JP2001075081A - 表示素子 - Google Patents

表示素子

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JP2001075081A
JP2001075081A JP36675099A JP36675099A JP2001075081A JP 2001075081 A JP2001075081 A JP 2001075081A JP 36675099 A JP36675099 A JP 36675099A JP 36675099 A JP36675099 A JP 36675099A JP 2001075081 A JP2001075081 A JP 2001075081A
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JP36675099A
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Toshihiko Takeda
俊彦 武田
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Canon Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 メモリー性を有する異なる2状態間を電気刺
激のみで可逆的に遷移させる事が可能な低分子液晶を用
いた表示素子を提供する。 【解決手段】 ラビング処理を施した液晶配向膜を表面
に積層した透明電極が対向配置し、かつ前記透明電極を
支持する基板の少なくとも一方が透明である中空セル
と、前記中空セルに充填された、低分子液晶と厚さが前
記電極間ギャップよりも小さい複数個の微小固体を含有
する混合物と、前記電極間に電圧を印加する電圧印加手
段とを具備し、前記微小固体を前記透明電極のエッジ近
傍に局在させた状態と、前記微小固体を前記透明電極間
に分散させた状態を形成する事により、それぞれ前記混
合物に透明状態と光透明状態を発現させる事により表示
する表示素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶と微小固体か
らなる混合物を用いた表示素子および表示方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】情報機器の発達に伴い、低消費電力の薄
型表示素子への社会的なニーズが急速に大きくなってい
る。その中で、液晶表示素子がそのようなニーズに応え
られる表示素子の一つの形態として、活発に研究開発が
行われている。特に低分子液晶を用いた表示素子は商品
化され、社会に広く普及している。低分子液晶は電気的
に分子配向を制御し易いが、メモリー性(液晶への電圧
印加を解除した後も、電圧印加時の分子配向を維持する
性質)がない。従って、画像を連続表示するためには、
液晶への電力供給を中止する事ができないため、消費電
力を決定的に抑制する事が困難である。
【0003】この問題を解決するために、低分子液晶を
用い、且つ、メモリー性を発現できる表示素子に関する
新しいタイプの液晶表示素子が多数報告されている。
【0004】例えば、特開平05−61021では、微粒子周
辺のネマチック液晶分子の配向状態を電界制御して、透
明状態と光散乱状態を実現している。この方法では、ネ
マチック液晶分子の配向状態を制御し易くするために、
配向膜やラビング処理はされていない。
【0005】また、微粒子自体の電極面内方向への分布
状態の変化を利用したものではない。
【0006】この方法では、ネマチック液晶なので、メ
モリ性を付与できず、表示状態を維持するために電圧印
加し続けなければならず、消費電力を費やす問題起こ
る。
【0007】また、特開平08−269453では、周波数領域
に対応して誘電異方性が正又は負を選択的に示す液晶と
親和性を示す偏平形状の微粒子を2周波駆動により電界
制御して、透明状態と光散乱状態を実現している。
【0008】しかし、微粒子自体の電極面内方向への分
布状態の変化を利用したものではない。また、この方法
では、液晶分子の配向状態を制御し易くするために、配
向膜やラビング処理はされていない。
【0009】この方法では、特殊な液晶組成物に限定さ
れ、材料選択の自由度が低い。また、微粒子も特殊なも
のに限定される。メモリ性を付与するためになされた親
和性、偏平形状への化学処理が必要とされ、製造コスト
がかかる。
【0010】例えば、低分子液晶と該低分子液晶と親和
性を示す偏平形状の粒子を組成分とした液晶組成物を用
いた表示素子が報告されている(特開平7−31898
2号公報参照)。この液晶組成物に数十ボルトの電圧を
印加すると、電圧印加前と異なる透過率の状態が形成さ
れる。そして、その状態は電圧印加を解除した後も維持
されている。即ち、低分子液晶を用いた液晶組成物にメ
モリー性を発現させる事に成功している。
【0011】しかし、微粒子自体の電極面内方向への分
布状態の変化を利用したものではない。また、この方法
では、液晶分子の配向状態を制御し易くするために、配
向膜やラビング処理はされていない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
技術は、電気刺激だけで透過率が異なる状態間を可逆的
に遷移させる事ができない問題点があった。つまり、電
圧印加により形成されたメモリー状態を解除するために
は、電界以外の刺激を液晶組成物に印加する必要があ
る。電界以外の刺激として、2つの刺激が開示されてい
る。一つは、液晶組成物を加熱する方法である。加熱に
より液晶組成物を等方性液体にする事により、電圧印加
により形成された液晶組織を破壊する。もう一つは、液
晶組成物に機械的刺激を加える方法である。ズリ、振
動、衝撃等のせん断力を加える事で、電圧印加により形
成された液晶組織を破壊する。
【0013】本発明は、この様な従来技術の問題点に鑑
みてなされたものであり、メモリー性を有する異なる2
状態間を電気刺激のみで可逆的に遷移させる事が可能な
低分子液晶を用いた表示素子および表示方法を提供する
ことを目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明の第一の発
明は、電極が対向配置し、かつ前記電極を支持する基板
が対向配置された中空セルと、前記中空セルに充填され
た、低分子液晶と厚さが前記電極間ギャップよりも小さ
い複数個の微小固体を含有する混合物と、前記電極間に
電圧を印加する電圧印加手段とを具備し、前記微小固体
を前記対向する基板間に局在させた状態と、前記微小固
体を前記対向する基板間に分散させた状態を形成する事
により、それぞれ前記混合物に透明状態と光透明状態を
発現させる事により表示する事を特徴とする表示素子で
ある。
【0015】前記透明電極上にラビング処理を施した液
晶配向膜が積層されている事が好ましい。
【0016】前記透明電極上に直接ラビング処理が施さ
れている事が好ましい。
【0017】前記対向する液晶配向膜に施されたラビン
グの向きが逆向きである事が好ましい。
【0018】前記微小固体が前記液晶の等方性液体転移
温度以下において前記液晶に溶解しない事が好ましい。
【0019】前記低分子液晶が低分子ネマチック液晶で
ある事が好ましい。
【0020】前記低分子ネマチック液晶が少なくとも2
種類の低分子液晶からなる混合液晶である事が好まし
い。
【0021】前記微小固体が有機物、無機物、または無
機物と有機物との複合体である事が好ましい。
【0022】前記微小固体の形状が球状、偏平状、また
は針状である事が好ましい。
【0023】前記微小固体の局在状態は、前記透明電極
間に第1の入力信号として周期的電圧を印加する事によ
り、前記微小固体を前記透明電極間で前記ラビング方向
に対して平行に一方方向運動させる事により、前記微小
固体を前記透明電極のエッジ近傍に移動させる事により
形成し、前記微小固体の分散状態は、前記透明電極間に
第2の入力信号として、前記第1の入力信号とは異なる
波形を有する周期的電圧を印加する事により、前記微小
固体を前記透明電極間で前記一方方向運動の向きとは逆
向きの方向に一方方向運動及び/又はランダム運動させ
る事により、前記微小固体を前記透明電極間に分散させ
る事により形成する事が好ましい。
【0024】前記第2の入力信号が前記第1の入力信号
に対して逆極性の信号である事が好ましい。
【0025】前記周期的電圧の波形が矩形波である事が
好ましい。
【0026】前記矩形波の極性が正である場合の前記微
小固体の一方方向運動の運動方向が、前記矩形波の極性
が負である場合の前記微小固体の一方方向運動の運動方
向に対して逆向きである事が好ましい。
【0027】前記微小固体を一方方向に運動させる場合
に用いる周期的電圧の周波数が90[Hz]以上10
[kHz]以下であり、かつ周期的電圧により前記透明
電極間に形成される電界強度が1[V/μm]以上であ
る事が好ましい。
【0028】前記微小固体をランダム運動させる場合に
用いる周期的電圧の周波数が1[Hz]以上80[H
z]以下であり、かつ周期的電圧により前記透明電極間
に形成される電界強度が1[V/μm]以上である事が
好ましい。
【0029】
【発明の実施の形態】(1)第1の実施形態 本発明に関する微小固体は、前記液晶の等方性液体転移
温度以下において、前記液晶に溶解しない事を特徴とす
る。また、微小固体の大きさが、液晶の吸収や化学変化
等により、透明電極間ギャップより大きくならない事を
前提とする。この条件を満たせば微小固体の材質は特に
限定されない。例えば、ラテックスビーズ、酸化金属微
粒子、有機分子集合体等をあげる事ができる。また、そ
の形状も特に限定されない。球状、偏平状、針状であっ
ても構わない。ただし、セル内では、微小構造体の形
状、大きさが揃っている事が望ましい。
【0030】また、本発明に関する混合物の液晶と微小
固体との混合比は、混合物に所望の光散乱状態を形成で
きれば特に制限はない。混合物中の微小固体の含有量
は、好ましくは1〜90重量%、さらに好ましくは2〜
80重量%が望ましい。
【0031】一方、本発明に関する前記低分子液晶の種
類、構造は特に制限されない。しかし、表示素子を作動
させる事を想定している温度範囲内で少なくとも、ネマ
チック相を発現できる液晶である事が望ましい。そのた
めに、2種類以上の液晶を混ぜた混合液晶であっても構
わない。
【0032】本発明が低分子液晶に限定される理由は、
粘性が微少固体の運動に適している為である。高分子液
晶だと、複数のメソゲン(低分子液晶に相当する)が架
橋ユニットを介して連結している物質なので、粘性が極
めて高く、微少固体の運動が阻害される。
【0033】次に、上記表示素子の表示原理について説
明する。表示原理の基本は、液晶と微小固体の混合物を
挟持する電極間に電圧を印加した際、微小固体が電極面
と平行な面内方向に移動する現象を利用している。この
現象について、図1〜図3を用いて説明する。図1は本
発明に関する表示素子の一例を示す模式図である。図2
および図3は表示素子の駆動波形を示す図である。
【0034】図1において、11と12は電極であり、
13、14は電極11、12を支持する基板、15は微
小固体である。本説明では、微小固体15はラテックス
ビーズまたはシリカビーズであるとする。16は電極1
1と12の間に電圧を印加する電圧印加手段である。な
お、前記基板間及び前記電極間に挟持されている液晶、
スペーサーは省略してある。また、電極11に施された
ラビングの向きは図1中で示した+x軸方向であり、電
極12に施されたラビングの向きは−x軸方向であると
する。
【0035】電圧印加手段16により電極11と12の
間に、図2に示した様な単極性(図2では正)の矩形波
(周期=t1 、波高=V1 )を印加すると、微小固体1
5は+x軸方向に一方方向運動をする。なお電極12に
電圧V1 が印加されているとする。一方、図3に示した
様な単極性(図3では負)の矩形波を印加すると、微小
固体15は−x軸方向に一方方向運動をする。なお電極
12に電圧−V1 が印加されているとする。
【0036】即ち、微小固体の一方方向運動の向きは、
正の矩形波を印加した場合と負の矩形波を印加した場合
とでは逆向きである。
【0037】図2及び図3に示したような矩形波の印加
を解除すると、微小固体の一方方向運動は停止し、かつ
その停止位置から微小固体は動かない。即ちメモリー性
がある。
【0038】なお、電極11と12の間に、電極印加手
段16により図4で示した様な両極性の矩形波を印加し
た場合、微小固体15は停止したままで動かない。
【0039】上述した様な微小固体の一方方向運動は、
任意の単極性の矩形波を印加しただけでは形成されな
い。即ち、微小固体に一方方向運動をさせる事が可能な
閾値(矩形波の周波数と波高値)が存在する。
【0040】この理由は本発明に関する微小固体の一方
方向運動の運動機構によるものと推測される。本発明に
関する微小固体の運動機構は明確ではないが、一つの可
能性として、ネマチック液晶のバックフロー効果(液晶
への電圧印加/解除時に発生する液晶流動)や、液晶に
印加される電界により誘起される流体力学的な不安定性
現象が関与していると推測している。即ち、微小固体に
一方方向運動させるためには、液晶に何らかの流れを発
生させる事が必要であると推測している。このこのため
に、上述した様な閾値が生じると推測される。
【0041】更に本発明者は、微小固体が前述した様に
+x軸方向あるいは−x軸方向に一方方向運動する機構
の一つの可能性として次の様な推測をしている。
【0042】本発明者は、前述したように、一方の電極
側に施されたラビングの向きが、他方の電極側に施され
たラビングの向きに対して反対向きである反平行ラビン
グの場合、一方の電極近傍では+x軸方向への液晶流動
が形成されており、もう一方の電極近傍では−x軸方向
への液晶流動が形成されていると推測している。この流
動の向きは矩形波の極性が反転しても変化しないと推測
している。このため、ある極性の矩形波が印加された場
合、微小固体は一方の電極側に引き寄せられる。その電
極近傍に形成されている液晶流動が+x軸方向ならば、
微小固体は+x軸方向への一方方向運動を示す事にな
る。一方、矩形波の極性を反転すると、微小固体は反対
側の電極側に引き寄せられる。この電極近傍には−x軸
方向への液晶流動が形成されているので、微小固体は−
x軸方向への一方方向運動を示す事になる。なお、矩形
波の極性により、微小固体が引き寄せられる電極が異な
る事は実験で確認されている。
【0043】しかしながら、微小固体の一方方向運動
は、上記液晶の流れ以外の機構により発生している可能
性も十分考えられる。例えば、液晶分子の周期的な配向
変化により、微小固体が押される可能性もありうる。従
って、本発明に関する微小物体の運動機構は液晶の流動
に限定されるものではない。
【0044】なお、前述した様に本発明では、一方の電
極側に施されたラビングの向きが、他方の電極側に施さ
れたラビングの向きに対して反対向きである場合、電極
間に印加する矩形波の極性を反転する事により、微小固
体の運動方向を反転する事ができる。一方、一対の電極
に施されたラビングの向きが同じ場合、矩形波の極性を
反転させても、微小物体の運動方向は反転しない。この
原因の可能性の一つとして、この場合には、各電極近傍
に形成される液晶流動の向きが同じためであると本発明
者は推測している。このため、矩形波の極性を反転させ
ても、微小固体の運動方向が反転しないと推測してい
る。
【0045】従って、表示素子内で微小固体の運動方向
を可逆的に変化させたい場合には、一方の電極に施すラ
ビングの向きを、もう一方の電極に施すラビングの向き
に対して反対向きにする事がより好ましい。
【0046】しかしながら、本発明では、反平行ラビン
グに限定されるものではなく、微少固体の運動が行えれ
ば良いので、一方の電極にのみラビングが施された片側
ラビングでも良いし、クロスラビングのような一方の電
極側のラビング方向と他方の電極のラビング方向が異な
る形態でも良い。
【0047】なお、本発明では、液晶配向膜を使用せず
に、透明電極に対して直接ラビング処理を施している形
態でも構わない。
【0048】また、本実施形態において、次項に説明す
る第2の実施形態と同様にカラー表示も可能である。微
少固体を着色(R,G,B等)し、電極及び基板を微少
固体と異なる色に着色することにより、微少固体の分布
状態を制御して、カラー表示を実現できる。
【0049】例えば、微小固体に一方方向運動をさせる
事が可能な矩形波の周波数及び波高値として、以下の範
囲を示す事ができる。周波数は、90[Hz]以上10
[kHz]以下である事が望ましい。また、このような
周波数を有する矩形波により電極間に形成される電界強
度が、1[V/μm]以上になるような波高値を有する
矩形波である事が望ましい。
【0050】一方、上記電界強度を満足していても、矩
形波の周波数が低いと、微小固体は方向性のないランダ
ム運動をする。この様な周波数範囲は1[Hz]以上8
0[Hz]以下である。
【0051】上述した周波数及び電界強度の範囲は、液
晶の物性、微小固体の材質、大きさ及び比重、またラビ
ング強度等に依存して大きく変化する場合がある。従っ
て本発明では、微小固体に一方方向運動及びランダム運
動が発現する様、適切な周波数及び電界強度を選択すれ
ばよい。
【0052】ところで、上述した説明では、微小固体と
してラテックスビーズまたはシリカビーズを用いた例を
示した。これ以外の材料からなる微小固体を用いた場
合、電圧印加条件と微小固体の一方方向運動の向きが、
ラテックスビーズ等を用いた場合と逆になる場合があ
る。即ち、電圧印加手段16により電極11と12の間
に、図2に示した様な単極性(図2では正の矩形波)の
矩形波(周期=t1 、波高値=V1 )を印加しても、微
小固体15は−x軸方向に一方方向運動する場合があ
る。なお電極12に電圧V1 が印加されているとする。
また、図3に示した様な単極性(図3では負の矩形波)
の矩形波を印加すると、微小固体15は+x軸方向に一
方方向運動をする。なお電極12に電圧−V1 が印加さ
れているとする。従って、微小固体の一方方向運動の向
きは、電圧印加条件により一義的に決まらず、微小固体
の材質に依存する。
【0053】次に本発明に関する表示素子の表示方法に
ついて図5および図6を用いて説明する。
【0054】図5において、51と52は透明電極であ
り、53及び54はそれぞれ電極51及び52を支持す
る透明基板であり、55は微小固体である。なお、前記
基板間に挟持されている液晶及びスペーサーは省略して
ある。また、電極51に施されたラビングの向きは図中
に示した+x軸方向であり、電極52に施されたラビン
グの向きは−x軸方向であるとする。
【0055】本発明に関する表示素子内で、微小固体は
初め、図5中の(a)の様に電極間51、52の間に分
散していたとする。この状態では、図中のy軸方向から
電極面を観察すると全面が白濁して見える。この状態の
素子に電圧を印加しなければ、その状態を保持してい
る。即ちメモリー性がある。
【0056】この図5(a)の状態の表示素子に、微小
固体を+x軸方向に一方方向運動させる事が可能な矩形
波(上記説明参照)を印加する。この周期的電圧を、以
下、第1の入力信号と呼ぶ事にする。その結果、図5
(b)で示した様に微小固体は+x軸方向に移動してい
く。この際、電極のエッジ近傍に到達した微小固体は、
そこに留まる。更に第1の入力信号が印加され続ける
と、図5(c)の様に、微小固体は電極のエッジ近傍に
局在した状態となる。この時、表示素子をy軸方向から
観察すると、図5(a)の状態の素子を観察した場合よ
り、透明に見える。図5(c)の状態で、第1の入力信
号の印加を解除しても、微小固体はその位置から動か
ず、透明状態は保持される。即ちメモリー性がある。
【0057】次に、この図5(c)の状態の表示素子
に、微小固体を−x軸方向に一方方向運動させる事が可
能な矩形波(上記説明参照)を印加する。この周期的電
圧を、以下、第2の入力信号と呼ぶ事にする。具体的に
は、微小固体を図5(a)の状態から図5(c)の状態
に変化させるの使用した矩形波とは逆極性の矩形波であ
る。この様な第2の入力信号を印加すると、図5(d)
に示した様に、電極エッジ近傍に微小固体が局在してい
た状態は崩される。
【0058】更に第2の入力信号を印加し続けると、微
小固体は図6(e)に示す様に電極間に分散した状態に
なる。ただし、図6(e)における微小固体の分散状態
は、図5(a)における微小固体の分散状態よりも、均
一性に劣る。この時、表示素子をy軸方向から観察する
と、図5(d)の状態の素子を観察した場合よりも、白
濁して見える。図6(e)の状態で第2の入力信号の印
加を解除しても、微小固体は動かず、白濁状態は保持さ
れる。
【0059】なお、図6(e)の状態が形成された後、
微小固体にランダム運動させる事が可能な矩形波(上記
説明参照)を印加すれば、微小固体の分散状態の均一性
は向上する(図6(f)参照)。この微小固体にランダ
ム運動させるための矩形波の極性に制限はないが、図6
(e)の状態を形成させる時に用いた第2の入力信号と
同一極性である事が好ましい。
【0060】また、図5(c)の状態の素子に、微小固
体にランダム運動させる事が可能な矩形波を印加する事
により、図6(f)に示した状態を形成する事も可能で
ある。この場合の微小固体にランダム運動させるための
矩形波の極性は、図5(c)の状態を形成させる場合に
用いた第1の入力信号とは逆極性である事が望ましい。
【0061】なお、図6(e)の状態が形成された後
も、第2の入力信号を印加し続けると、微小固体は再び
電極エッジ近傍に局在した状態になる(図6(g)参
照)。従って、微小固体の一方方向運動により透明状態
から白濁状態を形成する場合、図6(e)に示した様な
状態が形成された後、矩形波印加を解除する必要があ
る。
【0062】以上述べてきたように、本発明に関する表
示素子は、電極間に周期的電圧を印加する事により、電
極間に挟持された微小固体の電極面内方向における分布
状態(電極エッジ近傍に局在した状態と電極間に分散し
た状態)を変化させる事により表示を行う事を特徴とし
ている。
【0063】更に、本発明で使用する微小固体は、有機
分子の結晶からなることが好ましい。更には、その有機
分子が、少なくとも一つの分子間相互作用部位を持つも
のであることが好ましい。そして、好ましい分子間相互
作用として、水素結合等の非共有結合を拳げることがで
きる。従って、上記分子間相互作用部位は、分子間で水
素結合等の非共有結合を形成することができるものであ
れば特に制限はない。そのような部位としては、例え
ば、アミド基を挙げることができる。
【0064】又、上記したように、本発明の表示素子の
中空セルに充填させる微小固体は有機分子の結晶である
ことが好ましいが、その際に有機分子は、液晶残基を有
していても構わない。液晶残基としては、ネマチック液
晶残基を挙げることができる。このような有機分子の一
例として下記(1)式に示したものが挙げられる。
【0065】
【外2】
【0066】更に、本発明において、上述したような有
機分子の結晶を微小固体に使用する場合には、有機分子
を再結晶化させたものを用いることが好ましい。この際
の有機分子の再結晶化の方法は特に限定されないが、例
えば、次の4つの方法がある。 (方法1)有機分子からなる粉末と液晶との混合物を該
粉末が溶融するまで加熱した後、冷却して有機分子から
なる結晶を析出させる。 (方法2)有機分子からなる粉末と液晶の混合物を、両
物質に共通の揮発性良溶媒(例えば、クロロホルム)に
溶解した後、溶媒を揮発させることにより有機分子から
なる結晶を析出させる。 (方法3)有機分子からなる粉末が溶融するまで加熱し
た後、冷却して有機分子からなる結晶を析出させる。 (方法4)有機分子からなる粉末を、該粉末の揮発性良
溶媒(例えば、クロロホルム)に溶解した後、溶媒を揮
発させることにより有機分子からなる結晶を析出させ
る。
【0067】又、本発明の表示素子の構成材料である微
小固体には、上記のものの他、有機分子が表面に結合さ
れた状態の微小構造体を用いることができる。表面に結
合させる有機分子には特に制限はないが、例えば、液晶
分子残基を挙げることができる。又、これらの有機分子
を表面に付着させる微小構造体の材質については特に限
定されないが、例えば、ラテックスビーズ、酸化金属微
粒子等を使用することができる。又、その形状も特に限
定されず、球状、針状、偏平なもの等、いずれのもので
あっても構わない。但し、充填される中空セル内におい
て、微小構造体の形状、大きさが揃っていることが望ま
しい。微小構造体への有機分子の結合様式も特に限定さ
れない。共有結合(例えば、アミド結合)でも、非共有
結合(例えば、静電結合)であっても構わない。
【0068】本発明の表示素子において中空セル内に充
填して使用する混合物を構成する液晶の種類及び構造は
特に制限されない。しかし、表示素子を作動させること
を想定する温度範囲内において、少なくともネマチック
相を発現できる液晶を用いることが望ましい。そのため
に、2種類以上の液晶を混ぜた混合液晶であっても構わ
ない。又、本発明の表示素子において使用する液晶と微
小固体との混合物の混合比は、混合物に所望の光散乱状
態を形成できるものであれば特に制限はない。
【0069】一方、本発明に関する低分子液晶の種類、
構造は特に制限されない。しかし、表示素子を作動させ
ることを想定している温度範囲内で少なくとも、ネマチ
ック相を発現できる液晶であることが望ましい。そのた
めに、2種類以上の液晶を混ぜた混合液晶であっても構
わない。
【0070】(2) 第2の実施形態 本実施形態でも、微少固体、低分子液晶、配向膜、ラビ
ング処理については、第1の実施形態と同様な材料、方
法を適用できる。
【0071】以下、図14乃至図19を参照して、本発
明の実施の形態について説明する。
【0072】まず、本発明に駆動される表示素子の構造
について、図14乃至図17を参照して説明する。
【0073】本発明に駆動される表示素子は、例えば図
14に符号D1 で示すように、所定間隙を開けた状態に
配置された一対の基板101a,101bと、これらの
基板101a,101bの間隙に配置された低分子液晶
2と、該液晶102を挟み込むように配置された一対の
電極103a,103bと、これらの電極103a,1
03bの間に交番電圧を印加する電圧印加手段104
と、を備えている。そして、該液晶中には、複数の微小
粒子105が浮遊し得るように配置されており、前記一
対の電極103a,103bのうちの少なくとも一方の
電極(図14では電極103b)はストライプ状に形成
されている(図15参照)。また、前記一対の電極10
3a,103bのうちの少なくとも一方の電極の表面に
は膜106a又は106bが形成されている。
【0074】この場合、前記ストライプ状に形成された
方の電極103bの表面に膜106bを形成し、かつ、
該膜106bの表面には、前記ストライプ状の電極の間
隙に起因する凹部Aが形成されるようにしても良い。ま
た、両方の電極103a,103bの表面にそれぞれ膜
106a,106bを形成しても良い。
【0075】なお、前記一対の電極103a,103b
のうちの一方だけでなく両方をストライプ状に形成して
も良い。また、図15に示す電極103bは、一端部だ
けが連結された“E”字型をしているが、ストライプ状
であればもちろんこれに限る必要はなく、例えば両端部
がそれぞれ連結された“日”字型のものであっても良
い。さらに、両方の電極3a,3bをストライプ状にし
た場合には、それらが直交するように配置すると良い。
その場合、一方の電極103aの配列ピッチと他方の電
極103bの配列ピッチとを互いに異ならせると良い。
その理由は、両電極103a,103bの配列ピッチを
等しくすると、微小粒子105に作用する力(すなわ
ち、後述するところの“液晶流動が微小粒子5に作用す
る力”と“電気的泳動力”)に異方性が失われ、微小粒
子5が凹部Aに移動しにくくなって、明状態表示が困難
になる場合があるからである。図14及び図15では、
電極103bは3本のストライプ状であるが、もちろん
これに限る必要はなく、2本であっても4本以上であっ
ても良い。
【0076】一方、低分子液晶102の種類や構造は特
に制限されないが、表示素子を駆動する温度範囲内にて
少なくともネマチック相あるいはコレステリック相を発
現できる液晶であることが好ましい。この低分子液晶2
は、2種類以上の液晶を混ぜた混合液晶であっても構わ
ない。
【0077】また一方、微小粒子105としては、前記
液晶102の等方性液体転移温度以下において前記液晶
に溶解しないものであれば、有機物であっても、無機物
であっても、無機物と有機物との複合体であっても構わ
ない。具体的には、ポリマービーズや酸化金属微粒子や
有機分子集合体等を用いれば良い。なお、各微小粒子1
05は、大きさが揃っている必要があり、かつ、液晶中
に配置された状態で(例え液晶2に浸漬されたときに液
晶の吸収や化学変化が生じたとしても)該液晶層厚より
も小さくて移動可能でなければならない。また、各微小
粒子105は、形状が揃っている必要があるが、その形
状自体は特に限定されるものではなく、球状であっても
偏平状であっても針状であっても構わない。
【0078】一方、低分子液晶102と微小粒子105
との混合比は、微小粒子105が電圧印加に応じて適切
に移動するものであれば良く、例えば、液晶100重量
部に対して微小粒子1〜90重量部(好ましくは2〜8
0重量部)が好ましい。
【0079】また一方、前記膜106a,106bとし
ては、絶縁機能を有するものや、液晶2を配向させる機
能を有するものや、それら両方の機能を有するものを挙
げることができる。かかる膜106a,106bの材質
等に特に制限はないが、例えばポリイミド膜を用いると
良い。該膜106a,106bに、液晶102を配向さ
せる機能を付与するには、ラビング処理等の水平配向処
理を膜表面に施すと良い。この場合のラビング処理は、
両方の電極103a,103bを被覆した膜106a,
106bの双方に施しても良いが、そのようにする場合
にはそれらのラビング方向が互いに逆方向になるように
すると良い。なお、このようなラビング処理が施されて
いると、該処理が施されていない場合に比べて微小粒子
105の移動速度を速くできる。その理由は、ラビング
処理が施されている場合には、電極間の電界によって誘
起された液晶流動が不規則流動にならずに微小粒子10
5に作用するからである。また、上述した膜106a,
106bに、液晶2を配向させる機能及び絶縁機能の両
方の機能を付与するには、膜自体を絶縁性に富む材料で
形成すると共に、ラビング処理等の水平配向処理を膜表
面に施すと良い。
【0080】ところで、上述した表示素子は、 * 光を透過することによって情報を表示する透過型表
示素子としても、 * 光を反射することによって情報を表示する反射型表
示素子としても、良い。但し、表示素子を透過型にする
場合には、両方の基板101a,101b及び両方の電
極103a,103bを透明にし、かつ微小粒子5を不
透明なもの(例えば、黒色等の暗色に着色したもの)に
する必要がある。また、表示素子を反射型にする場合に
は、少なくとも観察者側に配置される方の基板101a
及び電極103aを透明にし、観察者側から見て液晶1
02の裏側に反射層(図16及び図17の符号107参
照)を設ける必要があるが、この場合、 * 反射層7を明色(例えば、白色)にすると共に微小
粒子105を暗色(例えば、黒色)にして、微小粒子1
05を電極103aと電極103bとの間に分散させる
ことによって暗表示を行い、微小粒子105をそれらの
電極間から排除して図17に示す位置にすることによっ
て明表示を行う方法と、 * 反射層107を暗色(例えば、黒色)にすると共に
微小粒子5を明色(例えば、白色)にして、図17(a)
に示すように微小粒子105を電極103aと電極10
3bとの間に分散させることによって明表示を行い、同
図17(b) に示すように微小粒子5をそれらの電極間か
ら排除することによって暗表示を行う方法、とがある。
なお、表示素子を反射型にする場合には、観察者側から
遠い方(図17(a) (b) では下側)の基板1b及び電極
3bを着色しても良い。
【0081】また一方、基板間隙にスペーサー(不図
示)を配置して、該間隙を規定するようにしてもよい。
【0082】次に、上記表示素子の駆動方法について説
明する。
【0083】いま、前記電圧印加手段104から前記一
対の電極103a,103bに対して、波高値の異なる
複数種類の交番電圧(図18(a) 〜(c) 参照)を選択的
に印加する。その結果、これら一対の電極103a,1
03bの間に配置される微小粒子105の数が変化し、
明表示或は暗表示が可能となる。また、交番電圧の印加
を中止した場合には微小粒子105はその位置に保持さ
れ、表示のメモリーが可能となる。さらに、交番電圧の
波高値を種々変えることによって階調表示が可能とな
る。
【0084】ここで、交番電圧には、例えば図18に示
すように正極性パルスと負極性パルスとが交互に配置さ
れて形成されたものを挙げることができる。また、波高
値の異なる複数種類の交番電圧とは、例えば図18(a)
に示すように正極性パルスの波高値が負極性パルスの波
高値よりも小さい交番電圧と、例えば、図18(b) に示
すように正極性パルスの波高値が負極性パルスの波高値
よりも大きい交番電圧等を意味する。さらに、階調表示
を行う場合には、図18(a) と図18(b) の間の波高値
を持つ交番電圧(図5(c) 参照)を印加すれば良い。
【0085】なお、交番電圧は、複数の矩形波パルスか
らなるものであっても良い。
【0086】また、図18(a) に示すような正極性パル
スの波高値(V1)と負極性パルスの波高値(V2)と
が異なる交番電圧を作り出すには、図19に示すような
交番電圧(すなわち、正極性パルスの波高値と負極性パ
ルスの波高値とが等しい交番電圧)と不図示のオフセッ
ト電圧とを合成すれば良い。ここで、図18(a) に示す
正極性パルスの波高値(絶対値)をV1とし負極性パル
スの波高値(絶対値)をV2をした場合、図19に示す
正極性パルス及び負極性パルスの波高値(絶対値)は
(V1+V2)/2にすれば良い。さらに、図19(a)
〜(c) に示す交番電圧の波高値合計(すなわち、正極性
パルスの波高値の絶対値と負極性パルスの波高値の絶対
値との和)は等しく、すなわち、(V1+V2)=(V
3+V4)=(Vp+Vn)にすれば良い。このように
波高値合計を等しくした場合には、図18(a) 〜(c) に
示す交番電圧は、図19に示すような交番電圧に合成さ
せるオフセット電圧のレベルだけを変えれば作り出すこ
とができる。ここで、オフセット電圧の絶対値は、表示
素子の表示機能を阻害しなければ特に制限はないが、
(V1 +V2)/2より小さい事が好ましい。
【0087】ところで、矩形波の交番電圧を用いる場
合、周波数や波高値が小さければ、前記液晶流動と前記
電気的泳動力が小さすぎて微小粒子105が移動しない
ので、微小粒子105が移動するに足る周波数及び波高
値でなければならない。このような周波数及び波高値
は、液晶102の種類や、微小粒子105の材質・大き
さや、膜106a,106bの材質に応じて異なるもの
であり、表示素子が明状態及び暗状態を表示するように
適宜選択する必要がある。具体的には、交番電圧の周波
数は90Hz以上10kHz以下(特に、50Hz以上
10kHz以下)が好ましく、交番電圧の波高値は、電
極間に形成される電界強度が1V/μm以上になる範囲
が好ましい。
【0088】ところで、微小粒子105が上述のような
電圧印加によって移動する現象は、完全には解明できて
はいないものの、 * 電極間の電界によって誘起された液晶流動が微小粒
子105に作用する力と、 * 電極間の電界によって微小粒子5に作用する電気的
泳動力、とに起因するものと推察される。
【0089】また、電圧印加を休止した場合に微小粒子
5が移動せずに保持されて表示がメモリーされる現象
も、同様に解明できてはいないものの、液晶の粘性、微
小粒子同士の凝集力、微小粒子と固体基板(電極、基板
等)との相互作用が、前記液晶中での微小粒子の分散状
態と局在状態を維持していると推測される。特に、明状
態のメモリーは、膜106bの表面に形成した凹部Aに
微小粒子105が保持されることによって達成されるも
のと思われ、該メモリーは、表示素子が水平姿勢であっ
ても鉛直姿勢であっても達成される。
【0090】次に、本実施の形態の効果について説明す
る。
【0091】本実施の形態によれば、電圧を印加してい
ない状態でもメモリー性によって表示されることとな
り、消費電力の低減を図ることができる。
【0092】また、階調表示が可能となる。
【0093】
【実施例】以下、実施例を用いて発明の詳細について述
べる。
【0094】(実施例1)本実施例では、微小固体とし
て直径5μmのポリマービーズ(商品名ミクロパール、
積水ファインケミカル(株)製)を用いた。このポリマ
ーピーズ50mgと誘電異方性が正であるネマチック液
晶(商品名BL6、メルク社製)50mgとを混合後、
超音波処理により、液晶中にポリマービーズを均一に分
散させた。この液晶と微小固体からなる混合物を、本実
施例における表示素子用の混合物として用いた。
【0095】本実施例に関する表示素子の画素部は、一
つである。本実施例に関する表示素子の模式図を図7に
示す。図7において、61と62は透明基板(大きさ=
1cm×1cm)であり、63と64はITO(Ind
ium Tin Oxide)からなる透明電極(大き
さ=500μm×500μm)である。透明電極63、
64の厚さは、300Åである。
【0096】65と66はラビング処理を施されたポリ
イミド薄膜からなる液晶配向膜である。
【0097】ラビング条件は、ラビングロール材質=ポ
リエステル繊維、ロール外径=58mm、ロール回転数
=600rpm、ロール移動速度=2m/分、ラビング
ローラーをポリイミド配向膜上で7往復させる。ポリイ
ミド配向膜の膜厚は200Åで、ポリイミド材料=LX
−1400(日立化成工業株式会社)である。
【0098】67はスペーサー(直径=12.5μm)
であり、68は電極63と64の間に電圧を印加する電
圧印加手段である。スペーサー67は、電極近傍の基板
間に配置されている。なお、液晶配向膜65と66に施
されたラビングの向きはそれぞれ、図7中に示したx軸
の+方向及び−方向である。69は上述した方法で調整
した液晶70とポリマービーズの微小固体71からなる
混合物である。
【0099】72は前記一対の基板を張り合わせている
シール材である。シール材中にスペーサーが存在してい
る。シール材72は、表示素子内部の液晶等が外気と接
触しないように、電極を囲むように基板間に設けられて
いる。
【0100】上記表示素子は、以下の様に作成した。先
ず、上記ラビング処理を施した基板61と基板62を用
意する。次に、基板62の電極64上に、上記液晶と微
小固体との混合物69を滴下する。更に、スペーサー6
7とシール材72を混合したものを、電極64上に載ら
ないように、電極64の周辺部に配置する。ただし、該
スペーサーとシール材の混合物は、基板62の対向する
2辺上にのみ載せた。次に、電極63が電極64に対し
て所定の配置になるように、基板61を基板62の上に
載せる。シール材が硬化するまで、基板61の上から圧
力を加えた。シール材が硬化した後、圧力印加を解除
し、シール材を配置しなかった部分から表示素子の外部
に染み出た前記混合物69を拭き取った。最後に、前記
シール材のない部分を、シール材で封印した。
【0101】次に、得られた表示素子の電極63と64
の間に電圧を印加する事により、表示素子の表示状態を
変化させた。まず、電極間にポリマービーズが均一に分
散している表示素子に対して、図8に示した様な矩形波
を4秒間印加した。なお、電極64に矩形波による80
[V]が印加される様にしてある。すると、矩形波印加
前は白濁していた表示素子が、透明化した。図8に示し
た矩形波を印加中のポリマービーズを顕微鏡で観察した
ところ、ポリマービーズは+x軸方向に一方方向運動を
していた。また、図8に示した矩形波印加を解除した
後、ポリマービーズを顕微鏡で観察したところ、電極エ
ッジ近傍で局在している様子が観察された。なお、図8
に示した矩形波の印加を解除しても、形成された透明状
態は保持されていた。
【0102】次に、図9に示した様な矩形波を4秒間印
加した。なお、電極64に矩形波による−80[V]が
印加される様にしてある。すると、再び白濁化した。こ
の白濁状態は初期状態の白濁状態よりも均一性が低かっ
た。図9に示した矩形波を印加中のポリマービーズを顕
微鏡で観察したところ、ポリマービーズは−x軸方向に
一方方向運動をしていた。また、図9に示した矩形波の
印加を解除した後、ポリマービーズを顕微鏡で観察した
ところ、電極間に分散している様子が観察された。な
お、図9に示した矩形波の印加を解除しても、形成され
た白濁状態は保持されていた。本実施例では、図8、図
9にあるように、可逆的に透明状態と白濁状態を実現で
きた。
【0103】この状態の素子に、図10に示した様な矩
形波を1秒間印加した。なお、電極64に矩形波による
−80[V]が印加される様にしてある。すると、素子
の白濁状態は初期状態の白濁状態と同等な均一性を示し
ていた。図10に示した矩形波を印加中のポリマービー
ズを顕微鏡で観察したところ、ポリマービーズは方向性
のないランダム運動していた。また、図10に示した矩
形波の印加を解除した後、ポリマービーズを顕微鏡で観
察したところ、電極間に分散している様子が観察され
た。なお、図10に示した矩形波の印加を解除しても、
形成された白濁状態は保持されていた。
【0104】この白濁状態から透明状態、そして透明状
態から白濁状態への変化の過程を、表示素子の光透過率
で計測した結果を図11に示す。なお、微小固体が電極
間に均一に分散して白濁している状態での透過率を0
%、図8に示した矩形波を5秒間印加した後に到達した
透明状態での透過率を100%とした。
【0105】図11において、時間5秒の時点で図8に
示した矩形波の印加を開始し、時間9秒でその矩形波の
印加を解除した。そして、時間16秒の時点で図9で示
した矩形波の印加を開始し、時間20秒でその矩形波の
印加を解除した。更に、時間21秒の時点で図10で示
した矩形波の印加を開始し、時間22秒でその矩形波の
印加を解除した。
【0106】次に、ポリマービーズが電極間に均一に分
散している表示素子に、図8に示した様な矩形波を1秒
間印加した後、3秒間その印加を解除するという操作を
4回繰り返した。この操作の過程における表示素子の透
過率を計測した。その結果、図12に示す様に、透過率
を階段状に変化させる事ができ、階調表示が可能である
事が確認できた。
【0107】(実施例2)本実施例における表示素子の
構成は、電極間に挟持する微小固体を変えた以外は、全
て実施例1と同じである。
【0108】本実施例では、微小固体として直径5μm
のシリカビーズ(日本電気硝子(株)製)を用いた。こ
のシリカビーズ50mgとネマチック液晶(商品名BL
6、メルク社製)50mgとを混合後、超音波処理によ
り、液晶中にシリカビーズを均一に分散させた。この液
晶とシリカビーズからなる混合物を、本実施例における
表示素子用の混合物として用いた。
【0109】本実施例でも、実施例1と同様の矩形波を
印加して、表示素子の表示状態の変化を調ベた。その結
果、透過率が異なる状態間を矩形波のみで遷移させる事
ができた。また、透過率を階段状に変化させる事ができ
た。
【0110】(実施例3)本実施例における表示素子の
構成は、電極間に挟持する微小固体を変えた以外は、全
て実施例1と同じである。
【0111】本実施例では直径5μmのポリマービーズ
(商品名ミクロパールBB、積水ファインケミカル
(株)製)を用いた。このポリマービーズ50mgとネ
マチック液晶(商品名BL6、メルク社製)50mgと
を混合後、超音波処理により、液晶中にポリマービーズ
を均一に分散させた。この液晶とポリマービーズからな
る混合物を、本実施例における表示素子用の混合物とし
て用いた。
【0112】本実施例では図13(a)、(b)に示す
様な形波を印加して、表示素子の表示状態の変化を調ベ
た。
【0113】まず、電極間にポリマービーズが均一に分
散している表示素子に対して、図13(a)に示した様
な矩形波を4秒間印加した。なお、電極63は接地して
ある。すると、矩形波印加前は非透明状態であった表示
素子が、透明化した。図13(a)に示した矩形波を印
加中のポリマービーズを顕微鏡で観察したところ、ポリ
マービーズは+x軸方向に一方方向運動をしていた。ま
た、図13(a)に示した矩形波印加を解除した後、ポ
リマービーズを顕微鏡で観察したところ、電極エッジ近
傍で局在している様子が観察された。なお、図13
(a)に示した矩形波の印加を解除しても、形成された
透明状態は保持されていた。
【0114】次に、図13(b)に示した様な矩形波を
4秒間印加した。なお、電極63は接地してある。する
と、再び非透明化した。この非透明状態は初期状態の白
濁状態よりも均一性が低かった。図13(b)に示した
矩形波を印加中のポリマービーズを顕微鏡で観察したと
ころ、ポリマービーズは−x軸方向に一方方向運動をし
ていた。また、図13(b)に示した矩形波の印加を解
除した後、ポリマービーズを顕微鏡で観察したところ、
電極間に分散している様子が観察された。なお、図13
(b)に示した矩形波の印加を解除しても、形成された
非透明状態は保持されていた。
【0115】次に本実施例においても、実施例1と同様
に、図13(a)、(b)に示した矩形波を用いて表示
素子の表示状態の変化を調べた。その結果、透過率が異
なる状態間を前記矩形波のみで遷移させる事ができた。
また、透過率を階段状に変化させる事ができた。即ち、
電極間に印加する矩形波が、実施例1で用いた様な単極
性の矩形波でなくても、表示状態を制御する事ができ
た。
【0116】図13(a)、(b)に示す様な極性が正
の波高値と、極性が負の波高値の絶対値が等しくない矩
形波を微小固体の一方方向運動に用いた場合、単極性の
矩形波を用いる場合に対して次の様な点で有利になる場
合があると推測している。
【0117】単極性の矩形波を印加した場合、微小固体
は一方の電極側に引き寄せられたままとなる。この際、
電極と微小固体との間の電気的な引力等が大きいと、微
小固体の運動は大きく阻害される事になる。この様な状
況は、微小固体の液晶中における帯電量が大きい場合
や、微小固体の運動速度を増加させるために、電極間の
電界強度を増大させた場合に発生する確率が高くなる。
しかしながら、本実施例の様な矩形波を印加すれば、微
小固体は周期的に反対側の電極に引き寄せられ、前述し
たような微小固体の運動阻害要因を抑制する事ができる
と考えられる。
【0118】(実施例4)本実施例における表示素子の
構成は、電極間に保持する微少固体を下記の方法によっ
て得られたものに置換した以外は、全て実施例1と同様
である。
【0119】本実施例では、下記(1)式で示される分
子からなる微小結晶を中空セル内に充填させるための微
小固体として用いた。
【0120】
【外3】
【0121】上記(1)式で示される分子の合成方法に
ついて説明する。先ず、下記(2)式で示した化合物
8.1g(26.3mmol)と、(1R、2R)−
(−)−ジアミノシクロヘキサン1.5g(13mmo
l)、HOBt(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール)
4.3g(31.8mmol)、DCC(ジシクロヘキ
シルカルボジイミド)6.5g(31.5mmol)
を、DMF(ジメチルホルムアミド)60mlに溶解
し、一晩攪拌する。
【0122】
【外4】
【0123】次に、反応溶液中に析出してきた結晶をろ
別した後、この結晶をクロロホルム500mlに溶か
し、1MのHCl溶液200ml、飽和のNaHCO3
水溶液200ml、飽和NaCl溶液200mlで洗浄
した後、カラム精製、乾燥処理を行うことによって、上
記(1)式で示される物質を1.5g得た。
【0124】上述した方法で得られた物質500mg
と、ネマチック液晶(商品名BL6、メルク社製)50
0mgをクロロホルムに溶解した後、室温下で徐々にク
ロロホルムを揮発させた。すると、液晶と相溶性を示さ
ない(1)式で示される分子の微小結晶が液晶中に複数
個析出してくる。この液晶と微小結晶からなる混合物に
対して超音波処理を行い、液晶中に複数個の微小結晶を
均一に分散させた。このようにして得られた液晶と微小
結晶からなる混合物を、本実施例の表示素子用の混合物
に用いた。
【0125】本実施例でも実施例1と同様な効果が得ら
れた。
【0126】(実施例5)本実施例における表示素子の
構成は、電極間に挟持する微小固体を下記の操作によっ
て得られたものに代えた以外は、全て実施例4と同じで
ある。
【0127】本実施例では、マイクロビーズの表面に液
晶残基を結合させたものを微小固体71として用い、こ
の微小固体71を液晶と混合させて中空セル内に充填さ
せて用いた。本実施例ではマイクロビーズとして、表面
にアミノ基(−NH2)を有するマイクロビーズ(直径
8μm、和光純薬製)を用いた。このビーズ表面上のア
ミノ基と、前記(2)式(実施例4参照)で示される物
質を、実施例4と同様の方法により反応(DCCを用い
た縮合反応)させて、ビーズ表面に液晶残基が結合した
微小固体を作成した。
【0128】次に、この微小固体50mgをネマチック
液晶(商品名BL6、メルク社製)500mg中に入れ
た後、超音波処理を施して微小固体を液晶中に分散させ
た。そして、この液晶70と微小固体71からなる混合
物を、本実施例の表示素子用の混合物として用いた。
【0129】本実施例においても、実施例4と同様の矩
形波を印加して、表示素子の表示状態の変化を調べた。
その結果、透過率が異なる状態間を矩形波のみで遷移さ
せることができた。又、透過率を階段状に変化させるこ
とができた。
【0130】(実施例6)本実施例においては、図20
に示す透過型表示素子D4 を作成した。
【0131】すなわち、所定間隙を開けた状態に一対の
透明基板101a,101bを配置し、一方の透明基板
(1.5cm×1.5cm)101aには1cmX1c
mのサイズの透明電極103aを形成し、他方の透明基
板101bにはストライプ状の透明電極103b(以
下、“櫛形透明電極103b”とする)を形成した。本
実施例における画素数は1つである。なお、図には、櫛
形透明電極103bは6本の細長電極によって構成され
ている様子を示しているが、各細長電極の幅は100μ
m、間隙は50μm、厚さは、1200オングストロー
ムとした。とした。また、各透明電極3a,3bの表面
にはポリイミド薄膜106a,106bをそれぞれ形成
し、図示上側の基板の側のポリイミド薄膜106aにだ
けラビング処理を施した。そのラビング方向は、細長電
極の短軸方向と平行になるように(すなわち、図示Y方
向となるように)した。
【0132】ラビング条件は、実施例1と同様である。
【0133】一方、本実施例では、微小粒子105(図
20においては不図示)として、3μmの粒径の黒色の
ポリマービーズ(商品名ミクロパールBB、積水ファイ
ンケミカル(株)製)を用い、低分子液晶2(図20に
おいては不図示)としてネマチック液晶(商品名BL
9、メルク社製)を用いた。なお、このポリマービーズ
50mgとネマチック液晶50mgとを混合後、超音波
処理により、液晶中にポリマービーズ5を均一に分散さ
せた。
【0134】また、基板間隙には多数のスペーサー(不
図示)及びシール材(不図示)を配置し、該間隙を15
μmに規定した。シール材は表示素子内部の液晶が外気
に接しないように配置されている。
【0135】次に、表示素子D4 の駆動方法について説
明する。
【0136】まず、図21(a) に示すように、波高値2
0Vの正極性パルスと波高値−60Vの負極性パルスと
からなる矩形波交番電圧を300ミリ秒間だけ電極10
3a,103bに印加した。なお、+20Vの電圧は櫛
形透明電極103bの方に印加されるようにした。この
とき、表示素子D4 は明状態を表示し、交番電圧の印加
が休止された後も該表示はメモリーされていた。
【0137】本発明者は、上述のように駆動するに際し
てポリマービーズ105の動きを顕微鏡で観察した。交
番電圧を印加していない状態ではポリマービーズ105
はほぼ均一に分散しており、図21(a) に示す交番電圧
を印加した時には、ポリマービーズ105は膜表面の凹
部Aに向かって移動し(図22(a) 参照)、凹部A及び
凹部A近傍に集まった(図22(b) 参照)。このような
移動により、電極103a,103bの間にはポリマー
ビーズ105はほとんど残存しなかった。そして、該交
番電圧の印加を解除しても、ポリマービーズ105は移
動せずに図22(b) に示す位置に保持されていた(メモ
リー性)。
【0138】次に、図21(b) に示すように、波高値4
8Vの正極性パルスと波高値−32Vの負極性パルスと
からなる矩形波交番電圧を300ミリ秒間だけ電極10
3a,103bに印加した。なお、+48Vの電圧は櫛
形透明電極103bの方に印加されるようにした。この
とき、表示素子D4 は暗状態を表示し、交番電圧の印加
が休止された後も該表示はメモリーされていた。
【0139】同様に、本発明者は、上述のように駆動す
るに際してポリマービーズ105の動きを顕微鏡で観察
したが、ポリマービーズ105は電圧印加に伴って図2
2(a) の矢印とは逆の方向に移動し、透明電極103
a,103bの間に分散された状態を示した。そして、
該交番電圧の印加を解除しても、ポリマービーズ105
は移動せずにその位置に保持されていた(メモリー
性)。
【0140】上述のように図21(a) と図21(b) で示
した交番電圧を交互に印加した場合には、表示素子の光
透過率は図23のようになり、光透過率が100%の明
状態と、光透過率が0%の暗状態とが交互に表示され
た。
【0141】次に、本実施例の効果について説明する。
【0142】本実施例によれば、電圧を印加していない
状態でもメモリー性によって表示が維持された。また、
良好な階調表示が可能であった。
【0143】(実施例7)本実施例においては、図24
に示す反射型表示素子D5 を作成した。
【0144】すなわち、図示下側の透明基板101bの
下面に白色の反射板107を配置した。その他の構成は
実施例6と同様とし、同様の駆動方法で駆動した。
【0145】そして、透明基板101aの側から表示を
確認したところ、電圧を印加していない状態でもメモリ
ー性によって表示が維持され、良好な階調表示が可能で
あることが分かった。
【0146】(実施例8)本実施例においては、実施例
1と同様の透過型表示素子D4 を用いたが、いずれのポ
リイミド薄膜106a,106bにもラビング処理を施
さなかった。その他の構成は実施例6と同様とした。
【0147】また、実施例6と同様の駆動方法で表示素
子D4 を駆動したが、矩形波交番電圧(図8(a) (b) 参
照)の印加時間は、300ミリ秒間よりも50ミリ秒間
だけ長くし、350ミリ秒間とした。これにより、実施
例1と同程度の明状態及び暗状態が得られた。
【0148】なお、交番電圧を印加したときのポリマー
ビーズ105の動きを顕微鏡で観察したところ、ポリマ
ービーズ105は直線的に動くのではなく若干ふらつき
ながら動くこと(不規則な移動)を確認した。これは、
ポリイミド薄膜106a,106bにラビング処理を施
さなかったことに起因するものであって、ポリマービー
ズ5がこのような動きを示すために電圧印加時間を長く
する必要が生じたことが分かった。
【0149】(実施例9)本実施例においては、実施例
6と同様の透過型表示素子D4 を用いた。
【0150】そして、該素子の駆動に際しては、まず素
子を暗状態に保持した後、 t=0秒(図25参照)で図26(a) に示す交番電圧
を150ミリ秒間だ け印加し、 t=3秒(図25参照)で図26(b) に示す交番電圧
を150ミリ秒間だ け印加し、 t=7秒(図25参照)で図21(a) に示す交番電圧
を150ミリ秒間だけ印加し、 t=11秒(図25参照)で図21(b) に示す交番電
圧を300ミリ秒間印加して、 t=16秒(図25参照)で、再び図26(a) に示す
交番電圧を150ミ リ秒間だけ印加した。
【0151】なお、いずれの交番電圧についても正極性
の電圧は櫛形透明電極103bの方に印加されるように
した。
【0152】このような駆動により、表示素子の光透過
率を図25に示すように階段状に変化させる事ができ、
階調表示が可能である事が確認できた。また、各状態は
電圧印加を解除してもメモリーされている事が確認でき
た。
【0153】上記表示素子の状態遷移過程におけるポリ
マービーズ105の動きを顕微鏡で観察した。その結
果、実施例6と同様のポリマービーズ105の動きが観
察された。また、透明電極103a,103bの間に分
散されたポリマービーズ5の分散密度は、光透過率が大
きい程小さくなることも確認できた。
【0154】(実施例10)本実施例において作成した
表示素子は、実施例6の表示素子D4 と異なり、両方の
透明電極103a,103bをいずれもストライプ状に
し、しかも直交するように配置した。また、実施例1の
表示素子D4 と異なり、両方のポリイミド薄膜106
a,106bにはラビング処理を施さなかった。なお、
一方の電極103aの配列ピッチを100μm、他方の
電極103bの配列ピッチを80μmとした。また、両
方の電極3a,3bの電極間隙は共に50μmとした。
さらに、画素サイズは5mm×5mmその他の構成は実
施例6と同様とした。
【0155】そして、実施例6と同様に、図21(a) 及
び(b) に示す矩形波交番電圧を印加(ただし、印加時間
は360ミリ秒間)したところ、良好な表示が得られ
た。
【0156】(実施例11)本実施例において作成した
表示素子は、実施例6の表示素子D4 と異なり、図示上
側のポリイミド薄膜106aにラビング処理を施さず、
図示下側のポリイミド薄膜106bにのみラビング処理
を施した。なお、ラビング方向は、図27の符号Bに示
すようにした。すなわち、透明電極103bの単手方向
両縁部から中央部に向かうようにラビング処理を施し
た。この様なラビングを実現するためには、まず、図2
8(a) に示すようにB1 方向にラビング処理を施し、次
に、フォトレジスト10を用いて図25(b) に示すよう
に透明電極103bの片側(左半分)を覆い、B2 方向
にラビング処理を施した。
【0157】そして、実施例6と同様に、図21(a) 及
び(b) に示す矩形波交番電圧を印加(ただし、印加時間
は290ミリ秒間)したところ、良好な表示が得られ
た。
【0158】以上説明したように、本発明によると、電
圧を印加していない状態でもメモリー性によって表示さ
れることとなり、消費電力の低減を図ることができる。
【0159】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
透過率が異なり、しかもメモリー性を有する状態間を電
気刺激のみで可逆的に遷移させる事ができ、しかも透過
率を階段状に変化させる事によりカラー表示及び階調表
示が可能な表示素子および表示方法を提供する事ができ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に関する表示素子の一例を示す模式図で
ある。
【図2】表示素子の駆動波形を示す図である。
【図3】表示素子の駆動波形を示す図である。
【図4】表示素子の駆動波形を示す図である。
【図5】表示素子の表示原理の前半の部分を示す説明図
である。
【図6】表示素子の表示原理の後半の部分を示す説明図
である。
【図7】本発明の実施例1、2における表示素子を示す
模式図である。
【図8】実施例1、2における表示素子の駆動波形を示
す図である。
【図9】実施例1、2における表示素子の駆動波形を示
す図である。
【図10】実施例1、2における表示素子の駆動波形を
示す図である。
【図11】実施例1における表示素子の透過率の測定例
を示す図である。
【図12】実施例1における表示素子の透過率の測定例
を示す図である。
【図13】実施例3における表示素子の駆動波形を示す
図である。
【図14】本発明に係る表示素子の構造の一例を示す断
面図。
【図15】本発明に係る表示素子の構造の一例を示す斜
視図。
【図16】本発明に係る表示素子の構造の他の例を示す
断面図。
【図17】本発明に係る表示素子の構造の他の例を示す
断面図。
【図18】本発明に係る表示素子に印加する交番電圧の
波形を示す波形図。
【図19】図5に示す交番電圧を作り出すために用いる
交番電圧の波形を示す波形図。
【図20】本発明に係る表示素子の構造の一例を示す斜
視図。
【図21】図7に示す表示素子に印加する交番電圧の波
形を示す波形図。
【図22】微小粒子の移動の様子を説明するための図。
【図23】図21(a) と図21(b) で示した交番電圧を
交互に印加した場合の表示素子の光透過率を計測した結
果を示す図。
【図24】本発明に係る表示素子の構造の他の例を示す
斜視図。
【図25】光透過率の変化を示す図。
【図26】他の交番電圧の波形を示す波形図。
【図27】ラビング方向の一例を示す図。
【図28】ラビング処理の一例を示す図。
【符号の説明】
11、12、51、52、63、64、103 電極 13、14、53、54、61、62、101 基板 15、71、105 微小固体1 16、68、104 電圧印加手段 55 微小固体 65、66、106 液晶配向膜 67 スペーサー 69 混合物 70、102 液晶

Claims (42)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電極が対向配置し、かつ前記電極を支持
    する基板が対向配置された中空セルと、前記中空セルに
    充填された、低分子液晶と厚さが前記電極間ギャップよ
    りも小さい複数個の微小固体を含有する混合物と、前記
    電極間に電圧を印加する電圧印加手段とを具備し、前記
    微小固体を前記対向する基板間に局在させた状態と、前
    記微小固体を前記対向する基板間に分散させた状態を形
    成する事により、それぞれ前記混合物に透明状態と光透
    明状態を発現させる事により表示する事を特徴とする表
    示素子。
  2. 【請求項2】 前記透明電極上にラビング処理を施した
    液晶配向膜が積層されている事を特徴とする請求項1記
    載の表示素子。
  3. 【請求項3】 前記透明電極上に直接ラビング処理が施
    されている事を特徴とする請求項1記載の表示素子。
  4. 【請求項4】 前記対向する液晶配向膜に施されたラビ
    ングの向きが逆向きである事を特徴とする請求項2記載
    の表示素子。
  5. 【請求項5】 前記微小固体が前記液晶の等方性液体転
    移温度以下において前記液晶に溶解しない事を特徴とす
    る請求項1記載の表示素子。
  6. 【請求項6】 前記低分子液晶が低分子ネマチック液晶
    である事を特徴とする請求項1記載の表示素子。
  7. 【請求項7】 前記低分子ネマチック液晶が少なくとも
    2種類の低分子液晶からなる混合液晶である事を特徴と
    する請求項4記載の表示素子。
  8. 【請求項8】 前記微小固体が有機物である事を特徴と
    する請求項1記載の表示素子。
  9. 【請求項9】 前記微小固体が無機物である事を特徴と
    する請求項1記載の表示素子。
  10. 【請求項10】 前記微小固体が無機物と有機物との複
    合体である事を特徴とする請求項1記載の表示素子。
  11. 【請求項11】 前記微小固体の形状が球状である事を
    特徴とする請求項1記載の表示素子。
  12. 【請求項12】 前記微小固体の形状が偏平状である事
    を特徴とする請求項1記載の表示素子。
  13. 【請求項13】 前記微小固体の形状が針状である事を
    特徴とする請求項1記載の表示素子。
  14. 【請求項14】 前記微小固体の局在状態は、前記透明
    電極間に第1の入力信号として周期的電圧を印加する事
    により、前記微小固体を前記透明電極間で前記ラビング
    方向に対して平行に一方方向運動させる事により、前記
    微小固体を前記透明電極のエッジ近傍に移動させる事に
    より形成し、前記微小固体の分散状態は、前記透明電極
    間に第2の入力信号として、前記第1の入力信号とは異
    なる波形を有する周期的電圧を印加する事により、前記
    微小固体を前記透明電極間で前記一方方向運動の向きと
    は逆向きの方向に一方方向運動及び/又はランダム運動
    させる事により、前記微小固体を前記透明電極間に分散
    させる事により形成する事を特徴とする請求項1記載の
    表示素子。
  15. 【請求項15】 前記第2の入力信号が前記第1の入力
    信号に対して逆極性の信号である事を特徴とする請求項
    14記載の表示方法。
  16. 【請求項16】 前記周期的電圧の波形が矩形波である
    事を特徴とする請求項14記載の表示素子。
  17. 【請求項17】 前記矩形波が正極と負極を有する非対
    称波形である事を特徴とする請求項16記載の表示素
    子。
  18. 【請求項18】 前記矩形波の極性が正である場合の前
    記微小固体の一方方向運動の運動方向が、前記矩形波の
    極性が負である場合の前記微小固体の一方方向運動の運
    動方向に対して逆向きである事を特徴とする請求項17
    記載の表示素子。
  19. 【請求項19】 前記微小固体を一方方向に運動させる
    場合に用いる周期的電圧の周波数が90[Hz]以上1
    0[kHz]以下であり、かつ周期的電圧により前記透
    明電極間に形成される電界強度が1[V/μm]以上で
    ある事を特徴とする請求項14記載の表示素子。
  20. 【請求項20】 前記微小固体をランダム運動させる場
    合に用いる周期的電圧の周波数が1[Hz]以上80
    [Hz]以下であり、かつ周期的電圧により前記透明電
    極間に形成される電界強度が1[V/μm]以上である
    事を特徴とする請求項14記載の表示素子。
  21. 【請求項21】 微小固体が、有機分子の結晶からなる
    請求項1に記載の表示素子。
  22. 【請求項22】 有機分子が、少なくとも一つの分子間
    相互作用部位を持つ請求項21に記載の表示素子。
  23. 【請求項23】 分子間相互作用が、水素結合である請
    求項22に記載の表示素子。
  24. 【請求項24】 分子間相互作用部位が、アミド基であ
    る請求項22に記載の表示素子。
  25. 【請求項25】 有機分子が、液晶残基を有する請求項
    21に記載の表示素子。
  26. 【請求項26】 液晶残基が、ネマチック液晶残基であ
    る請求項25に記載の表示素子。
  27. 【請求項27】 ネマチック液晶残基を有する有機分子
    が、下記(1)式で示される構造を有する請求項26に
    記載の表示素子。 【外1】
  28. 【請求項28】 微小固体が、有機分子を表面に結合し
    ている微小構造体である請求項1に記載の表示素子。
  29. 【請求項29】 結合が、共有結合である請求項28に
    記載の表示素子。
  30. 【請求項30】 結合が、アミド結合である請求項29
    に記載の表示素子。
  31. 【請求項31】 結合が、非共有結合である請求項29
    に記載の表示素子。
  32. 【請求項32】 結合が、静電結合である請求項16に
    記載の表示素子。
  33. 【請求項33】 有機分子が、液晶残基から構成されて
    いる請求項28に記載の表示素子。
  34. 【請求項34】 液晶残基が、ネマチック液晶残基であ
    る請求項33に記載の表示素子。
  35. 【請求項35】 前記対向する電極のうちの少なくとも
    一方の電極はストライプ状に形成された請求項1に記載
    の表示素子。
  36. 【請求項36】 前記微小固体が着色されたものである
    請求項1に記載の表示素子。
  37. 【請求項37】 前記微小固体が黒色に着色されたもの
    である請求項1に記載の表示素子。
  38. 【請求項38】 前記対向する電極の両方がストライプ
    状に形成され、かつ、前記対向する電極が互いに直交す
    るように配置された請求項35に記載の表示素子。
  39. 【請求項39】 一方の電極の配列ピッチと他方の電極
    の配列ピッチとが互いに異なる請求項35に記載の表示
    素子。
  40. 【請求項40】 前記表示素子が透過型であることを特
    徴とする請求項1に記載の表示素子。
  41. 【請求項41】 前記表示素子が反射型であることを特
    徴とする請求項1に記載の表示素子。
  42. 【請求項42】 前記微少固体の局在状態は、前記スト
    ライプ状の電極の間隙に起因する凹部に該微少固体が局
    在した状態であり、前記微少固体の分散状態は、該スト
    ライプ状の電極及びその間隙に該微少固体を分散させた
    状態である請求項35に記載の表示素子。
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