードで振動させられ
る。図21を参照されたい。残りのエレメント158は
ジャイロスコープの振動と回転を検出するのに使用され
る。図20と図21のジャイロスコープが回転的に静止
している場合に、検出エレメント158はそれぞれ同じ
電圧信号を感知し、出力電流の差がゼロであることを知
らせる必要がある。ジャイロスコープがその検出軸を中
心に回転すると、検出エレメント158は、ジャイロス
コープの回転速度に比例した正負の正味の電流出力を検
出する。しかし、図20と図21から判るように、導体
エレメント158は前記エレメント150のそれぞれの
力の大きな部分を占めている。本発明の好適実施例のシ
ェル10に関連して上に述べたように、振動エレメント
150の比較的大きな表面領域の上に比較的大きな検出
エレメント158を設けることにより、振動システムの
Q因子が減少する。
【0058】図22を参照すると、本発明の原理が図2
0と図21に示されたような従来技術のジャイロスコー
プに組み入れられていることが判る。この新しい導体エ
レメント即ちピックオフ164は、角柱状の共振エレメ
ント150の各側面の中心に沿って対称位置に配置され
ている。ジャイロスコープが回転的に静止している場合
に、各ピックオフ164が実質的にゼロの正味の電流出
力差を検出できるように、共振エレメント150の表面
に平衡導体166が設けられている。この平衡導体16
6はピックオフ164に電気的に接続され、共振エレメ
ント150が回転的に静止状態にある場合に、ピックオ
フ164によって検出された正味の電圧差信号を打ち消
すように、共振エレメント150の上に注意深くサイズ
合わせされ、位置決めされている。
【0059】以上の説明は、本発明の原理を開示する好
適実施例の特定の例を示すことを意図したものである。
したがって、本発明はこれらの実施例やそこに述べられ
た特定のエレメントの用法に限定されるべきではない。
本発明の精神と添付の請求の範囲内に入る全ての改変や
変形も含むものである。本発明のこれらの及びその他の
目的と利点は、添付の図面を参照して次の説明を読めば
容易に理解されるであろう。これらの数枚の図面を通じ
て、同じエレメントを示すのに可能な限り同じ符号が用
いられている。
【図面の簡単な説明】
【図1】速度を積算するジャイロスコープに共振エレメ
ントとして使用されている従来技術の軸対称型シェルの
断面図であり、シェルを支える架台との関係で示されて
いる。
【図2】図1の軸対称型シェルの上縁の好ましい振動モ
ードの模式図である。
【図3】図1の従来技術の軸対称型シェルの立面図であ
り、その上に導体Cを設置した状態を示している。
【図4】図1に示されたのと同様な軸対称型シェルの斜
視図であり、本発明によって構成・配置されたアクチュ
エータとピックオフがそれに取付けられている。
【図5】図4の共振器の壁内の応力勾配の模式図であ
る。
【図6】図4に示された軸対称型シェルの壁の投影展開
図である。
【図7】シェルの腹の位置の壁にウエートを付加した軸
対称型シェルの平面図である。
【図8】シェルの腹の位置の壁を厚くした軸対称型シェ
ルの平面図である。
【図9】従来技術の振動リング型のレートジャイロスコ
ープの共振エレメントの平面図である。
【図10】図9の従来技術の振動リング型のレートジャ
イロスコープの一対の脚の詳細な模式図である。
【図11】図9の従来技術の振動リング型のレートジャ
イロスコープ側断面図である。
【図12】本発明によって配置・構成された振動リング
型ジャイロスコープの共振エレメントの平面図である。
【図13】リングの腹の位置に厚くなった断面を有する
振動リング型ジャイロスコープの平面図である。
【図14】圧電材料の個々の粒子の模式的表示であり、
粒子の極性がランダムであることを示している。
【図15】圧電材料の粒子に極性を付与する従来の方法
の模式的表示である。
【図16】本発明によって圧電材料の粒子に同じ極性を
付与する模式的表示である。
【図17】同じ極性を付与された圧電材料の粒子の模式
的表示であり、圧電材料に同じ極性を付与するのに使用
されるフィルム状導体の一部がエッチングによって除去
され、本発明によるアクチュエータ又はピックオフが形
成されている。
【図18】従来技術の同調フォーク型レートジャイロス
コープの一部切断斜視図である。
【図19】本発明によって構成・配置されたピックオフ
用導体を有する同調フォーク型ジャイロスコープの検出
エレメントの拡大した一部切断斜視図である。
【図20】従来技術の角速度検出ジャイロスコープのバ
ー型共振エレメントの斜視図である。
【図21】図12の角速度検出ジャイロスコープの端面
図である。
【図22】本発明によって構成・配置されたピックオフ
用導体を有する角速度検出ジャイロスコープのバー型共
振エレメントの斜視図である。
【符号の説明】
10…シェル 12…対称軸 14…壁 16…上縁 18…ステム、ライン 20…ベース 23…ワイヤ 24…Oリング 26…第1節直径 28…第2節直径 40、41…アクチュエータ 41a、41b…三日月型部分 50…ピックオフ 51…平衡導体 100…リング 102…スポーク 103…ワイヤ 104…支持フレーム 106…コア 110…導体ループ 111…導体パッド 113…中立導体ループ 100′…共振エレメント 120…枝 122…矢印 123…矢印 124…検出エレメント 150…共振エレメント 152…支持部材 154…ベース 160…ワイヤ 158…駆動エレメント、検出エレメント 164…ピックオフ 166…平衡導体
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年3月22日(2000.3.2
2)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正内容】
【0011】
【課題を解決するための手段】 前述の背景に留意して、
角速度検出用ジャイロスコープによって検出された角速
度の変化におけるエラーを最小にする、改善されたピッ
クオフ及びアクチュエータ用導体が開発された。更に、
本発明を組み入れた角速度検出用ジャイロスコープは一
層均一な電圧応答を有し、損傷に対して抵抗性を有する
導体リード線を備えている。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正内容】
【0023】
【発明の実施の形態】 本発明の好適実施例は、レートジ
ャイロスコープに使用される種々のタイプの共振エレメ
ントと関連して用いられる。しかし、本発明の好適実施
例は、図1 、図3 〜図5に示された軸対称のシェル10に
適用されたものとして説明される。このシェル10は、図
2 に示されるように二つの節直径(nodal diameter)(n=
2) によって特徴づけられより好ましい振動モードを有
する共振周波数で振動することができる。ここに述べる
改良は、本明細書に記載された特定の実施例以外にも適
用可能であり、したがってこれらの実施例に限定される
ものではないことを理解すべきである。

Claims (32)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 a)誘起された応力のレベルに比例した
    電圧信号を出力するように配置・構成された共振エレメ
    ントと、 b)前記共振エレメントに所定の振動モードを付与する
    手段と、 c)前記共振エレメントの表面に取付けられた電圧ピッ
    クオフ用導体であって、前記共振エレメントから出力さ
    れた応力誘起電圧信号を検出するように配置・構成さ
    れ、検出されたこの電圧信号は前記ジャイロスコープの
    回転速度の指標であり、前記ピックオフは、ジャイロス
    コープが回転的に静止している場合に実質的にゼロの応
    力を受ける前記共振エレメントの表面の一領域に取付け
    られている、ピックオフ用導体と、 d)検出された前記電圧信号を処理する手段とを具えた
    振動ジャイロスコープ。
  2. 【請求項2】 前記共振エレメントが、円筒、リング、
    バーのいずれか一つである請求項1に記載のジャイロス
    コープ。
  3. 【請求項3】 前記共振エレメントが a)三つの長手方向側面を有する三角柱であり、長手方
    向の各側面に導体エレメントが取付けられている請求項
    1に記載のジャイロスコープ。
  4. 【請求項4】 前記導体エレメントの中の二つがピック
    オフ用導体である請求項3に記載のジャイロスコープ。
  5. 【請求項5】 前記共振エレメントに所定の振動モード
    を付与する前記手段が、 a)前記共振エレメントの表面の所定箇所に取付けられ
    るアクチュエータ用導体であって、該アクチュエータ用
    導体は前記所定箇所において前記共振エレメントに電圧
    信号を印加するように配置・構成され、前記共振エレメ
    ントの前記所定箇所は、前記ジャイロスコープが回転的
    に静止している場合に実質的に均一なレベルの応力を受
    ける前記共振エレメントの領域と一致する境界線によっ
    て定義されるアクチュエータ用導体と、 b)前記アクチュエータを介して前記共振エレメントに
    一連の所定の電圧信号を印加して、前記共振エレメント
    に所定の振動モードを付与するように構成・配置された
    駆動回路とを具えている請求項1に記載のジャイロスコ
    ープ。
  6. 【請求項6】 前記アクチュエータ用導体が、互いに電
    気的に隔離された垂直方向に対称的な二つの半体を具
    え、これらの半体は前記駆動回路に別々に電気的に接続
    されている請求項5に記載の振動ジャイロスコープ。
  7. 【請求項7】 前記共振エレメントの前記所定振動モー
    ドが、複数の安定な節と腹によって定義されている請求
    項5に記載のジャイロスコープ。
  8. 【請求項8】 前記アクチュエータが前記共振エレメン
    トの表面の実質的に腹の位置に設けられ、前記ピックオ
    フが実質的に節の位置に設けられている請求項7に記載
    のジャイロスコープ。
  9. 【請求項9】 前記共振エレメントが軸対称のシェルで
    あって、圧電材料で形成されている請求項8に記載のジ
    ャイロスコープ。
  10. 【請求項10】 前記シェルが曲線形状をしている請求
    項9に記載のジャイロスコープ。
  11. 【請求項11】 前記共振エレメントの所定領域に前記
    ピックオフ用導体に導通する電圧平衡導体が設けられ、
    前記共振エレメントが回転的に静止している場合に前記
    電圧ピックオフ用導体によって検出される正味電圧信号
    がゼロになるように、前記平衡導体が配置・構成されて
    いる請求項1に記載のジャイロスコープ。
  12. 【請求項12】 所定の振動モードを前記共振エレメン
    トに付与するための前記手段が、 a)前記共振エレメントの表面の所定箇所に取付けられ
    たアクチュエータ用導体であって、該アクチュエータ用
    導体は前記所定箇所において前記共振エレメントに電圧
    信号を印加するように配置・構成され、前記共振エレメ
    ントの前記所定箇所は、ジャイロスコープが回転的に静
    止している場合に前記共振エレメントに現れる実質的に
    均一な応力を有する領域を規定する少なくとも一つの応
    力勾配線によって定義される境界線を有するアクチュエ
    ータ用導体と、 b)前記アクチュエータを介して前記共振エレメントに
    一連の所定の電圧信号を印加して、前記共振エレメント
    に所定の振動モードを付与するように構成・配置された
    駆動回路とを具えた請求項1に記載のジャイロスコー
    プ。
  13. 【請求項13】 前記アクチュエータ用導体が、互いに
    電気的に隔離された垂直方向に対称的な二つの半体を具
    え、これらの半体は前記駆動回路に別々に電気的に接続
    されている請求項12に記載の振動ジャイロスコープ。
  14. 【請求項14】 a)共振周波数で振動するように配置
    ・構成された共振エレメントと、 b)ジャイロスコープが回転している場合に該ジャイロ
    スコープの回転速度に比例する正味の電圧信号を検出す
    るように前記共振エレメントの特定領域に取付けられた
    電圧ピックオフ用導体と、 c)前記共振エレメントの所定領域に取付けられ、前記
    ピックオフ用導体と導通している電圧平衡導体とを具
    え、該平衡導体は、前記ジャイロスコープが回転的に静
    止している場合に前記電圧ピックオフ用導体によって検
    出された電圧信号をゼロにするように配置・構成されて
    いるジャイロスコープ。
  15. 【請求項15】 前記エレメントが圧電特性を示し、円
    柱、リング、バーのいずれか一つの形状を有している請
    求項14に記載のジャイロスコープ。
  16. 【請求項16】 前記共振エレメントが、 a)三つの長手方向側面を有する三角柱であり、長手方
    向の各側面に導体エレメントが取付けられている請求項
    15に記載のジャイロスコープ。
  17. 【請求項17】 前記導体エレメントの中の二つがピッ
    クオフ用導体である請求項16に記載のジャイロスコー
    プ。
  18. 【請求項18】 複数の脚部材によって支持構造体から
    磁場内に吊り下げられたリングを具えたジャイロスコー
    プであって、前記リングはその上に位置する複数の振動
    節と腹によって定義される所与の共振周波数で振動可能
    であり、前記リングは更に、前記リングがジャイロスコ
    ープの回転によって偏った場合に前記磁場内でのピック
    オフ用導体の運動によって誘起されるジャイロスコープ
    の回転の指標である電流を検出するように配置された複
    数のピックオフ用導体と、前記磁場を通って電流が流れ
    るように前記リング上に配置された複数のアクチュエー
    タ用導体とを具え、これによって前記リングに偏りを生
    じさせて前記リング内に前記共振を誘起させる構成にお
    いて、次のものを具えた改良構造。 a)前記リングの節に隣接し且つこれを対称的に取り囲
    む複数対の脚部材。 b)複数のピックオフ用導体。各ピックオフ導体は前記
    対の脚部材の一方に沿って下方に延び、この対の脚部材
    の中間のリングの部分を横切り、前記対の脚部材の残り
    の脚部材に沿って上方に戻り、前記脚部材の対の脚部材
    の中間の前記リング上に配置された前記ピックオフ用導
    体の前記各部分は、前記リングの前記節の一つを中心に
    対称的に配置されている。 c)複数のアクチュエータ用導体。各アクチュエータ用
    導体は脚部材の第1の対の一方の脚部材に沿って下方に
    延び、前記第1対の脚部材と第2対の脚部材との中間の
    前記リングの部分を横切り、前記第1対の脚部材に最も
    近い方の前記第2対の一つの脚部材に沿って上方に戻
    り、脚部材の前記対同士の中間の前記リングの部分の上
    に配置された前記アクチュエータ用導体の各部分は、前
    記リングの前記腹の一つを中心に対称的に配置されてい
    る。 d)複数の前記ピックオフ用導体と前記アクチュエータ
    用導体のそれぞれは前記磁場を通過する導体ループを形
    成するように配置され、前記ピックオフ用及びアクチュ
    エータ用の導体ループは前記ジャイロスコープを作動さ
    せるための手段に電気的に接続されている。
  19. 【請求項19】 前記リングの各節は短いピックオフ用
    導体を具え、各腹は長いアクチュエータ用導体を具えて
    いる請求項18に記載のジャイロスコープの改良。
  20. 【請求項20】 前記ピックオフ用導体と前記アクチュ
    エータ用導体は、前記リングの実質的に全外周を取り囲
    んで延在している請求項19に記載のジャイロスコープ
    の改良。
  21. 【請求項21】 前記リングの断面が腹の位置で太くな
    っている請求項19に記載のジャイロスコープの改良。
  22. 【請求項22】 第1表面とこれの反対側の第2表面と
    を有し、前記第1、第2表面の間は中実である共振エレ
    メント上の所定箇所において該共振エレメントの均一な
    電圧応答を改善する方法であって、次の各ステップを含
    む。 a)前記共振エレメントの前記第1表面全体に第1のフ
    ィルム状導体を取付け、 b)前記共振エレメントの前記第2表面全体に第2のフ
    ィルム状導体を取付け、 c)薄い前記第1、第2フィルム状導体を直流電圧源に
    接続し、 d)所定の大きさの直流電圧を前記第1、第2フィルム
    状導体に印加して、前記第1、第2フィルム状導体の間
    に電位差を生じさせ、この電位差によって、前記第1、
    第2の薄いフィルム状導体の間に位置する圧電材料の実
    質的に全領域にわたって共振エレメントの圧電材料の電
    圧応答を修正する。
  23. 【請求項23】 更に、前記第1、第2の薄いフィルム
    状導体の所定部分を除去して、前記共振エレメントの表
    面に所定の配列で位置決めされた複数の不連続な薄いフ
    ィルム状導体を形成するステップを含む請求項22に記
    載の所定箇所において共振エレメントの均一な電圧応答
    を改善する方法。
  24. 【請求項24】 上方部分の表面に複数のフィルム状導
    体が取付けられた軸対称の共振エレメントを具え、前記
    上方部分はベース部分に支えられ、該ベース部分は実質
    的に振動しないように構成されているジャイロスコープ
    において、次のものを具えた改良。 a)複数のフィルム状導体のリード線。各導体リード線
    は、前記共振エレメントの前記表面に配置された前記複
    数の薄いフィルム状導体の一つから前記エレメントの前
    記ベース部分まで延在し、前記各導体リード線は、前記
    複数のフィルム状導体を前記ジャイロスコープを作動さ
    せる回路に電気的に接続するように配置されている。
  25. 【請求項25】 互いに結合されて同調フォーク形状を
    形成すると共に、それぞれが直交する平面上に存在する
    一対の平行な圧電駆動エレメントと一対の平行な圧電検
    出エレメントと;前記駆動、検出エレメントに電気的に
    接続された複数のリード線と;前記検出電圧信号をジャ
    イロスコープを作動させる回路に送信するために前記リ
    ード線に電気的に接続された複数のリード端子とを具え
    たバイブレータ部品で構成された角速度センサーにおけ
    る次のものを具えた改良。 a)各検出エレメントの表面に設けられた電圧ピックオ
    フ用導体。該ピックオフ導体は、前記検出エレメントか
    ら出力された応力誘起電圧信号を検出するように配置・
    構成され、検出された電圧信号は前記角速度センサーの
    回転速度の指標であり、前記ピックオフは、前記角速度
    センサーが回転的に静止している場合に実質的にゼロの
    応力を受ける前記検出エレメントの表面の領域に取付け
    られ、前記電圧ピックオフ用導体は前記検出エレメント
    と前記リード線との間に介在し、前記検出エレメントか
    ら前記リード線までの電気経路を提供する。
  26. 【請求項26】 次の改善を加えられた請求項25に記
    載の改良された角速度検出ジャイロスコープ。 a)前記ピックオフ用導体に導通する電圧平衡導体が前
    記検出エレメントに設けられ、該電圧平衡導体は、前記
    角速度センサーが回転的に静止している場合に、前記ピ
    ックオフ導体によって検出された正味の電圧信号をゼロ
    にするように配置・構成されている。
  27. 【請求項27】 それぞれがベースに固定された複数の
    支持部材によってベースの上方に支えられた、複数の面
    を規定する多角形断面を有する共振エレメントと、前記
    ベース上に形成された複数の導体パッドと、前記共振エ
    レメントの所定数の前記複数面に固定され、導体エレメ
    ントを前記導体パッドに接続する複数のワイヤを有する
    導体エレメントとを具えた角速度検出ジャイロスコープ
    における次のような改良。 a)前記角速度検出ジャイロスコープが回転的に静止し
    ている場合に実質的に対称的な応力を受ける前記面の領
    域において、前記共振エレメントの前記所定数の面に前
    記導体エレメントを取付けることによって、前記導体エ
    レメントが回転している場合に前記エレメントの回転速
    度に比例する正味の電圧信号を検出するように、所定数
    の前記導体エレメントを配置する。
  28. 【請求項28】 次の改善を加えられた請求項27に記
    載の改良された角速度検出ジャイロスコープ。 a)電圧平衡導体が前記共振エレメントの所定数の前記
    側面に取付けられて前記導体エレメントに導通し、前記
    平衡導体は、前記角速度検出ジャイロスコープが回転的
    に静止している場合に前記導体エレメントによって検出
    される正味の電圧信号をゼロにするように配置・構成さ
    れている。
  29. 【請求項29】 次の構成からなる振動ジャイロスコー
    プ。 a)誘起された応力レベルに比例した電圧信号を出力す
    るように配置・構成された共振エレメント。 b)前記共振エレメントに所定の振動モードを付与する
    ために、前記共振エレメントの表面の所定箇所に前記共
    振エレメントに取付けられたアクチュエータ用導体。該
    アクチュエータ用導体は前記所定箇所において前記共振
    エレメントに電圧信号を印加するように配置・構成さ
    れ、前記共振エレメントの前記所定箇所は、前記ジャイ
    ロスコープが回転的に静止している場合に実質的に均一
    なレベルの応力を受ける前記共振エレメントの前記所定
    領域と一致する境界線によって規定されている。 c)前記アクチュエータ用導体を介して前記共振エレメ
    ントに一連の所定の電圧信号を印加して、前記共振エレ
    メントに所定の振動モードを付与するように構成・配置
    された駆動回路。 d)前記共振エレメントの表面に取付けられた電圧ピッ
    クオフ用導体。該ピックオフ用導体は前記共振エレメン
    トから出力された応力誘起電圧を検出するように配置・
    構成され、検出されたこの電圧信号は前記ジャイロスコ
    ープの回転速度の指標であり、前記ピックオフは、前記
    ジャイロスコープが回転的に静止している場合に実質的
    にゼロの応力を受ける前記共振エレメントの表面の領域
    に取付けられる。 e)検出された前記電圧信号を処理する手段。
  30. 【請求項30】 前記アクチュエータ用導体が、互いに
    電気的に隔離されて前記駆動回路に別々に電気的に接続
    された垂直方向に互いに対称的に配置された半体で構成
    されている請求項29に記載の振動ジャイロスコープ。
  31. 【請求項31】 次の構成からなる振動ジャイロスコー
    プ。 a)誘起された応力レベルに比例した電圧信号を出力す
    るように配置・構成された共振エレメント。 b)前記共振エレメントの表面の所定箇所に前記共振エ
    レメントに取付けられたアクチュエータ用導体。該アク
    チュエータ用導体は前記所定箇所において前記共振エレ
    メントに電圧信号を印加するように配置・構成され、前
    記共振エレメントの前記所定箇所は、前記ジャイロスコ
    ープが回転的に静止している場合に前記共振エレメント
    に現れる実質的に均一な応力の領域を規定する少なくと
    も一つの応力勾配によって定義される境界線を有する。 c)前記アクチュエータを介して前記共振エレメントに
    一連の所定の電圧信号を印加して、前記共振エレメント
    に所定の振動モードを付与するように構成・配置された
    駆動回路。 d)前記共振エレメントの表面に取付けられた電圧ピッ
    クオフ用導体。該ピックオフ用導体は前記共振エレメン
    トから出力された応力誘起電圧を検出するように配置・
    構成され、検出されたこの電圧信号は前記ジャイロスコ
    ープの回転速度の指標であり、前記ピックオフは、前記
    ジャイロスコープが回転的に静止している場合に実質的
    にゼロの応力を受ける前記共振エレメントの表面の領域
    に取付けられる。 e)検出された前記電圧信号を処理する手段。
  32. 【請求項32】 前記アクチュエータ用導体が、互いに
    電気的に隔離されて前記駆動回路に別々に電気的に接続
    された垂直方向に互いに対称的に配置された半体で構成
    されている請求項31に記載の振動ジャイロスコープ。
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