JP2001089398A - 経口投与用の凍結乾燥製剤及びその製造方法 - Google Patents

経口投与用の凍結乾燥製剤及びその製造方法

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JP2001089398A
JP2001089398A JP26623199A JP26623199A JP2001089398A JP 2001089398 A JP2001089398 A JP 2001089398A JP 26623199 A JP26623199 A JP 26623199A JP 26623199 A JP26623199 A JP 26623199A JP 2001089398 A JP2001089398 A JP 2001089398A
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Kuniko Shoji
久仁子 庄司
Toyoaki Ishikura
豊昭 石倉
Noboru Arai
昇 荒井
Michihiro Sakurai
光寛 桜井
Noriyuki Kitaoka
宣幸 北岡
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Meiji Seika Kaisha Ltd
Original Assignee
Meiji Seika Kaisha Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 服用する際に速やかで滑らかな口溶けを有
し、かつ、室温で長期間安定で携帯性に優れた油脂性の
菓子様製剤を提供すること。 【解決手段】 薬物、油脂、乳化剤、および糖類を含有
し、連続相が水溶性成分からなる多孔性骨格構造を有す
る経口投与用の凍結乾燥製剤、およびその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は油脂性の凍結乾燥製
剤に関し、より詳細には速やかで滑らかな口溶けを有
し、かつ、室温で長期間安定で携帯性に優れた経口投与
用の凍結乾燥製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、通常の固形製剤をのみ下すこと
(嚥下)が困難な患者を対象として種々の製剤工夫が試
みられ、そのうちのいくつかは実際に市販または臨床で
使用されている。例えば、口の中で速やかにその形状が
崩れる口腔内速崩壊錠や、半固形または液状を呈するゼ
リー状製剤、形態は従来の錠剤または顆粒剤ながら服用
時に熱湯あるいは水に溶解させて液剤とする用時溶解型
の製剤などがある。また、このような新規な剤型ではな
いが、口の中で噛み砕くことにより味わって服用するチ
ュアブル錠なども、医薬品製剤の品目として増えてきて
いる。
【0003】口腔内速崩壊錠、ゼリー状製剤およびチュ
アブル錠に共通する点は、服用時に必ずしも水を必要と
しない点であり、したがって必要な時にいつでも当該製
剤を服用できる利点を有する。さらに、上記の用時溶解
型製剤にも共通する点として、何れの製剤も美味しく服
用できる点が特徴的で、それゆえに服用し易い製剤であ
るともいえる。「良薬口に苦し」 といわれる一方で見過
ごされてきた、固形製剤を嚥下することが困難な患者に
対して、少しでもその苦痛を和らげること(服用性の改
善)で服薬履行性(コンプライアンス)を高めようとする
のが、近年の薬物療法や製剤学のひとつの潮流であると
いえる。
【0004】近年、口腔内での速やかな崩壊または溶解
を目的として多孔性の錠剤の開発が進められており、凍
結乾燥技術を使いた製剤(特開昭53-44619、特開昭58-1
13124、特開平3-56412、特開平3-86837、特表平9-50262
2)、圧縮成型による製剤(特開平5-271054、特開平5-8
13955、特開平8-291051、特開平10-182436、特開平11-4
3429など)が多数提案されている。しかし、崩壊性を高
めるために通常配合される崩壊剤は不溶性であり、口中
に残留するため、好適に服用できる錠剤の大きさには限
りがある。更に、服用時に口腔内で溶解又は崩壊する際
に口中の唾液を吸収するような違和感、口中への付着が
見られる場合も多く、あるいはざらつきのない滑らかな
口溶けを有することは困難であった。また、口腔内で唾
液と圧力により速やかに崩壊又は溶解できる錠剤の大き
さには限りがあり、老人等に見られる唾液量の少ない人
にはいずれの製剤も十分な服用性とは言えない。
【0005】適度な崩壊性、溶解性をもった錠剤を成形
するためには、製剤中の薬物の配合量に限りがあるこ
と、また、一般的に崩壊性、溶解性を高めた錠剤は通常
の錠剤に比べ壊れやすいため、錠剤の大きさは限られて
おり、必ずしも薬物の不快な味をマスクするには十分で
はなかった。
【0006】油脂が食品の口当たりを滑らかにすること
は知られており、錠剤中に油脂と界面活性剤を添加した
製剤(特開昭58-194808)、油脂類を含有する顆粒と含
有しない顆粒を混合し、圧縮成型することにより口腔内
での崩壊時にざらつきを抑えた製剤も提案されている
(特開平8-333243)。しかし、油脂成分を多く含むもの
は報告されていない。
【0007】菓子様製剤は服用性の改善やコンプライア
ンスの向上にとって特に有用であると考えられる。例え
ば食品のミルクチョコレートと医薬をそのまま混合した
ぎょう虫駆除剤としては、特開昭59-27819が知られてい
る。しかし、食品のチョコレートはココアバター、糖
類、カカオマスを主成分とした油脂性の菓子であり、コ
コアバターの融点が低いため、夏場にべたつくなど、携
帯には不向きである。また、ファットブルーミングと呼
ばれるココアバターの結晶多形間の転移に伴う外観の変
化(白色化)、風味の劣化が起こる為、賞味期限は通常
1年間とされている。それに対し、一般用医薬品として
医薬品製剤を製造販売する場合には、室温で約3年間の
安定性を確保することが一般的である。したがって、単
に食品としてのチョコレートを基剤として医薬品製剤を
調製したとしても、そのような連続相が油脂の製剤は医
薬品としての品質を保証することは困難である。
【0008】一方、凍結乾燥は古くから知られた技術で
あり、食品、薬品、その他の分野で汎用されている。し
かし薬品分野において、油脂を含有する組成物の凍結乾
燥製剤は限られ、例えば非経口用製剤において経口に適
さない医薬活性成分や、親油性の医薬活性成分を油成分
に溶解し、乳化剤と水と共に乳化後、凍結乾燥すること
が報告されている(特開平9-124503、特開平9-136836、
特表平8-506081)。または特異なドラッグキャリアーと
しての脂肪乳剤を凍結乾燥することが報告されている
(特開平5-43450)。しかしこれらは保存安定性を高め
る為に凍結乾燥形態にするものであって、いずれも用時
には水に再溶解して用いられる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】以上のことから、服用
する際に速やかで滑らかな口溶けを有し、かつ、室温で
長期間安定で携帯性に優れた油脂性の菓子様製剤、およ
びその製造方法の開発が求められていた。
【0010】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、油
脂性製剤(例えばチョコレート製剤)の凍結乾燥につい
て種々検討した。その結果、(イ)薬物、油脂、糖類に水
を加え、乳化剤と共に混合して得られるO/W型乳化物
は凍結乾燥が可能であること、(ロ)O/W型乳化物を凍
結乾燥すると、配合成分中の水溶性成分が連続相となる
多孔性骨格構造を形成すること、(ハ)骨格をなす連続相
は主に糖類からなる水溶性成分で形成されており、油脂
成分は多孔性骨格構造中に分散・吸着した構造をなすこ
と、(ニ)水溶性成分が連続相を形成することで、油脂性
成分を連続相とする製剤と比較するとその耐熱性が著し
く向上すること、(ホ)さらに油脂性製剤特有の口当た
り、速やかで滑らかな口溶けなどの特徴を有する新規な
経口製剤が得られること、を見出し、本発明を完成する
に至った。
【0011】すなわち本発明は、(1)薬物、油脂、乳
化剤、および糖類を含有し、連続相が水溶性成分からな
る多孔性骨格構造を有する経口投与用の凍結乾燥製剤、
(2)水溶性成分が主に糖類であることを特徴とする
(1)記載の凍結乾燥製剤、(3)油脂が常温で固体〜
半固体状態の油脂である(1)、(2)いずれか1記載
の凍結乾燥製剤、(4)油脂がココアバター、ココアバ
ター代用脂、ココアバター代替油脂、乳脂、硬化油から
なる群より選ばれる1種、または2種以上の混合物であ
る、(3)記載の凍結乾燥製剤、(5)さらにカカオ成
分を含有する(1)〜(4)いずれか1記載の凍結乾燥
製剤、(6)さらに結晶セルロースを含有する(1)〜
(5)いずれか1記載の凍結乾燥製剤 、(7)
実質的に均一に分散した微細孔を有する(1)〜(6)
いずれか1記載の凍結乾燥製剤、(8)薬物、油脂、糖
類に水を加え、乳化剤と共に混合して得られるO/W型
乳化物を凍結乾燥することによって、連続相が水溶性成
分からなる多孔性骨格構造を形成することを特徴とする
経口投与用の凍結乾燥製剤の製造方法、(9)さらにカ
カオ成分を混合してなる(8)記載の凍結乾燥製剤の製
造方法、(10)さらに結晶セルロースを混合してなる
(8)、(9)いずれか1記載の凍結乾燥製剤の製造方
法、(11)薬物、油脂、糖類に水を加え、乳化剤と共
に混合して得られるO/W型乳化物を攪拌冷却し、半凍
結状態にした後、凍結乾燥することによって、連続相が
水溶性成分からなる多孔性骨格構造を形成し、該多孔性
骨格構造が実質的に均一に分散した微細孔であることを
特徴とする経口投与用の凍結乾燥製剤の製造方法、(1
2)さらにカカオ成分を混合してなる(11)記載の凍
結乾燥製剤の製造方法、(13)さらに結晶セルロース
を混合してなる(11)、(12)いずれか1記載の凍
結乾燥製剤の製造方法、に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明は、薬物、油脂、乳化剤、
および糖類を含有し、連続相が水溶性成分からなる多孔
性骨格構造を有する経口投与用の凍結乾燥製剤であるこ
とを特徴としている。以下、本発明をさらに詳細に説明
する。
【0013】凍結乾燥製剤 本発明の凍結乾燥製剤で使用する油脂としては、常温で
固体〜半固体状態の油脂、好ましくは27〜36℃の融
点の油脂が用いられる。融点がこの温度範囲未満のもの
では特に夏場においてしばしば融解状態を呈してベタつ
く感じが強くなり、また、融点がこの範囲を上回ると口
の中でいつまでも融け残る感じがあって好ましくない。
具体的には、パーム油、パーム核油、ヤシ油、大豆油、
綿実油、落花生油、ココアバター、ココアバター代用
脂、ココアバター代替油脂、乳脂、硬化油などが挙げら
れ、これらの油脂は単独で、または2種以上の混合物と
して用いられる。これら単独の油脂、または2種以上の
混合油脂として常温で固体〜半固体状態であれば良い。
好ましくは単独の油脂で常温で固体〜半固体状態である
ココアバター、ココアバター代用脂、ココアバター代替
油脂、乳脂、硬化油が用いられる。油脂の配合量は、固
形分全体の重量百分率として10〜80%、好ましくは
30〜60%の範囲である。油脂の配合量がこれより少
ないと硬くなり、また多いと強度が弱くなる。
【0014】本発明の凍結乾燥製剤で使用する糖類とし
ては水溶性であれば特に制限はなく、例えば砂糖、水
飴、ブドウ糖、果糖、乳糖、パラチノース、トレハロー
ス、ラクチュロース、糖アルコール(例えばソルビトー
ル、マンニトール、マルチトール、ラクチトール、キシ
リトール、エリスリトール、還元パラチノース、還元麦
芽糖水飴)、オリゴ糖(例えばフラクトオリゴ糖、イヌ
ロオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、
マルトオリゴ糖、ラクトスクロース、キシロオリゴ糖、
大豆オリゴ糖、パラチノースオリゴ糖、カップリングシ
ュガー)、ポリデキストロース等が挙げられる。とりわ
け、糖アルコールなどの非醗酵性または難う蝕性の糖類
の利用は、虫歯になりにくい製剤を製造できるので好ま
しいといえる。これらの糖類は、甘味の質がそれぞれ違
っていたり、単位重量当たりの甘味の度合いがそれぞれ
異なることから、単独で、または2種以上を組み合わせ
て使用することも可能であり、それらは味覚の設計にお
いて自由に設定できる。また、糖の種類と含量によって
は凝固点降下により、凍結することが困難となるので注
意が必要である。通常は−50℃以上、好ましくは−4
0〜−20℃程度で凍結可能な種類と量の糖類を配合
し、それで甘味が不足する場合は、必要に応じて甘味料
(アスパルテーム、ステビア、サッカリンナトリウムな
ど)と併用することも可能である。
【0015】本発明の凍結乾燥製剤に配合する乳化剤と
しては、O/W型乳化物を形成できるものであれば特に
制限はなく、レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、シ
ョ糖脂肪酸エステルなどが好適に用いられ、これらをそ
れぞれ単独で、または複数種類を組み合わせて使用する
ことも可能である。
【0016】本発明の凍結乾燥製剤に配合する薬物とし
ては、経口投与可能な薬物であって、O/W型乳化物の
安定的な形成及び維持を阻害しない限り特に限定されな
い。利用価値の高い薬物としては、高齢者、小児を対象
とした薬物、具体的には次のものが挙げられる。例えば
抗生物質、化学療法薬、催眠鎮静薬、抗不安薬、抗てん
かん薬、解熱鎮痛消炎薬、抗パーキンソン薬、精神神経
用薬、骨格筋弛緩薬、自律神経用薬、鎮けい薬、強心
薬、不整脈用薬、利尿薬、血圧降下薬、血管収縮薬、血
管拡張薬、高脂血症用薬、鎮咳去たん薬、気管支拡張
薬、止しゃ薬、整腸薬、瀉下薬、駆虫薬、消化性潰瘍
薬、健胃消化薬、制酸薬、胃腸薬、ビタミン薬、滋養強
壮薬、肝臓疾患用薬、痛風治療薬、糖尿病用薬、腫瘍用
薬、抗ヒスタミン薬、生薬、骨粗鬆症用薬などが挙げら
れる。1回に服用するこれらの有効成分の用量はそれぞ
れ異なり、また基剤単位重量当たりにこれらの薬物をど
の程度配合するかにもよるが、1回に服用できる製剤自
体の分量やその取扱い易さ、さらには味などを総合的に
勘案すると、その配合量は固形分全体の重量百分率とし
て0.01〜10%の範囲で配合することが好ましい。
【0017】本発明の凍結乾燥製剤は、服用性や嗜好性
をさらに高める目的でカカオ成分を添加することによっ
て、チョコレート様の製剤とすることができる。カカオ
成分としては、カカオマス、カカオ末、アルカリ処理を
施したココアパウダーなどが挙げられる。また、全粉
乳、脱脂粉乳等の乳固形分を添加することもできる。さ
らに必要に応じて香料、着色料などを添加することがで
きる。とりわけ香料については、苦みや不快臭のある薬
物である場合、それらをマスキングし、服用を容易にす
ることができる。チョコレートに添加する香料として最
も一般的に用いられるのはバニラ系の香料であるが、服
用性に直結する嗜好性を高めるという意味もあるので、
これのみに限定されるものではない。
【0018】さらに本発明の凍結乾燥製剤には、耐熱性
をさらに高める目的で結晶セルロースを添加することが
好ましい。(試験例2参照)その配合量は、固形分全体
の重量百分率として3%以下、例えば0.4〜1.5%
の範囲で配合することが好ましい。
【0019】本発明においては服用する際に、速やかで
滑らかな口溶けのために製剤の大きさを通常の経口製剤
に比べ任意に設定することが可能であり、薬物の味が服
用性の妨げになる場合には製剤を大きくすることによ
り、味のマスクが容易となる。
【0020】凍結乾燥製剤の製造 本発明の凍結乾燥製剤は、例えば下記の方法によって製
造される。まず、油脂が溶融する温度で所定量の薬物、
油脂、糖類、及びその他の添加物などを水と乳化剤と共
に混合し、常法、例えばホモジナイザーにより均一化を
行ってO/W型乳化物を得る。また、配合成分を同時に
加えず、油脂、糖類、及びその他の添加物などを混合
し、常法により油脂性組成物(例えばチョコレート)を
得、次いで薬物、乳化剤、水を加えて均一化を行い、O
/W型乳化物を得ることも可能である。またさらに、市
販の油脂性組成物(例えばチョコレート)に薬物、乳化
剤、水を加えて均一化を行い、O/W型乳化物を得るこ
とも可能である。ここで水と水以外の固形分との比率は
5:5〜8:2、好ましくは6:4〜7:3である。水
分の比率がこれより多いと強度が弱まり、また水の比率
がこれより少ないと、凍結乾燥する際に膨化などの現象
が起こり好ましくない。次いで得られたO/W型乳化物
を適宜鋳型に分注し、常法により凍結乾燥処理を行う
と、本発明の凍結乾燥製剤が得られる。
【0021】以上のような方法で製造される凍結乾燥製
剤は、配合成分中の水溶性成分が連続相となる多孔性骨
格構造中に油脂性成分が分散・吸着した構造をなす。こ
れは、その製造方法においてO/W型乳化物を経由させ
ることでその連続相を水系媒体となし、これを凍結乾燥
することで水系媒体中の水溶性成分が多孔性の連続相と
して骨格を形成することによる。ここで水溶性成分と
は、必ずしも水に完全に溶解しているものばかりではな
く、O/W型乳化物を形成した際に水相に分配される成
分のことを示す。すなわち主に前記糖類であって、その
他には結晶セルロース、粉乳、カカオ成分中の食物繊維
などである。
【0022】このように水溶性成分が連続相を形成する
ことで、油脂性成分を連続相とする製剤と比較するとそ
の耐熱性が著しく向上する。チョコレートを例として説
明すると、チョコレートの連続相はココアバターを主成
分とする油脂性成分であるため、その融解点を超える温
度条件下(例えば40℃)にさらされると液状となる。
ところが、本方法により製造された凍結乾燥チョコレー
トは同様の組成でありながら40℃を超える温度条件下
にさらされても液状を呈することはない。水溶性成分が
連続相としてその骨格を形成していることを端的に示す
例としては、有機溶媒中での浸漬実験を挙げることがで
きる。すなわち、油脂性成分を溶解させる有機溶媒(エ
ーテルなど)中にこれらを浸漬させると、油脂性成分を
連続相とする通常のチョコレートは油脂性成分が当該溶
媒に溶解するためその構造が崩壊するが、本発明による
凍結乾燥体は崩壊しない。これは、有機溶媒に難溶性で
ある水溶性成分が連続相としてその構造を形成している
ことを示すひとつの傍証となる。この点については試験
例1として後述する。
【0023】本発明の凍結乾燥製剤の製造方法におい
て、O/W型乳化物を凍結乾燥する前に、攪拌しながら
冷却し、半凍結状態にすると、乳化物中の水分を微細氷
結晶状態にすることができる。攪拌しながら冷却する際
に空気も抱き込む(すなわちホイップする)ようにする
と、その後の成形性がよくなるので好ましい。上記半凍
結状態を経て凍結乾燥処理を行った場合は、O/W型乳
化物中の水分が微細氷結晶状態で昇華し、実質的に均一
に分散した微細孔を有する凍結乾燥製剤が得られる。す
なわち連続相が水溶性成分からなる多孔性骨格構造を形
成するだけでなく、多孔性骨格構造の孔が実質的に均一
に分散しており、かつ孔の粒子径が微細な凍結乾燥製剤
が得られる。この構造のため、従来なかった特有の食
感、滑らかな口溶けなどの特徴を有すると共に適度な耐
熱性と強度(硬度)を有する。
【0024】
【実施例】以下に実施例、比較例および試験例を記載し
て本発明を具体的に説明するが、これらにより本発明の
範囲が限定されるものではない。
【0025】実施例1.凍結乾燥製剤 表1に示した配合で下記の方法により凍結乾燥製剤を製
造した。ココアバター、バニリン及びレシチンを50℃
で加温融解、混合して油脂性原料を液化した。水に砂
糖、全粉乳、ショ糖脂肪酸エステル及びピコスルファー
トナトリウムを溶解または分散させて50℃に加温し、
これを上記液化原料に加え、更に香料を加えて50℃に
保温しながらホモジナイザーを用いて5分間攪拌混合
(4,000rpm)することにより乳化物を得た。この乳化物
を攪拌しながら−1〜−6℃に冷却して半凍結物を得、
これを10gずつ型に分注し、−40℃で凍結させた後、
0.2〜0.02Torrの条件下で常法により凍結乾燥を行い、
凍結乾燥製剤を製造した。この凍結乾燥製剤は速やかで
滑らかな口溶けを有し、良好な服用性を呈した。
【0026】
【表1】
【0027】実施例2.凍結乾燥チョコレート製剤その
表2に示した配合で下記の方法により凍結乾燥製剤を製
造した。ココアバター、カカオマス、ココアバター代用
脂及びレシチンを50℃で加温融解、混合して油脂性原
料を液化した。水に砂糖、全粉乳、グリセリン脂肪酸エ
ステル及びセンノシドを溶解または分散させて50℃に
加温し、これを上記液化原料に加え、更に香料を加えて
50℃に保温しながらホモジナイザーを用いて5分間攪
拌混合(6,000rpm)することにより乳化物を得た。この
乳化物を攪拌しながら−1〜−6℃に冷却して半凍結物
を得、これを10gずつ型に分注し、−40℃で凍結させ
た後、0.2〜0.02Torrの条件下で常法により凍結乾燥を
行い、凍結乾燥製剤を製造した。この凍結乾燥製剤は速
やかで滑らかな口溶けを有し、良好な服用性を呈した。
【0028】
【表2】
【0029】実施例3.凍結乾燥チョコレート製剤その
表3に示した配合で下記の方法により凍結乾燥製剤を製
造した。ココアバター、カカオマス、ココアバター代用
脂及びレシチンを50℃で加温融解、混合して油脂性原
料を液化した。水に砂糖、全粉乳、グリセリン脂肪酸エ
ステル、センノシド及び結晶セルロースを溶解または分
散させて50℃に加温し、これを上記液化原料に加え、
更に香料を加えて50℃に保温しながらホモジナイザー
を用いて5分間攪拌混合(6,000rpm)することにより乳
化物を得た。この乳化物を攪拌しながら−1〜−6℃に
冷却して半凍結物を得、これを10gずつ型に分注し、−
40℃で凍結させた後、0.2〜0.02Torrの条件下で常法
により凍結乾燥を行い、凍結乾燥製剤を製造した。この
凍結乾燥製剤は速やかで滑らかな口溶けを有し、良好な
服用性を呈した。
【0030】
【表3】
【0031】実施例4.凍結乾燥チョコレート様製剤 表4に示した配合で下記の方法により凍結乾燥製剤を製
造した。ココアバター代替油脂を50℃に加温溶融させ
た中に、微細に粉砕したカカオ末、レシチン、バニリン
及び香料を加えてホモミキサーで均一に混合し、油脂性
のペーストを得た。50℃の水にマルチトール、アスパ
ルテーム及びマレイン酸エナラプリルを溶解し、これを
上記油脂性のペーストに加え、50℃に保温しながらホ
モジナイザーを用いて5分間攪拌混合(6,000rpm)する
ことにより乳化物を得た。この乳化物を攪拌しながら−
1〜−6℃に冷却して半凍結物を得、これを10gずつ型
に分注し、−40℃で凍結させた後、0.2〜0.02Torrの
条件下で常法により凍結乾燥を行い、凍結乾燥製剤を製
造した。この凍結乾燥製剤は速やかで滑らかな口溶けを
有し、良好な服用性を呈した。
【0032】
【表4】
【0033】比較例1.チョコレート製剤 市販のチョコレート(明治製菓株式会社製の「ミルクチ
ョコレート」)300gを50℃に加温して溶融した中
に、粉砕したセンノシド1.2gを加え、ホモミキサー
を用いて攪拌し、均一に混合した。上記混合物を攪拌し
ながら25℃まで温度を下げた後、再び30℃まで温度
を上げ、これをパンタ型に3gずつ分注し、10℃の低
温庫で10分間冷却してチョコレート製剤を製造した。
【0034】試験例1.有機溶剤への浸漬試験 実施例2の凍結乾燥チョコレート製剤及び比較例1のチ
ョコレート製剤を各々1個ずつビーカーに入れ、それぞ
れにジエチルエーテルを製剤が完全に浸るように加え、
室温で一日静置保管した後、外観を観察した。その結
果、図1に示したように実施例2の凍結乾燥チョコレー
ト製剤は多孔性の骨格構造を呈し、形状を保っていたの
に対し、比較例1のチョコレート製剤は完全に崩壊し、
形状を保たなかった。
【0035】試験例2.耐熱性試験 実施例2及び3により得られた凍結乾燥チョコレート製
剤並びに比較例1のチョコレート製剤を20、30、3
5、45、55及び67℃の各温度条件下に24時間静
置保存して耐熱性を評価した。結果は表5に示すとおり
であり、本発明による凍結乾燥チョコレート製剤は比較
例1のチョコレート製剤と比較する場合に耐熱性におい
てきわめて優れており、また、結晶セルロースを配合す
ると耐熱性が更に向上することが判明した。
【0036】
【表5】
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、油脂性の菓子様製剤、
すなわち経口投与用の凍結乾燥製剤を提供することがで
きる。本発明の凍結乾燥製剤は口中で融解する油脂を多
く含有し、しかも油脂が水溶性成分からなる多孔性骨格
構造に分散した状態で存在するため、高い耐熱性を有し
ており、携帯性に優れている。また、従来なかった特有
の口当たり、速やかで滑らかな口溶けなどの特徴を有
し、不快な薬物の味をマスクする効果もある。したがっ
て、含有する薬物に応じて適用される患者、特に固形製
剤を嚥下することが困難な高齢者または小児に対して、
服用性の改善やコンプライアンスの向上を期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 有機溶剤(ジエチルエーテル)への浸漬試験
結果
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 桜井 光寛 埼玉県坂戸市千代田5−3−1 明治製菓 株式会社食料総合研究所内 (72)発明者 北岡 宣幸 埼玉県坂戸市千代田5−3−1 明治製菓 株式会社食料総合研究所内 Fターム(参考) 4C076 AA36 BB01 CC16 DD01 DD63 DD67 DD68 EE31 EE53 EE54 EE57 FF06 FF36

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 薬物、油脂、乳化剤、および糖類を含有
    し、連続相が水溶性成分からなる多孔性骨格構造を有す
    る経口投与用の凍結乾燥製剤。
  2. 【請求項2】水溶性成分が主に糖類であることを特徴と
    する請求項1記載の凍結乾燥製剤。
  3. 【請求項3】 油脂が常温で固体〜半固体状態の油脂で
    ある請求項1、2いずれか1項記載の凍結乾燥製剤。
  4. 【請求項4】 油脂がココアバター、ココアバター代用
    脂、ココアバター代替油脂、乳脂、硬化油からなる群よ
    り選ばれる1種、または2種以上の混合物である、請求
    項3項記載の凍結乾燥製剤。
  5. 【請求項5】 さらにカカオ成分を含有する請求項1〜
    4いずれか1項記載の凍結乾燥製剤。
  6. 【請求項6】 さらに結晶セルロースを含有する請求項
    1〜5いずれか1項記載の凍結乾燥製剤。
  7. 【請求項7】 実質的に均一に分散した微細孔を有する
    請求項1〜6いずれか1項記載の凍結乾燥製剤。
  8. 【請求項8】 薬物、油脂、糖類に水を加え、乳化剤と
    共に混合して得られるO/W型乳化物を凍結乾燥するこ
    とによって、連続相が水溶性成分からなる多孔性骨格構
    造を形成することを特徴とする経口投与用の凍結乾燥製
    剤の製造方法。
  9. 【請求項9】 さらにカカオ成分を混合してなる請求項
    8記載の凍結乾燥製剤の製造方法。
  10. 【請求項10】 さらに結晶セルロースを混合してなる
    請求項8、9いずれか1項記載の凍結乾燥製剤の製造方
    法。
  11. 【請求項11】 薬物、油脂、糖類に水を加え、乳化剤
    と共に混合して得られるO/W型乳化物を攪拌冷却し、
    半凍結状態にした後、凍結乾燥することによって、連続
    相が水溶性成分からなる多孔性骨格構造を形成し、該多
    孔性骨格構造が実質的に均一に分散した微細孔であるこ
    とを特徴とする経口投与用の凍結乾燥製剤の製造方法。
  12. 【請求項12】 さらにカカオ成分を混合してなる請求
    項11記載の凍結乾燥製剤の製造方法。
  13. 【請求項13】 さらに結晶セルロースを混合してなる
    請求項11、12いずれか1項記載の凍結乾燥製剤の製
    造方法。
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