JP2001090043A - 護岸ブロック及び護岸 - Google Patents

護岸ブロック及び護岸

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JP2001090043A JP26933299A JP26933299A JP2001090043A JP 2001090043 A JP2001090043 A JP 2001090043A JP 26933299 A JP26933299 A JP 26933299A JP 26933299 A JP26933299 A JP 26933299A JP 2001090043 A JP2001090043 A JP 2001090043A
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Yukio Asano
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 現場での作業性を向上すると共に、材料を安
定供給し、かつ、材料コストを低減し、更に、腐食によ
る機能低下を防止する。 【解決手段】 略紡錘形状の突起部11を、その各頂部
側が同一側となるよう互いに略平行に並べた状態で、接
合部12により各突起部11の両頂部間の中央部分を互
いに接合する。更に、隣接する突起部11間には、突起
部11の長さ方向に貫通する貫通孔13を形成する。ま
た、突起部11間には、その中央部から各頂部側に向か
って拡大する空間14が形成される。この空間14が、
土壌保持機能を発揮し、かつ、水中生物の生息空間を提
供する。突起部11及び接合部12は、普通コンクリー
トまたはポーラスコンクリートにより形成することが好
ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は低水護岸、根固め工
に適用可能な護岸ブロックに関し、特に、河川における
水辺の自然を保全及び創造する多自然型川づくりのため
に好適に採用することができるコンクリート護岸ブロッ
クに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、環境問題への関心の高まりと共
に、社会資本整備の動向として、うるおいやゆとりに配
慮した施策が重要視されつつある。即ち、土木工事にお
いて、自然環境及び景観の保全を重視した施策が今後益
々増加する傾向にあり、自然植生の復元、生態系保全、
新しい緑の場の創造等に関する種々の技術が提言されて
いる。河川の場合では、自然との共生や地域住民への憩
いの場の提供を目的として、「多自然型川づくり」を目
指した技術が提言及び試行されている。
【0003】ここで、「多自然型川づくり」とは、河川
の水際空間(水辺)を様々な生物が生息するための生息
空間(ビオトープまたはハビタット)の中核として捕ら
え、可能な限り自然に近い(近自然な)川づくりを目指
し、自然豊かな水辺の創造を図るものである。このよう
な「多自然型川づくり」においては、河岸及び河床の侵
食及び堆積を前提とした河川自身が持つ自然のダイナミ
ズムを利用し、河川の自然環境及び生態系を把握してそ
の保全及び創出を図る必要がある。
【0004】一方、日本の河川は、一般的に流況の変動
が大きく、流路が不安定であり、河床の変動も大きい。
また、国土の1割、平地の3分の1を占める河川の氾濫
域には、人口の約半分、総資産の約7割が集中してい
る。よって、「多自然型川づくり」を進めるにあたって
も、上記のようなわが国の自然特性及び社会特性を考慮
し、様々な制約条件の中で、治水上の安全を十分に確保
することのできる河川工法を開発する必要がある。
【0005】特に、堤防護岸、高水護岸、低水護岸、基
礎工、根固め工等からなる護岸は、主要な治水工の一つ
であり、設置箇所の生態系及び景観の保全及び創出に配
慮した構造が求められる。また、護岸のうち、低水護岸
及び根固め工は、河岸(水際)沿いに配置され、水辺の
生態系及び景観と密接な関連を有するため、その要請が
なおさら強い。その一方で、護岸は、堤防及び河岸の侵
食防止機能を有し、かつ、流水に対する安定構造とする
必要がある。そこで、現在では、護岸工事として、捨石
工、柳枝工、木工沈床、粗朶沈床等のいわゆる伝統的河
川工法を利用した多自然型川づくりが見直されつつあ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記伝統的河川工法
は、施工場所への対応性、施工後の地盤変化への順応性
等が高く、しかも河川の生物へ好影響を与える等の利点
を有する。よって、伝統的河川工法は、ビオトープの創
出及び保全機能と護岸に求められる治水機能とを両立可
能な工法として、「多自然型川づくり」への適用事例が
多数報告されている。一方、伝統的河川工法は、例え
ば、柳枝工の場合は柳粗朶、杭、柵、土砂、砂利等を、
木工沈床の場合は丸太及び石を使用する。即ち、伝統的
河川工法は、材料として、主に植物、木材、石材等の自
然物を使用する。そして、現場で木材を枠状または柵状
に組み立て、その中に石材を詰めるという作業を行って
いる。よって、従来の伝統的河川工法は、現場施工のた
め、現場での作業に相当の労力及び時間を必要とする。
また、現場での施工に相当の熟練を要するため熟練工を
必要とする一方で、熟練工が不足するという問題もあ
る。更に、材料の確保及び安定供給が問題となり、材料
コストが上昇する。
【0007】特に、根固め工として使用される木工沈床
において、その構成材料である木材は、常時水面下にあ
る状態では腐食しにくいが、河床変動による水位低下に
より水面上(空中)に常時露出することとなった場合、
或るいは、気象変動等に伴う水位変動により水中及び空
中に交互に位置する場合、腐食が著しく進む。その結
果、強度及び耐久性の点で根固め工としての機能を損な
うことがある。
【0008】そこで、本発明は、現場での作業性を向上
すると共に、材料を安定供給することができ、かつ、材
料コストを低減することができ、更に、腐食による強度
及び耐久性等の機能低下を有効に防止することができる
護岸ブロックの提供を課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る護岸ブロ
ックは、略柱状の複数の突起部を略平行に並べた状態
で、その長さ方向の一部を互いに接合して全体をブロッ
ク形状とすると共に、前記突起部間に空間を形成した。
【0010】ここで、突起部の形状は、全体として所定
の長さを有する略柱状であれば良い。即ち、略柱状と
は、円柱状、角柱状の他、略錐形状、略紡錘形状等、そ
の長さ方向に断面が連続的に変化する形状も含む。ま
た、階段柱状、蛇腹柱状等のように、断面が段階的に、
或いは、不連続的または不規則に変化する形状も含む。
【0011】したがって、請求項1の護岸ブロックを一
単位(ユニット)として、護岸工事、例えば、法覆工
(低水護岸等)または根固め工において、設置箇所に多
数敷設することにより所望の護岸を形成することができ
る。このとき、護岸ブロックはユニット化されているた
め、ユニットシステムとしての護岸全体を容易かつ迅速
に施工することができる。その結果、現場作業の労力及
び時間を削減し、作業性を向上することができる。
【0012】また、ユニットとしての護岸ブロックの組
み合わせ及び配置の態様により、多様な形状の水際また
は河岸を人工的に容易に形成することができる。例え
ば、特に中小河川に見られるコンクリート護岸による直
線的な流路を、瀬と淵とを有する自然の河川形状に近い
蛇行形状としたり、所望箇所にワンドを形成する等、変
化に富んだ河岸形状を容易に形成することができる。そ
の結果、生態系の創出及び保全にとってより効果的な任
意形状の護岸を容易に形成することができる。
【0013】なお、護岸ブロックは、突起部の長さ方向
が設置面と略直交するよう敷設する。例えば、低水護岸
に適用する場合は、突起部が低水護岸の法面と略直交し
て斜めに延び、根固め工に適用する場合は、突起部が水
際の河床面と略直交して上下に延びるようにする。
【0014】更に、設置後は、各護岸ブロックの突起部
間に形成される空間が様々な機能を発揮する。例えば、
請求項1の護岸ブロックを低水護岸として敷設した場
合、通常は、緑化のために護岸ブロックの上面側に覆土
を設けて、その覆土に植生を活着させて緑化を図る。こ
こで、請求項1の護岸ブロックでは、突起部間の空間
は、十分な容積を有し、多量の土壌(覆土)を保持する
土壌保持槽として機能し、土壌(覆土)の滑動、剥離等
を防止する。その結果、覆土の流出を防止して、覆土に
生育する植生の流出をも防止することができる。また、
護岸ブロック上に多量の覆土を長期にわたって安定して
保持することができるため、植生として、草本類の他、
木本類(特に低木類)の生育が可能となる。
【0015】また、請求項1の護岸ブロックを根固め工
として敷設した場合、突起部が流水に対する十分な抵抗
を有して流速を緩和し、流水による急激な河床洗掘等を
緩和する。その結果、護岸ブロックにより根固め工とし
ての治水機能を効果的に発揮することができる。また、
突起部間の空間が、魚巣等、水中生物の生育空間を形成
する。その結果、水中生物に好適な環境を創出し、ビオ
トープの創出及び保全に貢献することができる。
【0016】なお、護岸ブロックを低水護岸として敷設
した場合に、その護岸ブロックが増水時に流水を受ける
場合でも、上記と同様に、突起部が流速を緩和し、低水
護岸としての治水機能を効果的に発揮することができ
る。
【0017】更に、請求項1では、低水護岸に覆土を設
けると共に、根固め工として設置した護岸ブロックのう
ち、少なくとも低水護岸に隣接する水際(法尻側)の護
岸ブロック上に、低水護岸の覆土に連続して覆土を設け
ても良い。この場合、根固め工の護岸ブロックの突起部
間の空間にも土壌が充填され、葦類等の水性植物の植栽
が可能となる。即ち、河川の生態系の創出及び保全にと
って重要な要素である水際植生の植栽が可能となる。ま
た、人間等が水際の護岸ブロックの覆土上を歩くことが
可能となり、地域住民等に親水域を提供することができ
る。更に、低水護岸及び根固め工の護岸ブロック及び覆
土により、陸圏から水圏に至る緩い傾斜面が形成され
る。ここで、緩い傾斜面は、昆虫類の水圏から陸圏への
移動を可能にし、昆虫類の産卵及び生育に必須の要素で
あるため、昆虫類の生息環境を確保することができる。
なお、根固め工に適用した場合も、護岸ブロックの突起
部間の空間が十分な容積を有し、土壌保持槽として機能
して覆土の流出を防止する。
【0018】なお、護岸ブロックは、好ましくは、コン
クリート材料により、工場等において、所定の型を使用
して予めブロック形状に一体形成する。ここで、コンク
リート材料は、従来の護岸工事の主要材料として使用さ
れ、安価で、かつ、安定供給が可能である。よって、材
料の確保が容易となり、かつ、護岸ブロック自体の安定
供給が可能となる。また、護岸ブロックの大量生産も可
能となり、材料コストに加え、製造コストをも低減する
ことができる。更に、腐食による強度及び耐久性等の機
能低下を有効に防止することができる。
【0019】請求項2に係る護岸ブロックは、コンクリ
ートからなる複数の略錐形状の突起部を、その頂部側が
同一側となるよう並べた状態で、底部側を互いに接合し
て全体をブロック形状とすると共に、前記突起部間に前
記底部側から頂部側に向かって拡大する空間を形成し
た。
【0020】ここで、突起部の形状は、全体として所定
の長さを有する略錐形状であれば良い。即ち、略錐形状
とは、円錐、角錐等、頂点が尖鋭な純粋な錐形の他、頂
部を平坦に切断した円錐台形状または角錐台形状として
も良い。また、階段錐形状、蛇腹錐形状等のように、断
面が段階的に、或いは、不連続的または不規則に変化す
る形状も含む。
【0021】したがって、請求項2の護岸ブロックを一
単位(ユニット)として、護岸工事、例えば、法覆工
(低水護岸等)または根固め工において、設置箇所に多
数敷設することにより所望の護岸を形成することができ
る。このとき、護岸ブロックはユニット化されているた
め、ユニットシステムとしての護岸全体を容易かつ迅速
に施工することができる。その結果、現場作業の労力及
び時間を削減し、作業性を向上することができる。
【0022】また、ユニットとしての護岸ブロックの組
み合わせ及び配置の態様により、多様な形状の水際また
は河岸を人工的に容易に形成することができる。例え
ば、特に中小河川に見られるコンクリート護岸による直
線的な流路を、瀬と淵とを有する自然の河川形状に近い
蛇行形状としたり、所望箇所にワンドを形成する等、変
化に富んだ河岸形状を容易に形成することができる。そ
の結果、生態系の創出及び保全にとってより効果的な任
意形状の護岸を容易に形成することができる。
【0023】なお、請求項2の護岸ブロックは、略錐形
状をなす複数の突起部の底面側を互いに接合して全体を
略平坦面とし、突起部がその接合部分の一側から突出す
る構成とすることができる。この場合、護岸ブロック
は、敷設箇所の土面等に安定して配置保持することがで
き、特に低水護岸に好適である。なお、護岸ブロックの
底面側の他側に、他の突起部等、追加的な構成を設ける
ことは無論可能である。
【0024】また、護岸ブロックは、突起部の長さ方向
が設置面と略直交するよう敷設する。例えば、低水護岸
に適用する場合は、突起部が低水護岸の法面と略直交し
て斜めに延び、根固め工に適用する場合は、突起部が水
際の河床面と略直交して上下に延びるようにする。
【0025】更に、設置後は、各護岸ブロックの突起部
間に形成される空間が様々な機能を発揮する。例えば、
請求項2の護岸ブロックを低水護岸として敷設した場
合、通常は、緑化のために護岸ブロックの上面側に覆土
を設けて、その覆土に植生を活着させて緑化を図る。こ
こで、請求項2の護岸ブロックでは、突起部間の空間
は、突起部の底部側から頂部側に向かって拡大し、十分
な容積を有して、多量の土壌(覆土)を保持する土壌保
持槽として機能し、土壌(覆土)の滑動、剥離等を防止
する。その結果、覆土の流出を防止して、覆土に生育す
る植生の流出をも防止することができる。また、護岸ブ
ロック上に多量の覆土を長期にわたって安定して保持す
ることができるため、植生として、草本類の他、木本類
(特に低木類)の生育が可能となる。
【0026】また、請求項2の護岸ブロックを根固め工
として敷設した場合、突起部が流水に対する十分な抵抗
を有して流速を緩和し、流水による急激な河床洗掘等を
緩和する。その結果、護岸ブロックにより根固め工とし
ての治水機能を効果的に発揮することができる。また、
突起部間の空間が、魚巣等、水中生物の生育空間を形成
する。その結果、水中生物に好適な環境を創出し、ビオ
トープの創出及び保全に貢献することができる。
【0027】特に、請求項2の護岸ブロックでは、突起
部を円錐、角錐等の略錐形状としているため、突起部間
の空間の断面形状は突起部と対称的に突起部の頂部側に
拡大し、十分な空間率(空隙率)を有する。その結果、
各護岸ブロックが、ユニット単体で魚巣等として機能
し、魚類等の生息に良好な環境を提供することができ
る。また、洪水または経年による土砂堆積により、各護
岸ブロックの空間が閉塞した場合でも、上記のように、
複数の護岸ブロックを組み合わせて所定態様で配置し、
所定形状のワンドを形成することにより、ワンド自体が
寿命の長い大型魚巣等の水中生物の生息空間を構成す
る。即ち、多数配置した護岸ブロックによるユニットシ
ステムとしての護岸のワンドが、魚巣等の水中生物の生
息環境としての機能を長期にわたって発揮する。なお、
このワンドは、経年による土砂堆積により自然な湾曲形
状となるため、侵食堆積作用を利用したビオトープの創
出及び保全も可能となる。
【0028】なお、護岸ブロックを低水護岸として敷設
した場合に、その護岸ブロックが増水時に流水を受ける
場合でも、上記と同様に、突起部が流速を緩和し、低水
護岸としての治水機能を効果的に発揮することができ
る。
【0029】更に、請求項2では、低水護岸に覆土を設
けると共に、根固め工として設置した護岸ブロックのう
ち、少なくとも低水護岸に隣接する水際(法尻側)の護
岸ブロック上に、低水護岸の覆土に連続して覆土を設け
ても良い。この場合、根固め工の護岸ブロックの突起部
間の空間にも土壌が充填され、葦類等の水性植物の植栽
が可能となる。即ち、河川の生態系の創出及び保全にと
って重要な要素である水際植生の植栽が可能となる。ま
た、人間等が水際の護岸ブロックの覆土上を歩くことが
可能となり、地域住民等に親水域を提供することができ
る。更に、低水護岸及び根固め工の護岸ブロック及び覆
土により、陸圏から水圏に至る緩い傾斜面が形成され
る。ここで、緩い傾斜面は、昆虫類の水圏から陸圏への
移動を可能にし、昆虫類の産卵及び生育に必須の要素で
あるため、昆虫類の生息環境を確保することができる。
なお、根固め工に適用した場合も、護岸ブロックの突起
部間の空間が十分な容積を有し、土壌保持槽として機能
して覆土の流出を防止する。
【0030】また、護岸ブロックは、コンクリート材料
により形成される。護岸ブロックは、例えば、工場等に
おいて、所定の型を使用して予めブロック形状に一体形
成する。ここで、コンクリート材料は、従来の護岸工事
の主要材料として使用され、安価で、かつ、安定供給が
可能である。その結果、材料の確保が容易となり、か
つ、護岸ブロック自体の安定供給が可能となる。また、
護岸ブロックの大量生産も可能となり、材料コストに加
え、製造コストをも低減することができる。更に、腐食
による強度及び耐久性等の機能低下を有効に防止するこ
とができる。
【0031】請求項3に係る護岸ブロックは、コンクリ
ートからなる複数の略紡錘形状の突起部を、その各頂部
側が同一側となるよう互いに略平行に並べた状態で、前
記各突起部の両頂部間の中央部分を互いに接合して全体
をブロック形状とすると共に、前記突起部間に前記中央
部から各頂部側に向かって拡大する空間を形成した。
【0032】ここで、突起部の形状は、全体として所定
の長さを有する略紡錘形状であれば良い。略紡錘形状と
は、2つの略錐形を底面側で接合した形状である。ま
た、略紡錘形状の突起部の半部を形成する略錐形は、円
錐、角錐等、頂点が尖鋭な純粋な錐形の他、頂部を平坦
に切断した円錐台形状または角錐台形状としても良い。
更に、階段錐形状、蛇腹錐形状等のように、断面が段階
的に、或いは、不連続的または不規則に変化する形状も
含む。
【0033】したがって、請求項3の護岸ブロックを一
単位(ユニット)として、護岸工事、例えば、法覆工
(低水護岸等)または根固め工において、設置箇所に多
数敷設することにより所望の護岸を形成することができ
る。このとき、護岸ブロックはユニット化されているた
め、ユニットシステムとしての護岸全体を容易かつ迅速
に施工することができる。その結果、現場作業の労力及
び時間を削減し、作業性を向上することができる。
【0034】また、ユニットとしての護岸ブロックの組
み合わせ及び配置の態様により、多様な形状の水際また
は河岸を人工的に容易に形成することができる。例え
ば、特に中小河川に見られるコンクリート護岸による直
線的な流路を、瀬と淵とを有する自然の河川形状に近い
蛇行形状としたり、所望箇所にワンドを形成する等、変
化に富んだ河岸形状を容易に形成することができる。そ
の結果、生態系の創出及び保全にとってより効果的な任
意形状の護岸を容易に形成することができる。
【0035】なお、請求項3の護岸ブロックは、略紡錘
形状をなす突起部の中央を境として、長さ方向両側にそ
れぞれ空間が形成されるため、その両側の空間を魚巣
等、多様な目的に使用することができる。よって、請求
項3の護岸ブロックは、特に根固め工に好適である。
【0036】また、護岸ブロックは、突起部の長さ方向
が設置面と略直交するよう敷設する。例えば、低水護岸
に適用する場合は、突起部が低水護岸の法面と略直交し
て斜めに延び、根固め工に適用する場合は、突起部が水
際の河床面と略直交して上下に延びるようにする。
【0037】更に、請求項3の護岸ブロックを根固め工
として敷設した場合、突起部が流水に対する十分な抵抗
を有して流速を緩和し、流水による急激な河床洗掘等を
緩和する。特に、突起部は、それぞれ略錐形状をなす上
半部及び下半部が上下両側に突出するため、水中の上部
及び下部でそれぞれ流速緩和機能を発揮する。その結
果、護岸ブロックにより根固め工としての治水機能を効
果的に発揮することができる。また、突起部間の空間
が、突起部の上下両側でそれぞれ、魚巣等、水中生物の
生育空間を形成する。その結果、水中生物に好適な環境
を創出し、ビオトープの創出及び保全に貢献することが
できる。
【0038】特に、請求項3の護岸ブロックでは、突起
部を略紡錘形状としているため、突起部の上側及び下側
の各空間の断面形状は、突起部と対称的に突起部の頂部
側に拡大し、十分な空間率(空隙率)を有する。(実施
の形態1では約50%であり、玉石を使用した根固め工
の場合とほぼ同等となる。)その結果、各護岸ブロック
が、ユニット単体で魚巣等として機能し、魚類等の生息
に良好な環境を提供することができる。また、洪水また
は経年による土砂堆積により、各護岸ブロックの空間が
閉塞した場合でも、上記のように、複数の護岸ブロック
を組み合わせて所定態様で配置し、所定形状のワンドを
形成することにより、ワンド自体が寿命の長い大型魚巣
等の水中生物の生息空間を構成する。即ち、多数配置し
た護岸ブロックによるユニットシステムとしての護岸の
ワンドが、魚巣等の水中生物の生息環境としての機能を
長期にわたって発揮する。なお、このワンドは、経年に
よる土砂堆積により自然な湾曲形状となるため、侵食堆
積作用を利用したビオトープの創出及び保全も可能とな
る。
【0039】また、請求項3では、低水護岸に覆土を設
けると共に、根固め工として設置した護岸ブロックのう
ち、少なくとも低水護岸に隣接する水際(法尻側)の護
岸ブロック上に、低水護岸の覆土に連続して覆土を設け
ても良い。ここで、請求項3の護岸ブロックでは、特に
突起部の上側の空間は、突起部の中央側から上端頂部側
に向かって拡大し、十分な容積を有して、多量の土壌
(覆土)を保持する土壌保持槽として機能し、土壌(覆
土)の滑動、剥離等を防止する。その結果、覆土の流出
を防止して、覆土に生育する植生の流出をも防止するこ
とができる。また、護岸ブロック上に多量の覆土を長期
にわたって安定して保持することができる。この場合、
根固め工の護岸ブロックの突起部間の空間にも土壌が充
填され、葦類等の水性植物の植栽が可能となる。即ち、
河川の生態系の創出及び保全にとって重要な要素である
水際植生の植栽が可能となる。また、人間等が水際の護
岸ブロックの覆土上を歩くことが可能となり、地域住民
等に親水域を提供することができる。更に、低水護岸及
び根固め工の護岸ブロック及び覆土により、陸圏から水
圏に至る緩い傾斜面が形成される。ここで、緩い傾斜面
は、昆虫類の水圏から陸圏への移動を可能にし、昆虫類
の産卵及び生育に必須の要素であるため、昆虫類の生息
環境を確保することができる。
【0040】なお、請求項3の護岸ブロックを低水護岸
として敷設することも可能である。この場合、通常は、
緑化のために護岸ブロックの上面側に覆土を設けて、そ
の覆土に植生を活着させて緑化を図る。そして、低水護
岸に適用した場合も、護岸ブロックの突起部間の空間が
十分な容積を有し、土壌保持槽として機能して覆土の流
出を防止する。また、植生として、草本類の他、木本類
(特に低木類)の生育が可能となる。
【0041】更に、護岸ブロックを低水護岸として敷設
した場合に、その護岸ブロックが増水時に流水を受ける
場合でも、上記と同様に、突起部が流速を緩和し、低水
護岸としての治水機能を効果的に発揮することができ
る。
【0042】また、護岸ブロックは、コンクリート材料
により形成される。護岸ブロックは、例えば、工場等に
おいて、所定の型を使用して予めブロック形状に一体形
成する。ここで、コンクリート材料は、従来の護岸工事
の主要材料として使用され、安価で、かつ、安定供給が
可能である。よって、材料の確保が容易となり、かつ、
護岸ブロック自体の安定供給が可能となる。また、護岸
ブロックの大量生産も可能となり、材料コストに加え、
製造コストをも低減することができる。更に、腐食によ
る強度及び耐久性等の機能低下を有効に防止することが
できる。
【0043】請求項4に係る護岸ブロックは、請求項1
乃至3のいずれかの構成において、前記突起部を複数列
からなるマトリック状に配置すると共に、各偶数列の突
起部が各奇数列の突起部間の空間に対応するよう、前記
奇数列の突起部と前記偶数列の突起部とを列方向に位置
をずらして配置した。
【0044】したがって、マトリック状に配置した突起
部がより大きな摩擦抵抗を有する。また、突起部間の空
間がより複雑な形状となる。よって、例えば、護岸ブロ
ックを低水護岸に適用した場合、突起部間の空間がより
効果的に土壌保持機能等を発揮する。また、護岸ブロッ
クを根固め工に適用した場合、突起部がより効果的に流
速緩和機能等を発揮する。更に、奇数列及び偶数列の突
起部が、列方向に位置をずらして配置され、偶数列の突
起部が奇数列の突起部間の空間に対応するため、各護岸
ブロックにおいて、特に行方向の抵抗が増大する。
【0045】ここで、低水護岸及び/または根固め工等
において、多数の護岸ブロックを、全体がマトリック状
となるよう、かつ、前後及び/または左右に隣接する護
岸ブロックの突起部の列方向が互いに交差するよう配置
することにより、隣接する一の護岸ブロックの偶数列の
突起部が、隣接する他の護岸ブロックの突起部列間の溝
状の空間に対応する。即ち、一の護岸ブロックの偶数列
の突起部が他の護岸ブロックの列間の空間を隣接する位
置で遮断することになる。そして、このような偶数列の
突起部が、隣接する護岸ブロック間で互いに交差して配
置され、護岸ブロックの敷設面全体において、行方向及
び列方向の両方向の抵抗を増大する。その結果、護岸ブ
ロックを、その列方向が流水方向または法線方向と一致
するよう配置することにより、法線方向及び流水方向の
両方向においてより一層効果的に土壌保持機能及び流水
緩和機能等を発揮することができる。
【0046】請求項5に係る護岸ブロックは、請求項1
乃至3のいずれかの構成において、前記突起部を複数列
からなるマトリック状に配置すると共に、前記突起部の
列数を3以上の奇数とし、前記各奇数列の突起部の数を
前記列数と同数とすると共に、前記各偶数列の突起部の
数を前記列数より1つ少ない数とし、前記各偶数列の突
起部が前記各奇数列の突起部間の空間に対応するよう、
前記奇数列の突起部と前記偶数列の突起部とを列方向に
位置をずらして配置した。
【0047】したがって、マトリック状に配置した突起
部がより大きな摩擦抵抗を有する。また、突起部間の空
間がより複雑な形状となる。よって、例えば、護岸ブロ
ックを低水護岸に適用した場合、突起部間の空間がより
効果的に土壌保持機能等を発揮する。また、護岸ブロッ
クを根固め工に適用した場合、突起部がより効果的に流
速緩和機能等を発揮する。更に、奇数列及び偶数列の突
起部が、列方向に位置をずらして配置され、偶数列の突
起部が奇数列の突起部間の空間に対応するため、各護岸
ブロックにおいて、特に行方向の抵抗が増大する。
【0048】更に、奇数列の突起部の数を全体の列数と
同数としたため、護岸ブロックの全体形状が略方形ブロ
ック状となる。また、偶数列の突起部の数を列数(奇数
列の突起部の数)より1つ少ない数としたため、列間の
溝状の空間の数と偶数列の突起部の数が同一となる。よ
って、各偶数列の突起部は隣接する両側の奇数列の突起
部間の空間に1対1の関係で全て対応し、奇数列の突起
部より外側に位置することはない。その結果、多数の護
岸ブロックを整然と密接配置することができ、所望の護
岸形状を簡単に得ることができる。
【0049】ここで、低水護岸及び/または根固め工等
において、多数の護岸ブロックを、全体がマトリック状
となるよう、かつ、前後及び/または左右に隣接する護
岸ブロックの突起部の列方向が互いに交差するよう配置
することにより、隣接する一の護岸ブロックの偶数列の
突起部が、隣接する他の護岸ブロックの突起部列間の溝
状の空間に対応する。特に、列間の溝状の空間の数と偶
数列の突起部の数が同一であるため、隣接する一の護岸
ブロックの偶数列の突起部が、隣接する他の護岸ブロッ
クの突起部列間の溝状の空間に1対1の関係で全て対応
する。即ち、一の護岸ブロックの偶数列の突起部が他の
護岸ブロックの列間の空間を隣接する位置で全て遮断す
ることになる。そして、このような偶数列の突起部が、
隣接する護岸ブロック間で互いに交差して配置され、護
岸ブロックの敷設面全体において、行方向及び列方向の
両方向の抵抗を増大する。その結果、護岸ブロックを、
その列方向が流水方向または法線方向と一致するよう配
置することにより、法線方向及び流水方向の両方向にお
いてより一層効果的に土壌保持機能及び流水緩和機能等
を発揮することができる。
【0050】請求項6に係る護岸ブロックは、請求項5
の構成において、前記突起部を左列が3個、中央列が2
個、右列が3個の合計3列からなるマトリック状に配置
すると共に、前記中央列の各突起部が前記左列及び右列
の突起部間に形成される各空間に対応するよう、前記中
央列の突起部と前記左列及び右列の突起部とを列方向に
位置をずらして配置した。
【0051】したがって、少ない数の突起部で請求項5
の護岸ブロックと同様の作用を奏し、同様の効果を発揮
することができる。
【0052】請求項7に係る護岸ブロックは、請求項1
乃至6のいずれかの構成において、前記突起部間に突起
部の長さ方向に貫通する貫通孔を形成した。
【0053】したがって、貫通孔が護岸ブロックの突起
部間の接合部分を貫通し、その両側での流通が可能とな
る。その結果、例えば、低水護岸に適用した場合、その
貫通孔にも土壌を充填することができ、土壌保持機能が
増大する。また、根固め工に適用した場合、貫通孔を介
して流水が流通する。その結果、魚類等の水中生物の生
息空間を拡大することができる。
【0054】請求項8に係る護岸ブロックは、請求項1
乃至7のいずれかの構成において、少なくとも前記突起
部をポーラスコンクリートにより形成した。
【0055】ここで、ポーラスコンクリートは多孔質で
あり、それ自体の空隙率が高い。したがって、請求項9
の護岸ブロックは、表面が粗面となり、魚類等の餌とな
る藻類が付着しやすい。その結果、魚類等に対してより
良好な生息環境を提供することができる。また、多孔質
による空隙を介して、水質浄化作用を期待することがで
きる。特に、ポーラスコンクリート中に水質浄化材を混
入して空隙部分の表面に露出させることにより、より良
好な水質浄化を期待することができる。なお、護岸ブロ
ックを多孔質とするには、水セメント30% 程度のセメ
ントペーストで粗骨材を接合して所定形状に成形するこ
とが好ましい。こうすれば、流水に対する磨耗抵抗性、
耐久性が格段に向上する。
【0056】請求項9に係る護岸は、請求項1乃至8の
いずれかの護岸ブロックを低水護岸及び/または根固め
工として使用し、多数の前記護岸ブロックをマトリック
状に配置した。
【0057】したがって、マトリック状に配置した多数
の護岸ブロックの各々が、上記の作用及び効果を発揮す
る。同時に、護岸ブロックは、全体としてマトリックス
状に配置されるため、より密に配置することができ、上
記の作用及び効果をより有効に発揮することができる。
【0058】請求項10に係る護岸は、請求項6の護岸
ブロックを低水護岸及び/または根固め工として使用
し、多数の前記護岸ブロックを、全体がマトリック状と
なるよう、かつ、前後及び/または左右に隣接する護岸
ブロックの突起部の列方向が互いに交差するよう配置し
た。
【0059】したがって、マトリック状に配置した多数
の護岸ブロックの各々及び全体が、上記の作用及び効果
を発揮する。同時に、護岸ブロックは、全体としてマト
リックス状に配置されるため、より密に配置することが
でき、上記の作用及び効果をより有効に発揮することが
できる。
【0060】また、上記のように、各護岸ブロック自体
が土壌保持機能及び流速緩和機能等を発揮する。これに
加え、突起部の列方向が互いに交差するよう配置した多
数の護岸ブロックが、その配置態様により、護岸ブロッ
クの敷設面全体において、行方向及び列方向の両方向の
抵抗を増大する。その結果、上記のように、法線方向及
び流水方向の両方向においてより一層効果的に土壌保持
機能及び流水緩和機能等を発揮することができる。
【0061】請求項11に係る護岸は、請求項9または
10の構成において、前記マトリック状に配置した護岸
ブロックのうち、水際部に配置される護岸ブロックの一
部を省略して、その部分にワンドを形成した。
【0062】したがって、水際または河岸の所望位置に
所望形状のワンドを簡単に形成することができる。その
結果、そのワンドにより魚巣等を構成し、魚類等に対し
てより良好な生息環境を提供することができる。
【0063】請求項12に係る護岸は、請求項9乃至1
1のいずれかの構成において、前記多数の護岸ブロック
をピン構造により互いに屈撓自在に連接した。
【0064】したがって、低水護岸、根固め工等とし
て、所定の敷設面に多数配置した護岸ブロックが、ピン
構造を介して、敷設面の凹凸形状に応じて相互の位置関
係及び全体形状を自動的に修正する。その結果、護岸
(低水護岸、根固め工等)として、安定性及び屈撓性に
優れた構造体を提供することができる。
【0065】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。なお、各実施の形態を通じて、同一の部材または
要素には同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0066】図1は本発明の実施の形態1に係る護岸ブ
ロックを示す正面図である。図2は本発明の実施の形態
1に係る護岸ブロックを示す平面図である。図3は図1
のA−A線断面図である。
【0067】図1〜図3に示すように、実施の形態1に
係る護岸ブロック10は、複数の突起部11及び接合部
12を備える。各突起部11は、ポーラスコンクリート
より略紡錘形状に形成されている。そして、実施の形態
1では、合計8個の突起部11を、その各頂部側が同一
側(上側及び下側)となるよう互いに略平行に並べた状
態で、ポーラスコンクリートからなる接合部12により
各突起部11の両頂部間の中央部分を互いに接合してい
る。これにより、護岸ブロック10の全体形状は、ポー
ラスコンクリートからなる略正方形平板ブロック形状と
なっている。更に、隣接する突起部11間には、突起部
11の長さ方向(接合部12の厚さ方向)に貫通する貫
通孔13が形成されている。また、突起部11間には、
その中央部から各頂部側に向かって拡大する空間14が
形成されている。
【0068】詳細には、各突起部11は、2個の正八角
錐台をその底面で互いに接合し、中央を膨らませた形状
の紡錘形状をなしている。また、8個の突起部11は、
左列が3個、中央列が2個、右列が3個の合計3列から
なるマトリック状に配置されている。3列の突起部11
は互いに平行に配置されている。更に、左列及び右列の
突起部11は、列方向の同一位置に配置されている。ま
た、中央列の各突起部11が左列の突起部11及び右列
の突起部11間に形成される各空間14中央に正確に対
応するよう、中央列の突起部11と左列及び右列の突起
部11とを列方向に位置をずらして配置している。
【0069】前記接合部12は、突起部11の中央部分
に対応する厚みの平板状をなし、各突起部11を所定間
隔離間した状態で接合している。よって、接合部12が
接合する突起部11の側面は、接合部12によりその厚
み分だけ覆われることになり、前記空間14の高さは、
接合部12の上面及び下面からの突起部11の突出高さ
となっている。また、前記貫通孔13は、隣接する突起
部11間の形状に対応して、2個の正八角錐台をその頂
部平坦面で互いに接合し、中央を絞った形状の紡錘形状
をなしている。更に、突起部11が紡錘形状をなすた
め、前記空間14は、接合部12の上面側及び下面側に
それぞれ形成されている。そして、護岸ブロック10の
前端(図1中下端)の中央及び後端(図1中上端)の中
央には、それぞれ、左右列の突起部11と中央列の突起
部11との変位に対応して、平面略台形状の凹部15が
形成されている。
【0070】上記のように構成された実施の形態1の護
岸ブロックは、主に、根固め工に適用することを前提と
している。
【0071】次に、上記のように構成された実施の形態
1に係る護岸ブロックの作用及び効果を説明する。
【0072】実施の形態1では、護岸ブロック10を一
単位(ユニット)として、護岸工事、特に根固め工にお
いて、設置箇所に多数敷設することにより所望の護岸
(根固め工)を形成することができる。このとき、護岸
ブロック10はユニット化されているため、ユニットシ
ステムとしての護岸全体を容易かつ迅速に施工すること
ができる。その結果、現場作業の労力及び時間を削減
し、作業性を向上することができる。
【0073】また、ユニットとしての護岸ブロック10
の組み合わせ及び配置の態様により、多様な形状の水際
または河岸を人工的に容易に形成することができる。例
えば、特に中小河川に見られるコンクリート護岸による
直線的な流路を、瀬と淵とを有する自然の河川形状に近
い蛇行形状としたり、所望箇所にワンドを形成する等、
変化に富んだ河岸形状を容易に形成することができる。
その結果、生態系の創出及び保全にとってより効果的な
任意形状の護岸を容易に形成することができる。
【0074】なお、実施の形態1の護岸ブロック10
は、紡錘形状をなす突起部11の中央を境として、長さ
方向両側にそれぞれ空間14が形成されるため、その両
側の空間14を魚巣等、多様な目的に使用することがで
きる。よって、実施の形態1の護岸ブロック10は、特
に根固め工に好適である。
【0075】また、護岸ブロック10は、突起部11の
長さ方向が設置面と略直交するよう敷設する。例えば、
根固め工に適用する場合は、突起部11が水際の河床面
と略直交して上下に延びるようにする。
【0076】更に、実施の形態1の護岸ブロック10を
根固め工として敷設した場合、突起部11が流水に対す
る十分な抵抗を有して流速を緩和し、流水による急激な
河床洗掘等を緩和する。特に、突起部11は、それぞれ
錐形台状をなす上半部及び下半部が上下両側に突出する
ため、水中の上部及び下部でそれぞれ流速緩和機能を発
揮する。その結果、護岸ブロック10により根固め工と
しての治水機能を効果的に発揮することができる。ま
た、突起部11間の空間14が、突起部11の上下両側
でそれぞれ、魚巣等、水中生物の生育空間を形成する。
その結果、水中生物に好適な環境を創出し、ビオトープ
の創出及び保全に貢献することができる。
【0077】特に、実施の形態1の護岸ブロック10で
は、突起部11を紡錘形状としているため、突起部11
の上側及び下側の各空間14の断面形状は、突起部11
と対称的に突起部11の頂部側に拡大し、十分な空間率
(空隙率)を有する。実施の形態1では、その空間率は
約50%であり、玉石を使用した根固め工の場合とほぼ
同等となる。その結果、各護岸ブロック10が、ユニッ
ト単体で魚巣等として機能し、魚類等の生息に良好な環
境を提供することができる。また、洪水または経年によ
る土砂堆積により、各護岸ブロック10の空間14が閉
塞した場合でも、上記のように、複数の護岸ブロック1
0を組み合わせて所定態様で配置し、所定形状のワンド
を形成することにより、ワンド自体が寿命の長い大型魚
巣等の水中生物の生息空間を構成する。即ち、多数配置
した護岸ブロック10によるユニットシステムとしての
護岸のワンドが、魚巣等の水中生物の生息環境としての
機能を長期にわたって発揮する。なお、このワンドは、
経年による土砂堆積により自然な湾曲形状となるため、
侵食堆積作用を利用したビオトープの創出及び保全も可
能となる。
【0078】また、実施の形態1では、低水護岸に覆土
を設けると共に、根固め工として設置した護岸ブロック
10のうち、少なくとも低水護岸に隣接する水際(法尻
側)の護岸ブロック10上に、低水護岸の覆土に連続し
て覆土を設けても良い。ここで、実施の形態1の護岸ブ
ロック10では、特に突起部11の上側の空間14は、
突起部11の中央側から上端頂部側に向かって拡大し、
十分な容積を有して、多量の土壌(覆土)を保持する土
壌保持槽として機能し、土壌(覆土)の滑動、剥離等を
防止する。その結果、覆土の流出を防止して、覆土に生
育する植生の流出をも防止することができる。また、護
岸ブロック10上に多量の覆土を長期にわたって安定し
て保持することができる。
【0079】この場合、根固め工の護岸ブロック10の
突起部11間の空間14にも土壌が充填され、葦類等の
水性植物の植栽が可能となる。即ち、河川の生態系の創
出及び保全にとって重要な要素である水際植生の植栽が
可能となる。また、人間等が水際の護岸ブロック10の
覆土上を歩くことが可能となり、地域住民等に親水域を
提供することができる。更に、低水護岸及び根固め工の
護岸ブロック10及び覆土により、陸圏から水圏に至る
緩い傾斜面が形成される。ここで、緩い傾斜面は、昆虫
類の水圏から陸圏への移動を可能にし、昆虫類の産卵及
び生育に必須の要素であるため、昆虫類の生息環境を確
保することができる。
【0080】なお、実施の形態1の護岸ブロック10を
低水護岸として敷設することも可能である。この場合、
通常は、緑化のために護岸ブロック10の上面側に覆土
を設けて、その覆土に植生を活着させて緑化を図る。そ
して、低水護岸に適用した場合も、護岸ブロック10の
突起部11間の空間が十分な容積を有し、土壌保持槽と
して機能して覆土の流出を防止する。また、植生とし
て、草本類の他、木本類(特に低木類)の生育が可能と
なる。更に、護岸ブロック10を低水護岸として敷設し
た場合に、その護岸ブロック10が増水時に流水を受け
る場合でも、上記と同様に、突起部11が流速を緩和
し、低水護岸としての治水機能を効果的に発揮すること
ができる。
【0081】また、護岸ブロック10は、ポーラスコン
クリートにより形成され、例えば、工場等において、所
定の型を使用して予めブロック形状に一体形成する。こ
こで、ポーラスコンクリートの材料であるセメントは、
従来の護岸工事の主要材料として使用され、安価で、か
つ、安定供給が可能である。また、ポーラスコンクリー
トの骨材である粗骨材も安価で、かつ、安定供給が可能
である。よって、材料の確保が容易となり、かつ、護岸
ブロック10自体の安定供給が可能となる。また、護岸
ブロック10の大量生産も可能となり、材料コストに加
え、製造コストをも低減することができる。更に、腐食
による強度及び耐久性等の機能低下を有効に防止するこ
とができる。
【0082】更に、実施の形態1では、マトリック状に
配置した突起部11がより大きな摩擦抵抗を有する。ま
た、突起部11間の空間14がより複雑な形状となる。
よって、例えば、護岸ブロック10を根固め工に適用し
た場合、突起部11がより効果的に土壌保持機能及び流
速緩和機能等を発揮する。更に、奇数列及び偶数列の突
起部11が、列方向に位置をずらして配置され、偶数列
の突起部11が奇数列の突起部11間の空間に対応する
ため、各護岸ブロック10において、特に行方向の抵抗
が増大する。
【0083】更に、奇数列の突起部11の数(3個)を
全体の列数(3列)と同数としたため、護岸ブロック1
0の全体形状が略方形ブロック状となる。また、偶数列
の突起部11の数を列数(奇数列の突起部11の数)よ
り1つ少ない数(2個)としたため、列間の溝状の空間
14の数と偶数列の突起部11の数が同一となる。よっ
て、各偶数列の突起部11は隣接する両側の奇数列の突
起部11間の空間に1対1の関係で全て対応し、奇数列
の突起部11より外側に位置することはない。その結
果、多数の護岸ブロック10を整然と密接配置すること
ができ、所望の護岸形状を簡単に得ることができる。
【0084】加えて、貫通孔13が護岸ブロック10の
突起部11間の接合部12を貫通し、その両側での流通
が可能となる。その結果、例えば、その貫通孔13にも
土壌を充填することができ、土壌保持機能が増大する。
また、根固め工に適用した場合、貫通孔13を介して流
水が流通する。その結果、魚類等の水中生物の生息空間
を拡大することができる。更に、凹部15が隣接する護
岸ブロック10との間に比較的大きな空間を形成するた
め、この空間を魚類等の生息環境として利用することが
できる。
【0085】ここで、護岸ブロック10を形成するポー
ラスコンクリートは多孔質であり、それ自体の空隙率が
高い。したがって、実施の形態1の護岸ブロック10
は、表面が粗面となり、魚類等の餌となる藻類が付着し
やすい。その結果、魚類等に対してより良好な生息環境
を提供することができる。また、多孔質による空隙を介
して、水質浄化作用を期待することができる。特に、ポ
ーラスコンクリート中に水質浄化材を混入して空隙部分
の表面に露出させることにより、より良好な水質浄化を
期待することができる。なお、護岸ブロック10を多孔
質とするには、水セメント30% 程度のセメントペース
トで粗骨材を接合して所定形状に成形することが好まし
い。こうすれば、流水に対する磨耗抵抗性、耐久性が格
段に向上する。
【0086】図4は本発明の実施の形態2に係る護岸ブ
ロックを示す正面図である。図5は本発明の実施の形態
2に係る護岸ブロックを示す平面図である。図6は本発
明の実施の形態2に係る護岸ブロックを示す底面図であ
る。
【0087】図4、図6に示すように、実施の形態2に
係る護岸ブロック20は、実施の形態1に係る護岸ブロ
ック10を高さ方向(突部11の長さ方向)中央で2分
割した全体形状を有している。詳細には、実施の形態2
に係る護岸ブロック20は、合計8個の突起部21を、
その頂部側が同一側(上側)となるよう互いに略平行に
並べた状態で、ポーラスコンクリートからなる接合部2
2により各突起部21の頂部間の底面側部分を互いに接
合している。これにより、護岸ブロック20の全体形状
は、ポーラスコンクリートからなる略正方形平板ブロッ
ク形状となっている。更に、隣接する突起部21間に
は、突起部21の長さ方向(接合部22の厚さ方向)に
貫通する貫通孔23が形成されている。また、突起部2
1間には、その底面側から頂部側に向かって上方に拡大
する空間24が形成されている。各突起部21は、正八
角錐台状をなしている。また、8個の突起部21は、実
施の形態1の突起部11と同様の態様で配置されてい
る。
【0088】前記接合部22は、突起部21の底面側部
分に対応する厚みの平板状をなし、各突起部21を所定
間隔離間した状態で接合している。よって、接合部22
が接合する突起部21の側面は、接合部22によりその
厚み分だけ覆われることになり、前記空間24の高さ
は、接合部22の上面からの突起部21の突出高さとな
っている。また、前記貫通孔23は、隣接する突起部2
1間の形状に対応して、下方に縮径する正八角錐台状を
なしている。更に、突起部21が錘形状をなすため、前
記空間24は、接合部22の上面側にのみ形成されてい
る。そして、護岸ブロック20の前後両端中央には、そ
れぞれ、実施の形態1の凹部15と同様の平面略台形状
の凹部25が形成されている。
【0089】上記のように構成された実施の形態2の護
岸ブロックは、主に、低水護岸に適用することを前提と
している。
【0090】次に、上記のように構成された実施の形態
2に係る護岸ブロックの作用及び効果を説明する。
【0091】実施の形態2では、実施の形態1と同様
に、護岸ブロック20を一単位(ユニット)として、護
岸工事、特に法覆工(低水護岸等)において、設置箇所
に多数敷設することにより所望の護岸を形成することが
でき、実施の形態1と同様の作用及び効果を奏すること
ができる。
【0092】また、実施の形態2の護岸ブロック20
は、略錐形状をなす複数の突起部の底面側を接合部22
により互いに接合して底面全体を略平坦面とし、突起部
21がその接合部22の上側から突出する構成としてい
る。よって、護岸ブロック20は、敷設箇所の土面等に
安定して配置保持することができ、特に低水護岸に好適
である。なお、護岸ブロック20の底面側の他側に、他
の突起部、位置ずれ防止用の突起等、追加的な構成を設
けることは無論可能である。
【0093】また、護岸ブロック20は、突起部21の
長さ方向が設置面と略直交するよう敷設する。例えば、
低水護岸に適用する場合は、突起部21が低水護岸の法
面と略直交して斜めに延びるようにする。
【0094】更に、設置後は、各護岸ブロック20の突
起部21間に形成される空間24が様々な機能を発揮す
る。例えば、実施の形態2の護岸ブロック20を低水護
岸として敷設した場合、通常は、緑化のために護岸ブロ
ック20の上面側に覆土を設けて、その覆土に植生を活
着させて緑化を図る。ここで、実施の形態2の護岸ブロ
ック20では、突起部21間の空間24は、突起部21
の底部側から頂部側に向かって拡大し、十分な容積を有
して、多量の土壌(覆土)を保持する土壌保持槽として
機能し、土壌(覆土)の滑動、剥離等を防止する。その
結果、覆土の流出を防止して、覆土に生育する植生の流
出をも防止することができる。また、護岸ブロック20
上に多量の覆土を長期にわたって安定して保持すること
ができるため、植生として、草本類の他、木本類(特に
低木類)の生育が可能となる。
【0095】また、実施の形態2の護岸ブロック20を
根固め工として敷設することも可能である。この場合
も、突起部21が流水に対する十分な抵抗を有して流速
を緩和し、流水による急激な河床洗掘等を緩和する。そ
の結果、護岸ブロック20により根固め工としての治水
機能を効果的に発揮することができる。また、突起部2
1間の空間24が、魚巣等、水中生物の生育空間を形成
する。その結果、水中生物に好適な環境を創出し、ビオ
トープの創出及び保全に貢献することができる。
【0096】特に、実施の形態2の護岸ブロック20で
は、突起部21を八角錐台の略錐形状としているため、
突起部21間の空間の断面形状は突起部21と対称的に
突起部21の頂部側に拡大し、十分な空間率(空隙率)
を有する。その結果、各護岸ブロック20が、実施の形
態1と同様の作用及び効果を奏する。また、護岸ブロッ
ク20は、実施の形態1と同様、ポーラスコンクリート
により形成されるため、実施の形態1と同様の作用及び
効果を奏する。
【0097】図7は本発明の実施の形態3に係る護岸を
示す平面図である。図8は本発明の実施の形態3に係る
護岸を示す断面図である。図9は本発明の実施の形態3
に係る護岸の水際部分を示す拡大断面図である。
【0098】図7及び図8に示すように、実施の形態3
の護岸は、実施の形態1及び2の護岸ブロック10,2
0を低水護岸及び根固め工としてそれぞれ使用してい
る。また、多数の護岸ブロック10,20をマトリック
状に配置している。即ち、低水護岸には、実施の形態2
の護岸ブロック20を純粋なマトリックス状となるよ
う、前後2段(2行)に配置している。また、低水護岸
では、前後(法線方向)及び左右(流水方向)に隣接す
る護岸ブロック20の突起部21の列方向が互いに交差
するよう、護岸ブロック20を配置している。具体的に
は、前段(図7中上段)において左右に連続配置される
護岸ブロック20を、左または右のものから順に、突起
部21の列方向(図5中上下方向)が前後方向(図7中
上下方向)及び左右方向(図7中左右方向)に交互に延
びるよう配置する。
【0099】一方、根固め工には、実施の形態1の護岸
ブロック10をマトリックス状となるよう、前記低水護
岸の護岸ブロック20の後端(図7中下端)に連続し
て、前後4段(4行)に配置している。また、根固め工
でも、上記低水護岸の場合と同様にして、前後及び左右
に隣接する護岸ブロック10の突起部11の列方向が互
いに交差するよう、護岸ブロック10を配置している。
更に、根固め工の最前段の護岸ブロック10は、突起部
11の列方向が隣接する低水護岸の後段の護岸ブロック
20の突起部21の列方向に対しても互いに交差するよ
う、配置されている。これにより、低水護岸及び根固め
工の全体にわたって、隣接する全ての護岸ブロック1
0,20の突起部11の列方向が互いに交差することに
なる。
【0100】更に、実施の形態3では、マトリック状に
配置した根固め工の護岸ブロック10のうち、水際部
(図7中下端部)に配置される護岸ブロック10の一部
を省略して、その部分にワンド40を形成している。即
ち、各々、隣接する6個分の護岸ブロック10を省略
し、平面略横長長方形状のワンド40を形成している。
【0101】なお、実施の形態3では、高水護岸とし
て、高水護岸用に開発した護岸ブロック30を使用して
いる。この護岸ブロック30は、略矩形平板状をなし、
遮水性を有する普通コンクリート層及びポーラスコンク
リート層の二層構造である。また、ポーラスコンクリー
ト層には長溝凹部状をなすポット部31を設けている。
そして、高水護岸として、多数の護岸ブロック30をマ
トリックス状となるよう、複数段に配置している。な
お、図7及び図8では、高水護岸の護岸ブロック30及
び低水護岸の護岸ブロック20を隣接して配置している
が、高水敷を有する河川では、これらの間に高水敷が存
在する。高水敷のない堤防護岸では、図示のように、両
護岸ブロック20,30を隣接して配置する。
【0102】また、各護岸ブロック10,20,30の
空間14,24及びポット部31並びにそれらの上面に
は、現場発生土等からなる土壌(覆土)55が充填さ
れ、その土壌55に植生51の根系を保持して育成して
いる。前記土壌55は、高水護岸の護岸ブロック30及
び低水護岸の護岸ブロック20の上に連続的に設けられ
る。また、土壌55は、図9に示すように、根固め工と
して設置した護岸ブロック10のうち、少なくとも低水
護岸に隣接する水際(法尻側)の護岸ブロック10の上
に、低水護岸の土壌55に連続して設けられている。
【0103】ここで、低水護岸の護岸ブロック20は、
接合部22の下面からなるその平坦な底面を敷設面(コ
ンクリート面)61に載置して固定される。また、根固
め工の護岸ブロック10は、突起部11の下側頂部の平
坦面を敷設面61または河床面Gに載置して固定され
る。そして、護岸ブロック10は、突起部11の下半部
の頂部の平坦面が、水面W近辺に位置する。なお、高水
護岸の護岸ブロック30は、普通コンクリート側である
下面を敷設面61に載置して固定される。
【0104】次に、上記のように構成された実施の形態
3に係る護岸の作用及び効果を説明する。
【0105】実施の形態3では、低水護岸及び根固め工
において、隣接する一の護岸ブロック10,20の偶数
列の突起部11,21が、隣接する他の護岸ブロック1
0の突起部11,21の列間の溝状の空間14,24に
対応する。特に、列間の溝状の空間14,24の数と偶
数列の突起部11,21の数が同一であるため、隣接す
る一の護岸ブロック10,20の偶数列の突起部11,
21が、隣接する他の護岸ブロック10,20の突起部
11,21の列間の溝状の空間14,24に1対1の関
係で全て対応する。即ち、一の護岸ブロック10,20
の偶数列の突起部11,21が他の護岸ブロック10,
20の列間の空間14,24を隣接する位置で全て遮断
することになる。そして、このような偶数列の突起部1
1,21が、隣接する護岸ブロック10,20間で互い
に交差して配置され、護岸ブロック10,20の敷設面
全体において、行方向及び列方向の両方向の抵抗を増大
する。その結果、護岸ブロック10,20を、その列方
向が流水方向または法線方向と一致するよう配置するこ
とにより、法線方向及び流水方向の両方向においてより
一層効果的に土壌保持機能及び流水緩和機能等を発揮す
ることができる。
【0106】また、マトリック状に配置した多数の護岸
ブロック10,20の各々及び全体が、上記実施の形態
1及び2で述べたような作用及び効果を発揮する。同時
に、護岸ブロック10,20は、全体としてマトリック
ス状に配置されるため、より密に配置することができ、
上記の作用及び効果をより有効に発揮することができ
る。
【0107】更に、上記のように、護岸ブロック10を
適宜配置及び省略することにより、水際または河岸の所
望位置に所望形状のワンド40を簡単に形成することが
できる。その結果、そのワンド40により魚巣等を構成
し、魚類等に対してより良好な生息環境を提供すること
ができる。
【0108】図10は本発明の実施の形態4に係る護岸
を示す平面図である。図11は本発明の実施の形態4に
係る護岸を示す断面図である。
【0109】図10及び図11に示すように、実施の形
態4の護岸は、実施の形態3と同様、実施の形態1及び
2の護岸ブロック10,20を低水護岸及び根固め工と
してそれぞれ使用している。また、多数の護岸ブロック
10,20をマトリック状に配置している。一方、実施
の形態4の護岸は、ワンド80の形状において実施の形
態3と異なる。即ち、水際部(図10中下端部)に配置
される護岸ブロック10の一部を合計4個省略して、そ
の部分にワンド80を形成している。このワンド80
は、平面略T字状をなしている。
【0110】なお、実施の形態4では、高水護岸とし
て、高水護岸用に開発した他の護岸ブロック70を使用
している。この護岸ブロック70は、略矩形平板状をな
し、普通モルタル層及びポーラスコンクリート層の二層
構造である。また、ポーラスコンクリート層には長溝凹
部状をなすポット部71を設けている。そして、高水護
岸として、実施の形態3と同様、多数の護岸ブロック7
0をマトリックス状となるよう、複数段に配置してい
る。
【0111】上記のように構成された実施の形態4に係
る護岸も、実施の形態3と同様の作用及び効果を発揮す
る。
【0112】図12は本発明の実施の形態5に係る護岸
ブロックを示す平面図である。図13は本発明の実施の
形態5に係る護岸ブロックの連接構造を示す平面図であ
る。図14は本発明の実施の形態5に係る護岸ブロック
の連接構造を拡大して示す平面図である。
【0113】実施の形態5に係る護岸ブロックは、請求
項1の護岸ブロック10相互の連接構造を具体的に示
す。即ち、図12に示すように、護岸ブロック10の四
隅の突起部11の外側面には、金属製の連接リング91
が埋設等により固着されている。実施の形態5では、図
12及び図13に示すように、護岸ブロック10を相互
に密接配置すると、四隅の連接リング91が互いに近接
して対向配置される。そして、隣接する連接リング91
をシャックル等の連結具93により連結することによ
り、隣接する護岸ブロック10を互いに屈撓自在に連接
することができる。前記連接リング91及び連結具93
により、実施の形態5の連接ピン構造を構成している。
なお、上記連接ピン構造は、無論、実施の形態2の護岸
ブロックに適用しても良い。
【0114】次に、上記のように構成された実施の形態
5に係る護岸ブロックの作用及び効果を説明する。
【0115】実施の形態5では、低水護岸、根固め工等
として、所定の敷設面に多数配置した護岸ブロックが、
連接ピン構造としての連結リング91及び連結具93を
介して、敷設面の凹凸形状に応じて相互の位置関係及び
全体形状を自動的に修正する。その結果、護岸(低水護
岸、根固め工等)として、安定性及び屈撓性に優れた構
造体を提供することができる。
【0116】以下、本発明の護岸ブロックにおいて、突
起部の数及び配置を変更した実施の形態6〜10を図1
5〜図19に基づき説明する。
【0117】図15は本発明の実施の形態6に係る護岸
ブロックを示す平面図である。
【0118】実施の形態6の護岸ブロック100は、実
施の形態1の護岸ブロック10の突起部の列数を3列か
ら5列としたものである。即ち、護岸ブロック100
は、突起部11を合計5列11A,11Bからなるマト
リック状に配置する。また、各奇数列11Aの突起部1
1の数を列数と同数(5個)とする。そして、各偶数列
11Bの突起部11の数を前記列数(5列)より1つ少
ない4個とし、各偶数列11Bの突起部11が各奇数列
11Aの突起部11間の空間14に対応するよう、奇数
列11Aの突起部11と偶数列11Bの突起部11とを
列方向に位置をずらして配置している。
【0119】上記のように構成された実施の形態6に係
る各護岸ブロック100は、実施の形態1に係る護岸ブ
ロック10と同様の作用及び効果を発揮する。また、実
施の形態6に係る各護岸ブロック100は、実施の形態
3及び4で述べたような配置態様とすることにより、即
ち、前後及び/または左右に隣接する護岸ブロック10
0の突起部11の列方向が互いに交差するよう配置する
ことにより、実施の形態3及び4で述べたような作用及
び効果を奏する。
【0120】図16は本発明の実施の形態7に係る護岸
ブロックを示す平面図である。
【0121】実施の形態7の護岸ブロック110は、図
16に示すように、突起部11を合計4列11A,11
Bからなるマトリック状に配置する。また、各奇数列1
1Aの突起部11の数を列数と同数(4個)とする。そ
して、各偶数列11Bの突起部11の数を前記列数(4
列)より1つ少ない3個とし、各偶数列11Bの突起部
11が各奇数列11Aの突起部11間の空間14に対応
するよう、奇数列11Aの突起部11と偶数列11Bの
突起部11とを列方向に位置をずらして配置している。
【0122】上記のように構成された実施の形態7に係
る各護岸ブロック110は、全体形状が実施の形態1〜
6の護岸ブロック10,20,100のように、略正方
形平板ブロック状とはならないが、実施の形態1に係る
護岸ブロック10と同様の作用及び効果を発揮する。ま
た、実施の形態7に係る各護岸ブロック100は、実施
の形態3及び4で述べたような配置態様とすることによ
り、即ち、前後及び/または左右に隣接する護岸ブロッ
ク110の突起部11の列方向が互いに交差するよう配
置することにより、実施の形態3及び4で述べたような
作用及び効果を奏する。
【0123】図17は本発明の実施の形態8に係る護岸
ブロックを示す平面図である。
【0124】実施の形態8の護岸ブロック120は、図
17に示すように、突起部11を合計3列11A,11
Bからなるマトリック状に配置する。また、各奇数列1
1Aの突起部11の数を列数より1個多い数(4個)と
する。そして、各偶数列11Bの突起部11の数を前記
列数(3列)と同数の3個とし、各偶数列11Bの突起
部11が各奇数列11Aの突起部11間の空間14に対
応するよう、奇数列11Aの突起部11と偶数列11B
の突起部11とを列方向に位置をずらして配置してい
る。
【0125】上記のように構成された実施の形態8に係
る各護岸ブロック120は、全体形状が実施の形態1〜
6の護岸ブロック10,20,100のように、略正方
形平板ブロック状とはならず、略長方形平板ブロック状
となるが、実施の形態1に係る護岸ブロック10と同様
の作用及び効果を発揮する。なお、護岸ブロック120
は、通常は、突起部11の列方向が同一方向となるよう
配置するが、列方向が交差するよう配置したり、その他
の配置態様とすることも可能である。
【0126】図18は本発明の実施の形態9に係る護岸
ブロックを示す平面図である。
【0127】実施の形態9の護岸ブロック130は、図
18に示すように、突起部11を合計3列11A,11
Bからなるマトリック状に配置する。また、各奇数列1
1Aの突起部11の数を列数と同数(3個)とすると共
に、各偶数列11Bの突起部11の数を前記列数(3
列)と同数の3個とする。そして、各偶数列11Bの前
側の2個の突起部11が各奇数列11Aの突起部11間
の空間14に対応するよう、奇数列11Aの突起部11
と偶数列11Bの突起部11とを列方向に位置をずらし
て配置している。なお、護岸ブロック130は、偶数列
11Bの最も後側の突起部11が、前側の凹部15と対
応する平面略台形状に突出する。
【0128】上記のように構成された実施の形態9に係
る各護岸ブロック130は、全体形状が実施の形態1〜
6の護岸ブロック10,20,100のように、略正方
形平板ブロック状とはならず、略長方形平板ブロック状
となるが、実施の形態1に係る護岸ブロック10と同様
の作用及び効果を発揮する。なお、護岸ブロック120
は、通常は、突起部11の列方向が同一方向となるよう
配置するが、列方向が交差するよう配置したり、その他
の配置態様とすることも可能である。
【0129】図19は本発明の実施の形態10に係る護
岸ブロックを示す平面図である。
【0130】実施の形態10に係る護岸ブロック140
は、図19に示すように、奇数列11A及び偶数列11
Bの突起部11を列方向に位置をずらすことなく、行方
向及び列方向に位置を揃えて配置している。即ち、護岸
ブロック140は、突起部11を3行3列からなる単純
なマトリックス状に配置している。また、各奇数列11
Aの突起部11の数を列数と同数(3個)とすると共
に、各偶数列11Bの突起部11の数を前記列数(3
列)と同数の3個とする。そして、各奇数列11A及び
偶数列11Bの3個の突起部11を列方向の同一位置に
配置している。なお、護岸ブロック140は、略正方形
平板ブロック状となる。上記のように構成された実施の
形態10に係る各護岸ブロック140は、実施の形態1
に係る護岸ブロック10とほぼ同様の作用及び効果を発
揮する。
【0131】上記のように、本発明の護岸ブロックは、
突起部11,21を複数列11A,11Bからなるマト
リック状に配置すると共に、各偶数列11Bの突起部1
1,21が各奇数列11Aの突起部11,21間の空間
14,24に対応するよう、奇数列11Aの突起部1
1,21と偶数列11Bの突起部11,21とを列方向
に位置をずらして配置することが好ましい(実施の形態
1〜9)。
【0132】また、本発明の護岸ブロックは、突起部1
1,21を複数列11A,11Bからなるマトリック状
に配置すると共に、突起部11,21の列数を3以上の
奇数とし、各奇数列11Aの突起部11,21の数を列
数と同数とすると共に、各偶数列11Bの突起部11,
21の数を前記列数より1つ少ない数とし、各偶数列1
1Bの突起部11,21が各奇数列11Aの突起部1
1,21間の空間14,24に対応するよう、奇数列1
1Aの突起部11,21と偶数列11Bの突起部11,
21とを列方向に位置をずらして配置することがより好
ましい(実施の形態1,2,6)。
【0133】ところで、上記各実施の形態の護岸ブロッ
ク10,20,100,110,120,130,14
0は、主に低水護岸及び根固め工に使用することを前提
に説明したが、少なくとも底面側の全体に遮水性を有す
る普通コンクリート層を設けて遮水機能を付与すれば、
高水護岸として使用することも可能である。そして、こ
のような護岸ブロックに覆土により植生を育成し、高水
護岸の緑化を図ることも可能となる。また、本発明の護
岸ブロックは、その他の護岸や、低水敷、高水敷等に適
用しても良い。なお、本発明の護岸ブロックは、同様
に、低水護岸に相当する堤防護岸の下部及び高水護岸に
相当する堤防護岸の上部に適用しても良い。
【0134】また、上記各実施の形態の護岸ブロック1
0,20,100,110,120,130,140
は、全体をポーラスコンクリートより形成したが、これ
を普通コンクリートにより形成しても良い。護岸ブロッ
ク10,20,100,110,120,130,14
0全体を普通コンクリートにより形成した場合、突起部
11,21自体の強度のみならず、突起部11,21間
の接合強度、即ち、全体の強度が増大し、かつ、全体の
重量(自重)が増大する。その結果、護岸ブロック1
0,20,100,110,120,130,140設
置後の安定性が一層向上し、護岸の安定構造の要請を満
足することができる。また、普通コンクリートは、ポー
ラスコンクリートのように多孔質ではなく、密な構造で
あるため、腐食防止の点でより有効である。一方、護岸
ブロック10,20,100,110,120,13
0,140全体をポーラスコンクリートにより形成した
場合、内部の空隙により土壌、水分及び養分を十分に保
持することができ、植生の根系の活着に非常に効果的で
ある。なお、この場合も、粗骨材として砕石または砂利
等の比重の大きい材料を使用することにより、十分な強
度及び重量を有することができる。
【0135】更に、本発明は、護岸ブロック10,2
0,100,110,120,130,140の製造
に、ポーラスコンクリート及び普通コンクリートの両方
を併用することができる。即ち、護岸ブロック10,2
0,100,110,120,130,140をポーラ
スコンクリート層及び普通コンクリート層の二層構造若
しくは三層構造以上の構造としたり、その他両者を併用
した任意の構造としてもよい。例えば、接合部12,2
2及び接合部12,22に対応する突起部11,21の
厚み分を普通コンクリートにより形成し(普通コンクリ
ート層)、それ以外の突起部11,21をポーラスコン
クリートにより形成しても良い(ポーラスコンクリート
層)。この場合、接合部12,22の接合強度が増大す
る一方、多孔質の突起部11,21により植生の根系の
活着を促進することができる。また、護岸ブロック1
0,20,100,110,120,130,140
は、コンクリート材料以外にも、人口石材等の他の材料
により形成することも可能である。しかし、コスト、生
産性等の観点からコンクリート材料により形成すること
が好ましい。
【0136】また、上記実施の形態1の突起部11の形
状は、全体として所定の長さを有する略紡錘形状であれ
ば良い。略紡錘形状とは、2つの略錐形を底面側で接合
した形状である。また、略紡錘形状の突起部11の半部
を形成する略錐形は、円錐、角錐等、頂点が尖鋭な純粋
な錐形の他、頂部を平坦に切断した円錐台形状または角
錐台形状としても良い。更に、階段錐形状、蛇腹錐形状
等のように、断面が段階的に、或いは、不連続的または
不規則に変化する形状も含む。
【0137】更に、実施の形態2の突起部21の形状
は、全体として所定の長さを有する略錐形状であれば良
い。即ち、略錐形状とは、円錐、角錐等、頂点が尖鋭な
純粋な錐形の他、頂部を平坦に切断した円錐台形状また
は角錐台形状としても良い。また、階段錐形状、蛇腹錐
形状等のように、断面が段階的に、或いは、不連続的ま
たは不規則に変化する形状も含む。
【0138】即ち、本発明の突起部11,21の形状
は、全体として所定の長さを有する略柱状であれば良
い。即ち、略柱状とは、円柱状、角柱状の他、略錐形
状、略紡錘形状等、その長さ方向に断面が連続的に変化
する形状も含む。また、階段柱状、蛇腹柱状等のよう
に、断面が段階的に、或いは、不連続的または不規則に
変化する形状も含む。
【0139】
【発明の効果】請求項1に係る護岸ブロックは、上記の
ように構成したため、現場作業の労力及び時間を削減
し、作業性を向上することができる。また、生態系の創
出及び保全にとってより効果的な任意形状の護岸を容易
に形成することができる。更に、覆土の流出を防止し
て、覆土に生育する植生の流出をも防止することができ
る。また、護岸ブロックにより治水機能を効果的に発揮
することができる。
【0140】請求項2に係る護岸ブロックは、上記のよ
うに構成したため、現場作業の労力及び時間を削減し、
作業性を向上することができる。また、生態系の創出及
び保全にとってより効果的な任意形状の護岸を容易に形
成することができる。更に、覆土の流出を防止して、覆
土に生育する植生の流出をも防止することができる。ま
た、護岸ブロックにより治水機能を効果的に発揮するこ
とができる。更に、水中生物に好適な環境を創出し、ビ
オトープの創出及び保全に貢献することができる。そし
て、各護岸ブロックが、ユニット単体で魚巣等として機
能し、魚類等の生息に良好な環境を提供することができ
る。また、材料の確保が容易となり、かつ、護岸ブロッ
ク自体の安定供給が可能となる。更に、腐食による強度
及び耐久性等の機能低下を有効に防止することができ
る。加えて、護岸ブロックの大量生産も可能となり、材
料コストに加え、製造コストをも低減することができ
る。
【0141】請求項3に係る護岸ブロックは、上記のよ
うに構成したため、現場作業の労力及び時間を削減し、
作業性を向上することができる。また、生態系の創出及
び保全にとってより効果的な任意形状の護岸を容易に形
成することができる。更に、覆土の流出を防止して、覆
土に生育する植生の流出をも防止することができる。ま
た、護岸ブロックにより治水機能を効果的に発揮するこ
とができる。更に、水中生物に好適な環境を創出し、ビ
オトープの創出及び保全に貢献することができる。そし
て、各護岸ブロックが、ユニット単体で魚巣等として機
能し、魚類等の生息に良好な環境を提供することができ
る。また、材料の確保が容易となり、かつ、護岸ブロッ
ク自体の安定供給が可能となる。更に、腐食による強度
及び耐久性等の機能低下を有効に防止することができ
る。加えて、護岸ブロックの大量生産も可能となり、材
料コストに加え、製造コストをも低減することができ
る。
【0142】請求項4に係る護岸ブロックは、上記のよ
うに構成したため、更に、護岸ブロックを、その列方向
が流水方向または法線方向と一致するよう配置すること
により、法線方向及び流水方向の両方向においてより一
層効果的に土壌保持機能及び流水緩和機能等を発揮する
ことができる。
【0143】請求項5に係る護岸ブロックは、上記のよ
うに構成したため、更に、多数の護岸ブロックを整然と
密接配置することができ、所望の護岸形状を簡単に得る
ことができる。また、護岸ブロックを、その列方向が流
水方向または法線方向と一致するよう配置することによ
り、法線方向及び流水方向の両方向においてより一層効
果的に土壌保持機能及び流水緩和機能等を発揮すること
ができる。
【0144】請求項6に係る護岸ブロックは、上記のよ
うに構成したため、更に、少ない数の突起部で請求項5
の護岸ブロックと同様の効果を発揮することができる。
【0145】請求項7に係る護岸ブロックは、上記のよ
うに構成したため、更に、例えば、低水護岸に適用した
場合、その貫通孔にも土壌を充填することができ、土壌
保持機能が増大する。また、魚類等の水中生物の生息空
間を拡大することができる。
【0146】請求項8に係る護岸ブロックは、上記のよ
うに構成したため、更に、魚類等に対してより良好な生
息環境を提供することができる。
【0147】請求項9に係る護岸は、上記のように構成
したため、マトリック状に配置した多数の護岸ブロック
の各々が、上記請求項1乃至8で述べた効果を発揮す
る。また、全体としてマトリックス状に配置されるた
め、より密に配置することができ、上記の作用及び効果
をより有効に発揮することができる。
【0148】請求項10に係る護岸は、上記のように構
成したため、マトリック状に配置した多数の護岸ブロッ
クの各々が、上記請求項6で述べた効果を発揮する。ま
た、全体としてマトリックス状に配置されるため、より
密に配置することができ、上記の作用及び効果をより有
効に発揮することができる。更に、法線方向及び流水方
向の両方向においてより一層効果的に土壌保持機能及び
流水緩和機能等を発揮することができる。
【0149】請求項11に係る護岸は、上記のように構
成したため、ワンドにより魚巣等を構成し、魚類等に対
してより良好な生息環境を提供することができる。
【0150】請求項12に係る護岸は、上記のように構
成したため、護岸(低水護岸、根固め工等)として、安
定性及び屈撓性に優れた構造体を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の実施の形態1に係る護岸ブロ
ックを示す正面図である。
【図2】 図2は本発明の実施の形態1に係る護岸ブロ
ックを示す平面図である。
【図3】 図3は図1のA−A線断面図である。
【図4】 図4は本発明の実施の形態2に係る護岸ブロ
ックを示す正面図である。
【図5】 図5は本発明の実施の形態2に係る護岸ブロ
ックを示す平面図である。
【図6】 図6は本発明の実施の形態2に係る護岸ブロ
ックを示す底面図である。
【図7】 図7は本発明の実施の形態3に係る護岸を示
す平面図である。
【図8】 図8は本発明の実施の形態3に係る護岸を示
す断面図である。
【図9】 図9は本発明の実施の形態3に係る護岸の水
際部分を示す拡大断面図である。
【図10】 図10は本発明の実施の形態4に係る護岸
を示す平面図である。
【図11】 図11は本発明の実施の形態4に係る護岸
を示す断面図である。
【図12】 図12は本発明の実施の形態5に係る護岸
ブロックを示す平面図である。
【図13】 図13は本発明の実施の形態5に係る護岸
ブロックの連接構造を示す平面図である。
【図14】 図14は本発明の実施の形態5に係る護岸
ブロックの連接構造を拡大して示す平面図である。
【図15】 図15は本発明の実施の形態6に係る護岸
ブロックを示す平面図である。
【図16】 図16は本発明の実施の形態7に係る護岸
ブロックを示す平面図である。
【図17】 図17は本発明の実施の形態8に係る護岸
ブロックを示す平面図である。
【図18】 図18は本発明の実施の形態9に係る護岸
ブロックを示す平面図である。
【図19】 図19は本発明の実施の形態10に係る護
岸ブロックを示す平面図である。
【符号の説明】
10,20,100,110,120,130,140
護岸ブロック 11,21 突起部、 11A 奇数列、 11B 偶数列 13,23 貫通孔、 14,24 空間、 40,80 ワンド 91 連接リング(ピン構造)、 93 連結具(ピン構造)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安藤 真二 岐阜県本巣郡真正町海老430番地 杉山建 設株式会社内 (72)発明者 浅野 幸男 岐阜県本巣郡真正町海老430番地 杉山建 設株式会社内 Fターム(参考) 2D018 EA02

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 略柱状の複数の突起部を略平行に並べた
    状態で、その長さ方向の一部を互いに接合して全体をブ
    ロック形状とすると共に、前記突起部間に空間を形成し
    たことを特徴とする護岸ブロック。
  2. 【請求項2】 コンクリートからなる複数の略錐形状の
    突起部を、その頂部側が同一側となるよう並べた状態
    で、底部側を互いに接合して全体をブロック形状とする
    と共に、前記突起部間に前記底部側から頂部側に向かっ
    て拡大する空間を形成したことを特徴とする護岸ブロッ
    ク。
  3. 【請求項3】 コンクリートからなる複数の略紡錘形状
    の突起部を、その各頂部側が同一側となるよう互いに略
    平行に並べた状態で、前記各突起部の両頂部間の中央部
    分を互いに接合して全体をブロック形状とすると共に、
    前記突起部間に前記中央部から各頂部側に向かって拡大
    する空間を形成したことを特徴とする護岸ブロック。
  4. 【請求項4】 前記突起部を複数列からなるマトリック
    状に配置すると共に、各偶数列の突起部が各奇数列の突
    起部間の空間に対応するよう、前記奇数列の突起部と前
    記偶数列の突起部とを列方向に位置をずらして配置した
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載
    の護岸ブロック。
  5. 【請求項5】 前記突起部を複数列からなるマトリック
    状に配置すると共に、前記突起部の列数を3以上の奇数
    とし、前記各奇数列の突起部の数を前記列数と同数とす
    ると共に、前記各偶数列の突起部の数を前記列数より1
    つ少ない数とし、前記各偶数列の突起部が前記各奇数列
    の突起部間の空間に対応するよう、前記奇数列の突起部
    と前記偶数列の突起部とを列方向に位置をずらして配置
    したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に
    記載の護岸ブロック。
  6. 【請求項6】 前記突起部を左列が3個、中央列が2
    個、右列が3個の合計3列からなるマトリック状に配置
    すると共に、前記中央列の各突起部が前記左列及び右列
    の突起部間に形成される各空間に対応するよう、前記中
    央列の突起部と前記左列及び右列の突起部とを列方向に
    位置をずらして配置したことを特徴とする請求項5に記
    載の護岸ブロック。
  7. 【請求項7】 前記突起部間に突起部の長さ方向に貫通
    する貫通孔を形成したことを特徴とする請求項1乃至6
    のいずれか1項に記載の護岸ブロック。
  8. 【請求項8】 少なくとも前記突起部をポーラスコンク
    リートにより形成したことを特徴とする請求項1乃至7
    のいずれか1項に記載の護岸ブロック。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の
    護岸ブロックを低水護岸及び/または根固め工として使
    用し、多数の前記護岸ブロックをマトリック状に配置し
    たことを特徴とする護岸。
  10. 【請求項10】 請求項6に記載の護岸ブロックを低水
    護岸及び/または根固め工として使用し、多数の前記護
    岸ブロックを、全体がマトリック状となるよう、かつ、
    前後及び/または左右に隣接する護岸ブロックの突起部
    の列方向が互いに交差するよう配置したことを特徴とす
    る護岸。
  11. 【請求項11】 前記マトリック状に配置した護岸ブロ
    ックのうち、水際部に配置される護岸ブロックの一部を
    省略して、その部分にワンドを形成したことを特徴とす
    る請求項9または10に記載の護岸。
  12. 【請求項12】 前記多数の護岸ブロックをピン構造に
    より互いに屈撓自在に連接したことを特徴とする請求項
    9乃至11のいずれか1項に記載の護岸。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002294655A (ja) * 2001-04-03 2002-10-09 Toa Harbor Works Co Ltd エコトーン保全用護岸
JP2003105739A (ja) * 2001-09-28 2003-04-09 Kaihatsu Concrete Kk 沈床工
CN113832918A (zh) * 2021-08-27 2021-12-24 孙奥 一种水利工程河道护坡生态改造结构

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