JP2001058802A - 有機物を含有する塩化水素の精製方法 - Google Patents

有機物を含有する塩化水素の精製方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】近年、ウェハー、IC等の半導体材料等の精密
部材の洗浄用として塩酸が使用される割合が増加し、塩
化水素中に含有される混入物を極端に嫌う要求が強くな
り、これら用途にも耐えられる品質の塩化水素が強く求
められていた。 【解決手段】有機物を含有する塩化水素から合成樹脂吸
着剤を用いて該有機物を吸着除去することを特徴とする
有機物を含有する塩化水素の精製方法。アリールアルコ
ール及びその誘導体を含有する塩化水素から合成樹脂吸
着剤を用いて該アリールアルコール及びその誘導体を吸
着除去することを特徴とする該アリールアルコール及び
その誘導体を含有する塩化水素の精製方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機物、特にアリ
ールアルコール及びその誘導体を含む塩化水素の、合成
樹脂吸着剤による精製方法に関する。特に、ポリカーボ
ネート樹脂の中間原料である、ジアリールカーボネート
製造の段階で、副生してくる多量の塩化水素を経済的に
精製、再利用することを可能にした塩化水素の精製方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】塩化水素の精製法は、混入してくる物質
に固有のものが多く、例えば特開平3−265503号
公報では、炭素数1〜3の塩素化炭化水素の除去を目的
に、活性炭を使用している。一方、特表平8−5058
33号公報では、フロン製造における副生物としての塩
化水素の精製を述べている。また、特開平5−2625
02号公報にはシリコーン工業製品の製造時に使用され
る有機珪素化合物の混入した塩化水素を、特定の細孔直
径の活性炭により精製する手法が紹介されている。しか
し、これら活性炭による吸着除去手法は、本発明者等の
検討によると、活性炭に塩化水素を通じた場合、活性炭
から溶出してくる金属成分の混入があり、有機物の除去
はできても、この金属成分の除去手法を新たに持つ必要
があることが判明した。
【0003】ポリカーボネート樹脂の製法は、二つに大
別され、一つは溶剤を使用し、界面重縮合させる手法
で、他の一つはジアリールカーボネートとジフェノール
を溶融重縮合させる手法である。本発明は、後者に関連
し、ジアリールカーボネート製造の段階で、副生してく
る塩化水素中に不純物として必然的に混入する有機物、
特にアリールアルコール及びその誘導体を吸着除去、精
製する手法に関するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ジアリールカーボネー
トの製造方法も、二つに大別され、一つはジアルキルカ
ーボネートとアリールアルコールとのエステル交換反応
によるもの(特開平3−291257号公報)、もう一
つはホスゲンとアリールアルコールとの反応によるもの
が知られている。後者の場合も、触媒としてアルカリ金
属又はアルカリ土類金属化合物及び塩基性窒素化合物を
存在させる手法(米国特許第3234263号明細書)
では、副生される塩酸はアルカリ金属類により中和され
る恰好となり、塩化水素として取得できる量が極端に少
ない。
【0005】ところが、触媒として、複素環式塩基性窒
素化合物を使用する場合(特開昭58−50977号公
報)や、燐系化合物を使用する場合(米国特許第542
4473号明細書)や、アルミナ系触媒を使用する場合
(特開平9−40617号公報)には、副生される塩化
水素は多量になる。しかも、副生してくる塩化水素中に
アリールアルコール及びその誘導体が混入することは避
け難く、経済的に有利な手法で精製するプロセスの開発
が望まれていた。更に、使用する原料のアリールアルコ
ールとホスゲンを酸性条件下で反応させるために起こる
アリールアルコールの誘導体化も避けられず、この誘導
体混入物の除去は従来その含有量が少ないこともあっ
て、殆ど気づかないままにされていた。
【0006】近年、ウェハー、IC等の半導体材料等の
精密部材の洗浄用として塩酸が使用される割合が増加
し、塩化水素中に含有される混入物を極端に嫌う要求が
強くなり、これら用途にも耐えられる品質の塩化水素が
強く求められていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記事情
に鑑み、混入物として有機物、特にアリールアルコール
及びその誘導体を含有する塩化水素を、経済的に有利に
精製再利用し得る精製方法を開発することを目的に、鋭
意検討を重ねた結果、吸着処理により、該混入物を塩化
水素から除去する際、合成樹脂吸着剤を使用すれば、有
機物、特にアリールアルコール及びその誘導体をppb
レベルまで低減することができることを見出し、かつ活
性炭に見られる金属不純物の溶出がないことを確認し、
本発明を成すに至った。
【0008】更に、合成樹脂吸着剤として30〜100
Åの細孔直径を有する細孔の容積が0.5ml/g以上
のものを使用すれば、より効率よくアリールアルコール
及びその誘導体を吸着可能なことも判った。この場合、
一定の細孔直径の細孔が一定容積以上保持されている合
成樹脂吸着剤を使用することで、混入しているアリール
アルコール及びその誘導体の分子サイズに適合させ、一
定割合の物理吸着を達成しようとするものである。ま
た、一定の細孔直径の細孔が一定容積以上保持されてい
る合成樹脂吸着剤を使用することで、混入してくるアリ
ールアルコール及びその誘導体の吸着効率を向上させ、
結果的に半導体材料等の精密部材の洗浄用として使用さ
れる品質に耐えられる塩化水素を提供するものである。
【0009】本発明の要旨は、有機物を含有する塩化水
素から合成樹脂吸着剤を用いて該有機物を吸着除去する
ことを特徴とする有機物を含有する塩化水素の精製方法
に存する。また、別の要旨は、アリールアルコール及び
その誘導体を含有する塩化水素から合成樹脂吸着剤を用
いて該アリールアルコール及びその誘導体を吸着除去す
る際、合成樹脂吸着剤として30〜100Åの細孔直径
を有する細孔の容積が0.5ml/g以上の合成樹脂吸
着剤を使用することを特徴とするアリールアルコール及
びその誘導体を含有する塩化水素の精製方法に存する。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明につき詳述する。不純物 本発明の精製方法が処理対象とする塩化水素は、前述の
ように、ホスゲンとアリールアルコールとを常温〜20
0℃の温度で反応させる、いわゆるショッテンバウマン
反応の際に副生する塩化水素である。従って、本発明の
精製方法によって除去されるべき塩化水素中の不純物
は、有機物、特にアリールアルコール及びその誘導体で
あって、下記一般式で示す種々の化合物が挙げられる。
【0011】
【化1】
【0012】上記一般式中、R1 〜R3 は、水素原子、
Cl、Br等のハロゲン原子、ハロゲン置換されている
こともある、炭素数1〜30のアルキル基、アリル基、
アルケニル基、アルコキシル基、アルコキシアルキル基
等の置換基であり、これら置換基中の炭素原子の一部が
他の原子(O、S、N等)で置換されているものもあ
る。そのほか、本発明の精製方法によって除去されるべ
き不純物として、炭素数1〜6の塩素化炭化水素があ
り、具体的には、四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチ
レン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、ヘキサクロ
ロエタン等が挙げられる。これらは、ホスゲン製造の際
の生成し、混入したものと考えられる。
【0013】最も一般的に検出される不純物は、アリー
ルアルコールであり、またアリールアルコール誘導体と
して最も一般的に検出されるものに、オルト位及び/又
はパラ位がBr置換されたフェノールがある。具体的に
は、オルトブロモフェノール、パラブロモフェノール、
2,4−ジブロモフェノール等のBr置換体である。こ
れらBr置換体は、ホスゲンとアリールアルコールとの
反応に際し、ホスゲン中の不純物であるブロモカルボニ
ルが、アリールアルコールのオルト位及び/又はパラ位
の水素をBr置換することによって生成し、塩化水素に
混入したものと考えられる。なお、ブロモカルボニル
は、電解塩素中に不純物として存在する臭素に起因する
と考えられる。
【0014】また、アリールアルコール誘導体の内で注
目すべき不純物としては、上記Br置換体のほかに、多
置換体等、分子サイズの大きな置換体がある。これらの
置換体としては、Cl置換体、アルキル置換体、アリル
置換体が挙げられる。しかして、Cl置換体は、ホスゲ
ン中の未反応塩素がアリールアルコールを塩素化した生
成物が、また、アルキル置換体及びアリル置換体は、ア
リールアルコール中に元来不純物として存在していたも
のが、それぞれ、塩化水素に混入したものと考えられ
る。
【0015】しかして、本発明において精製の対象とな
る塩化水素の不純物レベルは、広い範囲に及び、35%
塩化水素水溶液中の有機物、特にアリールアルコール及
びその誘導体の含有量として、通常、30〜30000
0ng/ml程度であるが、本発明を適用することによ
り1ng/ml程度又はそれ以下のレベルまで精製する
ことができる。本発明により精製された塩化水素の不純
物レベルは、35%塩化水素水溶液中のアリールアルコ
ール及びその誘導体の含有量として、10ng/ml以
下、好ましくは5ng/ml以下、更に好ましくは、1
ng/ml以下である。特に、半導体用等、品質要求の
厳しい用途においては、Br置換体の含有量として、5
ng/ml以下、好ましくは1ng/ml以下、更に好
ましくは、0.1ng/ml以下が望ましい。
【0016】合成樹脂吸着剤 本発明の精製処理に用いる合成樹脂吸着剤は、吸着能を
有する合成樹脂であれば特に制限はない。スチレン−ジ
ビニルベンゼン系、フェノール系、メタクリル系の樹脂
等が例示できるが、スチレン−ジビニルベンゼン系が好
ましい。この合成樹脂吸着剤として、通常、30〜10
00Å、特に、30〜100Å、更には、30〜70Å
の細孔直径を有する細孔の容積が0.5ml/g以上で
あることが好ましい。この細孔容積が不十分であると、
吸着初期に合成樹脂吸着剤に一旦吸着された不純物が後
から導入される塩化水素の流れによって脱着され、著量
のアリールアルコール誘導体の定常的なリーク現象をひ
き起こし、精製処理後の塩化水素中のアリールアルコー
ル誘導体のレベルを、このリーク量以下に低減すること
が不可能となる。すなわち、35%塩化水素水溶液中の
アリールアルコール及びその誘導体の含有量として、1
0ng/ml以下にすることができず、前記した半導体
用には適さない。
【0017】本発明においては、合成樹脂吸着剤とし
て、30〜100Åの細孔直径を有する細孔の容積が
0.5ml/g以上の合成樹脂吸着剤を使用すること
が、より有効である。この範囲の細孔直径を有する細孔
の容積が小さすぎると、上記アリールアルコール誘導体
の内、Br置換体や多置換体等の分子サイズの大きな化
合物の定常的なリークが抑制できなくなる傾向にあり、
精製処理を行っても、塩化水素としては、やはり半導体
用に適さないものとなることが多い。
【0018】また、合成樹脂吸着剤の比表面積は、吸着
剤として重要な特性であり、通常400m2 /g以上、
好ましくは600m2 /g以上、さらに好ましくは80
0m 2 /g以上が有効である。
【0019】本発明において使用される合成樹脂吸着剤
としては、好ましくは上記に所定の細孔容積や比表面積
を有する限り、特に制限はなく、種々の市販品の中から
適切なものを選択することができる。なお、合成樹脂吸
着剤は、一般に吸着塔に充填して用いられるので、吸着
塔への充填効率の良い成形品が選択される。例えば、上
記のスチレン−ジビニルベンゼン系では、マクロポアー
を有する不溶性の3次元ポリマーで、無置換基型の製品
であるダイヤイオンHPシリーズ、その特殊処理により
比表面積を高めた製品であるセパビーズSP800シリ
ーズ(以上、すべて三菱化学(株)製)等から選択され
る。同じシリーズでは、細孔分布の違う各種の銘柄の中
から適切なものが選択される。 細孔容積(ml/g) 比表面積(m2 /g) 30〜100Å 30〜70Å セパビーズ SP800 0.83 0.51 819 SP825 0.84 0.82 977 SP850 0.63 0.61 995
【0020】細孔分布、比表面積の測定法 本発明において、合成樹脂吸着剤の300Å以下の細孔
分布は、窒素吸着法により測定される。しかして、本明
細書で表記する、30〜100Åの細孔容積の値及び3
0〜70Åの細孔容積の値は、窒素吸着法で測定された
細孔分布から算出される。比表面積の値も、また、窒素
吸着法の測定結果から算出される。窒素吸着の値は、カ
ルロエルバ社製ソープトマチック1800を用い、吸着
温度約77Kでの窒素吸着等温線を測定し求めた。すな
わち、30〜100Å及び30〜70Åの2つの細孔容
積の値は、測定した窒素吸着等温線データを、クランス
トン・インクリー法で解析することにより、また、比表
面積の値は、同じデータをブルナウア・エメット・テラ
ー法で解析することによって、求められる。
【0021】吸着操作 本発明精製方法においては、上記合成樹脂吸着剤、特に
所定の細孔容積を有する合成樹脂吸着剤を使用し、有機
物、特にアリールアルコール及びその誘導体を含有する
塩化水素から、該有機物、特にアリールアルコール及び
その誘導体を吸着除去するが、吸着操作の態様には特に
制限はない。しかし、塩化水素と合成樹脂吸着剤とを、
できるだけ小さな空間で、できるだけ迅速に接触させ、
不純物である有機物、特にアリールアルコール及びその
誘導体を十分に吸着させることができる操作態様とし
て、吸着塔方式を採用するのが一般的である。
【0022】この方式においては、吸着塔に吸着剤であ
る合成樹脂吸着剤を充填し、この塔に有機物、特にアリ
ールアルコール及びその誘導体を含有する塩化水素を、
ガス状又は水溶液状で導入し、塩化水素がこの塔を通過
する間に合成樹脂吸着剤と接触させ、該有機物、特にア
リールアルコール及びその誘導体を合成樹脂吸着剤に吸
着させる操作を行う。この操作に際し、一旦吸着された
該有機物、特にアリールアルコール及びその誘導体が、
後から導入される塩化水素の流れによって合成樹脂吸着
剤から著量に離脱する、定常リークを避けるためには、
通過するガス又は液のSV(対体積速度)は低い方が好
ましい。液の場合は、通常SV20/時以下、好ましく
は10/時以下、更に好ましくは5/時以下で行う。ガ
スの場合は、SV数十/時のレベルでは非効率で、一般
的には数百のオーダーが普通であるが、それでも低い方
が吸着効率は良く、通常300/時以下、好ましくは2
00/時以下、更に好ましくは150/時以下で行う。
【0023】合成樹脂吸着剤への吸着処理に際し、塩化
水素を、ガス状で接触させるか、液状で接触させるか
は、被吸着成分の状態によっても異なるが、通常、ガス
体の場合は前者が、液体の場合は後者が選択される。ま
た、両者を組み合わせて行うこともできる。例えば、ガ
ス状で合成樹脂吸着剤と接触させた後、水に吸収させて
液状とした塩化水素を、さらに合成樹脂吸着剤と接触さ
せ、ガス状では吸着されなかった微量成分を吸着する手
法も有効である。なお、吸着処理の温度は低い方が好ま
しく、通常80℃以下、好ましくは10〜30℃で行
う。
【0024】
【実施例】以下、実施例に従って、本発明を具体的に説
明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらに
限定されるものではない。なお、実施例及び比較例にお
ける精製処理の評価は、下記の不純物定量法に従って行
った。
【0025】(1) フェノール及びブロモフェノール
濃度(ng/ml):35%塩酸を硫酸アンモニウム水
溶液で希釈し、クロロホルムで抽出を行った後に濃縮し
て、GC−MS法にて定量を行った。ブロモフェノール
は、オルト体、パラ体、2,4−置換体の三種類が検出
されたが、ここではこれらを合計した値で示した。
【0026】(2) 四塩化炭素濃度(ng/ml):
35%塩酸に硫酸アンモニウムを溶解させ、Solid
Phase Micro Extraction法
(SPMEファイバー:100μポリジメチルシロキサ
ン/ジメチルシリコン)でヘッドスペースによる抽出を
行った後に、GC−MS法にて定量を行った。
【0027】(3) 金属濃度(μg/ml):35%
塩酸中の金属濃度をICP−発光装置にて定量した。
【0028】製造例ホスゲンの調製 コークス発生炉ガスを精製して得たCOガスと電解によ
り得た塩素ガスとを、活性炭塔に通じ、CO/Cl2
=1.05、温度400℃で加圧下反応させ、ホスゲン
ガスを得た。
【0029】塩化水素の調製 得られたホスゲンガスを、フェノール26.7kg/時
及び触媒ピリジン0.67kg/時とともに、12.9
kg/時の割合で通気し、150℃で反応させてジアリ
ールカーボネートを製造する際に、連続的に副生してく
る塩化水素ガスを捕集した。
【0030】実施例1、2塩化水素の精製 上記製造例で捕集された塩化水素ガスの一部を、直径5
0mm、高さ1000mmの円筒型容器内に第1表記載
の合成樹脂吸着剤を充填した吸着塔に、SV150/時
で通気して気相精製処理を行い、精製された塩化水素ガ
スを純水に吸収させ、35%濃度の塩化水素水溶液を得
た。得られた35%塩酸について、フェノール及びブロ
モフェノールの濃度、四塩化炭素濃度並びに金属濃度を
測定した。結果を第1表に示す。
【0031】比較例1 実施例1において、合成樹脂吸着剤吸着塔による精製処
理を行わない以外は、実施例1と同様の操作を実施し3
5%塩酸を得た。結果を第1表に示す。
【0032】
【表1】
【0033】実施例3、4 比較例1において得られた35%塩酸を、直径16m
m、高さ195mmの円筒型容器内に第2表記載の合成
樹脂吸着剤を充填した吸着塔に、SV10/時で通液
し、合成樹脂吸着剤による液相精製処理を行い、残留す
るアリールアルコール誘導体をほぼ完全に除去した。結
果を第2表に示す。
【0034】比較例2 実施例3において、合成樹脂吸着剤に代えて第2表に示
す活性炭を使用した以外は、実施例3と全く同様に液相
精製処理を行った。結果を第2表に示す。
【0035】実施例5 実施例1において、合成樹脂吸着剤に代えて第2表に示
す活性炭を使用した以外は、実施例1と同様に気相精製
処理を行い35%塩酸を得た。この塩酸を、さらに実施
例4と全く同様に液相精製処理を行った。結果を第2表
に示す。
【0036】比較例3 実施例5において、液相精製処理も、合成樹脂吸着剤に
代えて第2表に示す活性炭を使用した以外は、実施例5
と同様の処理を行った。結果を第2表に示す。
【0037】合成樹脂吸着剤を用いた吸着処理により、
塩化水素中に不純物として混入しているアリールアルコ
ール及びその誘導体の濃度を著しく低減することがで
き、さらに活性炭の液相吸着でみられる金属の溶出もな
く、得られる塩化水素は優れた品質を有するものである
ことがわかる。
【0038】
【発明の効果】本発明に従い、合成樹脂吸着剤、特に一
定の細孔直径の細孔が一定容積以上保持されている合成
樹脂吸着剤を使用することにより、塩化水素中に不純物
として混入しているアリールアルコール及びその誘導体
の濃度を著しく低減することができ、得られる塩化水素
は半導体材料の洗浄に使用できるレベルまで向上され
た、優れた品質を有するものであることが判った。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鶴原 謙二 福岡県北九州市八幡西区黒崎城石1番1号 三菱化学株式会社黒崎事業所内 (72)発明者 高田 弘 福岡県北九州市八幡西区黒崎城石1番1号 三菱化学株式会社黒崎事業所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】有機物を含有する塩化水素から合成樹脂吸
    着剤を用いて該有機物を吸着除去することを特徴とする
    有機物を含有する塩化水素の精製方法。
  2. 【請求項2】アリールアルコール及びその誘導体を含有
    する塩化水素から合成樹脂吸着剤を用いて該アリールア
    ルコール及びその誘導体を吸着除去することを特徴とす
    る該アリールアルコール及びその誘導体を含有する塩化
    水素の精製方法。
  3. 【請求項3】30〜100Åの細孔直径を有する細孔の
    容積が0.5ml/g以上の合成樹脂吸着剤を使用する
    ことを特徴とする請求項2に記載のアリールアルコール
    及びその誘導体を含有する塩化水素の精製方法。
  4. 【請求項4】30〜70Åの細孔直径を有する細孔の容
    積が0.5ml/g以上の合成樹脂吸着剤を使用するこ
    とを特徴とする請求項2に記載のアリールアルコール及
    びその誘導体を含有する塩化水素の精製方法。
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