JP2001072760A - 芳香族ポリカーボネートの製造方法及び芳香族ポリカーボネート組成物 - Google Patents

芳香族ポリカーボネートの製造方法及び芳香族ポリカーボネート組成物

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JP2001072760A
JP2001072760A JP25028799A JP25028799A JP2001072760A JP 2001072760 A JP2001072760 A JP 2001072760A JP 25028799 A JP25028799 A JP 25028799A JP 25028799 A JP25028799 A JP 25028799A JP 2001072760 A JP2001072760 A JP 2001072760A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】透明で着色のない高品質な芳香族ポリカーボネ
ートを、激しい発泡現象を起こすことなく高い重合速度
で得るための製造方法の提供。 【解決手段】水酸基、カルボキシル基、アミノ基及びこ
れらの誘導体の基からなる群から選ばれた少なくとも一
の官能基を有し、その濃度が50〜3000μeq/g
である炭化水素化合物の存在下、芳香族ジオール化合物
と炭酸ジエステルとを、エステル交換反応させることを
特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エステル交換反応
によるポリカーボネートの製造方法に関し、詳しくは、
芳香族ジオール化合物と炭酸ジエステルとから、透明で
着色のない高品質な芳香族ポリカーボネートを、激しい
発泡現象を起こすことなく高い重合速度で得るための製
造方法、特に光学用のポリカーボネートを得るための製
造方法及び透明で着色のない高品質な芳香族ポリカーボ
ネート組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、芳香族ポリカーボネートは、耐衝
撃性等の機械的特性に優れ、しかも耐熱性、透明性等に
も優れたエンジニアリングプラスチックスとして、OA
部品、自動車部品、建築材料等に幅広く用いられてお
り、特に耐衝撃性や透明性等の特性を生かして、光学用
材料として光学レンズやデイスク、シート等の用途に幅
広く使用されている。この芳香族ポリカーボネートの製
造方法としては、ビスフェノール等の芳香族ジオールと
ホスゲンとを界面重縮合法において反応させる、いわゆ
るホスゲン法が工業化されている。しかし、このホスゲ
ン法は人体に有害なホスゲンを用いなければならないこ
と、環境に対する負荷の高いジクロロメタン等の溶剤を
必要をすること、また多量に副生する塩化ナトリウムの
ポリマー中への混入により、これを電子部品に用いたと
きの腐食等の問題点が指摘されている。
【0003】一方、芳香族ジオール化合物と炭酸ジエス
テルとを溶融状態でエステル交換し、副生するフェノー
ル等の低分子量物を系外に取り除きながら芳香族ポリカ
ーボネートを得る方法も、いわゆる溶融法あるいはノン
ホスゲン法として古くから知られている。ノンホスゲン
法は界面重縮合法による上記のような問題点もなくポリ
カーボネートが製造できるという利点がある一方、ホス
ゲン法に比べて高温で重合するため、製品のポリカーボ
ネートが着色しやすいという問題がある。また、ノンホ
スゲン法は、副生するフェノール等の低分子量物を減圧
下で系外に取り除きながらポリカーボネートの分子量を
上げて行く必要があるため、ポリカーボネートの分子量
の上昇とともに系の粘度が上昇し、低分子量物の揮発に
よる発泡現象が激しくなり、飛沫同伴や液面の急上昇を
招く。この飛沫同伴や液面の急上昇は、排気系の閉塞を
招いたり、重合槽上部に付着した劣化物の製品の混入に
よる色調の悪化をもたらすため製品品質の上から好まし
くないが、発泡現象を抑えようとして、排気速度をより
小さくすると、十分な重合速度を得ることができず、結
果的にポリマーを高温にする時間が長くなり、製品ポリ
カーボネートの色調の悪化を招くというジレンマがあ
る。また、ポリカーボネートの熱滞留時間を短くするた
めに十分な排気速度を得ようとすれば、重合槽内の液容
量よりもはるかに大きい重合槽が必要になり、熱効率や
生産性の点で非効率になるという欠点を有している。こ
の発泡現象を抑えるため、例えば特開平9−28685
0号公報には、液面を直接攪拌し、機械的に破泡させる
いわゆる泡消し翼を装備する方法が開示されているが、
機械的破泡は効果が限定される上、設備が過大になる等
の問題を有していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、芳香
族ジオール化合物と炭酸ジエステルとをエステル交換反
応により、ポリカーボネートを製造する方法において、
透明で着色のない高品質な芳香族ポリカーボネートを、
激しい発泡現象を起こすことなく高い重合速度で得るた
めの製造方法及び透明で着色のない高品質なポリカーボ
ネートを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するため鋭意検討を進めた結果、特定の物質を使用
することにより、その目的を達成できることを見出し本
発明を完成させるに至った。すなわち本発明は、水酸
基、カルボキシル基、アミノ基及びこれらの誘導体の基
からなる群から選ばれた少なくとも一の官能基を有し、
その濃度が50〜3000μeq/gである炭化水素化
合物の存在下、芳香族ジオール化合物と炭酸ジエステル
とを、エステル交換反応させる芳香族ポリカーボネート
の製造方法及び透明で着色のない高品質なポリカーボネ
ート組成物に存する。
【0006】
【発明の実施形態】以下本発明を詳細に説明する。本発
明方法において、芳香族ポリカーボネートの製造原料と
しては、芳香族ジオール化合物と炭酸ジエステルとが用
いられる。本発明で用いられる芳香族ジオール化合物と
は、通常下記の一般式(1)で示される化合物である。
【0007】
【化1】
【0008】(式中、Aは、単結合、炭素数1〜10の
置換されていてもよい直鎖状、分岐状又は環状炭化水素
の2価の残基、及び−O−、−S−、−CO−、−SO
−、−SO2 −で示される2価の基からなる群から選ば
れるものであり、X及びYは、ハロゲン原子又は炭素数
1〜6の炭化水素基から選ばれるものであり、p及びq
は、0〜2の整数である。また、XとY及びpとqは、
それぞれ、相互に同一又は異なるものである。)
【0009】芳香族ジオール化合物の具体例を挙げれ
ば、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)
プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブ
チルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキ
シ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロ
パン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタ
ン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘ
キサン等のビスフェノール置換炭化水素、ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)
エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン等で
ある。これらの中でも、2,2−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)プロパン(ビスフェノールA)が、好適に用
いられる。これらの化合物は2種以上併用することも可
能で、また分岐状芳香族ポリカーボネートを製造しよう
とする場合は、少量の3価以上の多価フェノールを共重
合させることもできる。また、芳香族ポリカーボネート
の熱安定性や耐加水分解性を向上させる目的で、p−t
−ブチルフェノールやp−クミルフェノール等の1価の
フェノール類を水酸基末端の封止剤として用いることが
できる。
【0010】本発明に用いられる炭酸ジエステルとは、
通常下記の一般式(2)で示される化合物である。
【0011】
【化2】
【0012】(式中、R1 及びR2 は、炭素数1〜10
の置換されていてもよい直鎖状、分岐状又は環状のアル
キル基並びに炭素数1〜10のアルキル基及び/又はハ
ロゲン原子で置換されていてもよいアリール基からなる
群から選ばれるものであり、R 1 とR2 は、相互に同一
又は異なるものである。)
【0013】炭酸ジエステルの具体例としては、ジメチ
ルカーボネート、ジフェニルカーボネート、ジトリルカ
ーボネート、ビス(4−クロロフェニル)カーボネー
ト、ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)カーボネ
ート等が挙げられ、中でもジフェニルカーボネートが好
ましい。これらの化合物は2種以上併用することも可能
である。炭酸ジエステルは、芳香族ジオール化合物1モ
ルに対して若干過剰に用いられることが一般的であり、
通常1.01〜1.30モル、好ましくは1.02〜
1.20モルの量で用いることが好ましい。
【0014】芳香族ジオール化合物と炭酸ジエステルと
の溶融重縮合反応においては、重合速度を上げるため、
通常エステル交換触媒が用いられ、本発明では、アルカ
リ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、塩基性含窒素
化合物、ホスホニウムヒドロキシド化合物が好適に用い
られる。
【0015】アルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属
化合物の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウム、水酸化リチウム、水酸化セシウム、水酸化カル
シウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化
ストロンチウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属
の水酸化物、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、
炭酸水素リチウム、炭酸水素セシウム、炭酸水素カルシ
ウム、炭酸水素バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸
水素ストロンチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、
炭酸リチウム、炭酸セシウム、炭酸カルシウム、炭酸バ
リウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、水素
化ナトリウム、水素化アルミニウムリチウム等のアルカ
リ金属又はアルカリ土類金属の無機塩、酢酸ナトリウ
ム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸セシウム、酢酸
カルシウム、酢酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸ス
トロンチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸
カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸セシウ
ム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、
ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ストロンチウ
ム、等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の有機酸
塩、ビスフェノールAのナトリウム塩、カリウム塩、リ
チウム塩、セシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、マ
グネシウム塩、ストロンチウム塩、フェノールのナトリ
ウム塩、カリウム塩、リチウム塩、セシウム塩、カルシ
ウム塩、バリウム塩、マグネシウム塩、ストロンチウム
塩、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート等の
アルカリ金属又はアルカリ土類金属のアルコラート等が
挙げられ、中でもアルカリ金属化合物が好ましく、特に
はセシウム塩が好ましい。これらの触媒は複数のものを
組み合わせて用いてもよい。
【0016】これらのアルカリ金属化合物及びアルカリ
土類金属化合物触媒の添加量に特に制限はないが、少な
過ぎると十分な重合速度が得られず、多過ぎると得られ
るポリカーボネートの色調が悪化するため、通常芳香族
ジオール化合物1モルに対して1×10-8〜1×10-1
モル、好ましくは1×10-7〜1×10-3モルの範囲で
用いる。
【0017】塩基性含窒素化合物の具体例としては、テ
トラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルア
ンモニウムヒドロキシド等のアルキル、アリール、アル
アリール基等を有するアンモニウムヒドロキシド類、ト
リメチルアミン、トリエチルアミン等の3級アミン類、
ジメチルアミン、ジエチルアミン等の2級アミン類、n
−ブチルアミン等の1級アミン類、2−メチルイミダゾ
ール、2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール類、
ニトリロ三酢酸等のイミノカルボン酸誘導体又はその
塩、テトラメチルアンモニウムボロハイドライド、テト
ラブチルアンモニウムボロハイドライド等のアンモニウ
ムボロハイドライド等が挙げられる。
【0018】また、ホスホニウムヒドロキシド化合物の
具体例としては、テトラエチルホスホニウムヒドロキシ
ド、テトラブチルホスホニウムヒドロキシド、テトラフ
ェニルホスホニウムヒドロキシド、メチルトリフェニル
ホスホニウムヒドロキシド等が挙げられ、中でもテトラ
ブチルホスホニウムヒドロキシド、テトラフェニルホス
ホニウムヒドロキシドが好適に用いられる。
【0019】これらの塩基性含窒素化合物、ホスホニウ
ムヒドロキシド化合物は、アルカリ金属化合物又はアル
カリ土類金属化合物と併用することが好ましく、中でも
高温で易分解性あるいは揮発性で製品のポリカーボネー
ト中に残存しないものが好ましく用いられる。これらの
塩基性含窒素化合物、ホスホニウムヒドロキシド化合物
の添加量に特に制限はないが、通常は芳香族ジオール化
合物1モルに対し、1×10-8〜1×10-1モル、好ま
しくは1×10-7〜1×10-2モルの範囲で用られる。
【0020】本発明で用いられる炭化水素化合物とは、
水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭化水
素骨格及び所定の官能基を有する化合物である。所定の
官能基は、水酸基及びそのエステル基、炭酸エステル
基、エーテル基等の水酸基の誘導体基、カルボキシル基
及びそのエステル基、アミド基、ウレタン基等のカルボ
キシル基の誘導体基、アミノ基及びそのアミド基、ウレ
タン基、尿素基等のアミノ基の誘導体基であり、中でも
水酸基及び水酸基の誘導体基並びにカルボキシル基及び
カルボキシル基の誘導体基が好ましく、特には水酸基及
び水酸基の誘導体基が好適である。
【0021】炭化水素骨格の具体例としては、(1)ア
ルカン、アルケン、アルキン、シクロアルカン、シクロ
アルケン、アリールアルカン、アリールアルケン、アリ
ールアルキン等の炭化水素類、(2)エチレン、プロピ
レン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ペ
ンテン、1−ヘキセン等のα−オレフィンモノマー、シ
クロペンテン、シクロヘキセン等の二重結合を有する環
状炭化水素モノマー、スチレン、α−メチルスチレン等
の二重結合を有する芳香族炭化水素モノマー及びブタジ
エン、1,3−ペンタジエン、クロロプレン、イソプレ
ン等のジエン化合物モノマーの少なくとも1種を含む重
合体又は共重合体が挙げられる。本発明で用いる炭化水
素化合物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、炭素、
水素、ハロゲン以外の原子を含んでいてもよいし、2種
類以上の炭化水素化合物を混合して用いてもよく、中で
も炭化水素骨格がジエン化合物の重合体又は共重合体で
あるものが好ましく、特にはポリブタジエンが好まし
い。
【0022】通常、ブタジエン等の共役二重結合を有す
るジエン化合物の重合体又は共重合体は、1,2−付加
構造及び/又は1,4−付加構造を有するが、好ましく
は全共役ジエン化合物モノマー単位の50%以上、より
好ましくは70%以上、特には80%以上が1,2付加
構造であるものを用いた場合、本発明の効果が顕著であ
る。また、重合中の架橋反応を抑制するためには、ジエ
ン化合物の重合体又は共重合体中の不飽和結合を、遷移
金属触媒等を用いて水素添加しておくことが好ましい。
【0023】ジエン化合物の重合方法としては、ラジカ
ル、カチオン、アニオン、配位アニオン等の方法が用い
られいずれの方法を用いてもよいが、1,2−付加構造
を全モノマー単位の50%以上含むものを製造するため
にはアニオン重合で行うことが好ましい。本発明の目的
を達成するためには、炭化水素化合物中の水酸基、カル
ボキシル基、アミノ基及びこれらの基の誘導体基からな
る官能基の濃度(複数種ある場合はその合計)が、50
〜3000μeq/gであることが必要で、好ましくは
300〜2000μeq/g、より好ましくは500〜
1500μeq/gである。これら官能基の濃度が小さ
いと得られるポリカーボネートの透明性が悪化し、多い
と架橋反応等の副反応による品質劣化が起こる。また、
これら官能基の導入は、上記ジエン化合物の重合に際し
又は重合後に、慣用の方法に従って行うことができる。
すなわち、水酸基又はその誘導体基は、ジエン化合物の
リビング重合体にエチレンオキサイド等を反応させた
り、過酸化水素等の水酸基含有ラジカル開始剤を用いて
ラジカル重合させたり、水酸基を有する重合体に酸ハラ
イドや酸無水物を反応させることによって導入される。
カルボキシル基又はその誘導体基は、ジエン化合物のリ
ビング重合体に二酸化炭素を反応させたり、4,4’−
アゾビス−(4−シアノ吉草酸)等のカルボキシル基又
はその誘導体基を有する開始剤を用いてラジカル重合さ
せたり、カルボキシル基又はその誘導体基を有するモノ
マーを重合体と反応させることによって導入される。ア
ミノ基又はその誘導体基は、水酸基を有する重合体の水
酸基を、シアノエチル化し、水素化したり、ハロゲン化
した後、アミノ化することによって導入される。
【0024】これら炭化水素化合物の分子量は、特に制
限はないが、小さすぎると芳香族ジオール化合物と炭酸
ジエステルとの重合反応中に揮発して消泡効果がなくな
り、大きすぎると消泡効果が小さくなるため、好ましく
は蒸気浸透圧法(VPO)で測定した数平均分子量が2
00〜30000、さらに好ましくは500〜1000
0、特には1000〜5000であることが望ましい。
これら炭化水素化合物の添加量も、特に制限はないが、
少なすぎると消泡効果が現れず、多すぎると製品の透明
性等品質の悪化を招くため、原料芳香族ジオール化合物
の重量に対して、好ましくは0.01〜5000pp
m、さらに好ましくは0.05〜1000ppm、より
好ましくは0.1〜100ppm、好適には0.5〜3
0ppm、最適には0.5〜20ppmであることが望
ましい。
【0025】本発明方法において、溶融法による芳香族
ポリカーボネートの製造は、回分式、連続式、これらの
組み合わせ等、何れの方法でもよいが、炭酸ジエステル
の揮散による芳香族ジオール化合物と炭酸ジエステルの
モルバランスのずれを防止するため、比較的低温、低真
空からなる予備重縮合工程(オリゴマー化工程)と、比
較的高温、高真空からなる後重縮合工程(ポリマー化工
程)に分割して行うことが一般的である。オリゴマー化
工程の反応温度は、通常100〜300℃、好ましくは
180〜280℃の範囲で、反応圧力は大気圧〜1to
rrまでの範囲である。一方、ポリマー化工程の反応温
度は、通常200〜320℃、好ましくは240〜30
0℃の範囲で、反応圧力は50torr以下、最終的に
は1torr以下にすることが好ましい。前記の炭化水
素化合物は、原料中もしくはオリゴマー中に、直接又は
適当な溶剤で希釈して添加することができ、添加時期に
は特に制限はなく、重合前の原料に添加する方法、重合
反応の任意の段階で添加する方法の何れでもよいが、本
発明の効果を最大限に生かすには、発泡が激しくなる前
の段階、特に反応圧力が30torr以上の段階で添加
することが好ましい。
【0026】本発明方法に従えば、芳香族ポリカーボネ
ートは、通常、上記炭化水素化合物を、ポリカーボネー
ト中の芳香族ジオール化合物成分の重量に対して0.0
1〜5000ppm含有する組成物として得られる。し
かして、この組成物には、さらに、他の慣用の成分、例
えば熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、
帯電防止剤、防腐剤、接着促進剤、着色剤、発泡剤、ブ
ロッキング防止剤、滑剤、展着剤、殺菌剤、可塑剤、離
型剤、増粘剤、防滴剤、衝撃性改良剤、無機充填剤、有
機充填剤などを配合することもできる。
【0027】
【実施例】以下、実施例に従って、本発明を具体的に説
明するが、本発明はその要旨を越えない限り、これらに
限定されるものではない。
【0028】なお、測定は以下の方法で行った。 (1)粘度平均分子量(Mv) オリゴマー又はポリカーボネートの濃度(C)0.6g
/dlの塩化メチレン溶液を用いて、温度20℃で測定
した比粘度(ηsp)から、下記の両式 ηsp/C=[η](1+0.28ηsp) [η]=1.23×10-4Mv0.83 を用いて算出した。
【0029】(2)ポリカーボネートの透明性 60×60×3.2mmの平板をバレル温度320℃で
射出成形し、東京電色(株)製ヘーズメーターを使用し
て全光線透過率で評価した。
【0030】(3)ポリカーボネートのYellow
Index(YI) 上記平板を使ってミノルタ(株)製分光測色計CM−3
700dを用い測定した。
【0031】(4)炭化水素化合物の数平均分子量(M
n) 日立117型VPOを用いトルエンを溶媒として測定し
た。
【0032】(5)水添ポリブタジエンの1,2−付加
構造比率及び官能基濃度 重クロロホルム溶液として日本電子製JNM−A400
を用い 1H−NMRを測定し、メチル、メチレン、メチ
ン、及び官能基に隣接するメチレン、メチンのピーク強
度比から算出した。
【0033】(6)発泡状況 重合槽内の液面上昇を目視で観察した。
【0034】(7)ポリカーボネート中の炭化水素化合
物含有量 ポリカーボネートを1N−KOH水溶液を加え加熱し加
水分解を行った後、クロロホルムで抽出、濃縮し、重ク
ロロホルム溶液として日本電子製JNM−A400を用
いて 1H−NMRを測定し定量した。
【0035】[実施例1]ジフェニルカーボネート・フ
レーク(三菱化学(株)製)23.1molに、炭酸セ
シウム水溶液(炭酸セシウムとして0.5(μmol/
ビスフェノールA−mol))と、炭化水素化合物とし
て下記の末端変成水添ポリブタジエン構造を有する化合
物(商品名ポリテールH、三菱化学(株)製): HO−(CH2 −CH2 −CH2 −CH2 )n−OH
Mn=2700 0.055g(ビスフェノールAに対し11ppm)を
トルエンで希釈したものを、マイクロシリンジで添加し
よく混合した。これを100℃にコントロールされた還
流冷却器を有する40Lの重合缶に仕込み、次いでビス
フェノールA(新日鉄化学(株)製)22.0molを
仕込んだ。重合槽内を10torrにして窒素で大気圧
にする操作を7回繰り返し、内部を窒素置換した。次に
温度230℃の熱媒を通じ昇温、溶解させた後、300
rpmで攪拌し、内温を210℃に保ちながら、40分
かけて圧力を760torrから100torrにし
た。続いて、圧力を100torrに保持したまま、フ
ェノールを留去させながら80分オリゴマー化反応を行
った。オリゴマー化終了後、系内を窒素で0.2MPa
に復圧し、このオリゴマーを、100℃にコントロール
された還流冷却器を有する40L重合槽(大気圧)に圧
送した。続いて該重合槽内を大気圧まで放圧し、38r
pmで攪拌しながら、外部ジャケットに300℃の熱媒
を通じ、図1のラインAに沿って系内を減圧にし、発泡
状況を観察した。0.5torr到達後、この圧力を保
持したまま90分間縮合反応を行い、ポリマー化反応を
行った。最終的な内部温度は280℃であった。重合反
応終了後、窒素で復圧しポリマーをストランド状で抜き
出して回転式カッターでペレット化した。
【0036】[実施例2]炭化水素化合物として下記構
造を有する化合物(商品名ポリテールHA、三菱化学
(株)製)0.054g(ビスフェノールAに対し11
ppm)を用いた他は実施例1と同様にして発泡状況を
観察し、ポリマーを得た。
【0037】
【化3】
【0038】[実施例3]炭化水素化合物として下記構
造を有する化合物(商品名ポリテールHAC、三菱化学
(株)製)0.059g(ビスフェノールAに対し12
ppm)を用いた他は実施例1と同様にして発泡状況を
観察し、ポリマーを得た。
【0039】
【化4】
【0040】[実施例4]炭化水素化合物の量を30.
1g(ビスフェノールAに対し5993ppm)とした
以外は実施例1と同様にして発泡状況を観察し、ポリマ
ーを得た。
【0041】[実施例5]炭化水素化合物の水素添加物
の量を0.04 mg(ビスフェノールAに対し0.0
08ppm)とし、液面の上昇による溜出管の閉塞を回
避するために、図1のラインBに沿って系内を減圧にし
発泡状況を観察した以外は実施例1と同様にしてポリマ
ーを得た。
【0042】[比較例1]炭化水素化合物を添加しなか
った以外は実施例5と同様にして発泡状況を観察し、ポ
リマーを得た。
【0043】各実施例、比較例について用いた炭化水素
化合物の量及び得られたポリマーの評価をまとめて第1
表に示した。また、重合槽内の発泡状況の時間変化を図
2(実施例1〜4)と図3(実施例5及び比較例1)に
示した。これらの図又は表から、実施例4では、実施例
1に比べ、全光線透過率及び製品色調に若干の低下が認
められ、実施例5では、実施例1に比べ、消泡効果の低
下、製品色調に若干の低下が認められた。また、比較例
1では、全ての実施例に比べ、消泡効果及び製品色調が
不十分であった。一方、実施例2では、消泡効果、製品
色調ともに優れていた。
【0044】
【表1】
【0045】
【発明の効果】本発明に従えば、芳香族ジオール化合物
と炭酸ジエステルとをエステル交換反応により、透明で
着色のない高品質な芳香族ポリカーボネートを、激しい
発泡現象を起こすことなく高い重合速度で得ることが可
能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 重合槽内の減圧プログラムを示す線図。
【図2】 重合槽内の発泡状況の時間変化を示す線図。
【図3】 重合槽内の発泡状況の時間変化を示す線図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西田 裕一 福岡県北九州市八幡西区黒崎城石1番1号 三菱化学株式会社黒崎事業所内 Fターム(参考) 4J002 AC022 AC032 AC042 AC112 CG001 CP011 CP021 GP00 4J029 AA09 AB04 AD01 AE04 BB12A BB13A BB13B BE05A BF14A BH02 DB07 DB13 FA07 HC04A HC04C HC05A HC05B JA091 JA121 JB171 JB201 JC031 JC091 JC171 JC261 JC631 JE023 JF021 JF031 JF041 JF051 JF131 JF141 JF151 JF161 JF211 JF221 KA03 LA01

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水酸基、カルボキシル基、アミノ基及びこ
    れらの誘導体の基からなる群から選ばれた少なくとも一
    の官能基を有し、その濃度が50〜3000μeq/g
    である炭化水素化合物の存在下、芳香族ジオール化合物
    と炭酸ジエステルとを、エステル交換反応させることを
    特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造方法。
  2. 【請求項2】炭化水素化合物の数平均分子量が500〜
    20000であることを特徴とする請求項1記載の芳香
    族ポリカーボネートの製造方法。
  3. 【請求項3】炭化水素化合物を、原料芳香族ジオール化
    合物の重量に対して0.01〜5000ppm存在させ
    ることを特徴とする請求項1又は2記載の芳香族ポリカ
    ーボネートの製造方法。
  4. 【請求項4】炭化水素化合物が、ジエン化合物の重合体
    又はその水素添加物であることを特徴とする請求項1〜
    3いずれかに記載の芳香族ポリカーボネートの製造方
    法。
  5. 【請求項5】ジエン化合物の重合体は、1,2付加構造
    が全共役ジエン化合物モノマー単位の50%以上である
    ことを特徴とする請求項4に記載のポリカーボネートの
    製造方法。
  6. 【請求項6】水酸基、カルボキシル基、アミノ基及びこ
    れらの誘導体の基からなる群から選ばれた少なくとも一
    の官能基を有し、その濃度が50〜3000μeq/g
    である、数平均分子量500〜20000の炭化水素化
    合物を、芳香族ジオール化合物成分の重量に対し0.0
    1〜5000ppm含有することを特徴とするポリカー
    ボネート組成物。
  7. 【請求項7】YIが2.3以下であることを特徴とする
    請求項6に記載のポリカーボネート組成物。
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