JP2001066559A - 光変調器 - Google Patents

光変調器

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JP2001066559A
JP2001066559A JP23804599A JP23804599A JP2001066559A JP 2001066559 A JP2001066559 A JP 2001066559A JP 23804599 A JP23804599 A JP 23804599A JP 23804599 A JP23804599 A JP 23804599A JP 2001066559 A JP2001066559 A JP 2001066559A
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multilayer film
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light
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JP23804599A
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English (en)
Inventor
Chiyoujitsuriyo Suzuki
朝実良 鈴木
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Panasonic Holdings Corp
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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  • Optical Modulation, Optical Deflection, Nonlinear Optics, Optical Demodulation, Optical Logic Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 光情報処理技術において重要な役割を果たす
面型空間光変調器において、光の高利用効率化、利用光
波長領域の拡大、高速動作、低電圧動作を実現できる素
子を提供することを目的とする。 【解決手段】 反射多層膜を構成する二種類の材料のう
ち、どちらか一方の材料103の膜厚109をすべて光
学長にして(2m+1)λ/4(ただし、mは自然数、
λは光の波長)に相当する厚さとし、他方の材料102
の膜厚をλ/4として反射多層膜を構成し、この反射多
層膜の中心付近に屈折率変化層としての役割を担う層1
04の膜厚を任意の膜厚110とする。この構成によ
り、光の高利用効率化、利用光波長領域の拡大、高速動
作、低電圧動作を実現できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高度な高速処理を
行う光情報処理システムの重要な構成要素となる光書き
込み型空間光変調器や、投射型ディスプレイに代表され
る反射型空間光変調器への応用を目的とした反射多層膜
の反射スペクトル制御に関するものであり、特に素子動
作の高速化と安定化、光の高利用効率化、動作時の低電
圧化、変調可能な光周波数領域の拡大を容易に達成でき
るような半導体反射多層膜の構造設計に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】空間光変調器は、光の空間的強度分布や
位相分布を変調して、2次元並列情報を光に乗せる機能
を有する素子である。
【0003】この空間光変調器、特に、2次元並列情報
を光によって書込み、且つ光によって読み出すことので
きる光書込み型空間光変調器は、光演算システムや光情
報処理システムのキーデバイスの一つである。
【0004】この空間光変調器の変調方法にはさまざま
な方式が提案されているが、高速な応答を可能にするた
めには、半導体の利用が最も適している。半導体による
デバイスは、作製する上でも技術が確立されており、特
に化合物半導体においては光学材料として優れた特性を
持つ物も多く、都合がいい。このため、化合物半導体を
反射多層膜として利用する反射型の空間光変調器が提案
されており、実際に作製もなされている。
【0005】このような反射型空間光変調器としては反
射多層膜を利用し且つバルクにおけるフランツ−ケルデ
ッシュ効果や多重量子井戸における量子シュタルク効果
を用いたものがある。
【0006】多重量子井戸を利用せず、バルクにおける
フランツ−ケルディシュ効果による吸収端の位置の変化
を利用する素子では、電圧印加によって吸収端の移動す
る範囲が狭く変調度は小さい。さらには多重量子井戸構
造を持つ素子ほどの急峻な吸収端が得られないため、十
分な吸収端制御ができない。以上の理由から、反射型空
間光変調器の吸収端制御層には、多重量子井戸を用いた
量子シュタルク効果が用いられることが多い。このよう
な反射型半導体空間光変調器は特開平5−501923
号公報、特開平5−506518号公報及び特開平5−
273504号公報などに開示されている。現在、試作
または生産されている多重量子井戸における量子シュタ
ルク効果を用いた従来までの反射型空間光変調器につい
て、図5を用いて以下で説明する。
【0007】この素子は、下部電極506を形成した半
導体基板501と上部電極505との間に高反射多層膜
層502、多重量子井戸光吸収制御層503、低反射多
層膜層504を順次積層した構成になっている。ここ
で、低反射多層膜層504の反射率は30%〜50%程
度、高反射多層膜層502の反射率はほぼ100%に近
い値である。
【0008】上部電極505の側から入射した入射光5
07は低反射多層膜層504と高反射多層膜層502と
の間で反射を繰り返すとともに、低反射多層膜層504
側から反射光508として出射する。上部電極505と
下部電極506の間に電圧を印加しない状態では、多重
量子井戸光吸収制御層503での吸収はほとんどなく、
全体としてQ値の高い共振器として働く。通常、反射多
層膜では各層の膜厚を光学長としてλ/4に相当する膜
厚で交互に積層するのに対し、共振器には共振波長λの
整数倍に相当する膜厚を用いる。この結果、反射スペク
トルにおける最大ピークの中心に相当する波長で反射率
がほぼ0となるようなバレイが現れる。なお、この時の
光変調器の動作波長λは共振器の共振波長λと同じもの
である。
【0009】次に、上部電極505と下部電極506の
間に電圧を印加すると、多重量子井戸光吸収制御層50
3の実効バンドギャップが変化し、励起子吸収ピークの
吸収端が長波長側へシフトする。多重量子井戸の励起子
吸収ピークをあらかじめ共振器の共振波長近傍の短波長
側に設定しておくと、共振波長に励起子吸収ピークが重
なってくる。すなわち、多重量子井戸光吸収制御層50
3が光吸収層として働くようになる。このため、動作波
長λにおける反射条件は電圧印加前と印加後とでは異な
り、電圧印加によって共振器構造部分が光吸収層として
働くため、変調器全体としては低反射多層膜層504の
みが光を反射することとなる。すでに前述したように低
反射多層膜層504の反射率は30%〜50%程度であ
るから、反射がほとんどない状態から30%〜50%程
度の反射率の状態に変化することになる。この励起子吸
収ピークのシフト量は印加電圧の大きさによって制御さ
れるので、電圧によって反射光508の強度を変えるこ
とができる。以上のような動作原理によって、印加電圧
の変化による反射率の制御ができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
構成はいくつかの課題を有している。まず、上記の反射
型空間光変調器が有する技術的課題について説明する。
上記のように、量子シュタルク効果を利用して材料の吸
収端を変化させ、光の吸収を利用することによって反射
率の変化を誘起する方法を用いる場合、光の吸収を大き
くしておく必要がある。当然の事ながら、吸収が大きい
と光電流が生じるとともに発熱が生じ、特に素子の微細
化を行った場合に熱によるバンドギャップエネルギーの
揺らぎが生じ素子の動作特性が変化してしまう。
【0011】また、このような構成の空間光変調器には
使用している材料の面にも課題がある。基板や他の材料
との格子整合がとれ、熱的にも比較的安定で、結晶成長
においてもその結晶性が優れている材料としては、化合
物半導体の中でもGaAs,InPを基板とした、(G
a,Al,In)As系や(Ga,Al,In)P系の
III−V族化合物半導体があげられる。しかし、それ
らの代表的材料の吸収端はどれも赤外光領域にあり、可
視光領域では吸収が大きい。すなわち、これらの材料を
使って可視光領域で吸収端制御を行おうとしても光の利
用効率が極端に低下するので、実際上利用不可能であ
る。
【0012】それでも半導体による光変調器では吸収端
制御方式以外に反射スペクトルそのものを変化させて光
強度変調を行うのは難しいと考えられており、光通信へ
の応用が旺盛となってきている時流とも相まって1.5
μmや1.3μmでの光変調器が中心となっているため
吸収端制御方式だけが存在している。
【0013】本発明は、上記のような従来の技術の抱え
る課題を解決し、なおかつ高速応答性、可視光における
高利用効率化、低電力駆動を同時に達成するような空間
光変調器用反射多層膜を実現することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に本発明では、共振器構造や光吸収層を用いることな
く、新方式の構造を用いることで従来難しいとされてき
た反射多層膜の反射スペクトル自体を変化させる方法を
採っている。これによって、利用する材料も可視光領域
の緑色(λ=550nm)から青色(λ=450nm)
に対応した反射多層膜までは作れるものの、その波長域
近辺に吸収端を持つ材料がないため吸収端制御方式には
全く不適であったGaP/AlP系材料が使用できるよ
うになる。
【0015】さらに、少ない電力投入でも大きな反射率
変化を得るために反射スペクトルを細くする構造を取り
入れた。また、変調時のコントラスト比を大きくとるた
めに、位相シフト層の挿入によって得られる反射スペク
トル形状をより最適化している。
【0016】具体的には、反射多層膜を構成している二
種類の材料のうち一方の材料を光学長にして(2m+
1)λ/4(ただし、mは自然数、λは光の波長)の膜
厚に設定して作製する。これによって、多層膜を構成し
ている材料の屈折率差を少なくせずに、反射スペクトル
ピークの半値幅を極端に細くできる。また、この反射多
層膜の中心付近にある任意の一層の膜厚は任意の値で構
わないわけだが、光学長にして(2m+1)λ/4以外
の膜厚とすることで、反射スペクトルピークの内部に反
射率が低くなるバレイの構造が現れる。バレイ極小値が
位置する波長λopeが素子としての動作波長である。
この動作波長λopeの位置は反射多層膜の中心付近に
あり、光学長にして(2m+1)λ/4以外の膜厚を有
する層の膜厚によって一意的に決まる。この層の屈折率
を変えることによってバレイの位置が移動し、動作波長
λopeでの反射率変調が行われる。さらに、反射多層
膜の最上部にある一層の膜厚を光学長にして(2n+
1)λ/4(ただし、nはn>mを満たす自然数。)と
することによって、前述したバレイ構造の反射率極小値
が0に近くなるようなスペクトル形状を持つ反射スペク
トルを得ることができ、変調時のコントラスト比が大き
くとれる。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明
は、第1の材料を含む第1の層と第2の材料を含む第2
の層を交互に複数回積層した構成を有する反射多層膜を
有し、前記第1の層の膜厚を光学長にして(2m+1)
λ/4(ただし、mは自然数、λは光の波長)に相当す
る厚さとし、前記反射多層膜中の所定の位置に前記第1
の層の膜厚以外の膜厚を有する第3の層が挿入されてい
ることを特徴とする光変調器であり、反射スペクトルに
おいて複数の高反射率ピークを有し、短波長側にあるピ
ークにおいては従来技術による反射多層膜におけるメイ
ンのピークの線幅よりも狭い幅を持ったピークを、多層
膜を構成している材料間の屈折率差を少なくすることな
く、得ることができる。このため多層膜の周期数は特に
増やす必要が無くなり、作製上の問題点が解消できる。
同時に反射スペクトルのメインピークよりもさらに幅の
狭いバレイをメインピーク内に作ることができるという
作用を有しているので、線幅が狭いことから変調度を大
きくとることができ、変調動作時の外力の印加も少なく
て済むという作用を有する。
【0018】ここで、請求項2に記載したように、第2
の層の膜厚をλ/4(ただし、λは光の波長)としても
同様の効果が得られる。さらに、請求項3に記載したよ
うに、反射多層膜の積層方向に電気的外力、磁気的外力
又は応力を印加する手段を有する構成としても同様の効
果が得られる。
【0019】本発明の請求項4に記載の発明は、反射多
層膜の最上層の膜厚が光学長にして(2n+1)λ/4
(ただし、nはn>mを満たす自然数、λは光の波長)
であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか記
載の光変調器であり、多層膜を構成しているいかなる層
の膜厚よりも最上層膜厚を大きくしているので、メイン
ピーク内に現れるバレイの極小値をよりいっそう低くす
ることができる。また、透明電極のような素子表面全体
を覆い尽くすような電極ではなく、光入出射用の窓を設
けた形状の金属電極を最上層表面に形成して多層膜に電
圧印加するときにも、この最上層において光学窓に依存
して生じる面内の電界不均一を緩和でき、多層膜各層の
面内方向で均等な電界を多層膜の積層方向にかけられる
といった作用を有する。
【0020】本発明の請求項5に記載の発明は、第3の
層が、実質的に不純物添加されていない領域であって、
その領域の両側の反射多層膜領域の一方がp型、他方が
n型の不純物添加となっていることを特徴とする請求項
1ないし4のいずれか記載の光変調器であり、半導体反
射多層膜の中心に位置し、任意の膜厚を有している半導
体層の部位に多重量子井戸構造を導入でき、屈折率変化
量を大きくとることが可能となる。また、pn接合を有
する反射多層膜に対して順方向または逆方向へ電圧印加
することによって、反射多層膜内の特定の半導体領域の
キャリア濃度を制御でき、動作波長での反射率を電気的
に制御できるという作用を有する。
【0021】以下、本発明の実施の形態について、図1
から図4を参照しながら説明する。
【0022】(実施の形態1)図1は本発明の一実施例
における反射光強度変調用の反射多層膜の断面図であ
る。図1において、101はp型不純物がドープされた
p−半導体基板、102はp型不純物がドープされたp
−半導体A層、103はp型不純物がドープされたp−
半導体B層、104はその一部または全域が故意には不
純物添加が無いi−半導体C層であり、このi−半導体
C層の任意部分を境界として多層膜全体がp型領域およ
びn型領域に分けられている。i−半導体C層104は
半導体Aや半導体Bの少なくとも一方によって構成され
るかまたはそれら以外の材料を含めた材料で、基本的に
はどのような材料でも良く、二元、三元、四元などの単
一の材料による場合や多重量子井戸による場合などが考
えられる。105はn型不純物がドープされたn−半導
体A層、106はn型不純物がドープされたn−半導体
B層、107は半導体Bと同一の半導体材料による多層
膜全体としての最上層である。108はp−半導体A層
102とn−半導体A層105の膜厚Dであり、光学長
にしてλ/4(ただし、λは光の波長。反射スペクトル
のメインピーク最大値をとる波長。前述の動作波長λo
peとは異なる。)とする。また、109はn−半導体
B層103とn−半導体B層106との膜厚Eであり、
光学長にして(2m+1)λ/4(ただし、mは自然
数)である。さらに、110はi−半導体C層104の
膜厚Fであり、この膜厚は全くの任意でよく、光学長に
して(2m+1)λ/4以外となっておれば電圧印加な
どのない状態で反射スペクトルのメインピーク内にバレ
イが現れる。111は最上層107の膜厚Gであり、光
学長にして(2n+1)λ/4(ただし、nはmより大
きい自然数)である。
【0023】112は前記p−半導体A層102とp−
半導体B層103を交互に積層することによって構成さ
れ、i−半導体C層104内任意部分迄のp型領域を含
めたp型半導体多層膜であり、113はi−半導体C層
104内の任意部分から始まるn型領域を含め、n−半
導体A層105とn−半導体B層106を交互に積層す
ることによって構成され、最上層107で終端されてい
るn型半導体多層膜層である。
【0024】以上のように構成された光強度変調用反射
多層膜について、図1を参照しながらその動作を説明す
る。また、半導体の中でもとりわけ化合物半導体の代表
例としてGaPとAlPを反射多層膜材料として選んだ
場合の反射スペクトルの計算結果である図2と図3と図
4とを用い、説明を補足していく。
【0025】まず、電圧印加が無い状態での反射多層膜
構造と反射スペクトル特性との関係を説明する。
【0026】はじめにp−半導体A層102とn−半導
体A層105との膜厚D108を光学長にしてλ/4、
p−半導体B層103とn−半導体B層106との膜厚
E109を光学長にして(2m+1)λ/4とするこ
と、すなわち膜厚E109を膜厚D108の奇数倍にし
たときの反射スペクトル形状について図2を用いて説明
する。
【0027】膜厚E109を膜厚D108の奇数倍にし
て構成した場合の反射スペクトルの一例として、p−半
導体A層102およびn−半導体A層105に相当する
材料をGaP、n−半導体B層103およびn−半導体
B層106に相当する材料をAlPにして反射スペクト
ルを計算すると図2の実線ようになる。このとき、反射
多層膜の周期数は15に設定し、反射スペクトルのピー
ク波長λが632.8nmになるように膜厚を設定し
た。この値に関しては以下の図3や図4においても用い
る。すなわち、特に指定した部分以外の膜厚はλ/4も
しくはその奇数倍の膜厚である。比較のため、どちらの
材料の膜厚もλ/4に設定した場合の反射スペクトルも
点線で図中に示した。図2に示したように、光学長に換
算した膜厚E109が同じく光学長に換算した膜厚D1
08の(2m+1)倍となるように反射多層膜を構成し
た場合の反射スペクトルにおいては、目的の波長の二倍
の位置にもピークを持ち、かつ目的波長のピーク幅は通
常得られるような反射スペクトルのピーク幅の1/2と
なる。
【0028】次に、i−半導体C層104の膜厚F11
0を光学長にして(2m+1)λ/4以外の膜厚として
反射多層膜を構成した場合の反射スペクトル形状の変化
について図3を用いて説明する。本実施の形態では、i
−半導体C層104として半導体B層と同様にAlPを
用い、半導体B層の8層目をi−半導体C層104に置
き換えるかたちにした。本来膜厚Fは任意であるから適
当な値で構わないが、簡単のため膜厚F110は光学長
にして5λ/32となるように設定し、図2と同様に光
学長に換算した膜厚E109が同じく光学長に換算した
膜厚D108の(2m+1)倍となるように反射多層膜
を構成した場合(実線)と、どちらの膜厚も光学長にして
λ/4となるように設定した場合(点線)の反射スペクト
ルを示したものが図3である。光学長に換算した膜厚E
109を膜厚D108の奇数倍にするしないに関わら
ず、膜厚F110は光学長にして5λ/32となるよう
に設定しているため、反射スペクトルピークの内部にバ
レイが現れている。前述したようにバレイ極小値の波長
が素子としての動作波長λopeであり、反射スペクト
ルピーク波長λとは異なる。この動作波長λopeとピ
ーク波長λとの関係は膜厚F110をどのような値にす
るかによって一意的に決められる。本実施例の場合では
先にピーク波長λを設定し、膜厚F110を設定して反
射スペクトルの計算を行ってバレイ極小値をとる波長、
すなわち動作波長λopeが得られるといった手順にな
ってはいるが、実際には動作波長λopeを決めてから
逆算をして各層の膜厚決定などといった素子設計を行う
ことになる。
【0029】図3で得られた結果は図2の場合と同様
に、光学長に換算した膜厚E109を同じく光学長に換
算した膜厚D108の奇数倍にした場合、目的の波長の
二倍の位置にもピークを持ち、かつ波長λ付近のピーク
幅は通常得られるような反射スペクトルのピーク幅の1
/2以下となる。同時に反射スペクトルピーク内部に存
在するバレイの線幅も細くなる。
【0030】このように、反射スペクトルピーク内の任
意の位置にバレイがくるようにしたうえで、多層膜を構
成する材料のうちの一方の光学的膜厚を他方の材料の光
学的膜厚の奇数倍にして多層膜を構成すると、反射スペ
クトルピーク幅が細くなると同時にピーク内のバレイ幅
も非常に狭いものとなる。
【0031】最後に、最上層107の膜厚G111を光
学長にして(2n+1)λ/4として反射多層膜を構成
した場合の反射スペクトル形状について図4を用いて説
明する。本実施例では、最上層107として半導体B層
と同様にAlPを用い、半導体B層15層目を最上層1
07に置き換えるかたちにした。光学長に換算した膜厚
E109を同じく光学長に換算した膜厚D108の奇数
倍にした場合の構造について図3で示したのに対し、膜
厚D108は3λ/4としたまま膜厚G111を光学長
にして11λ/4とした場合(実線)と3λ/4とした場
合(点線)の反射スペクトルを比較したものが図4であ
る。膜厚G111を光学長にして11λ/4となるよう
にすると、反射スペクトルピークの最高値はほとんど変
化せず、バレイを含んだ形状を維持したままピーク内に
あるバレイ極小値を通常よりも小さくとれるような反射
スペクトル形状にすることができる。
【0032】以上、図2から図4を用いて説明してきた
ように、多層膜を構成する材料のうちの一方の光学的膜
厚を他方の材料の光学的膜厚の奇数倍にしたうえで、反
射スペクトルピーク内の任意の位置にバレイがくるよう
にし、最上層にあたる部分の光学的膜厚も他方の材料の
奇数倍にしつつ許される限り厚くして構成した反射多層
膜に電圧を印加する場合を説明する。
【0033】前述のような反射多層膜に電圧印加をして
反射率変調を行う場合、pn−半導体104の内部を境
界としてその両側がそれぞれp型、n型となるように不
純物添加を行い、そこへ逆方向電圧を印加する。
【0034】逆方向電圧を印加する事によって、i−半
導体C104層内の空乏層幅が変化し、場合によっては
i−半導体C104層を挟んでいるp−半導体A層10
2やn−半導体A層105にまで広がる。このとき空乏
層の広がりによる効果と同時に電圧印加による効果でこ
の層の屈折率値が電圧印加前に対して変化し、実効的な
光学膜厚が変化したことになる。このことは、膜厚F1
10の値が変化したことに等価であるから、前述のメイ
ンピーク内の任意の位置にあるバレイはその位置を変
え、本来バレイが位置していた波長において反射率が変
化することになる。これだけの動作が1ないし2ボルト
程度の小電圧印加でも、十分に機能するのであれば膜厚
E109や膜厚G111に工夫を凝らす必要はないが、
実際にそのようなことはなく、10ないし20ボルト以
上の電圧印加を要する。このため、前述のように光学長
に換算した膜厚E109が同じく光学長に換算した膜厚
D108の(2m+1)倍となるようにすることによっ
てピークおよびバレイの幅を狭くしておき、ピークやバ
レイ位置のシフト量がたとえ小さくとも反射率変化を大
きくできうるようにしておけば、電圧印加量を少なくす
ることができる。また、光学長に換算した膜厚G111
を光学長に換算した膜厚D108の奇数倍とするととも
に、極端に厚く積むことによってメインピーク内にある
バレイの極小値を0に近くでき、バレイの位置変化によ
る反射率変調時のコントラスト比を大きくとることがで
きる。
【0035】また、電圧印加時には最上層117の上に
電極形成が必要となり、その電極には光学用の窓を設け
ることになるが、このとき電極が最上層の表面全体を覆
うことにはならず、光学用窓の部分だけは電極を取り除
いてしまう。このため、高濃度に不純物添加がなされ、
なおかつ膜厚が極端に厚くなっているような最上層11
7の存在は多層膜の面方向に対して電圧を一様に印加す
るにあたっても非常に有効な層となる。なお、本実施の
形態では電圧を印加した場合の例を示したが、電圧の変
わりに、磁気的な力あるいは、応力等の外力でも良い。
【0036】また、p−半導体多層膜112とn−半導
体多層膜113との位置関係は図1における上下を逆に
した構造であっても良い。
【0037】以上、計算結果を示したが、実際の実験で
も同様の結果が得られた。
【0038】なお、本実施の形態では半導体A層にAl
P、半導体B層にGaPを用いたが、半導体A層と半導
体B層とが全く同じ組成でさえなければAlPとGaP
との混晶であるAlxGa1-xPを用いてもよい。
【0039】また、基板としてはGaPを用いたが、S
i基板を用いても良く、その場合、3元混晶を用いるこ
とが可能で、半導体A層をAlP1-yy、半導体B層を
GaP1-zzとしても良く、その際にも両者を全く同じ
組成としない範囲で混晶化した4元混晶を用いてもよ
い。
【0040】また、p型半導体、n型半導体の不純物添
加量には特に厳密な指定はなく、半導体C層に使用する
材料や添加不純物の材料によって異なるが、1×1017
〜1019cm-3の範囲内が妥当であり、可能な限り多く
添加した方がよい。
【0041】また、本実施の形態では半導体C層を半導
体B層の8層目と置き換えることにより挿入したが、そ
れに、限定されるものではない。例えば、多層膜の周期
数を15にした場合、5層目から11層目までに挿入し
ても同様の結果が得られた。
【0042】さらに、本実施の形態では半導体C層に使
用する材料を半導体B層と同じものとしたが、それに限
定されるものではない。半導体A層と同様でもよいし、
それ以外でもよい。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、本発明において
は、所望の光波長領域で透明な材料を反射多層膜層とし
て選ぶことによって任意の光領域でも使用可能な半導体
反射型空間光変調器を実現し、反射多層膜を構成してい
る二種の材料の膜厚のうち一方の材料の膜厚、および最
上層の膜厚を適当に設定することによって反射率変調時
にシフトする反射スペクトルピークの一部分の峡帯域化
と変調度増大とを同時に達成できる。また、この空間光
変調器は共振器構造を必要としないため、作製上の手間
も同時に省けるものであるが、本発明ではさらに反射多
層膜層の周期数をも少なくできるため、作製上の手間を
より一層省くことができる。また、変調度が増大するの
で、自動的に動作電圧も下げることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態にかかる反射型空間光変
調器の断面図
【図2】本発明の一実施の形態における反射型空間光変
調器の反射スペクトルを示す図
【図3】本発明の一実施の形態における反射型空間光変
調器の反射スペクトルを示す図
【図4】本発明の一実施の形態における反射型空間光変
調器の反射スペクトルを示す図
【図5】従来の反射型空間光変調器の断面図
【符号の説明】
101 p−半導体基板 102 p−半導体A 103 p−半導体B 104 i−半導体C 105 n−半導体A 106 n−半導体B 107 最上層

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の材料を含む第1の層と第2の材料
    を含む第2の層を交互に複数回積層した構成を有する反
    射多層膜を有し、前記第1の層の膜厚を光学長にして
    (2m+1)λ/4(ただし、mは自然数、λは光の波
    長)に相当する厚さとし、前記反射多層膜中の所定の位
    置に前記第1の層の膜厚以外の膜厚を有する第3の層が
    挿入されていることを特徴とする光変調器。
  2. 【請求項2】 第2の層の膜厚がλ/4(ただし、λは
    光の波長)であることを特徴とする請求項1記載の光変
    調器。
  3. 【請求項3】 反射多層膜の積層方向に電気的外力、磁
    気的外力又は応力を印加する手段を有することを特徴と
    する請求項1又は2記載の光変調器。
  4. 【請求項4】 反射多層膜の最上層の膜厚が光学長にし
    て(2n+1)λ/4(ただし、nはn>mを満たす自
    然数、λは光の波長)であることを特徴とする請求項1
    ないし3のいずれか記載の光変調器。
  5. 【請求項5】 第3の層が、実質的に不純物添加されて
    いない領域であって、その領域の両側の反射多層膜領域
    の一方がp型、他方がn型の不純物添加となっているこ
    とを特徴とする請求項1ないし4のいずれか記載の光変
    調器。
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WO2003058327A1 (fr) * 2002-01-07 2003-07-17 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Modulateur optique du type a surface et son procede de fabrication

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US6778308B2 (en) 2002-01-07 2004-08-17 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Process of fabricating semiconductor light emitting device
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