JP2001077464A - 発光デバイス - Google Patents

発光デバイス

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JP2001077464A
JP2001077464A JP2000201307A JP2000201307A JP2001077464A JP 2001077464 A JP2001077464 A JP 2001077464A JP 2000201307 A JP2000201307 A JP 2000201307A JP 2000201307 A JP2000201307 A JP 2000201307A JP 2001077464 A JP2001077464 A JP 2001077464A
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diffraction grating
light
optical
refractive index
emitting device
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JP2000201307A
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Manabu Shiozaki
学 塩崎
Toru Iwashima
徹 岩島
Takashi Kato
隆志 加藤
Masaichi Mobara
政一 茂原
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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  • Optical Couplings Of Light Guides (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】レーザ発振の安定性を改善できる発光デバイス
を提供することである。 【解決手段】回折格子の反射スペクトルの反射率Rに関
して 【数14】 を満たす連続した波長領域幅は、半導体光増幅器の光反
射面と回折格子とによって規定される光共振器における
隣接する縦モード間の縦モード間隔以下であり、且つ波
長領域に含まれるメイン縦モードの波長における回折格
子の反射率Rm、メイン縦モードに隣接するサイド縦モ
ード各々における回折格子の反射率Rs1、Rs2、および
半導体光増幅器の光反射面と光放出面との距離をミリメ
ートル単位で表したlに関して、Rs1≦Rm・exp(−
l)、Rs2≦Rm・exp(−l)、および式(1)を共に満たす
波長領域幅が、縦モード間隔の0.75倍以上である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体光増幅器お
よび回折格子を備える発光デバイスに関する。
【0002】
【従来の技術】発光モジュールは、半導体光増幅器と、
この半導体光増幅器に光学的に結合された一端部を有し
そのコア部分に回折格子が形成された光ファイバと、こ
れらを収納するバタフライ型パッケージとを備えてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような構成の光モ
ジュールは、外部共振器型半導体レーザとも呼ばれる。
【0004】外部共振器型半導体レーザの光出力は、活
性層への注入キャリア量を制御することによって調整さ
れる。注入キャリア量が変化すると、活性層の温度およ
びキャリア密度が変化する。この変化に応じて活性層の
屈折率も変化する。これによって、外部共振器型半導体
レーザの実効的な共振器長が変わる。このため、レーザ
の発振波長が変化する。この波長の変化に応じて、回折
格子での反射率も変化し、外部共振器型半導体レーザの
出力パワーが変化すると共に、モニタ光の光パワーも変
化してしまう。発明者は、この発振波長変化による回折
格子での反射率変化の要因で、出力光やモニタ光の強度
が変化すると、従来の受光素子によるモニタ方法だけで
は、うまくレーザ出力を制御できないという問題点があ
ることを発見した。
【0005】さらに発明者は、この発振波長の変化につ
いて注意深く検討した。その結果、発明者は以下の点を
発見した。それは、発振波長の変化に応じて外部共振器
型半導体レーザの出力パワーが増加している場合にも、
受光素子が受ける光パワーが減少することがあり、また
逆に、外部共振器型半導体レーザの出力パワーが減少し
ている場合にも、受光素子が受ける光パワーが増加する
ことである。
【0006】図1(a)および図1(b)を参照しながら、
発明者の発見について更に説明する。図1(a)は、思考
実験のための外部共振器型半導体レーザの主要部を示す
模式図である。図1(a)においては、半導体光増幅器1
60の光反射面160bは受光素子18と対面し、光放
出面160aはファイバグレーティング140のレンズ
化端部140bと対面している。この受光素子は、半導
体光増幅器からのモニタ光を受けて、この光量に応じた
電気信号を出力する。この電気信号に応じて、半導体増
幅器の入力が制御されている。半導体光増幅器160に
おいて発生された光は、光放出面160aおよびレンズ
化端部140bを介して、ファイバグレーティング14
0に導入される。導入された光の一部は、回折格子14
0aを透過し、残りの光は回折格子140aで反射され
る。反射された光は、レンズ化端部140bおよび光放
出面160aを介して、半導体光増幅器160に導入さ
れる。導入された光は、活性層160cにおいて誘導放
出を引き起こし光の増幅が行われる。光反射面160b
に到達し反射された光は、進行方向を光放出面160a
へ向ける。光反射面160bを透過した光は、受光素子
180に入射する。
【0007】図1(b)には、図1(a)の外部共振器型半
導体レーザに含まれる回折格子の反射スペクトルと、縦
モードのうちのメイン縦モードλmと、メイン縦モード
λmに隣接するサイド縦モードλs1、λs2とが示されて
いる。反射率Rmは、メイン縦モードの波長における回
折格子の反射率である。反射率Rs1、Rs2は、隣接する
サイド縦モードの各波長における回折格子の反射率であ
る。
【0008】外部共振器型半導体レーザは、定常状態に
おいて、パワーPoutの出力光を提供すると共に、半導
体光増幅器160からパワーが与えられパワーPoの光
を光共振器内に蓄積している。受光素子には、パワーP
oのうち所定の割合がモニタ光として、受光素子に提供
される。
【0009】仮に、メイン縦モードの波長がλmからλm
+δλ(ここで、δλ>0)に変化したとすると、出力パ
ワーPoutは増加するけれども、パワーPoは減少する。
このため、受光素子が受けるモニタ光量Pmは減少す
る。つまり、出力パワーPoutは増加しているけれど
も、モニタ光量Pmは減少しているのである。メイン縦
モードの波長がλmからλm−δλ(ここで、δλ>0)に
変化したとすると、これと逆の現象が生じる。
【0010】したがって、出力パワーPoutの変化の傾
向が、モニタ光Pmの変化の傾向と一致していないこと
がある。半導体光増幅器160は、既に説明したよう
に、受光素子180が受けた光パワーに応じて制御され
る。このため、受光素子180が半導体光増幅器160
から受けるモニタ光のパワーの変化すると、その変化が
示すように発振出力が変化したかのごとく制御が及ぶこ
とになる。
【0011】一方、関連する技術分野の文献として、日
本国特許公開11-163471号公報および08-201609号公報が
ある。これらの公報には外部共振器半導体レーザが示さ
れ、この外部共振器半導体レーザはグレーティングファ
イバおよび半導体光増幅器からなる。
【0012】日本国特許公開11-163471号公報には、屈
折率分布が包絡線で表される回折格子を有するグレーテ
ィングファイバが記載されている。このグレーティング
ファイバでは反射スペクトルのサイドローブ反射率が低
減されており、そのため、このサイドローブ領域でのレ
ーザ発振が抑えられるという特徴を有している。このよ
うにサイドローブ反射率についての開示はあるものの、
主反射スペクトルの形状については記載されていない。
また、日本国特許公開08-201609号公報には、光ファイ
バの導波路構造(例えば、光ファイバの外径)を連続的に
変化させることによって反射波長域が広げられた回折格
子が記載されている。この公報によれば、広げられた反
射スペクトルの半値幅は2nmから400nmである。
また、この公報には、「半導体レーザ出力光が数nm変
化しても反射率がほぼ一定であることが要求される」と
いう記載がある。仮に、このような回折格子を備えたグ
レーティングファイバを半導体増幅器の外部鏡へと応用
する場合、現実の外部共振器型レーザの共振器長の制約
から、レーザの縦モード間隔は1nm程度である。その
ため、半値幅2nmから400nmである反射スペクト
ルの帯域内には、複数の縦モードが入ってしまうことと
なる。故に、単一縦モードで発振するレーザは実現され
ない。また、発振波長の両側のサイドモードを抑圧する
のに必要な反射スペクトル形状については、日本国特許
公開08-201609号公報には記載がない。また、これらの
公報には、受光素子に関する記述はない。さらに、上記
の発明者の発見について何らの記述もない。
【0013】日本国特許公開11-84117号公報は、長周期
グレーティングに関する文献であるので、本発明が利用
しようとする回折格子と異なる技術分野に属する。日本
国特許公開11-174245号公報には、反射光の強度が小さ
い低反射率光導波路グレーティングが記載されている。
しかしながら、この文献には、外部共振器半導体レーザ
が記載されていない。
【0014】そこで、本発明の目的は、光出力の安定性
を改善できる発光デバイスを提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】この問題を解決するため
に様々な検討を重ねた結果、発明者は、回折格子の反射
スペクトルを工夫することが好適であることに気づい
た。
【0016】本発明に係わる発光デバイスは、光学部品
と、半導体光増幅器と、を備える。光学部品は、一端部
および他端部を有する光導波路、および光導波路に設け
られた回折格子を含む。半導体光増幅器は、光学部品の
一端部に光学的に結合された光放出面、および光反射面
を有する。光学部品および半導体光増幅器の相対的に配
置は固定されている。光共振器は、半導体光増幅器の光
反射面と光学部品の回折格子とを含む。縦モードの間隔
は、光共振器の光学的な長さと関連している。
【0017】回折格子の反射スペクトルは、最大反射率
がRmaxの反射スペクトルを有し、またその反射率Rに
関する下記の関係
【数4】 を満たす連続した波長領域を有する。この連続した波長
領域は、光共振器における隣接する縦モード間の縦モー
ド間隔以下である。
【0018】また、この連続した波長領域の幅は、縦モ
ード間隔の0.75倍以上である。
【0019】発光デバイスにおいては、下記の関係が満
たされる:
【数5】
【数6】 ここで、Rmは、連続した波長領域に含まれる縦モード
のうちのメイン縦モードの波長における回折格子の反射
率であり、Rs1、Rs2は、メイン縦モードに隣接するサ
イド縦モード各々における回折格子の反射率であり、l
は、ミリメートル単位で表した半導体光増幅器の光反射
面と光放出面との距離である。
【0020】この発光デバイスは、半導体光増幅器の発
光状態を監視するためのモニタ光に基づいて半導体光増
幅器を制御することを可能にする。また、発光デバイス
は、発光デバイスの出力光のパワーと、モニタ光のパワ
ーとの比に基づいて制御可能になる。
【0021】このような制御は、次のような利点を有す
る。
【0022】発光デバイスでは、既に説明したように、
半導体光増幅器において発生された光をモニタしてい
る。モニタ光量が変動した場合に、一般には、その変動
が反射スペクトルに基づく変動であるのか、またはそれ
以外の原因に基づく変動であるのか判断できない。この
ため、その変動の要因に関係なく受光量の変動に応じた
制御が半導体光増幅器に加えられる。このような制御で
は一般に負帰還が採用されるけれども、発明者の知見に
よれば、検出された全ての変動に応じて制御を行うこと
は、発光デバイスにとって好ましくない場合もある。そ
こで、発明者は、波長変動が生じて出力光とモニター光
との比に着目し、この比の変化を所定値以下にするよう
に制御するということに至った。これは、発光デバイス
の安定性に有利に働く。
【0023】また、発明者は、メイン縦モードと隣接縦
モードとの利得差にも着目したのである。発光デバイス
が外部信号に基づいて変調される場合に、隣接する縦モ
ードの利得がメイン縦モードの利得に対してある程度の
値まで大きくなると、信号の変調に伴って寄生発振を起
こすことも考えられる。このような現象は、抑制される
べきである。発明者の知見によれば、メイン縦モードと
隣接縦モードとの利得差が5cm-1以上であることが必
要である。これも、発光デバイスの安定性に有利に働
く。
【0024】出力光とモニタ光との比に関する上記の条
件を考慮するだけでは、その連続した波長領域が、隣接
する縦モードの間隔以下であることが条件となる。しか
しながら、発明者の知見によれば、縦モード間隔が所定
値に比べて小さいことに加えて次の条件も必要である。
つまり、上記のように制御された発光に利用可能な波長
領域の幅が、縦モード間隔の75%以上であることが必
要である。
【0025】本発明に係わる発光デバイスでは、光共振
器の外側に配置され、光反射面および光導波路の他端部
のいずれかと光学的に結合するように設けられた受光素
子を更に備えるができる。
【0026】また、本発明に係わる発光デバイスでは、
上記の受光素子は、半導体光増幅器を制御するための電
気信号を受けた光から生成することができ、半導体光増
幅器は、この電気信号に基づいて制御されることがで
き、これによって、 P2/P1≦1.1・fmax の関係が満たされることが望ましい。ここで、P1を受
光素子が受ける光パワー、P2を当該発光デバイスから
の出力パワー、fmaxをRmaxに対応する波長において発
光するときのP1に対するP2の比である。上記の関係
が満たされると、光出力の変動を抑えることができるか
らである。
【0027】また、本発明に係わる発光デバイスでは、
上記の光学部品が光ファイバを含んでいてもよく、ま
た、光学部品が基板に形成された光導波路を有するプレ
ーナ型光回路を含んでいても良い。
【0028】さらに、本発明に係わる発光デバイスで
は、実用的な観点から、回折格子の最大反射率Rmaxは
0.05以上であることが望ましい。発光デバイスの動
作が安定するからである。
【0029】更にまた、本発明に係わる発光デバイスで
は、半導体光増幅器の光反射面と光放出面との長さlは
0.35ミリメートル以下であることが好ましい。加え
て、回折格子の最大反射率Rmaxおよび上記の長さlが
Rmax≦−2.4×l+0.84であることが好まし
い。このような条件は、実用的に便利な条件である。
【0030】本発明に係わる発光デバイスに好適な回折
格子は、以下の形態をなすことができる。それぞれの回
折格子は、矩形状の反射スペクトルを実現するように規
定されている。
【0031】回折格子は、第1の位相で設けられた第1
の回折格子部、および前記第1の位相とπだけシフトさ
れた第2の位相で設けられた第2の回折格子部を含むこ
とができる。また、回折格子は、第2の位相とπだけシ
フトされた第3の位相で設けられた第3の回折格子部を
更に含むことができる。回折格子の位相が反転している
部分が3個を越えると、縦モード間隔が、所定の大きさ
の反射スペクトル幅より小さくなるので、位相の変化す
る位置の数は、2個以下である。
【0032】回折格子において、光導波路の光軸に沿っ
た屈折率分布n(Z)は、回折格子が形成された回折格子
部において光軸に沿った座標Zに関して、 n(Z)=nav+ng+M×sin(2πZ/Λ+θ) で表される。ここで、ngは光導波路の絶対屈折率であ
り、navは回折格子部の中心屈折率であり、Mは振幅関
数であり、θは位相である。Λは座標Zの2次以上の多
項式であることができる。
【0033】回折格子において、光導波路の光軸に沿っ
た屈折率分布n(Z)は、回折格子が形成された回折格子
部において光軸に沿った座標Zに関して、 n(Z)=nav+ng+M×sin(2πZ/Λ+θ) で表される。ここで、ngは光導波路の絶対屈折率であ
り、Λは回折格子の周期であり、Mは振幅関数であり、
θは位相である。navは回折格子部の中心屈折率が座標
Zの2次以上の多項式であることができる。
【0034】これらの多項式に関する条件は、矩形状の
反射スペクトルを実現するうえで好適である。
【0035】回折格子は、光導波路の光軸に沿って設け
られ屈折率変化の周期が異なる複数の回折格子部を有す
ることができる。また、回折格子部ごとに、異なる中心
屈折率の値を備えることもできる。
【0036】回折格子において、光導波路の光軸に沿っ
た屈折率分布n(Z)は、回折格子が形成された回折格子
部において光軸に沿った座標Zに関して、 n(Z)=nav+ng+M×sin(2πZ/Λ+θ) で表される。ここで、ngは光導波路の絶対屈折率であ
り、Mは振幅関数であり、Λは回折格子の周期であり、
θは位相である。回折格子が設けられた回折格子領域は
複数の回折格子部を有し、中心屈折率navは一定値であ
って、複数の回折格子部の各々においてそれぞれ異なる
ことができる。
【0037】回折格子の屈折率分布関数において、振幅
関数Mは定数であることができる。また、振幅関数Mに
座標依存性を与えると、反射スペクトルを矩形に近づけ
ることができる。振幅関数Mの絶対値は、少なくとも1
個の極小点を有することができる。これは、反射スペク
トルを矩形に近づけるために有効である。
【0038】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面を参照
しながら説明する。可能な場合には、同一の部分には同
一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0039】図2および図3を用いて、本発明の実施の
形態のファイバグレーティング光モジュールの構成につ
いて説明する。図2は、ファイバグレーティング光モジ
ュールの斜視図であり、その内部の様子が明らかになる
ように一部破断図になっている。図3は、ファイバグレ
ーティング光モジュール主要部10を表し、図2のI−
I断面における断面図である。
【0040】ファイバグレーティング光モジュール1
は、ハウジング12と、光モジュール主要部10とを備
える。ハウジング12は、図2に示された実施例では、
バタフライ型パッケージである。パッケージ12内の底
面上にファイバグレーティング光モジュールの主要部1
0が配置されている。パッケージ12は、光モジュール
主要部10を収納している本体部12a、光ファイバ1
4を主要部10に導く筒状部12b、および複数のリー
ドピン12cを備える。筒状部12bの先端からは光フ
ァイバ14が導入され、光ファイバ14は筒状部12b
の内部を通過してファイバグレーティングレーザモジュ
ールの主要部10に至る。複数のリードピン12cは、
パッケージ12の両側面に設けられている。
【0041】ファイバグレーティング光モジュールの主
要部10は、半導体光学素子16、18を搭載する搭載
部材22、24、26と、光ファイバ14を半導体光増
幅器16に光学的に結合させるために位置合わせ機構部
30とを備える。位置合わせ機構部30は、フェルール
32と、第1の支持部材34と、第2の支持部材36
と、第3の支持部材38と、を備える。
【0042】半導体光増幅器16は、チップキャリア2
2上に搭載されている。このため、半導体光増幅器22
の動作中に発生した熱は、チップキャリア22を伝導し
てペルチェ素子28に到達する。ペルチェ素子28は、
電流が流れると冷却素子として作動する。半導体光増幅
器16は、その第1の端面16aをパッケージ12の光
ファイバ挿入面に向けて配置されている。
【0043】半導体光増幅器16は、InGaAsPか
らなる活性層と、この活性層をその対向する2面におい
て挟み込むInPからなる2つのクラッド層とを半導体
基板上に備え、クラッド層の一方はP型半導体を有し、
他方はN型半導体を有する。半導体光増幅器16は、両
側のクラッド層から活性層にキャリアを注入し反転分布
を形成することによって誘導放出光を発生させる発光素
子である。活性層は、第1の端面16aと、第2の端面
16bとを備える。第1の端面16aの光反射率は第2
の端面の光反射率に比べて小さい。これを実現するため
に、第1の端面16aには低反射膜を形成し、0.1%
程度の反射率を達成している。一方、第2の端面16b
には高反射膜が形成を形成し、85%以上の反射率を達
成している。このため、第1の端面16aは光放出面と
なり、第2の端面16bは光反射面となる。
【0044】受光素子18、例えばフォトダイオード
は、チップキャリア26上に搭載されている。チップキ
ャリア26は、半導体光増幅器16の端面16aに対向
する端面16bと対面する位置にフォトダイオード18
が配置されるように、搭載部材24上に設けられてい
る。このフォトダイオード18は、半導体光増幅器16
の発光状態を監視するためのモニタ用フォトダイオード
として作動する。
【0045】光ファイバ14は、ファイバグレーティン
グ14a、および2個の端部14b、14cを有する。
端部14bは、半導体光増幅器16の第1の端面16a
から出射された光を集光可能なように先球加工されたレ
ンズ形状を有している。光ファイバ14には、レンズ形
状を有する一端部14bから所定の距離だけ離れたコア
部内の位置に回折格子(ファイバグレーティング)14
aが設けられている。このような回折格子14aを形成
するために好適な光ファイバは、酸化ゲルマニウムを含
むと共に所定の屈折率を有するコア部と、このコア部の
周囲に設けられたコア部よりも小さく屈折率を有するク
ラッド部を備える。そして、この光ファイバに紫外線を
照射することによって、コア部に屈折率の異なる領域を
複数の箇所に設けたものである。このような領域は、周
期的に設けられることが好ましい。このような回折格子
14aは、反射率、周期、回折格子長、等の特性値によ
って特徴付けられる。ファイバグレーティングは、これ
らの特性値を組み合わせて、所定の波長領域において反
射スペクトルを有するように設計される。
【0046】光ファイバ14は、フェルール32の一端
部から他端部に延びる貫通孔に、一端から挿入されてい
る。光ファイバの先端部14bは、フェルール32の他
端部から所定の長さだけ突出している。フェルール32
は、光ファイバの先端部14bが突出する端部から所定
の距離だけ離れた位置にて第1の支持部材34に固定さ
れている。フェルール32は、また、光ファイバ14が
挿入された一端部から所定の距離だけ離れた位置にて第
2の支持部材36に固定されている。第1の支持部材3
4および第2の支持部材36は、第3の支持部材38よ
ってに空間的に離れた位置に配置される。第3の支持部
材38は、第1の支持部材34から離間された位置に第
2の支持部材36が配置されることを可能にする部材で
ある。
【0047】図4は、図2および図3に示された光モジ
ュールの光学的な結合状態を示した模式図である。図4
に示された光モジュール主要部10では、半導体光増幅
器16の光反射面16bは受光素子18と対面し、光放
出面16aはファイバグレーティング14のレンズ化端
部14bと対面している。半導体光増幅器16の光放出
面16aおよび光反射面16bの間の距離はlである。
ファイバグレーティング14は、長さlgおよび光学的
距離Lgの回折格子14aを有する。ここで、光学的距
離とは、物理的距離に当該部分を伝播する光に対する実
効的な屈折率を乗じたものである。回折格子14aの前
端部と、半導体光増幅器16の光反射面16bとの間の
光学的距離はLaで表される。このLaは、半導体光増
幅器の長さlにこの半導体材料中の実効屈折率を乗じた
もの、半導体光増幅器の光放出面と光ファイバ14の入
射端面との間の距離に空気の屈折率を乗じたもの、およ
び光ファイバ14の端面と回折格子の前端部との距離に
光ファイバのコアの屈折率を乗じたもの、の3つを合計
した値である。光共振器は、光反射面16bと回折格子
14aとから構成される。
【0048】半導体光増幅器16の活性層16cにおい
て発生された光は、光放出面16aおよびレンズ化端部
14bを介して、ファイバグレーティング14に導入さ
れる。導入された光の一部は、回折格子14aを透過
し、残りの光は回折格子14aで反射される。反射され
た光は、レンズ化端部14bおよび光放出面16aを介
して、半導体光増幅器16に導入される。導入された光
は、活性層16cにおいて誘導放出を引き起こし光の増
幅が行われる。光反射面16bに到達し反射された光
は、進行方向を光放出面16aへ向ける。光反射面16
bを透過した光は、受光素子18に入射する。
【0049】図5は、図4と異なる構造を有する光モジ
ュール主要部11の光学的に結合の状態を示した模式図
である。この光モジュール主要部11の構造は、図2と
同様な構成によって実現される。図5に示された光モジ
ュール主要部11では、半導体光増幅器16の光反射面
16bは光ファイバ15のレンズ化端部15aと対面
し、光放出面16aはファイバグレーティング14のレ
ンズ化端部14bと対面している。
【0050】半導体光増幅器16の活性層16cにおい
て発生された光は、光放出面16aおよびレンズ化端部
14bを介して、ファイバグレーティング14に導入さ
れる。導入された光の一部は回折格子14aで反射さ
れ、回折格子14aを透過した光は光軸に対して傾斜し
た端面を有する端部を介して受光素子18へ入射する。
この反射された光は、レンズ化端部14bおよび光放出
面16aを介して、半導体光増幅器16に導入される。
導入された光は、活性層16cにおいて誘導放出を引き
起こし光の増幅が行われる。光反射面16bでは、到達
した光の一部が反射され信号の進行方向が光放出面16
aに向く。光反射面16bを透過した光は、光ファイバ
15のレンズ化端部15aを介して取り出される。
【0051】図6は、図4と異なる構造を有する光モジ
ュール主要部13の光学的に結合の状態を示した斜視図
である。図6に示された光モジュール主要部13は、搭
載部材25と、搭載部材25の主面25a上に配置され
た半導体光増幅器16および光回路基板17とを備えて
いる。光回路基板17は、第1および第2の端部19
b、19cを有する光導波路19と、この光導波路19
に設けられた回折格子19aとを有する。光モジュール
主要部13において、半導体光増幅器16の光放出面1
6aは光導波路19の一端部19bに対面している。光
共振器は、回折格子19aと光反射面16bとから構成
される。受光素子(図示せず)は、光導波路19の端部1
9cおよび光反射面16bの一方に対面し、発生された
光は、光導波路19の端部19cおよび光反射面16b
の他方から取り出される。
【0052】図6の光モジュール主要部13における光
の増幅は、図4および図5の光モジュール主要部と同様
に行われる。
【0053】次いで、図4を参照しながら外部共振器型
発光デバイスの縦モードに関して検討する。回折格子1
4aの前端部における入射波と反射波との位相差をφg
とし、半導体光増幅器16の光反射面16bにおける入
射波と反射波との位相差をφsとし、発生される光の波
長をλとすると、縦モードは、 2×La(λ)/λ+(φg(λ)+φs(λ))/(2×π)=m (1) ただし、mは任意の自然数を満たすλとなる。この条件
(共振条件)を満たす波長λは多数存在する。ここで考慮
すべき波長範囲は十分狭いので、Laおよびφsは一定で
あるとみなすことができる。一方、φgについては波長
依存性は無視できない。このとき、φgを計算するため
には、結合波理論から回折格子内の光の複素振幅を求め
る必要がある。この値からφgを計算することができ
る。特に、回折格子の反射率が小さく、且つ前後対称な
構造の回折格子では、φgを近似的に求めることがで
き、その反射位置は回折格子の中央、すなわち φg=(2πLg)/λ (2) となる。
【0054】図7(a)および図7(b)は、このように求
められた縦モードを回折格子の反射スペクトルとともに
示した図面である。これらの図面では、横軸に波長、縦
軸に反射スペクトルRの反射率が示され、反射スペクト
ルR内にはメイン縦モードλmおよび隣接縦モードλs
1、λs2が描かれている。図7(a)では、反射スペクト
ルR内にはメイン縦モードλmおよび隣接縦モードλs1
が描かれている。この場合には、回折格子の反射率が大
きいメイン縦モードλmが発振波長になる。図7(b)で
は、反射スペクトルR内には、反射率が等しい波長に縦
モードλ1、λ2が描かれている。この場合、両縦モード
λ1、λ2で発振するので、単一モードではない。このた
め、光ファイバ伝送時に分散の影響を受けて、波形がく
ずれやすくなる。
【0055】また、上記のように、出力光とモニタ光と
の比率が変動すると、出力波形は安定しなくなる。
【0056】このような現象を低減するために好適であ
ると、発明者が考える条件を導く。
【0057】まず、出力の変動に関する条件を検討す
る。半導体光増幅器の光反射面の反射率をR1とし、半
導体光増幅器と回折格子との間の結合効率も含めた回折
格子の反射率をR2および透過率T2とする。単位長さ当
たりの活性層内の平均フォトン密度をSとし、その角周
波数をωとし、活性層内における光の速度をvgとす
る。hはプランク定数である。定常状態であり、単一モ
ードで発振していると仮定する。このとき、半導体光増
幅器の光反射面からの光出力P1、回折格子を透過する
光出力をP2は、それぞれ以下のように表される。
【数7】
【数8】 ここで、光反射面における反射率および透過率はR1+
T1=1とした。
【0058】回折格子の反射率をRfg、透過率をTfg、
半導体光増幅器と光ファイバの結合効率をηとする。半
導体光増幅器の光放出面、およびこの光放出面に対面す
る光ファイバの端部、における反射は無いと仮定する
と、 R2=η2×Rfg (5) T2=η×Tfg=η×(1−Rfg) (6) となる。式(3)〜(6)より、回折格子を透過する光出力
と、半導体光増幅器の光反射面からの光出力との比f
は、
【数9】 となり、半導体光増幅器の光反射面の反射率R1および
回折格子の反射率Rfgのみを用いて表現される。
【0059】図8は、光反射面の反射率R1を0.1か
ら0.9まで0.1ステップで順次変化させて描いた9
本の特性が示されている。回折格子の最大反射率をRma
xとし、そのときの光出力比をfmaxとする。図8に示さ
れるように、比fはRfgに対して単調に減少する。この
ため、fの変動を10%以内に抑える条件は、 f≦1.1×fmax (8) であり、(7)式から、
【数10】 となる。この式を解くと、
【数11】 が得られる。図5の光モジュールに対しても同様な考え
方を採用すると、同じ条件である式(10)が導かれる。な
お、変動を10%以内にする理由は、「出力光とモニタ
光の比は、ストレイトライン(straight line)から±5
%を越えて変動すべきでない」という発明者の知見によ
るものである。ここで、ストレイトラインとは、横軸に
(モニタPD光出力に比例する)モニタPD電流、および
縦軸にモジュール光出力をプロットした場合に、駆動電
流を変化させたとき最大光出力の10%と90%との2
点を結ぶ直線を示す。
【0060】次いで、利得に関する条件を検討する。半
導体光増幅器について、利得係数をgとし、光反射面と
光放出面との距離をlとし、光伝搬損失をαとし、光反
射面の反射率をR1とする。回折格子の反射率をRfgと
し、半導体光増幅器と光ファイバの結合効率をηとす
る。このとき、損失を含んだ全利得Gは、
【数12】 となる。
【0061】メイン縦モード(発振波長)λmと隣接縦モ
ードλsとの間の利得差△Gは、λ1、λ2が十分近く、
g、α、R1、ηがそれぞれ一定とみなすと、
【数13】 となる。メイン縦モードと隣接縦モードとの利得差△G
が小さいと、レーザ光に占める隣接縦モードの割合が増
加し、伝送時に波形が乱れる。デジタル伝送では、この
波形の乱れを抑制するために、隣接する縦モード間の利
得差が5cm-1(=0.5mm-1)以上必要である。この
ため、(12)式より、 Rfg(λ2)≦exp(−l)Rfg(λ1) (13) となる。ここで、lの単位はミリメートルである。な
お、利得差が5cm-1以上必要である理由には、発明者
の知見によるものである。
【0062】引き続いて、このような条件を達成可能な
反射スペクトル、その反射スペクトルを実現できる回折
格子に関して検討する。
【0063】まず、図9(a)は、回折格子を示す図面で
ある。この回折格子は、光ファイバ14のクラッド部1
4eによって側面が覆われたコア部14dに形成されて
いる。回折格子領域は光ファイバ14の端部14bから
所定の位置に設けられている。回折格子領域は、光軸方
向に沿った振幅が一定の屈折率分布を示す回折格子を有
する。コア部14dの屈折率はngであり、回折格子領
域の屈折率は、コア部の屈折率より中心シフト量navだ
け大きな値である。回折格子領域は、一定周期T、一定
振幅Mの屈折率分布を有している。このような分布を表
す関数として、サイン関数、コサイン関数といった三角
関数、または、方形波を表す関数といった周期性を有す
る関数を採用することができる。
【0064】図9(b)は、図9(a)に示されたような一
様な屈折率分布の回折格子の反射スペクトルを示す図面
である。図9(b)では、回折波長λB=1550nmを
中心にして、回折格子長lg=2mmを有する回折格子
の反射スペクトルと、Laが3.3mmのときの縦モー
ド間隔が示されている。
【0065】発明者は、このような回折格子を有する光
ファイバを備える外部共振器型半導体レーザのレーザ出
力を安定させるには、式(10)と式(13)とを共に満た
す波長領域が縦モード間隔の0.75以上であることを
好適と考えている。その理由を以下に説明する。
【0066】まず、発明者は、外部共振器型半導体レー
ザの温度を変え、レーザの発振波長とレーザ出力とを測
定した。その結果を図10(a)および図10(b)に示
す。図10(a)から分かるように、レーザの温度を上げ
ていくとレーザの発振波長は増加する傾向にあるが、約
15℃、約27℃および約39℃では発振波長の低下が
見られる。このような発振波長の低下は、図7(b)に示
したように、隣接する2つの縦モードそれぞれの反射率
がほぼ等しくなるためであり、反射率以外の要因によっ
て発振すべきモードが決まる。このような状況では、図
10(b)に示すようにレーザ出力においても低下が観測
される。15℃においてこのような状態であったのが、
温度を上げていくと単一モードで発振するようになり、
27℃において再び同様の状態となる。すなわち、15
℃から27℃まで温度を上昇させた際に生じる発振波長
の変化分が縦モード間隔Δλということとなる。今、図
10(b)に着目すると、温度変化(すなわち波長変化)
に対してピーク光出力がほぼ安定化される領域のあるこ
とが分かる。この領域を温度に換算すると16℃から2
5℃に相当し、この温度範囲では、何らかの原因で発振
波長が変化した場合にも、出力を実用上の範囲で安定に
保ったまま波長を制御することができるという利点があ
る。
【0067】反射スペクトル内における発振可能な波長
領域に単一の縦モードが入るようにするには、式(10)
と式(13)とを共に満たす波長領域を縦モード間隔に対
して狭くすればよい。しかしながら、この波長領域があ
まりに狭い場合には、わずかに発振波長が変化しただけ
でも反射率が大きく変化してしまうので、光出力の安定
性に問題が生じることとなる。また、既に説明したよう
に、この波長領域にメイン縦モードが入っていれば、P
2/P1比の変動が所定の範囲となるように制御できる
ことを考慮すれば、この波長領域を狭くしてしまうのは
実用上好ましくない。そこで、発明者は、試行錯誤の結
果、外部共振器型半導体レーザが実用上好適に動作する
条件は、式(10)と式(13)とを共に満たす波長領域が
縦モード間隔の0.75以上であるという結論に達し
た。
【0068】このように、発明者は、式(10)および式(1
3)を共に満たす波長領域が縦モード間隔の75%以上で
あるという条件を好適であると考えている。そこで、次
に、発明者は、このような範囲を満たすl、Rmaxを導
き出すことを試みた。図11は、さまざまな割合に関し
てlおよびRmaxの関係を示している。75%以上の条
件を満たすための条件を図11に基づいて求めることが
できる。この結果、発明者は、実用的に十分な適用でき
る表式として、 Rmax≦−2.4×l+0.84 (14) が好適であることを見出した。
【0069】これまでの説明は、振幅が一定の屈折率分
布を有する回折格子について説明してきたけれども、式
(14)は、一般に、図12(a)に示されるようなガウスシ
アン・アポタイズ型の屈折率分布を有する回折格子に対
しても適用できる。図12(b)は、回折格子長lg=5
mm、ガウス関数の1/e2の幅は2mm、回折波長λB
=1550nmのとき図12(a)に示された屈折率分布
関数の反射スペクトルと、La=1.2mmでの縦モー
ド間隔とを例示的に示した図面である。
【0070】図12(b)で示される反射スペクトルは、
図9(b)で示される反射スペクトルと比較すると、反射
率の低い部分ではスペクトル形状が異なるものの、反射
率の高い縦モード間隔内ではほぼ同一のスペクトル形状
になっている。このことから判断すると、式(14)は、ガ
ウシアン・アポタイズ型の回折格子に対しても適用可能
である。
【0071】また、式(14)は、一般に、図13(a)に示
されるような屈折率の周期が一定の間隔で変化する回折
格子、つまり一定でチャープされた屈折率分布を有する
回折格子に対しても適用できる。図13(b)は、回折格
子長lg=2mm、平均回折波長λB=1550nm、チ
ャープ率0.2nm/mm、すなわち回折格子開始位置
での回折波長は1549.8nmであり回折格子終了位
置での回折波長は1550.2nm、であるとき図13
(a)に示された屈折率分布関数の反射スペクトルと、光
学的距離La=3.3mmでの縦モード間隔とを例示的
に示した図面である。図13(b)に示される反射スペク
トルは、図9(b)に示される反射スペクトルと比較する
と、縦モード間隔内ではほぼ同一のスペクトルとなって
いる。このため、式(14)は、このような回折格子に対し
ても適用できる。
【0072】図9(a)、図12(a)および図13(a)の
屈折率分布関数n(Z)について説明する。光ファイバに
紫外線照射によって形成される回折格子は、例えば、 n(Z)=ng+△np(Z)+△na(Z)[sin(2πZ/Λ+
θ)+1)] と表される。ここで、 ng:コア部の絶対屈折率 △np(Z):位相マスク無しで行われた紫外線照射による
屈折率上昇 △na(Z):位相マスクを介して行われた紫外線照射によ
る屈折率上昇 Λ:回折格子の周期 θ:位相 である。一般的には、sin関数は、座標Zに関する周期関
数fに置き換えることができる。Λは座標Zの関数とし
て拡張することができ、Λ(Z)=Λ0×H(Z)と表され
る。H(X)は周期変調関数となる。このとき、Λ(Z)、n
p(Z)、na(Z)のZに関する変化は、f(Z)の変化に比べて
十分に緩やかであると仮定する。以下、この式をまとめ
て以下のように示す。屈折率分布関数n(Z)は 回折格子部の領域 : nav(Z)+ng+M(Z)×f(Z) (15) 回折格子部以外の領域: ng (16) と表される。ここで、ngは光導波路、例えば、光ファ
イバの場合にはコア部、の絶対屈折率である。navは回
折格子領域における中心屈折率であり、図9(a)、図1
2(a)および図13(a)に示される例では一定の値であ
る。図9(a)、図12(a)および図12(a)の例では、
M(Z)は振幅関数であり、屈折率変化の振幅および包落
線を規定する。一様な振幅の回折格子では、M(Z)は一
定値M0である。Λが一定の場合には、f(Z)は周期関数
となり、回折波長を規定している。f(Z)=0を満たす
隣接する零点の間隔は一定であり、この2倍が周期に相
当する。図13(a)の例では、、M(Z)は座標Zに関して
一定の振幅関数であり、屈折率変化の包絡線を規定す
る。図13(a)に示されるような一定のチャープ率を有
する回折格子では、隣接する零点の距離は等差数列によ
って規定される。
【0073】図9(a)、図12(a)および図13(a)に
示された屈折率分布によって実現される反射スペクトル
が、それぞれ、図9(b)、図12(b)および図13(b)
に示されている。図9(b)においては、回折格子長lg
=2mm、回折波長λB=1550nmの場合について
求めた。図9(b)には、参考のために、光学的距離La
=3.3mmのときの縦モード間隔が示されている。図
12(b)においては、1/e2の幅が2mmであるガウ
シアン関数を採用して、回折格子長lg=5mm、回折
波長λB=1550nmの場合について求めた。図12
(b)では、参考のために、光学的距離La=1.2mm
のときの縦モード間隔が示されている。図13(a)にお
いては、回折格子長lg=2mm、回折波長λB=155
0nm、チャープ率が0.2nm/mmの場合について
求めた。
【0074】これまで検討してきた反射スペクトルは、
回折波長λBを中心に両側で減少する形状を有してい
た。理想的には、反射率は、縦モードの波長が変化して
も一定であることが好ましい。このためには、矩形の反
射スペクトルを実現しなければならない。矩形反射スペ
クトルは、式(10)を満足する。また、矩形反射スペクト
ルでは、反射スペクトル内に縦モードが1本のみ含まれ
るようにできれば、発振波長と、隣接する縦モードとに
おける反射率差を大きくできるので、式(13)も満足す
る。発明者は、反射スペクトルが矩形であれば、式(10)
および式(13)を満たしつつ、且つlおよびRmaxに対す
る選択の幅を広げることができることを見出した。この
ように様々なlおよびRmaxを採用できるようになる
と、注入電流に対する光出力など他のレーザ特性の観点
からの設計が容易になり、また最大反射率Rmaxを大き
くすることによって半導体光増幅器の光放出面での残留
反射の影響を相対的に減らすこと、等で、外部共振型半
導体レーザの出力の安定性をさらに高めることができ
る。
【0075】次いで、発明者は、上記のような特徴を備
えた矩形または矩形状の反射スペクトルを実現するため
に検討を進めた。矩形状の反射スペクトルを実現できる
回折格子の屈折率分布としては、図14(a)に示される
ような光軸に沿ってM(Z)=M0×sin(Z)/Z(以下、sinc
関数という)に従う振幅分布がある。但し、M0は定数と
する。図14(b)は、矩形の反射スペクトルを有する回
折格子を実現するために、sinc関数を適用した屈折率分
布を示す図面である。図14(b)では、座標軸Zの原点
は、M(Z)の最大値の位置に規定される。図14(b)で
は、図面を見やすくするために、f(Z)=sin(2πZ/Λ
+θ)に対応する屈折率変化は省略し、この包絡線を表
す振幅関数M(Z)を示している。このsinc関数では、図
14(a)から明らかなように、sin(Z)/Z=0を満たす
位置、つまりsin(Z)=0を満たす零点の前後においてM
(Z)=M0sin(Z)/Zの符号が反転する。これらの反転部
(零点)の位置は、図14(a)において矢印で示され、L
sは隣接する反転部間の光学的な距離を示している。sin
c関数を採用すると、図14(c)に示すような矩形反射
スペクトルが実現される。反転部では、sin(θ)=−sin
(θ+π)の関係から位相反転が生じたと考えることもで
きる。この意味で、反転部を位相反転部ともいう。
【0076】図15(a)〜図15(f)は、それぞれ、回
折格子の光学的長さLg=2Ls、4Ls、10Lsに対応
した振幅関数M(Z)の屈折率分布と、それによって実現
される反射スペクトルとを示している。
【0077】これら結果から、回折格子内に含まれる零
点の数が増えるにつれて反射スペクトルは図14(c)に
示された矩形に近づいていくことがわかる。一方、発明
者は、零点の数が多くなると、縦モード間隔よりも矩形
状反射スペクトルの幅が長くなる傾向になることを反射
スペクトルの観察から見出した。そこで、この点につい
てさらに検討を進めた。f(Z)によって規定される回折
波長λBとすると、スペクトル幅△λsは、結合波理論か
ら近似的に △λs=λB2/(2Ls) (17) と表される。sinc関数のような偶関数で表される屈折率
分布関数では、光共振器を構成する反射器の位置が回折
格子の中心にあるという近似できるので、縦モード間隔
△λは、近似的に △λ=λB2/(2La+Lg) (18) と表される。既に説明したように、式(10)及び式(13)を
同時に満たす波長領域の縦モード間隔に対する割合を大
きくするには、スペクトル幅は縦モード間隔とほぼ同じ
程度が好ましいので、△λs≒△λ、つまり、λB2/(2
Ls)≒λB2/(2La+Lg)となる。この式から、Laを
十分に小さく、つまり、いかに半導体光増幅器の光反射
面から回折格子までの光学的距離Laを短くしても、L
g〜2×Ls程度である。この結果、屈折率分布には、位
相反転部は最大でも2個までしか含めることができない
ことが分かった。この結果を導くに当たり、回折格子が
低反射率であるという近似を用いたけれども、導かれた
結果は高反射率の場合にも適用できると発明者は考えて
いる。
【0078】以上のような検討の結果、振幅関数M(Z)
が有する零点は多くても2個までとなる。3個以上にな
ると、反射スペクトルの幅が隣接縦モード間隔よりも大
きくなってしまうからである。
【0079】このような検討を基づいて、発明者は、理
想的な矩形反射スペクトルに近い矩形状反射スペクトル
を得るために様々な試行錯誤を行った。これらの内で好
ましい結果を得たいくつかの振幅関数M(Z)およびδλB
(Z)を例示しながら説明する。ここで、δλB(Z)は、回
折格子全体の平均回折波長λgを基準にした回折格子内
の各点Zにおける回折波長のズレ量を表している。回折
格子部の平均屈折率がn0=ng+naとすると、 δλB(Z)=2×nav×Λ(Z)−λB (19) である。回折格子の反射特性は、M(Z)およびδλB(Z)
から決定される。図16(a)および図16(b)、図16
(a)および図16(b)、図16(a)および図16(b)、
図17(a)および図17(b)、図18(a)および図18
(b)、図19(a)および図19(b)、図20(a)および
図20(b)、図21(a)および図21(b)、図22(a)
および図22(b)、並びに図23(a)および図23(b)
おいて、座標軸Zの原点は、回折格子領域の一端に合わ
せて規定されている。以下、図16(a)〜図19(c)に
おいては、回折格子長lg=5mmである。特に、図1
6(b)、図17(b)、図18(b)および図19(b)で
は、δλB(Z)=0であるので、λB=2×nav×Λ0=1
550nmである。屈折率分布関数n(Z)は、 回折格子の領域 :nav+ng+M(Z)×sin(2πZ/Λ0+θ) (20) 回折格子以外の領域:ng (21) と表される。
【0080】図16(a)では、回折格子領域において振
幅関数M(Z)は2個の符号変化点(零点)を有する。この
位置では、f(Z)によって表される屈折率変化の位相が
反転している。回折格子領域の両端部からそれぞれ長さ
l1の第1の部分および長さl2の第2の部分において、
負の値の一定値(−A)を有している。第1の部分および
第2の部分に挟まれる第3の部分において、正の値に一
定値(A)を有している。図16(a)では、回折格子が中
心位置に関して屈折率分布n(Z)が対称になる分布を示
したが、l1≠l2であってもよい。屈折率分布は、この
ような振幅を有する振幅関数M(Z)、並びに図16(b)
に示されるような回折波長λBに対応する一定周期の関
数f(Z)によって規定される。このような屈折率分布関数
が示す反射スペクトルを図16(c)に示す。この反射ス
ペクトルは、中央部分のほぼ矩形の第1のピーク、この
ピークの左右にそれぞれ隣接し順次小さくなる複数のサ
イドピークとを有する。
【0081】図17(a)では、回折格子領域において振
幅関数M(Z)は、回折格子領域の両端部からそれぞれ長
さl1の第1の部分および長さl2の第2の部分におい
て、負の値の一定値(−A)を有している。第1の部分お
よび第2の部分のそれぞれの内側にM0=0(一定の屈折
率nav)である長さl3の第3の部分および長さl4の第
4の部分を有し、第3および第4の部分に挟まれた第5
の部分において、正の値に一定値(A)を有している。こ
れも、回折格子の中心位置に関して非対称、つまりl1
≠l2およびl3≠l4であってもよい。このような振幅
を有する振幅関数、M(Z)並びに回折波長λBに対応する
一定周期の関数f(Z)によって屈折率分布が規定される。
このような屈折率分布関数が示す反射スペクトルを図1
7(c)に示す。この反射スペクトルは、中央部分に図1
6(a)よりも矩形に近い矩形の第1のピーク、このピー
クの左右にそれぞれ隣接し順次小さくなる複数のサイド
ピークとを有する。各サイドピークは、図16(c)のサ
イドピークに比べて小さくなっている。
【0082】図18(a)では、回折格子領域において振
幅関数M(Z)は2個の符号が変化する点(零点)を有す
る。回折格子領域において振幅関数M(Z)は、回折格子
領域の両端部において所定の値Aから中央に向けて単調
に変化し、回折格子内の中心で極値をとる曲線で表され
る。このような曲線は上に凸または下に凸の曲線にな
る。曲線は各点において滑らか(連続かつ微分可能)であ
る。この分布では、回折格子が中心位置に関して対称に
なる。このような屈折率分布関数が示す反射スペクトル
を図18(c)に示す。この反射スペクトルは、中央部分
に図17(c)よりも矩形に近い第1のピーク、このピー
クの左右にそれぞれ隣接し順次小さくなる複数のサイド
ピークとを有する。各サイドピークは、図17(c)のサ
イドピークに比べて小さくなっている。
【0083】図19(a)では、回折格子部において振幅
関数M(Z)は1個の符号が変化する点(零点)を有する。
回折格子領域において振幅関数M(Z)は、回折格子領域
の一端において値A1、他端において値A2(≠A1)を
とり、これらの値から内側に向けて単調に変化し、回折
格子内のある点で極値をとる曲線で表される。曲線は各
点において滑らか(連続かつ微分可能)である。回折格子
が中心位置に関して非対称になる。このような曲線は上
に凸または下に凸の曲線になる。このような屈折率分布
関数が示す反射スペクトルを図18(c)に示す。この反
射スペクトルは、中央部分のほぼ矩形の第1のピーク、
このピークの左右にそれぞれ隣接し順次小さくなる複数
のサイドピークとを有する。各サイドピークは、図18
(c)のサイドピークとほぼ同じ程度に小さくなってい
る。
【0084】図20(a)〜図23(c)は、δλB(Z)が座
標依存性を有する場合について検討した結果である。こ
の座標依存性は、nav(Z)またはΛ(Z)、およびこれらの
両方を通して導入される。
【0085】すでに、図13(a)および図13(b)に示
したように、振幅が一定であり、δλB(Z)がZの一次関
数となる屈折率分布(一定チャープ)の場合には、反射ス
ペクトルは矩形状にならない。この分布に対して、さら
に振幅に座標依存性を導入してもやはり、矩形状反射ス
ペクトルは得られない。
【0086】図20(a)では、回折格子部において振幅
関数Mは一定である。図20(b)では、δλB(Z)は、Z
の6次の多項式で表される。回折格子領域の中心に関し
て対称である。このような屈折率分布関数が示す反射ス
ペクトルを図20(c)に示す。この反射スペクトルは、
中央部分のほぼ矩形の第1のピーク、このピークの左右
にそれぞれ隣接して複数のサイドピークとを有する。
【0087】図21(a)では、回折格子領域において振
幅関数M(Z)は2点において零点(極小点)を有する。こ
れらの零点を境に両側において単調の増加している。振
幅関数は、2個の極小点の間では、極大値を持つ滑らか
な凸曲線となる。極小点は零点であるが、その位置では
位相の反転はない。図21(b)では、δλB(Z)は、Zの
2次の多項式で表される。回折格子領域の中心に関して
対称である。このような屈折率分布関数が示す反射スペ
クトルを図21(c)に示す。この反射スペクトルは、中
央部分のほぼ矩形の第1のピーク、このピークの左右に
それぞれ隣接し順次小さくなる複数のサイドピークとを
有する。各サイドピークは、図20(c)のサイドピーク
に比べて小さくなっている。
【0088】図22(a)では、回折格子部において振幅
関数M(Z)は図21と同一の特徴を有する。図22(b)
では、δλB(Z)は、Zの3次の多項式で表される。回折
格子領域の中心に関して点対称である。このような屈折
率分布関数が示す反射スペクトルを図22(c)に示す。
この反射スペクトルは、中央部分のほぼ矩形の第1のピ
ーク、このピークの左右にそれぞれ隣接し順次小さくな
る複数のサイドピークとを有する。各サイドピークは、
図21(c)のサイドピークに比べて小さくなっている。
【0089】このように、δλB(Z)がZの2次以上のN
次多項式で表されると、矩形状の反射スペクトルを得る
ことができる。これらのδλBは、Zに関する連続関数で
表現されている。
【0090】図23(a)では、回折格子領域において振
幅関数M(Z)は図20と同一の特徴を有する。図23
(b)では、δλB(Z)は、ステップ形状を示す。図20
(b)、図21(b)に示された屈折率分布が回折格子領域
の中心に関して偶関数で表され、図22(b)に示された
屈折率分布が回折格子の中心に関して奇関数で表される
が、図23(b)に示される屈折率分布は、回折格子領域
の中心に関して非対称である。このような屈折率分布関
数が示す反射スペクトルを図23(c)に示す。この反射
スペクトルは、中央部分のほぼ矩形の第1のピーク、こ
のピークの左右にそれぞれ隣接し順次小さくなる複数の
サイドピークとを有する。図23(b)では、回折格子領
域は、3個の部分に分かれ、それぞれの部分では一定の
回折波長を有し、それぞれの回折格子部は隣接する回折
格子部と異なる回折波長を有する。
【0091】以上説明したような連続的にδλB(Z)の変
化する屈折率分布の回折格子を光ファイバのコア部に形
成する方法について説明する。
【0092】図24は、回折格子の作製方法の概略を示
す図面である。図24では、エキシマレーザといったレ
ーザ装置50からの出射光52は、反射鏡54に反射さ
れて位相マスク56に導かれる。位相マスク56と反射
鏡54との間には、スリット58が配置されている。回
折格子が書き込まれれるべき光ファイバ60が、位相マ
スク56に近接して配置されている。このため、位相マ
スク56の±1次の回折光の干渉縞に対応する屈折率分
布が光ファイバ60の所定の領域に書き込まれ、回折格
子部が形成される。
【0093】レーザ装置50を動作させレーザ光52を
取り出しスリット58を介して光ファイバ60に照射す
る。このとき、光ファイバ60に対するスリット58の
相対的な移動速度を一定にすると、図25(a)に示され
るような屈折率分布の回折格子が書き込まれる。この分
布では、中心屈折率navが上に凸の曲線であり、中心に
関して対称である。スリット58の移動速度を変化させ
ると、移動速度の変化に応じて光ファイバ60の光照射
部分への光照射量が変化する。このため、移動速度を調
整することによって、例えば図25(b)のような所望の
屈折率分布を設けることが可能になる。この後、位相マ
スク56を取り外して、スリット58を移動させながら
レーザ光52を追加照射すると、図25(c)に示される
ような、中心屈折率navが一定になるような屈折率分布
を得ることができる。
【0094】図26(a)に示すような位相がシフトされ
た位相マスク62を用いると、振幅関数M(Z)が符号を
反転するような点(位相反転部)を回折格子内に形成する
ことができる。このような位相マスク62には、図26
(b)に示すような振幅関数M(Z)を実現するために好適
である。
【0095】また、別の方法を説明する。一定の周期変
化を持つ回折格子を形成する場合と同様に1回目の光照
射を行う。位相マスクを取り外して行う2回目の光照射
で、振幅関数の位相が反転されるべき位置に50μm程
度のスポットサイズのレーザ光を過剰に照射すると、照
射部分の光路長が局部的に増加する。このため、光の位
相を半波長シフトさせることができ、これによって回折
格子の位相反転と同様な作用を持たせることができる。
【0096】δλB(Z)をZの2次以上の多項式として光
ファイバに作り込むためには、屈折率分布の周期Λに座
標依存性を持たせる方法と、中心屈折率navに座標依存
性を持たせる方法とが考えられる。前者を実現する方法
では、図27(a)に示されるようなδλB(Z)の変化に対
応したパターン、すなわちパターンの周期Λm(Z)が2Λ
(Z)となる位相マスク64を使用し、さらにnavが一定
となるように2回目の光照射を行うことによって、図2
7(b)に示すようなδλB(Z)を実現する方法がある。後
者を実現するための方法では、位相マスク56を取り外
して行う追加照射の光量を調節し中心屈折率navを変更
する方法がある。
【0097】これまでの説明では、δλB(Z)をZの2次
以上の多項式として実現する方法を示したが、図23
(b)に示されるステップ状のδλB(Z)も同様な方法で実
現できる。
【0098】上記の方法は、光ファイバに回折格子を形
成する方法について説明したが、石英基板の導波路を形
成する場合についても同様に適用可能である。
【0099】ガラス基板もしくは半導体基板の導波路に
回折格子を形成するためには、DFB(分布帰還型)半導
体レーザのように、導波路または導波路の近傍に屈折率
の異なる部分を周期的に埋め込み、導波路と光学的に結
合させる方法がある。これらの方法においても、位相反
転の実現、および2次以上の多項式であるδλB(Z)の実
現は、それらに対応するマスクを採用することによって
行う。また、光軸方向に沿ってドーパント濃度に分布を
持たせることによっても、中心屈折率分布および屈折率
の振幅分布を備えた回折格子を作製可能になる。
【0100】
【発明の効果】以上説明したように本発明の発光デバイ
スに従えば、使用される回折格子の反射スペクトルに関
して、理想的には矩形スペクトルばかりでなく、実用的
に重要な矩形状反射スペクトルにも適用できレーザの出
力を安定させることができる条件を導き出した。また、
その条件に従う矩形状反射スペクトルを実現できる屈折
率分布を明らかにした。このような反射スペクトルを得
るための回折格子の作製方法では、露光の回数は、数回
程度と少ない回数で実用的な反射スペクトルを得ること
ができる。したがって、レーザ出力の安定性を改善でき
る発光デバイスが提供された。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は、思考実験のための外部共振器型レ
ーザの主要部を示す模式図である。図1(b)は、図1
(a)の外部共振器型レーザに含まれる回折格子の反射ス
ペクトルと、縦モードのうちのメイン縦モードλmと、
メイン縦モードλmに隣接するサイド縦モードλs1、λs
2とを示す模式図である。
【図2】図2は、ファイバグレーティング光モジュール
の斜視図である。
【図3】図3は、ファイバグレーティング光モジュール
の主要部を表し図1にI−I断面における断面図であ
る。
【図4】図4は、図1および図2に示された光モジュー
ルの光学的に結合の状態を示した模式図である。
【図5】図5は、別の構造を有する光モジュール主要部
の光学的に結合の状態を示した模式図である。
【図6】図6は、別の構造を有する光モジュール主要部
の光学的に結合の状態を示した斜視図である。
【図7】図7(a)および図7(b)は、縦モードを反射ス
ペクトルと共に示した図面である。
【図8】図8は、光反射面の反射率R1を0.1から
0.9まで0.1ステップで順次変化させて描かれた特
性図である。
【図9】図9(a)は、光ファイバのコア部に形成された
回折格子を示す図面である。図9(b)は、図9(a)に示
されたような一様な屈折率分布の回折格子の反射スペク
トルを示す図面である。
【図10】図10(a)は、式(10)と式(13)とを共に満た
す波長領域が縦モード間隔の75%である外部共振器型
半導体レーザの発振波長の温度依存性を示す図面であ
る。図10(b)は、式(10)と式(13)とを共に満たす波長
領域が縦モード間隔の75%であある外部共振器型半導
体レーザのピーク光出力の温度依存性を示す図面であ
る。
【図11】図11は、種々の割合に関してlおよびRma
xの関係を示す特性図である。
【図12】図12(a)は、ガウシアン・アポタイズ型の
屈折率分布を示す特性図である。図12(b)は、図12
(a)に示された屈折率分布関数の反射スペクトルを示し
た図面である。
【図13】図13(a)は、一定のチャープ型の屈折率分
布を示す特性図である。図13(b)は、図13(a)に示
された屈折率分布関数形の反射スペクトルを示した図面
である。
【図14】図14(a)は、sinc(X)=sin(X)/Xの概形を
示す図面である。図14(b)は、矩形の反射スペクトル
を有する回折格子を実現するために、sinc関数を適用し
た屈折率分布を示す図面である。図14(c)は、sinc関
数を適用して得られる矩形反射スペクトルを示す特性図
である。
【図15】図15(a)〜図15(f)は、それぞれ、Lg
=2Ls、4Ls、10Lsに対応した振幅関数M(Z)の屈
折率分布と、それによって実現される反射スペクトルを
示す図面である。
【図16】図16(a)は、振幅関数M(Z)と屈折率分布
とを関連付けて示した図面である。図16(b)は、δλ
Bの特性を示した図面である。図16(c)は、このよう
な屈折率分布関数が示す反射スペクトルを示す図面であ
る。
【図17】図17(a)は、振幅関数M(Z)と屈折率分布
とを関連付けて示した図面である。図17(b)は、δλ
Bの特性を示した図面である。図17(c)は、このよう
な屈折率分布関数が示す反射スペクトルを示す図面であ
る。
【図18】図18(a)は、振幅関数M(Z)を示した図面
である。図18(b)は、δλBの特性を示した図面であ
る。図18(c)は、このような屈折率分布関数が示す反
射スペクトルを示す図面である。
【図19】図19(a)は、振幅関数M(Z)を示した図面
である。図19(b)は、δλBの特性を示した図面であ
る。図19(c)は、このような屈折率分布関数が示す反
射スペクトルを示す図面である。
【図20】図20(a)は、振幅関数M(Z)を示した図面
である。図20(b)は、δλBの特性を示した図面であ
る。図20(c)は、このような屈折率分布関数が示す反
射スペクトルを示す図面である。
【図21】図21(a)は、振幅関数M(Z)を示した図面
である。図21(b)は、δλBの特性を示した図面であ
る。図21(c)は、このような屈折率分布関数が示す反
射スペクトルを示す図面である。
【図22】図22(a)は、振幅関数M(Z)を示した図面
である。図22(b)は、δλBの特性を示した図面であ
る。図22(c)は、このような屈折率分布関数が示す反
射スペクトルを示す図面である。
【図23】図23(a)は、振幅関数M(Z)を示した図面
である。図23(b)は、δλBの特性を示した図面であ
る。図23(c)は、このような屈折率分布関数が示す反
射スペクトルを示す図面である。
【図24】図24は、回折格子の作製方法の概略を示す
図面である。
【図25】図25(a)は、位相マスクを介して一定のス
リット速度でレーザ光を照射した後の屈折率分布を示す
図面である。図25(b)は、スリット速度を調整して、
振幅に分布を施した屈折率分布を示す中心屈折率navが
一定になるように追加照射を行った屈折率分布を示す図
面である。図25(c)は、中心屈折率navが一定になる
ように追加照射を行った屈折率分布を示す図面である。
【図26】図26(a)は、振幅関数M(Z)が符号を反転
するような点を有する屈折率分布を形成するための位相
マスクを示す図面である。図26(b)は、図26(a)の
位相マスクによって実現される振幅関数M(Z)を示す図
面である。
【図27】図27(a)は、δλB(Z)に変化を与えるよう
に設けられたパターンの位相マスクを示す図面である。
図27(b)は、図27(a)の位相マスクによって実現さ
れるδλB(Z)を示す図面である。
【符号の説明】
1…ファイバグレーティング光モジュール、12…ハウ
ジング、10…光モジュール主要部、14…光ファイ
バ、16、18…半導体光学素子、22、24、26…
搭載部材、28…ペルチェ素子、30…位置合わせ機構
部、32…フェルール、34…第1の支持部材、36…
第2の支持部材、38…第3の支持部材、50…レーザ
装置、52…レーザ光、54…反射鏡、56、62、6
4…位相マスク、58…スリット、60…光ファイバ、
62…位相マスク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 隆志 神奈川県横浜市栄区田谷町1番地 住友電 気工業株式会社横浜製作所内 (72)発明者 茂原 政一 神奈川県横浜市栄区田谷町1番地 住友電 気工業株式会社横浜製作所内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一端部および他端部を有する光導波路、
    および前記光導波路に設けられた回折格子を含む光学部
    品と、 前記光学部品の前記一端部に光学的に結合された光放出
    面、および光反射面を有する半導体光増幅器と、を備
    え、 前記光学部品および前記半導体光増幅器の相対的な配置
    は固定されており、 光共振器は、前記半導体光増幅器の光反射面と前記光学
    部品の回折格子とを含み、縦モードの間隔は、前記光共
    振器の光学的な長さと関連しており、 前記光共振器における隣接する縦モード間の縦モード間
    隔は、前記回折格子の反射スペクトルの反射率Rに関す
    る 【数1】 を満たす連続した波長領域の幅より大きく、前記回折格
    子は、最大反射率がRmaxの反射スペクトルを有し、 前記波長領域に含まれる縦モードのうちのメイン縦モー
    ドの波長における前記回折格子の反射率Rm、前記メイ
    ン縦モードに隣接するサイド縦モードの各波長における
    前記回折格子の反射率Rs1、Rs2、および前記半導体光
    増幅器の光反射面と光放出面との距離をミリメートル単
    位で表したlに関して、 【数2】 【数3】 が満たされ、さらに前記波長領域の幅が、前記縦モード
    間隔の0.75倍以上である、発光デバイス。
  2. 【請求項2】 前記光共振器の外側に配置され、前記光
    反射面および前記光導波路の前記他端部のいずれかと光
    学的に結合するように設けられた受光素子を更に備え
    る、請求項1に記載の発光デバイス。
  3. 【請求項3】 前記受光素子は、前記半導体光増幅器を
    制御するための電気信号を受けた光から生成することが
    でき、前記半導体光増幅器は前記電気信号に基づいて制
    御されることができ、 これによって P2/P1≦1.1・fmax の関係が満たされ、P1は前記受光素子が受ける光パワ
    ーであり、P2は当該発光デバイスからの出力パワーで
    あり、fmaxは、Rmaxに対応する波長において発光する
    ときのP1に対するP2の比である、請求項2に記載の
    発光デバイス。
  4. 【請求項4】 前記回折格子の最大反射率Rmaxは0.
    05以上である、請求項1から3のいずれかに記載の発
    光デバイス。
  5. 【請求項5】 前記半導体光増幅器の光反射面と光放出
    面との間の長さlは0.35ミリメートル以下であり、
    前記回折格子の最大反射率Rmaxおよび前記半導体増幅
    器の長さlは、 Rmax≦−2.4×l+0.84 の関係を満たす、請求項1から4のいずれかに記載の発
    光デバイス。
  6. 【請求項6】 前記回折格子は、第1の位相で設けられ
    た第1の回折格子部、および前記第1の位相とπだけシ
    フトされた第2の位相で設けられた第2の回折格子部を
    含む、請求項1から5のいずれかに記載の発光デバイ
    ス。
  7. 【請求項7】 前記回折格子は、前記第2の位相とπだ
    けシフトされた第3の位相で設けられた第3の回折格子
    部を更に含む、請求項1から5のいずれかに記載の発光
    デバイス。
  8. 【請求項8】 前記光導波路の光軸に沿った屈折率分布
    n(Z)は、前記回折格子が設けられた回折格子部におい
    て前記光軸に沿った座標Zに関して、 n(Z)=nav+ng+M×sin(2πZ/Λ+θ) で表され、ここで、ngは光導波路の絶対屈折率であ
    り、navは回折格子部の中心屈折率であり、Mは振幅関
    数であり、θは位相であり、Λは座標Zに関する2次以
    上の多項式である、請求項1から5のいずれかに記載の
    発光デバイス。
  9. 【請求項9】 前記光導波路の光軸に沿った屈折率分布
    n(Z)は、前記回折格子が設けられた回折格子部におい
    て前記光軸に沿った座標Zに関して、 n(Z)=nav+ng+M×sin(2πZ/Λ+θ) で表され、ここで、ngは光導波路の絶対屈折率であ
    り、Λは回折格子の周期であり、Mは振幅関数であり、
    θは位相であり、navは回折格子部の中心屈折率であ
    り、座標Zに関して2次以上の多項式である、請求項1
    から5のいずれかに記載の発光デバイス。
  10. 【請求項10】 前記回折格子は、前記光導波路の光軸
    に沿って設けられ屈折率変化の周期が異なる複数の回折
    格子部を有する、請求項1から5のいずれかに記載の発
    光デバイス。
  11. 【請求項11】 前記光導波路の光軸に沿った屈折率分
    布n(Z)は、前記回折格子が設けられた回折格子部にお
    いて前記光軸に沿った座標Zに関して、 n(Z)=nav+ng+M×sin(2πZ/Λ+θ) で表され、ここで、ngは光導波路の絶対屈折率であ
    り、Mは振幅関数であり、Λは前記回折格子の周期であ
    り、θは位相であり、前記回折格子が設けられた回折格
    子領域は複数の回折格子部を有し、中心屈折率navは一
    定値であって、前記複数の回折格子部の各々においてそ
    れぞれ異なる、請求項1から5のいずれかに記載の発光
    デバイス。
  12. 【請求項12】 前記振幅関数Mは、その絶対値におい
    て少なくとも1個の極小点を有する、請求項8、9、及
    び11のいずれかに記載の発光デバイス。
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