JP2001049531A - 熱接着性複合繊維、不織布及びそれを用いた不織布加工品 - Google Patents

熱接着性複合繊維、不織布及びそれを用いた不織布加工品

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JP2001049531A
JP2001049531A JP11219236A JP21923699A JP2001049531A JP 2001049531 A JP2001049531 A JP 2001049531A JP 11219236 A JP11219236 A JP 11219236A JP 21923699 A JP21923699 A JP 21923699A JP 2001049531 A JP2001049531 A JP 2001049531A
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heat
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JP11219236A
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Norihiro Nakai
徳宏 中井
Masuo Iwata
満寿夫 岩田
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Chisso Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高吸水性樹脂と混合し、熱処理を行うことで
高吸水性樹脂と強固に接着し、脱落防止が可能な熱接着
性複合繊維及びそれを用いた成形体を提供すること。 【解決手段】 高吸水性樹脂粉末もしくは高吸水性樹脂
からなる繊維と併用して用いられる熱接着性複合繊維で
あって、該熱接着性複合繊維は、A成分として酢酸ビニ
ル5〜40重量%、エチレン60〜95重量%のエチレ
ン−酢酸ビニル共重合体またはそのケン化物が30〜1
00重量%、B成分としてポリエチレンが0〜70重量
%からなる混合物で構成される低融点成分と、該低融点
成分より15℃以上高い融点を有する高融点成分とから
なる熱接着性複合繊維であって、該低融点成分は該熱接
着性複合繊維表面の少なくとも一部を長さ方向に連続し
て形成されており、且つ該熱接着性複合繊維は単糸繊度
0.5〜50デニールであることを特徴とする熱接着性
複合繊維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高吸水性樹脂粉末
もしくは高吸水性樹脂からなる繊維(以下これらを単に
高吸水性樹脂と云うことがある)との熱接着性の良好な
ポリオレフィン系複合繊維、繊維集合体及びそれを用い
た不織布に関する。
【0002】
【従来の技術】結晶性ポリプロピレンを用いた熱接着性
複合繊維としては、従来、結晶性ポリプロピレンとポリ
エチレンを各複合成分として溶融複合紡糸して得られた
ものが知られている。このような従来の熱接着性複合繊
維は、通常ウエッブに形成されたのち、低融点のポリエ
チレン成分の融点以上、高融点のポリプロピレン成分の
融点以下で加熱することによってウェッブの各繊維間接
触部が融着された、いわゆる不織布が形成されるが、か
かる不織布は、布、木材、金属等の他の異質材料との接
着性が弱い。従って上記のような不織布を他の異質素材
に接着させて使用したり、または他の素材と組み合わせ
て繊維集合体として複合材料を形成する場合には、新た
にバインダーを使用する必要がある。また、仮にバイン
ダーを使用した場合でもその接着性は必ずしも良好では
なく、仮に接着させることができても、複合素材とする
材料の性能例えば高吸水性樹脂の吸水性を低下させるこ
とが多かった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高吸
水性樹脂と混合して用いる際に高吸水性樹脂との接着性
が高く、高吸水性樹脂の剥離または脱落が防止されると
共に、良好な吸水性を示し、嵩高で比容積が大きな不織
布を提供し得るポリオレフィン系複合繊維、繊維集合
体、及び不織布を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために、鋭意研究を重ねた結果、後述するエ
チレン−酢酸ビニル共重合体またはそのケン化物を用い
た特定構造、特定繊度の熱接着性複合繊維と、高吸水性
樹脂を混合し、熱処理を施すことにより両者の接着性が
良好となり、且つ該熱接着性複合繊維は例えばエアレイ
ド法で繊維集合体または不織布とすることによって、不
織布内部の構造がより均一となり、一層接着効果が促進
され、混合した繊維から高吸水性樹脂が剥離または脱落
を起こすことなく、高い吸収性を発現し吸収体として使
用できることを見出し、この知見に基づいて本発明を完
成した。
【0005】本発明は、前記課題を解決するために以下
の構成を有する。 (1) 高吸水性樹脂粉末もしくは高吸水性樹脂からな
る繊維と併用して用いられる熱接着性複合繊維であっ
て、該熱接着性複合繊維は、A成分として酢酸ビニル5
〜40重量%、エチレン60〜95重量%のエチレン−
酢酸ビニル共重合体またはそのケン化物が30〜100
重量%、B成分としてポリエチレンが0〜70重量%か
らなる混合物で構成される低融点成分と、該低融点成分
より15℃以上高い融点を有する高融点成分とからなる
熱接着性複合繊維であって、該低融点成分は該熱接着性
複合繊維表面の少なくとも一部を長さ方向に連続して形
成されており、且つ該熱接着性複合繊維は単糸繊度0.
5〜50デニールであることを特徴とする熱接着性複合
繊維。 (2) 低融点成分のA成分であるエチレン−酢酸ビニ
ル共重合体のケン化物のケン化度が30%以上であるこ
とを特徴とする(1)項に記載の熱接着性複合繊維。 (3) (1)〜(2)項の何れか1項記載の熱接着性
複合繊維の捲縮数が5〜30山/25mm、且つ繊維長
が3〜100mmであることを特徴とする熱接着性複合
繊維。 (4) (1)〜(3)項の何れか1項記載の熱接着性
複合繊維と高吸水性樹脂粉末もしくは高吸水性樹脂から
なる繊維を混合した繊維集合体。 (5) (4)項に記載の繊維集合体を熱処理して繊維
同士の交点または繊維と高吸水性樹脂粉末もしくは高吸
水性樹脂からなる繊維の交点が接着された不織布。 (6) (4)項または(5)項に記載の繊維集合体も
しくは不織布がエアレイド法で得られた繊維集合体もし
くは不織布である(4)項または(5)項に記載の繊維
集合体もしくは不織布。 (7) (4)〜(6)項の何れか1項記載の繊維集合
体もしくは不織布と、他の繊維集合体もしくは不織布を
混合または積層し、繊維同士の交点を熱接合して得られ
る複合化不織布。 (8) (4)〜(7)項の何れか1項記載の繊維集合
体または不織布を用いたワイパー。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の熱接着性複合繊維とは、エチレン−酢酸ビニル
共重合体またはそのケン化物を低融点成分とし、低融点
成分より融点が少なくとも15℃高いポリマーを高融点
成分として、該低融点成分が繊維表面の少なくとも一部
を長さ方向に連続して形成してなる複合繊維である。エ
チレン−酢酸ビニル共重合体としては、酢酸ビニル含量
が約5〜40重量%のものが用いられる。酢酸ビニル含
量が多すぎると、共重合体の融点が低すぎ、また粘性を
持つようになり、繊維表面を構成する材料としては不具
合が多くなり、使用が困難となる。また熱安定性も低い
ので溶融紡糸には不適であり、この点はケン化物であっ
ても同様である。酢酸ビニル含量が約5重量%よりも少
ないものはエチレン−酢酸ビニルの特性が少なくなるた
め、本発明の目的の到達には困難となる。但し、後述す
るようにポリエチレンとブレンドして低融点成分として
使用する際に、低融点成分中のビニルモノマー濃度が
0.5モル%以上とすれば、本発明の目的に到達するこ
とが可能である。本発明に用いる上記エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体(以下EVAと略すことがある)は、ケン
化しないでそのまま用いることもできるし、また、その
ケン化物(以下ケン化EVAと略することがある)も用
いられる。
【0007】EVAをケン化しないで用いる場合には、
本発明の熱接着性複合繊維に加工する際に単糸同士が融
着しやすいので、本発明の目的である他素材との接着性
能を低下させない範囲でポリエチレンと混合して、低融
点成分とするのが好ましい。ポリエチレンの混合量は、
混合物に基づいて30重量%以上であれば充分に上記E
VAの単独使用の欠点を補うことができるが、EVA使
用の効果を発揮するために70重量%までにとどめるこ
と、即ちEVAの混合率を30重量%以上とすることが
好ましい。また、ケン化EVAも低融点成分として用い
られる。ケン化度は100%までの任意のものでよい
が、30%以下のケン化度のものは、上記EVAと類似
した性状を有するので、上記EVAの場合と同様にポリ
エチレンを併用することが好ましい。ケン化度が30%
より大きい場合は単独に低融点成分として用いること
も、ポリエチレンと混合して用いることもでき、低融点
成分中のビニルモノマー濃度が0.5モル%以上とすれ
ば、本発明の目的に到達することが可能である。
【0008】本発明に用いるポリエチレンとしては、低
密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエ
チレン等の何れのものも用いることができ、更には変性
ポリエチレンを用いることは何ら問題がなく、各種のポ
リエチレンを用いることによって、不織布とした際の特
徴を変化させることができる。例えば、低、中密度ポリ
エチレンを用いると柔らかな不織布とすることが可能で
ある。
【0009】次に、高融点成分としては、ポリプロピレ
ン、ポリエステル、ポリアミドなどの結晶性ポリマーを
用いることができる。これらのポリマーの中では耐薬品
性、融点の面からみてプロピレンホモポリマー、若しく
はエチレン、ブテン−1等α−オレフィンとプロピレン
との結晶性プロピレンコポリマーが好ましい。低融点成
分と高融点成分の複合比は10/90〜90/10の範
囲なら紡糸可能であるが、30/70〜70/30が好
ましく、これ以上低融点成分が減少し過ぎると接着性が
低下し、また増加し過ぎると紡糸性が低下し、何れも好
ましくない。
【0010】本発明に関わる低融点成分及び高融点成分
には、本発明の効果を妨げない範囲内でさらに、酸化防
止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、造核剤、エポ
キシ安定剤、滑剤、抗菌剤、難燃剤、帯電防止剤、顔
料、可塑剤などの添加剤を適宜必要に応じて添加しても
よい。
【0011】以下に本発明の熱接着性複合繊維を製造す
る各工程を述べるが、これは一つの方法であり、その
他、一般的に公知なスパンボンド法、メルトブロー法等
により熱接着性複合繊維とすることも可能である。本発
明の熱接着性複合繊維は、紡糸工程で未延伸糸として製
造し、延伸工程で延伸処理を施し、捲縮加工工程で必要
に応じて捲縮を付与することで得られる。紡糸工程で
は、低融点成分が繊維表面の少なくとも一部を形成する
ように並列型口金、または低融点成分を鞘成分とし高融
点成分を芯成分とする鞘芯型口金、若しくは偏芯鞘芯型
口金を用い、通常用いられる溶融紡糸機により紡糸する
ことによって、未延伸状態の熱接着性複合繊維として得
ることができる。このとき、繊維表面を形成する低融点
成分の形成割合は小さくともそれなりの接着力を示す
が、通常、繊維断面円周率で50%以上の場合に接着力
は充分であり、特に50〜100%の場合極めて強力と
なり好ましい。
【0012】延伸工程では、通常用いられる延伸機によ
り紡糸工程で得られた未延伸糸を延伸することによっ
て、延伸糸(捲縮加工前の熱接着性複合繊維)とするこ
とができる。このとき、低融点成分の融点より低い温度
条件下で、ヤング率が100kgf/mm2以上となる
ような任意の延伸倍率の条件で延伸を行う。なお、通常
の場合、延伸倍率は2〜6倍で行う。この工程で、延伸
糸のヤング率を100kgf/mm2以上とすることに
よって、延伸工程後の捲縮加工工程が容易となり、捲縮
のセット力を任意の強さに変えることができる。
【0013】捲縮加工工程では、通常用いられる捲縮加
工機(クリンパー)により延伸工程で得られた延伸糸に
捲縮が付与され、本発明の熱接着性複合繊維として用い
られる。本発明の熱接着性複合繊維の捲縮数は、特に限
定されるものではないが、好ましくは、捲縮数が5〜3
0山/25mmである。捲縮数が5山/25mm未満で
も、高吸水性樹脂の剥離や脱落防止効果は得られるが、
繊維集合体の嵩が発現しにくい。また、捲縮数が30山
/25mmを著しく越えても高吸水性樹脂の剥離や脱落
防止効果は得られるが、繊維集合体への加工性が著しく
低下する。さらに、捲縮数が5〜30山/25mmであ
ると熱接着性複合繊維に好ましいサイズ及び形状の湾曲
した部位が発現し、その湾曲部に高吸水性樹脂が取り込
まれやすくなり、高吸水性樹脂の剥離や脱落を防止する
ことができ、好ましい。また、捲縮形状は、機械を用い
た機械捲縮でも、複合繊維自身の顕在及び潜在捲縮でも
特に問題はなく、本発明の効果を得ることができる。
【0014】本発明の熱接着性複合繊維の繊維長は、特
に限定されず、各種繊維集合体加工方法に適した繊維長
に、任意の長さとすることができる。好ましくは、繊維
集合体若しくは不織布内部の熱接着性複合繊維の構成状
態及び繊維集合体または、不織布への加工性の点から繊
維長3〜100mmに切断して用いることが望ましい。
【0015】本発明の熱接着性複合繊維の単糸繊度は、
高吸水性樹脂との混合や、混綿、加工性を考慮して0.
5〜50デニールの範囲となることが必要である。より
好ましくは0.5〜10デニールである。単糸繊度が
0.5デニールを大きく下回ると、繊維間の絡みが大き
くなり、均一な地合とすることが難しく、50デニール
を大きく上回ると、繊維間の絡みが小さくなり、均一な
地合とすることが難しくなる。また、繊維集合体とする
ときに、繊維集合体内の空隙空間が大きくなり、高吸水
性樹脂が空隙空間内部を通過しやすくなるため、繊維表
面に定着し難くなる。
【0016】本発明の繊維集合体は、少なくとも前記条
件により得られた熱接着性複合繊維と高吸水性樹脂から
構成されている。高吸水性樹脂とは、水溶性高分子を僅
かに架橋した三次元網目構造を持つポリマーで、通常、
数百から千倍の吸水性を示すものであり、形状は破砕状
態、パール状態等の粉末状のものや、繊維状のもの等が
ある。高吸水性樹脂の組成としては、ポリアクリル酸塩
系、デンプン系およびアクリル−デンプン系が一般的に
主流であるが、これ以外にもセルロース系のものもあ
る。本発明においては、これらのどの種の高吸水性樹脂
を用いても何ら不都合がないが、デンプン系、セルロー
ス系の天然素材を生かした物が好ましく用いられる。こ
の他に、他の繊維、例えばパルプ、レーヨンを混入させ
ることは何等妨げとはならず、適宜必要に応じて混合し
てもよい。熱接着性複合繊維と高吸水性樹脂の混合比率
に関しては、特に限定されるものではないが、繊維集合
体を形成する本発明の熱接着性複合繊維の全表面積以上
には高吸水性樹脂が接着しないため、必然的にそれ以下
の混合比となり、好ましくは繊維集合体を形成する本発
明の熱接着性複合繊維の混合比は、全表面積の半分以下
とすることが望ましく、高吸水性樹脂が少ない分につい
ては何ら問題がない。
【0017】熱接着性複合繊維と高吸水性樹脂の混合さ
れた繊維集合体の製造方法は特に限定されるものではな
いが、エアレイド法により行うことが望ましい。カーデ
ィング法では熱接着性複合繊維と高吸水性樹脂の混合が
困難であるため繊維集合体中の高吸水性樹脂の偏りが発
現しやすく、繊維集合体内部全体に均一に分散させるこ
とが難しくなり、吸水性の偏りが見られたり風合いの良
好な不織布とすることが容易に得られにくい。しかし、
エアレイド法を用いることによって容易に吸水性が良好
で風合いが良好な不織布とすることができる。
【0018】エアレイド法とは、短繊維を用いて、以下
の手順で繊維集合体とする方法である。まず、本発明で
用いられる熱接着性複合繊維が短く切断された短繊維を
開繊機に投入し、機械的に開繊させ、送綿循環ダクトへ
送る。同時に高吸水性樹脂を送綿循環ダクトへ送る。送
綿循環ダクト内で、熱融着性複合繊維と高吸水性樹脂が
混合され、エアレイド機を通過することによって、繊維
集合体となる。また、繊維集合体とした後に、さらに高
吸水性樹脂を繊維集合体に積層させることも可能であ
る。エアレイド機には種々の形態のものが有るが、代表
的にはドラム状のスクリーン部位より混合された繊維状
物を降ろし、サクション装置で吸引させ、積層させ、繊
維集合体とする。ここで言うスクリーン部位とは、丸や
四角のような形状の孔を有するメッシュのことである。
積層された繊維集合体(以下、積層繊維集合体と略すこ
とがある)中における熱接着性複合繊維は、何れの方向
にもランダムに分散されている。従って、繊維状物を降
ろして積層することによって、従来の混綿不織布より繊
維集合体の嵩を高くすることができる。更には、熱処理
を施すことによって嵩高な不織布とすることができる。
また、熱接着性複合繊維及び高吸水性樹脂が不織布内部
に均一に分散されていることによって、不織布中に接合
点がほぼ均一に存在し、熱接着性複合繊維間さらには熱
接着性複合繊維と高吸水性樹脂間の接着状態が良好にな
る。従って、不織布強度は一方向への偏りがなくなり全
体的な不織布強度が向上し、吸水性についても一方向へ
の偏りがなくなり吸水性が向上する。
【0019】本発明の不織布は、前記で得られた繊維集
合体および積層繊維集合体を加熱処理し、不織布とする
方法や、スパンボンド、メルトブロー等の長繊維を用い
て不織布とする方法がある。前記で得られた繊維集合体
および積層繊維集合体を加熱処理し、不織布とする方法
としては、熱風ドライヤー,サクションバンドドライヤ
ー等の方法が挙げられる。加熱処理を施すことによっ
て、熱接着性複合繊維の低融点成分が溶融し熱接着性複
合繊維同士若しくはそれと高吸水性樹脂との接点とが熱
接着され、接合効果に優れた不織布となる。交点が多く
なるほど不織布が強固となり、該熱接着性複合繊維と高
吸水性樹脂の両者の剥離および脱落が防止され不織布自
体の強度も向上する。該熱処理温度は、熱接着性複合繊
維の低融点成分の融点以上、高融点成分の融点以下の温
度で、処理を行う。目付および熱融着させる方法等に合
わせて、熱処理時間は任意の処理時間で行う。スパンボ
ンド、メルトブロー等の長繊維を用いて不織布とする方
法としては、溶融紡糸後、熱処理を施す前に高吸水性樹
脂を降らす等の手法で積層もしくは混合させ、熱処理を
行うことによって、熱接着性複合繊維表面上に高吸水性
樹脂を接着させる。熱処理方法、時間、温度に関して
は、前記条件で行うことができる。
【0020】また上記不織布を得た後に、熱プレス機ま
たはコンベアー式熱プレス機等を用いて熱処理すること
により、所望の厚さの不織布を得ることもでき、また必
要に応じて熱処理時および熱処理後に二次加工すること
もでき、平板だけでなく任意形状が可能となる。
【0021】本発明の繊維集合体の一成分である熱接着
性複合繊維は、前記の如くその分子中に極性基を有し、
繊維表面にその極性基が出ているため高吸水性樹脂と混
合、熱処理することによって、両者は親和性が大きく強
力に接着する。このため、本発明の熱接着性複合繊維を
用いた不織布は、二次加工中において高吸水性樹脂との
剥離または脱落が起こり難い。即ち、本発明の熱接着性
複合繊維は、化学的な接着を発現するので、従来の繊維
の溶融による高吸水性樹脂を包み込むような物理的接着
を低減させることができるため、吸水性も向上する。
【0022】更に本発明の熱接着性複合繊維を用いた繊
維集合体または不織布は、他の繊維集合体、若しくは、
他のシートを積層し、積層複合化不織布とすることがで
きる。シートとしては、編織物,不織布,発砲ウレタ
ン,フィルム,紙状物,羊毛成形体,金属板,木板,プ
ラスチック板や、好ましくは官能基を有する他素材など
が例示でき、それぞれの機能を維持できる。例えば、熱
接着性複合繊維の単独あるいは親水性繊維と熱接着性複
合繊維とを混合した不織布を積層してもよい。本発明の
効果を妨げない範囲において他のものをラミネートする
ことは何等妨げるものではない。本発明の積層複合化不
織布の目付は、使用目的や製造方法に合わせて任意の目
付として使用できる。
【0023】前記不織布は、種々の用途において使用す
ることが可能であるが、高吸水性樹脂と混合使用を行う
ため、高吸水性樹脂の特徴を引き出す用途として、ワイ
パーや液体保持マット例えばオムツの吸収体等に好まし
く用いることができる。
【0024】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明するが、本
発明はこれらの実施例に限定されるものではない。な
お、実施例中に示された物性値の測定法または定義をま
とめて示しておく。 捲縮数:JIS-L-1015に準じて測定した。 単糸繊度:JIS-L-1015に準じて測定した。 目標目付:熱接着性繊維と高吸水性樹脂が完全に分離す
ることなく接着した場合の計算による、単位面積あたり
の重量(g/m2)。 実測目付:不織布を50cm角に切った成形体全体(熱接着
性繊維、高吸水性樹脂)の重量を秤量し、単位面積当た
りの重量(g/m2)で表わした。 比容積:目付を測定したサンプルの厚み(mm)を測定
し、以下の式より算出した。 比容積(cc/g)=厚み(mm)/目付(g/m2
×1000 混合比:目標目付における理論上の熱接着性繊維の目付
(X1)と理論上の高吸水性樹脂の目付(X2)との
比。 接着率:15cm角に切った成形体をカード機のフライ
コム部に取り付け、振幅3cm、振幅回数1700rp
m.の条件で3分間振動させた後の重量(W1)を測定
し、その不織布の理論目付中の混綿比を用いて次式より
算出した。 {(W1/0.0025}−X1}÷X2×100=接
着率(%) 吸水度:15cm角に切った成形体の重量(W1)を測
定し、イオン交換水に全体を10分間浸し、持ち上げた
後、水滴が落ちなくなるまで放置(約10分)し、その
後の重量(W2)を測定し、次式より算出した。測定室
条件は、温度25℃、湿度50%とした。 W2÷W1=吸水度(倍)
【0025】実施例1〜5、比較例1〜3 表1に示す、低融点成分と高融点成分を使用し、鞘芯型
若しくは並列型紡糸口金を用いて複合繊維を紡糸し、表
1に示す条件で延伸し、更に表1に示した所定の繊維長
にカットし、表2に示す不織布の製造条件に適合した熱
接着性複合繊維を得た。これらの条件及び物性を表1に
示した。
【0026】
【表1】
【0027】所定の繊維長にカットした熱接着性複合繊
維と高吸水性樹脂を用いて、表2に示した混合比、目付
及び不織布製法で繊維集合体とし、スルーエアー加工機
を用いて表2中に記載の加工温度で熱処理を行ない不織
布とした。但し、高吸水性樹脂の混合方法は、エアレイ
ド法では繊維集合体の製造時に同時に混ぜて、カーディ
ング法では繊維集合体とした後に、均一に高吸水性樹脂
を分散させ積層させた。ここで言う高吸水性樹脂とは、
日本触媒化学工業株式会社製 アクアリックCA W−
4(商品名)を使用した。
【0028】
【表2】
【0029】実施例6 スパンボンド法で紡糸を行った以外は、表1中の(1)
と同ポリマーおよび同条件で紡糸を行って、表2中の条
件でスパンボンド不織布とし、熱処理前に高吸水性樹脂
を積層させた。ここで言う高吸水性樹脂とは、日本触媒
化学工業株式会社製 アクアリックCA W−4(商品
名)を使用した。
【0030】比較例4 スパンボンド法で紡糸を行った以外は、表1中の(8)
と同ポリマーおよび同条件で紡糸を行って、表2中の条
件でスパンボンド不織布とし、熱処理前に高吸水性樹脂
を積層させた。ここで言う高吸水性樹脂とは、日本触媒
化学工業株式会社製 アクアリックCA W−4(商品
名)を使用した。
【0031】実施各例および比較各例で得られた不織布
を用いて接着率及び吸水度を測定し、その結果を表3に
示した。
【0032】
【表3】
【0033】実施例7 実施例1の不織布を10cm×25cmのサイズにカッ
トし、カットした不織布全体をティッシュで包み、紙お
むつ用吸収体とした。
【0034】実施例8 実施例2の不織布を10cm×25cmのサイズにカッ
トし、同サイズのスパンボンド不織布と積層し、138
℃でスルーエアー熱処理を施してティッシュで包み、紙
おむつ用吸収体とした。
【0035】実施例9 実施例3の不織布を10cm×10cmのサイズにカッ
トし、同サイズのポリオレフィンからなる目付50g/
2のカーディングウェブと積層し、138℃でスルー
エアー熱処理を施して、ワイパーとした。
【0036】比較例5 比較例1の不織布を10cm×25cmのサイズにカッ
トし、カットした不織布全体をティッシュで包み、紙お
むつ用吸収体とした。
【0037】比較例6 比較例1の不織布を10cm×25cmのサイズにカッ
トし、同サイズのスパンボンド不織布と積層し、138
℃でスルーエアー熱処理を施してティッシュで包み、紙
おむつ用吸収体とした。
【0038】比較例7 比較例2の不織布を10cm×10cmのサイズにカッ
トし、同サイズのポリオレフィンからなる目付50g/
2のカーディングウェブと積層し、138℃でスルー
エアー熱処理を施して、ワイパーとした。
【0039】表3から明らかな通り、本発明の熱接着性
複合繊維は高吸水性樹脂との接着性に優れるとともに、
吸水性がまさっていることが明らかである。比較例1、
2、3は、熱接着繊維の低融点成分に接着に起因する成
分を有していないため、高吸水性樹脂との接着が悪く、
更には不織布中の高吸水性樹脂の脱落が多いため、不織
布としての吸水性が大きく低下している。即ち、これら
の実施例、比較例は、接着性に優れた特定構造の樹脂を
繊維表面に有し、適正範囲に単糸繊度及び捲縮がコント
ロールされた複合繊維と高吸水性樹脂をより均一に混合
することにより、初めて高吸水性樹脂の脱落率が小さ
く、且つ吸水性能の高い良好な不織布を得られることを
示している。また、特にエアレイド法を用いることによ
って均一性が更に向上し、不織布の内部にまで高吸水性
樹脂を取り込んでいるため、より脱落率が低下し、吸水
性能が良好となることを示している。
【0040】実施例7,8と比較例5,6を比較する
と、実施例7,8は本発明の熱接着性複合繊維と高吸水
性樹脂の接着性が比較例5,6より良好であるため、吸
収体への二次加工時や運搬時での高吸水性樹脂の脱落を
低下できるため、不織布加工後も良好な吸水性を示す。
従って、吸収体として用いると、充分に高吸水性樹脂の
性能を発揮させることができるため、吸収体の吸収性能
が著しく向上できた。また、水分等を吸収した後、吸収
体の形状を維持する効果も高い。
【0041】実施例9と比較例7を比較すると、実施例
9は熱接着性複合繊維と高吸水性樹脂の接着性が比較例
7より良好であるため、ワイパーとして使用した時の保
水効果が高く、更には高吸水性樹脂の脱落を低下できる
ため、吹き上げた後の高吸水性樹脂の脱落飛散が低下で
きる。また、水分等を吸収した後、吸収体の形状を維持
する効果も高く、使用前後における感触の変化も少な
い。
【0042】
【本発明の効果】本発明の熱接着性複合繊維は高吸水性
樹脂と混合し、熱処理を施すことによって、両者は強力
に接着するため二次加工時や不織布使用時での高吸水性
樹脂の剥離や脱落がほとんどなく、作業性や使用時の快
適性が著しく向上する。また、衛生材料、ワイパー等の
吸収体として使用した場合、従来の不織布と比較して極
めて優れた吸収効果を示す。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D04H 1/54 Fターム(参考) 3B029 BA14 BA17 HA06 HA08 HB02 3B074 AA02 AA08 AB01 AC02 4L041 AA07 BA02 BA05 BA09 BA21 BA59 BC04 BD03 BD11 CA06 CA36 CA37 CA38 CA44 DD01 DD05 DD14 DD18 4L047 AA14 AA27 AB07 AB09 BA09 BB09 CA19 CB07 CC16

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高吸水性樹脂粉末もしくは高吸水性樹脂
    からなる繊維と併用して用いられる熱接着性複合繊維で
    あって、該熱接着性複合繊維は、A成分として酢酸ビニ
    ル5〜40重量%、エチレン60〜95重量%のエチレ
    ン−酢酸ビニル共重合体またはそのケン化物が30〜1
    00重量%、B成分としてポリエチレンが0〜70重量
    %からなる混合物で構成される低融点成分と、該低融点
    成分より15℃以上高い融点を有する高融点成分とから
    なる熱接着性複合繊維であって、該低融点成分は該熱接
    着性複合繊維表面の少なくとも一部を長さ方向に連続し
    て形成されており、且つ該熱接着性複合繊維は単糸繊度
    0.5〜50デニールであることを特徴とする熱接着性
    複合繊維。
  2. 【請求項2】 低融点成分のA成分であるエチレン−酢
    酸ビニル共重合体のケン化物のケン化度が30%以上で
    あることを特徴とする請求項1に記載の熱接着性複合繊
    維。
  3. 【請求項3】 請求項1〜2の何れか1項記載の熱接着
    性複合繊維の捲縮数が5〜30山/25mm、且つ繊維
    長が3〜100mmであることを特徴とする熱接着性複
    合繊維。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3の何れか1項記載の熱接着
    性複合繊維と高吸水性樹脂粉末もしくは高吸水性樹脂か
    らなる繊維を混合した繊維集合体。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の繊維集合体を熱処理し
    て繊維同士の交点または繊維と高吸水性樹脂粉末もしく
    は高吸水性樹脂からなる繊維の交点が接着された不織
    布。
  6. 【請求項6】 請求項4または請求項5に記載の繊維集
    合体もしくは不織布がエアレイド法で得られた繊維集合
    体もしくは不織布である請求項4または請求項5に記載
    の繊維集合体もしくは不織布。
  7. 【請求項7】 請求項4〜6の何れか1項記載の繊維集
    合体もしくは不織布と、他の繊維集合体もしくは不織布
    を混合または積層し、繊維同士の交点を熱接合して得ら
    れる複合化不織布。
  8. 【請求項8】 請求項4〜7の何れか1項記載の繊維集
    合体または不織布を用いたワイパー。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104562452A (zh) * 2015-01-07 2015-04-29 厦门延江工贸有限公司 超柔蓬松无纺布
WO2019176980A1 (ja) * 2018-03-16 2019-09-19 王子ホールディングス株式会社 吸水性シート

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