JP2001062894A - アクリルフィルムの製造方法 - Google Patents

アクリルフィルムの製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 良好な品質のアクリルフィルムを、押出成形
により低コストで製造する。 【解決手段】 平均粒子径が500μm以上のアクリル
樹脂粉体を原材料として使用し、ブリッジブレイカー5
やロータリーバルブ6を有する乾燥機1で水分率0.3
%以下に乾燥する乾燥工程と、原材料を単軸押出機に供
給し、混練し、押出すことにより、フィルム状に成形す
る押出成形工程とを含むアクリルフィルムの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アクリルフィルム
を、押出成形により低コストで製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アクリルフィルムは、通常、単軸押出機
を用いた溶融押出法により製造されている。ここで原材
料として押出機に供給されるのは、通常、ペレットであ
る。
【0003】このペレットの代わりに、乳化重合や懸濁
重合によって工業的に得た粒子径の小さな粉体を使用す
ると、押出機への安定供給が困難となり、均一な厚みを
持つフィルムを製造できない。また、この単軸押出機の
代わりに二軸押出機を使用すると、押出機への原材料の
供給は比較的安定し易いが、ダイ部分にまでフィルム製
造に必要な昇圧ができず、溶融した樹脂のダイへの供給
が定量的でないので、安定したフィルム製造が行なえな
い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】先に述べたように、従
来技術において、アクリルフィルムは、ペレットを原材
料とし、単軸押出機を用いた溶融押出法により製造され
ている。
【0005】しかしながら、ペレットを原材料とすると
いうことは、まずその前に、樹脂材料からペレットを製
造する工程が必要になるということである。このペレッ
トの製造は、通常は、樹脂材料を押出機等でペレット状
に造粒することにより行なわれている。すなわち、ペレ
ットを原材料とすると、アクリルフィルムの製造に当た
り、少なくともペレット製造工程が追加されることにな
り、その分、設備費、人件費、梱包費、輸送費、エネル
ギー等の点でコストがかかることになる。
【0006】本発明は、このような従来技術の課題を解
決すべくなされたものであり、良好な品質のアクリルフ
ィルムを、押出成形により低コストで製造できる方法を
提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、アクリル樹脂
を主成分とする平均粒子径が500μm以上の粉体を原
材料として用い、該粉体を乾燥機で水分率0.3%以下
に乾燥する乾燥工程と原材料を単軸押出機に供給し、混
練し、押出すことによりフィルム状に成形する押出成形
工程とを含むことを特徴とするアクリルフィルムの製造
方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態に
ついて説明する。
【0009】本発明で用いるアクリル樹脂は、特に限定
されないが、製造時や後加工時の加工性やハンドリング
性、意匠性、深み感から、柔軟性、透明性に富んだもの
が好ましい。例えば、特公昭62−19309号公報、
同63−20459号公報、特開昭63−77963号
公報などに記載されているアクリル樹脂系の多層構造重
合体やその組成物を用いることができる。
【0010】具体的にはアクリル樹脂として、アルキル
アクリレートおよび/またはアルキルメタクリレートを
含む単量体とグラフト交叉剤とを用いて得た最内層重合
体、アルキルアクリレーおよび必要に応じて多官能性単
量体を含む単量体とグラフト交叉剤とを用いて得た架橋
弾性重合体(中間層)、ならびに、アルキルメタクリレ
ートを含む単量体を用いて得た最外層重合体を基本構造
単位としたアクリル樹脂系多層構造重合体等を用いるこ
とができる。このアクリル樹脂系多層構造重合体は一種
を単独で用いてもよいし、二種以上の多層構造重合体を
併用してもよいし、他の樹脂と併用してもよい。
【0011】また、アクリル酸エステルと架橋性単量体
とを含む単量体から得た弾性共重合体の存在下にメタク
リル酸エステルを含む単量体を重合して得たアクリル樹
脂系多層構造重合体(ゴム含有重合体)を用いることも
できる。このこのアクリル樹脂系多層構造重合体も一種
を単独で用いてもよいし、二種以上の多層構造重合体を
併用してもよいし、他の樹脂と併用してもよい。
【0012】他のアクリル樹脂と併用する例としては、
上記アクリル樹脂系多層構造重合体(ゴム含有重合体)
と、メタクリル酸メチルを含む単量体を用いて得た重合
体であって還元粘度(重合体を0.1gをクロロホルム
100mlに溶解し、25℃で測定)が0.1L/gを
超える熱可塑性重合体と、メタクリル酸エステルを含む
単量体を用いて得た重合体であって還元粘度(上記条件
で測定)が0.1L/g以下である熱可塑性重合体との
三成分を含むアクリル樹脂組成物等が挙げられる。
【0013】本発明においては、このようなアクリル樹
脂を、粉体のまま原材料として用いる。したがって、従
来技術のようなペレット製造工程を省略でき、低コスト
化を実現できる。
【0014】ただし、この粉体は、平均粒子径が500
μm以上でなければならない。この平均粒子径が500
μm未満の場合は、押出機への供給が不安定となり、均
一な厚みを持つアクリルフィルムを安定して製造するこ
とができない。また、平均粒子径が大きくても製造上の
問題はなく、粒子径の上限は特に規定されない。ただ
し、粒子径の大きな粉体は製造することが困難である。
また、篩別することで大きな粒子を得ることは可能であ
るが、加工コストがかかる。
【0015】この平均粒子径は、筒井理化学器械株式会
社製、M−2型ミクロ形電磁振動ふるい器で30分間篩
別して算出した値である。
【0016】これら特定の平均粒子径を有するアクリル
樹脂(アクリル樹脂系多層構造重合体等)は、市販品と
しても入手可能である。
【0017】本発明においては、この粉体を乾燥機で水
分率0.3%以下に乾燥する。アクリル樹脂には吸湿性
が有り、水分率が0.3%を超えると、フィルム製造時
に発泡やメヤニの発生、ダイラインなどの欠陥が生じる
傾向にある。この粉体の水分率は、粉体10gを120
℃で恒量に達するまで加熱し、重量減少により算出した
値である。
【0018】乾燥方法は、特に限定されず、除湿エア乾
燥、熱風乾燥、真空乾燥、電磁波による乾燥等が挙げら
れる。上記各乾燥法のうち、除湿エア乾燥以外の乾燥法
は、通常、複数の乾燥機を使用したバッチ乾燥方法をと
るので、連続して乾燥することは困難である。一方、除
湿エア乾燥は、連続的に乾燥できるので連続生産に有利
であり、設備スペース、設備コスト等の点で好ましい。
また、乾燥機の排出部には、ロータリーバルブやブリッ
ジブレイカーを設置することが好ましい。
【0019】図1は、乾燥エアを用いた連続除湿乾燥機
を例示する模式的断面図である。この連続除湿乾燥機1
は、装置本体の乾燥エア導入側に設けられたエアヒータ
ー2と、サイクロン3と、吸引ブロア側に連通する原料
吸引ホッパー4とを有し、さらに、原料排出側(計量混
合機側)にはブリッジブレイカー5およびロータリーバ
ルブ6が設けられている。このような乾燥機1を使用す
ることにより、良好な連続乾燥を行なうことができる。
【0020】以上説明したような乾燥工程により、アク
リル樹脂を主成分とする粉体の水分率を0.3%以下に
してから、これを単軸押出機に供給し、混練し、押出す
ことによりフィルム状に成形する。
【0021】この押出成形工程は、供給された粉体を溶
融混練し、フィルム状に押出成形する方法であればよ
く、例えば、Tダイ法、インフレーション法など、従来
より知られる各種の溶融押出成形法を用いることができ
る。特に製造安定性の点から、Tダイ法が好ましい。ま
た、単軸押出機としては、特に限定されないが、混練性
を考慮したスクリュフォーメーションを選ぶことが好ま
しい。
【0022】このアクリルフィルムの製造の際には、必
要に応じて、紫外線吸収剤、熱安定剤、光安定剤、酸化
防止剤、滑剤、加工助剤、艶消し剤、染料、顔料など、
従来より知られる各種の添加剤を添加できる。
【0023】添加剤を用いる場合は、乾燥工程で乾燥し
た粉体を添加剤と共に計量、混合して、単軸押出機に供
給し、押出成形工程を行なうことが好ましい。使用する
自動計量混合装置は、オフラインでもインラインでもよ
い。ただし、インライン化された自動計量混合装置を用
いると、人手によるコストがかからず、安定して連続生
産でき、しかも混合物をストックしておくためのバッフ
ァタンクも不要なので設備スペースや設備コストの点で
有利である。
【0024】また、添加剤の少なくとも一種とアクリル
樹脂とから成るマスターバッチを用いることもできる。
この場合は、添加剤の計量混合工程が簡素化できる利点
がある。ただし、マスターバッチへの賦形のコストがか
かる欠点もあるので、マスターバッチの量はできるだけ
少なくすることが望ましい。また、この場合はマスター
バッチを乾燥する設備も必要となる。
【0025】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、実施例中「部」とあるのは「重量部」を表す。ま
た各略号は以下の化合物を示すものとする。 MMA:メタクリル酸メチル BuA:アクリル酸ブチル MA:アクリル酸メチル AMA:メタクリル酸アリル。
【0026】<実施例1>アクリル系樹脂として、平均
粒子径650μmの粉体状アクリル樹脂系3層構造重合
体(各組成重量比、 最内層:MMA/BuA/AMA
=5/30/0.3、 中間層:MMA/BuA/AM
A=6/4/1、 最外層:MMA/BuA=50/
5)を用い、以下の通りアクリルフィルムを製造した。
【0027】まず、図1に示したブリッジブレイカー5
およびロータリーバルブ6を設けた連続除湿乾燥機[田
中鉄工(株)製、トライアングル]を用い、80℃の乾
燥エアを供給し、粉体の乾燥機内での滞在時間が3時間
以上になるようにして乾燥を行った。乾燥後の粉体の水
分率は0.2%であった。
【0028】次に、自動計量混合装置[タマキ(株)
製、オートブレンダー]を用い、粉体100部に対し、
紫外線吸収剤[チバガイギー社製、商品名チヌビンP]
2部の割合で計量し、一回の計量につき30秒間の混合
を行った。
【0029】この粉体と紫外線吸収剤の混合物を、10
00mm幅Tダイ付き単軸押出機[日本製鋼所(株)
製、P−65]に供給し、混練し、Tダイより押出し、
平均厚み50μmのアクリルフィルムを得た。この際の
押出条件は、シリンダー設定温度220℃、Tダイ設定
温度230℃、スクリュー回転数30rpm、引き取り
速度30m/時とした。
【0030】この押出工程において、単軸押出機への粉
体供給およびTダイからの吐出は安定していた。また、
得られたアクリルフィルムは良好な外観を呈し、膜厚も
均一であった。
【0031】<実施例2>実施例1で使用した粉体状ア
クリル樹脂系3層構造重合体を篩別し、平均粒子径32
00μmの粉体を得た。この粉体を用いたこと以外は、
実施例1と同様の方法(乾燥後の粉体の水分率0.2
%)で、平均厚み50μmのアクリルフィルムを得た。
【0032】この押出工程において、単軸押出機への粉
体供給およびTダイからの吐出は安定していた。また、
得られたアクリルフィルムは良好な外観を呈し、膜厚も
均一であった。
【0033】<実施例3>アクリル系樹脂として、平均
粒子径900μmの粉体状アクリル樹脂系3層構造重合
体(各組成重量比、 最内層:MMA/BuA/AMA
=3/50/0.3、 中間層:MMA/BuA/AM
A=6/4/1、 最外層:MMA/BuA=34/
3)と、MMA/MA共重合体(組成重量比、MMA/
MA=98/2、還元粘度0.06L/g)を、50/
50の重量比で混合して、平均粒子径600μmの混合
粉体を調製した。この混合粉体を原料として用いたこと
以外は実施例1と同様の方法(乾燥後の粉体の水分率
0.2%)で、平均厚み50μmのアクリルフィルムを
得た。
【0034】この押出工程において、単軸押出機への粉
体供給およびTダイからの吐出は安定していた。また、
得られたアクリルフィルムは良好な外観を呈し、膜厚も
均一であった。
【0035】<実施例4>アクリル系樹脂として、実施
例3で用いたものと同じ平均粒子径900μmの粉体状
アクリル樹脂系3層構造重合体と、MMA/MA共重合
体(組成重量比、MMA/MA=98/2、還元粘度
0.06L/g)と、さらにアクリル樹脂系2層構造重
合体(各組成重量比、 内層:MMA/BuA=40/
10、 外層:MMA/BuA=48/2、還元粘度
0.38L/g)とを、40/60/2の重量比で混合
して、平均粒子径530μmの混合粉体を調製した。こ
の混合粉体を原料として用いたこと以外は実施例1と同
様の方法(乾燥後の粉体の水分率0.1%)で、平均厚
み50μmのアクリルフィルムを得た。
【0036】この押出工程において、単軸押出機への粉
体供給およびTダイからの吐出は安定していた。また、
得られたアクリルフィルムは良好な外観を呈し、膜厚も
均一であった。
【0037】<比較例1>乾燥機内の粉体の滞在時間を
2時間にして、乾燥後の粉体の水分率を0.5%とした
こと以外は、実施例1と同様にしてアクリルフィルムの
製造を試みた。しかしながら、Tダイにメヤニの付着が
生じ、得られたフィルムにはダイラインおよび発泡が見
られ、良好な外観のフィルムが得られなかった。
【0038】<比較例2>実施例1で使用した粉体状ア
クリル樹脂系3層構造重合体を篩別し、平均粒子径45
0μmの粉体を得た。この粉体を原料として用いたこと
以外は、実施例1と同様の方法(乾燥後の粉体の水分率
0.2%)で、平均厚み50μmのアクリルフィルムの
製造を試みた。しかしながら、押出機への粉体供給が安
定せず、均一な厚みのフィルムが得られなかった。
【0039】<比較例3>単軸押出機の代わりに、10
00mm幅Tダイ付き二軸押出機[日本製鋼所(株)
製、TEX−44]を用いたこと以外は(押出条件は同
一)、実施例1と同様の方法(乾燥後の粉体の水分率
0.1%)で、平均厚み50μmのアクリルフィルムの
製造を試みた。しかしながら、Tダイからの吐出が不安
定で、厚みムラが±20%を超えるフィルムしか得られ
なかった。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のアクリル
フィルムの製造方法によれば、ペレット製造工程が不要
なので低コスト化が達成でき、しかも押出機への原材料
供給や溶融樹脂のダイへの供給等も安定しているので、
膜厚が均一で、外観や品質も良好なアクリルフィルムを
製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】乾燥エアを用いた連続除湿乾燥機を例示する模
式的断面図である。
【符号の説明】
1 乾燥機 2 エアヒーター 3 サイクロン 4 原料吸引ホッパー 5 ブリッジブレイカー 6 ロータリーバルブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29L 7:00 (72)発明者 盛久 忠男 愛知県豊橋市牛川通四丁目1番地の2 三 菱レイヨン株式会社豊橋事業所内 (72)発明者 大石 一郎 愛知県豊橋市牛川通四丁目1番地の2 三 菱レイヨン株式会社豊橋事業所内 (72)発明者 富山 和大 愛知県豊橋市牛川通四丁目1番地の2 三 菱レイヨン株式会社豊橋事業所内 Fターム(参考) 4F071 AA33 AA77 AA88 AG34 BA01 BB06 BB09 BC01 4F201 AA21 AB14 AC04 AG01 AL06 AL15 AL16 AL17 BA06 BD05 BN21 BQ07 BQ45 4F207 AA21 AB14 AC04 AG01 AL06 AL15 AL16 AL17 KA01 KA17 KF01 KF12 KL84

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクリル樹脂を主成分とする平均粒子径
    が500μm以上の粉体を原材料として用い、 該粉体を乾燥機で水分率0.3%以下に乾燥する乾燥工
    程と、 原材料を単軸押出機に供給し、混練し、押出すことによ
    り、フィルム状に成形する押出成形工程とを含むことを
    特徴とするアクリルフィルムの製造方法。
  2. 【請求項2】 乾燥工程で乾燥した粉体を添加剤と共に
    計量、混合して、単軸押出機に供給し、押出成形工程を
    行なう請求項1記載のアクリルフィルムの製造方法。
  3. 【請求項3】 乾燥機の原料排出部に、ブリッジブレイ
    カーが設置されている請求項1または2記載のアクリル
    フィルムの製造方法。
  4. 【請求項4】 乾燥機の原料排出部に、ロータリーバル
    ブが設置されている請求項1〜3の何れか一項記載のア
    クリルフィルムの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101394814B1 (ko) 2011-11-23 2014-05-14 (주)엘지하우시스 투명성 및 내충격성이 우수한 아크릴 수지 필름 및 그 제조 방법
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JP2017082240A (ja) * 2017-01-12 2017-05-18 富士フイルム株式会社 アクリルフィルムおよびその製造方法

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