JP2001076656A - X線管 - Google Patents

X線管

Info

Publication number
JP2001076656A
JP2001076656A JP25584699A JP25584699A JP2001076656A JP 2001076656 A JP2001076656 A JP 2001076656A JP 25584699 A JP25584699 A JP 25584699A JP 25584699 A JP25584699 A JP 25584699A JP 2001076656 A JP2001076656 A JP 2001076656A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electron
target
ray
ray tube
electron beam
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP25584699A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshiaki Tsuburaya
喜明 円谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Healthcare Manufacturing Ltd
Original Assignee
Hitachi Medical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Medical Corp filed Critical Hitachi Medical Corp
Priority to JP25584699A priority Critical patent/JP2001076656A/ja
Publication of JP2001076656A publication Critical patent/JP2001076656A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • X-Ray Techniques (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】より小さい焦点寸法で、より大きいX線管電流
が得られ、かつ平行なX線ビームを発生することができ
る産業用X線管を提供する。 【解決手段】X線管は、絶縁物からなる二等辺三角形状
の外囲器1と、その頂点部に封着された電子銃(陰極)2
と、その底辺部に、電子銃2と対向して封着されたター
ゲット部(陽極)3とから成り、外囲器1内は真空に保持さ
れる。電子銃2はCRT用電子銃と同様にカソードと複数個
のグリッド電極から成り、この中で電子ビーム5は加
速、集束される。ターゲット部3は薄くて細い帯状のタ
ーゲット板15とこれを支持するターゲット支持部16とか
ら成る。電子銃2を出た電子ビーム5は外囲器1のネック
部11に配置された偏向コイル4によって、偏向、走査さ
れ、ターゲット板15上に帯状の焦点を形成し、この焦点
から電子ビーム5の進行方向に帯状のX線ビーム8を放射
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非破壊検査などに
使用される帯状焦点を持つX線管に係り、特に焦点幅が
狭く、かつ大電流を流すことができる産業用X線管に関
する。
【0002】
【従来の技術】X線管は、真空に保持された外囲器内
に、負電位を持つ陰極と、この陰極に対向して配置さ
れ、正電位を持つ陽極を備えている。陰極と陽極との間
は10〜30mmの間隙がとられ、両電極の間には数十kVから
数百kVの高電圧が印加される。陰極は、熱電子を放出す
るコイル状のフィラメントと、熱電子を陽極の焦点(X
線源)に集束するための集束溝を有する集束電極と、こ
の集束電極を絶縁支持する集束電極支持部などから成
る。陽極は陰極から放出された熱電子流(電子ビーム)を
受けてX線を放射するターゲット、このターゲットを支
持し、ターゲットで発生した熱を放射するターゲット支
持部などから成る。また、外囲器は、ガラスまたはセラ
ミックなどの耐熱性絶縁物か、この耐熱性絶縁物と金属
との組合せから成る。
【0003】陰極においては、集束電極の陽極と対向す
る面側に設けられた集束溝にフィラメントが配設されて
いる。陽極においては、通常X線の放射方向がX線管の
管軸と直交する方向になっているため、ターゲットの焦
点面は管軸に対して60〜80度傾けて配置されている。X
線管の焦点寸法としては、X線放射方向から見た焦点の
大きさを実効焦点寸法とよんでいる。このとき、管軸に
直交する方向の寸法を焦点幅寸法、管軸に平行な方向の
寸法を焦点長さ寸法と呼んでいる。
【0004】陰極のフィラメントは、その長手方向がタ
ーゲットの焦点面の傾斜方向になるように、集束電極溝
に配置される。フィラメントと焦点寸法との対応は、フ
ィラメントの長手方向が焦点長さ寸法に、フィラメント
のコイル面方向が焦点幅寸法に対応する。JIS(日本工業
規格)などに規定されるX線管焦点の許容寸法を達成す
るためには、フィラメントを集束電極の集束溝に取り付
ける際の寸法精度としては、フィラメントの取り付け深
さや取り付け高さなどの寸法に関し、0.05mm以下の精度
で取り付けを行う必要がある。
【0005】X線管は、使用動作中に陰極と陽極との間
に百数十kVの高電圧が印加され、陰極のフィラメントか
ら放出された電子ビームが高電圧で加速され、かつ集束
電極によって形成される集束電界によって集束されて、
ターゲットの焦点に衝突し、X線を発生する。このX線
は通常管軸と直交方向の焦点の前面に設けられたX線放
射窓を通してX線管の外部に取り出されて、種々の目的
に利用される。
【0006】上記においては、X線管の陰極の構造例と
して、種々のX線管に汎用されている集束電極の例につ
いて説明したが、他の例として特開昭59-94349号公報に
開示された公知例がある。この公知例は、帯状のX線を
発生させるためのX線管に関するものである。このX線
管では、陰極と陽極の間に電子ビームを偏向するための
偏向コイルを配置し、この偏向コイルによって陰極から
の電子ビームを、その進行方向と直交する方向に偏向し
て、帯状のターゲットを電子走査することにより、帯状
のX線を発生している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来のX線管を用いた
非破壊検査においては、X線管のX線放射範囲が限定さ
れているため、X線を被検体全体に対して曝射しようと
すると、X線管と被検体との間に、200〜1,000mm程度の
距離が必要となる。このため、非破壊検査装置全体が大
型化している。
【0008】これに対し、上記の特開昭59-94349号公報
に開示されたX線管を適用した場合、X線管と被検体と
の間の距離を、被検体の大きさに対応して決定すること
ができ、非破壊検査装置全体としては小型化が可能とな
る。しかし、この場合、陰極として従来の集束電極の構
造を採用しているので、これを偏向し、走査しようとす
ると、加速電圧が陰極と陽極の全領域にかかるため、電
子ビームが広がり、焦点寸法が大きくなってしまい、X
線管電流の小さい範囲でしか使用できないという問題が
ある。
【0009】このため、本発明では、X線管の陰極を改
良し、より小さい焦点寸法で、より大きいX線管電流が
得られ、かつ平行なX線ビームを発生することができる
産業用X線管を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明のX線管は、電子ビームを放出する陰極と、
該電子ビームを受けて帯状のX線ビームを発生する陽極
のターゲット部と、前記陰極と前記ターゲット部が対向
する位置に配置されるように絶縁、支持し、両電極を真
空気密に封入する外囲器とから構成され、前記陰極の近
傍に配置された偏向コイルによって、前記電子ビームが
該電子ビームの進行方向とほぼ直交する方向に偏向され
て、前記ターゲット板上に帯状の焦点(X線源)を形成す
るX線管において、前記陰極が、電子ビームを放出する
カソードと、該電子ビームを加速、集束する複数個のグ
リッドとから構成される電子銃を具備するものである
(請求項1)。
【0011】この構成では、陰極から放出される電子ビ
ームは、偏向される以前に電子銃内で加速、集束される
ので、偏向コイルによって偏向された後の電子ビームの
広がりは小さく、この電子ビームのターゲット部への衝
突によって小さい焦点が得られる。また、この電子ビー
ムが偏向コイルで偏向、走査されるので、ターゲット部
には幅の狭い帯状の焦点が形成され、帯状の平行なX線
ビームが得られる。
【0012】本発明のX線管では更に、前記ターゲット
部が前記電子ビームの偏向方向に長辺を有する長方形で
薄板状のターゲット板と、該ターゲット板の外周に接合
され、該ターゲット板を支持するターゲット支持部とか
ら成り、前記ターゲット板に前記電子ビームを衝突させ
て、該電子ビームの進行方向にX線ビームを放射するも
のである。この構成では、薄板状のターゲット板を透過
して、電子ビームの進行方向と同一方向の、帯状のX線
ビームが得られる。
【0013】本発明のX線管では更に、前記ターゲット
部が前記電子ビームの進行方向に対して傾斜して配置さ
れた、前記電子ビームの偏向方向に長辺を有する長方形
のターゲット板と、該ターゲット板の裏面に接合され、
かつ該ターゲット板を支持するターゲット支持部とから
成り、前記外囲器が前期ターゲット板に対向する部分に
前記ターゲット板の長辺と同じ方向の長辺を有する長方
形のX線放射窓を備え、前記ターゲット板に前記電子ビ
ームを衝突させて、該電子ビームの進行方向とほぼ直交
する方向に、前記X線放射窓を透過して、X線ビームを
放射するものである。この構成では、電子ビームが、そ
の進行方向に対し傾斜して配置されたターゲット板に衝
突し、電子ビームの進行方向とほぼ直交する方向の、帯
状のX線ビームが得られる。
【0014】本発明のX線管では更に、前記陰極が前記
ターゲット板の長方形の長辺と平行に配列された複数個
の前記電子銃を具備し、該複数個の電子銃は前記偏向コ
イルによって偏向され、各々の電子銃から放出された電
子ビームが前記ターゲット板のほぼ同じ領域を走査する
ように各々のグリッドの電位が調整されている。この構
成では、陰極に複数個の電子銃を具備しているので、単
一の電子銃の場合に比べて、複数個のX線管電流を得る
ことができ、それに伴い複数倍のX線量を有する帯状の
X線ビームを放射することができる。
【0015】本発明のX線管では更に、前記陰極が複数
個の電子銃を具備し、該複数個の電子銃が前記外囲器の
陰極側に設けられた複数個のネック部に取り付けられ、
該複数個のネック部の各々に前記偏向コイルが配置さ
れ、各々の電子銃から放出された電子ビームが前記ター
ゲット板のほぼ同じ領域を走査するように各々の偏向コ
イルが調整されている。この構成では、陰極に複数個の
電子銃が配置されているので、複数倍のX線管電流を得
ることができ、複数倍のX線量を放射することができ
る。また、各電子銃に偏向コイルが配置されているの
で、発生する帯状のX線ビームについて、位置によって
X線強度に差をつけることもできる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を添付図面
によって説明する。図1及び図2に、本発明のX線管の基
本構成の概略を示す。図1及び図2には、本発明のX線管
の2つの実施例を示しており、図1は第1の実施例で、電
子ビームの進行方向と同じ方向にX線を放射するタイ
プ、図2は第2の実施例で、電子ビームの進行方向に対し
直交する方向にX線を放射するタイプである。
【0017】図1を用いて、本発明のX線管の第1の実施
例について説明する。図1において、本実施例のX線管
はガラスなどの絶縁物からなる外囲器1と、この外囲器1
内の一端に封着された電子銃(陰極)2と、この電子銃2
に対向して配置され、外囲器1内の他端に封着されたタ
ーゲット部(陽極)3とから成り、外囲器1内は真空に保持
される。
【0018】外囲器1の外形は全体として二等辺三角形
に近似される形をしており、その頂点部に電子銃1が封
着され、底辺部にターゲット部3が封着されている。外
囲器1の二等辺三角形に直交する方向に関しては、電子
銃2の取付部(以下、ネック部という)11は管状をしてお
り、ターゲット部3の取付部(以下、ターゲット取付部と
いう)12は長方形をしており、全体の厚さはネック部11
にて薄く、ターゲット取付部12に近付くにつれて厚くな
っている。
【0019】電子銃2には、後述する如く、テレビジョ
ン用ブラウン管(以下、CRTと略称する)に使用されてい
る電子銃と同様な構造のものが採用されている。電子銃
2は、ガラスなどの絶縁物に電極用リードを封入したス
テム13の上に組立てられ、外囲器1のネック部11にステ
ム13が封着される。この封着部のまわりに、電子銃2の
電極用リードに接続された端子を埋め込んだ電子銃給電
用ソケット14が接着などにより取り付けられている。
【0020】ターゲット部3は、細い帯状のターゲット
板15と、ターゲット板15を支持するターゲット支持部16
とから成る。ターゲット板15はタングステン又はタング
ステン合金などの高融点、高原子番号の金属材料の薄膜
から成る。厚さは10μm以上で、X線ビームが透過でき
る厚さである。この薄膜は、X線透過性が良く熱伝導率
の高い金属の薄板の上に、メッキなどによって形成して
もよい。ターゲット支持部16は長方形の支持枠体で、タ
ーゲット板15の外周にろう付けなどによって接合され
る。ターゲット支持部16の材質は、熱伝導率の高い金属
が好ましい。また、ターゲット支持部16のターゲット板
15が取り付けられる部分の板厚を薄くして、この部分に
ターゲット板15の材料をメッキ又は蒸着などの方法で付
着させて、ターゲット板15に相当する部分を形成しても
よい。
【0021】ターゲット支持部16と外囲器1との接合
は、CRTの場合と同様に、ターゲット支持部16の外周を
ガラスに封入した後に、このガラス部分と外囲器1との
間で封着を行う。ターゲット支持部16の材料については
ガラスとのなじみの良いものを選ぶ必要がある。
【0022】本実施例では、ターゲット板15に薄板を使
用するために、使用中にターゲット板15が過熱する恐れ
がある。このため、ターゲット板15の表面に水などの冷
却用液体を流すか、又は封入して、ターゲット板15を冷
却する。
【0023】本実施例では、電子銃2から放出された電
子ビーム5は、帯状のターゲット板15の長手方向全体に
わたって偏向走査される。電子銃2からの電子ビーム5を
偏向走査するために、ネック部11の上下に偏向コイル4
が配置される。電子ビーム5はこの偏向コイル4が発生す
る磁界によって、電磁的に偏向、走査される。
【0024】次に、図3を用いて電子銃2について説明す
る。図3は、本発明のX線管に使用される電子銃の基本
構造の概略を表す図である。図3において、電子銃2は、
電子ビーム5を放出するカソード21と、電子ビーム5を加
速し、集束するためのグリッド22とから構成されてい
る。グリッド22は5個の電極、グリッド(1)23、グリッド
(2)24、グリッド(3)25、グリッド(4)26、グリッド(5)27
から成り、これらの電極の組合せで、電子ビーム5の加
速、集束を行っている。このために、カソード21と、グ
リッド(1)23と、グリッド(2)24と、グリッド(4)26には
それぞれ独立の電圧を印加し、グリッド(3)25とグリッ
ド(5)27には、両電極を同電位にし、陽極電位と同じか
又はそれより低い正電位を印加している。カソード21か
ら放出された電子ビーム5は、グリッド(1)23とグリッド
(2)24の孔を通過することによって細い電子ビームに絞
られ、グリッド(3)25によって加速される。グリッド(3)
25とグリッド(4)26とグリッド(5)27は静電レンズを形成
する。この静電レンズによって電子ビーム5は集束され
る。
【0025】電子銃2の各電極への電圧の印加例として
は、例えばカソード21に190V、グリッド(1)23に0V、グ
リッド(2)24に550V、グリッド(3)25とグリッド(5)27に3
0kV、グリッド(4)26に7〜8kVを印加する。このように各
電極に電圧を印加することによって、電子ビーム5は加
速、集束され、陽極のターゲット板15上では、約0.6mm
程度の焦点寸法に調整される。また、この時の電子ビー
ム5によって得られるX線管電流は約0.5mA程度である。
【0026】本実施例のX線管において、電子銃2とタ
ーゲット部3との間にX線管電圧が印加されると、電子
銃2内のカソード21から放出された電子ビーム5は、グリ
ッド22で加速、集束され、偏向コイル4が発生する磁界
により偏向、走査され、帯状のターゲット板15に衝突
し、帯状の焦点から平行なX線ビーム8が放射される。
この場合、電子ビーム5が衝突した帯状のターゲット板1
5に帯状の焦点が形成されるが、ターゲット板15が薄膜
であるため、ターゲット板15で発生したX線はターゲッ
ト板15を透過し、ターゲット板15の裏面側、すなわち電
子ビーム5の進行方向にX線ビーム8が放射されることに
なる。
【0027】ここで、偏向コイル4による電子ビーム5の
偏向について説明する。本実施例において、偏向コイル
4による電子ビーム5の走査周波数は、CRTの水平方向の
走査周波数と同様に60Hzとする。電子ビーム5を走査す
るときの偏向コイル4が作る偏向磁界の磁束密度Bと電子
ビーム5の偏向距離yとの間には、偏向コイル4の磁界有
効長をl、偏向コイル4の端部とターゲット板15との間の
距離をLとしたとき、以下の式(1)の関係が成り立つ。 y=L×l×B×(e/2mV)1/2..........(1) 但し、eは電子の電荷、mは電子の質量、Vはグリッド
(5)27の電位である。一例として、l=60mm、L=150mm、
2y=200mmとすると、偏向コイル4の必要な磁束密度Bは
6.5mT(T:テスラ)となる。
【0028】本実施例の場合、電子ビーム5が電子銃2の
複数個のグリッドによって加速され、細いビームに集束
されているため、偏向コイル4による偏向、走査によっ
て電子ビーム5の大きさは殆ど変らず、電流値も電子銃2
内で確保された値が維持されるので、寸法精度の良い帯
状のX線ビーム8が得られる。これに対し、特開昭59-94
349号公報開示のX線管では、電子ビームの集束は集束
電極によって行われるが、加速は陰極と陽極との間でX
線管電圧によって行われるために、偏向コイルによって
電子ビームの偏向、走査を行う場合に、この偏向、走査
と同時に加速が行われることになるため、電子ビームの
大きさが大きくなり、また偏向方向によって変化するこ
とになる。このため、X線管電流を大きくしようとする
と、帯状焦点の幅寸法が大きくなり、また、この幅寸法
を制限すると、X線管電流を小さくする必要がある。
【0029】次に、図2を用いて、本発明のX線管の第2
の実施例について説明する。図2において、本実施例の
X線管は、第1の実施例と比べ、電子銃2は同じ構造であ
るが、陽極の構造が相違し、これに伴い、外囲器1の構
造が若干相違する。本実施例では、陽極のターゲット部
3は電子ビーム5に対して傾斜して配置されたターゲット
板31と、これを支持するターゲット支持部32とから成
る。ターゲット板31は長方形の板状体で、材料は第1の
実施例と同じである。ターゲット板31の厚さは、通常数
mmであるが、薄くしてターゲット支持部32の表面にメッ
キなどによって形成してもよい。ターゲット支持部32は
ターゲット板31と接合する部分は傾斜面に加工され、ろ
う付けなどによってターゲット板31と接合される。この
両者の接合は鋳造などで行ってもよい。ターゲット支持
部32の材料は銅などの熱伝導率の高い金属がよい。ター
ゲット板31の傾斜角度は電子ビームの進行方向に対し45
〜70度程度が適当であるが、30〜80度の範囲でもよい。
【0030】本実施例では、X線ビーム8の放射方向が
電子ビーム5の進行方向に対し直交する方向となるため
に、陽極のターゲット部3の周辺部の外囲器1の構造が第
1の実施例と相違する。ターゲット板31には電子ビーム5
の衝突によって焦点33が形成されるので、この焦点33の
近傍の、X線ビーム8の放射方向に、X線放射窓9を取り
付ける。このX線放射窓9も取り出すX線ビーム8の形状
に合わせて長方形となる。X線放射窓9の材質はベリリ
ウムなどのX線透過性の良い材料が使用される。ベリリ
ウムなどの金属材料から成るX線放射窓を使用する場合
には、これを支持し、外囲器1と接続するための支持枠
が必要となる。また、外囲器1の材料としてガラスを使
用する場合には、特別なX線放射窓を取り付けず、ガラ
ス自体をX線放射窓としてもよい。この場合にはガラス
の材質としてX線透過性の良いものを選択し、さらに、
X線放射窓となる部分のガラスの厚さを薄く削る加工を
施してX線透過性を向上させてもよい。
【0031】外囲器1とターゲット部3との接続は、本実
施例ではターゲット支持部32が銅などのブロック体で作
られているために、ターゲット支持部32と外囲器1との
間に、外囲器1と熱的になじみの良い金属体などを介在
させて行われる。このようにすることにより、両者の接
続部が熱的に破損することがなくなる。
【0032】本実施例のX線管において、電子銃2とタ
ーゲット部3との間にX線管電圧が印加されると、電子
銃2内のカソード21から放出された電子ビーム5は第1の
実施例と同様に帯状のターゲット板15に衝突する。本実
施例の場合、帯状のターゲット板15が電子ビーム5の進
行方向に対し傾斜して配置されているので、電子ビーム
5の衝突により発生したX線は、帯状の焦点33から反射
するような方向に放射される。X線ビーム8は焦点33の
近傍に設けたX線放射窓9から外部に取り出される。
【0033】図4に、本発明のX線管の第3の実施例を示
す。図4には、第3の実施例の要部である電子銃と電子ビ
ームが示されている。図4において、3個の電子銃2a〜2c
が並列に配置されている。これらの3個の電子銃2a〜2c
の各々のカソード21から放出された電子ビーム5a〜5c
は、各々のグリッド22により加速、集束されてターゲッ
ト板15上に衝突する。ここで、各々のグリッド(3)25、
グリッド(4)26、グリッド(5)27にそれぞれ直流電圧を印
加し、これらの直流電圧の電圧比を変化させて、各々の
電子ビーム5a〜5cがターゲット板15上の同じ位置に衝突
するように調整される。本実施例では、3個の電子銃2a
〜2cから放出された電子ビーム5a〜5cは同一の偏向コイ
ル4によって偏向、走査される。
【0034】上記では3個の電子銃2a〜2cからの電子ビ
ーム5a〜5cをターゲット板15上の同一位置に偏向、集束
することで説明したが、帯状のX線ビーム8を発生する
点では、必ずしもこれに限定されず、電子ビーム5a〜5c
が各々ターゲット板15上の少し位置のずれた点に衝突し
てもよい。このように衝突点がずれる場合には、帯状の
焦点の端部におけるX線強度が若干低下する。
【0035】本実施例の場合、電子銃2が3個並列に配置
されることにより、放出される電子ビーム5の電流値は3
倍となり、X線管電流を3倍に増加することができる。
電子銃2a〜2cとして第1の実施例と同じ電子銃を用いた
場合には、約1.5mAのX線管電流を流すことができる。
電子銃2の個数は3個に限定されず、2個でも、4個以上で
もよい。この場合、X線管電流は電子銃2の個数に比例
して増加する。
【0036】図5に、本発明のX線管の第4の実施例を示
す。本実施例では、陰極側に2個の電子銃と偏向コイル
を配置したものである。本実施例のX線管全体の構成
は、第1の実施例と同じく、X線ビームが電子ビームの
進行方向と同じ方向に放射される方式になっているが、
第2の実施例の如く、X線ビームを電子ビームの進行方
向と直交する方向に放射される方式にすることも可能で
ある。図5において、外囲器1は、ターゲット部3側につ
いては第1の実施例と同様であるが、陰極側については
ネック部11が2個所11a、11bに設けられ、二股構造に
なっている。2個のネック部11a、11bには、2個の電子
銃2a、2bが取り付けられており、その端部には電子銃給
電用ソケット14a、14bが取り付けられている。ネック部
11a、11bの上下に、偏向コイル4a、4bが配置されてい
る。
【0037】2個の電子銃2a、2bから放出された電子ビ
ーム5a、5bは2個の偏向コイル4a、4bによってそれぞれ
偏向角度を変えて偏向されターゲット板15上の同じ帯状
焦点の範囲に重ねて衝突し、帯状のX線ビーム8を発生
する。本実施例の場合、電子銃を2個使用したことによ
り、X線管電流としては第1の実施例の2倍の電流を流す
ことができる。本実施例においては、ネック部11を2個
設けているが、これに限定されず、3個以上のネック部
を設けることも可能である。
【0038】
【発明の効果】以上説明した如く、本発明によれば、X
線管の陰極にカソードと複数のグリッドで構成される電
子銃を用い、この電子銃より放出される電子ビームを偏
向コイルで発生した磁界を用いて平行に偏向、走査する
ことにより、平行なX線ビームを発生させることができ
る。さらに、陰極を複数個の電子銃の組合せで構成し、
これらの電子銃から放出された電子ビームを陽極のター
ゲット板上のほぼ同じ位置に衝突するように集束し、偏
向、走査することにより、より多くのX線管電流を得る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のX線管の第1の実施例の基本構成の概
略。
【図2】本発明のX線管の第2の実施例の基本構成の概
略。
【図3】本発明のX線管に使用される電子銃の基本構造
の概略を表す図。
【図4】本発明のX線管の第3の実施例の要部である電子
銃と電子ビームを示す図。
【図5】本発明のX線管の第4の実施例の全体構成の概
略。
【符号の説明】
1…外囲器 2、2a、2b、2c…電子銃 3…ターゲット部 4、4a、4b…偏向コイル 5、5a、5b、5c…電子ビーム 9…X線放射窓 11、11a、11b…ネック部 12…ターゲット取付部 13…スラム 14、14a、14b…電子銃給電用ソケット 15、31…ターゲット板 16、32…ターゲット支持部 21…カソード 22…グリッド 23…グリッド(1) 24…グリッド(2) 25…グリッド(3) 26…グリッド(4) 27…グリッド(5) 33…焦点

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電子ビームを放出する陰極と、該電子ビー
    ムを受けて帯状のX線ビームを発生する陽極のターゲッ
    ト部と、前記陰極と前記ターゲット部が対向する位置に
    配置されるように絶縁、支持し、両電極を真空気密に封
    入する外囲器とから構成され、前記陰極の近傍に配置さ
    れた偏向コイルによって、前記電子ビームが該電子ビー
    ムの進行方向とほぼ直交する方向に偏向されて、前記タ
    ーゲット板上に帯状の焦点(X線源)を形成するX線管に
    おいて、前記陰極が、電子ビームを放出するカソード
    と、該電子ビームを加速、集束する複数個のグリッドと
    から構成される電子銃を具備することを特徴とするX線
    管。
JP25584699A 1999-09-09 1999-09-09 X線管 Pending JP2001076656A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP25584699A JP2001076656A (ja) 1999-09-09 1999-09-09 X線管

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP25584699A JP2001076656A (ja) 1999-09-09 1999-09-09 X線管

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001076656A true JP2001076656A (ja) 2001-03-23

Family

ID=17284415

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP25584699A Pending JP2001076656A (ja) 1999-09-09 1999-09-09 X線管

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001076656A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007234487A (ja) * 2006-03-03 2007-09-13 Hitachi Medical Corp X線管
JP2009142444A (ja) * 2007-12-13 2009-07-02 Aet Inc X線発生装置
WO2010074031A1 (ja) * 2008-12-22 2010-07-01 オムロン株式会社 X線検査方法およびx線検査装置

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007234487A (ja) * 2006-03-03 2007-09-13 Hitachi Medical Corp X線管
JP2009142444A (ja) * 2007-12-13 2009-07-02 Aet Inc X線発生装置
JP4650642B2 (ja) * 2007-12-13 2011-03-16 株式会社エーイーティー X線発生装置
WO2010074031A1 (ja) * 2008-12-22 2010-07-01 オムロン株式会社 X線検査方法およびx線検査装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6438207B1 (en) X-ray tube having improved focal spot control
KR101988538B1 (ko) X선 발생 장치
JP7073407B2 (ja) 電離放射線を生成するための小型放射源、複数の放射源を備えるアセンブリ、及び放射源を製造するためのプロセス
JP2713860B2 (ja) X線管装置
US9159525B2 (en) Radiation generating tube
US20120307974A1 (en) X-ray tube and radiation imaging apparatus
JPH09167586A (ja) X線管
JP2008103326A (ja) X線装置の電子ビームを集束し偏向するための方法及び装置
US20070025515A1 (en) X-ray tube with cylindrical anode
JP4619176B2 (ja) マイクロフォーカスx線管
JP2016126969A (ja) X線管装置
US6111934A (en) X-ray tube with electromagnetic electron beam deflector formed by laminating in planes oriented perpendicularly to the electron beam
EP1133784B1 (en) X-ray tube providing variable imaging spot size
US7062017B1 (en) Integral cathode
JP7073406B2 (ja) 小型電離放射線源
JP2001076656A (ja) X線管
US6831964B1 (en) Stot-type high-intensity X-ray source
JP4781156B2 (ja) 透過型x線管
JP2020526866A (ja) 電離放射線を生成するための小型放射源、複数の放射源を含むアセンブリ及び放射源を製造するためのプロセス
KR101089231B1 (ko) X선관
JP2018170091A (ja) X線管装置
KR101626516B1 (ko) 컨케이브 캐소드 및 홀더가 구비되는 전자빔 방출장치
CN210535623U (zh) X射线源和x射线成像设备
JP4230016B2 (ja) X線管
JP5095540B2 (ja) 電子銃及び電子ビーム発生装置