JP2001059015A - 流延用エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

流延用エポキシ樹脂組成物

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JP2001059015A
JP2001059015A JP11236407A JP23640799A JP2001059015A JP 2001059015 A JP2001059015 A JP 2001059015A JP 11236407 A JP11236407 A JP 11236407A JP 23640799 A JP23640799 A JP 23640799A JP 2001059015 A JP2001059015 A JP 2001059015A
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epoxy resin
alcohol
acid anhydride
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liquid crystal
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Katsumi Shimada
克実 嶋田
Yutaka Aoki
豊 青木
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Nitto Denko Corp
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Nitto Denko Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 流延法で、厚み精度が良好な樹脂板及び液晶
表示素子用透明樹脂板を製造することができるエポキシ
樹脂組成物を提供すること。 【解決手段】 下記の(A)及び(B)成分を含有する
エポキシ樹脂組成物を得る。 (A)エポキシ樹脂。 (B)アルコールで部分エステル化した酸無水物系硬化
剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、流延法により樹脂
板を製造するためのエポキシ樹脂組成物及びそれを硬化
して得られる硬化体より成る樹脂板、液晶表示素子用透
明樹脂板、さらには、液晶表示装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】液晶表示素子の液晶セルには透明樹脂板
が用いられている。液晶表示素子用透明樹脂板として
は、熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂からなる板が用
いられいてるが、ガラス板の代替えとしては、耐熱性、
光学的等方性などの観点から、熱硬化性樹脂の方が好ま
しく用いられている。熱硬化性樹脂としては、主に、液
状エポキシ樹脂が用いられており、注型法によって上記
板が製造されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、注型法
では、生産効率が低く、大量生産が困難であるため、流
延法で、生産効率を向上することが望まれている。流延
法とは、例えば、回転する平滑なステンレス製エンドレ
スベルト上に液状樹脂をシート状に展開して連続的に成
形する製造方法であるが、上記注型法に用いられている
従来の液状エポキシ樹脂をこの流延法に用いると、樹脂
が低粘度であるため、ステンレスベルト上で樹脂が不必
要に流動し、得られる板の厚みのバラツキが大きくな
る。液晶表示素子用透明樹脂板の用途に厚みのバラツキ
のある樹脂板を用いると、それを用いて得られる液晶表
示装置の表示機能に、色ムラ、光度ムラ等の致命的な欠
陥を与える。
【0004】また、流延法は、従来、熱可塑性樹脂の板
を成形する方法であり、熱硬化性であるエポキシ樹脂の
板を流延法により成形した例は、過去に報告されていな
い。従来、エポキシ樹脂組成物としては、上記のような
注型あるいはポッティング、印刷等に用いる低粘度の液
状のものや、半導体素子の封止等にトランスファー成形
材料として常温で流動性がない固形のものが使用されて
はいたが、流延法で樹脂板を製造するのに適したエポキ
シ樹脂組成物は知られていない。
【0005】本発明は、流延法で、厚み精度が良好な樹
脂板及び液晶表示素子用透明樹脂板を製造することがで
きるエポキシ樹脂組成物の提供を目的とする。さらに、
本発明は、そのエポキシ樹脂組成物を用いて製造される
樹脂板、液晶表示素子用透明樹脂板、及び、その液晶表
示素子用透明樹脂板を用いて得られる液晶表示装置の提
供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明のエポキシ樹脂組成物は、下記の(A)及び
(B)成分を含有することを特徴とする。 (A)エポキシ樹脂。 (B)アルコールで部分エステル化した酸無水物系硬化
剤。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明のエポキシ樹脂組成物は流
延法により樹脂板に成形されるため、通常、常温で液状
であるが、固形でも良く、その場合は、使用時に加熱溶
融して用いることができる。ここで、常温とは、通常、
25℃を意味する。エポキシ樹脂組成物が常温で液状の
場合、25℃での粘度が50〜400ポアズ、さらに
は、75〜150ポアズであることが好ましい。また、
エポキシ樹脂組成物が常温で固形の場合は、加熱溶融し
て粘度を50〜400ポアズ、さらには、75〜150
ポアズに調整して使用するのが好ましい。粘度が50ポ
アズより小さい場合は、流延時に、ステンレスベルト上
で樹脂が不必要に流動し、得られる板の厚みのバラツキ
が大きくなる傾向がある。また、粘度が400ポアズよ
り大きい場合は、流延作業性が悪くなったり、気泡が内
在して、外観に欠陥を生じる傾向がある。この粘度は通
常、回転式E型粘度計で測定することができる。
【0008】そして、エポキシ樹脂組成物を上記のよう
な粘度範囲に調整することは、以下に具体的に記載する
(A)成分のエポキシ樹脂及び(B)成分の酸無水物系
硬化剤を適宜選択して組合わせることにより可能であ
る。
【0009】本発明において、(A)成分であるエポキ
シ樹脂としては、特に限定するものではなく、従来公知
のエポキシ樹脂を使用することができ、常温(通常、2
5℃を意味する)で固形の物あるいは液状の物を適宜使
用することができる。
【0010】上記常温で固形のエポキシ樹脂としては、
特に限定するものではなく、従来公知のエポキシ樹脂、
例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノ
ールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキ
シ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式
エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、ヒダ
ントインエポキシ樹脂等の含窒素環エポキシ樹脂、水添
加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、脂肪族系エポキシ
樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ビスフェノ
ールS型エポキシ樹脂、低吸水率硬化体タイプの主流で
あるビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロ環型エポキシ
樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂等があげられ、これら
は単独で使用してもあるいは併用してもよい。上記各種
エポキシ樹脂の中でも、液晶表示素子用透明樹脂板のよ
うに透明性と耐変色性が求められる場合には、ビスフェ
ノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ
樹脂、脂環式エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌ
レートを用いることが好ましい。中でも、下記一般式
(2)で表わされる脂環式エポキシ樹脂が特に好まし
い。
【0011】
【化2】
【0012】上記のような常温で固形のエポキシ樹脂と
しては、一般に、エポキシ当量90〜1000、軟化点
160℃以下のものが好ましく用いられる。エポキシ当
量が90より小さい場合は、エポキシ樹脂組成物の硬化
物が脆くなり、また、エポキシ当量が1000を超える
場合は、硬化物のTgが低くなるからである。
【0013】上記常温で液状のエポキシ樹脂としては、
特に限定するものではなく、従来公知のエポキシ樹脂、
例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノ
ールF型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、水添加ビ
スフェノールA型エポキシ樹脂、脂肪族系エポキシ樹
脂、グシシジルエーテル型エポキシ樹脂、ビスフェノー
ルS型エポキシ樹脂等があげられ、これらは単独で使用
してもあるいは併用してもよい。上記各種エポキシ樹脂
の中でも、液晶表示素子用透明樹脂板の透明樹脂として
は、エポキシ樹脂組成物の硬化体が変色しにくいという
点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノ
ールF型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂を用いるこ
とが好ましい。中でも、下記一般式(3)で表わされる
脂環式エポキシ樹脂が特に好ましい。
【0014】
【化3】
【0015】上記のような常温で液状のエポキシ樹脂と
しては、一般に、エポキシ当量90〜950のものが用
いられる。
【0016】なお、エポキシ樹脂((A)成分)中の上
記常温で固形のエポキシ樹脂の含有率は、前記の流延に
適したエポキシ樹脂組成物の粘度を得るためには、25
〜70重量%であることが好ましい。
【0017】本発明において、(B)成分であるアルコ
ールで部分エステル化した酸無水物系硬化剤とは、酸無
水物系硬化剤の酸無水基の一部をアルコールで、下記化
学反応式に示すような反応により、エステル化したもの
である。
【0018】
【化4】
【0019】通常、酸無水基1当量に対して、アルコー
ルの水酸基を0.1〜0.6当量反応させるのが好まし
く、さらには、0.2〜0.6当量反応させるのが好ま
しい。アルコールの水酸基が0.1当量より少ない場合
は、流延法に適切なエポキシ樹脂組成物の粘度が得られ
ず、エポキシ樹脂組成物を硬化して得られる硬化体より
成る樹脂板および液晶表示素子用樹脂板の良好な厚み精
度が得られない。即ち、酸無水物系硬化剤の酸無水基の
一部をアルコールでエステル化することにより、粘性効
果が発揮され、流延時及び流延後に加熱硬化する際に
も、温度上昇による急激な粘度低下が起こりにくく、連
続的に精密な板厚制御を行うことができる。また、アル
コールの水酸基が0.6当量より多い場合は、樹脂板及
び液晶表示素子用樹脂板の良好な耐熱性が得られない。
【0020】上記酸無水物系硬化剤としては、分子量1
40〜200程度のものが好ましく用いられ、例えば、
無水フタル酸、無水マレイン酸、無水トリメリット酸、
無水ピロメリット酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テト
ラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水ナ
ジック酸、無水グルタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フ
タル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸等の無色ない
し淡黄色の酸無水物があげられる。これらは単独でもし
くは2種以上併せて用いられる。そして、上記酸無水物
系硬化剤の中でも、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フ
タル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒド
ロ無水フタル酸を用いることが好ましい。
【0021】上記アルコールとしては、一価あるいは二
価以上の多価アルコールでも良く特に限定しないが、多
価アルコールの方が反応速度や粘度コントロールの面か
ら好ましい。例えば、一価アルコールとしては、メチル
アルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、
ブチルアルコール、フェノール、ベンジルアルコール、
アリルアルコール、シクロブタノール、シクロペンタノ
ール、シクロヘキサノールなど、二価アルコールとして
は、エチレングリコール、トリエチレングリコール、プ
ロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ヒドロ
キノン、カテコールおよびレゾルシンなどが、三価以上
の多価アルコールとしてはグリセリン、ピロガロール、
ペンチットおよびヘキシットなどが挙げられる。
【0022】また、アルコールの中でも、環式アルコー
ルが好ましく、さらには、環式多価アルコールが好まし
い。例えば、一価の環式アルコールとしては、フェノー
ル、ベンジルアルコール、シクロブタノール、シクロペ
ンタノール、シクロヘキサノールなどが、二価以上の環
式多価アルコールとしては、ヒドロキノン、カテコー
ル、レゾルシン、ピロガロール、ヒドロキシヒドロキノ
ン、フロログルシン、p−ジヒドロキシシクロヘキサ
ン、o−ジヒドロキシシクロヘキサン、m−ジヒドロキ
シシクロヘキサン、1,2,3−トリヒドロキシシクロ
ヘキサン、1,2,4−トリヒドロキシシクロヘキサ
ン、1,3,5−トリヒドロキシシクロヘキサン、フェ
ノールノボラック、クレゾールノボラック、あるいは、
下記一般式(1)で表わされる環式アルコールなどが挙
げられる。
【0023】
【化5】
【0024】上記のアルコールは単独でもしくは2種以
上併せて用いられる。そして、上記アルコールの中で
も、樹脂板及び液晶表示素子用透明樹脂板に求められる
耐熱性及び透明性を考慮すると、上記一般式(1)で表
わされる環式アルコールが特に好ましい。
【0025】本発明のエポキシ樹脂組成物においては、
硬化剤として、上記(B)成分のアルコールで部分エス
テル化した酸無水物系硬化剤以外にも、アルコールで部
分エステル化していない前記酸無水物系硬化剤を併用し
てもよく、さらに、従来公知のアミン系硬化剤、フェノ
ール系硬化剤、または、ヘキサヒドロフタル酸、テトラ
ヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸等のカル
ボン酸等の硬化剤を単独で使用してもあるいは併用して
もよい。カルボン酸を併用した場合は、硬化速度を速く
して、樹脂板の生産性を向上することができる。
【0026】上記エポキシ樹脂((A)成分)とアルコ
ールで部分エステル化した酸無水物系硬化剤((B)成
分)の配合割合は、上記エポキシ樹脂中のエポキシ基1
当量に対して、部分エステル化前の酸無水物系硬化剤に
おける酸無水基が0.5〜1.5当量となるように設定
することが好ましい。特に好ましくは0.7〜1.2当
量である。即ち、上記配合割合において、酸無水基が
0.5当量未満では、得られるエポキシ樹脂組成物の硬
化後の色相が悪くなり、逆に、1.5当量を超えると、
耐湿性が低下する傾向が見られるからである。
【0027】なお、硬化剤として、上記(B)成分以外
に、アルコールで部分エステル化していない前記酸無水
物系硬化剤、アミン系硬化剤、フェノール系硬化剤、ま
たは、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、
メチルヘキサヒドロフタル酸等のカルボン酸等の硬化剤
を併用する場合においても、その配合割合は、上記酸無
水物系硬化剤を使用した配合割合(当量比)に準ずる。
【0028】なお、本発明のエポキシ樹脂組成物には上
記(A)及び(B)成分以外に、必要に応じて、従来か
ら用いられている硬化促進剤、劣化防止剤、変性剤、シ
ランカップリング剤、レベリング剤、離型剤、染料、顔
料等の従来公知の各種添加剤を適宜に配合することがで
きる。
【0029】上記硬化促進剤としては、特に限定するも
のではなく、例えば、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,
4,0)ウンデセン−7、トリエチレンジアミン等の三
級アミン類、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2
−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、トリフェニ
ルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェ
ニルボレート、テトラ−n−ブチルホスホニウム−o,
o−ジエチルホスホロジチオエート等のリン化合物、四
級アンモニウム塩、有機金属塩類、およびこれらの誘導
体等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併
せて用いられる。そして、上記硬化促進剤の中でも、三
級アミン類、イミダゾール類、リン化合物を用いること
が好ましい。中でも、着色度が少なく、透明で強靭なエ
ポキシ樹脂硬化体を得るためにリン化合物が特に好まし
い。
【0030】また、上記硬化促進剤は、必要により、マ
イクロカプセルに内包しても良い。そうすることによ
り、流延時にエポキシ樹脂組成物の硬化が急激に進行す
ることを防止し、粘度上昇を抑え、樹脂板の厚み不良、
外観不良などを防止することが可能であり、特に、エポ
キシ樹脂組成物を加温して使用する場合に好適である。
マイクロカプセルの壁膜材料としては、エポキシ樹脂硬
化物、ポリスチレン、ポリメタクリル酸、エチレン−酢
酸ビニル共重合体、ポリウレア樹脂、ポリウレタン樹脂
などがあげられる。
【0031】上記硬化促進剤の含有率は、前記エポキシ
樹脂((A)成分)に対して0.01〜8.0重量%の
範囲に設定することが好ましく、より好ましくは0.1
〜3.0重量%である。すなわち、硬化促進剤の配合量
が0.01重量%未満では、充分な硬化促進効果が得ら
れず、8.0重量%を超えると、エポキシ樹脂組成物の
硬化体に変色が見られるおそれがあるからである。
【0032】上記劣化防止剤としては、フェノール系化
合物、アミン系化合物、有機硫黄系化合物、ホスフィン
系化合物等の従来公知のものがあげられる。
【0033】上記変性剤としては、従来公知のグリコー
ル類、シリコーン類、アルコール類等があげられる。
【0034】上記シランカップリング剤としては、シラ
ン系、チタネート系などの従来公知のものがあげられ
る。
【0035】本発明のエポキシ樹脂組成物は、例えば、
次のようにして製造することができる。即ち、上記
(A)及び(B)成分及び必要に応じて、従来公知の硬
化促進剤、劣化防止剤、変性剤、シランカップリング
剤、レベリング剤、離型剤、染料、顔料等を所定の割合
で配合する。そして、これを必要により加熱して、混合
あるいは混練することによりエポキシ樹脂組成物を得る
ことができる。
【0036】また、樹脂板あるいは液晶表示素子用透明
樹脂板は、良好な耐熱性を得るため、Tgが150℃、
好ましくは180℃以上になるように、前記(A)及び
(B)成分を任意に配合することができる。
【0037】なお、本発明の樹脂板は透明であっても透
明でなくてもよい。本発明の樹脂板および液晶表示素子
用透明樹脂板の透明とは、厚み0.4mmにおいて、分
光光度計の測定により、波長600nmの光透過率が6
0%以上、好ましくは、80%以上であることを意味す
る。
【0038】次に、本発明のエポキシ樹脂組成物を用い
て、流延法により、樹脂板および液晶表示素子用透明樹
脂板を製造する方法について、図1の製造工程例に従っ
て説明する。図1に例示の流延法では、ステンレス製エ
ンドレスベルト1を駆動ドラム11及び従動ドラム12
を介し、例えば、0.1〜10m/分、好ましくは、
0.2〜5m/分等の一定速度で走行させるようになっ
ている。
【0039】ステンレス製エンドレスベルト1を上記一
定の速度で走行させつつ、まず、その上にダイ2を介し
ステンレスに対して易剥離性の樹脂液3を塗布して乾
燥、あるいは必要により加熱又は光照射などにより硬化
処理して樹脂層31とする。なお、図1では、紫外線照
射装置4が設置されている。
【0040】上記ステンレスに対して易剥離性の樹脂と
しては、例えば、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポ
リエステル系樹脂、ポリビニルアルコール、エチレンビ
ニルアルコール共重合体、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニ
リデン系樹脂、ポリノルボルネン樹脂、ポリカーボネー
ト樹脂、ポリアリレート樹脂などが挙げられる。
【0041】次に、その樹脂層31の上に、ダイ5を介
し本発明のエポキシ樹脂組成物6を塗布してシート状に
展開し、その展開層61を加熱方式や光照射方式等の適
宜な硬化処理装置7を介し硬化処理して、前記の樹脂層
31と密着した硬化シート62を形成した後、その硬化
シート62を樹脂層31と共にステンレス製エンドレス
ベルト1より回収して長尺の樹脂板8を連続製造するこ
とができる。さらに、形成された長尺の樹脂板8を、レ
ーザー光線や超音波カッター、ダイシングやウォーター
ジェットなどの適宜な切断手段を介し適宜な寸法に切断
することにより、本発明の液晶表示素子用透明樹脂板を
製造することができる。
【0042】本発明の樹脂板および液晶表示素子用透明
樹脂板の厚みは、液晶表示素子の薄型化、軽量化のた
め、かつ十分な強度を保持するためには、500μm以
下、好ましくは、100〜400μm、さらに好ましく
は、200〜300μmにするのが良い。
【0043】そして、その厚み精度は±15μm以下、
さらには、±10μm以下が好ましい。この厚み精度
は、上記流延法で製造した長尺の樹脂板8において、幅
方向に等間隔で10点、長さ方向に60mm間隔毎に厚
さを測定した時の、平均厚みに対する最大値と最小値の
差に基づく。
【0044】上記液晶表示素子用透明樹脂板を用いて、
液晶表示装置を製造する方法は、従来のガラス板を用い
る方法と同様で良い。即ち、上記液晶表示素子用透明樹
脂板に透明導電膜、カラーフィルター、液晶配向膜など
を順次設置した後、セルを組み立て、そのセルに液晶を
封入することにより液晶表示装置を作製することができ
る。
【0045】なお、本発明の樹脂板は、その用途が制限
されるものではなく、上記の液晶表示素子用透明樹脂板
のみならず、タッチパネル、電磁波シーリング材、太陽
電池カバーなどに用いることが可能である。
【0046】
【実施例】次に、実施例について比較例と併せて説明す
る。
【0047】まず、以下に示すエポキシ樹脂、酸無水物
系硬化剤、硬化触媒を準備した。
【0048】〔エポキシ樹脂A〕下記一般式(4)で表
わされる常温で固形の脂環式エポキシ樹脂(エポキシ当
量:185)
【0049】
【化6】
【0050】〔エポキシ樹脂B〕下記一般式(3)で表
わされる常温で液状の脂環式エポキシ樹脂(エポキシ当
量:145)
【0051】
【化7】
【0052】〔酸無水物系硬化剤A〕4−メチルヘキサ
ヒドロ無水フタル酸を下記一般式(1)で表わされる環
式アルコールで、酸無水基1当量に対して水酸基を任意
の当量反応させて部分エステル化させたもの。(具体的
には、表1の酸無水物系硬化剤の下にかっこ書きで示し
た配合で4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸と上記環
式アルコールを反応させた。4−メチルヘキサヒドロ無
水フタル酸の酸無水基当量は168で、上記環式アルコ
ールの水酸基当量は87であり、それに基づいて、酸無
水基1当量に対するアルコールの水酸基反応当量を定め
た。例えば、表1に示した実施例1では、4−メチルヘ
キサヒドロ無水フタル酸の配合量が104重量部、上記
環式アルコールの配合量が5重量部であるので、アルコ
ールの水酸基反応当量は(5/87)/(104/16
8)=0.1当量となる。)
【0053】
【化8】
【0054】〔酸無水物系硬化剤B〕4−メチルヘキサ
ヒドロ無水フタル酸(部分エステル化していないもの)
【0055】〔硬化促進剤〕テトラ−n−ブチルホスホ
ニウム−o,o−ジエチルホスホロジチオエート
【0056】そして、表1及び表2に示す各成分を同表
に示す割合で配合し、溶融混合して、実施例1〜5及び
比較例1のエポキシ樹脂組成物を得た。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】また、得られたエポキシ樹脂組成物の25
℃での粘度を表3及び表4に示した。粘度測定は、回転
式E型粘度計を用いて行った。
【0060】そして、これらのエポキシ樹脂組成物を、
前記図1に示した流延法の製造工程により、温度25
℃、ベルト走行速度5m/分で、透明な樹脂板を作製
し、それを、レーザー光線により所定のサイズに切断し
て液晶表示素子用透明樹脂板を得た。その結果、表3及
び表4に示したように、実施例及び比較例のいずれの液
晶表示素子用透明樹脂板もTg(ガラス転移点)及び光
透過率は良好であり、前記方法により求めた樹脂板の平
均厚みはいずれも400μmであった。ただし、実施例
5は、アルコールの水酸基反応当量が多いため、他の実
施例よりも若干Tgが低くなった。厚み精度について
は、実施例1〜5は比較例1よりも優れており、中で
も、実施例2〜5は、アルコールの水酸基反応当量が特
に好ましい範囲にあるので、特に厚み精度が良好であっ
た。
【0061】
【表3】
【0062】
【表4】
【0063】そして、これらの液晶表示素子用透明樹脂
板を用いて、従来のガラス板を用いる方法と同様にし
て、液晶表示装置を作製したところ、実施例のもので
は、比較例のものに比較して、色ムラ、光度ムラなどが
極めて少ない鮮明な表示画像が得られた。
【0064】
【発明の効果】以上のように、本発明のエポキシ樹脂組
成物は、硬化剤として、アルコールで部分エステル化し
た酸無水物系硬化剤((B)成分)を含有しているの
で、流延法でエポキシ樹脂シートを成形するのに適した
粘度となり、従来の液状エポキシ樹脂に比較して、流延
法で得られる樹脂板および液晶表示素子用透明樹脂板の
厚み精度が著しく向上する。さらに、その液晶表示素子
用透明樹脂板を用いて製造した液晶表示装置は、表示画
像が極めて良好となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 流延法の製造工程例の側面説明図
【符号の説明】 1:ステンレス製エンドレスベルト 31:樹脂層 61:エポキシ樹脂組成物の展開層 7:硬化処理装置 62:硬化シート 8:樹脂板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H090 JA09 JB03 JC01 JD15 4F071 AA42 AC10 AC12 AE03 AF30 AH12 BB02 BC01 4J036 AA01 AB07 AB17 AD01 AD08 AD15 AD20 AF01 AF06 DB23 DB24 DC45 HA02 JA15

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 流延法で樹脂板を製造するための、下記
    の(A)及び(B)成分を含有するエポキシ樹脂組成
    物。 (A)エポキシ樹脂。 (B)アルコールで部分エステル化した酸無水物系硬化
    剤。
  2. 【請求項2】 上記アルコールが環式アルコールである
    請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 上記環式アルコールが下記一般式(1)
    で表わされるものである請求項2に記載のエポキシ樹脂
    組成物。 【化1】
  4. 【請求項4】 上記(B)成分のアルコールで部分エス
    テル化した酸無水物系硬化剤が、酸無水物系硬化剤の酸
    無水基1当量に対して、アルコールの水酸基を0.1〜
    0.6当量反応させて部分エステル化したものである請
    求項1〜3のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成
    物。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか一項に記載のエ
    ポキシ樹脂組成物を硬化して得られる硬化体より成る樹
    脂板。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4のいずれか一項に記載のエ
    ポキシ樹脂組成物を硬化して得られる硬化体より成る液
    晶表示素子用透明樹脂板。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の液晶表示素子用透明樹
    脂板を用いた液晶表示装置。
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