JP2001089801A - 高密度焼結体用混合粉末及びこれを用いた焼結体 - Google Patents

高密度焼結体用混合粉末及びこれを用いた焼結体

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JP2001089801A JP26850799A JP26850799A JP2001089801A JP 2001089801 A JP2001089801 A JP 2001089801A JP 26850799 A JP26850799 A JP 26850799A JP 26850799 A JP26850799 A JP 26850799A JP 2001089801 A JP2001089801 A JP 2001089801A
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Tetsuya Kondo
鉄也 近藤
Akira Horata
亮 洞田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 焼結密度が高く、開放気孔率が低減された高
密度焼結体用造粒粉末及びこれを用いた焼結体を提供す
る。 【解決手段】 オーステナイト系ステンレス鋼から成る
主粉末2にB粉末4及び/又は含B合金粉末4を配合し
て成る混合粉末1であって、混合粉末1は、1〜3重量
%の割合でBを含有している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粉末冶金による焼
結体の製造用粉末、及びこれを用いた焼結体に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、自動車の排気パイプはその途中
に触媒装置や酸素センサの取付ボス等が配設された構造
をなし、例えば、排気マニホールド側から、フロントパ
イプ、酸素センサの取付ボス、触媒装置、及びセンター
パイプが直列に接続され、センターパイプの後端はマフ
ラ側に繋がっている。この場合、フロントパイプとセン
ターパイプの前後端にはそれぞれフランジが溶接され、
このフランジを介して各パイプが前記取付ボスや触媒装
置等に接続されている。従来、上述のフランジや取付ボ
スは一般に溶製材を加工して製造されてきたが、これら
は複雑な形状をしているため、加工費が増大してコスト
アップを招いていた。
【0003】このようなことから、排気パイプに用いる
のと同一の材料(例えばフェライト系ステンレス鋼)か
ら成る粉末を焼結することにより、これらの部品をより
安価に製造することが行われている。その場合、所定の
金属粉末を金型の内部に充填・加圧して圧粉体とし、こ
の圧粉体を前記金属の焼結温度以上で焼成することによ
り焼結体が製造されている。
【0004】ところで、近年のエンジンの高性能化・高
効率化に伴い、エンジンからの排気ガスの温度もより高
温となる傾向にある。このようなことから、排気パイプ
の材料として、フェライト系ステンレス鋼に比べて耐熱
性に優れ、又、腐食性の排気ガスに対して耐食性を備え
ているオーステナイト系ステンレス鋼(SUS304
等)が用いられてきている。しかしながら、オーステナ
イト系ステンレス鋼製の排気パイプに上記したフェライ
ト系ステンレス鋼から成るフランジを溶接するのは困難
である。従って、このような場合には、フランジや取付
ボスもまた、溶接対象の排気パイプと同一の材料(オー
ステナイト系ステンレス鋼)の粉末を焼結して製造する
ことが必要になる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、オース
テナイト系ステンレス鋼粉末を焼結した場合、得られた
焼結体の焼結密度(気密性)がフェライト系ステンレス
鋼の場合に比べて充分に高くならないという問題が生じ
る。このような問題は、自動車の排気系に用いる部品に
高い気密性及び強度が要求されることを考えると解決す
べき課題である。
【0006】ところで、特開昭55−94402号公報
には、気密性を備えた焼結品の製造方法として、材料粉
末に所定の添加物質粉末を添加した混合粉末を用いて成
形体を作製し、この成形体を焼結する技術が開示されて
いる。この技術は、焼結の際に前記材料粉末と添加物質
粉末とを共晶反応させて融体を生じさせ、この融体で焼
結品の一方の面から他の面に連通する気孔の一部を封鎖
することにより、該焼結品の気密性を確保するものであ
る。
【0007】しかし、焼結品を貫く気孔を減じるだけで
は、上記した排気系部品等の高い気密性が要求される材
料に用いるにはなお不充分である。特に、焼結体の気密
性を高めるためには、焼結体の内部から表面に表出して
いる気孔(開放気孔)を低減させることが必要である。
この場合、排気系部品にオーステナイト系ステンレス鋼
製の焼結体を適用する条件として、前記開放気孔率を5
%以下にすることが要望されているが、このような焼結
体は未だ得られていない。
【0008】なお、上記した問題の原因の1つはオース
テナイト系ステンレス鋼に固有なものであり、オーステ
ナイト中におけるFeの拡散係数がフェライト中におけ
るFeの拡散係数に比べて小さいために焼結反応が進み
にくいことにある。本発明は、オーステナイト系ステン
レス鋼粉末の焼結における上記した問題を解決し、焼結
体の焼結密度に優れ、従ってその開放気孔率を低減せし
める高密度焼結体用混合粉末及びこれを用いた焼結体の
提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、焼結の際に主
粉末同士の隙間に液相を形成させると、この部分で局所
的に液相焼結が生じて焼結体の焼結密度が高まり、開放
気孔率が低減する、という知見に着目してなされたもの
であって、主粉末にこれと共晶反応を生じる従粉末を添
加した混合粉末を焼結に用いている。この場合、予め主
粉末と従粉末が一体となった粉末を用いても、上記した
液相焼結が充分に進行しないことが判明している。
【0010】上記したことを勘案し、本発明では、この
液相焼結を促進させるため、主粉末同士の隙間に従粉末
が侵入するようにして両者を混合し、主粉末との接触点
を介して従粉末中の成分を該主粉末に拡散させ、この部
分を共晶合金にしている。そのため、本発明では、焼結
時に主粉末同士が接触する部分から液相が生じることと
なる。
【0011】そして、上記した目的を達成するために、
請求項1に記載の本発明に係る高密度焼結体用混合粉末
は、オーステナイト系ステンレス鋼から成る主粉末にB
粉末及び/又は含B合金粉末を配合して成り、前記混合
粉末は、1〜3重量%の割合でBを含有していることを
特徴とする。前記含B合金粉末の融点は1200℃以下
であることが好ましい(請求項2)。
【0012】さらに、前記混合粉末を焼結温度1200
〜1300℃で焼結することを特徴とする高密度焼結体
の製造方法が提供される(請求項3)。そして、1〜3
重量%のBを含有するオーステナイト系ステンレス鋼か
ら成り、その開放気孔率が5%以下であることを特徴と
する高密度焼結体が提供される(請求項4)。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、図1に基づいて本発明に係
る高密度焼結体用混合粉末について説明する。図1(a)
において、この混合粉末1は、オーステナイト系ステン
レス鋼から成る主粉末2にB粉末(含B合金粉末)4を
配合して成る。そして、この混合粉末1が型の内部に充
填・加圧されてまず圧粉体が作製され、次にこの圧粉体
が焼成されて最終製品である焼結体が製造される。
【0014】主粉末2は、焼結体のマトリックスを構成
し、所定のオーステナイト系ステンレス鋼粉末から成
る。ここで、オーステナイト系ステンレス鋼としては、
例えば、C:0.15重量%以下、Si:3重量%以
下、Mn:2重量%以下、Ni:5重量%以上、Cr:
12〜26重量%、Mo:5重量%以下、Cu:4重量
%以下、Nb:2重量%以下、Sn:3重量%以下を含
有し、残部Feの組成のものを用いることができる。
【0015】上記材料において、C含有量を0.15重
量%以下にするのは、0.15重量%を超えると、粉末
が硬化して圧粉密度の低下を招き、又、得られた焼結体
の耐食性の劣化が著しくなる虞があるからである。より
好ましくは0.08重量%以下とする。又、Si含有量
を3重量%以下にするのは、3重量%を超えると粉末が
硬化して圧粉密度の低下を招き、成形性を劣化させる虞
があるからである。より好ましくは1.5重量%以下と
する。
【0016】Mn含有量は2重量%以下にする。2重量
%を超えると粉末中の酸素含有量が多くなって圧粉時の
成形性が低下する虞があるからである。より好ましくは
0.5重量%以下とする。Ni含有量を5重量%以上に
するのは、5重量%未満であると組織がマルテンサイト
化し、その粉末が硬化して圧粉密度が低下する虞がある
からである。より好ましくは25重量%以下とする。
【0017】Cr含有量は12〜26重量%にする。1
2重量%未満であると充分な耐食性を得ることができ
ず、又26重量%を超えると粉末が硬くなって圧粉密度
が低下するとともに伸びが小さくなる虞があるからであ
る。より好ましくは15〜20重量%とする。Mo含有
量を5重量%以下にするのは、5重量%を超えると粉末
が硬化して、成形性を劣化させる虞があるからである。
より好ましくは4重量%以下とする。
【0018】以上のようなオーステナイト系ステンレス
鋼としては、例えば、SUS304、SUS316、SUS316L、SUS31
7、SUS317L等を挙げることができる。主粉末2の粒径は
特に制限されないが、粒径が小さいほど焼結体の焼結密
度は高くなり、又、開放気孔率は低減することになる。
つまり、一般に焼結反応は粒子間の接触点を介して各粒
子が成長・結合することにより進行するが、粒子が小径
になるほど各粒子は相互に隙間を生じることなく密に配
置され、粒子の単位体積当りの接触面積は大きくなり、
そのため焼結反応が促進される。一方、粉末が小径にな
り過ぎると粉末同士が凝集して流動度の低い粗大粒子が
生じ、そのため圧粉時に型の内部を粉末が均一に流動し
ない場合がある。そして、このような場合は、粉末の充
填密度(圧粉密度)が低下するため、得られた圧粉体の
強度が低下し、クラックや破損が生じて製品歩留りの低
下を招く虞がある。このようなことから、主粉末2とし
てはその平均粒径が30〜150μmとなっているもの
を用いることが好ましい。ここで、平均粒径とは50%
粒径(メジアン径)をいう。平均粒径が30μm未満で
ある場合は、上述した理由で粉末の流動度が低下し、1
50μmを超えた場合は、焼結時における主粉末2の粒
子間の接触面積が減少し、焼結反応が抑制される虞があ
るからである。さらに好ましくは、平均粒径を40〜1
00μmとする。
【0019】主粉末2を製造する方法としては、例えば
水アトマイズ、ガスアトマイズ等の公知の方法を用いる
ことができる。主粉末2に配合されるB粉末(含B合金
粉末)4は、圧粉時に、隣接する主粉末2の隙間に入り
込み、後述する共晶反応によって主粉末2同士を部分的
に液相焼結させ、その焼結密度を高める。つまり、この
B粉末(含B合金粉末)4は、主粉末2へ高濃度のB成
分を供給して主粉末2の一部を共晶組成にさせる。ここ
で、含B合金としては特に制限されないが、例えばFe
-B合金、Ni-B合金を挙げることができる。B粉末や
含B合金粉末はそれぞれ単独で用いてもよいが、これら
を併用しても構わない。又、B粉末(含B合金粉末)4
の粒径についても特に制限はないが、後述する液相焼結
を有効に生じさせて焼結密度や開放気孔率を向上させる
ためには、B粉末(含B合金粉末)4が主粉末2の隙間
に容易に侵入できるようになっていることが好ましい。
このようなことから、B粉末(含B合金粉末)4として
はその平均粒径が主粉末2の平均粒径より小さくなって
いることが好ましい。例えばB粉末(含B合金粉末)4
の平均粒径を5〜50μmとするとよい。
【0020】又、上記した液相焼結を充分に進行させる
ためには、多数形成されている主粉末2の隙間のそれぞ
れにB粉末(含B合金粉末)4を埋め込ませ、主粉末1
個当りの液相反応のサイト数(共晶組成となっている領
域)がなるべく多くなるようにすることが好ましい。そ
して、全体のB量と粉末の粒径を一定とした場合、B粉
末(Bを100%含む)よりは含B合金粉末の方が粉末
の個数(量)が増え、混合粉末1中にこの粉末を広く分
散させることができるので好ましい。このようなことか
ら、例えば10〜30重量%の割合でBを含有する含B
合金粉末を用いるのがよい。
【0021】そして、B粉末(含B合金粉末)4を主粉
末2に配合して得られた混合粉末1は、その中に1〜3
重量%の割合でBを含有している。ここで、混合粉末に
対するBの含有割合が1重量%未満である場合は、後述
する液相焼結を充分に生じさせることができず、又、3
重量%を超えても液相焼結による焼結密度の向上効果は
飽和し、さらに焼結体に含まれるBの割合が多くなるた
め材料特性が低下する。好ましくは、Bの含有割合を2
〜3重量%とする。
【0022】なお、圧粉作業を容易に行うため、この混
合粉末1に適宜バインダを添加して圧粉を行ってもよ
い。上記したバインダとしては、例えば、ステアリン酸
亜鉛、ステアリン酸カルシウム、エチレンビスステアロ
アシド等を用いることができる。ところで、この混合粉
末1を用いた場合の焼結反応は、以下のようにして進行
する。
【0023】まず、主粉末2に配合されたB粉末(含B
合金粉末)4は、圧粉工程において主粉末2の隙間に侵
入して主粉末2と接触する(図1(a))。次に、この圧
粉体を加熱していくと、B粉末(含B合金粉末)4に含
まれるB成分が上記接触点を介して主粉末2中に拡散
し、この接触点近傍に局所的にBが高濃度に含有された
拡散領域αを形成する(図1(b))。なお、Bの拡散を
促進させるためには、主粉末2に比べて融点の低い粉末
を用いることが好ましく、特に、融点が1200℃以下の含
B合金粉末を用いることが好ましい。このような粉末と
しては、例えば融点が約1100℃のFe-B合金を挙げる
ことができる。
【0024】このようにして主粉末2中に拡散したB成
分は、さらに拡散が進行するに伴ってその濃度を減じて
ゆく。このとき、図2に示すように、拡散領域αにおい
て当初はBが高濃度に存在しているが(点a)、時間と
ともにBは拡散してFe-B系の共晶組成に達するまで
その濃度が低下する(点b)。このようにして、拡散領
域αの融点は共晶温度に近づき、主粉末2の融点に比べ
て低くなる。
【0025】次に、この圧粉体の温度をさらに上げてゆ
くと、やがて上述の共晶温度を超えた時点で拡散領域α
が溶融して液相βを形成し、この液相βは各主粉末2の
隙間に侵入してブリッジを形成する。そして、このブリ
ッジの作用により各主粉末2はその隙間を埋めるように
して適宜再配列され、又、液相βを介して焼結が行われ
るために焼結反応が促進され、そのため粉末が緻密化さ
れた状態で焼結が進行する(図1(c))。
【0026】すなわち、部分的に液相焼結が進行するこ
とにより、主粉末2同士が密に結合して焼結されるの
で、焼結密度が高く、開放気孔率が低い焼結体10が得
られる(図1(d))。次に、上述の混合粉末1を用いて
焼結体を製造する方法について説明する。まず、この混
合粉末を、最終製品と略同形の内部空間を備えた型の内
部に充填し、粉末を例えば上パンチにより3〜10ton
/cm2(約29〜98MPa)程度の圧力で加圧して圧
縮成形し、圧粉体とする。
【0027】そして、この圧粉体を型から取り出して、
真空中又は水素ガスやアンモニア分解ガス等の雰囲気中
で、温度:1100〜1350℃、15〜120分の条件で焼結して
焼結体を製造する。焼結温度は1200〜1300℃であること
が好ましい。1200℃未満であると、焼結が充分に進行し
ない虞があり、又、1300℃を超えた場合には、焼結の過
程で多数の液相が生じ、この液相が冷却時に収縮して焼
結密度を著しく低下させ、製品の寸法精度の劣化を招く
虞があるからである。
【0028】このようにして製造された本発明に係る高
密度焼結体は、1〜3重量%のBを含有するオーステナ
イト系ステンレス鋼から成り、その開放気孔率が5%以
下であるので、自動車の排気系部品等の気密性を要求さ
れる用途に好適に使用可能である。ここで、開放気孔率
とは、JIS Z2506に規定する有効多孔率を示
し、焼結体に形成されている気孔のうちその表面に通じ
ている気孔(開放気孔)の体積が焼結体全体の体積に対
して占める割合をいう。なお、上述のように、焼結時に
主粉末の隙間に液相を生じさせ、主粉末同士を部分的に
液相焼結させて密に結合させているため、焼結密度が向
上し、その開放気孔率が5%以下である焼結体が得られ
る。
【0029】ここで、この焼結体におけるBの含有割合
が1重量%未満である場合は、上記した焼結時の共晶反
応が充分に起きず、そのため焼結体の焼結密度を高くし
てその開放気孔率を5%以下にすることができない。
又、Bの含有割合が3重量%を超えても共晶反応による
焼結密度の向上効果は飽和し、さらに焼結体の材料特性
(特に、強度と伸び)が低下する。好ましくは、Bの含
有割合を2〜3重量%とする。
【0030】そして、焼結体の開放気孔率が5%以下で
ある場合、気孔による隙間腐食等の発生を抑制すること
ができるので、焼結体の耐食性は向上し、素材(オース
テナイト系ステンレス鋼)それ自体の耐食性に近い値と
なる。又、本発明の焼結体は、主粉末の隙間に液相を生
じさせ、部分的に主粉末同士を液相焼結させて製造され
ているので、焼結密度が89〜95%と高く、強度や延性に
も優れている。
【0031】
【実施例】実施例1〜3,比較例1,2 1.混合粉末の製造 表1に示す化学組成を有し、オーステナイト系ステンレ
ス鋼から成る平均粒径70μmの主粉末(DAP304L)
a、及び、平均粒径35μmのFe-B粉末(Bを20
重量%含む)bを用意した。そして、主粉末aに対して
表2に示す割合でそれぞれFe-B粉末bを配合し、こ
の配合粉末に対して約1重量%の潤滑剤(バインダを兼
ねる)を添加して混合を行い、混合粉末A1〜A3を得
た。潤滑剤としては、ステアリン酸亜鉛を用いた。
【0032】比較として、主粉末aの100重量部に対す
るFe-B粉末bの配合割合をそれぞれ0.5、3.1
重量部としたことの他は、実施例と同様にして混合粉末
を製造した。これらを比較例1、2とする。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】2. 焼結体の特性評価 各混合粉末A1〜A3を所定の型に充填し、加圧力8ton
/cm2(約78MPa)で加圧して円柱状(11mmφ)
の圧粉体を作製した。次に、上記した各圧粉体を型から
取り出し、大気中で400℃×30分間加熱して脱バインダ
(脱ろう)処理を施した後、真空中で1250℃×60分間の
焼結を行った。焼結体の焼結密度を測定し、さらに、そ
の開放気孔率をJIS Z2506に規定する有効多孔
率の試験法に基づいて測定・評価した。開放気孔率の値
が小さいほど、焼結体の気密性に優れている。これらの
評価結果を表3、及び図3、図4に示す。
【0036】
【表3】
【0037】表3、及び図3、図4から明らかなよう
に、実施例1〜3の混合粉末は、焼結時の焼結密度に優
れ、焼結体の開放気孔率も小さくなっている。なお、焼
結密度は混合粉末に対するBの含有割合が多いほど高く
なり、開放気孔率はBの含有割合が多いほど小さくなる
傾向にある。混合粉末に対するBの含有割合が実施例の
混合粉末に比べて少ない比較例1の場合は、焼結によっ
ても充分高い焼結密度を得ることができず、又、開放気
孔率も劣るものとなっている。
【0038】混合粉末に対するBの含有割合が実施例の
混合粉末に比べて多い比較例2の場合は、液相の量が多
くなり過ぎたために焼結密度の密な部分と粗な部分が生
じ、均一な焼結体が得られなかった。このようなことか
ら、混合粉末に対するBの含有割合を1〜3重量%とす
ることが必要である。
【0039】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明の
高密度焼結体用混合粉末は、主粉末との接触点を介して
B粉末(含B合金粉末)中のB成分が主粉末に高濃度に
拡散し、局所的に主粉末を共晶合金にさせてその融点を
下げる。そのため焼結時にこの部分は溶融して主粉末同
士の隙間に液相となって介在し、主粉末同士が部分的に
液相焼結して密に結合しているので、焼結体の焼結密度
を高くし、その開放気孔率を低減することができる。特
に、本来は焼結反応が進みにくいオーステナイト系ステ
ンレス鋼において、その効果は大である。
【0040】さらに、本発明の高密度焼結体はその開放
気孔率が5%以下であり、従来の焼結品に比べてその値
が著しく低減しているので、気密性、焼結密度に優れる
とともに耐食性が向上し、素材本来の耐食性を発揮する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る高密度焼結体用混合粉末が焼結す
る際の過程を示す図である。
【図2】主粉末の拡散領域αにおけるBの濃度と融点と
の関係を表すFe-B系共晶状態図である。
【図3】混合粉末中のB含有割合に対する焼結密度の関
係を表すグラフである。
【図4】混合粉末中のB含有割合に対する焼結体の開放
気孔率の関係を表すグラフである。
【符号の説明】
1 混合粉末 2 主粉末 4 B粉末(含B合金粉末)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 オーステナイト系ステンレス鋼から成る
    主粉末にB粉末及び/又は含B合金粉末を配合して成る
    混合粉末であって、 前記混合粉末は、1〜3重量%の割合でBを含有してい
    ることを特徴とする高密度焼結体用混合粉末。
  2. 【請求項2】 前記含B合金粉末の融点は1200℃以
    下であることを特徴とする請求項1に記載の高密度焼結
    体用混合粉末。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の混合粉末を焼結
    温度1200〜1300℃で焼結することを特徴とする
    高密度焼結体の製造方法。
  4. 【請求項4】 1〜3重量%のBを含有するオーステナ
    イト系ステンレス鋼から成り、その開放気孔率が5%以
    下であることを特徴とする高密度焼結体。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100395057C (zh) * 2005-03-05 2008-06-18 富准精密工业(深圳)有限公司 多孔结构的制造方法
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