JP2001049459A - マグネシュウム成型体の前処理方法 - Google Patents

マグネシュウム成型体の前処理方法

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JP2001049459A
JP2001049459A JP11218400A JP21840099A JP2001049459A JP 2001049459 A JP2001049459 A JP 2001049459A JP 11218400 A JP11218400 A JP 11218400A JP 21840099 A JP21840099 A JP 21840099A JP 2001049459 A JP2001049459 A JP 2001049459A
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Shigeru Sago
茂 佐合
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Gunze Ltd
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C23COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
    • C23CCOATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
    • C23C2222/00Aspects relating to chemical surface treatment of metallic material by reaction of the surface with a reactive medium
    • C23C2222/20Use of solutions containing silanes

Abstract

(57)【要約】 【課題】マグネシュウム成型体の塗装の前に行われる表
面防錆処理法に関し、従来法に見られる問題点(廃水、
設備、処理時間、防錆の不完全さ)を一挙に解決する新
規な処理法を提供すること。 【解決手段】マグネシュウム成型体面の塗装の前に、該
成型体面をリン酸を含む金属アルコキシドのヒドロゾル
で処理することを特徴とするマグネシュウム成型体の前
処理方法。該アルコキシドとしてテトラアルコキシシラ
ン又はこれとトリアルコキシシランとの混合シランが好
ましく、更に該シランに水溶性のポリアミド又はポリウ
レタン等の水溶性ポリマの共存がより好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はマグネシュウム成型
体の前処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】マグネシュウム又はその合金は、アルミ
ニュウムより軽量で、リサイクルも可能であることか
ら、、プラスチック成型体にとって代わろうとしてその
研究が活発に行われている。既に1部ではあるが、例え
ばノ−ト型パソコン、デジタルビデオカメラ等の筐体は
置き換えられ、市場にもでている。
【0003】マグネシュウム又はその合金による成型体
(以下単にマグネシュウム成型体と呼ぶ)は、今後のニ
−ズに合うものとして極めて有望視されてはいるが、し
かしそれ自体に特性上の欠点もあって、1つの完成され
た部品に仕上げる製造サイドの点からみると問題も多い
ものでもある。つまりそれは防錆性と耐摩耗性、更には
最後に行う塗装における塗膜の密着性で欠けるというこ
とである。特にこの中でも防錆性と耐摩耗性である。
【0004】前記問題点解決のために、種々の手段が採
られ実用もされ、また提案もされている。つまり防錆性
では、まず射出成型によって得られたマグネシュウム成
型体をアルカリ洗浄して表面の汚れを除去し、そして次
の防錆処理(接着性向上も兼ねる)のために酸洗浄を行
う。そして防錆処理は、クロメ−ト(6価クロム酸塩)
処理、過マンガン酸塩処理、陽極酸化処理、リン酸亜鉛
処理のいずれかによっている。この中でもリン酸亜鉛処
理は、効果が十分でないことから、仮りの防錆処理とし
て利用するか、又は利用されていないのが実状である。
又別手段として、防錆性と耐摩耗性とを同時に解決しよ
うとする方法に、例えば特開平9−228062号公報
が知られている。これは塩酸、硫酸、硝酸、フッ酸等の
酸又はアンモニア等のアルカリを含む金属アルコキシド
(例えばテトラアルコキシシラン)水溶液で処理する方
法である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら前記の防
錆処理法におけるクロメ−ト(6価クロム酸塩)処理で
は、複雑な工程と廃水として発生する6価クロムの点
で、過マンガン酸塩と陽極酸化による処理では、これも
複雑な工程と共に、それ自身の設備の点(特に電気設
備)でいずれも問題があり、満足されていないのが現状
である。一方前記号公報では、被覆膜が酸化ケイ素であ
ることで一見防錆性と耐摩耗性に優れたものになってい
るように思われるが、どうしても無機の強酸又はアルカ
リ性物質は、そのまま該膜中に残存し易いので、これが
以後(経時変化)逆に腐食の促進に作用するという危険
性があること。更に膜に亀裂が入り易く、密着性も十分
でないといった点で十分に満足されず、なお検討を要す
るものである。
【0006】本発明は、一般に行っている前記防錆処理
の前の酸洗浄も行わないことを前提で、前記諸問題の全
てを一挙に解決すべき鋭意検討した結果見い出されたも
のである。それは次の手段によって容易に解決される。
【0007】
【課題を解決するための手段】即ち本発明の手段は、請
求項1に記載するもので、それはマグネシュウム成型体
面の塗装の前に、該成型体面をリン酸を含む金属アルコ
キシドのヒドロゾル液で処理することを特徴とするマグ
ネシュウム成型体の前処理方法である。
【0008】そして請求項2では、前記において、水溶
性ポリマを共存させて前処理することも特徴として提供
する。
【0009】又請求項3、4は前記請求項1、2に従属
して、好ましい発明として合わせて提供する。次に前記
発明を詳細に説明する。尚ここで言う前処理とは、前記
によるヒドロゾル液の調製とこれをマグネシュウム成型
体面に塗布し、加熱して目的とする防錆性にも優れた、
強靱(耐摩耗性)な酸化金属膜を被覆することである。
【0010】
【発明の実施の形態】まず前処理の対象となるマグネシ
ュウム成型体は、前記の通りマグネシュウム又はこれを
主成分とする合金を原料として、これを種々の形状に成
型した素成型体(何んらの事前処理もしていない)であ
る。
【0011】そして金属アルコキシドは、一般には金属
又はその無機化合物とアルコ−ルとが反応してアルコキ
シド基が結合した化合物をいうが、本発明の前記問題を
より効果的に達成させるものとしては、まず3〜4個の
アルコキシド基の結合した金属化合物で、取り分けこの
金属がSi、Al、Ti、Zrのいずれかであるのが良
い。しかし更により強固な被膜(マグネシュウム成型体
の耐傷性と防錆性向上に寄与)で、化学的(フッ酸を除
く、他の酸には極めて安定で、それ自身腐食するような
ことはない)にも最も安定な酸化ケイ素膜を形成するS
i、つまりトリアルコキシシラン又は/及びテトラアル
コキシシランを主成分とするアルコキシシランが好まし
く使用される。
【0012】前記テトラアルコキシシラン、トリアルコ
キシシランを具体的に例示すると次の通りである。テト
ラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロ
ポキシシラン、テトラiso−プロポキシシラン、テト
ラブトキシシラン、テトラsec−ブトキシシラン、テ
トラt−ブトキシシラン等の4官能アルコキシシラン。
トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリプロポ
キシシラン、トリiso−プロポキシシラン、トリブト
キシシラン、トリsec−ブトキシシラン、トリt−ブ
トキシシラン等の3官能アルコキシシラン。ここで該3
官能アルコキシシランの場合は、1つは他の基が結合さ
れるが、これは水素原子、C1〜5のアルキル基、フエ
ニル基、ビニル基、エポキシ基等である。これら基の結
合は例えば以後の塗装における塗膜の密着力をより高め
る場合があるので、3官能アルコキシシランを使用する
場合には、この基の種類も考慮して選ぶのがよい。
【0013】前記の通り4官能テトラアルコキシシラン
でも3官能トリアルコキシシランのいずれでも良いが、
マグネシュウム成型体面への酸化ケイ素膜の形成の迅速
性とその膜の強靱性(取扱い中の耐傷性)も加味すると
4官能テトラアルコキシシランが好ましい。むしろ3官
能トリアルコキシシランの場合には、4官能テトラアル
コキシシランを主体にこれを混合したシランとして使用
する方が望ましい。これは4官能トリアルコキシシラン
は前記のように酸化ケイ素膜の強靱さは卓越したものが
あるが、形成条件によっては該膜に極めて僅少ではある
が、ひび割れが発生する場合がある。3官能トリアルコ
キシシランの共存がこのひび割れの危険性を防ぐ方向に
も作用するからである。尚他に2官能のジアルコキシシ
ランのマイナ−量添加は否定するものではない。
【0014】次に前記金属アルコキシドに添加するリン
酸について説明する。まず本発明でリン酸が特定される
理由は、その1つに金属アルコキシドから金属ヒドロキ
シへの加水分解、そして酸化金属被膜への変化をコント
ロ−ル(速すぎることもなく、遅すぎることもなく)し
つつ促進するのに、極めて効果的に作用するものである
からである。このコントロ−ルしながらできる該被膜
は、安定(バラツキのない)して極めて強靱な被膜とし
て得ることができる。従ってこの作用効果は、前記する
従来の無機の酸、アルカリ酢酸等では発現しないもので
ある。そしてその2つに、マグネシュウム成型体表面に
耐食性を付与する作用効果があること。これは該表面で
リン酸に基づく被膜が、金属酸化膜と共に形成されてい
ることによるではないかと考えられる。3つ目に、仮に
リン酸が残存してもそれが該成型体表面を腐食させるよ
うなことはない等の理由による。
【0015】前記リン酸は、正リン酸を意味するが、金
属アルコキシトの水溶液中で正リン酸に変化するもので
あればそれも含まれる。例えばピロリン酸である。
【0016】次に水溶性ポリマについて説明する。まず
ここで言う水溶性とは、水のみ又はアルコ−ルを含む水
を溶媒としてこれに溶解するポリマである。そして該水
溶性ポリマの共存がより好ましいのは次の理由による。
その1つに請求項1に言うリン酸を含む金属アルコキシ
ドのヒドロゾル液(水系溶液)での処理で前記課題は達
成されるが、マグネシュウム成型体の使用条件(環境、
使用期間等)によっては、製膜した酸化金属自体に亀裂
とか、表面からの剥離等の危険性がある。この危険性を
払拭するために、より有効である手段が水溶性ポリマの
併用である。これによる作用効果は、酸化金属膜の生成
と共に、この中に該ポリマ分子が分子レベルで分散し、
そして相互に水素結合的に結合もすることでより強靱な
酸化金属膜になるためではないかと考えられる。その2
つに、マグネシュウム成型体の表面と酸化金属膜との密
着性、更には塗装における塗料との密着性等がより一層
向上すること等である。これは水溶性ポリマに最も効果
の大きいものであり、従って非水溶性ポリマでは発現し
ない作用効果である(非水溶性ポリマは、逆に金属酸化
膜の強度等の低下を招く)。
【0017】前記水溶性ポリマは、常温の前記ヒドロゾ
ルの中で完全に溶解していることが理想的であるが、加
熱状態(40°C程度以下)で溶解するもの、常温〜加
熱の範囲で膨潤するものであってもよい。具体的に例示
すると次の通りである。ポリビニルアルコ−ル(ケン化
度80〜85%程度)、ポリアクリルアミド又はこれと
ビニル化合物とのコポリマ、N−メチルビニルピロリド
ンとビニル化合物とのコポリマ、ポリヒドロキシアクリ
ル酸系エチル、水溶性ポリアミド、水溶性ポリウレタ
ン、ポリエチレングリコ−ル等である。この中でも水溶
性ポリアミドと水溶性ポリウレタンとが好ましく、更に
は水溶性ポリアミドが良い。これは形成される酸化ケイ
素膜自身による強靱性に加えて、更に強靱性と共にマグ
ネシュウム成型体面との密着力及び耐屈曲性(曲げても
亀裂とか、剥離のないこと)の向上により一層有効に作
用するからである。尚該ヒドロゾルは一般に言う媒体が
水によるが、ここにアルコ−ルが共存するヒドロゾルで
ある場合もある。
【0018】前記好ましいものとして挙げる水溶性ポリ
ウレタンと水溶性ポリアミドとについの詳細は次の通り
である。
【0019】まず水溶性ポリウレタンは、例えば脂肪族
系のポリエ−テルポリオ−ル、ポリエステルポリオ−
ル、ポリカ−ボネ−トポリオ−ル、ポリエステルアミド
ポリオ−ル又はポリアクリレ−トポリオ−ルにみられる
分子鎖中にエ−テル結合、エステル結合,カ−ボネ−ト
結合、エステルアミド結合、アクリレ−ト結合をもって
なる脂肪族ポリオ−ルと脂肪族ジイソシアネ−トとの付
加重合ポリマが挙げられる。
【0020】そして水溶性ポリアミドは、例えば主鎖に
エ−テル結合を有する脂肪族系ポリアミド、分子内に塩
基性窒素原子又は第4級アンモニウム塩を含む脂肪族系
ポリアミド、分子内にスルホン酸塩を含む脂肪族系ポリ
アミド、N−メトキシメチル化(メトキシ化度20〜5
0程度)脂肪族系ポリアミドが挙げられる。
【0021】次にマグネシュウム成型体の前処理方法に
ついて具体的に説明する。まず射出等の成型方法で成型
された該成型体面を単に物理的に拭き取るか、有機溶剤
又はアルカリ水で洗浄する。
【0022】前記清浄作業が終われば、直ちにリン酸を
含む金属アルコキシドのヒドロゾル液を塗布し、最終的
には熱をかけて高分子量の酸化金属膜に変えて前処理を
終了する。この処理の具体的条件について、該金属アル
コキシドとして、テトラアルコキシシラン又は/及びト
リアルコキシシランを使用した場合を例にとって説明す
る。
【0023】まず前記シランを加水分解しヒドロゾル液
にするために水とリン酸が添加される。ここで水は基本
的には、該シランを加水分解してヒドロキシシランに変
える作用をする。そしてリン酸の一部は、その加水分解
の速度をコントロ−ルしながら促進し、より良質で強靱
な酸化ケイ素膜へと変える作用をする。又該リン酸の一
部は、マグネシュウム成型体面の腐食を防止する作用も
する。一般に加水分解促進剤として使用される塩酸、硫
酸、硝酸等の無機酸、酢酸等の有機酸では、逆に腐食を
加速する方向に作用することを考えると、このリン酸は
該成型体面との間、又は酸化ケイ素膜との間で何んらか
の防錆膜が形成されるためではないかとも考えられる
が、その作用機構は定かでない。
【0024】従って水とリン酸の添加量は、各々前記の
ような作用がより有効に行われることが前提で決まるこ
とになる。因みに水の添加量は、少なくとも該シランの
アルコキシ基の数に相当する数のモル量、つまり該シラ
ン1モルに対して3又は4モルを必要とする。つまりこ
れよりも少量では、未反応部分が存在することになるの
で好ましくなく、むしろ多目にするのが良い。多目は得
られるヒドロゾルを安定に保ち、又水溶性ポリマを共存
させる場合の溶媒として有効でもあることでより好まし
い。ここで多目の量といってもあまりに多くするのは、
単なる希釈であり塗布に関して逆効果になるので、この
点を考慮して適当量を決めると良い。一方リン酸は0.
005〜0.05モル、好ましくは0.008〜0.0
3モルでよい。これはこれよりも少ないと前記の加水分
解反応の促進、強靱な酸化ケイ素膜へ変化、マグネシュ
ウム成型体面の防錆作用そのものが働かなくなり、これ
よりも多いと逆に加水分解反応を停止する方向にするば
かりか、耐摩耗性にすぐれた強靱な酸化ケイ素膜への変
化は勿論、マグネシュウム成型体面の防錆効果も実質的
に得られないことによる。尚本発明ではリン酸のみの添
加で達成されるが、他の酸成分の併用を全く避けるもの
ではない。
【0025】添加する各成分は、基本的には前記の通り
であるが、更に前記成分にアルコ−ル(メチルアルコ−
ル、エチルアルコ−ル、イソプロピルアルコ−ル等)を
共存させるのがよい。これは前記シラン自身の溶解、塗
布後に行う加熱による水の蒸発除去のし易さ、更には後
述する水溶性ポリマ併用の場合の更なる溶媒効果と塗布
における溶液粘度調整等に対して、より有効に作用する
ためである。この様な作用が付加されることは、形成さ
れる酸化ケイ素膜の品質性能にも好結果をもたらすこと
にもなる。アルコ−ル量は、これら各作用効果を勘案し
て決めることになるが、大略該シラン量に対して1〜5
倍量の範囲を目安とするのがよい。
【0026】前記水とアルコ−ルの添加順序は、例え
ば、まず所定量の該シランを所定量のアルコ−ルに溶解
しその中に所定量の水を攪拌しつつ添加し暫時しばらく
放置する。又は予め所定量のアルコ−ルと水とを混合
し、これを該シランに攪拌しつつ添加し暫時放置する。
又は該所定量のシランに攪拌しつつ所定量の水を添加し
てから、所定量のアルコ−ルを添加し暫時放置する。こ
の暫時放置することで前記加水分解反応が完結しコ−テ
ング用としての適正なヒドロゾル液に変わる。暫時放置
の条件(時間、温度)で、ヒドルゾルが更に進行してゲ
ル化(つまり加水分解したトリ又はテトラヒドロキシシ
ランが脱水して高分子化して二酸化ケイ素へと進行す
る)する。この段階でゲル化すると、以後の円滑なコ−
テングができなくなるので、該条件の設定には注意する
必要がある。但しコ−テングに支障をきたさない程度の
ゲル化はあってもよい。この判断は、ヒドルゾルの溶液
粘度とコ−テング性との関係を考えて決める。
【0027】本発明は基本的には前記条件によって達成
されるが、前記するように形成される酸化ケイ素膜の更
なる性能アップのために、特に水溶性ポリマの併用が好
ましく行われる。該ポリマの併用場合の手順は、一般に
所定量の水又は水とアルコ−ルとの混合液に所定量の該
ポリマを添加し溶解しておく。そしてこの溶液を前記ア
ルコキシシランに添加し暫時放置してコ−テング用のヒ
ドロゾルを得る。ここで該ポリマの添加量は該シラン量
に対して10〜50重量%程度、好ましくは20〜40
重量%であるのがよい。これは勿論あまりに少量では実
質的な効果として得られなくなく、逆にあまりに多いと
二酸化ケイ素膜としての特長(硬質で強靱な膜で、強固
な密着力でマグネシュウム成型体面を被覆する)及び防
錆効果に逆行がみられる等の理由に基づくものである。
尚該ポリマの併用の場合には、併用しない場合に比べて
水又は水とアルコ−ルの使用量は多くする。これは該ポ
リマ自身の溶解性、適正なコ−テング溶液粘度の調整等
のために必要であるからである。一般的には該ポリマの
濃度が5〜40重量%になることを目安として使用する
のがよい。
【0028】前記いずれの場合も暫時放置により得られ
たヒドロゾル液は、コ−テングに不都合なゲル化が進ま
ない間に、マグネシュウム成型体面に塗布されるが、塗
布方法は例えばスプレイ、浸漬、刷毛塗り等特に制約は
ない。塗布厚さは、最終的に被覆される酸化ケイ素膜の
厚さが10〜25μm程度になるように塗布するのがよ
い。塗布後は80〜150°C程度で加熱する。この加
熱によって残存する溶媒(水、アルコ−ル)の蒸発除去
と共に、高分子量の強靱な酸化ケイ素(3次元網状)膜
が該成型体面に密着しつつ形成される。この形成に連れ
てリン酸に起因する防錆膜も形成されると考えられる。
尚前記暫時放置の時間が許容される時間は、常温で2〜
3日間であり、これは一般に使用されている前記の塩酸
等に比べて極めて長い、つまりポットライフに極めて優
れていることになるので、特に量産体制下でのコ−テン
グにとって有利になり、これも特長の1つといえる。
【0029】以上でマグネシュウム成型体面への被覆処
理が終了するので、直ちに最終の塗装工程に移ることが
できるが、次により詳細に比較例と共に、実施例によっ
て説明する。
【0030】
【実施例】本例のテスト結果で示す接着性と防錆性は次
のようにして測定して得たものである。 ◎接着性 JIS k5400に基づいて測定した。つ
まり試験片の被覆面を貫通して素地面に達する切り傷を
碁盤目状(1mm幅で1mmピッチの格子)に付し、そ
してこの碁盤目の上に幅19mmの接着テ−プを3.1
N(1N=0.1019716kgf)/10mmの力
で押して接着した後、それを剥がし碁盤目の升の中の被
覆層の剥離の有無をマイクロスコ−プで観察した。この
測定は場所を変えて3ヶ所を行い、100の升目を単位
として何個の升が剥離したかをカウントし、3ヶ所のへ
平均値をもって現した(例えば100/100であれば
いずれの場所でも剥離はなかったということになる)。 ◎防錆性 JIS Z2371に基づいて測定した。つ
まり試験片(100×100×100mmの立方形のマ
グネシュウム成型体の被覆面の中央に、剃刀で長さ20
mmでクロスカットしたもの)に5%の塩水(温度35
±1°CのNaCl水)(PH6.8〜7.2)を塩水
噴霧試験機(スガ試験機株式会社製)を使って連続10
00時間噴霧し、マイクロスコ−プで観察し腐蝕の程度
を観察した。
【0031】(実施例1)まずテトラエトキシシラン
(TEOS)2g(0.01モル)を採取し、これを1
gの蒸留水(0.055モル)と10gのメタノ−ルと
の混合溶液に1.3gの正リン酸(0.013モル)を
溶解したPH2.7の加水分解溶液に攪拌しながら添加
した。常温で2時間放置しコ−テング用のヒドロゾル液
を得た。そして該ゾル液を予めアルカリ水で表面洗浄−
水洗−乾燥しておいたマグネシュウム(AZ91Dの合
金)成型体を試験片としてその2面にスプレ−塗布し、
110°Cで5分間加熱乾燥した。これを2回繰り返し
た。得られた膜は透明で硬くしっかりと密着した状態で
あり、その膜厚は13μmであった。そして各々の被覆
面を使って接着性と防錆性を測定しこれを表1にまとめ
た。
【0032】(表1)
【0033】(実施例2)まずテトラエトキシシラン
(TEOS)2g(0.01モル)とトリエトキシメチ
ルシラン0.45g(0.0025モル)とを採取し、
これを同時に1gの蒸留水(0.055モル)と10g
のメタノ−ルとの混合溶液に1.3gの正リン酸(0.
013モル)を溶解したPH2.7の加水分解溶液に攪
拌しながら添加した。常温で3時間放置しコ−テング用
のヒドロゾル液を得た。そして該ゾル液を予めアルカリ
水で表面洗浄−水洗−乾燥しておいたマグネシュウム
(AZ91Dの合金)成型体を試験片としこの2面にス
プレ−塗布し、110°Cで5分間加熱乾燥した。これ
を2回繰り返した。得られた膜は透明で硬くしっかりと
密着した状態であり、その膜厚は14μmであった。そ
して各々の被覆面を使って接着性と防錆性を測定しこれ
を表1にまとめた。
【0034】(実施例3)2gの蒸留水(0.11モ
ル)と20gのメタノ−ルとの混合溶液をつくり、これ
にまず30%メトキシメチル化したナイロン6の2gを
添加し攪拌して溶解し、次に1.3gの正リン酸(0.
013モル)を添加して溶解し水溶性ポリマを含む加水
分解用溶液を調製した。そして別途採取しておいたTE
OSの2g(0.01モル)を前記調製液に攪拌しなが
ら添加した。常温で3時間放置しコ−テング用のヒドロ
ゾル液を得た。そして該ゾル液を予めアルカリ水で表面
洗浄−水洗−乾燥しておいたマグネシュウム(AZ91
Dの合金)成型体を試験片として、この2面にスプレ−
塗布し、110°Cで5分間加熱乾燥した。これを2回
繰り返した。得られた膜は透明で硬くしっかりと密着し
た状態であり、その膜厚は20μmであった。そして各
々の被覆面を使って接着性と防錆性を測定しこれを表1
にまとめた。
【0035】(実施例4)2gの蒸留水(0.11モ
ル)と20gのメタノ−ルとの混合溶液をつくり、これ
にまず水溶性ポリウレタン(ポリエステルポリオ−ルと
テトラメチレンジイソシアネ−トとの付加重合ポリマ)
2gを添加し攪拌して溶解し、次に1.3gの正リン酸
(0.013モル)を添加して溶解し水溶性ポリマを含
む加水分解用溶液を調製した。そしてこの調製液に別途
採取しておいたTEOS2g(0.01モル)とトリエ
トキシメチルシラン0.45g(0.0025モル)と
を同時に攪拌しながら添加した。常温で3時間放置しコ
−テング用のヒドロゾル液を得た。そして該ゾル液を予
めアルカリ水で表面洗浄−水洗−乾燥しておいたマグネ
シュウム(AZ91Dの合金)成型体を試験片としてそ
の2面にスプレ−塗布し、110°Cで5分間加熱乾燥
した。これを2回繰り返した。得られた膜は透明で硬く
しっかりと密着した状態であり、その膜厚は19μmで
あった。そして各々の被覆面を使って接着性と防錆性を
測定しこれを表1にまとめた。
【0036】(比較例1)実施例1において正リン酸は
添加せずに、常温での放置時間は10時間に変更する以
外は同一条件にてヒドロゾル液で処理して、マグネシュ
ウム成型体の2面に被膜を形成した。被覆面は実施例1
との間で差は見らず、膜厚は14μmであった。同様に
接着性と防錆性を測定し、これを表1にまとめた。
【0037】(比較例2)実施例3において正リン酸の
替わりに0.47gの塩酸(0.013モル)を使用す
る以外は該例と同一条件にてヒドロゾル液で処理して、
マグネシュウム成型体の2面に被膜を形成した。被覆面
は該例との間で差は見らず、膜厚は21μmであった。
同様に接着性と防錆性を測定し、これを表1にまとめ
た。
【0038】(比較例3)実施例3において正リン酸の
替わりに0.78gの酢酸(0.013モル)を使用す
る以外は該例と同一条件にてヒドロゾル液で処理して、
マグネシュウム成型体面に被膜を形成した。被覆面は該
例との間で差は見らず、膜厚は20μmであった。同様
に接着性と防錆性を測定し、これを表1にまとめた。
【0039】(比較例4)実施例3において正リン酸の
替わりに0.82gの硝酸(0.013モル)を使用す
る以外は該例と同一条件にてヒドロゾル液で処理して、
マグネシュウム成型体面に被膜を形成した。被覆面は該
例との間で差は見らず、膜厚は19μmであった。同様
に接着性と防錆性を測定し、これを表1にまとめた。
【0040】(応用例1)(塗装テスト) 最後に行われる塗装に関し、その効果も確認するために
塗装のテストを行った。まず該テスト用として実施例3
と同一条件で表面処理して被覆マグネシュウム成型体を
得、次に該成型体面にシルバ−色のアクりル系塗料を吹
き付けた。該塗料の被膜面でのはじきも全くなく、極め
て滑らかな状態で素速くコ−テングされた。最後に熱乾
燥して塗装を終了した。この塗装面についても接着性と
防錆性とをテストした。ここでの防錆性のテストは噴霧
時間を2000時間とした。結果は表1にまとめた。尚
いずれのテストにおいても、被膜と塗装面との層間で剥
離するような現象は全く見られなかった。
【0041】
【発明の効果】本発明は前記の通り構成されるので、次
のような効果を奏する。
【0042】マグネシュウム成型体にとって必須とされ
る塗装前の防錆処理に関し、新規な特長ある前処理方法
を提供することができるようになった。
【0043】新規な特長ある前処理方法の発明により、
従来法で問題になっていた6価クロムの廃水の問題、大
きな電気設備の問題が一挙に解決され、公害廃水もなく
簡単な設備で前処理ができるようになった。
【0044】従来法に見られる複雑な工程を採らないの
で、前処理時間が大幅に短縮できるようになった。
【0045】マグネシュウム成型体にとって腐蝕性の極
めて大きい無機酸、有機酸は全行程で一切関与しないの
で、経時変化による腐蝕の危険性は全くないものになっ
た(無機酸であるリン酸は、防蝕等に見られる異質の作
用効果をすることも判った)。
【0046】マグネシュウム成型体面に形成された被膜
は、極めて摩耗性の高い強靱な膜で強固に、密着された
膜である。また該膜面と塗料との親和性も高く強い密着
力でスム−スに塗装することもできる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】マグネシュウム成型体面の塗装の前に、該
    成型体面をリン酸を含む金属アルコキシドのヒドロゾル
    液で処理することを特徴とするマグネシュウム成型体の
    前処理方法。
  2. 【請求項2】請求項1において、リン酸を含む金属アル
    コキシドのヒドロゾル液中に水溶性ポリマが含まれてい
    ることを特徴とするマグネシュウム成型体の前処理方
    法。
  3. 【請求項3】前記金属アルコキシドのヒドロゾル液がテ
    トラアルコキシシラン又は/及びトリアルコキシシラン
    の単独又は混合シランによるヒドロゾル液である請求項
    1又は2のいずれか1項に記載のマグネシュウム成型体
    の前処理方法。
  4. 【請求項4】前記水溶性ポリマが水溶性ポリアミド又は
    水溶性ポリウレタンである請求項2又は3に記載のマグ
    ネシュウム成型体の前処理方法。
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