JP2001084577A - 磁気テープの加工方法および加工装置 - Google Patents

磁気テープの加工方法および加工装置

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JP2001084577A
JP2001084577A JP25556599A JP25556599A JP2001084577A JP 2001084577 A JP2001084577 A JP 2001084577A JP 25556599 A JP25556599 A JP 25556599A JP 25556599 A JP25556599 A JP 25556599A JP 2001084577 A JP2001084577 A JP 2001084577A
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tape
dust
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magnetic tape
laser beam
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Minoru Araki
実 荒木
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】レーザビームなどを磁気テープのバック層に入
射して、このテープのバック層に凹部を形成する加工を
施す際に発生する粉塵を確実に捕集し、粉塵を次工程以
降に持ち込まないようにする磁気テープの加工方法、お
よび、この方法を具体化した磁気テープの加工装置を提
供すること。 【解決手段】磁気テープを長手方向に搬送しつつ、可視
域もしくは紫外域のレーザビームの少なくとも一方を前
記磁気テープのバック層に入射し、前記バック層を加工
して凹部を形成する際に、加工部分の近傍にイオン風を
供給し、加工によって発生する粉塵を帯電させて除去す
ることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、情報記録/再生に
供する磁気テープの技術分野に属し、詳しくは、磁気テ
ープの製造工程等において、高速で磁気テープを搬送さ
せても、スリップが発生せず、これに起因する磁気テー
プの損傷や巻き姿の乱れを防止でき、しかも、カッピン
グも低減した磁気テープを、効率良く作製することがで
きる磁気テープの加工方法、および加工装置に関する。
【0002】
【従来の技術】情報記録/再生に供する磁気テープは、
基本的に、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の
フィルムであるベースと、このベースの一方の面に形成
される磁性体層と、搬送安定性や強度の向上等を目的と
して、上記ベースの磁性体層とは逆の面に形成されるバ
ック層等から構成される。
【0003】このような磁気テープの製造工程において
は、磁気テープ(以下、単にテープともいう)は、長手
方向に搬送されつつ、スリッタによる裁断やブレード刃
による表面の清掃等の各種の処理を施されて、ハブ等に
巻き取られてパンケーキやカセットとされ、次工程や納
入先に送られる。また、近年では、生産性を向上させる
ために、各種の工程(ブレード機やワインダ等の製造装
置)におけるテープの搬送速度が高速化する傾向にあ
る。
【0004】テープの搬送は、一般的に、テープをキャ
プスタンローラに巻き掛け、キャプスタンローラを回転
することによって行われる。ところが、テープの搬送速
度を速くすると、ブレード機等の製造装置において、テ
ープが空気を巻き込んで、キャプスタンローラ等でテー
プが浮上し、これによりテープがスリップして、正常な
搬送ができなくなってしまう場合がある。
【0005】その結果、テープがキャプスタンローラ,
ガイドローラ,ブレード刃等に衝突あるいは不適正に接
触し、テープやテープエッジの折れ、磁性体層等の磨耗
や剥離等のテープの損傷が発生し、得られたテープが、
製品として不適正なものとなってしまう。また、テープ
を製造する装置には、テープの長さを測定するローラ
(検尺ローラ)が必要に応じて装着されるが、この検尺
ローラでテープがスリップすると、テープの長さ測定に
誤差が生じ、生産管理も適正に行えなくなるという問題
点もある。そのため、要求される生産効率に良好に対応
するように、テープの製造におけるテープ搬送速度を高
速化することが困難になっている。
【0006】また、磁気テープの別の問題点として、前
述のカッピングが知られている。カッピングとは、磁気
テープの幅方向のカール(湾曲)で、主に、磁性体層と
バック層とで用いられるバインダの収縮率の違いによっ
て生じる。カッピングが発生すると、製品としての磁気
テープの外観の低下;記録ヘッドや読取ヘッドへの磁気
テープの当りが悪くなり記録誤差や読取誤差が生じる可
能性がある;磁気テープのエッジにダメージが生じ易く
耐久性が低下する等;様々な問題が生じる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このようなカッピング
は、磁性体層を厚くする、バック層を薄くする、磁性体
層やバック層の処方を調整する、等の方法によって改善
することができるが、工程上、処方上、性能上等の各種
の問題によって、改善には限界がある。具体的には、近
年では磁気テープの記録密度が向上しており、これを実
現するために、磁性体層の厚さは薄くなる方向にある上
に、バック層を薄くすると、磁気テープの強度が低下し
て、実用上の耐久性に問題が生じてしまう。また、磁性
体層やバック層の処方を変更すると、磁気テープとして
の特性が変動し、目的とする性能が得られなくなってし
まう可能性が有る。すなわち、性能の低下を防止しつ
つ、磁性体層やバック層等の処方を調整してカッピング
を低減することは、非常に手間のかかる作業であり、開
発の効率や磁気テープのコスト等の点で不利である。
【0008】また、別の方法として、磁気テープのバッ
ク層に凹部を設けることも考えられるが、この方法を採
用した場合には、実際の製造工程において、レーザビー
ムなどを磁気テープのバック層に入射して、凹部を形成
する加工を施す際に、バック層から除去される物質が粉
塵となって飛散し、この粉塵が磁気テープに付着して、
テープを汚染する場合があるという問題が発生する。こ
のような粉塵は、磁気テープを汚染し、その品質上重大
な欠陥となるので、これを防止することが是非とも必要
である。
【0009】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
であり、その目的とするところは、レーザビームなどを
磁気テープのバック層に入射して、このテープのバック
層に凹部を形成する加工を施す際に、粉塵となって飛散
する、バック層から除去される物質を確実に捕集するた
めに有効な粉塵対策を提供することにある。
【0010】より具体的には、本発明の目的は、上述の
ように、レーザビームなどを磁気テープのバック層に入
射して、このテープのバック層に凹部を形成する加工を
施す際に発生する粉塵を確実に捕集し、粉塵を次工程以
降に持ち込まないようにする磁気テープの加工方法、お
よび、この方法を具体化した磁気テープの加工装置を提
供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明に係る磁気テープの加工方法は、磁気テープ
を長手方向に搬送しつつ、可視域もしくは紫外域のレー
ザビームの少なくとも一方を前記磁気テープのバック層
に入射し、前記バック層を加工して凹部を形成する際
に、加工部分の近傍にイオン風を供給し、加工によって
発生する粉塵を帯電させて除去することを特徴とするも
のである。
【0012】すなわち、本発明に係る磁気テープの加工
方法においては、前記バック層を加工して凹部を形成す
る際に、加工部分の近傍でイオン風を作用させることに
より、加工によって発生する粉塵を帯電させて、後段に
設けたこれと逆極性の電極により集塵を行うものであ
る。
【0013】また、本発明に係る磁気テープの加工装置
は、可視域のレーザビームおよび紫外域のレーザビーム
の少なくとも一方を射出する光源と、前記光源から射出
されたレーザビームを所定の加工位置に入射する光学系
と、前記加工位置において、バック層を前記レーザビー
ム光路の上流側に向けた状態で磁気テープを長手方向に
搬送する搬送手段と、前記加工位置において、前記搬送
手段によって搬送される磁気テープの平面性を確保する
手段と、前記加工位置の近傍でイオン風を作用させるイ
オン風供給手段と、該イオン風供給手段の極性とは逆極
性の集塵用電極とを有することを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る磁気テープの
加工方法および加工装置について、添付の図面に示され
る好適実施例を基に、詳細に説明する。
【0015】まず、本発明に係る加工方法を適用可能な
磁気テープは、PETやアラミド樹脂等からなるベース
の一面に磁性体層を有し、他方の面にバック層を有し、
あるいは、さらにオーバーコート層(保護層)や下塗り
層を有してなる、通常の層構成を有する磁気テープであ
ればよく、本発明に係る加工方法によって、バック層に
凹部、好ましくは、磁気テープの長手方向に延在する直
線的あるいは波型の溝(加工線や加工線分等を含む)を
形成される。
【0016】図1に、本発明に係る加工方法(加工装
置)によって加工された磁気テープのバック層の一例
を、概念的に示す。図1(A)に示される例は、テープ
のバック層に、テープの長手方向に延在する加工線aを
複数本、形成してなるものである。図1(B)に示され
る例は、図1(A)に示される例において、バック層の
加工を断続的にして、加工線を線分化(bで示される)
した例である。なお、ここで、加工線分bの長さには特
に限定はない。また、加工線分bの長さは、全て同じで
あっても、異なる長さの線分が混在してもよい。
【0017】図1に示されるような、バック層に凹部
(加工線,加工線分)を有するテープは、テープの幅方
向のカールであるカッピングも、従来のテープに比して
少なくなり、カッピングに起因する外観の低下、ヘッド
当りの悪化、テープエッジのダメージ等も、従来のテー
プに比して大幅に低減される。さらに、ブレード機やワ
インダ等のテープの製造装置においてテープを高速で搬
送した場合でも、テープによる空気の巻き込みを低減
し、また、空気を巻き込んだ場合でも、その空気を加工
線から好適に排除することができる。
【0018】また、テープを高速搬送しても、製造装置
のキャプスタンローラ等でテープが浮き上がってスリッ
プすることがなく、これに起因するテープの損傷や搬送
長の誤差がないので、高速で正確なテープ搬送を行っ
て、適正な生産管理の下、適正品質の磁気テープを、安
定して高効率に製造できる。また、巻き取りの際にも、
テープ間の空気を好適に抜くことができるので、カート
リッジやパンケーキに巻き取った際の巻き姿も美しい。
【0019】上述の凹部の形状(断面形状)には特に限
定はなく、例えば、図2(A)に示されるような矩形
状、図2(B)に示されるような三角形状、図2(C)
に示されるような半円(弓型)等が例示される。これら
の形状は、バック層を加工する際に用いるレーザビーム
のビームスポットの強度分布(プロファイル)を調整す
ることにより、実現できる。
【0020】また、凹部の深さにも特に限定はなく、一
般的に、テープの幅,バック層の形成材料や厚さ,ベー
スの形成材料や厚さ,凹部形成以降の工程やユーザ先で
の処理などのテープにかかる負荷(搬送速度やテンショ
ン等)を考慮して、要求されるテープ強度等に応じて、
適宜決定すればよい。一例としては、凹部の深さは、
0.1μm以上とするのが好ましく、特に、0.2μm
以上とするのがより好ましい。
【0021】さらに、凹部のサイズ(線幅)や形成密度
にも、特に限定はなく、テープの強度や幅(サイズ)等
に応じて、適宜決定すればよく、例えば、幅が0.5イ
ンチのテープに、図1(A),(B)に示されるよう
な、長手方向に延在する加工線等を形成する場合には、
幅3μm〜10μm程度で、幅方向に数本〜100本程
度の加工線を形成することが好ましい。
【0022】図3に、このような磁気テープを、本発明
にかかる加工方法を利用して作製するために用いる、本
発明に係る加工装置の概念図を示す。図示例の加工装置
10は、前述の図1(A)および(B)に示されるよう
な、テープの長手方向に延在する加工線を形成するもの
で、レーザビームを射出する光源12と、パルス変調器
14、ミラー16、ビームエクスパンダ18、ビームプ
ロファイル成形器20および多眼レンズ22を有する光
学系と、テープ搬送手段24と、イオン風供給ノズル1
02と集塵ノズル104とを有する。
【0023】このような加工装置10においては、テー
プ搬送手段24によって(磁気)テープTを所定の加工
位置に位置付けしつつ長手方向(図中矢印x方向)に搬
送しながら、光源12から射出されたレーザビームを光
学系によって前記加工位置に入射することにより、テー
プに加工線を形成する。ここで、テープTは、そのバッ
ク層を上方(レーザビーム入射側)に向けて搬送されて
おり、従って、レーザビームによってテープTのバック
層が加工される。
【0024】光源12としては、テープTのバック層を
加工可能な出力を有するものであれば、各種の光源(レ
ーザ発振器)が利用可能であり、好ましくは、紫外域も
しくは可視域のレーザビームの少なくとも一方を出射で
きるものが使用される。なお、加工性の点では、波長の
短いレーザビームの方が好ましく、紫外域のレーザビー
ムが最も良好であるが、コスト,安全性,作業性等の点
では、可視域のレーザビームが好ましい。具体的には、
488nmや515nmのアルゴン(イオン)レーザや
YAGレーザをSHG(second harmonic generation二
次高調波発生)素子で波長変換した532nmのレーザ
ビームを射出する光源等が例示される。
【0025】パルス変調器14は、図1(B)に示され
るような加工線分を形成するために、レーザビームをパ
ルス変調するものである。従って、光源12が直接パル
ス変調可能である場合や、図1(A)に示されるような
加工線のみを形成する場合には、パルス変調器14は不
要である。パルス変調器14としては、AOM(音響光
学変調器)等の公知の変調手段が利用可能である。ま
た、変調周期を調整することにより、加工線分の長さを
調整することができる。
【0026】レーザビームは、ミラー16で所定方向に
反射され、次いで、ビームエクスパンダ18に入射す
る。本実施例に示す加工装置10は、1本のレーザビー
ムを分割して、テープTに加工線を形成するが、多種の
幅のテープTに対応して、その幅方向の全面に加工線を
形成可能であるのが好ましい。しかしながら、一般的
に、光源から射出されるレーザビームの径は1mm前後
であり、テープTの幅はそれよりも広いので、そのまま
では、テープTの幅方向全面に加工を行うことはできな
い。
【0027】そのため、加工装置10では、ビームエク
スパンダ18を配置し、光源12から射出されたレーザ
ビームを拡径する。例えば、光源12から射出されるレ
ーザビームの径が1mmで、テープTの幅が0.5イン
チである場合には、15倍〜20倍程度にレーザビーム
を拡径すればよい。また、ビームエクスパンダ18での
レーザビームの拡径率は、調整可能にしておくのがよ
い。
【0028】ビームエクスパンダ18で拡径されたレー
ザビームは、次いで、ビームプロファイル成形器20
(以下、単に成形器20という)に入射する。成形器2
0は、レーザビームの強度をビームスポット全面で略均
一にする、すなわち、レーザビームの強度分布を略均一
化するものである。
【0029】通常、光源12から射出されるレーザビー
ムは、ガウス分布のような強度分布を持っているので、
このレーザビームでテープTを加工すると、強度分布に
応じて加工線の深さが異なってしまう。そのため、成形
器20を配置することにより、レーザビームの強度分布
を均一にして、形成する加工線の深さを均一にすること
ができる。なお、成形器20としては、各種の光学フィ
ルタ,フレネル回折を利用してビームプロファイルの成
形を行うレーザビームと同径のアパーチャ,多眼レンズ
等が利用可能である。
【0030】レーザビームは、次いで、多眼レンズ22
に入射する。多眼レンズ22は、マイクロボールレンズ
やセルフォックレンズを、その光軸をレーザビームに平
行として、光軸と直交する方向に多数配列したものであ
り、入射したレーザビームを、多数のレーザビームに分
割して、所定の加工位置に入射、結像する。これによ
り、レーザビームによってテープTのバック層を加工し
て、加工線等(凹部)を形成する。
【0031】図4に、その一例を光軸方向から見た際の
概略図を示す。図示例の多眼レンズ22は、一例とし
て、マイクロボールレンズやセルフォックレンズ(以
下、両者をまとめてレンズという)を5個×5個で最密
状態に配列したものであり、図4に示すように、一点鎖
線で示されているレンズの配列線をテープTの搬送方向
xおよび幅方向に対して若干傾けた状態で配置される。
これにより、テープTを長手方向に一回搬送(1パス)
するだけで、長手方向に延在する計25本(列)の加工
線aを形成することができる。
【0032】ここで、搬送方向xとレンズの配列線との
角度を調整することにより、加工線aの間隔を調整する
ことができるが、効率良く加工線を形成するためには、
この角度は、各レンズの光軸(ビームウエストの中心)
が搬送方向xで重ならないように設定する必要がある。
例えば、テープTの幅方向のレンズの配列線に注目した
際に、一列の多眼レンズの数をN;搬送方向xと配列線
との角度をθ;とすると、下記式が満たされる場合に
は、搬送方向xでレンズの光軸は重ならない。 sin[(2π/3)+θ]≧N・ sin θ なお、多眼レンズのレンズ配列は、図4に示される最密
状態に限定はされず、各種のものが利用可能である。
【0033】図3に示す加工装置10において、テープ
Tは、テープ搬送手段24によって、バック層側(裏面
側)をレーザビーム光路の上流側(レーザビーム入射
側)に向けて、所定の加工位置に位置付けられつつ(つ
まり、搬送方向xと長手方向とを一致させて)、長手方
向に搬送される。なお、テープ搬送手段24は、図示さ
れていないキャプスタンローラ,リワインダ,ワインダ
等の搬送駆動手段と、ガイドローラ26および28と、
テープフラットナ30とから構成される。
【0034】テープフラットナ30は、搬送されるテー
プTの表面(磁性体層側)に当接して、テープTを所定
の加工位置に位置(保持)するものである。テープT
は、搬送方向xにテープフラットナ30を挟んで配置さ
れるガイドローラ26および28によって、テープフラ
ットナ30よりも下方を通る搬送経路を形成される。こ
れにより、テープTは、テープフラットナ30に押圧さ
れ、支持されて、加工位置に位置付けされる。
【0035】本発明に係るテープ加工装置においては、
レーザビームによる加工は、前述の幅0.5インチ幅の
テープTの例でも示したように、幅3μm〜10μmと
いうように微細な加工であるので、加工位置に入射する
ビームスポット径は小さく、すなわち、ビームウエスト
の許容範囲は非常に狭い。そのため、テープフラットナ
30には、多眼レンズ22の焦点深度方向に、高い精
度、好ましくは、誤差10μm以下の精度でテープTを
位置付けすることが要求される。
【0036】これを実現する好ましいテープフラットナ
30としては、図5(A)に示されるような、側稜でテ
ープTを支持する三角柱(ブレード刃型)を、側稜を搬
送方向xと直交した状態で、2以上、搬送方向xに配列
したものが例示される。これ以外にも、図5(B)に示
されるような、側面でテープTを支持する半円(D字
型)柱の支持部材を複数同様に配列したテープフラット
ナ、図5(C)に示されるような、側面でテープTを支
持する円柱の支持部材を複数同様に配列したテープフラ
ットナ、図5(D)に示されるような、プレート(直方
体)型のテープフラットナ等も、好適に例示される。
【0037】前述のように、加工位置には、光源12か
ら射出され、必要に応じてパルス変調器14で変調さ
れ、ミラー16で反射され、ビームエクスパンダ18で
拡径されて成形器20で強度分布を均一化され、多眼レ
ンズ22で分割,調光されたレーザビームが入射,結像
している。
【0038】従って、テープ搬送手段24によって、裏
面側をレーザビーム光路の上流に向けた状態で、テープ
フラットナ30によって加工位置に位置しつつ、テープ
Tを長手方向に搬送することにより、テープTのバック
層には、長手方向に延在する加工線(凹部)が形成さ
れ、前述の例であれば、一回の搬送で、25本の加工線
が形成される。なお、可視域や紫外域のレーザビームを
用いる本発明においては、レーザビームによる熱加工
と、アブレーション(解離,遊離)による加工との両者
が複合的に発生して、バック層が加工されると考えられ
る。
【0039】テープ加工装置においては、テープTのバ
ック層の加工によって、粉塵等の加工カスやガスが発生
する場合が多々ある。そのため、加工位置近傍には、上
述の加工カスやガスを除去するための除去手段を設ける
のが好ましい。また、加工位置よりも下流に、テープT
の少なくとも裏面(バック層面)、好ましくは表裏面に
付着した異物を取り除く、清掃手段を設けるのが好まし
い。
【0040】図3に示される実施例の加工装置10にお
いては、テープTの加工位置において、バック層をレー
ザビーム光路の上流側に向けた状態で、テープ搬送手段
24によりテープTを長手方向に搬送しつつ加工する際
に作用させるため、上記加工位置近傍に、テープTにイ
オン風を作用させるイオン風供給ノズル102と、この
イオン風供給ノズル102により帯電した粉塵を捕集す
る集塵ノズル104とからなる集塵手段を備えている。
【0041】上記集塵手段を構成するイオン風供給ノズ
ル102は、具体的には、例えば、図6に示すように、
クリーンエアをテープTに吹き付けるエア吹付けノズル
102a,このエア吹付けノズル102a内に配された
高圧交流電圧を印加される除電針102bから構成され
ている。また、集塵ノズル104は、イオン風供給ノズ
ル102から吹き付けられるエアとともに、粉塵を吸入
する作用を有するものである。
【0042】このように構成することにより、上記除電
針102bに交流高電圧を印加するとこの除電針102
bからコロナ放電が発生することになり、上記エア吹付
けノズル102aから矢印aで示すようなイオン風が生
じる。これにより、加工位置近傍にある空気中の粉塵が
帯電するとともに、上記エア吹付けノズル102aから
集塵ノズル104方向に向かって移動する。
【0043】上記集塵ノズル104の先方には、集塵紙
を備えた集塵ユニットが配置されている。この集塵ユニ
ットは、吸引ポンプ(またはブロワ、図示されていな
い)に接続されており、イオン風の作用により帯電して
搬送されてくる粉塵を、上記集塵紙を用いて捕集する機
能を有するものである。
【0044】このような過程で、加工に伴って発生する
粉塵を含んだ空気中の粉塵が、集塵ノズル104により
吸引・除去されるので、粉塵が次工程に持ち込まれると
いう問題は解消される。なお、当然のことながら、集塵
紙は、捕集した粉塵の量が所定の量になり、粉塵の捕集
能力に低下の兆しが見えたところで適宜交換することが
望ましい。
【0045】上記実施例によれば、テープTを長手方向
に搬送しつつ加工する際に上記集塵機能を作用させるこ
とにより、上記加工位置近傍で発生する粉塵を、イオン
風発生手段により帯電させて捕集するようにしたので、
次工程への粉塵(つまり、加工屑)の持ち込みを効率的
に防止できるという効果を奏するものである。
【0046】次に、別の実施例を示す。図7は、本発明
の他の実施例に係る加工装置の概念図である。集塵装置
108以外の構成要素は、図3に示した実施例中の構成
要素と同じである。本実施例に係る加工装置において
は、集塵装置108として、イオン風供給手段と集塵手
段とを一体化したものを用いている。
【0047】上記集塵装置108は、具体的には、例え
ば、図8に示すように、コロナ放電を発生させる放電電
極である放電線106aおよび対向電極108a,10
8bがケース内に収納されたものであり、上記放電線1
06aには、図示されていない高電圧発生装置から数k
Vの高電圧が印加される。また、対向電極108a,1
08bは、上記放電線106aの後方に配置された一対
の接地電極である。
【0048】このように構成することにより、上記放電
線106aに電圧を印加するとこの放電線106aから
コロナ放電が発生することになり、上記対向電極108
a,108b間周辺にある空気中の粉塵が帯電するとと
もに、上記放電線106aから対向電極108a,10
8b間方向に向かって、矢印bで示すようなイオン風が
生じ、これがさらに、加工位置近傍から空気を吸入す
る。
【0049】ここで、上記放電線106aから対向電極
108a,108b間方向に向かっては、先方が幅広に
なるようにするのがよい。このような構成は、空気の流
通抵抗を増加させることがなく、イオン風の風量を減少
させることなしに、装置全体を小型化するために有効で
ある。また、本構成は1本の放電線と一対の接地電極で
構成できることから、装置を低コストにできるという点
でも有利である。
【0050】上記一対の接地電極108a,108bの
先方には、集塵紙を備えた集塵ユニット108cが配置
されている。集塵ユニット108cは、吸引ポンプ(ま
たはブロワ、図示されていない)に接続されており、集
塵用電極となる接地電極の上に集塵紙を保持したもので
あり、イオン風の作用により帯電して搬送されてくる粉
塵を、直接的には集塵紙を用いて捕集する機能を有する
ものである。
【0051】上記集塵ユニット108cの接地電極は、
網目状などの空気が通過可能な形状に構成されている。
これにより、前述のテープの加工位置近傍の、加工に伴
って発生する粉塵を含んだ空気が、集塵装置108の吸
気口108dから矢印Aで示すように吸入され、粉塵が
集塵紙により捕集(濾過)されつつ、残りの空気だけが
集塵装置108の出口108eから矢印Bで示すように
放出される。
【0052】このような過程で、加工に伴って発生する
粉塵を含んだ空気中の粉塵が、集塵装置108内におい
て除去されるので、粉塵が次工程に持ち込まれるという
問題は解消される。なお、当然のことながら、集塵紙
は、捕集した粉塵の量が所定の量になり、粉塵の捕集能
力に低下の兆しが見えたところで適宜交換することが望
ましい。
【0053】上記実施例によれば、テープTの加工位置
において、テープTを長手方向に搬送しつつ加工する際
に上記集塵機能を作用させることにより、上記加工位置
近傍で発生する粉塵を、イオン風発生手段により帯電さ
せて捕集するようにしたので、次工程への粉塵(つまり
加工屑)の持ち込みを効率的に防止できるという効果を
奏するものである。
【0054】上記各実施例は、いずれも本発明の一例を
示したものであり、本発明はこれらに限定されるべきも
のではない。例えば、前述のように、テープTは加工位
置で長手方向(x方向)に搬送されているので、レーザ
ビームをy方向に走査して入射すれば、テープTの搬送
速度とレーザビームの走査速度との兼ね合いで、テープ
T上には、結果的に斜め方向の走査線が画成され、斜め
方向に延在する加工線が形成できる。
【0055】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に
係るテープの加工方法および加工装置によれば、ブレー
ド機やワインダ等の磁気テープの製造装置において、搬
送速度を高速化してもキャプスタンローラ等でスリップ
することがなく、従って、高速で正確な搬送を行うこと
ができ、しかも、カッピングの少ない、優れた特性を有
する磁気テープを、効率良く加工することができる。ま
た、この加工方法および加工装置を用いることにより、
適正な生産管理の下、損傷の無い磁気テープを安定して
高い生産効率で製造でき、かつカートリッジやパンケー
キに巻き取った際の巻き姿も美しくでき、かつ、カッピ
ングに起因するテープの外観低下、ヘッド当りの悪化、
テープエッジの損傷等も防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (A),(B)は、それぞれ本発明に係るテ
ープの加工方法によってテープのバック層に形成される
加工線(凹部)の一例を示す図である。
【図2】 (A),(B)および(C)は、それぞれ本
発明に係るテープの加工方法によってテープのバック層
に形成される加工線(凹部)の断面形状を示す図であ
る。
【図3】 本発明の一実施例に係る磁気テープの加工装
置の要部を示す構成図である。
【図4】 図3に示される磁気テープの加工装置に用い
られる多眼レンズを説明するための概念図である。
【図5】 (A)〜(D)は、いずれも図3中のテープ
フラットナ30の具体的構成例を示す図である。
【図6】 図3中のイオン風供給ノズル102の具体的
構成例を示す図である。
【図7】 本発明の他の実施例に係る磁気テープの加工
装置の要部を示す構成図である。
【図8】 図7中の集塵装置108の具体的構成例を示
す図である。
【符号の説明】
10 加工装置 12 光源 14 パルス変調器 16 ミラー 18 ビームエクスパンダ 20 (ビームプロファイル)成形器 22 多眼レンズ 24 テープ搬送手段 26,28 ガイドローラ 30 テープフラットナ 102 イオン風供給ノズル 102a エア吹付けノズル 102b 除電針 104 集塵ノズル 106a 放電線 108 集塵装置 108a,108b 対向電極 108c 集塵ユニット

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】磁気テープを長手方向に搬送しつつ、可視
    域もしくは紫外域のレーザビームの少なくとも一方を前
    記磁気テープのバック層に入射し、前記バック層を加工
    して凹部を形成する際に、加工部分の近傍にイオン風を
    供給し、加工によって発生する粉塵を帯電させて除去す
    ることを特徴とする磁気テープの加工方法。
  2. 【請求項2】可視域のレーザビームおよび紫外域のレー
    ザビームの少なくとも一方を射出する光源と、前記光源
    から射出されたレーザビームを所定の加工位置に入射す
    る光学系と、前記加工位置において、バック層を前記レ
    ーザビーム光路の上流側に向けた状態で磁気テープを長
    手方向に搬送する搬送手段と、前記加工位置において、
    前記搬送手段によって搬送される磁気テープの平面性を
    確保する手段と、前記加工位置の近傍でイオン風を作用
    させるイオン風供給手段と、該イオン風供給手段の極性
    とは逆極性の集塵用電極とを有することを特徴とする磁
    気テープの加工装置。
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JP2020028910A (ja) * 2018-08-24 2020-02-27 ファナック株式会社 加工条件調整装置及び機械学習装置

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